JP3528623B2 - 圧電振動子ユニット及びそれを用いたインクジェット式記録ヘッド - Google Patents

圧電振動子ユニット及びそれを用いたインクジェット式記録ヘッド

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JP3528623B2
JP3528623B2 JP26712398A JP26712398A JP3528623B2 JP 3528623 B2 JP3528623 B2 JP 3528623B2 JP 26712398 A JP26712398 A JP 26712398A JP 26712398 A JP26712398 A JP 26712398A JP 3528623 B2 JP3528623 B2 JP 3528623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクを吐出させる
のに好適な圧電振動子ユニット及びこの圧電振動子ユニ
ットを用いたインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のインクジェット式記録ヘッド
(以下、記録ヘッドという)は、例えば、圧力室やリザ
ーバを有する流路ユニットと、この流路ユニットの背面
側に配置され、圧力室の容積を変化させる圧電振動子ユ
ニットとを備えている。流路ユニットは、圧力室やリザ
ーバとなる通孔を開設した流路形成板と、この流路形成
板の正面側に接着され、多数のノズル開口を列状に開設
したノズルプレートと、流路形成板の背面側に接着さ
れ、ノズル開口に対応して設けた島部を有する弾性シー
ト等を備え、圧電振動子ユニットは、櫛歯状に形成され
た多数の圧電振動子(以下、振動子という)等を備え
る。そして、振動子の櫛歯状先端を流路ユニットの背面
側から弾性シートの島部にそれぞれ当接させるようにし
て圧電振動子ユニットを配置する。
【0003】このような構成の記録ヘッドでインク滴を
吐出させる場合には、駆動パルスを印加することにより
振動子を伸縮させて弾性シートを変形させ、圧力室の容
積を変化させる。例えば、振動子を収縮させることによ
り圧力室を膨張させてリザーバのインクを圧力室に流入
させ、その後、振動子を伸長させて圧力室を収縮させ
る。この圧力室の収縮によりインク室内のインク圧力が
高まり、インク室内のインクがノズル開口から吐出され
る。
【0004】この記録ヘッドで使用される振動子の一種
にd31モードの振動子がある。このd31モードの振
動子は、圧電体や内部電極を複数層積層させたものであ
り、この積層方向とは垂直な方向に変位する振動子であ
る。そして、この振動子は、高速で振動させることがで
きると共に、ドットの高密度化への対応が容易であると
いう特徴を有している。
【0005】ところで、このd31モードの振動子を用
いた記録ヘッドでは、振動子の静電容量が大きいため、
インクを吐出させ得る程度に振動子を伸縮させると、振
動子は必要以上に強い力を発生してしまう。換言すれ
ば、この振動子は、電気エネルギーを必要以上に消費し
ている。
【0006】このため、振動子を駆動させる際に多くの
電流が必要となり、多ドットを同時に吐出させる際の駆
動パルスの歪みの原因となったり、振動子の過剰な発熱
の原因となったりする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この点に鑑み、振動子
の変位量は変えずに静電容量を小さくして、電気エネル
ギーの消費を低く抑える試みがなされている。例えば、
内部電極及び圧電体の積層数を少なくしたり、振動子の
側面を凹状に切り欠いたりして振動子の静電容量を小さ
くしたものがある。
【0008】しかしながら、内部電極及び圧電体の積層
数を少なくしたものでは、振動子先端面の面積、即ち、
振動子と弾性シートの島部との当接面積が狭くなり、島
部を局所的に押圧することになってしまう。このため、
島部が撓んでしまい振動子の変位を弾性シートに効率良
く伝達できず、インクを正確に吐出させ難くなるという
問題点があった。また、振動子を切り欠いたものでは、
振動子と島部との当接面積は比較的広くできるものの切
り欠かれて幅の狭くなった部分が先端頭部の端部を押圧
するため、曲げモーメントが発生してしまい、振動子の
変位を弾性シートの島部に効率良く伝達できず、インク
を正確に吐出させ難いという問題点があった。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、振動子の変位量を変えずに静電容量を小
さくできる圧電振動子ユニット、及び、振動子の変位を
弾性シートに効率良く伝達できるインクジェット式記録
ヘッドを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたもので、請求項1に記載のもの
は、共通内部電極と個別内部電極とを圧電体を挟んで交
互に積層して構成した振動子を櫛歯状に列設し、当該振
動子の自由端部を残して固定板を接合し、振動子の自由
端部を圧電体の積層方向と直交する振動子長手方向に伸
縮可能とした圧電振動子ユニットにおいて、前記振動子
の自由端部に振動子列設方向に貫く中空構造となる開口
部を開設し、該開口部の先端から基端に対応した領域内
に前記共通内部電極と前記個別内部電極の重ね合わせ領
域が収まるように配置したことを特徴とする圧電振動子
ユニットである。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】ここで、「開口部の基端」とは、開口部に
おける固定板側の端部のことを意味し、「開口部の先
端」とは同じく振動子先端側の端部のことを意味する。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】また、請求項12に記載のものは、請求項
1から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニット
と、弾性シートとノズル開口を形成したノズルプレート
とにより区画された圧力室とを備えたインクジェット式
記録ヘッドであって、前記弾性シートを、弾性体膜とノ
ズル開口に対応して設けられた島部とから構成し、振動
子の先端を島部に当接させたことを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドである。
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。まず、インクジェット式記録ヘ
ッド1(以下、記録ヘッド1という)の全体構成につい
て説明する。図1は、本発明を適用した記録ヘッド1の
一例を示す図であり、要部を拡大して示した断面図であ
る。
【0032】この記録ヘッド1は、ケース2、流路ユニ
ット3、圧電振動子ユニット4等によって構成してあ
る。なお、この記録ヘッド1の説明では、便宜上、図1
の上方に相当する先端側を前方側、図1の下側に相当す
る基端側を後方側ということにする。
【0033】ケース2は、先端と後端が共に開放した収
容空部5を設けた合成樹脂製のブロック状部材であり、
その先端には流路ユニット3を接合し、収容空部5内に
は振動子群21の櫛歯状先端を先端側開口に臨ませた状
態で圧電振動子ユニット4を収容し固定する。また、収
容空部5の側方には、基端側にてインクカートリッジに
連通しているインク供給管6を設ける。
【0034】流路ユニット3は、流路形成板7を挟んで
ノズルプレート8と弾性シート9を両側に積層すること
により概略構成してある。
【0035】ノズルプレート8は、ドット形成密度に対
応したピッチで多数(例えば、96個)のノズル開口1
0…を列状に開設した薄い板状部材であり、例えば、ス
テンレス板によって構成してある。
【0036】このノズルプレート8に積層される流路形
成板7には通孔を開設してある。この通孔は、インク供
給管6を通じて供給されたインクが流入するリザーバ1
1、ノズル開口10からインクを吐出させるために必要
なインク圧力を発生させる圧力室12、これらのリザー
バ11と圧力室12を連通するインク供給口13,13
を形成するための部材である。そして、本実施形態で
は、流路形成板7はシリコンウェハーをエッチング処理
することにより形成する。
【0037】弾性シート9は、本実施形態では、PPS
(ポリフェニレンサルファイト)等の高分子膜を弾性体
膜14としてステンレス板15上にラミネートした二重
構造である。そして、ステンレス板15は、リザーバ1
1に対応する部分など不要部分をエッチング処理により
除去して、振動子群21の駆動振動子29の先端が背面
側から当接する島部16(厚肉部)を形成し、この島部
16の周囲を弾性体膜14(薄肉部)だけにして弾性部
17を構成する。この島部16は、ノズル開口10と同
様にドット形成密度に対応したピッチで多数設けてあ
り、ノズル配列方向に対応する幅が狭く、駆動振動子2
9の圧電体積層方向(後述)に対応する長さを長くした
ブロック状に形成してある。
【0038】そして、ノズルプレート8を流路形成板7
の正面側に配置すると共に、弾性シート9を背面側に配
置し、ノズルプレート8と弾性シート9とで流路形成板
7を挟み、接着等により一体化すると流路ユニット3が
形成される。
【0039】この流路ユニット3では、ノズルプレート
8と弾性シート9とにより圧力室12やリザーバ11が
区画される。そして、ノズル開口10の背面側に圧力室
12が位置し、この圧力室12の背面側に弾性シート9
の弾性部17が位置する。また、圧力室12の側方にリ
ザーバ11が位置し、このリザーバ11と圧力室12と
は、前後方向に2本並んで設けたインク供給口13,1
3により連通される。さらに、リザーバ11には、イン
ク供給管6を通じてインクカートリッジからのインクが
供給される。
【0040】圧電振動子ユニット4は、振動子群21と
固定板22とにより概略構成してある。この振動子群2
1は、いわゆるd31モードの駆動振動子29を各ノズ
ル開口10に対応させて櫛歯状に列設した櫛歯状振動子
群である。このd31モードの駆動振動子29は、駆動
パルスが印加されることにより圧電体及び内部電極の積
層方向とは垂直な方向である振動子長手方向、即ち、先
端方向或いは基端方向に伸縮(変位)する。そして、駆
動振動子29、及びダミー振動子28(図2参照)に
は、振動子列設方向に貫通した開口部23を、隣り合う
振動子と向かい合う側の側面、即ち、隣り合う振動子側
の側面に開設し、これにより振動子の一部を中空構造と
してある。また、固定板22は、櫛歯状振動子群21に
おける一方の側面側の基端側部分に接着等によって固定
する。なお、この圧電振動子ユニット4については、後
で詳細に説明する。
【0041】また、櫛歯状振動子群21における他方の
側面には、配線の一種であるフレキシブルケーブル24
を実装する。そして、各振動子28,29には、このフ
レキシブルケーブル24を通じて駆動パルスが供給され
る。この駆動パルスにより、駆動振動子29は先端或い
は後端側に伸縮し、弾性部17を構成する島部16及び
弾性体膜14は前後方向に変形する。この弾性部17の
前後方向の移動に伴って圧力室12は、膨張或いは収縮
して容積を変化させる。
【0042】ノズル開口10からインク滴を吐出させる
場合には、所定の駆動振動子29に選択的に駆動信号を
印加して、例えば、圧力室12を一旦膨張させてから収
縮させる。このようにすると、圧力室12の膨張に伴っ
てリザーバ11内のインクが圧力室12に流入し、圧力
室12の収縮に伴って圧力室12内のインクの圧力が高
まる。そして、ノズル開口10から押し出されたインク
がインク滴として吐出される。
【0043】次に、圧電振動子ユニット4について詳細
に説明する。ここで、図2は圧電振動子ユニット4の外
観斜視図である。図3は圧電振動子ユニット4を説明す
る図であり、(a)は図2におけるA−A断面図、
(b)は駆動振動子29の自由端部29aの拡大断面
図、(c)は開口部23の先端部分の拡大断面図、
(d)は開口部23の基端部分の拡大断面図である。
【0044】上記した振動子群21は、図2に示すよう
に、振動子の列設方向(配列方向)における両端部に位
置するダミー振動子28,28と、これらのダミー振動
子28,28の間に配置された多数の駆動振動子29…
とから構成してある。ここで、駆動振動子29は、駆動
信号によって伸縮してインク吐出に寄与し得る振動子で
ある。一方、ダミー振動子28は、インク吐出に寄与せ
ず、圧電振動子ユニット4をケース2の所定位置に位置
決めする際に使用したり、振動子群21のケース2内に
おける位置を定める際に使用する振動子である。
【0045】なお、本実施形態では、ダミー振動子28
の幅を駆動振動子29の幅よりも2〜3倍程度広く設定
してある。これにより、ダミー振動子28の機械的強度
を高めて圧電振動子ユニット4の位置決め精度を向上さ
せることができる。また、このダミー振動子28の基端
部に設けた共通電極配線部30の面積を広く設けること
ができるので、フレキシブルケーブル24との間の接続
信頼性を高めることができると共に、より多くの電流を
流すことができる。
【0046】次に、振動子28,29の構造について説
明する。なお、駆動振動子29とダミー振動子28と
は、振動子の幅に差があるものの基本的に同じ構造であ
るため、ここでは、駆動振動子29の構造について説明
し、ダミー振動子28については説明を省略する。
【0047】図3(b)に示すように、駆動振動子29
は、圧電体31を挟んで共通内部電極32と個別内部電
極33とを交互に積層した積層体34と、開口部23を
形成するためのスペーサ35とから構成してあり、2つ
の積層体34,34の間にスペーサ35を介在させた状
態で積層し一体化して構成する。なお、この駆動振動子
29は、後述するように積層体34,34とスペーサ3
5とを積層して一体化した板状の振動子板を櫛歯状に切
り分けることにより形成する。切り分けられた駆動振動
子29は細長い角柱状に形成されており、図3(a)に
示すように、基端から振動子長手方向の約半分に亘る基
端部29bは固定板22に接合され、先端から振動子長
手方向の約半分に亘る自由端部29aは固定板22の縁
から突出する方向に延出している。要するに、この駆動
振動子29はいわゆる片持梁のような状態で固定板22
に固定されている。
【0048】なお、この駆動振動子29の先端は弾性シ
ート9の島部16に背面側から当接させてある。そし
て、この駆動振動子29の自由端部29aは駆動信号が
印加されることにより伸縮可能な活性部として機能し、
基端部29bは伸縮しない不活性部として機能する。
【0049】この駆動振動子29の先端が当接する島部
16の形状に関し、本実施形態では、図3(a)に示す
ように、振動子列設方向側に相当する当接面の幅Wは、
駆動振動子29の先端の幅と同じか僅かに広い程度と
し、長手方向の長さL1は島部16が撓まない程度に駆
動振動子29の先端面の長さL2(駆動振動子29の圧
電体積層方向の厚みに相当)よりも長く設けて駆動振動
子29から突出させてある。この構成により、駆動振動
子29の変位を島部16に効率良く伝達させることがで
きる。
【0050】上記したスペーサ35は、開口部23を形
成するために積層体34,34同士の間に介在させた部
材であり、例えば、積層体34の圧電体31と同じ圧電
体や、酸化ジルコニウム等のセラミックなど、積層体3
4の線膨張率とほぼ等しい線膨張率の材料によって構成
する。これは、圧電振動子ユニット4を製造する際の焼
成工程にて、積層体34とスペーサ35の熱収縮度合い
をほぼ等しくするためである。これにより、焼成後の振
動子板における反りやクラックの発生を防ぐことができ
る。
【0051】この駆動振動子29における自由端部29
aには、図3(b)に示すように、共通内部電極32と
個別内部電極33とが重なり合った重ね合わせ領域(オ
ーバーラップ部分)が振動子長手方向に沿って形成して
ある。この重ね合わせ領域は、共通内部電極32と個別
内部電極33との電位差に応じて積層体34が歪み変形
する領域であり、この領域で積層体34が歪み変形する
ことにより自由端部29aが収縮する。また、この自由
端部29aには、駆動振動子29を振動子列設方向に貫
く開口部23を開設してある。
【0052】本実施形態では、図3(c)に示すよう
に、この重ね合わせ領域の先端が、開口部23の先端2
3aよりも基端側に位置するように、2つの積層体3
4,34の先端側の非作動部をブリッジ部35aによっ
て接合している。ここで、ブリッジ部35aは、スペー
サ35の一部分であり、互いに離隔した平行に配置した
積層体同士を振動子の自由端部分で接合する部分であ
る。
【0053】また、図3(d)に示すように、重ね合わ
せ領域の基端が、開口部23の基端23bとほぼ同じか
やや先端側に位置するように設けてある。換言すれば、
重ね合わせ領域が、開口部23の先端から基端の間に対
応した開口領域に収まるようにしてある。これは、積層
体34を効率よく変形させるようにするためである。即
ち、積層体34,34が変形する領域までもスペーサ3
5で接合してしまうと、スペーサ35が積層体34,3
4の歪みを抑えてしまい駆動振動子29を効率良く伸縮
させることが困難となってしまう。そして、本実施形態
のように、重ね合わせ領域が開口領域に収まるようにす
ると、積層体34,34の変形が抑えられることがな
く、駆動振動子29を効率良く伸縮させることができ
る。
【0054】次に、駆動振動子29に設けられた電極に
ついて説明する。上記した個別内部電極33は、銀パラ
ジウム合金等の電極材料を用いてあり、振動子先端まで
設けてある。そして、この振動子先端で個別外部電極3
6に電気的に接続される。この個別外部電極36は、駆
動振動子29に駆動パルスを印加するための電極であ
り、駆動振動子29毎に電気的に絶縁されている。この
個別外部電極36は、振動子先端面から、固定板22の
接着面とは反対の櫛歯状振動子群21の他方の側面に亘
って倒L字状に形成してあり、この他方の側面では、図
2にも示すように、駆動振動子29の基端部29bまで
形成してある。なお、この個別外部電極36は、金、ニ
ッケル、クロム、銅などの電極材料を用いてあり、蒸着
やスパッタリング等によって形成する。
【0055】上記した共通内部電極32もまた銀パラジ
ウム合金等の電極材料により形成してあり、振動子基端
まで設けてある。そして、この振動子基端で共通外部電
極37に電気的に接続してある。この共通外部電極37
は、各駆動振動子29の共通内部電極32に電気的に接
続させた電極であり、固定板22の接着面である櫛歯状
振動子群21の一方の側面から櫛歯状振動子群21の他
方の側面の基端部分に亘って一連に、略コ字状に回り込
ませて形成してある。なお、櫛歯状振動子群21の他方
の側面の基端部分においては、図2に示すように、個別
外部電極36との間に隙間を空けてあり、この共通外部
電極37と個別外部電極36とを電気的に絶縁させてあ
る。また、この共通外部電極37についても、金、ニッ
ケル、クロム、銅などの電極材料を蒸着やスパッタリン
グ等の方法を用いて形成する。
【0056】そして、櫛歯状振動子群21の他方の側面
の基端部分は、フレキシブルケーブル24を実装する配
線実装面としてある。この配線実装面では、図2に示す
ように、ダミー振動子28,28の共通外部電極37,
37を共通電極配線部30,30としてあり、駆動振動
子29の基端部分を個別電極配線部38…としてある。
従って、フレキシブルケーブル24を櫛歯状振動子21
の側面、即ち、固定板接合面とは反対側の他方の側面で
接続することができ、配線作業を容易に行わせることが
できる。さらに、共通電極配線部30と個別電極配線部
38とは、互いに重ならないように振動子長手方向にず
らして形成してある。従って、このフレキシブルケーブ
ル24を配線する際において、溶けた半田によって共通
電極配線部30と個別電極配線部38とが短絡してしま
うのを確実に防止できる。
【0057】以上のように構成した圧電振動子ユニット
4では、各振動子28,29の積層面(即ち、隣り合う
振動子28,29の対向した側面)に開口部23を開設
することにより、各振動子28,29の一部を中空構造
に構成したので、駆動振動子29の静電容量を少なくす
ることができる。これにより、駆動振動子29に駆動パ
ルスを印加するための回路素子、例えば、トランジスタ
等に、電流容量が少ない安価な回路素子を使用すること
ができ、コストダウンが図れる。さらに、振動子自体の
発熱量を少なくすることができる。加えて、同時に駆動
するドット数の差に基づく電流量の差を小さくできるの
で、圧電振動子ユニット4に供給する駆動パルスを発生
する駆動パルス発生回路(駆動パルス発生手段)を設け
てインクジェット式記録装置を構成した場合には、多数
の駆動振動子29…を同時駆動させた場合における駆動
パルスの歪みが少なくなる。従って、多ドットを同時に
記録した場合と数ドットを記録した場合とにおける画質
の差を、極めて少なくすることができる。
【0058】また、駆動振動子29の一部を中空構造と
したので、駆動振動子29の外形形状はそのままで静電
容量を少なくすることができる。これにより、静電容量
を少なくしても駆動振動子29の先端面の大きさを従来
と同程度或いはそれ以上にすることができるので、弾性
シート9の島部16を全体的に均一に押圧することがで
きる。従って、駆動振動子29の変位を弾性シート9に
効率良く伝達でき、インクを正確に吐出させることがで
きる。さらに、開口部23を開設したことにより駆動振
動子29の表面積が増えるので、駆動振動子29が発生
した熱を効率良く放出させることができる。このため、
駆動振動子29が過剰に加熱されることを防止でき、振
動子の動作を安定させることもできる。
【0059】次に、上記した構成を有する圧電振動子ユ
ニット4の製造方法について、図4に基づいて説明す
る。圧電振動子ユニット4を作成するには、先ず、圧電
体31、内部電極層32、圧電体31、内部電極層3
3、圧電体31、内部電極層32…というように積層し
て形成した大判の積層体34と、大判のスペーサ35と
から大判の振動子板を作成する。そして、この振動子板
から小判の振動子板を切り出し、この切り出した振動子
板を櫛歯状に歯割りする。なお、図4(e)では、切り
出した後の振動子板(積層体34,スペーサ35)を示
してある。
【0060】まず、大判の積層体34の作成方法につい
て説明する。まず、図4(a)に示す大判の板状圧電体
31を印刷機にセットする。次に、第1のマスクパター
ンを用いて板状圧電体31の表面の各印刷領域41…
に、図4(b)に示すような個別内部電極33となる電
極層を印刷する。この電極層は、各印刷領域41の一方
の長辺から他方の長辺に向かって短辺の半分程度の位置
まで設けてある。なお、上記したように、この電極層及
び後述する共通内部電極32となる電極層は、銀パラジ
ウム合金等の電極材料によって形成する。
【0061】個別内部電極33となる電極層を印刷した
ならば、この電極層の上に新たな板状圧電体31を重
ね、セットする。板状圧電体31をセットしたならば、
第2のマスクパターンを用い、セットした板状圧電体3
1の印刷領域41に、図4(c)に示すような共通内部
電極32となる電極層を印刷する。この電極層は、印刷
領域41の他方の長辺から短辺方向に沿って一方の長辺
の手前まで設けてある。共通内部電極32となる電極層
を印刷したならば、この電極層の上に重ねて新たな板状
圧電体31をセットし、このセットした板状圧電体31
の印刷領域に個別内部電極33となる電極層を印刷す
る。以後、同様な工程を繰り返して大判の積層体34を
作成する。
【0062】上記の手順で大判の積層体34を作成した
ならば焼成を行う。この焼成工程では、大判の積層体3
4を2枚とスペーサ35となる圧電体とを用意し、積層
体34,34でスペーサ35となる圧電体を挟んだ状態
で積層して焼成し、一体化する。これにより、大判の振
動子板が作成される。ここで、スペーサ35となる圧電
体とは、図4(d)に示すように、開口部23となる部
分、即ち、個別内部電極33と共通内部電極32との重
ね合わせ領域に対応させて通孔42を開設した圧電体で
ある。なお、この通孔42は、プレス加工等の任意の加
工方法によって開設する。ここで、スペーサ35を積層
体34の圧電体31と同じ圧電体によって構成したこと
により、上記したように、焼成時における積層体34と
スペーサ35の収縮度合いがほぼ等しくなり、振動子板
における反りやクラックの発生を防げる。
【0063】大判の振動子板を作成したならば、この大
判の振動子板を上記した印刷領域41に沿って切断し、
小判の振動子板に切り分ける。この切り分けた小判の振
動子板は、表面をラップ処理するなどして整形する。そ
して、小判の振動子板の表面には、個別外部電極36及
び共通外部電極37を、蒸着やスパッタリング等によっ
て形成する。
【0064】外部電極層を形成したならば、図4(e)
に示すように、この小判の振動子板における一方の側面
に固定板22を接着する。振動子板と固定板22とを接
着したならば、ダイシングソー等を用いて、振動子板を
切断して各振動子28,29を櫛歯状に切り分ける。こ
の切り分け工程において、符号Bに示すように、基端部
29bに切り残し部を残すようにして切り分ける。具体
的には、一方の側面側においては固定板取付部を残すよ
うに先端から基端側に向かい、尚且つ、他方の側面側に
おいては個別内部電極33と電気的に接続した個別外部
電極36が振動子28,29毎に電気的に絶縁されるよ
うに先端から基端まで一連に溝を形成し、該溝により各
振動子28,29を切り分ける。このようして、振動子
28,29を形成することにより、切り残し部分には共
通内部電極32が振動子列設方向に延在する。そして、
この切り残し部分の共通内部電極32により、共通外部
電極37の電気抵抗値を低くすることができる。従っ
て、駆動パルスの損失を少なくすることができる。
【0065】なお、この切り分け工程において、各振動
子28,29を切り残し部を残さずに完全に切り分ける
ようにしても良い。換言すれば、図4(e)に符号Cで
示すように、固定板22の接着面とは反対の振動子板の
他方の側面から固定板22まで到達する溝により振動子
板を歯割りして振動子28,29を形成するようにして
もよい。このようにすると、隣り合う振動子同士の電気
的絶縁をより確実に行うことができる。そして、この場
合には、固定板22に導電性を付与し、固定板22によ
って各振動子28,29の共通外部電極37同士を導通
させる。この導通は、例えば、固定板22自体をステン
レス板等の導電性材料によって構成しても良いし、固定
板22の表面に導電性層を形成するようにしてもよい。
【0066】ところで、上記した第1実施形態では、各
振動子28,29毎に開口部23を1つ開設すると共
に、個別内部電極33と共通内部電極32との重ね合わ
せ領域を開口部23の開口領域に収めるようにしたもの
について説明したが、本発明はこの構成に限定されるも
のではない。以下、本発明の他の実施形態について説明
する。
【0067】まず、図5を参照して第2実施形態につい
て説明する。この第2実施形態は、個別内部電極33と
共通内部電極32の重ね合わせ領域と、開口部23の開
口領域とを揃えて略一致させた点に特徴がある。
【0068】具体的に説明すると、開口部23の先端側
では、開口部23の先端23aの振動子長手方向の位置
(以下の説明において同様)と、重ね合わせ領域の先端
の位置とを略一致させてある。換言すれば、積層体34
の先端部の非作動部分にスペーサ35のブリッジ部35
aを設け、このブリッジ部35aにより積層体34(3
4a,34b)同士を接合してある。また、開口部23
の基端側では、重ね合わせ領域の基端の位置と固定板2
2の先端の位置と開口部23の基端23bの位置とを略
一致させてある。
【0069】このように構成すると、積層体34が歪み
変形し得る重ね合わせ領域と開口部23が開設された開
口領域とが一致するので、スペーサ35により積層体3
4の歪み変形が抑えられることがなく、積層体34を効
率良く変形させることができる。さらに、固定板22の
先端の位置と開口部23の基端23bの位置とを一致さ
せると共に、振動子先端側でも振動子長手方向の位置を
揃えてブリッジ部35aにより、積層体34,34同士
を接合しているため、固定板22に直接接着されている
第1の積層体34aと、スペーサ35を介して第1の積
層体34aと接合している第2の積層体34bとに関
し、歪み得る部分の長さが両積層体34a,34bにお
いて同じ長さになる。即ち、開口領域(重ね合わせ領
域)と同じ長さになる。これにより、駆動振動子29を
伸縮させた際における第1の積層体34a側の固有振動
周期と、第2の積層体34b側の固有振動周期とが一致
する。従って、第1の積層体34aと第2の積層体34
bとが同じ周期で振動するので、インクの吐出を一層安
定させることができる。
【0070】次に、図6を参照して第3実施形態につい
て説明する。この第3実施形態では、開口部23を、圧
電体31の積層方向に沿って3つ開設している。このよ
うに圧電体31の積層方向に沿って複数の開口部23
a,23b,23cを開設すると、圧電体積層方向に沿
って積層体34と開口部23とが交互に存在するので、
振動子28,29の圧電体積層方向の長さを一層長くす
ることができる。また、1つの開口部23の積層方向の
長さを短くすることもできるので、振動子28,29の
強度を高めることもできる。さらに、複数の開口部23
を設けたことにより、開口部23の内周面を含めた振動
子28,29の表面積を増やすことができるので、駆動
振動子29が発生する熱を一層効率良く放出することが
できる。
【0071】なお、図6では、3つの開口部23a,2
3b,23cを設けたものを例示したが、開口部23の
数は適宜変えることができる。例えば、2つでも良い
し、4つでも良い。また、複数の開口部23…を圧電体
31の積層方向に沿って開設するには、スペーサ35と
なる圧電体(通孔42を開設した圧電体シート)を、積
層体34の間に挟んで積層するだけでよいので、製造も
容易である。
【0072】次に、図7を参照して第4実施形態につい
て説明する。この第4実施形態では、開口部23(23
d,23e)を、振動子28,29の長手方向に沿って
2つ開設している。換言すれば、開口部23の長手方向
の途中にブリッジ部35bを設けている。この構成で
は、振動子板を切断して振動子28,29を櫛歯状に切
り分ける際に、このブリッジ部35bが開口領域の積層
体34の過剰な撓みを防ぐように作用する。従って、切
り分け時における振動子28,29の破損を効果的に防
止することができる。なお、図7では、2つの開口部2
3d,23eを設けたものを例示したが、この実施形態
においても開口部23の数を適宜変えることができる。
また、各開口部23の振動子長手方向の長さ(ブリッジ
部35bの振動子長手方向の位置)は任意に設定するこ
とができる。
【0073】次に、図8を参照して第5実施形態につい
て説明する。この第5実施形態では、スペーサ35´に
内部電極を形成すると共に、共通内部電極32,32に
よって開口部23を区画している。
【0074】具体的に説明すると、スペーサ35´にお
ける圧電体積層方向の略中間であって開口部23よりも
先端側の非作動部分には、個別スペーサ電極44を設け
てある。この個別スペーサ電極44は、個別内部電極3
3と同様に銀パラジウム合金等の電極材料により形成し
てあり、振動子28,29の先端で個別外部電極36に
導通させてある。同様に、開口部23よりも基端側の部
分には、共通スペーサ電極45を設けてある。この共通
スペーサ電極45もまた銀パラジウム合金により形成し
てあり、振動子28,29の基端で共通外部電極37に
導通させてある。
【0075】このようなスペーサ35´は、圧電体を積
層することにより作成することができる。即ち、開口部
23となる通孔42を開設した大判のスペーサ用圧電体
を印刷機にセットし、この圧電体の印刷領域41に個別
スペーサ電極44、共通スペーサ電極45となる電極材
料を印刷して電極を形成する。電極層を形成したなら
ば、形成した電極層に重ねるようにして新たなスペーサ
用圧電体を積層してスペーサ35´を作成する。そし
て、このスペーサ35´を間に挟むようにして別途作成
した2枚の大判の積層体34,34を積層する。なお、
スペーサ35´と接する側の積層体34の表面には、共
通内部電極32となる電極層を印刷しておく。積層体3
4,34及びスペーサ35´を積層したならば、これら
の積層体34,34及びスペーサ35´を焼成によって
一体化し、大判の振動子板を作成する。そして、この振
動子板から小判の振動子板を切り出し、この切り出した
振動子板を櫛歯状に歯割りする。
【0076】このようにして作成した櫛歯状振動子群2
1では、開口部23を区画する部分に共通内部電極3
2,32が露出した状態で形成されると共に、スペーサ
35´にも内部電極44,45が形成されている。即
ち、このスペーサ35´の部分においても積層体34と
同様に、圧電体と内部電極とが交互に形成される。従っ
て、積層体34の線膨張率とスペーサ35´の線膨張率
とをより近づけることができ、焼成時に発生する振動子
板の反りや歪みをより効果的に防止することができる。
【0077】なお、図8では、共通内部電極32,32
によって開口部23を区画したものを例示したが、個別
内部電極33,33によって開口部23を区画してもよ
い。また、スペーサ35´に設ける内部電極44,45
は、一層に限定されるものではなく、複数層設けるよう
にしてもよい。
【0078】次に、図9を参照して第6実施形態につい
て説明する。この第6実施形態では、スペーサ47を、
導電性材料により構成すると共に共通外部電極37或い
は個別外部電極36の一方にのみ導通させている。本実
施形態では、スペーサ47の先端に絶縁層47aを設け
てあり、スペーサ47を共通外部電極37にのみ電気的
に接続させてある。
【0079】この構成では、スペーサ47自体が共通内
部電極32と同じ機能を発揮する。このため、積層体3
4に効率良く電界を与えることができ、振動子28,2
9の変位効率を向上させることができる。なお、図9で
は、スペーサ47を共通外部電極37にのみ導通させた
ものを例示したが、スペーサ47を個別外部電極36に
のみ導通させるようにしてもよい。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次の効果を奏する。
【0081】即ち、請求項1に記載の発明によれば、振
動子の自由端部に開設した開口部により振動子の一部を
中空構造にしたので、振動子の変位量を変えずに静電容
量を少なくすることができる。これにより、振動子に駆
動パルスを印加するための回路素子に、電流容量が少な
い安価な回路素子を使用することができ、コストダウン
が図れる。さらに、振動子自体の発熱量を少なくするこ
ともできる。また、同時に駆動するドット数の差に基づ
く電流量の差を小さくでき、多数の振動子を同時駆動さ
せた場合と、数本程度の少数の振動子を駆動させた場合
における駆動パルスの歪みを少なくすることができる
【0082】また、振動子の一部を中空構造としたの
で、振動子の表面積を増やすことができる。このため、
振動子が発生した熱を効率良く放出させることができ
る。従って、振動子が過剰に加熱することをなくすこと
ができ、振動子の動作を安定させることもできる。
【0083】さらに、共通内部電極と個別内部電極との
重ね合わせ領域を、開口部の開口領域にあわせて設けた
ので、開口部により分けられた積層体の撓み部分の長さ
を揃えることができる。従って、撓み部分の固有振動周
期を各振動子間で一致させることができる。このため、
振動子全体の伸縮動作をより一層安定させることができ
る。
【0084】また、請求項に記載の発明によれば、圧
電体の積層方向に沿って開口部を複数開設したので、振
動子の圧電体積層方向の厚みを厚くしながらも静電容量
を少なくすることができる。また、振動子の表面積を一
層増やすことができるので、より高い放熱効果を得るこ
とができ、振動子の一層の安定動作に寄与できる。
【0085】また、請求項に記載の発明によれば、振
動子の長手方向に沿って開口部を複数開設したので、開
口部同士の間に存在するブリッジ部が積層体同士を接合
する。このため、開口部を開設したことによる剛性不足
をブリッジ部で補うことができ、櫛歯状に切り分ける際
における振動子の破損を効果的に防止することができ
る。
【0086】また、請求項に記載の発明によれば、共
通内部電極と個別内部電極の少なくとも一方の内部電極
によって開口部を区画するようにしたので、この開口部
にも電界を発生し得る内部電極が存在する。従って、振
動子を効率良く伸縮させることができる。
【0087】また、請求項から請求項10に記載の発
明によれば、積層体の線膨張率とスペーサの線膨張率と
の大差をなくすことができるので、焼成時に発生する振
動子板の反りや歪みをより効果的に防止することができ
る。
【0088】また、請求項11に記載の発明によれば、
スペーサを導電性材料により構成し、共通外部電極若し
くは個別外部電極の一方にのみ電気的に接続したので、
スペーサ自体が内部電極と同じ機能を発揮する。このた
め、圧電体に効率良く電界を与えることができ、振動子
の変位効率を向上させることができる。
【0089】ところで、本願発明によれば、櫛歯状振動
子群の一方の側面側においては固定板取付部を残すよう
に先端から基端側に向かって設け、他方の側面側におい
ては個別内部電極と電気的に接続した個別外部電極が振
動子毎に電気的に絶縁されるように先端から基端まで一
連に設けた溝により、振動子板を歯割りして各振動子を
設けたので、溝によって切り残された部分には、共通内
部電極が振動子列設方向に延在する。そして、この切り
残し部分の共通内部電極により、共通内部電極の電気抵
抗値を低くすることができる。従って、駆動パルスの損
失を少なくすることができる。
【0090】また固定板の接着面とは反対側の振動子
板の他方の側面から固定板まで到達する溝により振動子
板を櫛歯状に歯割りして櫛歯状振動子を形成するように
したので、振動子同士の電気的絶縁をより確実に行うこ
とができる。
【0091】さらに、櫛歯状振動子群の側面を、共通内
部電極及び個別内部電極に駆動パルスを供給する配線手
段を実装する配線実装面としたので、フレキシブルケー
ブルを櫛歯状振動子の当該側面のみで接続することがで
き、配線作業を容易に行わせることができる。
【0092】また、請求項12に記載の発明によれば、
振動子に開設した開口部により振動子を中空構造にして
あるので、振動子の外形形状を変えずに静電容量を少な
くすることができる。このため、振動子の圧電体積層方
向の厚みを厚くすることができ、弾性シートの島部を全
体的に押圧することができる。これに伴い、振動子の変
位を効率良く島部に伝達でき、圧力室の容積も効率よく
変化させることができる。従って、インク滴を効率良く
吐出させることができる。
【0093】また、請求項13に記載の発明によれば、
島部の両端部を振動子の先端よりも圧電体積層方向に突
出させたので、島部の変位を効率良く圧力室の容積変化
に変換できる。従って、インク滴を一層効率良く吐出さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電振動子ユニット及びインクジ
ェット式記録ヘッドの要部を拡大して示した断面図であ
る。
【図2】圧電振動子ユニットの外観斜視図である。
【図3】駆動振動子の説明図であり、(a)は図2にお
けるA−A断面図、(b)は駆動振動子の自由端部の拡
大断面図、(c)は開口部の先端部分の拡大断面図、
(d)は開口部の基端部分の拡大断面図である。
【図4】圧電振動子ユニットを作成する工程を説明する
図であり、(a)は大判の板状圧電体を説明する図、
(b)は板状圧電体の表面の印刷領域に印刷される個別
内部電極を説明する図、(c)は印刷領域に印刷される
共通内部電極を説明する図、(d)はスペーサとなる圧
電体を説明する図、(e)は振動子の歯割りを説明する
図である。
【図5】第2実施形態の振動子を説明する図である。
【図6】第3実施形態の振動子を説明する図である。
【図7】第4実施形態の振動子を説明する図である。
【図8】第5実施形態の振動子を説明する図である。
【図9】第6実施形態の振動子を説明する図である。
【符号の説明】
1 記録ヘッド 2 ケース 3 流路ユニット 4 圧電振動子ユニット 5 収容空部 6 インク供給管 7 流路形成板 8 ノズルプレート 9 弾性シート 10 ノズル開口 11 リザーバ 12 圧力室 13 インク供給口 14 弾性体膜 15 ステンレス板 16 島部 17 弾性部 21 振動子群 22 固定板 23 開口部 24 フレキシブルケーブル 28 ダミー振動子 29 駆動振動子 30 共通電極配線部 31 圧電体 32 共通内部電極 33 個別内部電極 34 積層体 35 スペーサ 36 個別外部電極 37 共通外部電極 38 個別電極配線部 41 印刷領域 42 通孔 44 個別スペーサ電極 45 共通スペーサ電極 47 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通内部電極と個別内部電極とを圧電体
    を挟んで交互に積層して構成した振動子を櫛歯状に列設
    し、当該振動子の自由端部を残して固定板を接合し、振
    動子の自由端部を圧電体の積層方向と直交する振動子長
    手方向に伸縮可能とした圧電振動子ユニットにおいて、 前記振動子の自由端部に振動子列設方向に貫く中空構造
    となる開口部を開設し、該開口部の先端から基端に対応
    した領域内に前記共通内部電極と前記個別内部電極の重
    ね合わせ領域が収まるように配置したことを特徴とする
    圧電振動子ユニット。
  2. 【請求項2】 前記固定板を櫛歯状振動子群の一方の側
    面に接合したことを特徴とする請求項1に記載の圧電振
    動子ユニット。
  3. 【請求項3】 前記振動子は、共通内部電極と個別内部
    電極とを圧電体を挟んで交互に積層した積層体を複数備
    え、 離隔した状態で平行に配置した積層体同士を接合するブ
    リッジ部を、振動子の先端部分の非作動部に設けたこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動子ユニ
    ット。
  4. 【請求項4】 前記開口部の基端の位置と固定板の先端
    の位置とを揃えた状態で固定板を櫛歯状振動子群に接合
    したことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の
    圧電振動子ユニット。
  5. 【請求項5】 前記開口部を、圧電体の積層方向に沿っ
    て複数開設したことを特徴とする請求項1からの何れ
    かに記載の圧電振動子ユニット。
  6. 【請求項6】 前記開口部を、振動子の長手方向に沿っ
    て複数開設したことを特徴とする請求項1からの何れ
    かに記載の圧電振動子ユニット。
  7. 【請求項7】 前記共通内部電極と個別内部電極の少な
    くとも一方の内部電極によって開口部を区画したことを
    特徴とする請求項1からの何れかに記載の圧電振動子
    ユニット。
  8. 【請求項8】 前記振動子は、共通内部電極と個別内部
    電極とを圧電体を挟んで交互に積層した複数の積層体
    と、前記開口部を形成するために積層体同士の間に介在
    させたスペーサとを備え、 当該スペーサに内部電極を形成したことを特徴とする請
    求項1からの何れかに記載の圧電振動子ユニット。
  9. 【請求項9】 前記振動子は、共通内部電極と個別内部
    電極とを圧電体を挟んで交互に積層した複数の積層体
    と、前記開口部を形成するために積層体同士の間に介在
    させたスペーサとを備え、 当該スペーサを、積層体の線膨張率とほぼ等しい線膨張
    率の材料によって構成したことを特徴とする請求項1か
    の何れかに記載の圧電振動子ユニット。
  10. 【請求項10】 前記スペーサを、積層体を構成する圧
    電体と同じ圧電体により構成したことを特徴とする請求
    に記載の圧電振動子ユニット。
  11. 【請求項11】 前記振動子は、共通内部電極と個別内
    部電極とを圧電体を挟んで交互に積層した積層体と、前
    記開口部を形成するために積層体同士の間に介在させた
    スペーサとを備え、 当該スペーサを、導電性材料により構成し、尚且つ、共
    通内部電極と電気的に接続した共通外部電極若しくは個
    別内部電極と電気的に接続した個別外部電極の一方にの
    み電気的に接続したことを特徴とする請求項1から
    び請求項の何れかに記載の圧電振動子ユニット。
  12. 【請求項12】 請求項1から11の何れかに記載の圧
    電振動子ユニットと、 弾性シートとノズル開口を形成したノズルプレートとに
    より区画された圧力室とを備えたインクジェット式記録
    ヘッドであって、 前記弾性シートを、弾性体膜とノズル開口に対応して設
    けられた島部とから構成し、 振動子の先端を島部に当接させたことを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記島部の両端部を振動子の先端より
    も圧電体積層方向に突出させたことを特徴とする請求項
    12に記載のインクジェット式記録ヘッド。
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