JP3518792B2 - 排気ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents

排気ガスセンサ及びその製造方法

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JP3518792B2 JP24609297A JP24609297A JP3518792B2 JP 3518792 B2 JP3518792 B2 JP 3518792B2 JP 24609297 A JP24609297 A JP 24609297A JP 24609297 A JP24609297 A JP 24609297A JP 3518792 B2 JP3518792 B2 JP 3518792B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気ガスセンサと
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の排気ガスに含有される炭化水
素(以下、HCという)やCO、あるいは窒素酸化物
(以下、NOXという)等の被検出成分を検出するため
のセンサとして、例えば抵抗型センサが知られている。
これは、検出素子としてSnO2等の酸化物半導体が使
用され、被検出成分の吸着に伴う酸化物半導体の抵抗変
化に基づき、該被検出成分の排気ガス中の含有量を検出
するものである。また、これとは別に、ジルコニア素子
の両面にPt多孔質電極を形成するとともに一方の多孔
質電極を酸化触媒で覆った構造のCOセンサも提案され
ている。該センサにCOと酸素とを含有するガスを接触
させると、酸化触媒で覆わない側の電極ではCOの酸化
反応が起こり、電極電位はCO濃度の影響を受けた混成
電位となるのに対し、酸化触媒で覆った電極側ではCO
が完全に酸化されて、ガス中の酸素濃度に依存した電位
となる。そして、両電極間の電位差を出力として取り出
せば、これに基づいてガス中のCO濃度を知ることがで
きる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】まず、前者の抵抗型セ
ンサにおいては、酸化物半導体による検出素子の出力
が、排気ガス中に含有される酸素濃度により変化する特
性を有している。そのため、同じ汚染物質濃度に対して
も、排気ガス中の酸素濃度により検出出力値が変動して
しまう問題がある。そこで、例えば特開平5−1807
94等に開示されているように、固体電解質を用いたポ
ンプ素子により排気ガス中に酸素を送り込んでその濃度
を高め、ガス中の酸素濃度の相対的な変動を小さくする
ことにより検出精度を高める提案がなされている。しか
しながら、排気ガス中の酸素の濃度が大きく変化した場
合には、ポンプ素子からの酸素導入による相対濃度変動
の抑制効果が不十分となり、満足な検出精度が得られな
い欠点がある。一方、後者の混成電位を用いるタイプの
センサも、酸化触媒で覆った電極の電位がガス中の酸素
濃度に応じて変化するため、同様の問題が生ずる。
【0004】本発明は、排気ガス中の酸素濃度が変化し
ても、その被検出成分の濃度を高精度で検出できる排気
ガスセンサとその製造方法とを提供することをその第一
の課題とする。また、センサの組立工程を省略又は簡略
化でき、センサの製造効率を高めることができる排気ガ
スセンサとその製造方法とを提供することをその第二の
課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明
は、排気ガス中に含まれる被検出成分の検出を行うため
のセンサに関するものであり、その要部は下記のように
構成される。すなわち、該排気ガスセンサは、酸素イオ
ン伝導性固体電解質により構成され、その両面に電極が
形成された酸素濃淡電池素子と、酸素イオン伝導性固体
電解質により構成されて両面に電極が形成され、かつ酸
素濃淡電池素子との間において、被測定雰囲気からの排
気ガスの流通が許容された所定量の隙間が形成されるよ
うに、該酸素濃淡電池素子に対向配置されるとともに、
該酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が
減少する方向に、上記隙間に酸素を汲み込み又は該隙間
から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子と、酸素ポンプ素子
と酸素濃淡電池素子との少なくとも一方を、予め定めら
れたセンサ作動温度に加熱する加熱素子とを備え、酸素
濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とが、隙間を生じさせた
状態で互いに積層された一体の焼成体として構成され
る。
【0006】上記排気ガスセンサの構成によれば、酸素
濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とは、互いに積層された
一体の焼成体として構成されるので、次のような効果が
達成され、 酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とが焼成と同時に
一体化されるので、焼成後の組立工程を省略又は簡略化
でき、センサの製造効率が高められる。 例えば酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とをそれぞ
れ別々に焼成し、該焼成後に貼合わせ等により一体化す
る構成の場合、素子の焼成時の変形等により隙間の形成
量を一定にすることが困難となり、センサ個体間で出力
レベルのばらつきを生ずる場合がある。しかしながら、
上記焼成により一体化する構成では、隙間の形成量を制
御しやすいので、そのような問題を生じにくい。 酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とは、センサのコ
ンパクト化のため、薄板状(例えば、厚さ1mm以下、具
体的には0.2〜0.4mm)に形成した場合、焼成後の
貼合わせ等で一体化する構成では、機械的強度、例えば
耐衝撃性が不足して、素子に割れやクラックが生じやす
くなる場合がある。しかしながら、それらを焼成により
一体化することで素子が相互に補強し合い、機械的強度
を向上させることができる。
【0007】上述のような一体化構造は、例えば次のよ
うな製法により能率的に得ることができる。まず、酸素
濃淡電池素子となるべき第一のセラミック粉末成形体の
両面に、電極となるべき電極パターンを電極材料粉末ペ
ーストを用いて印刷形成し、また、酸素ポンプ素子とな
るべき第二のセラミック粉末成形体の両面にも同様に電
極パターンを印刷形成する。次に、それら第一及び第二
のセラミック粉末成形体を、第一電極及び第二電極とな
るべき電極パターン同士が互い対向し、かつその対向す
る電極パターンの間に隙間が形成されるように互いに積
層する。そして、その積層体を焼成することにより、互
いに一体化された酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子
とを得る。
【0008】酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子は、
酸素イオン伝導性を有する固体電解質により構成され
る。そのような固体電解質としては、Y23ないしCa
Oを固溶させたZrO2が代表的なものであるが、それ
以外のアルカリ土類金属元素ないし希土類金属元素の酸
化物とZrO2との固溶体を使用してもよい。また、ベ
ースとなるZrO2にはHfO2が含有されていてもよ
い。
【0009】また、本発明の排気ガスセンサは、より具
体的には以下のように構成することができる。すなわ
ち、該排気ガスセンサは、酸素イオン伝導性固体電解質
により構成され、その両面に酸素透過性を有する電極が
形成された酸素濃淡電池素子と、酸素イオン伝導性固体
電解質により構成されて両面に酸素透過性を有する電極
が形成され、かつ酸素濃淡電池素子との間に排気ガスの
流通が許容された所定量の隙間が形成されるように、該
酸素濃淡電池素子に対向配置された酸素ポンプ素子と、
酸素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との少なくとも一方
を、予め定められたセンサ作動温度に加熱する加熱素子
とを備える。酸素ポンプ素子は、酸素濃淡電池素子に生
ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向に、上記隙
間に酸素を汲み込み又は該隙間から酸素を汲み出す働き
をなす。一方、上記隙間と、酸素濃淡電池素子を挟んで
これと反対側の空間(反対空間)とには、それぞれ被検
出成分と酸素とを含有する排気ガスが導入される。
【0010】また、酸素ポンプ素子の隙間側の電極を第
一電極、酸素濃淡電池素子の隙間側の電極を第二電極、
酸素濃淡電池素子の反対空間側の電極を第三電極とし
て、隙間と反対空間とに導入された排気ガス中の被検出
成分は、少なくともそれら隙間と反対空間との一方にお
いて、第一〜第三電極の少なくともいずれかを酸化触媒
として排気ガス中の酸素と反応することにより消費され
るとともに、隙間と反対空間との間で酸素との反応によ
る被検出成分の消費量に差が生じるように、それら第一
〜第三電極の被検出成分と酸素との反応に対する触媒活
が調整される。そして、酸素濃淡電池素子の濃淡電池
起電力が、予め定められた起電力目標値ECに到達した
ときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を、排気ガス中の
被検出成分の濃度を反映した情報として取り出すととも
に、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とが、第一電極
と第二電極との間に隙間を生じさせた状態で互いに積層
された一体の焼成体として構成される。
【0011】上述のように構成された排気ガスセンサで
は、酸素濃淡電池素子を挟んで上記隙間と反対空間側と
に被検出成分と酸素とを含有した排気ガスが導入され、
隙間に面する側に配置された第一及び第二電極と、反対
空間側に配置された第三電極の酸化触媒としての活性
が、上記隙間側と反対空間側とで被検出成分の酸化によ
る消費量に差が生ずるように調整されており、被検出成
分が多く消費される側では酸素も多く消費されることと
なる。これにより、酸素濃淡電池素子の両側には酸素濃
度差が生じ、それに基づく濃淡電池起電力が発生するこ
ととなる。酸素ポンプ素子は、例えば隙間側が低酸素濃
度側となる場合には該隙間に酸素を汲み込み、逆に高酸
素濃度側となる場合には該隙間から酸素を汲み出して、
上記濃淡電池起電力を起電力目標値ECになるように制
御する。
【0012】そして、濃淡電池起電力が起電力目標値E
Cに到達したときの酸素ポンプ素子に流れる電流(以
下、ポンプ電流という)は、排気ガス中の被検出成分の
濃度値をほぼ反映した値となることから、これに基づい
て上記被検出成分の濃度を検出することができる。ま
た、上記ポンプ電流の値は、排気ガス中の被検出成分の
濃度が変化しない限り、排気ガス中の酸素濃度の影響を
ほとんど受けず、また、被検出成分の濃度変化に対する
ポンプ電流の値の変化もほぼ直線的となる。これによ
り、酸素濃度が所定の範囲で変化しても、排気ガス中の
被検出成分の濃度を精度よく検出することができる。ま
た、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とが、互いに積
層された一体の焼成体として構成されるので、前述の
〜の効果も合わせて達成することができる。
【0013】酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との間
に形成される隙間の大きさは、例えば1mm以下に設定す
るのがよい。隙間の大きさが1mmを超えると、隙間によ
る新たな排気ガスの流入規制効果が小さくなり、センサ
の検出精度が低下する場合がある。また、第一電極の面
積Spと第二電極の面積Ssとの比をSp/Ssを1以上と
すれば、第二電極付近の酸素濃度を一定にすることがで
き、ひいてはセンサ出力の精度及び安定性を向上させる
ことができる。
【0014】さて、上記構成の排気ガスセンサにおいて
は、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力の絶対値が10
mV以下に設定された起電力目標値ECに到達したとき
の、上記酸素ポンプ素子に流れる電流値を、排気ガス中
の被検出成分の濃度を反映した情報として取り出すこと
ができる。
【0015】一方、酸素を1体積%以上含有し、かつセ
ンサ作動温度において酸素と反応する成分を実質的に含
有しない試験ガスを上記隙間及び反対空間に導入したと
きの、酸素濃淡電池素子に生ずるオフセット起電力の絶
対値をEOS(単位:mV)とし、これに対応して起電力
目標値ECが(EOS−5)mV以上(EOS+5)mV以
下の範囲内で設定されるとともに、酸素濃淡電池素子の
濃淡電池起電力の絶対値が上記起電力目標値ECに到達
したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を、排気ガス
中の被検出成分の濃度を反映した情報として取り出すこ
ともできる。
【0016】例えば、酸素濃淡電池素子を挟んで隙間側
と反対空間側とで、酸素濃度が互いに等しくなるよう
に、酸素ポンプ素子による隙間への酸素の汲み込みない
しは汲み出しを行うようにすれば、それら両空間での被
検出成分の消費量の差に対し、ポンプ電流が直接的に対
応することになるから、被検出成分の濃度をさらに精度
よく検出することができ、また検出結果の解析も容易と
なる。この場合、酸素濃淡電池素子の両側の酸素濃度が
等しくなれば、濃淡電池起電力は理論上は0となるか
ら、酸素ポンプ素子は、該濃淡電池起電力が0となるよ
うに隙間に対する酸素の汲み込みないしは汲み出しを行
うこととなる。しかしながら、酸素濃淡電池素子の両側
の酸素濃度が等しくなっても、通常は、酸素濃淡電池素
子の起電力は0にはならず、一定のオフセット起電力が
残ることが多い。
【0017】本発明者らは、一般に使用されているほと
んどの酸素イオン伝導性固体電解質について、該固体電
解質により酸素濃淡電池素子を構成した場合のオフセッ
ト起電力の絶対値が10mV以下の範囲に収まっている
ことに着眼するとともに、本発明の排気ガスセンサの第
一の構成において、起電力目標値ECを10mV以下に
設定し、濃淡電池起電力の絶対値が該起電力目標値EC
に到達したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を検出
信号として採用することで、排気ガス中の被検出成分の
濃度を正確に検出できることを見い出したのである。な
お、測定雰囲気の酸素濃度範囲が判っている場合は、そ
の範囲の最大酸素濃度におけるオフセット起電力を起電
力目標値とするのが望ましい。
【0018】一方、本発明者らは鋭意検討の結果、次の
ことを見い出し、本発明の第二の構成を完成するに至っ
たのである。すなわち、酸素濃淡電池素子のオフセット
起電力が、検出に係る排気ガス中の酸素濃度が低くなる
ほど変動しやすくなり、一定以下の酸素濃度におけるオ
フセット起電力を基準として起電力目標値ECを設定す
ると、センサ出力が排気ガス中の酸素濃度の影響を受け
やすくなる。そしてこれを解決するためには、酸素を1
体積%以上含有し、かつセンサ作動温度において酸素と
反応する成分を実質的に含有しない試験ガスを隙間及び
反対空間に導入したときの、酸素濃淡電池素子に生ずる
オフセット起電力の絶対値をEOS(単位:mV)とし、
これを基準として起電力目標値ECを(EOS−5.0)
mV以上(EOS+5.0)mV以下の範囲内で設定する
ことが有効となる。そして、起電力目標値ECを上記範
囲で設定することで、排気ガス中の酸素濃度の影響を受
けない、より安定したセンサ出力を得ることができる。
この場合、起電力目標値ECは、なるべくEOSに近い値
として設定することが、センサの検出精度を高める上で
望ましい。なお、EOSを決定するための試験ガス中の酸
素濃度は、望ましくは10%以上のものを使用するか、
あるいは大気を使用するのがよい。また、起電力目標値
ECを、第一の構成と同様に10mV以下に設定するこ
とにより、より安定で精度の高いセンサ出力を得ること
ができる。
【0019】本発明の排気ガスセンサは、例えばガソリ
ンエンジンの酸化触媒コンバータ、あるいは三元触媒コ
ンバータの下流側に配置され、該コンバータ中の三元触
媒の劣化を検知するものとして構成することができる。
この場合、排気ガス中の酸素は、上流側の触媒において
COあるいはHCの酸化のためにかなりの部分が消費さ
れた状態で、排気ガスセンサに導入されることとなる。
この場合、検出に係る排気ガス中の酸素濃度は、おおむ
ね5000ppm以下のレベルとなっていることから、
排気ガスセンサとしては、酸素濃度が上述のように低い
領域で被検出成分を精度よく検出できるように構成する
ことが望ましい。そのためには、例えば酸素濃度が10
0ppmに対応するセンサ出力をQ100とし、1000
ppmに対応するセンサ出力をQ1000として、出力変化
率Δ(%)={|Q100−Q1000|/Q100}×100が
±30%以下、より望ましくは±10%以下となるよう
に、前述の起電力目標値ECを設定するのがよい。
【0020】なお、参考技術として、酸化触媒活性の異
なる電極を酸素濃淡電池素子の両面に形成し、その一方
の側に一定量の隙間を形成した状態で酸素ポンプ素子を
対向配置したタイプのセンサとしては、例えば特開昭6
1−95243号公報に開示された空燃比センサがあ
る。しかしながら、上記公報のセンサは、混合気中のC
OあるいはHC等の燃焼成分濃度と酸素濃度との比を空
燃比として検出するためのものであり、排気ガス中の被
検出成分の量を、該排気ガス中の酸素濃度とは無関係に
検出する本発明のセンサとは、根本的にその目的及び作
用・効果が異なるものである。そして、その当然の帰結
として本発明の排気ガスセンサは、酸素濃淡電池素子に
対する起電力目標値ECが、上記公報の空燃比センサと
は異なる上記本発明特有の使用目的に適合するように設
定され、また酸素ポンプ素子は、酸素濃淡電池素子の起
電力を該起電力目標値ECに近付けるように作動すると
いう、上記公報技術には全く開示されていない特徴を有
しているのである。
【0021】次に、上記排気ガスセンサは、酸素濃淡電
池素子及び酸素ポンプ素子の少なくともいずれかに対
し、隙間とは反対側に加熱素子が積層され、それら酸素
濃淡電池素子と、酸素ポンプ素子と、加熱素子とが、互
いに積層された一体の焼成体として構成することができ
る。これにより、加熱素子も含めてセンサの組立工程を
簡略化でき、また、センサ全体をよりコンパクトに構成
できるほか、一体化された加熱素子による補強効果によ
り、センサ全体の機械的強度をさらに向上させることが
できる。
【0022】上記構成のセンサは、前述の方法におい
て、第一及び第二のセラミック粉末成形体の少なくとも
いずれかに対し、隙間とは反対側に加熱素子となるべき
第三のセラミック粉末成形体を積層し、その積層体を焼
成することにより、互いに一体化された酸素濃淡電池素
子、酸素ポンプ素子及び加熱素子を得るようにすること
で、能率的に製造することができる。
【0023】本発明の排気ガスセンサにおいて、前述の
隙間は、例えば酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との
積層体側縁に形成された連通部において外側空間と連通
するように構成することができる。これにより連通部か
ら上記隙間に対し、排気ガスをスムーズに導入すること
ができる。この場合、その連通部は、上記隙間と外側空
間との間で気体の流通を許容する多孔質セラミック体に
より構成することができる。こうすれば、排気ガス中に
含まれる煤や油滴等の汚れ粒子が隙間に侵入しにくくな
り、ひいては隙間に面している第一ないし第二電極の、
上記汚れ粒子の付着に伴う劣化を防止ないし抑制するこ
とができる。この場合、多孔質セラミック体による連通
部を形成する方法としては、前述の方法において第一及
び第二のセラミック粉末成形体の間に、該連通部となる
べき連通部パターンを、多孔質セラミック粉末(例えば
多孔質Al23粉末)又は焼成後に多孔質セラミック体
となる粉末混合物等からなるペーストを用いて印刷等に
より形成する形で挟み込み、これを一体焼成する方法を
例示することができる。
【0024】次に、上記隙間において酸素濃淡電池素子
と酸素ポンプ素子との間には、該隙間に対する気体の出
入りを妨げない状態で、該隙間の間隔を規定する支柱部
を形成することができる。例えば、酸素濃淡電池素子と
酸素ポンプ素子とを板状に形成する場合、前述の第一及
び第二のセラミック粉末成形体として、セラミック粉末
と有機バインダとを混練してシート状に成形した、いわ
ゆるセラミックグリーンシートが使用されることが多
い。この場合、隙間を形成した状態で積層されたセラミ
ックグリーンシートが焼成時に変形して隙間側に垂れ下
がり、最終的に形成される隙間の量がばらついたり、甚
だしい場合には隙間が潰れて上下の電極が接触してしま
ったりするトラブルが生ずる場合がある。そこで、上述
のように、隙間の間隔を規定する支柱部を酸素濃淡電池
素子と酸素ポンプ素子との間に形成しておけば、所期の
大きさの隙間を安定して形成することができ、ひいては
隙間量のばらつきに伴うセンサ個体間の出力ばらつきと
いった問題を生じにくくすることができる。
【0025】上記支柱部は、次のような方法により効率
的に形成することができる。すなわち、第一及び第二の
セラミック粉末成形体の少なくともいずれかに対し、上
記隙間に対応する領域内に、セラミック粉末を用いて支
柱部となるべき支柱部パターンを形成する。次いで、そ
れら第一及び第二のセラミック粉末成形体を、支柱部パ
ターンが形成された側において隙間が形成されるように
互いに積層する。そして、その積層体を焼成することに
より、酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子との間に、
上記支柱部パターンに基づく支柱部を形成する。支柱部
パターンは、セラミック粉末成形体(例えばセラミック
グリーンシート)の配置、あるいはセラミック粉末ペー
ストを用いたパターン印刷等により形成することができ
る。
【0026】支柱部は、具体的には、隙間の形成領域内
に散点状あるいは千鳥状に分散して形成したり、あるい
は酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との積層方向と交
差する向きにおいて、上記隙間を2以上の空間に仕切る
仕切り壁状に形成することができる。なお、支柱部の材
質としては、酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子と同
一材質のセラミック材料(すなわち、酸素イオン導電性
固体電解質セラミック)で構成しても、異なる材質のセ
ラミック材料(例えば、Al23(多孔質体を含む))
で構成してもいずれでもよいが、焼成により酸素濃淡電
池素子及び酸素ポンプ素子と一体化し得る材質のもので
構成することが特に好ましい。
【0027】次に、酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素
子は、それぞれ横長の板状に構成してこれを互いに対向
配置することができる。この場合、第一〜第三電極はそ
れら酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子の板面長手方
向における一方の端部側に形成することができる。ま
た、同じくその板面長手方向における他方の端部側にお
いてそれら酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子の間に
は、隙間の間隔とほぼ同厚さのスペーサ部を介挿し、該
スペーサ部と酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子とを
焼成により互いに一体化する構成とすることができる。
酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子との間にスペーサ
部を配置することにより、必要な隙間を容易に形成でき
る他、スペーサ部を一体化することで板状の酸素濃淡電
池素子及び酸素ポンプ素子を補強でき、ひいてはセンサ
の機械的強度を向上させることができる。
【0028】このような構成の排気ガスセンサは、下記
のような方法により効率的に製造することができる。す
なわち、前述の方法において、第一及び第二のセラミッ
ク粉末成形体を、それぞれ横長の板状に形成して互いに
対向配置し、電極パターンをそれら第一及び第二のセラ
ミック粉末成形体の板面長手方向における一方の端部側
に形成する。また、板面長手方向における他方の端部側
においてそれら第一及び第二のセラミック粉末成形体の
間に、スペーサ部となるべきスペーサ成形体を介挿す
る。そして、それらスペーサ成形体と第一及び第二のセ
ラミック粉末成形体との積層体を焼成することにより、
酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子とを、該スペーサ成
形体に基づくスペーサ部を介して互いに接合・一体化す
る。
【0029】この場合、該隙間には前述の支柱部を形成
すると、隙間寸法精度を向上させることができる。ま
た、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との間には、そ
の長手方向において隙間に関してスペーサ部と反対位置
に補助スペーサ部を介挿する構成とすることもできる。
こうすれば、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との隙
間形成部分が、その長手方向においてスペーサ部と補助
スペーサ部とにより両側で支持されるので、隙間部分に
おけるセンサの機械的強度を大幅に向上させることがで
きる。一方、隙間の周縁の一部、例えば酸素濃淡電池素
子と酸素ポンプ素子の板幅方向両側の側縁部に沿うよう
に、補強スペーサ部をそれら酸素濃淡電池素子と酸素ポ
ンプ素子との間に介挿し一体化する構成とすることによ
っても、同様に隙間部分におけるセンサの機械的強度を
向上させることができる。なお、該構成においてスペー
サ部、支柱部、補助スペーサ部あるいは補強スペーサ部
は、酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子と同一材質の
セラミックにより構成することができる。この場合、そ
れらと、酸素濃淡電池素子あるいは酸素ポンプ素子の少
なくとも一方との間には、酸素濃淡電池素子と酸素ポン
プ素子との間の電流漏洩を阻止する絶縁層を介挿するこ
とが望ましい。
【0030】一方、より簡便なセンサ構成としては、下
記のようなものを例示することができる。すなわち、酸
素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子を、それぞれ同様に
横長の板状に構成し互いに対向配置し、各電極をそれら
酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子の板面長手方向に
おける一方の端部側に形成する一方、上記隙間において
酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との間には、該隙間
に対する気体の出入りを妨げない状態で、該隙間の間隔
を規定する支柱部を形成する。さらに、上記隙間を除く
他の領域においてそれら酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ
素子とを絶縁層を介して互いに接合・一体化する。該構
成によれば、スペーサ部を用いることなく隙間を形成す
ることができるのでセンサをよりコンパクトに構成で
き、さらに、スペーサ部の作製とその積層配置の工程と
を省略できるので、センサの製造をより能率的に行うこ
とができる。
【0031】その具体的な製造方法として、下記のよう
なものを例示できる。該方法においては、第一及び第二
のセラミック粉末成形体は、それぞれ横長の板状に形成
されて互いに積層され、電極パターンはそれら第一及び
第二のセラミック粉末成形体の板面長手方向における一
方の端部側に形成される。そして、第一及び第二のセラ
ミック粉末成形体との間の上記隙間に予定された領域
に、セラミック粉末ペーストを用いて支柱部となるべき
支柱部パターンを形成し、その支柱部パターンと重なり
を生じない位置において同じく該隙間に予定された領域
に、焼成時に燃焼ないし分解する(あるいは燃焼ないし
分解して消失する)材質の粉末ペーストにより補助支持
パターンを形成する。さらに、上記隙間に予定された領
域を除く他の領域において第一及び第二のセラミック粉
末成形体との間には絶縁層パターンを形成する。そし
て、その積層体を焼成することにより、酸素濃淡電池素
子と酸素ポンプ素子との間に、隙間と上記支柱部パター
ンに基づく支柱部とを形成する一方、隙間を除く他の領
域においてそれら酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子と
を、絶縁層パターンに基づく絶縁層を介して互いに接合
する。なお、支柱部パターンあるいは補助支持パターン
は印刷により形成することができる。
【0032】支柱部パターンと補助支持パターンとを、
上述のように印刷等で相補的に形成することで、第一及
び第二のセラミック粉末成形体を積層した際に、補助支
持パターンによる補強効果に基づき、支柱部パターンが
両者の間で潰れることが防止ないし抑制される。そし
て、焼成により、補助支持パターンは燃焼ないし分解し
て消失するから、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子と
の間には一定量の隙間を精度よく、しかも極めて簡単に
形成することができる。また、第一及び第二のセラミッ
ク粉末成形体を例えばセラミックグリーンシートで形成
することで、絶縁層パターンが支柱部パターンよりもか
なり薄く形成されていたとしても、第一及び第二のセラ
ミック粉末成形体が少し橈むことで、両者は絶縁層パタ
ーンを介して密着でき、焼成により支障なく一体化する
ことができる。
【0033】なお、絶縁層パターンは、絶縁性セラミッ
ク粉末、例えばAl23粉末のペーストを用いて形成す
ることができる。この場合、支柱部パターンは、絶縁層
パターンよりも粒径の大きい絶縁性セラミック粉末、例
えばAl23多孔質粉末等のペーストを用いて形成する
ことで、積層時のパターンの潰れをより起こりにくくす
ることができる。一方、補助支持パターンは、例えば主
にカーボン粉末で構成されたペーストを用いて形成する
ことができる。
【0034】次に、上記排気ガスセンサにおいては、酸
素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間の隙間は、これ
をなるべく小さくして(望ましくは1mm以下)当該隙
間による新たな排気ガスの流入規制効果をなるべく高め
ることが、センサの検出精度を向上させる上で有利であ
る。逆に言えば、該隙間の寸法が大きすぎると、触媒活
性を有した電極上でのHCと酸素との反応が不安定化
し、酸素濃淡電池起電力が小さくなってセンサ出力が十
分に得られなくなることもありうる。この傾向は、測定
対象となる排気ガス中の酸素濃度の変動が大きかった
り、あるいはガス中の水蒸気濃度が高い場合に特に著し
くなる。また、酸素濃淡電池素子の第三電極の形成され
た側に、該酸素濃淡電池素子との間に所定の隙間(別の
隙間)を形成する隙間形成部材を配置する場合は、その
隙間の大きさも同様の理由によりなるべく小さくするこ
とが望ましい(望ましくは1mm以下)。
【0035】しかしながら、上記素子間の隙間量を小さ
くし過ぎると、今度は焼成により酸素ポンプ素子、酸素
濃淡電池素子あるいは隙間形成部材を製造した際に、焼
成時の僅かな変形が隙間形成量に大きな影響を及ぼし、
センサ個体間で出力のばらつきやすくなる問題が生ずる
こともある。そこで、これを解決するためには次のよう
なセンサ構造とすることが有効である。すなわち、酸素
ポンプ素子の隙間側の電極を第一電極、酸素濃淡電池素
子の隙間側の電極を第二電極、酸素濃淡電池素子の反対
空間側の電極を第三電極として、第二電極及び第三電極
の少なくともいずれかに対し、これと接するように測定
室を形成し、また、測定室の壁部を被測定雰囲気側から
測定室側へ貫くようにガス連通部を形成する。そして、
このガス連通部を、小孔、スリット、及び多孔質セラミ
ック又は多孔質金属により構成された多孔質連通部の少
なくともいずれかを含む拡散規制流通部として構成する
ようにする。
【0036】また、本発明の排気ガスセンサの第三の構
成は、酸素イオン伝導性固体電解質により構成され、そ
の両面に電極が形成された酸素濃淡電池素子と、酸素イ
オン伝導性固体電解質により構成されて両面に電極が形
成され、かつ酸素濃淡電池素子との間に排気ガスの流通
が許容された所定量の隙間が形成されるように、該酸素
濃淡電池素子に対向配置されるとともに、該酸素濃淡電
池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向
に、隙間に酸素を汲み込み又は該隙間から酸素を汲み出
す酸素ポンプ素子と、酸素ポンプ素子と酸素濃淡電池素
子との少なくとも一方を、予め定められたセンサ作動温
度に加熱する加熱素子と、酸素ポンプ素子の上記隙間側
の電極を第一電極、酸素濃淡電池素子の上記隙間側の電
極を第二電極、酸素濃淡電池素子の反対空間側の電極を
第三電極として、第二電極及び第三電極の少なくともい
ずれかに対し、これと接するように形成された測定室
と、測定室の壁部を被測定雰囲気側から測定室側へ貫く
ように形成されたガス連通部とを有し、該ガス連通部
が、小孔、スリット、及び多孔質セラミック又は多孔質
金属により構成された多孔質連通部の少なくともいずれ
かを含む拡散規制流通部とされたことを特徴とする。
【0037】このようにすれば、隙間の大きさをある程
度以上に大きくした場合でも、排気ガスは拡散規制流通
部から拡散を規制されつつ測定室に流入し、また測定室
に導入された後は同じく拡散規制流通部により拡散を規
制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。従って、一旦
導入された排気ガスの測定室内での滞留時間が長くな
り、その間に被検出雰囲気中の排気ガス組成(特に酸素
あるいは水蒸気量)が変化しても、測定室内のガスへの
影響が小さくなるので、安定で高いセンサ出力を得るこ
とができ、ひいてはセンサの検出精度を高めることがで
きる。
【0038】測定室及び拡散規制流通部の組は、酸素濃
淡電池素子の第二電極側に形成しても第三電極側に形成
してもいずれでもよいが、酸素ポンプ素子と酸素濃淡電
池素子との隙間及び反対空間のうち、少なくともその触
媒活性の高くなる側、すなわち酸素とHCとの反応がよ
り活発に起こる側に上記組を形成することが、センサ出
力を図るうえで一層望ましく、該組を双方の側に形成す
ればさらによい。
【0039】次に、測定室及び拡散規制流通部の形成形
態であるが、酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との間
の隙間側に形成する場合は、第二電極の周囲を取り囲む
ように壁部を形成し、その壁部内面と酸素濃淡電池素子
及び酸素ポンプ素子の各対向面とによって囲まれた空間
を測定室とすることができる。また、拡散規制流通部
は、壁部及び酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかに
対しこれを被測定雰囲気側から測定室側へ貫通する形態
で形成され、それら被測定雰囲気と測定室とを互いに連
通させるスリット又は小孔とすることができる。なお、
上記隙間と被測定雰囲気との間で気体の流通を許容する
前述の多孔質セラミック体(あるいは多孔質金属体でも
よい)も、拡散規制流通部として機能しうる。
【0040】拡散規制流通部として上記スリットを形成
する場合、例えば酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子と
の間に、上記壁部の少なくとも一部を構成する壁部形成
体を配置し、その壁部形成体と酸素濃淡電池素子及び酸
素ポンプ素子の少なくともいずれかとの間に上記スリッ
トを、それら酸素濃淡電池素子ないし酸素ポンプ素子の
板面に沿う形態で形成することができる。これにより、
スリットを介して測定室内に排気ガスをスムーズにかつ
空間的な偏りを生ずることなく導入することができる。
【0041】次に、上記スリットの幅(間隔)をd、酸
素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子の対向方向における
測定室の寸法(以下、測定室の高さという)をhとした
場合、d/hは1/100〜1/4の範囲で調整するの
がよい。d/hが1/4を超えるとスリットにおける排
気ガスの拡散規制効果が不十分となり、センサ出力が十
分に得られなくなる場合がある。d/hが1/100未
満になると測定室へのガスの流入速度、あるいは測定室
からのガスの流出速度が小さくなり過ぎ、センサの検出
精度が却って低下してしまう場合がある。d/hは、よ
り望ましくは1/20〜1/8の範囲で設定するのがよ
い。なお、スリット内の空間体積Vに対するスリット内
周面の面積の比S/Vは、同様の理由により4〜10
0、望ましくは20〜50の範囲で調整するのがよい。
【0042】一方、スリット幅dの絶対値は、0.01
〜1.0mmの範囲で調整するのがよい。dが1.0m
mを超えると、スリットにおける排気ガスの拡散規制効
果が不十分となり、センサ出力が十分に得られなくなる
場合がある。一方、dが0.01mm未満になると測定
室へのガスの流入速度、あるいは測定室からのガスの流
出速度が小さくなり過ぎ、センサの検出精度が却って低
下してしまう場合がある。なお、dは、より望ましくは
0.02〜0.05mmの範囲で設定するのがよい。
【0043】スリットは、壁部形成体の厚さ方向(酸素
濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との積層方向)中間部に
形成する態様も可能であるが、壁部形成体と酸素濃淡電
池素子及び酸素ポンプ素子の少なくともいずれかとの間
に形成する構成がセンサの製造上より有利である。すな
わち、前者の場合は、壁部形成体となるべきセラミック
成形体(以下、壁部形成用成形体という)に予めスリッ
トとなるべき隙間を穿設しておくか、あるいは該セラミ
ック成形体を厚さ方向に隣接する2部分に形成し、それ
ら部分の間に隙間を生じさせた状態で焼成するなど、若
干の工数増加が不可避となる。一方、後者の場合は、壁
部形成用成形体と酸素濃淡電池素子ないし酸素ポンプ素
子となるべきセラミック成形体(以下、素子形成用成形
体という)との間に所定量の隙間を形成して焼成するの
みで、上記構造の排気ガスセンサを簡単に製造すること
ができる。
【0044】上記スリットは、例えばスリット形成が予
定された領域において壁部形成用成形体と素子形成用成
形体との間に、焼成により焼失する材料(例えばカーボ
ンペーストなど)で形成された層を挟み込み、その積層
体を焼成して該層を焼失させることにより形成すること
ができる。この場合、形成されるスリットの幅は、形成
する層の厚さに応じて自由に調整することができる。
【0045】次に、壁部形成体は、酸素ポンプ素子及び
酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼成により一
体化することができる。焼成によりこれらを一体化する
ことで、センサの機械的強度を向上させることができ
る。なお、壁部形成体と酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電
池素子のいずれか一方との間にのみスリットを形成する
場合には、スリットを形成しない側では壁部形成用成形
体と素子形成用成形体とをそれらの積層面のほぼ全面に
おいて一体化する一方、スリットの形成側においては、
上記シートを積層面に対し部分的に挟み込むことでスリ
ットを形成し、該シートを介在させない積層面領域で壁
部形成用成形体と素子形成用成形体とを一体化する構成
が可能である。この場合、壁部形成体酸素ポンプ素子な
いし酸素濃淡電池素子とは、スリットの形成側において
もスリット形成領域以外の部分で互いに一体化するの
で、センサの強度を一層高めることができる。
【0046】一方、スリットに代えて小孔により拡散規
制流通部を形成する場合には、該小孔を、例えば壁部形
成体に形成できる。この場合、排気ガスを測定室に対し
偏りなく流入させるには、複数の小孔を、例えば板状の
酸素ポンプ素子ないし酸素濃淡電池素子の板面方向に所
定の間隔で形成するのがよい。また、小孔は、酸素濃淡
電池素子を厚さ方向に貫く形で形成することもできる。
この場合、該小孔は複数のものを、第二電極ないし第三
電極の周縁に沿って所定の間隔で形成することが、偏り
のない排気ガスの流入状態を形成する上で望ましい。
【0047】次に、酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素
子は横長板状に形成でき、拡散規制流通部は、それら酸
素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子の板面幅方向両側に
形成されたスリットないし所定間隔で配列する複数の小
孔群とすることができる。こうすれば、上記スリットな
いし小孔群の一方のものから測定室内に流入した排気ガ
スは、他方のものから排出されるので、測定室内にスム
ーズな排気ガスの流れが形成され、ひいてはセンサ出力
の応答性を向上させることができる。
【0048】次に、上記排気ガスセンサにおいては、酸
素濃淡電池素子の隙間に面しているのとは反対側に測定
室を形成するようにしてもよい。すなわち、酸素濃淡電
池素子の上記反対側と対向して該酸素濃淡電池素子との
間に別の隙間を形成する前述の隙間形成部材を配置し、
その隙間形成部材と酸素濃淡電池素子との間に第三電極
の周囲を取り囲むように壁部を形成し、その壁部内面と
隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の各対向面とによっ
て囲まれた空間を測定室とする。
【0049】この場合も拡散規制流通部は、前述の酸素
ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間に測定室を形成す
る場合とほぼ同様の態様で形成できる。すなわち、該拡
散規制流通部は、壁部及び隙間形成部材の少なくともい
ずれかに対しこれを被測定雰囲気側から測定室側へ貫通
する形態で形成され、それら被測定雰囲気と測定室とを
互いに連通させるスリット又は小孔として構成できる。
また、隙間形成部材と酸素濃淡電池素子との間に、壁部
の少なくとも一部を構成する壁部形成体を配置でき、該
壁部形成体と隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の少な
くともいずれかとの間に上記スリットを、それら隙間形
成部材ないし酸素濃淡電池素子の板面に沿う形態で形成
することができる。
【0050】また、壁部形成体は、隙間形成部材及び酸
素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼成により一体
化することができる。さらに、隙間形成部材及び酸素濃
淡電池素子は横長板状に形成することができ、拡散規制
流通部は、それら隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の
板面幅方向両側に形成されたスリットとすることができ
る。
【0051】次に、酸素濃淡電池素子の両面に形成され
た第二及び第三電極は、被検出成分に対する被検出成分
と酸素との反応に対する触媒活性が互いに異なるものと
して構成することができる。これにより、前述の隙間と
反対空間との間の被検出成分の消費量の差が大きくな
り、センサ出力レベルが高められて、被検出成分の検出
感度を向上させることができる。この場合、第二電極の
上記被検出成分と酸素との反応に対する触媒活性が第三
電極よりも大きくなるようにすれば、排気ガス中の被検
出成分の濃度に対するセンサ出力の直線性が高められ、
ひいては被検出成分の検出精度をさらに向上できる場合
がある。なお、該構成において酸素ポンプ素子は、酸素
濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少す
るように、隙間に酸素を汲み込むものとされる。ここ
で、第一電極及び第二電極の双方について、被検出成分
と酸素との反応に対する触媒活性を第三電極よりも大き
くすると、上記隙間と反対空間との間の被検出成分の消
費量の差がさらに大きくなり、被検出成分の検出感度を
高めることができる。
【0052】より具体的には、第二電極と第三電極と
は、次のように定義される被検出成分転換率ηの差が2
0%以上となるものを組み合わせて使用することが望ま
しい。すなわち、直径12mm×厚さ1mmの酸素イオン伝
導性固体電解質の円板上に、第二電極ないし第三電極と
同一の材質及び条件により直径8mmの円板状の多孔質電
極を形成した試料を、ガスの入口と出口とを有した筒状
体内に配置するとともにこれをセンサ作動温度に加熱
し、その状態で該筒状体に対し、酸素300ppmと被
検出成分350ppmと水蒸気3%とを含有し、残部が
アルゴンからなる試験ガスを入口から流速100ml/
分で導入して、これを出口から排出させたときの、排出
後の試験ガス中の被検出成分濃度をCs(単位:pp
m)として、上記被検出成分転換率η(%)を、次式: η={(350−Cs)/350}×100 ‥‥(1) により求める。
【0053】すなわち、試験ガス中に含まれる被検出成
分が、電極を酸化触媒として酸化され消費されると、排
出後の試験ガス中の被検出成分濃度Csは減少すること
から、上記被検出成分転換率ηは大きくなる。従って該
ηを、センサ中の各電極の被検出成分に対する被検出成
分と酸素との反応に対する触媒活性を表すパラメータ、
ひいては隙間ないし反対空間における被検出成分の消費
量を反映したパラメータとして用いることができる。そ
して、第二電極と第三電極との間で、上記ηの値の差を
20%以上とすることにより、隙間と反対空間との間の
被検出成分の消費量の差が大きくなり、センサ出力レベ
ルが高められて、被検出成分の検出感度を向上させるこ
とができる。例えば第二電極を第三電極よりも被検出成
分と酸素との反応に対する触媒活性の高いものとして構
成する場合は、第二電極を、その被検出成分転換率ηが
第三電極のそれよりも20%以上高くなるように構成す
るのがよい。なお、ηの値の差はより望ましくは30%
以上とするのがよい。
【0054】ここで、電極の上記ηの値はセンサ作動温
度に応じて変化する。そして、センサ作動温度は、上記
ηの差が20%以上、望ましくは30%以上となるよう
に設定するのが望ましいといえる。この場合、印加電圧
を一定とした場合の酸素ポンプ素子のポンプ電流値がな
るべく高くなるように、センサ作動温度を設定すれば、
被検出成分の検出感度はさらに向上する。
【0055】次に、被検出成分が例えばCOあるいはH
Cの場合、上記第一〜第三電極のうち、酸素との反応に
対する触媒活性が高くなるべきものは、Pt、Pd及び
Rhのいずれかを主体とする金属(単体又は合金)又
は、Pt−Pd系合金、Pt−Rh系合金、Rh−Pd
系合金、Pd−Ag系合金等(以下、本明細書において
は、これらを高活性金属グループという)で構成するこ
とができる。また、逆に触媒活性が低くなるべきもの
は、Au、Ni及びAgのいずれかを主体とする金属
(単体又は合金)又は、Pt−Au系合金,Pt−Ni
系合金、Pt−Ag系合金,Ag−Pd系合金、Au−
Pd系合金等(以下、本明細書において、これらを低活
性金属グループという)により構成することができる。
いずれの金属も、前述の素子を構成する固体電解質へ酸
素を注入するための酸素分子の解離反応、及び該固体電
解質から酸素を放出させるための酸素の再結合反応に対
する可逆的な触媒機能(以下、酸素解離触媒機能とい
う)は高いが、炭化水素系の被検出成分と酸素との反応
に対する触媒活性については、前者のグループと後者グ
ループとの間では大きな差がある。そして、例えば第一
電極と第二電極とをPt、Pd及びRhのいずれかを主
体とする金属等の高活性金属グループに属するもので構
成し、第三電極をAu、Ni及びAgのいずれかを主体
とする金属等の低活性金属グループに属するものにより
構成すれば、前述の隙間と反対空間との間の被検出成分
の消費量の差が大きくなり、センサ出力レベルが高めら
れて被検出成分の検出感度を向上させることができる。
上記被検出成分と酸素との反応に対する触媒活性につい
ては、Pt又はPdとAuとの間の差が特に著しく、こ
れらを主体とする金属を電極材料として採用すること
は、上述の効果を高める上でさらに望ましいといえる。
【0056】被検出成分が例えばメタンである場合、例
えば上記材質の電極の組合せにより、その検出感度と選
択性が特に向上する場合がある。とりわけ、被検出成分
と酸素との反応に対する触媒活性の高い側の電極をPt
又はPdを主体とする金属で構成し、同じく低い側の電
極をAuを主体とする金属で構成した場合には、メタン
検出に対する選択性を著しく向上させることができる。
【0057】なお、被検出成分と酸素との反応に対する
触媒活性の小さい電極を構成する場合、その少なくとも
排気ガスとの接触表面を含んだ部分を、被検出成分と酸
素との反応に対して触媒不活性な材料で構成することが
できる。この場合、電極の全体を上記触媒不活性な材料
で構成できることはもちろんであるが、排気ガスとの接
触部において、その表層部のみを触媒不活性な材料で構
成するようにしてもよく、例えば触媒活性な材料で本体
部を形成し、その表面に触媒不活性な材料によりコーテ
ィングを施して電極を得るようにしてもよい。触媒不活
性な材料としては、例えば、前述のAu、Ni及びAg
のいずれかを主体とする金属等の低活性金属グループに
属するもの、あるいはSnO、ZnO、In
WO、Bi等の酸化物を例示することができ
る。
【0058】次に、酸素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子
との間に形成される隙間には、金属メッシュ又は多孔質
金属で構成されたガス保持部材を介挿してもよい。この
ようにすると、該ガス保持部材が上記隙間形成のための
スペーサとして機能し、隙間の寸法精度を高めることが
できる。なお、上記ガス保持部材をメッシュで構成する
場合、その網目の形成密度が100〜500メッシュの
ものを使用することが望ましい。
【0059】また、酸素濃淡電池素子の第三電極の形成
された側に、該酸素濃淡電池素子との間に所定の隙間を
形成する隙間形成部材を配置することができる。こうす
れば、前述のオフセット起電力の絶対値が小さくなり、
またその変動が少なくなって、センサの検出精度が高め
られる場合がある。この場合、隙間形成部材は、酸素濃
淡電池素子をセンサ作動温度に加熱するための板状の加
熱素子とすることができる。こうすれば、加熱素子が隙
間形成部材を兼ねることになり、センサをコンパクトに
構成できる。
【0060】上述のような本発明の排気ガスセンサを用
いて、下記のような排気ガスセンサシステム(以下、単
に「センサシステム」ともいう)を構成することができ
る。すなわち、該センサシステムは、上記排気ガスセン
サと、酸素濃淡電池素子に発生する濃淡電池起電力を検
出する起電力検出手段と、その検出された濃淡電池起電
力の絶対値が減少する方向において、該酸素ポンプ素子
と酸素濃淡電池素子との間の隙間に酸素を汲み込み、又
は該隙間から酸素が汲み出されるように、酸素ポンプ素
子に印加される電圧を調整するポンプ素子電圧調整手段
と、濃淡電池起電力の絶対値が上記起電力目標値ECに
到達したときの、酸素ポンプ素子を流れる電流値又は該
電流値を反映した情報を、被検出成分の濃度を反映した
情報として出力する出力手段とを備える。
【0061】この場合、酸素濃淡電池素子の温度が予め
定められた温度目標値に近づくように、加熱素子の発熱
を制御する発熱制御手段を設けることができる。すなわ
ち、上記センサシステムにおいては、酸素濃淡電池素子
に生ずる濃淡電池起電力を参照し酸素ポンプ素子の作動
が制御されるのであるが、該濃淡電池起電力は素子の温
度によって変化するため、同一の被検出成分の濃度が同
一であっても酸素濃淡電池素子の温度が変化すると、濃
淡電池起電力、ひいては濃度検出情報となるポンプ電流
の値が変動して測定誤差の増加につながる。しかしなが
ら、上述のような発熱制御手段を設けることにより、酸
素濃淡電池素子の温度が予め定められた温度目標値に近
づくように加熱素子の発熱が制御されるので、上記素子
の温度変化に基づく被検出成分の測定誤差を小さくする
ことができ、測定精度を高めることができる。
【0062】発熱制御手段は、酸素濃淡電池素子の温度
を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の温度検出
結果に基づいて、酸素濃淡電池素子の温度が温度目標値
に近づくように、発熱素子の通電を制御する通電制御手
段とを備えたものとして構成できる。これにより、仮に
酸素濃淡電池素子の温度が、排気ガス温度の急変等によ
り一時的に変化することがあっても、検出された温度の
情報に基づいてポンプ電流情報が補正されるので、被検
出成分の検出精度を良好に維持することができる。この
場合、酸素濃淡電池素子の温度は、サーミスタや熱電対
など、別途設けられた温度センサを用いて測定してもよ
いが、該濃淡電池素子の内部抵抗の値が温度によって変
化するので、これを利用して温度を測定するようにすれ
ば温度センサを設ける必要がなくなり、ひいては測定系
の構成を単純化できる利点がある。
【0063】この場合、上記センサシステムには、温度
検出手段が検出する温度の情報とポンプ電流情報とに基
づいて、温度補償された被検出成分濃度情報を生成する
被検出成分濃度情報補正手段と、その生成された被検出
成分濃度情報を補正測定結果として出力する補正測定結
果出力手段とを設けることができる。
【0064】具体的には、被検出成分濃度情報補正手段
は、温度目標値からの温度偏差と、ポンプ電流情報に対
する補正量(ポンプ電流補正量)との関係を与える温度
偏差−ポンプ電流補正量関係情報を補正参照情報として
記憶する補正参照情報記憶手段と、温度検出手段が検出
する温度と温度目標値との差に対応するポンプ電流補正
量を、補正参照情報を参照して決定するポンプ電流補正
量決定手段と、その決定されたポンプ電流補正量に基づ
いて、測定されたポンプ電流情報を補正する演算を行う
補正演算手段とを備えるものとして構成できる。これに
よれば、目標温度からの温度偏差をポンプ電流補正量に
換算する形で上記ポンプ電流情報を補正できるから、補
正処理のアルゴリズムを簡略化でき、ひいては被検出成
分濃度測定結果の補正出力の応答性を高めることができ
る。
【0065】この場合、被検出成分濃度情報補正手段に
は、上記ポンプ電流情報を被検出成分濃度情報へ変換す
るポンプ電流情報−被検出成分濃度情報変換手段を設け
ることができ、補正測定結果出力手段はその変換された
被検出成分濃度情報を、温度補償された被検出成分濃度
情報として出力するものとすることができる。また、ポ
ンプ電流情報−被検出成分濃度情報変換手段は、具体的
にはポンプ電流値と被検出成分濃度との関係を示すポン
プ電流値−被検出成分濃度関係情報を記憶する記憶手段
と、その記憶されたポンプ電流値−被検出成分濃度関係
情報を参照して、補正後のポンプ電流情報が示す被検出
成分濃度を算出する被検出成分濃度算出手段とを含むも
のとして構成することができ、補正測定結果出力手段は
その算出結果を出力するものとして構成することができ
る。一方、その補正されたポンプ電流情報をそのまま外
部に出力するようにしてもよい。
【0066】一方、被検出成分濃度情報補正手段は、ポ
ンプ電流値と被検出成分濃度値との関係を、各種温度毎
に示すポンプ電流情報−被検出成分濃度関係情報を補正
参照情報として記憶する補正参照情報記憶手段と、温度
検出手段が検出する温度の情報と測定されたポンプ電流
情報とに基づいて、上記補正参照情報を参照することに
より、当該温度とポンプ電流値に対応する被検出成分濃
度値を、温度補償された被検出成分濃度情報として生成
する補正濃度情報生成手段とを備えたものとして構成す
ることもできる。この構成によれば、各温度毎のポンプ
電流情報−被検出成分濃度関係情報を用意する必要はあ
るが、検出温度からポンプ電流補正量を算出することな
く、測定された温度とポンプ電流とに対応する被検出成
分濃度を直接的に決定することができ、被検出成分濃度
出力における応答性をさらに高めることができる。
【0067】次に、温度検出手段は、酸素濃淡電池素子
の内部抵抗を測定する内部抵抗測定手段と、その測定さ
れた内部抵抗値に基づいて酸素濃淡電池素子の温度の情
報を生成する温度情報生成手段と、その生成された温度
の情報を出力する温度情報出力手段とを備えるものとし
て構成できる。前述の通り、該構成によれば温度センサ
等を別途設ける必要がなくなり、装置構成を単純化でき
る利点がある。
【0068】内部抵抗測定手段は、具体的には、酸素濃
淡電池素子に対し一定の内部抵抗検出電流を通電する内
部抵抗検出電流通電手段と、該内部抵抗検出電流を通電
したときに酸素濃淡電池素子に印加される電圧を反映し
た情報(電圧情報)を検出する電圧情報検出手段とを備
え、その検出された電圧情報に基づいて酸素濃淡電池素
子の内部抵抗値を測定するものとすることができる。こ
れによれば、定電流通電時の印加電圧から酸素濃淡電池
素子の内部抵抗を簡単に測定することができる。
【0069】ここで、酸素濃淡電池素子の両側において
酸素濃度に差が生じている場合は、酸素濃淡電池素子に
は濃淡電池起電力が生じ、検出された電圧情報にその濃
淡電池起電力の情報が含まれないし重畳されて誤差の原
因となる場合がある。この場合、酸素濃淡電池素子の内
部抵抗の測定に当たっては、内部抵抗検出電流を一定以
上に大きく設定することで酸素濃淡電池素子に印加され
る電圧を高め、濃淡電池起電力の影響を相対的に小さく
することが内部抵抗測定の精度を高める上で有効であ
る。一方、重畳されるか、ないしは含まれる濃淡電池起
電力の影響を除去ないし低減するためには、次のような
方式も有効である。すなわち、内部抵抗測定手段に、酸
素濃淡電池素子に内部抵抗検出電流を通じない状態で、
該酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力を測定する濃淡電
池起電力測定手段と、該測定された濃淡電池起電力の情
報に基づいて、検出された電圧情報の内容を補正する電
圧情報補正手段とを設ける。具体的には、濃淡電池起電
力測定手段による濃淡電池起電力の測定結果を、電圧情
報の検出結果から減ずることにより、濃淡電池起電力成
分の影響を効果的に除去することができる。
【0070】次に、酸素濃淡電池素子に内部抵抗測定用
電流を通電すると、酸素濃淡電池素子内においてその通
電と逆方向に酸素が輸送され(すなわち、酸素ポンプと
なる)、酸素濃淡電池素子両側の酸素濃度に変化を生ず
る。その結果、排気ガスセンサによる被検出成分濃度の
測定に復帰した際に、その酸素濃度の変化が被検出成分
濃度の測定精度に対する誤差の要因ともなりうる。ま
た、酸素濃淡電池素子の内部抵抗値が高い場合には、酸
素濃淡電池素子内の酸素イオンが移動しにくくなって、
電流通電に伴い分極を生ずることもある。そこで、修正
電流通電手段により、酸素濃淡電池素子に対し内部抵抗
検出電流を通電してその内部抵抗を測定した後、該酸素
濃淡電池素子に対し、内部抵抗検出電流と逆方向に修正
電流を通電するようにすれば、その通電により上記とは
逆向きに酸素が輸送されるので、変化した酸素濃度が内
部抵抗測定前の状態に近づいて、復帰後の被検出成分濃
度の測定精度が高められるとともに、酸素濃淡電池素子
の分極状態も解消することができる。この場合、修正電
流の大きさ及び通電時間は、内部抵抗検出電流通電時に
輸送されると考えられる酸素量とほぼ同量の酸素が、該
修正電流の通電により逆輸送されるように設定するのが
よく、例えば内部抵抗検出電流とほぼ大きさが同じ電流
を、該内部抵抗検出電流とほぼ同時間通電するのがよ
い。
【0071】次に、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力
を所定の制御基準値と比較し、該濃淡電池起電力と起電
力目標値ECとの差に応じたポンプ電流を酸素ポンプ素
子に向けて出力するポンプ電流制御手段を設けることが
できる。これにより、濃淡電池起電力が起電力目標値E
Cに近づくようにポンプ電流値が制御されることとな
る。ここで、内部抵抗測定手段は、ポンプ電流制御手段
による酸素ポンプ素子へのポンプ電流の出力を、予め定
められたタイミングで遮断するポンプ電流遮断手段を備
えるとともに、内部抵抗検出電流通電手段は、ポンプ電
流の出力が遮断された状態で酸素濃淡電池素子に対し内
部抵抗検出電流を通電するものとして構成することがで
きる。これにより、内部抵抗検出電流とポンプ電流との
干渉が防止され、酸素濃淡電池素子の内部抵抗を精度よ
く検出することができる。
【0072】この場合、ポンプ電流の出力を長時間に亙
って遮断すると、濃淡電池起電力が起電力目標値ECか
ら外れて不安定化し、排気ガス中の被検出成分の検出と
いう本発明の装置の本来の目的に支障をきたすこともあ
りうる。そこで、内部抵抗測定手段においてポンプ電流
遮断手段は、ポンプ電流制御手段によるポンプ電流の出
力を所定の時間間隔で周期的に遮断するものとし、それ
によって該内部抵抗測定手段は、その周期的なポンプ電
流出力の遮断に対応して酸素濃淡電池素子の内部抵抗を
周期的に測定するものとして構成することができる。こ
れにより、ポンプ電流の出力を長時間連続的に中断する
ことなく、内部抵抗測定の頻度を高めることができ、ひ
いては被検出成分の濃度測定結果に対する温度補償をよ
り高精度で行うことが可能になるとともに、該内部抵抗
値を温度情報として用いる発熱制御手段の、発熱素子に
対する温度制御の精度を高めることができる。
【0073】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の一
実施例としての排気ガスセンサ1を示している。すなわ
ち、排気ガスセンサ1は、それぞれ横長板状に形成され
た第一のヒータ2(加熱素子)、酸素ポンプ素子3、酸
素濃淡電池素子4及び第二のヒータ5(加熱素子)がこ
の順序で積層されたものとして構成されている。酸素ポ
ンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4は、酸素イオン伝導
性を有する固体電解質により構成されている。そのよう
な固体電解質としては、Y23ないしCaOを固溶させ
たZrO2が代表的なものであるが、それ以外のアルカ
リ土類金属ないし希土類金属の酸化物とZrO2との固
溶体を使用してもよい。また、ベースとなるZrO2
はHfO2が含有されていてもよい。本実施例では、Y2
3ないしCaOを固溶させたZrO2固体電解質セラミ
ックが使用されているものとする。一方、第一及び第二
のヒータ2,5は、公知のセラミックヒータで構成され
ている。
【0074】酸素ポンプ素子3は横長板状に形成され、
その長手方向における一方の端部寄りにおいてその両面
に、酸素分子解離能を有した多孔質電極10,11が形
成されている。また、酸素濃淡電池素子4(温度検出手
段としても機能する)には、上記酸素ポンプ素子3の電
極10,11に対応する位置においてその両面に、同様
の多孔質電極12,13が形成されている。そして、上
記電極10〜13の形成部分を除いて、酸素ポンプ素子
3と酸素濃淡電池素子4との間には、それら素子と同一
材質の固体電解質セラミックにより構成された板状のス
ペーサ部200が介挿されており、Al23等で構成さ
れた絶縁層201,202を介してその両面が、酸素ポ
ンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4と焼成により一体化
されている。これにより、酸素ポンプ素子3の電極11
と酸素濃淡電池素子4の電極12との間には隙間15が
形成されることとなる。また、その隙間15において、
酸素濃淡電池素子4と酸素ポンプ素子3との間には、そ
の板幅方向両側の側縁部に沿うように、スペーサ部20
0と一体の細長い補強スペーサ部203が介挿・一体化
されている。そして、該隙間15は、酸素濃淡電池素子
4及び酸素ポンプ素子3の端面において、両補強スペー
サ部203の間に開口する開口部204を連通部とし
て、外側空間と連通することにより、排気ガスが出入り
可能になっている。
【0075】一方、第一のヒータ2と酸素ポンプ素子3
との間、及び酸素濃淡電池素子4と第二のヒータ5との
間には、それぞれガラスあるいはセメント等で構成され
たスペーサ6及び8(図2)が介挿されており、各素子
間には所定量の隙間14及び16がそれぞれ形成されて
いる。なお、隙間15は、請求項でいう酸素ポンプ素子
と酸素濃淡電池素子との間の隙間に、また隙間16は同
じく反対空間に相当する。また、第二のヒータ5は、隙
間形成部材の役割を果たしている。
【0076】図2は、排気ガスセンサ1の内部構造を示
すために、スペーサ部200と補助スペーサ部203と
を省略して描いた図である。酸素ポンプ素子3の各多孔
質電極10,11からは、該素子3の長手方向に沿って
排気ガスセンサ1の取付基端側に向けて延びる電極リー
ド部10a,11aがそれぞれ一体に形成されており、
該基端側において酸素ポンプ素子3には接続端子10
b,11bの一端が埋設されている。そして、例えば、
接続端子10b,11bは、図2(b)に示すように、
金属ペーストを焼結することにより形成された導通部1
0fにより、電極リード部10a,11aの末端に対し
て電気的に接続されている。また、酸素濃淡電池素子4
の各多孔質電極12,13にも同様に電極リード部12
a及び13aが一体に形成されており、それぞれ接続端
子12b,13bが取り付けられている。
【0077】図3(a)は、排気ガスセンサ1の全体の
構成例を、また(b)はその内部構造を示している。す
なわち、排気ガスセンサ1の要部は、図1及び図2に示
した第一のヒータ2、酸素ポンプ素子3、酸素濃淡電池
素子4及び第二のヒータ5からなる積層体31であり、
角型の貫通孔30aを有するセラミックストッパ30
が、積層体31に対し外側から嵌着されている。上記積
層体31は、一端側が開放し、貫通孔32aが形成され
た底部32bを他端側に有するセラミック碍管32の内
側に、各電極10〜13の形成された端部(以下、検出
端部という)31aが貫通孔32aから突出するように
配置されるとともに、該碍管32と積層体31との間に
はガラスGが充填されいる。なお、セラミックストッパ
30は、その端面が碍管32の底部32bの内面と当接
することにより、積層体31の碍管32からの突出量を
規定する役割も果たしている。
【0078】また、碍管32の外側は、金属製の外筒3
3と、かしめ結合部34aにより該外筒33と一体化さ
れた主体金具34とにより覆われている。主体金具34
の外周面には、センサ1を排気管等の図示しない取付部
に取り付けるための雄ねじ部34bが形成されるととも
に、その先端側に形成された開口部34cおいて、前述
の積層体31の検出端部31aを突出させている。ま
た、主体金具34の開口部34cの周縁には円環状のプ
ロテクタ取付スリーブ34dが一体的に形成されてい
る。そして、検出端部31aを覆うとともに、該検出端
部31aへの排気ガスの流通を許容する多数の貫通孔3
5aを有した円筒状のプロテクタ35が、上記プロテク
タ取付スリーブ34dに対し外側から嵌着され、さらに
スポット溶接等により接合され一体化されている。一
方、碍管32の中間部において主体金具34との間に形
成される空間には、そのかしめ結合部34aに近い側
に、かしめ時の加工力を受けとめるためのかしめ金具3
6が配置され、さらに残余の空間には充填材80が充填
されている。
【0079】一方、積層体31を構成する各素子2〜5
の接続端子(図1等)には、リード線37が溶接等によ
り接合されており、その末端側が碍管32及び外筒33
の端部から外側に延出している。なお、リード線37の
中間部はゴム等の弾性材料で構成されたシール部材38
により覆われており、そのさらに外側には金属製の保護
外筒39がはめ込まれている。そして、該保護外筒39
の端縁側が外筒33に対してかしめにより一体化されて
いる。
【0080】上記排気ガスセンサ1は、例えば排気管に
設けられた取付部に対し、プロテクタ35側が該排気管
内に位置するように取り付けられる。図4に示すよう
に、この状態で酸素ポンプ素子3には、多孔質電極1
0,11の一方が正、他方が負となるように前述のリー
ド線37(図3)を介して電圧が印加される。そして、
極性が正となる多孔質電極においては、これと接する排
気ガス中の酸素分子が該電極上で解離され、上記印加さ
れた電圧が駆動力となって解離された酸素がイオンの形
で素子3内に送り込まれる。また、上記電圧印加により
素子3内を輸送される酸素イオンは、極性が負となる多
孔質電極上で電子を受け取り、さらに酸素分子に再結合
して雰囲気中に放出される。
【0081】また、酸素濃淡電池素子4においては、多
孔質電極12,13には電圧が印加されず、それら電極
12,13とそれぞれ接する排気ガス中の酸素分子が該
電極12,13上で解離され、それぞれ酸素イオンの形
で素子4内に拡散する。そして、電極12側と13側と
で酸素濃度に差がある場合には、素子4内に酸素イオン
の濃度勾配が生じ、その濃度勾配に応じた濃淡電池起電
力が両電極12,13間に生ずることとなる。なお、以
下においては、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素子4
との間に形成されている隙間15に関し、酸素ポンプ素
子3の該隙間15に面さない多孔質電極10を外側電
極、同じく隙間15に面する多孔質電極11を第一電
極、隙間15に面する酸素濃淡電池素子4の多孔質電極
12を第二電極、同じく隙間15に面さない多孔質電極
13を第三電極と呼ぶことにする。
【0082】一方、上記多孔質電極10〜13のうち、
少なくとも一部のものは、上述の酸素分子の解離ないし
再結合を行う役割のほかに、これと接する排気ガス中の
炭化水素系の被検出成分と酸素との結合反応、すなわち
被検出成分の燃焼反応を促進する酸化触媒としても機能
する。そして、本発明の排気ガスセンサでは、上記4つ
の電極10〜13のうち、第一電極11、第二電極12
及び第三電極13の3つのものについて、被検出成分に
対する被検出成分と酸素との反応に対する触媒活性(以
下、酸化触媒活性ともいう)が、酸素濃淡電池素子4の
両側(すなわち隙間15側と隙間16側)において酸素
との反応による被検出成分の消費量に差が生じるように
調整される。
【0083】具体的には、図4において、第一電極11
と第二電極12とが例えば炭化水素に対する酸化触媒活
性が高いPt多孔質電極により、また、第三電極13が
該酸化触媒活性が低いAu多孔質電極によりそれぞれ構
成される。なお、隙間15及び隙間16の大きさはそれ
ぞれ1mm以下の範囲で調整される。一方、第一電極11
の面積Spは第二電極12の面積SSと等しいか、それよ
りも大きく設定される。
【0084】以下、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素
子4とを一体焼成する方法について、図5を参照して説
明する。すなわち、一体焼成体を形成するための未焼成
組立体310は、酸素ポンプ素子3を形成するための第
一部分211(第一のセラミック粉末成形体に相当す
る)、酸素濃淡電池素子4を形成するための第二部分2
12(第二のセラミック粉末成形体に相当する)、及び
隙間15を形成するための第三部分213から成り立っ
ている。まず、第一部分211は、ZrO2粉末を有機
バインダとともに混練した生素地を用いて形成された、
酸素ポンプ素子3の本体となるべきZrO2グリーンシ
ート220を含んでいる。そのZrO2グリーンシート
220の両面の、電極10,11(図2等)の形成が予
定された部分を除く領域に、リード部10a,11aと
酸素ポンプ素子3との間を絶縁するための絶縁コート
(絶縁層パターン)221及び222がAl23ペース
ト等を用いて形成される。それら絶縁コート221及び
222を形成した後、電極10,11及びリード部10
a,11aを形成するための電極パターン223及び2
24がPtペースト等により印刷形成される。また外側
電極10となる側の電極パターン223の上には保護用
のオーバーコート225がAl23ペースト等により形
成される。
【0085】一方、第二部分212も同様に、酸素濃淡
電池素子4の本体となるべきZrO2グリーンシート2
30の両面に、絶縁コート(絶縁層パターン)231及
び232が形成される。ここで、絶縁コート231側に
は、電極12とそのリード部12aを形成するための電
極パターン233が形成されるが、Auで構成される電
極13(第三電極)は融点が低くZrO2との一体焼成
が不可能なため、絶縁コート232側には、リード部1
3aを形成するための電極リード部パターン234のみ
が形成され、その上にAl23ペーストにより保護用の
オーバーコート235が施される。
【0086】次に、第三部分213は、スペーサ部20
0となるべき部分200a(スペーサ成形体)と、補強
スペーサ部203となるべき部分203aとが一体に形
成されたZrO2グリーンシート240を主体に構成さ
れ、その両面には貼合わせコート241と242とがそ
れぞれAl23ペースト等を用いて形成されている。こ
れら貼合わせコート241及び242は、前述の絶縁コ
ート222及び231とともに、焼成によりそれぞれ絶
縁層201及び202となり、スペーサ部200及び補
強スペーサ部203と、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡
電池素子4とを互いに接合する役割を果たす。
【0087】第一部分211と第三部分213とは互い
に積層され、両者の間にはリード部10a及び11aの
末端部に対応して、端子10b及び11b(図2)を形
成するためのPt−Rh合金線243a,243bの一
方の端部側がそれぞれ挟み込まれる。なお、ZrO2
リーンシート220のリード部10aの末端に対応する
位置には貫通孔220aが孔設されており、リード部1
0aのパターンを形成する際にペーストがここに充填さ
れ、図2(b)に示すように、焼成によりその充填され
たペーストが焼結されて導通部10fとなり、端子10
b(Pt−Rh合金線243b)とリード部10bとが
導通するようになっている。一方、リード部11aのパ
ターンと、Pt−Rh合金線243aとは、ZrO2
リーンシート220及び240の間で挟み付けられて直
接接触する。
【0088】また、第二部分212も第三部分213に
対し第一部分211とは反対側から積層され、リード部
12a及び13aの末端部に対応して、端子12b及び
13b(図2)を形成するためのPt−Rh合金線24
4a,244bの一方の端部側がそれぞれ挟み込まれ、
未焼成組立体310が完成する。なお、ZrO2グリー
ンシート230のリード部13aの末端に対応する位置
には、第一部分211の貫通孔220aと同様に貫通孔
230aが孔設されており、ここに充填されたペースト
に基づく導通部により、端子13bとリード部13aと
が導通するようになっている。また、リード部12aの
パターンと、端子12bとなるPt−Rh合金線244
aとは、ZrO2グリーンシート240及び230の間
で挟み付けられて直接接触する。
【0089】そして、上記未焼成組立体310を焼成す
ることにより、図1及び図2に示す酸素ポンプ素子3
と、第三電極13が未形成の状態の酸素濃淡電池素子4
との一体焼成物が得られる。そして、図5に示すよう
に、Au粉末ペーストを用いてパターン245を酸素濃
淡電池素子4の対応する位置にペースト印刷し、さらに
セラミックスの焼成温度より低い温度(例えば850〜
1000℃)で焼き付けて二次メタライズ処理すること
により、第三電極13が形成されて排気ガスセンサの要
部が完成する。
【0090】排気ガスセンサ1の作動原理の概要は以下
の通りである。図4に示すように、排気ガスセンサ1を
排気管に取り付け、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素
子4との間の隙間15と、酸素濃淡電池素子4とヒータ
5との間の隙間16(反対空間)とに、それぞれ炭化水
素系の被検出成分と酸素とを含有する排気ガスが導入さ
れると、隙間15側に位置する電極11,12がいずれ
もPtで形成されており、隙間16側に位置する電極1
3がAuで構成されていることから、該排気ガス中の被
検出成分の酸化による消費量は、隙間15側において隙
間16側よりも大きくなる。そして、被検出成分の消費
量の大きい側においては、排気ガスEG中の酸素の消費
量も大きくなることから、隙間16内の酸素濃度は隙間
15内のそれよりも高くなり、酸素濃淡電池素子4には
隙間16側を正とする濃淡電池起電力が生ずる。
【0091】そして、上記濃淡電池起電力の絶対値が例
えば10mV以下の一定値となるように、酸素ポンプ素
子3により隙間14側から隙間15側へ酸素を汲み込む
と、該酸素ポンプ素子3を流れる電流(以下、酸素ポン
プ電流あるいはポンプ電流という)は、被検出成分の酸
化に消費された酸素量を反映した値となる。また、排気
ガスEG中の被検出成分の濃度が高くなると、その酸化
により消費される酸素量は増大し、結果としてポンプ電
流も大きくなる。従って、ポンプ電流を測定することに
より、排気ガスEG中の被検出成分の濃度を知ることが
できる。
【0092】次に、上記排気ガスセンサ1においては、
図6に示すように、隙間15において酸素濃淡電池素子
4と酸素ポンプ素子3との間に、該隙間15に対する気
体の出入りを妨げない状態で該隙間15の間隔を規定す
る支柱部210を形成することができる。図6に示す例
においては、支柱部210は、酸素ポンプ素子3及び酸
素濃淡電池素子4と同材質の固体電解質セラミックによ
り、隙間15をその長手方向中間位置で2部分に仕切る
仕切壁状に形成されている。また、隙間15に関してス
ペーサ部200と反対側には補助スペーサ部215が介
挿・一体化されている。そして、隙間15は、酸素ポン
プ素子3と酸素濃淡電池素子4との積層体の幅方向両側
面において、支柱部210の両側に形成された開口部2
04を連通部として外側空間と連通することにより、排
気ガスが出入り可能となる。
【0093】この支柱部210は、図7に示す未焼成組
立体310の焼成により、酸素ポンプ素子3及び酸素濃
淡電池素子4と一体形成することができる。図7の未焼
成組立体310は、第三部分213を除いて図5に示す
ものと全く同一に構成されている。そして、その第三部
分213においては、スペーサ部200を形成するため
のスペーサ成形体200aと、隙間15に予定された空
間を挟んでこれと反対側に配置された補助スペーサ部2
15を形成するための補助スペーサ成形体215aと、
さらに両者の間に配置された支柱部パターンとしての支
柱部成形体210aとがZrO2グリーンシート240
を用いて形成され、それらの両側に前述の第一部分21
1と第二部分212とが積層される。
【0094】そして、これを焼成することにより、酸素
濃淡電池素子4と酸素ポンプ素子3との間に、上記支柱
部成形体210aに基づく支柱部210が形成される。
焼成時に上記支柱部成形体210aを介挿することによ
り、隙間を形成した状態で積層されたZrO2グリーン
シートが焼成時に変形して隙間側に垂れ下がることが防
止され、所期の大きさの隙間15を安定して形成するこ
とができる。なお、図6に示す例では、支柱部210
は、電極11及び12を幅方向に横切るように形成され
ていたが、これを図8に示すように電極11及び12と
干渉しない位置に形成するようにしてもよい。同図にお
いては、支柱部210は、酸素濃淡電池素子4及び酸素
ポンプ素子3の幅方向両側おいて、それらの長手方向に
沿うように、それぞれ複数のものが所定の間隔で配置さ
れている。一方、隙間15の、酸素濃淡電池素子4と酸
素ポンプ素子3との長手方向おける長さがそれほど大き
くない場合には、図9に示すように支柱部210を省略
する構成とすることも可能である。
【0095】また、酸素濃淡電池素子4及び酸素ポンプ
素子3に対し、第一及び第二のヒータ2及び5の少なく
ともいずれかを、焼成により一体化する構成としてもよ
い。図10はその一例を示しており、酸素ポンプ素子3
に対し、隙間15とは反対側に第一のヒータ2が積層さ
れ、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素子4と第一のヒ
ータ2とが、互いに積層された一体の焼成体として構成
されている。なお、第二のヒータ5は省略されている。
ここで、第一のヒータ2と外側電極10との間には隙間
14が形成されており、その隙間14以外の領域におい
て第一のヒータ2と酸素ポンプ素子3とはAl23等で
構成された絶縁層2cを介して接合されている。
【0096】上記センサ構造は、図11に示すように、
基本的には図7に示す未焼成組立体において、その第一
部分211に対し、第三部分213とは反対側から第一
のヒータ2となるべき第四部分(第三のセラミック粉末
成形体)214を積層し、その積層体として得られる未
焼成組立体310を焼成することにより得られる。以
下、図7との相違点について説明すれば、第一部分21
1から図7のオーバーコート225を省略し、その電極
パターン223に対しこれに近い側から、ヒータ通電用
の端子2a,2b(図10)となるPt−Rh合金線2
57a,257b、貼合わせコート256(Al23
ースト等による)、隙間形成用補助支持パターン255
(カーボンペースト等による)、オーバーコート254
(Al23ペースト等による)、ヒータパターン253
(Ptペースト等による)、絶縁コート252(Al2
3ペースト等による)、ZrO2グリーンシート251
(ヒータ本体となる)、及びオーバーコート250(A
23ペースト等による)がこの順序で積層されて第四
部分214が形成される。なお、支柱部210は、図9
の構成と同様に省略されている。ここで、隙間形成用補
助支持パターン255は、電極パターン223に対し外
側電極10に対応する領域に選択的に形成され、焼成時
に消失して、図10に示すように、ZrO2グリーンシ
ート251に基づくヒータ本体2と酸素ポンプ素子3と
の間に隙間14を形成することとなる。
【0097】次に、図12は、より簡便な構成として
の、スペーサ部を使用しない排気ガスセンサの構成例を
示している。すなわち、該排気ガスセンサ1において
は、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4は、それ
ぞれ横長の板状に構成されて互いに対向配置され、各電
極10〜13はそれら酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電
池素子4の板面長手方向における一方の端部側に形成さ
れている。そして、隙間15において酸素ポンプ素子3
及び酸素濃淡電池素子4との間には支柱部210が形成
される一方、隙間15を除く領域において酸素ポンプ素
子3と酸素濃淡電池素子4とは、支柱部210の高さよ
りも厚さが小さい絶縁層260を介して互いに接合・一
体化されている。なお、第一及び第二のヒータ2及び5
は少なくともいずれかが設けられるが、図12はこれを
省略して描いている。
【0098】隙間15は、酸素ポンプ素子3及び酸素濃
淡電池素子4の積層体の幅方向両側面部に開放して、排
気ガスが出入り可能な連通部261が形成されている。
なお、各電極10〜13の端子10b,11b,13b
は、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子4の長手方
向における端面側において、基端側が両者の間に挟み込
まれる形で突出している。なお、電極10及び13に対
する端子10b及び13bの接続形態は、図2(b)に
示すものと同様である。また、電極11及び12は後述
する通り共通接地されるため、端子11bが両電極1
1,12の間で共有され、図2の構成における端子12
bが省略されている。また、支柱部210は、図12
(c)に示すように、方形断面のものが散点状あるいは
千鳥状に形成されているが、これを同図(d)に示すよ
うに円形断面に形成したり、あるいは同図(e)に示す
ように、長さの異なる方形断面のものを混在させた形で
構成してもよい。
【0099】上記センサ構造の製造方法について図13
を用いて説明する。この場合も基本的には、前述の第一
部分211と第二部分212とを含む未焼成組立体31
0の焼成により製造される。しかしながら、図1等に示
すセンサ構造とは、下記のような製法上の違いを有す
る。まず、スペーサ部を形成するためのZrO2グリー
ンシートを含む第三部分が省略され、代わって第一部分
211と第二部分212との各々の対向面において隙間
15に予定された領域に、セラミック粉末ペースト(例
えば多孔質Al23粉末ペースト)を用いて、支柱部2
10となるべき支柱部パターン266a及び266bが
形成される。また、その支柱部パターン266a及び2
66bと重なりを生じない位置において同じく該隙間1
5に予定された領域に、焼成時に燃焼ないし分解する材
質の粉末ペースト(例えばカーボンペースト)により補
助支持パターン267a及び267bが形成される。さ
らに、上記隙間15に予定された領域を除く他の領域に
は、絶縁層パターンとしての貼合わせコート269がA
23粉末ペースト等により支柱部パターン266a及
び266bの合計の高さよりも小さい厚さで形成され
る。
【0100】上記未焼成組立体310を焼成することに
より、図15に示すように、酸素濃淡電池素子4と酸素
ポンプ素子3との間においては、補助支持パターン26
7a及び267bが消失するとともに、上記支柱部パタ
ーン266a,266bが焼成により一体化して支柱部
210が形成され、該支柱部210により大きさが規定
された形で隙間15が形成される。一方、隙間15を除
く他の領域においてそれら酸素濃淡電池素子4と酸素ポ
ンプ素子3とは、貼合わせコート269に基づく絶縁層
260を介して互いに接合される。
【0101】ここで、図14に示すように、支柱部パタ
ーン266a,266bと、補助支持パターン267
a,267bとは平面をほぼ埋め尽くすように相補的に
形成され、第一部分211と第二部分212とを積層し
た際に、補助支持パターン267a,267bによる補
強効果に基づき、支柱部パターン266a,266bが
両者の間で潰れることが防止ないし抑制される。また、
第一部分211と第二部分212とは、その要部がZr
2グリーンシート220及び230で形成されている
ため、図15(a)に誇張して示すように、貼合わせコ
ート269が266a,266bの合計厚さよりもかな
り薄く形成されていたとしても、ZrO2グリーンシー
ト220及び230が少し橈むことで、両者は貼合わせ
コート269を介して密着でき、焼成により支障なく一
体化することができる。
【0102】図16は、図13に示したものと類似の製
法により得られるセンサ構造の変形例を示している。該
構成においては、隙間15の連通部が開放部ではなく、
多孔質Al23焼成体により多孔質セラミック体270
として構成されている。また、支柱部210は形成され
ていない。
【0103】上記構造の製造方法について、図13との
相違点を中心に図17を用いて説明する。まず、図13
の支柱部パターン266a,266bに代えて、多孔質
セラミック体270を形成するための連通部パターン2
71aと271bとが多孔質Al23粉末ペーストによ
り形成され、隙間形成部には図13と同様にカーボンペ
ーストによる隙間形成用補助支持パターン272a及び
272bが形成される。これを焼成することにより、連
通部パターン271aと271bとは一体化して多孔質
セラミック体270となり、隙間形成用補助支持パター
ン272a及び272bは消失して隙間15を形成す
る。
【0104】以下、上記排気ガスセンサを使用したセン
サシステムについて説明する。図18は、排気ガスセン
サ1を用いたセンサシステムの一例の電気的構成を示す
ブロック図である。すなわち、該センサシステム50
は、上記排気ガスセンサ1と、マイクロプロセッサ51
と、それら排気ガスセンサ1とマイクロプロセッサ51
とを接続する周辺回路50aとから構成されている。な
お、マイクロプロセッサ51のCPU53は、ROM5
5に格納された制御プログラム55aにより、被検出成
分濃度情報補正手段、通電制御手段、ポンプ電流補正量
決定手段、補正演算手段、補正濃度情報生成手段、内部
抵抗測定手段、温度情報生成手段、濃淡電池起電力測定
手段及び電圧情報補正手段の主体をなす。
【0105】排気ガスセンサ1の酸素濃淡電池素子4は
第二電極12が接地される一方、第三電極13はスイッ
チ機構、例えばCMOS−IC等で構成された両極性型
アナログスイッチ回路60のスイッチSw1を介して反
転増幅用のオペアンプ61(ポンプ電流制御手段)の負
端子側に接続されている。一方、オペアンプ61の正端
子側には起電力目標値ECを与えるための電源回路65
が接続されている。該電源回路65は、起電力目標値E
Cの設定値を一定の範囲で変更可能に構成されている。
例えば図に示す例においては、3つの固定抵抗66a〜
66cと1つの可変抵抗66dを各辺に備えるブリッジ
回路66と、これに接続された電源67とを含んで構成
されている。可変抵抗66dの抵抗レンジをRmin〜Rm
axとして、Rmin<Re<Rmaxとなるある抵抗値Reにお
いてブリッジが平衡し、オペアンプ61の端子への出力
電圧が0となるように、固定抵抗66a〜66cの各抵
抗値が調整されている。そして、可変抵抗66dの抵抗
値をReからそれぞれRmin又はRmax側にずらせること
により、起電力目標値ECは0Vを挟んでそれぞれ正負
両側に一定の範囲で変更可能となる。
【0106】次に、オペアンプ61は、周辺の抵抗器6
1a〜61dとともに差動増幅器を構成し、その出力側
は電流検出用の抵抗器62を介して酸素ポンプ素子3の
外側電極10に接続されている。一方、酸素ポンプ素子
3の第一電極11側は、酸素濃淡電池素子4の第二電極
12と共通接地されている。これにより、オペアンプ6
1は、酸素濃淡電池素子4の濃淡電池起電力入力Em
と、起電力目標値ECとの差電圧Em−ECを反転増幅し
て酸素ポンプ素子3の第一電極11側に印加することと
なる。なお、抵抗器61a及び61bの電気抵抗値をそ
れぞれR1及びR2とすれば、オペアンプ61の電圧ゲイ
ンはA1=R1/R2である。
【0107】ここで、図19に示すように、Em>ECで
あればEm−EC>0であるから、オペアンプ61の出力
電圧−A1(Em−EC)は負となり、酸素ポンプ素子3
には第一電極11側が負となるように電圧が印加され、
酸素ポンプ素子3には隙間15に酸素を汲み込む方向に
ポンプ電流Ipが流れる。このポンプ電流Ipは、電流検
出用抵抗器62(抵抗値R3)の両端電圧差の形で、周
辺の抵抗器64a〜64dとともに差動増幅器を構成す
るオペアンプ64により電圧信号として取り出され、さ
らに図18に示すように、ダイポーラ型のA/D変換器
70でデジタル化されてマイクロプロセッサ51に入力
される。なお、64a,64bは、オペアンプ64のゲ
イン調整用抵抗器(それぞれ抵抗値R5、R6)である。
【0108】次に、図18に示すように酸素濃淡電池素
子4の第三電極13側には、アナログスイッチ回路60
のSw2及びSw3を介して、電流値ICで極性が互いに
異なる定電流電源回路73と74とがそれぞれ接続され
ている。また、上記第三電極13側の電圧信号VSは、
ダイポーラ型のA/D変換器71でデジタル変換されて
マイクロプロセッサ51に入力されるようになってい
る。なお、アナログスイッチ回路60の各スイッチSw
1〜Sw3は、マイクロプロセッサ51からの制御信号を
受けてオン・オフする。
【0109】また、排気ガスセンサ1の第一及び第二の
ヒータ2及び5は、例えば共通のヒータ通電回路72を
介してマイクロプロセッサ51に接続されている。図2
0(a)にヒータ通電回路72の一例を示している。該
ヒータ通電回路72は、マイクロプロセッサ51から与
えられるヒータ制御値をアナログ変換するD/A変換器
80と、これに接続された電流増幅用のトランジスタ8
2とを備え、このトランジスタ82にヒータ2及び5が
接続されている。トランジスタ82は能動領域で作動
し、与えられるヒータ制御値に応じてヒータ2,5の通
電電流を増加させる。
【0110】一方、図20(b)は、PWM(pulse wi
dth modulation)制御方式を採用したヒータ通電回路7
2の例を示すものである。この回路72の主体をなすの
はPWM制御回路85であり、マイクロプロセッサ51
から与えられるヒータ制御値をアナログ変換するD/A
変換器86と、三角波(あるいはのこぎり波)発生回路
87と、それらD/A変換器86及び三角波発生回路8
7からの出力がそれぞれ入力される単電源オペアンプ8
8とを含んで構成されている。単電源オペアンプ88
は、ヒータ制御値と三角波入力値との大小関係に応じて
ゼロ及びゼロでない所定電圧Vのいずれかを出力するコ
ンパレータとして作動する(本実施例では、三角波入力
値が大きい場合に+V、ヒータ制御値が大きい場合にゼ
ロが出力されるものとする)。以下、オペアンプ88を
コンパレータ88とよぶ。
【0111】また、図20(c)は、三角波発生回路8
7の一例を示すものであり、その要部はコンパレータと
して機能するオペアンプ89と、オペアンプ98と抵抗
器97及びコンデンサ99とからなる積分回路100と
からなる。オペアンプ89は、図中A点とB点の電圧加
算値が正であるか負であるかに応じて、それぞれ正負の
最大電圧を出力する。そして、このオペアンプ89の出
力電圧は、ダイオード群92〜95とツェナーダイオー
ド96により、0Vに対する正負の電圧が一定値VZDの
方形波となり、これが積分回路100によって0Vに対
する正負の最大振幅がVZDの三角波に変換される。な
お、三角波の周期λ(図21)は、積分回路100の抵
抗器97の抵抗値とコンデンサ99の容量に応じて調整
できる。発生した三角波は、オペアンプ101により所
定の振幅に増幅されて図20(b)のコンパレータ88
に出力される。
【0112】図21は、PWM制御回路85の作動説明
図であり、コンパレータ88の入力において、ヒータ制
御電圧値Viが三角波入力Vtよりも小さくなっている期
間においてはコンパレータ88の出力は+Vとなり、そ
うでない場合は0となる。これにより、コンパレータ8
8はデューティ比が{(Vi+Vmax)/2Vmax}×λ
(ただし、−Vmax≦Vi≦+Vmax、Vmaxは三角波入力
の最大振幅)のPWM波を出力することとなる。このP
WM波出力により図20(b)のトランジスタ82が高
速でスイッチングされ、ヒータ2,5は上記デューティ
比により断続的に通電される。そして、このデューティ
比がヒータ制御電圧値Viに応じて変化することによ
り、ヒータ2,5の発熱が調整される。
【0113】次に、図18に示すマイクロプロセッサ5
1は、周辺回路50aとの間の出入力インターフェース
となるI/Oポート52と、これに接続されたCPU5
3、RAM54、ROM55及びクロック回路56等に
より構成されている。そのRAM54には、CPU53
のワークエリア54aと、後述する処理において取り込
まれる各種測定値のデータ、あるいは後述する制御処理
の過程で生ずる各種カウンタ値を格納するための測定値
メモリエリア54bが形成されている。また、ROM5
5には、センサシステム50の被検出成分の出力値決定
の演算とその出力制御を司る制御プログラム55aと、
該制御プログラム55aが使用する補正参照情報55b
(内容については後述する)が格納されている。また、
CPU53は、クロック回路56が発する一定周期のク
ロックパルスのカウントにより、後述の処理において使
用される時間計測のためのタイマー機能を実現する。
【0114】以下、センサシステム50の作動につい
て、マイクロプロセッサ51のCPU53からみた処理
の流れにより説明する。図30〜図32はそのフローチ
ャートを示している。まず、図30のS1において、排
気ガスセンサ1の活性化処理を行う。活性化処理の目的
は、ヒータ2,5の通電を開始し、酸素ポンプ素子3と
酸素濃淡電池素子4とを所定の作動温度に安定化させる
ことにある。そして、素子温度の検出は、酸素濃淡電池
素子4の内部抵抗を測定し、その内部抵抗値RVSが図2
4(a)に示すように一定の温度依存性を示すことを利
用して行う。
【0115】その処理の詳細を図31に示している。す
なわちS101において、ヒータ通電回路72に制御値
Viとして所期設定値Vh0を設定する。このとき、アナ
ログスッチ回路60のSw1〜Sw3は全てオフとし、オ
ペアンプ61も非作動状態とする。この状態で、S10
2でヒータ通電回路72に対し、ヒータ制御電圧値Vi
の初期設定値Vh0を出力することでヒータの通電が開始
される。そして、S103において通電開始から一定時
間t0が経過したら、温度制御処理に入る。まずS10
4で、図18のアナログスイッチ回路60のSw2をオ
ンとし、S105で活性化判断カウンタ値Nをクリアす
る。
【0116】次いで、S106に進み、酸素濃淡電池素
子4の第三電極13側の電圧VSの値をA/D変換器7
1(図18)を介して取り込み、S107でそのVSの
値から酸素濃淡電池素子4の内部抵抗RVSを算出する。
すなわち、Sw1がオフであり、オペアンプ61も非作
動であるから、定電流電源73(電流Ic:内部抵抗検
出用電流)の作動により酸素濃淡電池素子4に対し図2
2に示す通電経路が形成される。ここで、酸素濃淡電池
素子4の第二電極12側が接地されていることから、第
三電極13側の電圧VSは、酸素濃淡電池素子4の内部
抵抗をRVSとして、 VS=IC×RVS‥‥‥(1) で表される。ここで、VSは酸素濃淡電池素子4に印加
される電圧情報としての意味を持ち、内部抵抗値RVS
は、 RVS=VS/IC‥‥‥(2) で求めることができる。なお、厳密には電圧VSには酸
素濃淡電池素子4の濃淡電池起電力Emが重畳されてい
るのであるが、本活性化処理においては電流Icが十分
大きく、濃淡電池起電力Emは酸素濃淡電池素子4にか
かる分圧に比べて無視できるものとして、その補正は行
っていない。ただし、後述する方法により補正を行って
もよい。
【0117】前述の通り、図24(a)に示すように、
RVSの値は酸素濃淡電池素子4の素子温度Tと一定の関
係を有しており、該関係を補正参照情報55bとしてR
OM55(図18)に記憶しておけば、RVSの値から素
子温度Tを決定することができる。また、RVSの値その
ものを温度情報として使用することもできる。本実施例
では、説明をわかりやすくするために、図24(b)に
示すように、各種内部抵抗RVSの値と素子温度Tの値と
を互いに対応付けて示すマップ301がROM55に記
憶されており、このマップ301を参照して補間法によ
りRVSに対応する温度Tを求めるようにしている(S1
07)。なお、算出された内部抵抗RVSの値は、図18
の測定値メモリエリア54bに格納され、新たな内部抵
抗RVSの検出・算出が行われた場合は上書き更新され
る。
【0118】この決定された素子温度Tが、上限値Tma
x、下限値Tminの設定温度範囲内に入っているか否かが
S108、S110で判断される。素子温度Tが上限値
Tmaxよりも大きくなっている場合は、ヒータ制御電圧
値Viが一定の値ΔViだけ減少してヒータ2,5の発熱
が抑制され、逆に下限値Tminを下回っている場合には
ヒータ制御電圧値ViがΔViだけ増加してヒータ2,5
の発熱が促進される(S109,S111)。また、T
min≦T≦TmaxであればVi現状の値が維持され、活性
化判断カウンタ値Nをインクリメントする(S112,
S113)。
【0119】そして、活性化判断カウンタ値Nの値が、
例えば設定値NSに到達するまで、上記S106〜S1
13の処理を一定の時間間隔taで繰返し(S114,
S115)、NがNSに到達すれば、素子温度Tはほぼ
上記設定温度範囲内に維持されたものとみなし、図18
においてアナログスイッチ回路60のSw2をオフ、S
w1をオンとし、さらにオペアンプ61を作動状態とし
て所定時間twだけウォームアップした後、活性化処理
が終了する(S116,S117)。
【0120】図30に戻り、活性化処理S1が終了する
とS2に進み、酸素ポンプ素子3のポンプ電流Ipの検
出を開始する。この状態では、アナログスイッチ回路6
0は、Sw1のみがオンとなっているから、通電経路は
図19に示す通りとなる。この状態におけるセンサ1の
作動について以下に説明する。
【0121】すなわち、センサ1が排気ガスと接触する
に伴い、隙間15内では被検出成分としてのメタン等の
炭化水素(以下、HCと記す)と酸素とが反応すること
で、酸素濃度が減少し、酸素濃淡電池素子4には第三電
極13側を正とする濃淡電池起電力Emが発生する。こ
こで、オペアンプ61に入力される起電力目標値ECが
例えば0であるとすれば、Em−EC>0であるから、オ
ペアンプ61の出力電圧−A1(Em−EC)は負とな
り、酸素ポンプ素子3には第一電極11側が負となるよ
うに電圧が印加され、酸素ポンプ素子3には隙間15に
酸素を汲み込む方向にポンプ電流Ipが流れる。する
と、酸素ポンプ素子3による隙間15への酸素の汲み込
みが進み、濃淡電池起電力Emは次第に小さくなるか
ら、酸素ポンプ電流Ipは小さくなる方向に制御され
る。その結果、最終的には濃淡電池起電力Emはほぼ0
に近づくように酸素ポンプ電流が制御され、そのときの
酸素ポンプ電流Ipの平衡値から被検出成分の濃度を知
ることができる。ポンプ電流Ipの信号は、前述の通り
オペアンプ64により電流検出用抵抗器62の両端電圧
の差を取ることで電圧信号に変換され、A/D変換器7
0でデジタル化されてマイクロプロセッサ51に入力さ
れる。しかしながら、起電力目標値ECは実際には必ず
しも0に設定されるとは限らない。その理由について以
下に説明する。
【0122】まず、濃淡電池起電力が0であるというこ
とは、理論上は酸素濃淡電池素子4の両側(すなわち、
隙間15及び16)の酸素濃度が等しくなっていること
を意味する。このことは、ポンプ電流が隙間15と16
とにおける被検出成分の消費量の差に直接的に対応して
いることも意味するから、被検出成分の濃度を精度よく
検出でき、また検出結果の解析も容易になる。しかしな
がら通常は、隙間15及び16の酸素濃度が等しくなっ
ても、酸素濃淡電池素子4の起電力は実際には0にはな
らず、一定のオフセット起電力が残ることが多い。この
場合は、上記オフセット起電力に対応する起電力目標値
ECを10mV以下の範囲で設定し、濃淡電池起電力の
絶対値が該起電力目標値ECに到達したときの酸素ポン
プ素子3に流れる電流値を検出信号として採用すること
で、排気ガス中の被検出成分の濃度をより正確に検出で
きる。
【0123】また、酸素濃淡電池素子4のオフセット起
電力は、検出に係る排気ガス中の酸素濃度が低くなるほ
ど変動しやすくなり、一定以下の酸素濃度におけるオフ
セット起電力を基準として起電力目標値ECを設定する
と、センサ出力が排気ガス中の酸素濃度の影響を受けや
すくなる。そこで、酸素を例えば1体積%以上(望まし
くは10体積%以上)含有し、かつセンサ作動温度にお
いて酸素と反応する成分を実質的に含有しない試験ガス
を、隙間15及び16にそれぞれ導入したときのオフセ
ット起電力の絶対値をEOS(単位:mV)とし、これを
基準として起電力目標値ECを(EOS−5)mV以上
(EOS+5)mV以下の範囲内で設定することが有効で
ある。
【0124】この起電力目標値ECの変更・調整は、前
述の通り電源回路65の可変抵抗66dの調整により行
うことができる。なお、酸素濃淡電池素子4のオフセッ
ト起電力は、酸素濃淡電池素子4毎に互いに異なる値と
はなっても、同一の酸素濃淡電池素子4においては比較
的長期に亙って安定した値を示し続けることが多い。そ
こで、可変抵抗66dは、例えば装置50の出荷時等に
おいて、使用されている酸素濃淡電池素子4の固有のオ
フセット起電力に対応して一旦抵抗値を調整してしまえ
ば、後は変更の必要性がなくなることも十分に考えられ
る。この場合は、可変抵抗66dを半固定抵抗器により
構成しておけば便利である。
【0125】さて、図30に戻り、ポンプ電流Ipの値
が検出されたら、このポンプ電流Ipに対応する被検出
成分の濃度を決定する。しかしながら、ポンプ電流Ip
の値は素子温度Tによって変動するから、以下のように
して補正を行う。まず、RAM54(図18)に記憶さ
れている酸素濃淡電池素子4の内部抵抗値RVSの値を読
み込んで、対応する温度Tを前述のマップ301(図2
4)を参照して決定する(図30:S3)。そして、ポ
ンプ電流Ipの値に対する各温度毎のポンプ電流補正量
ΔIpは、例えば図25(b)に示すような形で実験的
に決定することが可能であるから、各ΔIpの値と素子
温度Tの値とを互いに対応付けて示すマップ302をこ
れに基づいて作成し、これをROM55(補正参照情報
記憶手段)に記憶しておけば、各ポンプ電流補正量ΔI
pはこのマップ302(温度偏差−ポンプ電流補正量関
係情報)を参照して補間法によりに決定することができ
る(図3:S4)。なお、図29(a)に示すように、
内部抵抗値RVSとポンプ電流補正量ΔIpとを直接対応
させたマップ302aを記憶しておき、内部抵抗値RVS
の値から直接補正量ΔIpを決定するようにしてもよ
い。
【0126】次いでS5に進み、ポンプ電流補正量ΔI
pを実測されたポンプ電流Ipに加算してこれを補正する
とともに、その補正後のポンプ電流Ip’に対応する被
検出成分濃度としての炭化水素濃度CHCを決定する。す
なわち、各種ポンプ電流Ip’の値に対する炭化水素濃
度CHCの値は、例えば図27に示すような、ポンプ電流
Ip’と炭化水素濃度CHCとの関係を与えるマップ30
4(ROM55に記憶されている)を参照して、補間法
により決定することができる。こうして、炭化水素濃度
CHCが決定されれば、S6において、これを温度補償さ
れた濃度検出値として出力する。以降はS2に戻って以
降の処理が繰り返される。
【0127】なお、図29(b)に示すように、素子温
度Tの各種値毎に、ポンプ電流Ipと炭化水素濃度CHC
とを互いに対応付けて示した二次元的なマップ302b
(ポンプ電流情報−被検出成分濃度関係情報)により、
検出されたポンプ電流Ipの値と素子温度Tの値との組
に対応する炭化水素濃度CHCの値を、二次元補間により
直接的に決定するようにしてもよい。また、あるいは上
述の方法により温度補償を行ったポンプ電流Ipの値を
そのまま出力するようにしてもよい。
【0128】次に、素子温度Tは、活性化処理の際に設
定された後も、上記炭化水素濃度の検出処理と並行して
その制御が継続される。その処理の流れを図32に示し
ている。なお、この処理ルーチンは、図30のルーチン
に対する割り込み処理ルーチンとして、クロックパルス
(クロック回路56(図18)による)に基づく時間計
測によりCPU53が周期的に実行するものである。該
実行の周期であるが、例えば0.3〜1msの範囲で設
定することができる。実行周期が1msを超えると、温
度測定ひいてはセンサによる濃度検出精度が十分確保で
きなくなる場合がある。一方、0.3ms未満になる
と、CPU53の処理時間に占める温度測定処理の比率
が大きくなり過ぎ、酸素ポンプ素子の作動停止時間が長
くなって濃度検出精度が十分確保できなくなる場合があ
る。ただし、CPU53としてクロック周波数の高いも
のなど、高速処理の可能なものを採用することで、実行
周期を上記値以下とできる可能性もある。なお、図23
に、その処理におけるアナログスイッチ回路60のSw
1〜Sw3の作動タイミング図を、検出される濃淡電池素
子4の第三電極13側の電圧信号VSと対応付けて示し
ている。
【0129】まず、S201において、図18のアナロ
グスイッチ回路60のSw1をオンしたままの状態で、
酸素濃淡電池素子4の第三電極13側の電圧信号VSを
読み込み、これを検出値VS1としてRAM54の測定値
メモリエリア54bに格納する。この電圧信号VSは、
オペアンプ61に入力される濃淡電池起電力Emに対応
する値となる。次いで、S202で、Sw1をオフと
し、代わってSw2をオンとする。すると、通電経路は
図22に示す状態となり、酸素濃淡電池素子4に内部抵
抗検出用の定電流ICが通電される。そして、定電流IC
の通電開始から一定時間t1だけ経過後に電圧信号VSを
読み込み、これを検出値VS2としてRAM54の測定値
メモリエリア54bに格納する(S203,S20
4)。前述の通りこのときの電圧信号VSは、酸素濃淡
電池素子4の内部抵抗を反映したものとなるが、ここに
は該酸素濃淡電池素子4の濃淡電池起電力Emが重畳な
いし含まれた形になっている。そこで、VS2とVS1との
差をとることにより、濃淡電池起電力Em成分の影響を
取り除くことができる(S209)。
【0130】ここで、定電流ICの通電開始から一定時
間t1だけ経過後にVSを測定しているのは次の理由によ
る。すなわち、酸素濃淡電池素子4に定電流ICを通電
すると、酸素濃淡電池素子4内においてその通電と逆方
向(すなわち隙間16側から15側へ向かう方向)に酸
素が輸送され、酸素濃淡電池素子4両側の酸素濃度に変
化を生ずる。その結果、図23に示すように、濃淡電池
起電力EmひいてはVSの値も電流ICの通電継続に伴い
変化する。ここで、内部抵抗測定の精度を確保するため
には、通電により不可避的に生ずるVSの変化を常にほ
ぼ一定のものとすることが大切である。そして、内部抵
抗測定用電流として一定の電流ICが使用されるわけで
あるから、VS測定までの通電時間が常にt1となるよう
に制御すれば、それによる酸素輸送量すなわち酸素濃淡
電池素子4両側の酸素濃度変化もほぼ一定となり、濃淡
電池起電力EmひいてはVSの変化をほぼ一定とすること
ができる。なお、アナログスイッチ回路60のスイッチ
ング速度が十分速く、通電経路切替え後の電流レベルの
安定化も十分速い場合には、定電流ICの通電開始直後
にVSを測定するようにしてもよい。
【0131】次に、定電流ICの通電により、酸素濃淡
電池素子4両側の酸素濃度変化が生ずることにより、別
の問題として、排気ガスセンサ1が炭化水素濃度の測定
に復帰した際に、その酸素濃度の変化が被検出成分濃度
の測定精度に影響を及ぼす場合がある。また、酸素濃淡
電池素子4の内部抵抗値が高い場合には、酸素濃淡電池
素子4内の酸素イオンが移動しにくくなって、電流通電
に伴い分極を生ずることもある。この問題を解決するた
めに、本実施例では次のような方式を採用している。す
なわち、図32のS205〜S208において、VSの
検出後さらに一定時間t2が経過後にSw2をオフとして
定電流ICの通電が終了する一方、代わってSw3をオン
とすることにより、極性が逆の定電流電源74(修正電
流通電手段)によりICとは逆方向で大きさが同じ修正
電流IAを、ICの合計通電時間t1+t2にほぼ等しい時
間t3だけ通電し、その後Sw3をオフとする。これによ
り、酸素濃淡電池素子4において上記とは逆向きにほぼ
同量の酸素が輸送され、IC通電により隙間16側から
隙間15側汲み込んだ酸素がいわば汲み戻される形とな
り、変化した酸素濃度が内部抵抗測定前の状態に近づけ
ることができる。なお、酸素濃淡電池素子4の内部抵抗
測定用の電流ICの通電時間を十分短くできる場合な
ど、酸素濃淡電池素子4両側の酸素濃度変化に及ぼす影
響が小さいと判断できる場合には、図34に示すよう
に、修正電流IAを発生するための定電流電源74を省
略することも可能である(なお、これに対応してアナロ
グスイッチ回路60も、スイッチチャンネル数の少ない
ものを用いればよい)。
【0132】図32に戻り、修正電流IAの通電が終了
すれば、前述の通りS209でVS2とVS1との差ΔVS
を算出し、そのΔVSをVSとみなすことで前述の(2)式
によりRVSを算出する。以下、RVSから素子温度Tを決
定し、それに基づいてヒータ制御電圧値Viを決定する
S210〜S215に至る処理は、図31のセンサ活性
化処理のS107〜S112に至る処理とほぼ同一であ
るので、説明を省略する。その後、S216で時間t4
だけ待機した後、S217でSw1をオンとし、内部抵
抗測定処理は終了する。以降は、再び図30の炭化水素
濃度の測定処理ルーチンの実行となる。素子温度Tの測
定値は該内部抵抗測定処理が行われる毎に更新され、常
にその更新された素子温度Tの情報が、図30の炭化水
素濃度の測定処理ルーチンにおいても使用される。ま
た、ヒータ温度も、素子温度Tの測定値に基づいて定期
的に補正されることとなる。
【0133】これにより、ヒータ2,5により酸素濃淡
電池素子4の温度が設定値に精度よく保持され、排気ガ
ス中の炭化物濃度の測定精度が向上する。また、図25
に示すように、自動車エンジン等において急加減速を行
った場合に排気ガス温度が急激に変化し、これに対応し
て酸素濃淡電池素子4の温度Tが急激に変化した場合で
も、酸素ポンプ電流Ipの温度変化分を補正することに
より、素子温度Tの復帰を待たなくても、比較的精度の
高い炭化物濃度の測定を続行することが可能となる。
【0134】なお、内部抵抗測定処理は、炭化水素濃度
の測定処理ルーチンに対する割り込みルーチンとするの
ではなく、該測定処理ルーチンのサブルーチンとして実
行させることもできる。この場合のフローチャートの例
を図33に示す。S1〜S6の炭化水素濃度の決定・出
力処理は図30と全く同じであるが、異なる点はS30
1〜S303のステップを追加することにより、1回終
了する毎に測定カウンタNmをカウントアップするよう
になっている点である。そして、S302でNmが一定
のカウント数Nqに到達した場合に、S304として図
32に示したものと全く同一の内部抵抗測定処理が実行
される。なお、内部抵抗測定処理実行後は、S301へ
戻って測定カウンタNmが1に戻り、以下同様の処理が
繰り返される。この方法においては、内部抵抗測定処理
が定期的に行われる点では変わりはないが、必ずしも一
定の時間間隔ではなく、炭化水素濃度の測定処理が一定
回数終了する毎に実行される点に特徴がある。こうすれ
ば、炭化水素濃度の測定処理が内部抵抗測定処理のため
に中断されることがなくなり、エラー等の発生頻度も少
なくなる。
【0135】また、図28に示すように、内部抵抗RVS
の各種値と対応付けて、ヒータ通電回路72に与えるべ
き制御電圧値Viの値を記憶したマップ305を記憶し
てき、これを参照することにより、内部抵抗RVS(すな
わち素子温度T)の値に応じて、現在の電圧値とは無関
係に該制御電圧値Viの値を決定するようにしてもよ
い。
【0136】さらに、定電流発生回路を図18に示す7
3と74との2台を用いる代わりに、図示しない極性切
替え回路を用いて1台のものを随時極性を切り替えて使
用するようにしてもよい。また、マイクロプロセッサ5
1側から指令された電流値及び極性により、その内容に
応じた電流を発生できる回路を用いてもよい。その一例
を図35に示している。すなわち、該構成では、定電流
発生回路73,74に代えて電圧・電流変換回路189
が用いられている。
【0137】この回路189においては、マイクロプロ
セッサ51からの電流指示電圧ViがD/A変換器(ダ
イポーラ型のもの)190を介してオペアンプ191に
入力されるとともに、オペアンプ191の出力側には電
流検出用の抵抗器195が接続され、さらに該オペアン
プ191の出力による抵抗器195での電圧降下がボル
テージホロワ192を介してフィードバックされるよう
になっている。これにより、抵抗器195での電圧降下
すなわち電流値IOは、接続される負荷に関係なく、入
力電圧Viに応じた一定値に保持される。なお、図にお
いて抵抗器193及び194の抵抗値をそれぞれRf、
Rkとし、抵抗器195の抵抗値をRSとすれば、 IO=(Vi×Rf)/(Rk×RS)‥‥‥(3) となる。この場合、所定の電流指示電圧Viにより内部
抵抗測定用の電流ICを発生させるとともに、修正電流
は、電圧Viとは逆極性の電流指示電圧Vi’を与えるこ
とにより、電流ICとは逆方向の電流として発生させる
こともできる。また、発生させるべき電流レベル及び通
電時間も、マイクロプロセッサ51側からの電流指示電
圧値及びその出力時間を変更することにより、自由に設
定することができる。
【0138】以下、本発明の装置に使用される排気ガス
センサについて、各種可能な変形態様を例示する。
【0139】まず、酸素ポンプ素子3の外側電極側は、
排気ガス雰囲気から隔離して、ここに大気を導入するよ
うにしてもよい。また、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電
池素子4の各電極10〜13の材質の組合せは、酸素濃
淡電池素子4の両側で、被検出成分の酸化による消費量
に差が生ずるものであれば、図36(a)に示す上述の
組合せ以外にも各種採用することができる。図36
(b)においては、酸素ポンプ素子3の外側電極10を
酸化触媒活性の低いAu多孔質電極で構成した例であ
る。また、(c)及び(e)は、隙間15に面する第一
電極11及び第二電極12の一方をAu多孔質電極で構
成した例である。また、(d)は、第一電極11及び第
二電極12をいずれも酸化触媒活性の低いAu多孔質電
極で構成し、第三電極13を酸化触媒活性の高いPt多
孔質電極で構成した例である。この場合、被検出成分の
消費量は隙間16側において15側よりも高くなり、酸
素ポンプ素子3は隙間15から酸素を汲み出すように作
動することとなる。(f)は、該構成で第一電極11を
Au多孔質電極で置き換えた例である。
【0140】一方、酸化触媒活性の低い電極は、図37
(a)に示すように、Pt、Rh、Pd、Ir等、高活
性金属グループに属するもので多孔質電極の本体部10
1を形成しておき、その排気ガスとの接触表面側に、触
媒不活性な材料(例えば、Au又はAgを主体とする金
属などの低活性金属グループに属するもの、あるいはS
nO2、ZnO、In23、WO3、Bi23等の酸化
物)によるコーティング102を施して最終的な電極と
してもよい。
【0141】この場合、上記コーティング102は、例
えば図37(b)に示すように、上記触媒不活性な材料
粒子を含んだペーストを本体部101上に塗付して再焼
成する方法により形成したり、あるいは同図(c)に示
すように、真空蒸着やスパッタリング等の気相製膜法に
より形成することができる。なお、上記図37(b)な
いし(c)に示すように、多孔質に形成された本体部1
01には、多数の空隙Pが入り組んで形成されているた
め、コーティング102がそのような空隙Pの内面奥深
くにまで必ずしも形成されない場合もありうるが、被検
出成分と酸素との反応に対する触媒活性を十分に小さく
できるのであれば、そのような未コーティング部が形成
されていても差し支えない。
【0142】また、図38に示すように、酸素ポンプ素
子3と酸素濃淡電池素子4との間に形成される隙間15
には、金属メッシュ又は多孔質金属(例えばPt製のも
の)で構成されたガス保持部材160を介挿することが
できる。なお、上記ガス保持部材160を金属メッシュ
で構成する場合、その網目の形成密度が100〜500
メッシュのものを使用することが望ましい。
【0143】次に、図1等に示した排気ガスセンサ1に
おいては、酸素ポンプ素子3と酸素濃淡電池素子4との
間の隙間15は、これをなるべく小さくして(望ましく
は1mm以下)当該隙間15による新たな排気ガスの流
入規制効果をなるべく高めることが、センサ1の検出精
度を向上させる上で有利である。逆に言えば、該隙間1
5の寸法が大きすぎると、触媒活性を有した電極(本実
施例では第二電極11及び第三電極12)上でのHCと
酸素との反応が不安定化し、酸素濃淡電池起電力が小さ
くなってセンサ出力が十分に得られなくなることもあり
うる。しかしながら、上記素子3,4間の隙間15の量
を小さくし過ぎると、今度は焼成により酸素ポンプ素子
3及び酸素濃淡電池素子4を製造した際に、焼成時の僅
かな変形が隙間15の形成量に大きな影響を及ぼし、セ
ンサ個体間での出力のばらつきが生じやすくなる場合が
ある。以下、これを解決するために有効なセンサ構造に
ついて説明する(なお、既に説明したセンサ構造と共通
の部分については同一の符号を付してその詳細な説明は
省略する)。
【0144】すなわち、図56に示す排気ガスセンサ4
00においては、酸素濃淡電池素子4と酸素ポンプ素子
3との間に、壁部形成体としてのスペーサ部401が介
挿され、そのスペーサ部401の電極11及び12に対
応する位置には、厚さ方向にこれを貫通する窓部401
aが形成されている。スペーサ部401は該窓部401
aにより、電極11,12の周囲を取り囲む壁部401
bを形成する。そして、その壁部401bの内面と酸素
濃淡電池素子4及び酸素ポンプ素子3の各対向面とによ
って囲まれた空間が測定室403(隙間15)とされて
いる。そして、上記測定室403に対応する位置におい
て壁部401bと酸素ポンプ素子3との間には、該酸素
ポンプ素子3の幅方向両側においてそれぞれ測定室40
3と外側の被検出雰囲気とを連通させる拡散流通規制部
としてのスリット402が形成されている。
【0145】図56(c)に示すように、該スリット4
02は、第二電極12の幅方向両側において壁部401
bの酸素ポンプ素子3との積層面側部分を一定厚さ切り
欠いた形態で形成されており、同図(a)に示すよう
に、電極12の対応する縁に沿って酸素ポンプ素子3の
長手方向に延びている。また、その幅dは測定室403
の高さhよりも小さく設定されており、具体的にはd/
hが1/100〜1/4、より望ましくは1/20〜1
/8の範囲で設定されている。また、スリット幅dの絶
対値は、0.01〜1.0mm、より望ましくは0.0
2〜0.05mmの範囲で設定されている。さらに、ス
リット402内の空間体積Vに対するスリット内周面の
面積の比S/Vは4〜100、望ましくは20〜50の
範囲で調整されている。なお、該スリット402は、同
様の形態で壁部401bと酸素濃淡電池素子4との間に
形成してもよい。
【0146】スペーサ部401(壁部401b)は、酸
素濃淡電池素子4に対してはその積層面のほぼ全面にお
いて、また、酸素ポンプ素子3に対しては、上記スリッ
ト402の形成領域を除いて同様にその積層面のほぼ全
面において、それぞれ焼成により一体化されている。ま
た、第一のヒータ2及び第二のヒータ5は、スペーサ6
及び8を介して酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子
4に対しそれぞれ積層されている。
【0147】上記排気ガスセンサ400の要部をなす酸
素ポンプ素子3、スペーサ部401及び酸素濃淡電池素
子4の一体積層体は、例えば図5等に示すのと同様の方
法により、それぞれ上記各部3,401,4となるべき
セラミックグリーンシート(成形体)を積層して焼成す
ることにより製造することができる。このとき、酸素ポ
ンプ素子3となるべきグリーンシート(セラミック成形
体)と、スペーサ部となるべきグリーンシートとの間に
おいてスリット402の形成が予定された領域に、焼成
温度で焼失する材料(例えばカーボンペーストなど)で
形成された所定厚さの層を挟みこんでおけば、焼成時に
この層が焼失して上記スリット402を簡単に形成する
ことができる。
【0148】上述のセンサ構造によれば、測定室403
の高さh(すなわち隙間15の大きさ)をある程度以上
に大きくした場合でも、排気ガスはスリット402にお
いて拡散を規制されつつ測定室403に流入し、また測
定室403に導入された後は同じくスリット402を通
って拡散を規制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。
従って、一旦導入された排気ガスの測定室403内での
滞留時間が長くなり、その間に被検出雰囲気中の排気ガ
ス組成(特に酸素あるいは水蒸気量)が変化しても、測
定室内のガスへの影響が小さくなるので、センサ400
の出力が向上し、ひいてはセンサ400の検出精度を高
めることができる。また、酸素ポンプ素子3及び酸素濃
淡電池素子4とは、スペーサ部401を介して一体化さ
れているから、センサ400の機械的強度が高められて
いる。
【0149】なお、同様の構成の測定室は、酸素濃淡電
池素子4の第三電極13側にも形成することができる。
図57は、その一例を示している。すなわち、同図のセ
ンサ400においては、窓部404aを有した第二電極
12側と同様のスペーサ部404を介して、隙間形成部
材としての隙間形成用セラミック板406が一体化され
ており、そのスペーサ部404による壁部404bの内
面と、酸素濃淡電池素子4及び隙間形成用セラミック板
406の各対向面とによって測定室407が形成されて
いる。また、この測定室407に対応する位置において
壁部404bと酸素濃淡電池素子4との間には、第二電
極12側と同様のスリット405が形成されている。ま
た、第二ヒータ5は隙間形成用セラミック板406に積
層されている。該構成により、さらに安定で高出力のセ
ンサを実現できる。
【0150】なお、スリットに代えて小孔により拡散規
制流通部を構成することもできる。例えば、図62に示
す例おいては、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子
4の板面方向において壁部401bを貫く小孔410
が、第一及び第二電極11,12の周方向に沿って所定
の間隔で複数形成されている。一方、図63に示す例に
おいては、酸素濃淡電池素子4を厚さ方向に貫く小孔4
10が、第三電極13の周縁に沿って所定の間隔で複数
形成されている。
【0151】次に、図58に示す構成においては、酸素
濃淡電池素子4に上記スペーサ部401が焼成により一
体化される一方、酸素ポンプ素子3は一体化せずに分離
して構成した例を示す。この場合、スリット402は、
酸素ポンプ素子3の板面と壁部401bの対向面との間
に形成されることとなる。また、第一のヒータ2、酸素
ポンプ素子3、酸素濃淡電池素子4及び第二のヒータ5
がスペーサ6〜8を介して積層されて積層体31が形成
されるとともに、角型の貫通孔30aを有するセラミッ
クストッパ30が、積層体31に対し外側から嵌着され
ている。なお、図58に示すように、スペーサ7はスペ
ーサ部401と酸素ポンプ素子3との間に介挿され、両
者の間に所定の大きさのスリット402を形成する役割
を果たす。
【0152】上記排気ガスセンサ400の組み立ては、
例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、
図59(a)に示すように、素子2〜5をスペーサ6〜
8を介して積層して積層体31を作り、(b)に示すよ
うにこれにセラミックストッパ30を嵌着する。続い
て、(c)に示すように、素子2〜5の各接続端子に例
えばステンレス鋼製のリード線37を溶接により接合
し、さらに(d)に示すように、該積層体31を碍管3
2内に挿入し、その内側にガラス粉末を充填した後、こ
れを所定の炉で900〜1000℃に加熱してガラス粉
末を溶融させ、碍管32と積層体31との間をガラスシ
ールする。
【0153】そして、図60(a)に示すように、積層
体31が一体化された碍管32を主体金具34内に配置
し、また、碍管32と主体金具34との間にかしめ金具
36を挿入し、さらに碍管32の主体金具34からの露
出部分に外筒33を被せ、次いで主体金具34を外筒3
3に向けて加熱しながらかしめることにより、かしめ結
合部34aが形成され、主体金具34と外筒33とが一
体化される。続いて、同図(b)に示すように、シール
部材38と保護外筒39とが一体化された別のリード線
群37aを、それぞれ対応するリード線37に溶接する
(以下、一体化された両リード線に改めて符号37を付
与する)。そして、シール部材38と保護外筒39とを
リード線37上を滑らせてその末端部を外筒33内に挿
入し、両者の間をかしめることにより図60(c)に示
す状態となり、さらにプロテクタ35を主体金具34に
対して溶接により取付ければ、図60(d)に示すよう
に、排気センサ400の組み立てが完了する。
【0154】なお、この場合も図61に示すように、第
三電極13側にも測定室407を形成する構成が可能で
ある。すなわち、同図のセンサ400においては、酸素
濃淡電池素子4の第三電極13側に測定室407を形成
するためのスペーサ部404が一体化され、そのスペー
サ部404による壁部404bの内面と、酸素濃淡電池
素子4及び第二のヒータ5の各対向面とによって測定室
407が形成されている。また、スペーサ部404と第
二のヒータ5との間には、第二電極12側と同様のスリ
ット405が形成されている。該構成では、第二のヒー
タ5が隙間形成部材の役割を果たしている。
【0155】
【実施例】排気ガスセンサについて、下記の実験を行っ
た。 (実施例1) 実験1 Y23粉末とZrO2粉末とを含有するセラミックグリ
ーンシートを円板状に打抜き、その片面に、Pd(52
重量%)−Ag(48重量%)からなる合金粉末ないし
Au粉末にZrO2粉末を所定量配合したペースト(い
ずれも金属粉末の平均粒径1.0μm)により円形の電
極パターンを形成し、これを温度1470℃で焼成し
て、直径12mm、厚さ1mmの、Y23を5モル%含有す
るZrO2焼結体からなる固体電解質の円板上に、直径
8mmの円板状のPd多孔質電極ないしAu多孔質電極を
形成した試料をそれぞれ作製した。次に、図39(a)
に示すように、ガスの入口171と出口172とを有し
た筒状体173内に各試料174を配置するとともに、
これを電気炉175により675〜850℃の各種温度
に保持した。そして、その状態で酸素300ppmと、
被検出成分としてのメタン350ppmと、水蒸気3%
とを含有して残部がアルゴンからなる試験ガスを、入口
171から流速100ml/分で導入し、これを出口1
72から排出させたときの、排出後の試験ガス中のメタ
ン濃度Cs(単位:ppm)を測定して、 η={(350−Cs)/350}×100(単位:
%) により定義されるメタン転換率ηを各温度にて求めた。
図40(a)に、メタン転換率ηの各温度毎の測定結果
を示す。すなわち、Au多孔質電極を用いた試料は転換
率ηがおおむね10%以下の低い値を示しているのに対
し、Pd多孔質電極を用いた試料はηが温度の上昇とと
もに増大し、700℃で両試料のηの差は約20%、7
50℃以上では30〜40%に達していることがわか
る。
【0156】実験2 次に、実験1と同一の材質及び寸法の固体電解質板の両
面に、外側電極及び第一電極として直径8mmの円板状の
Au多孔質電極を、実験1と同一の条件にて形成して酸
素ポンプ素子を作製した。また、同様の固体電解質円板
の一方の面に第二電極として直径8mmのPd多孔質電極
を、また他方の面に第三電極として直径3mmのAu多孔
質電極を形成して酸素濃淡電池素子を作製した。そして
両素子を、第一電極と第二電極とが対向するように、間
に100〜500メッシュのPtメッシュあるいはAu
メッシュを挟んで重ね合わせてセンサを作製した。
【0157】そして、図39(b)に示す回路に各素子
(すなわち、酸素ポンプ素子3及び酸素濃淡電池素子
4)を接続し、同図(a)に示す装置を用いて、Pd多
孔質電極とAu多孔質電極との間で実験1で測定したη
の差が最も大きくなる温度である750℃にこれを加熱
した。
【0158】図39(b)の回路200においては、上
記排気ガスセンサ1の酸素濃淡電池素子4の第二電極1
2と第三電極13とが、それぞれ非反転増幅器20(ポ
ンプ素子電圧調整手段、起電力検出手段)のマイナス端
子(接地端子)とプラス端子にそれぞれ接続される。こ
れにより、該素子4で生ずる濃淡電池起電力は、非反転
増幅器20の接地側に接続された抵抗器22の電気抵抗
値をR50、同じく負帰還接続された抵抗器21の電気抵
抗値をR51として、ゲインR51/R50で増幅される。
【0159】一方、非反転増幅器20の出力側は酸素ポ
ンプ素子3の第一電極11に接続されており、上記増幅
された濃淡電池起電力が酸素ポンプ素子3に印加され
る。ここで、酸素濃度は隙間16側で高くなるので、酸
素濃淡電池素子4には第三電極13側を正とする濃淡電
池起電力が生ずる。そして、その濃淡電池起電力は、非
反転増幅器20により極性反転せずに増幅され、酸素ポ
ンプ素子3の第一電極11に印加される。これにより、
酸素ポンプ素子3には第一電極11側を正としてポンプ
電流が流れることとなり、図中矢印で示すように、隙間
14内の酸素が隙間15側へ汲み込まれる。このポンプ
電流は、反転増幅器23(出力手段)の出力電圧によ
り、これが排気ガスEG中のメタン濃度を反映したセン
サ出力として取り出されることとなる。また、本実施例
では、該反転増幅器23の出力は、ゲイン1の反転増幅
器24(R4=R5)により極性反転されるようになって
いる。
【0160】上述のように回路接続した状態で、50〜
700ppmの各種濃度の被検出成分としてのメタン
と、300ppmの酸素と、3体積%の水蒸気と、残部
アルゴンからなる試験ガスを100ml/分の流速で流
通し、平衡時の酸素濃淡電池素子の起電力EMFを測定
するとともに、その起電力EMFが起電力目標値ECに
なるように酸素ポンプ素子を作動させ、そのポンプ電流
Ipを測定した。
【0161】その結果、図41に示すように、ポンプ電
流Ip(図中「●」で示す)は、試験ガス中のメタン濃
度に対してほぼ直線的に増大し、該Ipからメタン濃度
を検出できることがわかった。また、図40(b)に示
すように、メタン濃度を300ppmに固定して、セン
サ温度を650〜850℃で変化させて測定を行ったと
ころ、センサ出力は前述のηの差が最も大きくなる75
0℃近傍で最大値を示しており、ηの差がなるべく大き
くなる温度でセンサを作動させることが、センサ感度を
向上させる上で有効であることもわかった。なお、参考
のため、酸素ポンプ素子を作動させなかった場合の、酸
素濃淡電池素子の起電力を、各メタン濃度について測定
した(図41中「○」で示す)。その結果、試験ガス中
の酸素濃度に対してほぼ理論空燃比をなすメタン含有量
(約200ppm)の近傍で起電力は急増していること
がわかった。このことは、上記組成以上の領域では、メ
タンに対する酸化触媒活性が大きいPdで構成された第
二電極側(すなわち隙間側)でメタンのほぼ全量が酸化
により消費され、逆に酸化触媒活性の低いAuで構成さ
れた第三電極側(すなわち反対空間側)ではメタンがあ
まり消費されないために、酸素濃淡電池素子の両側で大
きな酸素濃度差が生じたことを意味するものである。な
お、酸素濃淡電池素子として、第二電極と第三電極とを
いずれもAu多孔質電極としたもの、及びいずれもPd
多孔質電極としたものを作製し、これを用いて同様の実
験を行ったところ、図42に示すように、これら試料で
はメタン濃度によらず起電力はほとんど生じなかった。
【0162】また、試験ガス中に、水蒸気(7.5
%)、炭酸ガス(10.0%)、一酸化窒素(284p
pm)、一酸化炭素(300ppm)のいずれかを妨害
ガスとして混在させたときの、ポンプ電流Ipのメタン
濃度依存性に及ぼす影響についても調べた。図43に結
果を示す通り、Ipのメタン濃度依存性は妨害ガスの影
響をほとんど受けず、メタン検出に対する選択性が良好
であることがわかる。
【0163】次に、試験ガス中のメタン濃度を350p
pmに固定し、酸素濃度を100〜800ppmの範囲
で各種変化させて同様の実験を行った結果を図44に示
す。すなわち、ポンプ電流Ipは試験ガス中の酸素濃度
によらずほぼ一定の値を示しており、センサ出力として
のIpに対する試験ガス中の酸素濃度の影響が小さいこ
とがわかる。
【0164】(実施例2)実施例1の実験1と同一の材
質及び寸法の固体電解質板の両面に、外側電極及び第一
電極として直径8mmの円板状のAu多孔質電極を、実験
1と同一の条件にて形成して酸素ポンプ素子を作製し
た。また、同様の固体電解質円板の一方の面に第二電極
として直径8mmのPdないしAuの多孔質電極(Auは
比較例)を、また他方の面に第三電極として直径3mmの
Au多孔質電極を形成して酸素濃淡電池素子を作製し
た。そして両素子を、第一電極と第二電極とが対向する
ように、間に100〜500メッシュのPtメッシュあ
るいはAuメッシュを挟んで重ね合わせてセンサを作製
した。
【0165】そして、図39(b)に示すものと同様の
回路に各素子(すなわち、酸素ポンプ素子3及び酸素濃
淡電池素子4)を接続し、同図(a)に示す装置を用い
て、850〜900℃に加熱しながら、0.3〜0.8
体積%の各種濃度の被検出成分としてのメタンと、0.
5体積%の酸素と、5体積%の水蒸気と、残部アルゴン
からなる試験ガスを該炉内に100ml/分の流速で流
通し、平衡時の酸素濃淡電池素子の起電力EMFを測定
するとともに、その起電力EMFが起電力目標値ECに
なるように酸素ポンプ素子を作動させ、ポンプ電流Ip
を測定した。また、ポンプ電流Ipは、図45に示すよ
うに、試験ガス中のメタン濃度に対してほぼ直線的に増
大し、該Ipからメタン濃度を検出できることがわかっ
た。
【0166】また、試験ガス中のメタン濃度を0.5%
に固定し、酸素濃度を0.3〜0.8体積%の範囲で各
種変化させて同様の実験を行った結果を図46に示す。
すなわち、ポンプ電流Ipは試験ガス中の酸素濃度によ
らずほぼ一定の値を示しており、センサ出力としてのI
pに対する試験ガス中の酸素濃度の影響が小さいことが
わかる。
【0167】また、酸素濃淡電池素子を酸素ポンプ素子
に対して上記とは反転させた状態、すなわちAu多孔質
電極が第二電極となり、Pd多孔質電極が第三電極とな
るように配置した状態で、メタン濃度を各種変化させた
試験ガスを用いて同様の実験を行った結果を図47に示
す。この場合は、酸素濃淡電池素子を反転させない図4
5の結果と比較して、Ipのメタン濃度に対する変化率
(勾配)が大きくなっており、センサの感度が向上して
いることがわかる。
【0168】(実施例3)図1及び図2に示す排気ガス
センサ1において、外側電極10、第一電極11及び第
二電極12をPt多孔質電極により、第三電極13をA
u多孔質電極により形成したものを作製した。ただし、
各素子2〜5に使用した固体電解質は上記実施例1及び
2と同じものを使用し、その寸法は4mm×45mm×0.
4mmとした。また、隙間14の高さを0.06mm、隙間
15の高さを0.15mm、隙間16の高さを0.07mm
とした。該センサ1を酸素を50〜250000pp
m、水蒸気10%、炭酸ガス10%、残部窒素からなる
試験ガス中に保持して素子3及び4が800℃になるよ
うにヒータ2,5により加熱した。なお、この時のヒー
タの温度は900℃であった。その状態で、酸素ポンプ
素子3に通電しない場合の酸素濃淡電池素子4に生ずる
起電力(オフセット起電力)EOSを各酸素濃度毎に測定
した。結果を図48に示す。すなわち、オフセット起電
力EOSは酸素濃度が10000ppm(1体積%)未満
では急増しているのに対し、10000ppm以上、特
に100000ppm以上ではほぼ1〜1.5mVの範
囲(大気中で1.22mV)で安定化していることがわ
かる。
【0169】次に、上記センサ1を排気管に取り付け、
設定センサ作動温度800℃、起電力目標値ECを−5
〜8.3mVの各種値として酸素ポンプ素子3を作動さ
せ、ここに酸素100〜1000ppm、水蒸気10
%、炭酸ガス10%、メタン0又は300ppm、残部
窒素からなる試験ガス(温度300℃)を12L/分の
流速で流通して、ポンプ電流Ip(センサ出力)を測定
した。結果を、各起電力目標値ECに対応するセンサ出
力の酸素濃度依存性の形で図49及び図50に示す。い
ずれのメタン濃度においても、EC=1.22mV(大
気中でのEOSに相当)、−1.8mV、0mV、3.7m
V及び4.2mV(EOS±5mVの範囲内)について
は、センサ出力の酸素濃度依存性は小さくなっているの
に対し、(EOS−5)mV以上(EOS+5)mV以下の
範囲から外れるEC=−5mV、5.1mV及び8.3m
Vでは、センサ出力の酸素濃度依存性が大きくなってい
ることがわかる。
【0170】(実施例4)実施例3と同一の排気ガスセ
ンサ1を排気管に取り付け、ここに酸素1000pp
m、炭酸ガス10%、メタン0〜500ppm、残部窒
素からなる試験ガスを4〜20L/分の各種流速で流通
して、ポンプ電流Ip(センサ出力)を測定した。結果
を、各流速に対応するセンサ出力のメタン濃度依存性の
形で図51に示す。すなわち、上記本発明のセンサ1は
メタン濃度に対して直線的な出力を示し、ガス流速の影
響も小さいことがわかる。
【0171】(実施例5)実施例3と同一の排気ガスセ
ンサ1を排気管に取り付け、ここに酸素100〜100
0ppm、炭酸ガス10%、メタン0〜500ppm、
残部窒素からなる試験ガスを12L/分の流速で流通し
て、ポンプ電流Ip(センサ出力)を測定した。結果
を、各酸素濃度に対応するセンサ出力の、メタン濃度依
存性の形で図52に示す。すなわち、上記本発明のセン
サ1はメタン濃度に対して直線的な出力を示し、酸素濃
度の影響も小さいことがわかる。
【0172】(実施例6)図56に示す排気ガスセンサ
400において、外側電極10、第一電極11及び第二
電極12をPt多孔質電極により、第三電極13をAu
多孔質電極により形成したものを作製した。ただし、各
素子2〜5に使用した固体電解質は上記実施例1及び2
と同じものを使用し、その寸法は4mm×45mm×0.4
mmとした。また、隙間14の高さを0.06mm、隙間1
5(すなわち測定室403)の高さhを0.4mm、スリ
ット402の幅dを0.05mm、隙間16の高さを0.
07mmとした。この排気ガスセンサ400を排気管に取
り付け、ここに酸素1000ppm、炭酸ガス10%、
メタン0〜500ppm、水蒸気0又は10%、残部窒
素からなる試験ガスを12L/分の流速で流通して、ポ
ンプ電流Ip(センサ出力)を測定した。結果を、各水
蒸気量に対応するセンサ出力の、メタン濃度依存性の形
で図53に示す。すなわち、上記本発明のセンサ1はメ
タン濃度に対して直線的な出力を示し、またガスを10
%加湿してもその影響は小さいことがわかる。
【0173】(実施例7)実施例3と同一の排気ガスセ
ンサ1を排気管に取り付け、ここに酸素1000pp
m、炭酸ガス10%、メタン0〜500ppm、水蒸気
0又は10%、残部主に窒素からなり、さらに一酸化窒
素(270ppm)、一酸化炭素(270ppm)、プ
ロピレン(270ppmC(ppmCは炭素換算濃度を
示す))のいずれかを妨害ガスとして混在させた試験ガ
スを12L/分の流速で流通して、ポンプ電流Ip(セ
ンサ出力)を測定した。結果を、各妨害ガス成分毎のセ
ンサ出力のメタン濃度依存性の形で図54に示す。すな
わち、上記本発明のセンサ1はメタン濃度に対して直線
的な出力を示し、また妨害ガスの影響は小さく、メタン
に対して優れた選択性を示していることがわかる。
【0174】次に、本発明の測定装置の性能を確認する
ために以下の実験を行った。 (実施例8)実施例3と同様の排気ガスセンサを使用
し、これを図18に示すセンサシステム50に組み込ん
だ。なお、上記排気ガスセンサの酸素濃淡電池素子のオ
フセット起電力は+1.2mVであり、起電力目標値E
Cは+1.2mVに設定した。また、ヒータ2,5によ
る酸素濃淡電池素子の温度設定を750℃とした。この
状態でセンサを排気管に取り付け、ここに酸素100p
pm、炭酸ガス10%、メタン300ppm、残部窒素
からなる試験ガスを所定の加熱装置で温度650℃〜8
30℃に加熱して12L/分の流速で流通し、排気ガス
センサの出力をポンプ電流Ipの形で測定した。まず、
酸素濃淡電池素子の温度を、その内部起電力の値からモ
ニタしたところ、排気ガス温度が変化しても、素子温度
は750±20℃の範囲で制御できた。一方、比較のた
めに、ヒータ2,5への通電電圧を一定として特に制御
を行わなかった場合は、温度は750±50℃とばらつ
いた。また、図26は、ポンプ電流Ipの出力値を示し
ている。温度制御を行った場合(図中「●」で示す)は
排気ガス温度によらずIpの出力値はほぼ一定となって
いるが、温度制御を行わなかった場合(図中「○」で示
す)は、排気ガス温度によってIpが大きく変動してい
ることがわかる。
【0175】(実施例9)実施例3の排気ガスセンサの
機械的強度を調べるために、各素子2〜5に使用したも
のと同一寸法(4mm×45mm×0.4mm)の固体電解質
板を単位として、これを3枚積層した形で一体焼成した
試験片(第一のヒータ2、酸素ポンプ素子3及び酸素濃
淡電池素子4を一体焼成したセンサ構造に相当)、同じ
く2枚積層した形で一体焼成した試験片(酸素ポンプ素
子3及び酸素濃淡電池素子4を一体焼成したセンサ構造
に相当)、及び固体電解質板1枚を単独で使用した試験
片の3種類を用意した。これら試験片に対し、固体電解
質板の厚さ方向を曲げ方向として所定の曲げ試験機によ
り、上側スパンを10mm、下側スパンを30mm、クロス
ヘッド速度を0.5mm/分の条件で4点曲げ荷重を付加
し、破壊が生じたときの曲げ荷重を測定した。その結果
を図55に、4点曲げ荷重(試験片に破断が生じたとき
の曲げ荷重で表している)の試験片厚さ依存性の形で示
す。すなわち、試験片さが増大するほど、具体的には試
験片厚さの二乗にほぼ比例して曲げ荷重が向上している
ことがわかる。
【0176】(実施例10)図56に示す排気ガスセン
サ400において、外側電極10、第一電極11及び第
二電極12をPt多孔質電極により、第三電極13をA
u多孔質電極により形成したものを作製した。ただし、
各素子2〜5に使用した固体電解質は上記実施例1及び
2と同じものを使用し、その寸法は4mm×45mm×0.
4mmとした。また、隙間14の高さを0.06mm、隙間
15(すなわち測定室403)の高さhを0.4mm、ス
リット402の幅dを0.1mm、隙間16の高さを0.
07mmとした。また、参照用に、酸素ポンプ素子3と酸
素濃淡電池素子4とを一体化せず、別途スペーサを介し
て両者の間に、周縁が被測定雰囲気に開放する幅0.4
mmの隙間を形成したセンサも用意した。これら排気ガ
スセンサを排気管に取り付け、次の実験を行った。
【0177】まず、酸素ポンプ素子を作動させず、酸素
100ppm、炭酸ガス10%、メタン0〜500pp
m、水蒸気0又は10%、残部窒素からなる試験ガスを
12L/分の流速で流通して、各メタン濃度毎の酸素濃
淡電池素子4の起電力を測定した。結果を図64に示
す。すなわち、参照例のセンサ(図64(a))におい
ては、水蒸気を添加しない場合の起電力は比較的大きい
が、水蒸気を添加すると起電力が低下していることがわ
かる。これに対し、実施例のセンサ(図64(b))は
加湿による影響が小さいことがわかる。また、酸素ポン
プ素子を作動させ、酸素100ppm、炭酸ガス10
%、メタン0〜500ppm、水蒸気0又は10%、残
部窒素からなる試験ガスを12L/分の流速で流通し
て、各メタン濃度毎のセンサ出力を測定した結果を図6
5に示す。すなわち、参照例のセンサ(図65(a))
においては、水蒸気を添加しない場合のセンサ出力は比
較的大きいが、水蒸気を添加すると出力が低下している
ことがわかる。これに対し、実施例のセンサ(図65
(b))は加湿による影響が小さいことがわかる。
【0178】次に、センサ出力に対する酸素濃度の影響
を調べるために、水蒸気濃度を10%に固定する一方酸
素濃度を100又は1000ppmのいずれかに設定
し、他は同条件により同じ実験を行った。結果を図66
に示す。すなわち、参照例のセンサ(図66(a))に
おいては、酸素濃度によりセンサ出力レベルが変化して
いるのに対し、実施例のセンサ(図66(b))は酸素
濃度変化の影響が小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガスセンサの一例の要部を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図。
【図2】その詳細な構造を示す説明図。
【図3】その組立構造の一例を示す説明図。
【図4】上記センサの作動説明図。
【図5】図1の排気ガスセンサの製造方法を示す分解斜
視図。
【図6】図1の排気ガスセンサの第一の変形例を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図とB−B断面図。
【図7】図6の排気ガスセンサの製造方法を示す分解斜
視図。
【図8】図1の排気ガスセンサの第二の変形例を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図とB−B断面図。
【図9】同じく第三の変形例を示す平面図、側面図及び
そのA−A断面図とB−B断面図。
【図10】同じく第四の変形例を示す平面図、側面図及
びそのA−A断面図。
【図11】図10の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図12】図1の排気ガスセンサの第五の変形例を示す
平面図、側面図、B−B断面図、及びその支柱部のいく
つかの変形例をしめす断面図。
【図13】図12の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図14】その支柱部パターンと補助支持パターンの配
置関係を模式的に示す説明図。
【図15】補助支持パターンの作用説明図。
【図16】図1の排気ガスセンサの第六の変形例を示す
平面図、側面図及びA−A断面図。
【図17】図16の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図18】上記センサを用いた本発明の測定装置の一例
の電気的構成を示すブロック図。
【図19】その炭化水素濃度測定モードにおける回路作
動系統を示すブロック図。
【図20】ヒータ通電回路のいくつかの例を示すブロッ
ク図。
【図21】ヒータのPWM制御の説明図。
【図22】酸素濃淡電池素子の内部抵抗測定時の回路作
動系統を示すブロック図。
【図23】酸素濃淡電池素子の内部抵抗測定時の各スイ
ッチの作動タイミング図。
【図24】素子温度と酸素濃淡電池素子の内部抵抗との
関係の一例を示すグラフ、及び酸素濃淡電池素子の内部
抵抗と素子温度の関係を示すマップの概念図。
【図25】エンジン急加速あるいは急減速に伴うポンプ
電流変化の測定例を示すプロファイル、素子温度と補正
ポンプ電流値との関係の一例を示すグラフ、及び素子温
度と補正ポンプ電流値との関係を示すマップの概念図。
【図26】実施例8の測定結果を示すグラフ。
【図27】ポンプ電流値とHC濃度との関係を示すマッ
プの概念図。
【図28】酸素濃淡電池素子の内部抵抗値とヒータ制御
電圧との関係を示すマップの概念図。
【図29】酸素濃淡電池素子の内部抵抗値と補正ポンプ
電流値との関係を示すマップの概念図、及び素子温度と
ポンプ電流値とHC濃度との関係を示す二次元マップの
概念図。
【図30】図18の装置におけるマイクロプロセッサ側
の制御の流れを示すフローチャート。
【図31】そのセンサ活性化処理の詳細を示すフローチ
ャート。
【図32】同じく内部抵抗測定処理の詳細を示すフロー
チャート。
【図33】図18の装置におけるマイクロプロセッサ側
の別の制御態様の流れを示すフローチャート。
【図34】図18の装置において、修正電流通電用の電
源を省略した場合のブロック図。
【図35】図18の装置において、内部抵抗測定用及び
修正電流通電用の定電流電源を、電圧−電流変換回路に
置き換えた例を示すブロック図。
【図36】排気ガスセンサの電極構成のいくつかの変形
例を示す模式図。
【図37】コーティングにより触媒不活性な電極を作成
する方法の説明図。
【図38】酸素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間に
ガス保持部材を介挿した例を示す模式図。
【図39】実施例1で使用した実験装置を示す模式図。
【図40】実施例1における、Pd多孔質電極とAu多
孔質電極とのメタンの転換率ηの温度依存性を示すグラ
フ、及びそれら電極を用いた排気ガスセンサの出力の温
度依存性を示すグラフ。
【図41】実施例1の排気ガスセンサの出力のメタン濃
度依存性を示すグラフ。
【図42】その酸素濃淡電池素子の起電力のメタン濃度
依存性を、各種電極の組合せ毎に示すグラフ。
【図43】実施例1の排気ガスセンサの出力に及ぼす妨
害ガスの影響を示すグラフ。
【図44】実施例1の排気ガスセンサの出力に及ぼす酸
素濃度の影響を示すグラフ。
【図45】実施例2の排気ガスセンサの出力のメタン濃
度依存性を示すグラフ。
【図46】実施例2の排気ガスセンサの出力に及ぼす酸
素濃度の影響を示すグラフ。
【図47】実施例2の変形例の排気ガスセンサにおけ
る、出力のメタン濃度依存性を示すグラフ。
【図48】実施例3の排気ガスセンサにおける、酸素濃
淡電池素子のオフセット起電力の酸素濃度依存性を示す
グラフ。
【図49】実施例3の排気ガスセンサにおいて、起電力
目標値を各種値に設定したときのセンサ出力の酸素濃度
依存性を示すグラフ(メタン濃度0ppm)。
【図50】実施例3の排気ガスセンサにおいて、起電力
目標値を各種値に設定したときのセンサ出力の酸素濃度
依存性を示すグラフ(メタン濃度300ppm)。
【図51】実施例4の実験結果を示すグラフ。
【図52】実施例5の実験結果を示すグラフ。
【図53】実施例6の実験結果を示すグラフ。
【図54】実施例7の実験結果を示すグラフ。
【図55】実施例9の実験結果を示すグラフ。
【図56】測定室にスリットを介して排気ガスを導入す
るようにした構造のセンサの一例を示す平面図、側面図
及びそのA−A断面図。
【図57】その第一の変形例を示す平面図、側面図及び
そのA−A断面図。
【図58】同じく第二の変形例を示す平面図、側面図及
びそのA−A断面図。
【図59】図58のセンサの組立方法の一例を示す工程
説明図。
【図60】図59に続く工程説明図。
【図61】図56のセンサの第三の変形例を示す平面
図、側面図及びそのA−A断面図。
【図62】測定室に小孔を介して排気ガスを導入するよ
うにした構造のセンサの一例を示す部分平面図、及びそ
のB−B断面図。
【図63】その変形例を示す部分平面図及び底面図。
【図64】実施例10の実験結果を示すグラフ。
【図65】同じく別のグラフ。
【図66】同じくさらに別のグラフ。
【符号の説明】 1,400 排気ガスセンサ 2 第一のヒータ(加熱素子) 3 酸素ポンプ素子 4 酸素濃淡電池素子 5 第二のヒータ(加熱素子、隙間形成部材) 11 第一電極 12 第二電極 13 第三電極 15 隙間 16 隙間(反対空間) 50 センサシステム 50a 周辺回路 51 マイクロプロセッサ 53 CPU(被検出成分濃度情報補正手段、通電制御
手段、ポンプ電流補正量決定手段、補正演算手段、補正
濃度情報生成手段、内部抵抗測定手段、温度情報生成手
段、濃淡電池起電力測定手段、電圧情報補正手段) 55 ROM(補正参照情報記憶手段) 55a 補正参照情報 61 オペアンプ(ポンプ電流制御手段) 74 定電流電源(修正電流通電手段) 200 スペーサ部 201,202 絶縁層 204 開口部 210 支柱部 211 第一部分(第一の粉末成形体) 212 第二部分(第二の粉末成形体) 213 第三部分 240 ZrO2グリーンシート(スペーサ成形体) 241,242 貼合わせコート(絶縁パターン) 266a,266b 支柱部パターン 302 マップ(温度偏差−ポンプ電流補正量関係情
報) 302b マップ(ポンプ電流情報−被検出成分濃度関
係情報) 401,404 スペーサ部(壁部形成体) 401b,404b 壁部 402,405 スリット(拡散規制流通部) 403,407 測定室 410 小孔(拡散規制流通部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 由美 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 喜田 真史 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 大島 崇文 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−288979(JP,A) 特開 昭62−190459(JP,A) 特開 平9−311120(JP,A) 特開 平5−180794(JP,A) 特開 昭60−210760(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 G01N 27/41 G01N 27/419

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気ガス中に含まれる被検出成分の検出
    を行うためのガスセンサであって、酸素イオン伝導性固
    体電解質により構成され、その両面に電極が形成された
    酸素濃淡電池素子と、酸素イオン伝導性固体電解質によ
    り構成されて両面に電極が形成され、かつ前記酸素濃淡
    電池素子との間に、被測定雰囲気からの排気ガスの流通
    が許容された所定量の隙間が形成されるように、該酸素
    濃淡電池素子に対向配置されるとともに、該酸素濃淡電
    池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減少する方向
    に、前記隙間に酸素を汲み込み又は該隙間から酸素を汲
    み出す酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子と前記酸
    素濃淡電池素子との少なくとも一方を、予め定められた
    センサ作動温度に加熱する加熱素子とを備え、前記隙間
    と、前記酸素濃淡電池素子を挟んでこれと反対側の空間
    (以下、反対空間という)とに、それぞれ被検出成分と
    酸素とを含有する排気ガスが導入され、また、前記酸素
    ポンプ素子の前記隙間側の電極を第一電極、前記酸素濃
    淡電池素子の前記隙間側の電極を第二電極、前記酸素濃
    淡電池素子の前記反対空間側の電極を第三電極として、
    前記隙間と前記反対空間とに導入された前記排気ガス中
    の前記被検出成分が、少なくともそれら隙間と前記反対
    空間との一方において、前記第一〜第三電極の少なくと
    もいずれかを酸化触媒として前記排気ガス中の酸素と反
    応することにより消費されるとともに、前記隙間と前記
    反対空間との間で酸素との反応による前記被検出成分の
    消費量に差が生じるように、それら第一〜第三電極の被
    検出成分と酸素との反応に対する触媒活性が調整されて
    おり、前記酸素濃淡電池素子と前記酸素ポンプ素子と
    が、前記隙間を生じさせた状態で互いに積層された一体
    の焼成体として構成されていることを特徴とする排気ガ
    スセンサ。
  2. 【請求項2】 排気ガス中に含まれる被検出成分の検出
    を行うためのガスセンサであって、酸素イオン伝導性固
    体電解質により構成され、その両面に酸素透過性を有す
    る電極が形成された酸素濃淡電池素子と、酸素イオン伝
    導性固体電解質により構成されて両面に酸素透過性を有
    する電極が形成され、かつ前記酸素濃淡電池素子との間
    に排気ガスの流通が許容された所定量の隙間が形成され
    るように、該酸素濃淡電池素子に対向配置されるととも
    に、該酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対
    値が減少する方向に、前記隙間に酸素を汲み込み又は該
    隙間から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子と、前記酸素ポ
    ンプ素子と前記酸素濃淡電池素子との少なくとも一方
    を、予め定められたセンサ作動温度に加熱する加熱素子
    とを備え、前記隙間と、前記酸素濃淡電池素子を挟んで
    これと反対側の空間(以下、反対空間という)とに、そ
    れぞれ被検出成分と酸素とを含有する排気ガスが導入さ
    れ、また、前記酸素ポンプ素子の前記隙間側の電極を第
    一電極、前記酸素濃淡電池素子の前記隙間側の電極を第
    二電極、前記酸素濃淡電池素子の前記反対空間側の電極
    を第三電極として、前記隙間と前記反対空間とに導入さ
    れた前記排気ガス中の前記被検出成分が、少なくともそ
    れら隙間と前記反対空間との一方において、前記第一〜
    第三電極の少なくともいずれかを酸化触媒として前記排
    気ガス中の酸素と反応することにより消費されるととも
    に、前記隙間と前記反対空間との間で酸素との反応によ
    る前記被検出成分の消費量に差が生じるように、それら
    第一〜第三電極の被検出成分と酸素との反応に対する触
    媒活性が調整されており、前記酸素濃淡電池素子の前記
    濃淡電池起電力が、予め定められた起電力目標値ECに
    到達したときの前記酸素ポンプ素子に流れる電流値を、
    前記排気ガス中の前記被検出成分の濃度を反映した情報
    として取り出すようにするとともに、前記酸素濃淡電池
    素子と前記酸素ポンプ素子とが、前記第一電極と第二電
    極との間に前記隙間を生じさせた状態で互いに積層され
    た一体の焼成体として構成されていることを特徴とする
    排気ガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記酸素濃淡電池素子の前記濃淡電池起
    電力の絶対値が、10mV以下に設定された起電力目標
    値ECに到達したときの前記酸素ポンプ素子に流れる電
    流値を、前記排気ガス中の前記被検出成分の濃度を反映
    した情報として取り出すようにした請求項2記載の排気
    ガスセンサ。
  4. 【請求項4】 酸素を1体積%以上含有し、かつ前記セ
    ンサ作動温度において酸素と反応する成分を実質的に含
    有しない試験ガスを前記隙間及び反対空間に導入したと
    きの、前記酸素濃淡電池素子に生ずるオフセット起電力
    の絶対値をEOS(単位:mV)とし、これに対応して起
    電力目標値ECが(EOS−5)mV以上(EOS+5)m
    V以下の範囲内で設定され、前記酸素濃淡電池素子の前
    記濃淡電池起電力の絶対値が前記起電力目標値ECに到
    達したときの前記酸素ポンプ素子に流れる電流値を、前
    記排気ガス中の前記被検出成分の濃度を反映した情報と
    して取り出すようにした請求項2又は3に記載の排気ガ
    スセンサ。
  5. 【請求項5】 前記酸素濃淡電池素子及び前記酸素ポン
    プ素子の少なくともいずれかに対し、前記隙間とは反対
    側に前記加熱素子が積層され、それら酸素濃淡電池素子
    と、酸素ポンプ素子と、加熱素子とが、互いに積層され
    た一体の焼成体として構成されている請求項1ないし4
    のいずれかに記載の排気ガスセンサ。
  6. 【請求項6】 前記隙間において前記酸素濃淡電池素子
    と前記酸素ポンプ素子との間には、該隙間に対する気体
    の出入りを妨げない状態で、該隙間の間隔を規定する支
    柱部が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記
    載の排気ガスセンサ。
  7. 【請求項7】 前記支柱部は、焼成により前記酸素濃淡
    電池素子及び前記酸素ポンプ素子と一体化し得る材質の
    セラミック材料で構成されている請求項6記載の排気ガ
    スセンサ。
  8. 【請求項8】 前記酸素濃淡電池素子及び前記酸素ポン
    プ素子は、それぞれ横長の板状に構成されて互いに対向
    配置され、前記第一〜第三電極はそれら酸素濃淡電池素
    子及び酸素ポンプ素子の板面長手方向における一方の端
    部側に形成される一方、該板面長手方向における他方の
    端部側においてそれら酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ
    素子の間には前記隙間の間隔とほぼ同厚さのスペーサ部
    が介挿され、該スペーサ部と前記酸素濃淡電池素子及び
    酸素ポンプ素子とが焼成により互いに一体化されている
    請求項1ないし7のいずれかに記載の排気ガスセンサ。
  9. 【請求項9】 前記酸素濃淡電池素子及び前記酸素ポン
    プ素子は、それぞれ横長の板状に構成されて互いに対向
    配置され、前記各電極はそれら酸素濃淡電池素子及び酸
    素ポンプ素子の板面長手方向における一方の端部側に形
    成されるとともに、前記隙間において前記酸素濃淡電池
    素子と前記酸素ポンプ素子との間には、該隙間に対する
    気体の出入りを妨げない状態で、該隙間の間隔を規定す
    る支柱部が形成され、さらに、前記隙間を除く他の領域
    においてそれら酸素濃淡電池素子と酸素ポンプ素子と
    は、絶縁層を介して互いに接合されている請求項1ない
    し8のいずれかに記載の排気ガスセンサ。
  10. 【請求項10】 前記酸素ポンプ素子の前記隙間側の電
    極を第一電極、前記酸素濃淡電池素子の前記隙間側の電
    極を第二電極、前記酸素濃淡電池素子の前記反対空間側
    の電極を第三電極として、前記第二電極及び第三電極の
    少なくともいずれかに対し、これと接するように形成さ
    れた測定室と、前記測定室の壁部を前記被測定雰囲気側
    から前記測定室側へ貫くように形成されたガス連通部と
    を有し、該ガス連通部が、小孔、スリット、及び多孔質
    セラミック又は多孔質金属により構成された多孔質連通
    部の少なくともいずれかを含む拡散規制流通部とされて
    いる請求項1ないし9のいずれかに記載の排気ガスセン
    サ。
  11. 【請求項11】 排気ガス中に含まれる被検出成分の検
    出を行うためのガスセンサであって、酸素イオン伝導性
    固体電解質により構成され、その両面に電極が形成され
    た酸素濃淡電池素子と、酸素イオン伝導性固体電解質に
    より構成されて両面に電極が形成され、かつ前記酸素濃
    淡電池素子との間に排気ガスの流通が許容された所定量
    の隙間が形成されるように、該酸素濃淡電池素子に対向
    配置されるとともに、該酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡
    電池起電力の絶対値が減少する方向に、前記隙間に酸素
    を汲み込み又は該隙間から酸素を汲み出す酸素ポンプ素
    子と、前記酸素ポンプ素子と前記酸素濃淡電池素子との
    少なくとも一方を、予め定められたセンサ作動温度に加
    熱する加熱素子と、前記隙間と、前記酸素濃淡電池素子
    を挟んでこれと反対側の空間(以下、反対空間という)
    とに、それぞれ被検出成分と酸素とを含有する排気ガス
    が導入され、また、前記酸素ポンプ素子の前記隙間側の
    電極を第一電極、前記酸素濃淡電池素子の前記隙間側の
    電極を第二電極、前記酸素濃淡電池素子の前記反対空間
    側の電極を第三電極として、前記隙間と前記反対空間と
    に導入された前記排気ガス中の前記被検出成分が、少な
    くともそれら隙間と前記反対空間との一方において、前
    記第一〜第三電極の少なくともいずれかを酸化触媒とし
    て前記排気ガス中の 酸素と反応することにより消費され
    るとともに、前記隙間と前記反対空間との間で酸素との
    反応による前記被検出成分の消費量に差が生じるよう
    に、それら第一〜第三電極の被検出成分と酸素との反応
    に対する触媒活性が調整されており、前記第二電極及び
    第三電極の少なくともいずれかに対し、これと接するよ
    うに形成された測定室と、前記測定室の壁部を前記被測
    定雰囲気側から前記測定室側へ貫くように形成されたガ
    ス連通部とを有し、該ガス連通部が、小孔、スリット、
    及び多孔質セラミック又は多孔質金属により構成された
    多孔質連通部の少なくともいずれかを含む拡散規制流通
    部とされていることを特徴とする排気ガスセンサ。
  12. 【請求項12】 前記酸素濃淡電池素子と前記酸素ポン
    プ素子との間には前記第二電極の周囲を取り囲むように
    壁部が形成され、その壁部内面と前記酸素濃淡電池素子
    及び酸素ポンプ素子の各対向面とによって囲まれた空間
    が前記測定室とされている請求項10又は11に記載の
    排気ガスセンサ。
  13. 【請求項13】 前記拡散規制流通部は、前記壁部及び
    前記酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかに対しこれ
    を前記被測定雰囲気側から前記測定室側へ貫通する形態
    で形成され、それら被測定雰囲気と測定室とを互いに連
    通させるスリット又は小孔である請求項12記載の排気
    ガスセンサ。
  14. 【請求項14】 前記酸素濃淡電池素子と前記酸素ポン
    プ素子との間には、前記壁部の少なくとも一部を構成す
    る壁部形成体が配置され、該壁部形成体と前記酸素濃淡
    電池素子及び酸素ポンプ素子の少なくともいずれかとの
    間には前記スリットが、それら酸素濃淡電池素子ないし
    酸素ポンプ素子の板面に沿う形態で形成されている請求
    項12記載の排気ガスセンサ。
  15. 【請求項15】 前記壁部形成体は、前記酸素ポンプ素
    子及び前記酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼
    成により一体化されている請求項14記載の排気ガスセ
    ンサ。
  16. 【請求項16】 前記酸素ポンプ素子及び前記酸素濃淡
    電池素子は横長板状に形成され、前記拡散規制流通部
    は、それら酸素ポンプ素子及び酸素濃淡電池素子の板面
    幅方向両側に形成されたスリットである請求項13ない
    し15のいずれかに記載の排気ガスセンサ。
  17. 【請求項17】 前記酸素濃淡電池素子の前記隙間に面
    しているのとは反対側に、これと対向して該酸素濃淡電
    池素子との間に別の隙間を形成する隙間形成部材が配置
    され、その隙間形成部材と前記酸素濃淡電池素子との間
    には、前記第三電極の周囲を取り囲むように壁部が形成
    され、その壁部内面と前記隙間形成部材及び酸素濃淡電
    池素子の各対向面とによって囲まれた空間が前記測定室
    とされている請求項10ないし16のいずれかに記載の
    排気ガスセンサ。
  18. 【請求項18】 前記拡散規制流通部は、前記壁部及び
    前記隙間形成部材の少なくともいずれかに対しこれを前
    記被測定雰囲気側から前記測定室側へ貫通する形態で形
    成され、それら被測定雰囲気と測定室とを互いに連通さ
    せるスリット又は小孔である請求項17記載の排気ガス
    センサ。
  19. 【請求項19】 前記隙間形成部材と前記酸素濃淡電池
    素子との間には、前記壁部の少なくとも一部を構成する
    壁部形成体が配置され、該壁部形成体と前記隙間形成部
    材及び前記酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかとの
    間には前記スリットが、それら隙間形成部材ないし前記
    酸素濃淡電池素子の板面に沿う形態で形成されている請
    求項17記載の排気ガスセンサ。
  20. 【請求項20】 前記壁部形成体は、前記隙間形成部材
    及び前記酸素濃淡電池素子の少なくともいずれかと焼成
    により一体化されている請求項19記載の排気ガスセン
    サ。
  21. 【請求項21】 隙間形成部材及び前記酸素濃淡電池素
    子は横長板状に形成され、前記拡散規制流通部は、それ
    ら隙間形成部材及び酸素濃淡電池素子の板面幅方向両側
    に形成されたスリットである請求項19又は20に記載
    の排気ガスセンサ。
  22. 【請求項22】 請求項1ないし21のいずれかに記載
    の排気ガスセンサの製造方法であって、前記酸素濃淡電
    池素子となるべき第一のセラミック粉末成形体の両面
    に、電極材料粉末ペーストを用いて前記電極となるべき
    電極パターンを印刷形成し、前記酸素ポンプ素子となる
    べき第二のセラミック粉末成形体の両面に、電極材料粉
    末ペーストを用いて前記電極となるべき電極パターンを
    印刷形成し、それら第一及び第二のセラミック粉末成形
    体を、対応する電極パターン同士が対向し、かつその対
    向する電極パターンの間に隙間が形成されるように互い
    に積層し、その積層体を焼成することにより、互いに一
    体化された前記酸素濃淡電池素子及び酸素ポンプ素子を
    得ることを特徴とする排気ガスセンサの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記第一及び第二のセラミック粉末成
    形体の少なくともいずれかに対し、前記隙間とは反対側
    に前記加熱素子となるべき第三のセラミック粉末成形体
    を積層し、その積層体を焼成することにより、互いに一
    体化された前記酸素濃淡電池素子、酸素ポンプ素子及び
    加熱素子を得る請求項22記載の排気ガスセンサの製造
    方法。
  24. 【請求項24】 前記第一及び第二のセラミック粉末成
    形体の少なくともいずれかに対し、前記隙間に対応する
    領域に、セラミック粉末を用いて前記支柱部となるべき
    支柱部パターンを形成し、次いで、それら第一及び第二
    のセラミック粉末成形体を、前記支柱部パターンが形成
    された側において前記隙間が形成されるように互いに積
    層し、その積層体を焼成することにより、前記酸素濃淡
    電池素子及び酸素ポンプ素子との間に、前記該支柱部パ
    ターンに基づく前記支柱部を形成する請求項22又は2
    3に記載の排気ガスセンサの製造方法。
  25. 【請求項25】 前記第一及び第二のセラミック粉末成
    形体は、それぞれ横長の板状に形成されて互いに対向配
    置され、前記電極パターンはそれら第一及び第二のセラ
    ミック粉末成形体の板面長手方向における一方の端部側
    に形成される一方、該板面長手方向における他方の端部
    側においてそれら第一及び第二のセラミック粉末成形体
    の間に、前記スペーサ部となるべきスペーサ成形体が介
    挿され、それらスペーサ成形体と前記第一及び第二のセ
    ラミック粉末成形体との積層体を焼成することにより、
    前記酸素濃淡電池素子と前記酸素ポンプ素子とを、該ス
    ペーサ成形体に基づく前記スペーサ部を介して互いに接
    合する請求項22ないし24のいずれかに記載の排気ガ
    スセンサの製造方法。
  26. 【請求項26】 前記第一及び第二のセラミック粉末成
    形体は、それぞれ横長の板状に形成されて互いに積層さ
    れ、前記電極パターンはそれら第一及び第二のセラミッ
    ク粉末成形体の、板面長手方向における一方の端部側に
    形成される一方、前記第一及び第二のセラミック粉末成
    形体との間の前記隙間に予定された領域に、セラミック
    粉末ペーストを用いて前記支柱部となるべき支柱部パタ
    ーンを形成し、その支柱部パターンと重なりを生じない
    位置において同じく該隙間に予定された領域に、焼成時
    に燃焼ないし分解する材質の粉末ペーストにより補助支
    持パターンを形成し、さらに、前記隙間に予定された領
    域を除く他の領域において前記第一及び第二のセラミッ
    ク粉末成形体との間に絶縁層パターンを形成し、その積
    層体を焼成することにより、前記酸素濃淡電池素子と前
    記酸素ポンプ素子との間に、前記隙間と前記支柱部パタ
    ーンに基づく前記支柱部を形成する一方、前記隙間を除
    く他の領域においてそれら酸素濃淡電池素子と酸素ポン
    プ素子とを、前記絶縁層パターンに基づく前記絶縁層を
    介して互いに接合する請求項22ないし25のいずれか
    に記載の排気ガスセンサの製造方法。
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