JPH1183796A - 排気ガスセンサ及びそれを用いた排気ガスセンサシステム - Google Patents

排気ガスセンサ及びそれを用いた排気ガスセンサシステム

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JPH1183796A
JPH1183796A JP9267866A JP26786697A JPH1183796A JP H1183796 A JPH1183796 A JP H1183796A JP 9267866 A JP9267866 A JP 9267866A JP 26786697 A JP26786697 A JP 26786697A JP H1183796 A JPH1183796 A JP H1183796A
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exhaust gas
gap
oxygen
electrode
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JP9267866A
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English (en)
Inventor
Takaharu Inoue
隆治 井上
Shoji Kitanoya
昇治 北野谷
Masashi Kida
真史 喜田
Takafumi Oshima
崇文 大島
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 特定の炭化水素成分を選択的に検出したり、
互いに異なる成分ないし成分群の濃度に関する情報を個
別に得ることが可能な排気ガスセンサを提供する。 【解決手段】 一方が酸素濃淡電池素子、他方が酸素ポ
ンプ素子として機能する2つの素子3,4を隙間15を
挟んで対向させ、酸化触媒活性差の異なる電極10〜1
3を各素子3,4の両面に配するとともに、酸素濃淡電
池素子となる素子の両側に排気ガスを導入する。酸素濃
淡電池素子の両側では、排気ガス中の被検出成分の酸化
(燃焼)に伴う酸素消費量に差が生じ、濃淡電池起電力
が発生する。そして、この濃淡電池起電力が一定となる
ように、酸素ポンプ素子となる素子により上記隙間に対
する酸素の汲み込みあるいは汲み出しを行い、その酸素
ポンプ電流値により排気ガス中の被検出成分の濃度を知
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気ガス中に含ま
れる被検出成分の検出を行うための排気ガスセンサ及び
それを用いた排気ガスセンサシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の排気ガスに含有される炭化水
素(以下、HCともいう)やCO、あるいは窒素酸化物
(以下、NOXともいう)等の被検出成分を検出するた
めのセンサとして、例えば抵抗型センサが知られてい
る。これは、検出素子としてSnO2等の酸化物半導体
が使用され、被検出成分の吸着に伴う酸化物半導体の抵
抗変化に基づき、該被検出成分の排気ガス中の含有量を
検出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記抵抗型の排気ガス
センサにおいては、酸化物半導体による検出素子の出力
が、排気ガス中に含有される酸素濃度により変化する特
性を有している。そのため、同じ汚染物質濃度に対して
も、排気ガス中の酸素濃度により検出出力値が変動して
しまう問題がある。そこで、例えば特開平5−1807
94等に開示されているように、固体電解質を用いたポ
ンプ素子により排気ガス中に酸素を送り込んでその濃度
を高め、ガス中の酸素濃度の相対的な変動を小さくする
ことにより検出精度を高める提案がなされている。しか
しながら、排気ガス中の酸素の濃度が大きく変化した場
合には、ポンプ素子からの酸素導入による相対濃度変動
の抑制効果が不十分となり、満足な検出精度が得られな
い欠点がある。
【0004】また、これとは別に上記従来の排気ガスセ
ンサにおいては、HC濃度を検出する場合、各種炭化水
素の合計濃度に関する情報は得られても、特定の炭化水
素成分(例えばメタン)を選択的に検出したり、あるい
は複数種類の成分の濃度を個別に検出したりすることが
できない問題があった。
【0005】本発明は、排気ガス中の酸素濃度が変化し
ても被検出成分の濃度を高精度で検出でき、さらには複
数種類の被検出成分が存在する場合において、特定の炭
化水素成分を選択的に検出したり、あるいは互いに異な
る成分ないし成分群の濃度に関する情報を個別に得るこ
とが可能な排気ガスセンサ及びそれを用いた排気ガスセ
ンサシステムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために、本発明の排気ガスセンサは下記の
ように構成されたことを特徴とする。すなわち、該排気
ガスセンサは、酸素イオン伝導性固体電解質により構成
されて両面に電極が形成され、排気ガス中の被検出成分
に対するそれら電極の酸化触媒活性が互いに異なる第一
素子と、酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて
両面に電極が形成され、被測定雰囲気からの排気ガスの
流通が許容された所定量の隙間が形成されるように第一
素子と対向配置されるとともに、排気ガス中の被検出成
分に対するそれら電極の酸化触媒活性が互いに異なるも
のとされ、かつ両面の電極間の酸化触媒活性差が、第一
素子の両面の電極間の酸化触媒活性差より大きくなるよ
うに調整された第二素子とを備える。そして、それら第
一素子と第二素子は、一方が酸素濃淡電池素子として機
能し、他方が、該酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起
電力の絶対値が減少する方向に上記隙間に酸素を汲み込
み又は該隙間から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子として
機能するとともに、第一素子が酸素濃淡電池素子となり
第二素子が前記酸素ポンプ素子となる第一モードと、そ
の逆となる第二モードとの間で切替え可能とされる。
【0007】また、上記排気ガスセンサを用いた本発明
の排気ガスセンサシステムは、下記の要件を備えて構成
されることを特徴とする。 排気ガスセンサ:下記の2つの素子を備える。 (a)第一素子:酸素イオン伝導性固体電解質により構成
されて両面に電極が形成され、排気ガス中の被検出成分
に対するそれら電極の酸化触媒活性が互いに異なるもの
とされる。 (b)第二素子:酸素イオン伝導性固体電解質により構成
されて両面に電極が形成され、被測定雰囲気からの排気
ガスの流通が許容された所定量の隙間が形成されるよう
に第一素子と対向配置されるとともに、排気ガス中の被
検出成分に対するそれら電極の酸化触媒活性が互いに異
なるものとされ、かつ両面の電極間の酸化触媒活性差
が、第一素子の両面の電極間の酸化触媒活性差より大き
くなるように設定される。 素子制御手段:第一素子と第二素子との一方を酸素濃
淡電池素子として、他方を、該濃淡電池起電力の絶対値
が減少する方向に上記隙間に酸素を汲み込み又は該隙間
から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子として機能させる。 制御モード切替え手段:素子による制御モードが、第
一素子が記酸素濃淡電池素子となり第二素子が酸素ポン
プ素子となる第一モードと、その逆となる第二モードと
の間で切り替える。
【0008】上記排気ガスセンサ及び排気ガスセンサシ
ステムでは、一方が酸素濃淡電池素子、他方が酸素ポン
プ素子として機能する2つの素子を隙間を挟んで対向さ
せ、酸化触媒活性差の異なる電極を各素子の両面に配す
るとともに、酸素濃淡電池素子の両側に排気ガスを導入
する。酸素濃淡電池素子の両側では、排気ガス中の被検
出成分の酸化(燃焼)に伴う酸素消費量に差が生じ、濃
淡電池起電力が発生する。例えばこの濃淡電池起電力が
一定となるように、酸素ポンプ素子により上記隙間に対
する酸素の汲み込みあるいは汲み出しを行えば、例えば
そのときの酸素ポンプ電流値(あるいは電圧値)により
排気ガス中の被検出成分の濃度を知ることができる。こ
の場合、酸素濃度が変化しても、排気ガス中の被検出成
分の濃度を精度よく検出することができる。
【0009】さらに、上記本発明の排気ガスセンサない
し排気ガスセンサシステムでは、両面の電極間の酸化触
媒活性差が小さい第一素子を酸素濃淡電池素子とする第
一モードと、同じく酸化触媒活性差が大きい第二素子側
を酸素濃淡電池素子とする第二モードとの間で、適宜切
り替えて使用できるようにした。これにより、上記2つ
のモードで互い異なる被検出成分の濃度情報を得ること
ができるようになる。例えば、被検出成分に、酸化反応
に対する活性が異なる2以上の被検出成分が含まれてい
る場合、酸素濃淡電池素子の両面では、第一モードにお
いては酸化反応に対する活性が比較的小さい(すなわち
燃焼しにくい)成分について酸化量(燃焼量)に差が生
じる。一方、第二モードでは、酸化反応に対する活性が
比較的大きい成分の酸化量についても差が生じる。従っ
て、両モードのセンサ出力に基づいて、特定の炭化水素
成分を選択的に検出したり、あるいは互いに異なる成分
ないし成分群の濃度に関する情報を個別に得ることが可
能となる。
【0010】上記排気ガスセンサにおいては、前述の通
り、隙間と、第一素子及び第二素子のうち酸素濃淡電池
素子となるもの(以下、単に酸素濃淡電池素子という)
を挟んで該隙間と反対側の空間(以下、反対空間とい
う)とに、それぞれ被検出成分と酸素とを含有する排気
ガスが導入されるように構成できる。この場合、第一素
子及び第二素子のうち酸素ポンプ素子となるもの(以
下、単に酸素ポンプ素子という)の隙間側の電極を第一
電極、酸素濃淡電池素子の隙間側の電極を第二電極、酸
素濃淡電池素子の反対空間側の電極を第三電極として、
隙間と反対空間とに導入された排気ガス中の被検出成分
が、少なくともそれら隙間と反対空間との一方におい
て、第一〜第三電極の少なくともいずれかを酸化触媒と
して排気ガス中の酸素と反応することにより消費される
とともに、隙間と反対空間との間で酸素との反応による
被検出成分の消費量に差が生じるように、それら第一〜
第三電極の酸化触媒活性を調整することができる。そし
て、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力が予め定められ
た起電力目標値ECに到達したときの酸素ポンプ素子に
流れる電流値を反映した情報を、排気ガス中の被検出成
分の濃度検出情報として出力するようにし、かつ第一素
子の両面の電極間の酸化触媒活性差と、第二素子の両面
の電極間の酸化触媒活性差とが互いに異なることに基づ
いて、第一モードと第二モードとで、互いに異なる内容
の濃度検出情報を出力するようにする。また、これに対
応する排気ガスセンサシステムでは、上記第一モードと
第二モードとで、互いに異なる内容の濃度検出情報を出
力する機能が、濃度検出情報出力手段によって実現され
る。
【0011】上述のように構成された排気ガスセンサで
は、酸素濃淡電池素子を挟んで上記隙間と反対空間側と
に被検出成分と酸素とを含有した排気ガスが導入され、
隙間に面する側に配置された第一及び第二電極と、反対
空間側に配置された第三電極の酸化触媒としての活性
が、上記隙間側と反対空間側とで被検出成分の酸化によ
る消費量に差が生ずるように調整されており、被検出成
分が多く消費される側では酸素も多く消費されることと
なる。これにより、酸素濃淡電池素子の両側には酸素濃
度差が生じ、それに基づく濃淡電池起電力が発生するこ
ととなる。酸素ポンプ素子は、例えば隙間側が低酸素濃
度側となる場合には該隙間に酸素を汲み込み、逆に高酸
素濃度側となる場合には該隙間から酸素を汲み出して、
上記濃淡電池起電力を起電力目標値ECになるように制
御する。
【0012】そして、濃淡電池起電力が起電力目標値E
Cに到達したときの酸素ポンプ素子に流れる電流(以
下、ポンプ電流という)は、排気ガス中の被検出成分の
濃度値をほぼ反映した値となることから、これに基づい
て上記被検出成分の濃度を検出することができる。ま
た、上記ポンプ電流の値は、排気ガス中の被検出成分の
濃度が変化しない限り、排気ガス中の酸素濃度の影響を
ほとんど受けず、また、被検出成分の濃度変化に対する
ポンプ電流の値の変化もほぼ直線的となる。これによ
り、酸素濃度が所定の範囲で変化しても、排気ガス中の
被検出成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0013】上記排気ガスセンサ及び排気ガスセンサシ
ステムにおいて第一素子は、2つの電極のうち酸化触媒
活性の高いものを隙間に面するように配置し、第二素子
は2つの電極のうち酸化触媒活性の高いものが隙間に面
するように配置することができる。これにより、いずれ
のモードにおいても、酸素濃淡電池素子の隙間側と反対
空間側とで、被検出成分の酸化による消費量に確実に差
を生じさせることができ、ひいては被検出成分の検出感
度を高めることができる。
【0014】第一及び第二素子の隙間に面する電極の酸
化触媒活性は、同一としてもよいし、互いに異ならせて
もよい。両電極の酸化触媒活性をほぼ同一とした場合
は、いずれのモードにおいても、酸素濃淡電池素子の隙
間側電極(すなわち第二電極となるもの)近傍の被検出
成分の酸化消費量がほぼ同一となるので、両モードで得
られたセンサ出力すなわち濃度検出情報の基準レベルを
合わせることができ、後述のように両濃度検出情報の比
較によって、ある特定の被検出成分の濃度情報を比較的
簡単に得ることができるようになる。この場合、第一素
子の隙間に面する電極と、第二素子の隙間に面する電極
との酸化触媒活性をほぼ同程度のものとするためには、
両電極を互いに同一の材質で構成することが望ましいと
いえる。
【0015】具体的な電極材質の組み合わせの一例とし
ては、第一素子の前記隙間に面さない電極をPt−Pd
電極とし、同じく該隙間に面する電極をPt電極とし、
第二素子の隙間に面する電極をPt電極とし、同じく該
隙間に面さない電極をAu電極とする構成を例示でき
る。この構成によれば、例えば被検出成分がHCの場
合、第一モードにおいて特定成分としてのメタンを、ま
た第二モードにおいて全HC量を感度よく検出できる利
点がある。
【0016】上記排気ガスセンサは、排気ガス中に、酸
化反応に対する活性が異なる2以上の被検出成分が含ま
れている場合に、第一モードにおいて得られる濃度検出
情報と、第二モードにおいて得られる濃度検出情報とに
基づいて、2以上の被検出成分のうちの特定のものの濃
度に関する情報を得るように構成することが可能であ
る。また、排気ガスセンサシステムにおいては、第一モ
ードにおいて得られる濃度検出情報と、第二モードにお
いて得られる濃度検出情報とに基づいて、2以上の被検
出成分のうちの特定のものの濃度に関する情報を生成
し、これを出力する特定成分検出情報生成・出力手段を
設けることができる。該構成では、各モードでの濃度検
出情報のみでは得ることができない特定の被検出成分の
濃度情報を、両モードでの濃度検出情報の組み合わせに
基づいて得ることができ、ひいては検出可能な被検出成
分の種類を増やすことができる。
【0017】具体的には、第一モードにおいて、2以上
の被検出成分のうちの特定の1成分の濃度に関する濃度
検出情報を出力させ、第二モードにおいて上記2以上の
被検出成分の全てについての合計濃度に関する濃度検出
情報を出力させることができる。また、第二モードにお
いて得られる濃度検出情報の出力と、第一モードにおい
て得られる濃度検出情報の出力との差に基づいて、上記
2以上の被検出成分から、特定の1成分を除いた残余の
成分の合計濃度に関する情報を得ることができる。例え
ば、被検出成分のうちの特定の1成分をメタンとするこ
とができ、それ以外の被検出成分は非メタン炭化水素と
することができる。この場合、電極材質の組み合わせは
前述の、第一素子の隙間に面さない電極をPt−Pd電
極とし、同じく該隙間に面する電極をPt電極とし、第
二素子の隙間に面する電極をPt電極とし、同じく該隙
間に面さない電極をAu電極とする構成が好適である。
【0018】以下、上記本発明の排気ガスセンサ及び排
気ガスセンサシステムに、さらに付加することができる
各種内容について説明する。まず上記排気ガスセンサ
は、第一素子と第二素子とを、隙間を生じさせた状態で
互いに積層された一体の焼成体として構成することがで
きる。これによれば、第一素子と第二素子とが互いに積
層された一体の焼成体として構成されるので、次のよう
な効果が達成される。 第一素子と第二素子とが焼成と同時に一体化されるの
で、焼成後の組立工程を省略又は簡略化でき、センサの
製造効率が高められる。 例えば第一素子と第二素子とをそれぞれ別々に焼成
し、該焼成後に貼合わせ等により一体化する構成の場
合、素子の焼成時の変形等により隙間の形成量を一定に
することが困難となり、センサ個体間で出力レベルのば
らつきを生ずる場合がある。しかしながら、上記焼成に
より一体化する構成では、隙間の形成量を制御しやすい
ので、そのような問題を生じにくい。 第一素子と第二素子とは、センサのコンパクト化のた
め、薄板状(例えば、厚さ1mm以下、具体的には0.2
〜0.4mm)に形成した場合、焼成後の貼合わせ等で一
体化する構成では、機械的強度、例えば耐衝撃性が不足
して、素子に割れやクラックが生じやすくなる場合があ
る。しかしながら、それらを焼成により一体化すること
で素子が相互に補強し合い、機械的強度を向上させるこ
とができる。
【0019】上述のような一体化構造は、例えば次のよ
うな製法により能率的に得ることができる。まず、第一
素子となるべき第一のセラミック粉末成形体の両面に、
電極となるべき電極パターンを電極材料粉末ペーストを
用いて印刷形成し、また第二素子となるべき第二のセラ
ミック粉末成形体の両面にも同様に電極パターンを印刷
形成する。次に、それら第一及び第二のセラミック粉末
成形体を、第一電極及び第二電極となるべき電極パター
ン同士が互い対向し、かつその対向する電極パターンの
間に隙間が形成されるように互いに積層する。そして、
その積層体を焼成することにより、互いに一体化された
第一素子と第二素子とを得る。
【0020】第一素子と第二素子とを構成する固体電解
質としては、Y23ないしCaOを固溶させたZrO2
が代表的なものであるが、それ以外のアルカリ土類金属
元素ないし希土類金属元素の酸化物とZrO2との固溶
体を使用してもよい。また、ベースとなるZrO2には
HfO2が含有されていてもよい。
【0021】第一素子と第二素子との間に形成される隙
間の大きさは、例えば1mm以下に設定するのがよい。隙
間の大きさが1mmを超えると、隙間による新たな排気ガ
スの流入規制効果が小さくなり、センサの検出精度が低
下する場合がある。
【0022】さて、上記構成の排気ガスセンサにおいて
は、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力の絶対値が10
mV以下に設定された起電力目標値ECに到達したとき
の、上記酸素ポンプ素子に流れる電流値を、排気ガス中
の被検出成分の濃度を反映した情報として取り出すこと
ができる。
【0023】一方、酸素を1体積%以上含有し、かつセ
ンサ作動温度において酸素と反応する成分を実質的に含
有しない試験ガスを上記隙間及び反対空間に導入したと
きの、酸素濃淡電池素子に生ずるオフセット起電力の絶
対値をEOS(単位:mV)とし、これに対応して起電力
目標値ECが(EOS−5)mV以上(EOS+5)mV以
下の範囲内で設定されるとともに、酸素濃淡電池素子の
濃淡電池起電力の絶対値が上記起電力目標値ECに到達
したときの酸素ポンプ素子に流れる電流値を、排気ガス
中の被検出成分の濃度を反映した情報として取り出すこ
ともできる。
【0024】例えば、酸素濃淡電池素子を挟んで隙間側
と反対空間側とで、酸素濃度が互いに等しくなるよう
に、酸素ポンプ素子による隙間への酸素の汲み込みない
しは汲み出しを行うようにすれば、それら両空間での被
検出成分の消費量の差に対し、ポンプ電流が直接的に対
応することになるから、被検出成分の濃度をさらに精度
よく検出することができ、また検出結果の解析も容易と
なる。この場合、酸素濃淡電池素子の両側の酸素濃度が
等しくなれば、濃淡電池起電力は理論上は0となるか
ら、酸素ポンプ素子は、該濃淡電池起電力が0となるよ
うに隙間に対する酸素の汲み込みないしは汲み出しを行
うこととなる。しかしながら、酸素濃淡電池素子の両側
の酸素濃度が等しくなっても、通常は、酸素濃淡電池素
子の起電力は0にはならず、一定のオフセット起電力が
残ることが多い。
【0025】本発明者らは、一般に使用されているほと
んどの酸素イオン伝導性固体電解質について、該固体電
解質により酸素濃淡電池素子を構成した場合のオフセッ
ト起電力の絶対値が10mV以下の範囲に収まっている
ことに着眼するとともに、本発明の排気ガスセンサにお
いて、起電力目標値ECを10mV以下に設定し、濃淡
電池起電力の絶対値が該起電力目標値ECに到達したと
きの酸素ポンプ素子に流れる電流値を検出信号として採
用することで、排気ガス中の被検出成分の濃度を正確に
検出できることを見い出したのである。なお、測定雰囲
気の酸素濃度範囲が判っている場合は、その範囲の最大
酸素濃度におけるオフセット起電力を起電力目標値とす
るのが望ましい。
【0026】一方、本発明者らは鋭意検討の結果、次の
ことを見い出したのである。すなわち、酸素濃淡電池素
子のオフセット起電力が、検出に係る排気ガス中の酸素
濃度が低くなるほど変動しやすくなり、一定以下の酸素
濃度におけるオフセット起電力を基準として起電力目標
値ECを設定すると、センサ出力が排気ガス中の酸素濃
度の影響を受けやすくなる。そしてこれを解決するため
には、酸素を1体積%以上含有し、かつセンサ作動温度
において酸素と反応する成分を実質的に含有しない試験
ガスを隙間及び反対空間に導入したときの、酸素濃淡電
池素子に生ずるオフセット起電力の絶対値をEOS(単
位:mV)とし、これを基準として起電力目標値ECを
(EOS−5.0)mV以上(EOS+5.0)mV以下の
範囲内で設定することが有効となる。そして、起電力目
標値ECを上記範囲で設定することで、排気ガス中の酸
素濃度の影響を受けない、より安定したセンサ出力を得
ることができる。この場合、起電力目標値ECは、なる
べくEOSに近い値として設定することが、センサの検出
精度を高める上で望ましい。なお、EOSを決定するため
の試験ガス中の酸素濃度は、望ましくは10%以上のも
のを使用するか、あるいは大気を使用するのがよい。ま
た、起電力目標値ECを、前述の構成と同様に10mV
以下に設定することにより、より安定で精度の高いセン
サ出力を得ることができる。
【0027】本発明の排気ガスセンサは、例えばガソリ
ンエンジンの酸化触媒コンバータ、あるいは三元触媒コ
ンバータの下流側に配置され、該コンバータ中の三元触
媒の劣化を検知するものとして構成することができる。
この場合、排気ガス中の酸素は、上流側の触媒において
COあるいはHCの酸化のためにかなりの部分が消費さ
れた状態で、排気ガスセンサに導入されることとなる。
この場合、検出に係る排気ガス中の酸素濃度は、おおむ
ね5000ppm以下のレベルとなっていることから、
排気ガスセンサとしては、酸素濃度が上述のように低い
領域で被検出成分を精度よく検出できるように構成する
ことが望ましい。そのためには、例えば酸素濃度が10
0ppmに対応するセンサ出力をQ100とし、1000
ppmに対応するセンサ出力をQ1000として、出力変化
率Δ(%)={|Q100−Q1000|/Q100}×100が
±30%以下、より望ましくは±10%以下となるよう
に、前述の起電力目標値ECを設定するのがよい。
【0028】次に、上記排気ガスセンサは、第一素子と
第二素子との少なくともいずれかに対し、隙間とは反対
側に加熱素子が積層され、それら第一素子と第二素子と
加熱素子とが、互いに積層された一体の焼成体として構
成することができる。これにより、加熱素子も含めてセ
ンサの組立工程を簡略化でき、また、センサ全体をより
コンパクトに構成できるほか、一体化された加熱素子に
よる補強効果により、センサ全体の機械的強度をさらに
向上させることができる。
【0029】上記構成のセンサは、前述の方法におい
て、第一及び第二のセラミック粉末成形体の少なくとも
いずれかに対し、隙間とは反対側に加熱素子となるべき
第三のセラミック粉末成形体を積層し、その積層体を焼
成することにより、互いに一体化された第一素子、第二
素子及び加熱素子を得るようにすることで、能率的に製
造することができる。
【0030】本発明の排気ガスセンサにおいて、前述の
隙間は、例えば第一素子と第二素子との積層体側縁に形
成された連通部において外側空間と連通するように構成
することができる。これにより、連通部から上記隙間に
対し、排気ガスをスムーズに導入することができる。こ
の場合、その連通部は、上記隙間と外側空間との間で気
体の流通を許容する多孔質セラミック体により構成する
ことができる。こうすれば、排気ガス中に含まれる煤や
油滴等の汚れ粒子が隙間に侵入しにくくなり、ひいては
隙間に面している電極の、上記汚れ粒子の付着に伴う劣
化を防止ないし抑制することができる。この場合、多孔
質セラミック体による連通部を形成する方法としては、
前述の方法において第一及び第二のセラミック粉末成形
体の間に、該連通部となるべき連通部パターンを、多孔
質セラミック粉末(例えば多孔質Al23粉末)又は焼
成後に多孔質セラミック体となる粉末混合物等からなる
ペーストを用いて印刷等により形成する形で挟み込み、
これを一体焼成する方法を例示することができる。
【0031】次に、上記隙間において第一素子と第二素
子との間には、該隙間に対する気体の出入りを妨げない
状態で、該隙間の間隔を規定する支柱部を形成すること
ができる。例えば、第一素子と第二素子とを板状に形成
する場合、前述の第一及び第二のセラミック粉末成形体
として、セラミック粉末と有機バインダとを混練してシ
ート状に成形した、いわゆるセラミックグリーンシート
が使用されることが多い。この場合、隙間を形成した状
態で積層されたセラミックグリーンシートが焼成時に変
形して隙間側に垂れ下がり、最終的に形成される隙間の
量がばらついたり、甚だしい場合には隙間が潰れて上下
の電極が接触してしまったりするトラブルが生ずる場合
がある。そこで、上述のように、隙間の間隔を規定する
支柱部を第一素子と第二素子との間に形成しておけば、
所期の大きさの隙間を安定して形成することができ、ひ
いては隙間量のばらつきに伴うセンサ個体間の出力ばら
つきといった問題を生じにくくすることができる。
【0032】上記支柱部は、次のような方法により効率
的に形成することができる。すなわち、第一及び第二の
セラミック粉末成形体の少なくともいずれかに対し、上
記隙間に対応する領域内に、セラミック粉末を用いて支
柱部となるべき支柱部パターンを形成する。次いで、そ
れら第一及び第二のセラミック粉末成形体を、支柱部パ
ターンが形成された側において隙間が形成されるように
互いに積層する。そして、その積層体を焼成することに
より、第一素子と第二素子との間に、上記支柱部パター
ンに基づく支柱部を形成する。支柱部パターンは、セラ
ミック粉末成形体(例えばセラミックグリーンシート)
の配置、あるいはセラミック粉末ペーストを用いたパタ
ーン印刷等により形成することができる。
【0033】支柱部は、具体的には、隙間の形成領域内
に散点状あるいは千鳥状に分散して形成したり、あるい
は第一素子と第二素子との積層方向と交差する向きにお
いて、上記隙間を2以上の空間に仕切る仕切り壁状に形
成することができる。なお、支柱部の材質としては、第
一素子及び第二素子と同一材質のセラミック材料(すな
わち、酸素イオン導電性固体電解質セラミック)で構成
しても、異なる材質のセラミック材料(例えば、Al2
3(多孔質体を含む))で構成してもいずれでもよい
が、焼成により第一素子及び第二素子と一体化し得る材
質のもので構成することが特に好ましい。
【0034】次に、第一素子及び第二素子は、それぞれ
横長の板状に構成してこれを互いに対向配置することが
できる。この場合、各電極はそれら第一素子及び第二素
子の板面長手方向における一方の端部側に形成すること
ができる。また、同じくその板面長手方向における他方
の端部側においてそれら第一素子及び第二素子の間に
は、隙間の間隔とほぼ同厚さのスペーサ部を介挿し、該
スペーサ部と第一素子及び第二素子とを焼成により互い
に一体化する構成とすることができる。第一素子及び第
二素子との間にスペーサ部を配置することにより、必要
な隙間を容易に形成できる他、スペーサ部を一体化する
ことで板状の第一素子及び第二素子を補強でき、ひいて
はセンサの機械的強度を向上させることができる。
【0035】このような構成の排気ガスセンサは、下記
のような方法により効率的に製造することができる。す
なわち、前述の方法において、第一及び第二のセラミッ
ク粉末成形体を、それぞれ横長の板状に形成して互いに
対向配置し、電極パターンをそれら第一及び第二のセラ
ミック粉末成形体の板面長手方向における一方の端部側
に形成する。また、板面長手方向における他方の端部側
においてそれら第一及び第二のセラミック粉末成形体の
間に、スペーサ部となるべきスペーサ成形体を介挿す
る。そして、それらスペーサ成形体と第一及び第二のセ
ラミック粉末成形体との積層体を焼成することにより、
第一素子及び第二素子を、該スペーサ成形体に基づくス
ペーサ部を介して互いに接合・一体化する。
【0036】この場合、該隙間には前述の支柱部を形成
すると、隙間寸法精度を向上させることができる。ま
た、第一素子及び第二素子の間には、その長手方向にお
いて隙間に関してスペーサ部と反対位置に補助スペーサ
部を介挿する構成とすることもできる。こうすれば、第
一素子と第二素子との隙間形成部分が、その長手方向に
おいてスペーサ部と補助スペーサ部とにより両側で支持
されるので、隙間部分におけるセンサの機械的強度を大
幅に向上させることができる。一方、隙間の周縁の一
部、例えば第一素子と第二素子との板幅方向両側の側縁
部に沿うように、補強スペーサ部をそれら第一素子と第
二素子との間に介挿し一体化する構成とすることによっ
ても、同様に隙間部分におけるセンサの機械的強度を向
上させることができる。なお、該構成においてスペーサ
部、支柱部、補助スペーサ部あるいは補強スペーサ部
は、第一素子及び第二素子と同一材質のセラミックによ
り構成することができる。この場合、それらと、酸素濃
淡電池素子あるいは酸素ポンプ素子の少なくとも一方と
の間には、第一素子と第二素子との間の電流漏洩を阻止
する絶縁層を介挿することが望ましい。
【0037】一方、より簡便なセンサ構成としては、下
記のようなものを例示することができる。すなわち、第
一素子及び第二素子を、それぞれ同様に横長の板状に構
成し互いに対向配置し、各電極をそれら第一素子及び第
二素子の板面長手方向における一方の端部側に形成する
一方、上記隙間において第一素子と第二素子との間に
は、該隙間に対する気体の出入りを妨げない状態で、該
隙間の間隔を規定する支柱部を形成する。さらに、上記
隙間を除く他の領域においてそれら第一素子と第二素子
とを絶縁層を介して互いに接合・一体化する。該構成に
よれば、スペーサ部を用いることなく隙間を形成するこ
とができるのでセンサをよりコンパクトに構成でき、さ
らに、スペーサ部の作製とその積層配置の工程とを省略
できるので、センサの製造をより能率的に行うことがで
きる。
【0038】その具体的な製造方法として、下記のよう
なものを例示できる。該方法においては、第一及び第二
のセラミック粉末成形体は、それぞれ横長の板状に形成
されて互いに積層され、電極パターンはそれら第一及び
第二のセラミック粉末成形体の板面長手方向における一
方の端部側に形成される。そして、第一及び第二のセラ
ミック粉末成形体との間の上記隙間に予定された領域
に、セラミック粉末ペーストを用いて支柱部となるべき
支柱部パターンを形成し、その支柱部パターンと重なり
を生じない位置において同じく該隙間に予定された領域
に、焼成時に燃焼ないし分解する(あるいは燃焼ないし
分解して消失する)材質の粉末ペーストにより補助支持
パターンを形成する。さらに、上記隙間に予定された領
域を除く他の領域において第一及び第二のセラミック粉
末成形体との間には絶縁層パターンを形成する。そし
て、その積層体を焼成することにより、第一素子と第二
素子との間に、隙間と上記支柱部パターンに基づく支柱
部とを形成する一方、隙間を除く他の領域においてそれ
ら第一素子と第二素子とを、絶縁層パターンに基づく絶
縁層を介して互いに接合する。なお、支柱部パターンあ
るいは補助支持パターンは印刷により形成することがで
きる。
【0039】支柱部パターンと補助支持パターンとを、
上述のように印刷等で相補的に形成することで、第一及
び第二のセラミック粉末成形体を積層した際に、補助支
持パターンによる補強効果に基づき、支柱部パターンが
両者の間で潰れることが防止ないし抑制される。そし
て、焼成により、補助支持パターンは燃焼ないし分解し
て消失するから、第一素子と第二素子との間には一定量
の隙間を精度よく、しかも極めて簡単に形成することが
できる。また、第一及び第二のセラミック粉末成形体を
例えばセラミックグリーンシートで形成することで、絶
縁層パターンが支柱部パターンよりもかなり薄く形成さ
れていたとしても、第一及び第二のセラミック粉末成形
体が少し橈むことで、両者は絶縁層パターンを介して密
着でき、焼成により支障なく一体化することができる。
【0040】なお、絶縁層パターンは、絶縁性セラミッ
ク粉末、例えばAl23粉末のペーストを用いて形成す
ることができる。この場合、支柱部パターンは、絶縁層
パターンよりも粒径の大きい絶縁性セラミック粉末、例
えばAl23多孔質粉末等のペーストを用いて形成する
ことで、積層時のパターンの潰れをより起こりにくくす
ることができる。一方、補助支持パターンは、例えば主
にカーボン粉末で構成されたペーストを用いて形成する
ことができる。
【0041】次に、上記排気ガスセンサにおいては、第
一素子と第二素子との間の隙間は、これをなるべく小さ
くして(望ましくは1mm以下)当該隙間による新たな
排気ガスの流入規制効果をなるべく高めることが、セン
サの検出精度を向上させる上で有利である。逆に言え
ば、該隙間の寸法が大きすぎると、触媒活性を有した電
極上でのHCと酸素との反応が不安定化し、酸素濃淡電
池起電力が小さくなってセンサ出力が十分に得られなく
なることもありうる。この傾向は、測定対象となる排気
ガス中の酸素濃度の変動が大きかったり、あるいはガス
中の水蒸気濃度が高い場合に特に著しくなる。また、両
素子の少なくとも一方について、隙間と反対側の面との
間に所定の隙間(別の隙間)を形成する隙間形成部材を
配置する場合は、その隙間の大きさも同様の理由により
なるべく小さくすることが望ましい(望ましくは1mm
以下)。
【0042】しかしながら、上記素子間の隙間量を小さ
くし過ぎると、今度は焼成により第一素子、第二素子、
あるいは隙間形成部材を製造した際に、焼成時の僅かな
変形が隙間形成量に大きな影響を及ぼし、センサ個体間
で出力のばらつきやすくなる問題が生ずることもある。
そこで、これを解決するためには次のようなセンサ構造
とすることが有効である。すなわち、第一素子及び第二
素子の各電極の少なくともいずれかに対しこれと接する
ように測定室を形成し、また、測定室の壁部を被測定雰
囲気側から測定室側へ貫くようにガス連通部を形成す
る。そして、このガス連通部を、小孔、スリット、及び
多孔質セラミック又は多孔質金属により構成された多孔
質連通部の少なくともいずれかを含む拡散規制流通部と
して構成するようにする。
【0043】このようにすれば、隙間の大きさをある程
度以上に大きくした場合でも、排気ガスは拡散規制流通
部から拡散を規制されつつ測定室に流入し、また測定室
に導入された後は同じく拡散規制流通部により拡散を規
制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。従って、一旦
導入された排気ガスの測定室内での滞留時間が長くな
り、その間に被検出雰囲気中の排気ガス組成(特に酸素
あるいは水蒸気量)が変化しても、測定室内のガスへの
影響が小さくなるので、安定で高いセンサ出力を得るこ
とができ、ひいてはセンサの検出精度を高めることがで
きる。
【0044】次に、測定室及び拡散規制流通部の形成形
態であるが、第一素子と第二素子との間の隙間側に形成
する場合は、該隙間に面する電極の周囲を取り囲むよう
に壁部を形成し、その壁部内面と第一素子及び第二素子
の各対向面とによって囲まれた空間を測定室とすること
ができる。また、拡散規制流通部は、壁部と第一素子と
第二素子との少なくともいずれかに対しこれを被測定雰
囲気側から測定室側へ貫通する形態で形成され、それら
被測定雰囲気と測定室とを互いに連通させるスリット又
は小孔とすることができる。なお、上記隙間と被測定雰
囲気との間で気体の流通を許容する前述の多孔質セラミ
ック(あるいは多孔質金属でもよい)も、拡散規制流通
部として機能しうる。
【0045】拡散規制流通部として上記スリットを形成
する場合、例えば第一素子と第二素子との間に、上記壁
部の少なくとも一部を構成する壁部形成体を配置し、そ
の壁部形成体と第一素子及び第二素子の少なくともいず
れかとの間に上記スリットを、それら第一素子ないし第
二素子の板面に沿う形態で形成することができる。これ
により、スリットを介して測定室内に排気ガスをスムー
ズにかつ空間的な偏りを生ずることなく導入することが
できる。
【0046】次に、上記スリットの幅(間隔)をd、第
一素子及び第二素子の対向方向における測定室の寸法
(以下、測定室の高さという)をhとした場合、d/h
は1/100〜1/4の範囲で調整するのがよい。d/
hが1/4を超えるとスリットにおける排気ガスの拡散
規制効果が不十分となり、センサ出力が十分に得られな
くなる場合がある。d/hが1/100未満になると測
定室へのガスの流入速度、あるいは測定室からのガスの
流出速度が小さくなり過ぎ、センサの検出精度が却って
低下してしまう場合がある。d/hは、より望ましくは
1/20〜1/8の範囲で設定するのがよい。なお、ス
リット内の空間体積Vに対するスリット内周面の面積の
比S/Vは、同様の理由により4〜100、望ましくは
20〜50の範囲で調整するのがよい。
【0047】一方、スリット幅dの絶対値は、0.01
〜1.0mmの範囲で調整するのがよい。dが1.0m
mを超えると、スリットにおける排気ガスの拡散規制効
果が不十分となり、センサ出力が十分に得られなくなる
場合がある。一方、dが0.01mm未満になると測定
室へのガスの流入速度、あるいは測定室からのガスの流
出速度が小さくなり過ぎ、センサの検出精度が却って低
下してしまう場合がある。なお、dは、より望ましくは
0.02〜0.05mmの範囲で設定するのがよい。
【0048】スリットは、壁部形成体の厚さ方向(酸素
濃淡電池素子と酸素ポンプ素子との積層方向)中間部に
形成する態様も可能であるが、壁部形成体と第一素子及
び第二素子の少なくともいずれかとの間に形成する構成
がセンサの製造上より有利である。すなわち、前者の場
合は、壁部形成体となるべきセラミック成形体(以下、
壁部形成用成形体という)に予めスリットとなるべき隙
間を穿設しておくか、あるいは該セラミック成形体を厚
さ方向に隣接する2部分に形成し、それら部分の間に隙
間を生じさせた状態で焼成するなど、若干の工数増加が
不可避となる。一方、後者の場合は、壁部形成用成形体
と第一素子ないし第二素子となるべきセラミック成形体
(以下、素子形成用成形体という)との間に所定量の隙
間を形成して焼成するのみで、上記構造の排気ガスセン
サを簡単に製造することができる。
【0049】上記スリットは、例えばスリット形成が予
定された領域において壁部形成用成形体と素子形成用成
形体との間に、焼成により焼失する材料(例えばカーボ
ンペーストなど)で形成された層を挟み込み、その積層
体を焼成して該層を焼失させることにより形成すること
ができる。この場合、形成されるスリットの幅は、形成
する層の厚さに応じて自由に調整することができる。
【0050】次に、壁部形成体は、第一素子及び第二素
子の少なくともいずれかと焼成により一体化することが
できる。焼成によりこれらを一体化することで、センサ
の機械的強度を向上させることができる。なお、壁部形
成体と第一素子及び第二素子のいずれか一方との間にの
みスリットを形成する場合には、スリットを形成しない
側では壁部形成用成形体と素子形成用成形体とをそれら
の積層面のほぼ全面において一体化する一方、スリット
の形成側においては、上記シートを積層面に対し部分的
に挟み込むことでスリットを形成し、該シートを介在さ
せない積層面領域で壁部形成用成形体と素子形成用成形
体とを一体化する構成が可能である。この場合、酸素ポ
ンプ素子ないし酸素濃淡電池素子とは、スリットの形成
側においてもスリット形成領域以外の部分で互いに一体
化するので、センサの強度を一層高めることができる。
【0051】一方、スリットに代えて小孔により拡散規
制流通部を形成する場合には、該小孔を、例えば壁部形
成体に形成できる。この場合、排気ガスを測定室に対し
偏りなく流入させるには、複数の小孔を、例えば板状の
第一素子ないし第二素子の板面方向に所定の間隔で形成
するのがよい。また、小孔は、第一素子ないし第二素子
を厚さ方向に貫く形で形成することもできる。この場
合、該小孔は複数のものを、それら素子に形成された電
極の周縁に沿って所定の間隔で形成することが、偏りの
ない排気ガスの流入状態を形成する上で望ましい。
【0052】次に、第一素子及び第二素子は横長板状に
形成でき、拡散規制流通部は、それら第一素子及び第二
素子の板面幅方向両側に形成されたスリットないし所定
間隔で配列する複数の小孔群とすることができる。こう
すれば、上記スリットないし小孔群の一方のものから測
定室内に流入した排気ガスは、他方のものから排出され
るので、測定室内にスムーズな排気ガスの流れが形成さ
れ、ひいてはセンサ出力の応答性を向上させることがで
きる。
【0053】次に、上記排気ガスセンサにおいては、第
一素子ないし第二素子の隙間に面しているのとは反対側
に測定室を形成するようにしてもよい。すなわち、第一
素子ないし第二素子に対し上記隙間とは反対側からこれ
に対向して、それら第一素子ないし第二素子との間に別
の隙間を形成する前述の隙間形成部材を配置し、その隙
間形成部材と第一素子ないし第二素子との間に対応する
電極の周囲を取り囲むように壁部を形成し、その壁部内
面、隙間形成部材及び第一素子ないし第二素子の各対向
面とによって囲まれた空間を測定室とする。
【0054】この場合も拡散規制流通部は、前述の第一
素子と第二素子との間に測定室を形成する場合とほぼ同
様の態様で形成できる。すなわち、該拡散規制流通部
は、壁部及び隙間形成部材の少なくともいずれかに対し
これを被測定雰囲気側から測定室側へ貫通する形態で形
成され、それら被測定雰囲気と測定室とを互いに連通さ
せるスリット又は小孔として構成できる。また、隙間形
成部材と第一素子ないし第二素子との間に、壁部の少な
くとも一部を構成する壁部形成体を配置でき、該壁部形
成体と第一素子及び第二素子の少なくともいずれかとの
間に上記スリットを、それら隙間形成部材、第一素子あ
るいは第二素子の板面に沿う形態で形成することができ
る。
【0055】また、壁部形成体は、隙間形成部材、第一
素子及び第二素子の少なくともいずれかと焼成により一
体化することができる。さらに、隙間形成部材、第一素
子及び/又は第二素子は横長板状に形成することがで
き、拡散規制流通部は、それら隙間形成部材、第一素子
あるいは第二素子の板面幅方向両側に形成されたスリッ
トとすることができる。
【0056】上記第一及び第二素子の各電極の材質は、
酸素との反応に対する触媒活性が比較的高いものとして
は、Pt、Pd及びRhのいずれかを主体とする金属
(単体又は合金)又は、Pt−Rh系合金、Rh−Pd
系合金、Pd−Ag系合金等(以下、本明細書において
は、これらを高活性金属グループという)を使用でき
る。また、逆に触媒活性が比較的低いものとしては、A
u、Ni及びAgのいずれかを主体とする金属(単体又
は合金)又は、Pt−Au系合金、Pt−Ni系合金、
Pt−Ag系合金、Ag−Pd系合金、Au−Pd系合
金等(以下、本明細書において、これらを低活性金属グ
ループという)を使用できる。なお、Pt−Pd系合金
も使用でき、これはPtに比べれば触媒活性はやや低い
が、Au等に比べれば相当に高い。
【0057】なお、被検出成分に対する酸化触媒活性の
小さい電極を構成する場合、その少なくとも排気ガスと
の接触表面を含んだ部分を、被検出成分と酸素との反応
に対して触媒不活性な材料で構成することができる。こ
の場合、電極の全体を上記触媒不活性な材料で構成でき
ることはもちろんであるが、排気ガスとの接触部におい
て、その表層部のみを触媒不活性な材料で構成するよう
にしてもよく、例えば触媒活性な材料で本体部を形成
し、その表面に触媒不活性な材料によりコーティングを
施して電極を得るようにしてもよい。触媒不活性な材料
としては、例えば、前述のAu、Ni及びAgのいずれ
かを主体とする金属等の低活性金属グループに属するも
の、あるいはSnO2、ZnO、In23、WO3、Bi
23等の酸化物を例示することができる。
【0058】次に、第一素子と第二素子との間に形成さ
れる隙間には、金属メッシュ又は多孔質金属で構成され
たガス保持部材を介挿してもよい。このようにすると、
該ガス保持部材が上記隙間形成のためのスペーサとして
機能し、隙間の寸法精度を高めることができる。なお、
上記ガス保持部材をメッシュで構成する場合、その網目
の形成密度が100〜500メッシュのものを使用する
ことが望ましい。
【0059】次に、本発明の排気ガスセンサシステムに
おいては、酸素濃淡電池素子の温度が予め定められた温
度目標値に近づくように、加熱素子の発熱を制御する発
熱制御手段を設けることができる。すなわち、上記セン
サシステムにおいては、酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡
電池起電力を参照し酸素ポンプ素子の作動が制御される
のであるが、該濃淡電池起電力は素子の温度によって変
化するため、同一の被検出成分の濃度が同一であっても
酸素濃淡電池素子の温度が変化すると、濃淡電池起電
力、ひいては濃度検出情報となるポンプ電流の値が変動
して測定誤差の増加につながる。しかしながら、上述の
ような発熱制御手段を設けることにより、酸素濃淡電池
素子の温度が予め定められた温度目標値に近づくように
加熱素子の発熱が制御されるので、上記素子の温度変化
に基づく被検出成分の測定誤差を小さくすることがで
き、測定精度を高めることができる。
【0060】発熱制御手段は、酸素濃淡電池素子の温度
を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の温度検出
結果に基づいて、酸素濃淡電池素子の温度が温度目標値
に近づくように、発熱素子の通電を制御する通電制御手
段とを備えたものとして構成できる。これにより、仮に
酸素濃淡電池素子の温度が、排気ガス温度の急変等によ
り一時的に変化することがあっても、検出された温度の
情報に基づいてポンプ電流情報が補正されるので、被検
出成分の検出精度を良好に維持することができる。この
場合、酸素濃淡電池素子の温度は、サーミスタや熱電対
など、別途設けられた温度センサを用いて測定してもよ
いが、該濃淡電池素子の内部抵抗の値が温度によって変
化するので、これを利用して温度を測定するようにすれ
ば温度センサを設ける必要がなくなり、ひいては測定系
の構成を単純化できる利点がある。
【0061】この場合、上記センサシステムには、温度
検出手段が検出する温度の情報とポンプ電流情報とに基
づいて、温度補償された被検出成分濃度情報を生成する
被検出成分濃度情報補正手段と、その生成された被検出
成分濃度情報を補正測定結果として出力する補正測定結
果出力手段とを設けることができる。
【0062】具体的には、被検出成分濃度情報補正手段
は、温度目標値からの温度偏差と、ポンプ電流情報に対
する補正量(ポンプ電流補正量)との関係を与える温度
偏差−ポンプ電流補正量関係情報を補正参照情報として
記憶する補正参照情報記憶手段と、温度検出手段が検出
する温度と温度目標値との差に対応するポンプ電流補正
量を、補正参照情報を参照して決定するポンプ電流補正
量決定手段と、その決定されたポンプ電流補正量に基づ
いて、測定されたポンプ電流情報を補正する演算を行う
補正演算手段とを備えるものとして構成できる。これに
よれば、目標温度からの温度偏差をポンプ電流補正量に
換算する形で上記ポンプ電流情報を補正できるから、補
正処理のアルゴリズムを簡略化でき、ひいては被検出成
分濃度測定結果の補正出力の応答性を高めることができ
る。
【0063】この場合、被検出成分濃度情報補正手段に
は、上記ポンプ電流情報を被検出成分濃度情報へ変換す
るポンプ電流情報−被検出成分濃度情報変換手段を設け
ることができ、補正測定結果出力手段はその変換された
被検出成分濃度情報を、温度補償された被検出成分濃度
情報として出力するものとすることができる。また、ポ
ンプ電流情報−被検出成分濃度情報変換手段は、具体的
にはポンプ電流値と被検出成分濃度との関係を示すポン
プ電流値−被検出成分濃度関係情報を記憶する記憶手段
と、その記憶されたポンプ電流値−被検出成分濃度関係
情報を参照して、補正後のポンプ電流情報が示す被検出
成分濃度を算出する被検出成分濃度算出手段とを含むも
のとして構成することができ、補正測定結果出力手段は
その算出結果を出力するものとして構成することができ
る。一方、その補正されたポンプ電流情報をそのまま外
部に出力するようにしてもよい。
【0064】一方、被検出成分濃度情報補正手段は、ポ
ンプ電流値と被検出成分濃度値との関係を、各種温度毎
に示すポンプ電流情報−被検出成分濃度関係情報を補正
参照情報として記憶する補正参照情報記憶手段と、温度
検出手段が検出する温度の情報と測定されたポンプ電流
情報とに基づいて、上記補正参照情報を参照することに
より、当該温度とポンプ電流値に対応する被検出成分濃
度値を、温度補償された被検出成分濃度情報として生成
する補正濃度情報生成手段とを備えたものとして構成す
ることもできる。この構成によれば、各温度毎のポンプ
電流情報−被検出成分濃度関係情報を用意する必要はあ
るが、検出温度からポンプ電流補正量を算出することな
く、測定された温度とポンプ電流とに対応する被検出成
分濃度を直接的に決定することができ、被検出成分濃度
出力における応答性をさらに高めることができる。
【0065】次に、温度検出手段は、酸素濃淡電池素子
の内部抵抗を測定する内部抵抗測定手段と、その測定さ
れた内部抵抗値に基づいて酸素濃淡電池素子の温度の情
報を生成する温度情報生成手段と、その生成された温度
の情報を出力する温度情報出力手段とを備えるものとし
て構成できる。前述の通り、該構成によれば温度センサ
等を別途設ける必要がなくなり、装置構成を単純化でき
る利点がある。
【0066】内部抵抗測定手段は、具体的には、酸素濃
淡電池素子に対し一定の内部抵抗検出電流を通電する内
部抵抗検出電流通電手段と、該内部抵抗検出電流を通電
したときに酸素濃淡電池素子に印加される電圧を反映し
た情報(電圧情報)を検出する電圧情報検出手段とを備
え、その検出された電圧情報に基づいて酸素濃淡電池素
子の内部抵抗値を測定するものとすることができる。こ
れによれば、定電流通電時の印加電圧から酸素濃淡電池
素子の内部抵抗を簡単に測定することができる。
【0067】ここで、酸素濃淡電池素子の両側において
酸素濃度に差が生じている場合は、酸素濃淡電池素子に
は濃淡電池起電力が生じ、検出された電圧情報にその濃
淡電池起電力の情報が含まれないし重畳されて誤差の原
因となる場合がある。この場合、酸素濃淡電池素子の内
部抵抗の測定に当たっては、内部抵抗検出電流を一定以
上に大きく設定することで酸素濃淡電池素子に印加され
る電圧を高め、濃淡電池起電力の影響を相対的に小さく
することが内部抵抗測定の精度を高める上で有効であ
る。一方、重畳されるか、ないしは含まれる濃淡電池起
電力の影響を除去ないし低減するためには、次のような
方式も有効である。すなわち、内部抵抗測定手段に、酸
素濃淡電池素子に内部抵抗検出電流を通じない状態で、
該酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力を測定する濃淡電
池起電力測定手段と、該測定された濃淡電池起電力の情
報に基づいて、検出された電圧情報の内容を補正する電
圧情報補正手段とを設ける。具体的には、濃淡電池起電
力測定手段による濃淡電池起電力の測定結果を、電圧情
報の検出結果から減ずることにより、濃淡電池起電力成
分の影響を効果的に除去することができる。
【0068】次に、酸素濃淡電池素子に内部抵抗測定用
電流を通電すると、酸素濃淡電池素子内においてその通
電と逆方向に酸素が輸送され(すなわち、酸素ポンプと
なる)、酸素濃淡電池素子両側の酸素濃度に変化を生ず
る。その結果、排気ガスセンサによる被検出成分濃度の
測定に復帰した際に、その酸素濃度の変化が被検出成分
濃度の測定精度に対する誤差の要因ともなりうる。ま
た、酸素濃淡電池素子の内部抵抗値が高い場合には、酸
素濃淡電池素子内の酸素イオンが移動しにくくなって、
電流通電に伴い分極を生ずることもある。そこで、修正
電流通電手段により、酸素濃淡電池素子に対し内部抵抗
検出電流を通電してその内部抵抗を測定した後、該酸素
濃淡電池素子に対し、内部抵抗検出電流と逆方向に修正
電流を通電するようにすれば、その通電により上記とは
逆向きに酸素が輸送されるので、変化した酸素濃度が内
部抵抗測定前の状態に近づいて、復帰後の被検出成分濃
度の測定精度が高められるとともに、酸素濃淡電池素子
の分極状態も解消することができる。この場合、修正電
流の大きさ及び通電時間は、内部抵抗検出電流通電時に
輸送されると考えられる酸素量とほぼ同量の酸素が、該
修正電流の通電により逆輸送されるように設定するのが
よく、例えば内部抵抗検出電流とほぼ大きさが同じ電流
を、該内部抵抗検出電流とほぼ同時間通電するのがよ
い。
【0069】次に、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力
を所定の制御基準値と比較し、該濃淡電池起電力と起電
力目標値ECとの差に応じたポンプ電流を酸素ポンプ素
子に向けて出力するポンプ電流制御手段を設けることが
できる。これにより、濃淡電池起電力が起電力目標値E
Cに近づくようにポンプ電流値が制御されることとな
る。ここで、内部抵抗測定手段は、ポンプ電流制御手段
による酸素ポンプ素子へのポンプ電流の出力を、予め定
められたタイミングで遮断するポンプ電流遮断手段を備
えるとともに、内部抵抗検出電流通電手段は、ポンプ電
流の出力が遮断された状態で酸素濃淡電池素子に対し内
部抵抗検出電流を通電するものとして構成することがで
きる。これにより、内部抵抗検出電流とポンプ電流との
干渉が防止され、酸素濃淡電池素子の内部抵抗を精度よ
く検出することができる。
【0070】この場合、ポンプ電流の出力を長時間に亙
って遮断すると、濃淡電池起電力が起電力目標値ECか
ら外れて不安定化し、排気ガス中の被検出成分の検出と
いう本発明の装置の本来の目的に支障をきたすこともあ
りうる。そこで、内部抵抗測定手段においてポンプ電流
遮断手段は、ポンプ電流制御手段によるポンプ電流の出
力を所定の時間間隔で周期的に遮断するものとし、それ
によって該内部抵抗測定手段は、その周期的なポンプ電
流出力の遮断に対応して酸素濃淡電池素子の内部抵抗を
周期的に測定するものとして構成することができる。こ
れにより、ポンプ電流の出力を長時間連続的に中断する
ことなく、内部抵抗測定の頻度を高めることができ、ひ
いては被検出成分の濃度測定結果に対する温度補償をよ
り高精度で行うことが可能になるとともに、該内部抵抗
値を温度情報として用いる発熱制御手段の、発熱素子に
対する温度制御の精度を高めることができる。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の一
実施例としての排気ガスセンサ1を示している。すなわ
ち、排気ガスセンサ1は、それぞれ横長板状に形成され
た第一のヒータ2(加熱素子)、第一素子3、第二素子
4及び第二のヒータ5(加熱素子)がこの順序で積層さ
れたものとして構成されている。第一素子3及び第二素
子4は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質により構
成されている。そのような固体電解質としては、Y23
ないしCaOを固溶させたZrO2が代表的なものであ
るが、それ以外のアルカリ土類金属ないし希土類金属の
酸化物とZrO2との固溶体を使用してもよい。また、
ベースとなるZrO2にはHfO2が含有されていてもよ
い。本実施例では、Y23ないしCaOを固溶させたZ
rO2固体電解質セラミックが使用されているものとす
る。一方、第一及び第二のヒータ2,5は、公知のセラ
ミックヒータで構成されている。
【0072】第一素子3は横長板状に形成され、その長
手方向における一方の端部寄りにおいてその両面に、酸
素分子解離能を有した多孔質電極10,11が形成され
ている。また、第二素子4(温度検出手段としても機能
する)には、上記第一素子3の電極10,11に対応す
る位置においてその両面に、同様の多孔質電極12,1
3が形成されている。また、電極10〜13の形成部分
を除いて、第一素子3と第二素子4との間には、それら
素子と同一材質の固体電解質セラミックにより構成され
た板状のスペーサ部200が介挿されており、Al23
等で構成された絶縁層201,202を介してその両面
が、第一素子3及び第二素子4と焼成により一体化され
ている。これにより、第一素子3の電極11と第二素子
4の電極12との間には隙間15が形成されることとな
る。また、その隙間15において、第二素子4と第一素
子3との間には、その板幅方向両側の側縁部に沿うよう
に、スペーサ部200と一体の細長い補強スペーサ部2
03が介挿・一体化されている。そして、該隙間15
は、第二素子4及び第一素子3の端面において、両補強
スペーサ部203の間に開口する開口部204を連通部
として外側空間と連通することにより、排気ガスが出入
り可能になっている。
【0073】一方、第一のヒータ2と第一素子3との
間、及び第二素子4と第二のヒータ5との間には、それ
ぞれガラスあるいはセメント等で構成されたスペーサ6
及び8(図2)が介挿されており、各素子間には所定量
の隙間14及び16がそれぞれ形成されている。なお、
隙間15は、請求項でいう第一素子と第二素子との間の
隙間に、また隙間14,16は同じく反対空間に相当す
る。また、第二のヒータ5は、隙間形成部材の役割を果
たしている。
【0074】第一素子3の電極10,11は、被検出成
分としての炭化水素に対する酸化触媒活性が互いに異な
る材質で構成されており、具体的には酸化触媒活性の高
いもの(11)が隙間15に面するように配置されてい
る。また、第二素子4の電極12,13も、被検出成分
としての炭化水素に対する酸化触媒活性が互いに異なる
材質で構成されているが、両面の電極12,13間の酸
化触媒活性差が、第一素子3の両面の電極10,11間
の酸化触媒活性差より大きくなる材質が使用されてお
り、かつ酸化触媒活性の高いもの(12)が隙間15に
面するように配置される。また、第一素子3と第二電極
4との、それぞれ隙間15に面する電極11,12は、
互いに同一の材質で構成されている。
【0075】本実施例では、第一素子3の隙間15に面
さない電極10がPt−Pd電極とされ、同じく該隙間
15に面する電極11がPt電極とされる一方、第二素
子4の隙間15に面する電極12がPt電極とされ、同
じく該隙間15に面さない電極13がAu電極とされて
いる。なお、Pt−Pd電極中のPd含有量は、例えば
1〜50重量%の範囲で調整される。Pd含有量が1重
量%未満になると、電極10との間の酸化触媒活性差が
小さくなり過ぎ、後述する第一モードにおいてメタンの
濃度検出感度が不十分となる場合がある。また、Pd含
有量が50重量%を超えるとPt−Pd合金と固体電解
質セラミックとの密着性が不十分となり、電極の剥離等
が生じる場合がある。Pd含有量は、望ましくは2〜1
4重量%の範囲で調整するのがよい。
【0076】そして、これら第一素子3及び第二素子4
は、一方が酸素濃淡電池素子として機能し、他方が、該
酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡電池起電力の絶対値が減
少する方向に隙間15に酸素を汲み込み又は該隙間15
から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子として機能すること
となる。そして、後述する制御モード切替え機構(制御
モード切替え手段)により、第一素子3が酸素濃淡電池
素子となり第二素子4が酸素ポンプ素子となる第一モー
ドと、その逆となる第二モードとの間で適宜切替えて使
用される。
【0077】図2は、排気ガスセンサ1の内部構造を示
すために、スペーサ部200と補助スペーサ部203と
を省略して描いた図である。第一素子3の各多孔質電極
10,11からは、該素子3の長手方向に沿って排気ガ
スセンサ1の取付基端側に向けて延びる電極リード部1
0a,11aがそれぞれ一体に形成されており、該基端
側において第一素子3には接続端子10b,11bの一
端が埋設されている。そして、例えば、接続端子10
b,11bは、図2(b)に示すように、金属ペースト
を焼結することにより形成された導通部10fにより、
電極リード部10a,11aの末端に対して電気的に接
続されている。また、第二素子4の各多孔質電極12,
13にも同様に電極リード部12a及び13aが一体に
形成されており、それぞれ接続端子12b,13bが取
り付けられている。
【0078】図3(a)は、排気ガスセンサ1の全体の
構成例を、また(b)はその内部構造を示している。す
なわち、排気ガスセンサ1の要部は、図1及び図2に示
した第一のヒータ2、第一素子3、第二素子4及び第二
のヒータ5からなる積層体31であり、角型の貫通孔3
0aを有するセラミックストッパ30が、積層体31に
対し外側から嵌着されている。上記積層体31は、一端
側が開放し、貫通孔32aが形成された底部32bを他
端側に有するセラミック碍管32の内側に、各電極10
〜13の形成された端部(以下、検出端部という)31
aが貫通孔32aから突出するように配置されるととも
に、該碍管32と積層体31との間にはガラスGが充填
されいる。なお、セラミックストッパ30は、その端面
が碍管32の底部32bの内面と当接することにより、
積層体31の碍管32からの突出量を規定する役割も果
たしている。
【0079】また、碍管32の外側は、金属製の外筒3
3と、かしめ結合部34aにより該外筒33と一体化さ
れた主体金具34とにより覆われている。主体金具34
の外周面には、センサ1を排気管等の図示しない取付部
に取り付けるための雄ねじ部34bが形成されるととも
に、その先端側に形成された開口部34cおいて、前述
の積層体31の検出端部31aを突出させている。ま
た、主体金具34の開口部34cの周縁には円環状のプ
ロテクタ取付スリーブ34dが一体的に形成されてい
る。そして、検出端部31aを覆うとともに、該検出端
部31aへの排気ガスの流通を許容する多数の貫通孔3
5aを有した円筒状のプロテクタ35が、上記プロテク
タ取付スリーブ34dに対し外側から嵌着され、さらに
スポット溶接等により接合され一体化されている。一
方、碍管32の中間部において主体金具34との間に形
成される空間には、そのかしめ結合部34aに近い側
に、かしめ時の加工力を受けとめるためのかしめ金具3
6が配置され、さらに残余の空間には充填材80が充填
されている。
【0080】一方、積層体31を構成する各素子2〜5
の接続端子(図1等)には、リード線37が溶接等によ
り接合されており、その末端側が碍管32及び外筒33
の端部から外側に延出している。なお、リード線37の
中間部はゴム等の弾性材料で構成されたシール部材38
により覆われており、そのさらに外側には金属製の保護
外筒39がはめ込まれている。そして、該保護外筒39
の端縁側が外筒33に対してかしめにより一体化されて
いる。
【0081】上記排気ガスセンサ1は、例えば排気管に
設けられた取付部に対し、プロテクタ35側が該排気管
内に位置するように取り付けられる。例えば、第一素子
3が酸素ポンプ素子となり、第二素子4が酸素濃淡電池
素子となる第二モードでは次のようになる。すなわち、
図4に示すように、酸素ポンプ素子となる第一素子3に
は、多孔質電極10,11の一方が正、他方が負となる
ように前述のリード線37(図3)を介して電圧が印加
される。そして、極性が正となる多孔質電極において
は、これと接する排気ガス中の酸素分子が該電極上で解
離され、上記印加された電圧が駆動力となって解離され
た酸素がイオンの形で素子3内に送り込まれる。また、
上記電圧印加により素子3内を輸送される酸素イオン
は、極性が負となる多孔質電極上で電子を受け取り、さ
らに酸素分子に再結合して雰囲気中に放出される。
【0082】また、酸素濃淡電池素子となる第二素子4
においては、多孔質電極12,13には電圧が印加され
ず、それら電極12,13とそれぞれ接する排気ガス中
の酸素分子が該電極12,13上で解離され、それぞれ
酸素イオンの形で素子4内に拡散する。そして、電極1
2側と13側とで酸素濃度に差がある場合には、素子4
内に酸素イオンの濃度勾配が生じ、その濃度勾配に応じ
た濃淡電池起電力が両電極12,13間に生ずることと
なる。なお、以下においては、酸素ポンプ素子と酸素濃
淡電池素子との間に形成されている隙間15に関し、第
一素子3の隙間15に面する多孔質電極11を第一電
極、隙間15に面する第二素子4の多孔質電極12を第
二電極、同じく隙間15に面さない多孔質電極13を第
三電極と呼ぶことにする。
【0083】一方、上記多孔質電極10〜13のうち、
少なくとも一部のものは、上述の酸素分子の解離ないし
再結合を行う役割のほかに、これと接する排気ガス中の
炭化水素系の被検出成分と酸素との結合反応、すなわち
被検出成分の燃焼反応を促進する酸化触媒としても機能
する。そして、本実施例の排気ガスセンサ1では、第一
電極11と第二電極12とがPtにより、第三電極13
がAuで構成される。これにより被検出成分に対する酸
化触媒活性は、第二素子4の両側(すなわち隙間15側
と隙間16側)において酸素との反応による被検出成分
の消費量に差が生じるように調整されることとなる(こ
の場合、隙間15側で消費量が大きくなる)。なお、隙
間15及び隙間16の大きさはそれぞれ1mm以下の範囲
で調整される。一方、第一電極11の面積Spは第二電
極12の面積SSと等しいか、それよりも大きく設定さ
れる。
【0084】一方、第一モードでは第一素子3が酸素濃
淡電池素子となり、第二素子4が酸素ポンプ素子とな
る。この場合、Pt製の電極12が第一電極、同じく電
極11が第二電極、Pt−Pd合金製の電極10が第三
電極となる。この場合も、被検出成分に対する酸化触媒
活性は、酸素濃淡電池素子(第一素子3)の両側(すな
わち隙間14側と隙間15側)において酸素との反応に
よる被検出成分の消費量に差が生じるように調整される
こととなる(この場合、隙間14側で消費量が大きくな
る)。
【0085】以下、第一素子3と第二素子4とを一体焼
成する方法について、図5を参照して説明する。すなわ
ち、一体焼成体を形成するための未焼成組立体310
は、第一素子3を形成するための第一部分211(第一
のセラミック粉末成形体に相当する)、第二素子4を形
成するための第二部分212(第二のセラミック粉末成
形体に相当する)、及び隙間15を形成するための第三
部分213から成り立っている。まず、第一部分211
は、ZrO2粉末を有機バインダとともに混練した生素
地を用いて形成された、第一素子3の本体となるべきZ
rO2グリーンシート220を含んでいる。そのZrO2
グリーンシート220の両面の、電極10,11(図2
等)の形成が予定された部分を除く領域に、リード部1
0a,11aと第一素子3との間を絶縁するための絶縁
コート(絶縁層パターン)221及び222がAl23
ペースト等を用いて形成される。それら絶縁コート22
1及び222を形成した後、電極10,11及びリード
部10a,11aを形成するための電極パターン223
及び224がPtペースト等により印刷形成される。ま
た外側電極10となる側の電極パターン223の上には
保護用のオーバーコート225がAl23ペースト等に
より形成される。
【0086】一方、第二部分212も同様に、第二素子
4の本体となるべきZrO2グリーンシート230の両
面に、絶縁コート(絶縁層パターン)231及び232
が形成される。ここで、絶縁コート231側には、電極
12とそのリード部12aを形成するための電極パター
ン233が形成されるが、Auで構成される電極13
(第三電極)は融点が低くZrO2との一体焼成が不可
能なため、絶縁コート232側には、リード部13aを
形成するための電極リード部パターン234のみが形成
され、その上にAl23ペーストにより保護用のオーバ
ーコート235が施される。
【0087】次に、第三部分213は、スペーサ部20
0となるべき部分200a(スペーサ成形体)と、補強
スペーサ部203となるべき部分203aとが一体に形
成されたZrO2グリーンシート240を主体に構成さ
れ、その両面には貼合わせコート241と242とがそ
れぞれAl23ペースト等を用いて形成されている。こ
れら貼合わせコート241及び242は、前述の絶縁コ
ート222及び231とともに、焼成によりそれぞれ絶
縁層201及び202となり、スペーサ部200及び補
強スペーサ部203と、第一素子3及び第二素子4とを
互いに接合する役割を果たす。
【0088】第一部分211と第三部分213とは互い
に積層され、両者の間にはリード部10a及び11aの
末端部に対応して、端子10b及び11b(図2)を形
成するためのPt−Rh合金線243a,243bの一
方の端部側がそれぞれ挟み込まれる。なお、ZrO2
リーンシート220のリード部10aの末端に対応する
位置には貫通孔220aが孔設されており、リード部1
0aのパターンを形成する際にペーストがここに充填さ
れ、図2(b)に示すように、焼成によりその充填され
たペーストが焼結されて導通部10fとなり、端子10
b(Pt−Rh合金線243b)とリード部10bとが
導通するようになっている。一方、リード部11aのパ
ターンと、Pt−Rh合金線243aとは、ZrO2
リーンシート220及び240の間で挟み付けられて直
接接触する。
【0089】また、第二部分212も第三部分213に
対し第一部分211とは反対側から積層され、リード部
12a及び13aの末端部に対応して、端子12b及び
13b(図2)を形成するためのPt−Rh合金線24
4a,244bの一方の端部側がそれぞれ挟み込まれ、
未焼成組立体310が完成する。なお、ZrO2グリー
ンシート230のリード部13aの末端に対応する位置
には、第一部分211の貫通孔220aと同様に貫通孔
230aが孔設されており、ここに充填されたペースト
に基づく導通部により、端子13bとリード部13aと
が導通するようになっている。また、リード部12aの
パターンと、端子12bとなるPt−Rh合金線244
aとは、ZrO2グリーンシート240及び230の間
で挟み付けられて直接接触する。
【0090】そして、上記未焼成組立体310を焼成す
ることにより、図1及び図2に示す第一素子3と、第三
電極13が未形成の状態の第二素子4との一体焼成物が
得られる。そして、図5に示すように、Au粉末ペース
トを用いてパターン245を第二素子4の対応する位置
にペースト印刷し、さらにセラミックスの焼成温度より
低い温度(例えば850〜1000℃)で焼き付けて二
次メタライズ処理することにより、第三電極13が形成
されて排気ガスセンサの要部が完成する。
【0091】排気ガスセンサ1の作動原理の概要は以下
の通りである。図4に示すように、排気ガスセンサ1を
排気管に取り付け、第一素子3と第二素子4との間の隙
間15と、第二素子4とヒータ5との間の隙間16(反
対空間)とに、それぞれ炭化水素系の被検出成分と酸素
とを含有する排気ガスが導入される。まず、第一モード
では、隙間15側に位置する電極11,12がいずれも
Ptで形成されており、隙間14側に位置する電極10
がPt−Pd合金で構成されていることから、該排気ガ
ス中の被検出成分の酸化による消費量は、隙間15側に
おいて隙間14側よりも大きくなる。そして、被検出成
分の消費量の大きい側においては、排気ガスEG中の酸
素の消費量も大きくなることから、隙間14内の酸素濃
度は隙間15内のそれよりも高くなり、酸素濃淡電池素
子となる第一素子3には隙間14側を正とする濃淡電池
起電力が生ずる。
【0092】そして、上記濃淡電池起電力の絶対値が例
えば10mV以下の一定値となるように、酸素ポンプ素
子となる第二素子4により隙間16側から隙間15側へ
酸素を汲み込むと、該第二素子4を流れる電流(以下、
酸素ポンプ電流あるいはポンプ電流という)は、被検出
成分の酸化に消費された酸素量を反映した値となる。ま
た、排気ガスEG中の被検出成分の濃度が高くなると、
その酸化により消費される酸素量は増大し、結果として
ポンプ電流も大きくなる。従って、ポンプ電流を測定す
ることにより、排気ガスEG中の被検出成分の濃度を知
ることができる。
【0093】一方、第二モードでは、隙間15側に位置
する電極11,12がいずれもPtで形成されており、
隙間16側に位置する電極13がAuで構成されている
ことから、該排気ガス中の被検出成分の酸化による消費
量は、隙間15側において隙間16側よりも大きくな
る。これにより、隙間16内の酸素濃度は隙間15内の
それよりも高くなり、酸素濃淡電池素子となる第二素子
4には隙間16側を正とする濃淡電池起電力が生ずる。
【0094】そして、上記濃淡電池起電力の絶対値が例
えば10mV以下の一定値となるように、酸素ポンプ素
子となる第一素子3により隙間14側から隙間15側へ
酸素を汲み込むと、該第一素子3を流れる電流(以下、
酸素ポンプ電流あるいはポンプ電流という)は、被検出
成分の酸化に消費された酸素量を反映した値となる。ま
た、排気ガスEG中の被検出成分の濃度が高くなると、
その酸化により消費される酸素量は増大し、結果として
ポンプ電流も大きくなる。従って、ポンプ電流を測定す
ることにより、排気ガスEG中の被検出成分の濃度を知
ることができる。
【0095】ここで、上記2つのモードでは、検出され
る被検出成分が例えばHCである場合、検出される濃度
情報は互いに異なったものとなる。すなわち、図36に
示すように、排気ガス中には、メタン(CH4)を始
め、エタン(C26)、プロパン(C38)等のメタン
以外の各種HC成分(以下、非メタンHC成分という)
が多数混在した形となっている。このうちメタンは酸化
(すなわち燃焼)に対する活性が比較的低いのに対し、
各種非メタンHC成分は一般にはメタンよりも酸化に対
する活性が高い、すなわち燃焼しやすい性質を有してい
る。ここで、第一モードでは第一素子3が酸素濃淡電池
素子となるが、電極10を構成するPt−Pd合金はH
Cに対する酸化触媒活性がPtに比べれば若干低いもの
の、かなり高く、該電極10側ではメタンを含めたHC
成分の燃焼は概してよく進行することとなる。一方、電
極11を構成するPtは酸化触媒活性がPt−Pd合金
よりもさらに高い。従って、電極11では、例えば非メ
タンHC成分の燃焼については電極10側とほぼ同等に
進むが、メタンの燃焼量は電極10側よりも若干大きく
なる。従って、第一素子3の両側には、主にメタン燃焼
量の差に基づく濃淡電池起電力が生じ、このときの第二
素子4側のポンプ電流値からメタン濃度CHCAを知るこ
とができる。
【0096】一方、第二モードでは第二素子4が酸素濃
淡電池素子となるが、電極13を構成するAuはHCの
酸化に対してはほぼ不活性であり、該電極13側ではH
C成分の燃焼はほとんど進行しない。一方、電極12は
電極11と同様にPtで構成されており、HCの燃焼が
活発に進む。従って、該モードで第二素子4に生ずる濃
淡電池起電力は、メタンを含めた全HCの濃度を反映し
たものとなり、このときの第一素子3側のポンプ電流値
から全HC濃度CHCBを知ることができる。さらに、第
一モード及び第二モードでそれぞれ得られたCHCA及び
CHCBの差CHCC=CHCB−CHCAを求めれば、該CHCCに
より非メタンHC成分の合計濃度を知ることができる。
なお、各電極10〜13の材質変更等により、酸化触媒
活性を上記とは異なる条件に調整すれば、上記以外の被
検出成分の濃度情報を得ることも可能である。
【0097】次に、上記排気ガスセンサ1においては、
図6に示すように、隙間15において第二素子4と第一
素子3との間に、該隙間15に対する気体の出入りを妨
げない状態で該隙間15の間隔を規定する支柱部210
を形成することができる。図6に示す例においては、支
柱部210は、第一素子3及び第二素子4と同材質の固
体電解質セラミックにより、隙間15をその長手方向中
間位置で2部分に仕切る仕切壁状に形成されている。ま
た、隙間15に関してスペーサ部200と反対側には補
助スペーサ部215が介挿・一体化されている。そし
て、隙間15は、第一素子3と第二素子4との積層体の
幅方向両側面において、支柱部210の両側に形成され
た開口部204を連通部として外側空間と連通すること
により、排気ガスが出入り可能となる。
【0098】この支柱部210は、図7に示す未焼成組
立体310の焼成により、第一素子3及び第二素子4と
一体形成することができる。図7の未焼成組立体310
は、第三部分213を除いて図5に示すものと全く同一
に構成されている。そして、その第三部分213におい
ては、スペーサ部200を形成するためのスペーサ成形
体200aと、隙間15に予定された空間を挟んでこれ
と反対側に配置された補助スペーサ部215を形成する
ための補助スペーサ成形体215aと、さらに両者の間
に配置された支柱部パターンとしての支柱部成形体21
0aとがZrO2グリーンシート240を用いて形成さ
れ、それらの両側に前述の第一部分211と第二部分2
12とが積層される。
【0099】そして、これを焼成することにより、第二
素子4と第一素子3との間に、上記支柱部成形体210
aに基づく支柱部210が形成される。焼成時に上記支
柱部成形体210aを介挿することにより、隙間を形成
した状態で積層されたZrO2グリーンシートが焼成時
に変形して隙間側に垂れ下がることが防止され、所期の
大きさの隙間15を安定して形成することができる。な
お、図6に示す例では、支柱部210は、電極11及び
12を幅方向に横切るように形成されていたが、これを
図8に示すように電極11及び12と干渉しない位置に
形成するようにしてもよい。同図においては、支柱部2
10は、第二素子4及び第一素子3の幅方向両側おい
て、それらの長手方向に沿うように、それぞれ複数のも
のが所定の間隔で配置されている。一方、隙間15の、
第二素子4と第一素子3との長手方向おける長さがそれ
ほど大きくない場合には、図9に示すように支柱部21
0を省略する構成とすることも可能である。
【0100】また、第二素子4及び第一素子3に対し、
第一及び第二のヒータ2及び5の少なくともいずれか
を、焼成により一体化する構成としてもよい。図10は
その一例を示しており、第一素子3に対し、隙間15と
は反対側に第一のヒータ2が積層され、第一素子3と第
二素子4と第一のヒータ2とが、互いに積層された一体
の焼成体として構成されている。なお、第二のヒータ5
は省略されている。ここで、第一のヒータ2と外側電極
10との間には隙間14が形成されており、その隙間1
4以外の領域において第一のヒータ2と第一素子3とは
Al23等で構成された絶縁層2cを介して接合されて
いる。
【0101】上記センサ構造は、図11に示すように、
基本的には図7に示す未焼成組立体において、その第一
部分211に対し、第三部分213とは反対側から第一
のヒータ2となるべき第四部分(第三のセラミック粉末
成形体)214を積層し、その積層体として得られる未
焼成組立体310を焼成することにより得られる。以
下、図7との相違点について説明すれば、第一部分21
1から図7のオーバーコート225を省略し、その電極
パターン223に対しこれに近い側から、ヒータ通電用
の端子2a,2b(図10)となるPt−Rh合金線2
57a,257b、貼合わせコート256(Al23
ースト等による)、隙間形成用補助支持パターン255
(カーボンペースト等による)、オーバーコート254
(Al23ペースト等による)、ヒータパターン253
(Ptペースト等による)、絶縁コート252(Al2
3ペースト等による)、ZrO2グリーンシート251
(ヒータ本体となる)、及びオーバーコート250(A
23ペースト等による)がこの順序で積層されて第四
部分214が形成される。なお、支柱部210は、図9
の構成と同様に省略されている。ここで、隙間形成用補
助支持パターン255は、電極パターン223に対し外
側電極10に対応する領域に選択的に形成され、焼成時
に消失して、図10に示すように、ZrO2グリーンシ
ート251に基づくヒータ本体2と第一素子3との間に
隙間14を形成することとなる。
【0102】次に、図12は、より簡便な構成として
の、スペーサ部を使用しない排気ガスセンサの構成例を
示している。すなわち、該排気ガスセンサ1において
は、第一素子3及び第二素子4は、それぞれ横長の板状
に構成されて互いに対向配置され、各電極10〜13は
それら第一素子3及び第二素子4の板面長手方向におけ
る一方の端部側に形成されている。そして、隙間15に
おいて第一素子3及び第二素子4との間には支柱部21
0が形成される一方、隙間15を除く領域において第一
素子3と第二素子4とは、支柱部210の高さよりも厚
さが小さい絶縁層260を介して互いに接合・一体化さ
れている。なお、第一及び第二のヒータ2及び5は少な
くともいずれかが設けられるが、図12はこれを省略し
て描いている。
【0103】隙間15は、第一素子3及び第二素子4の
積層体の幅方向両側面部に開放して、排気ガスが出入り
可能な連通部261が形成されている。なお、各電極1
0〜13の端子10b,11b,13bは、第一素子3
及び第二素子4の長手方向における端面側において、基
端側が両者の間に挟み込まれる形で突出している。な
お、電極10及び13に対する端子10b及び13bの
接続形態は、図2(b)に示すものと同様である。ま
た、電極11及び12は後述する通り共通接地されるた
め、端子11bが両電極11,12の間で共有され、図
2の構成における端子12bが省略されている。また、
支柱部210は、図12(c)に示すように、方形断面
のものが散点状あるいは千鳥状に形成されているが、こ
れを同図(d)に示すように円形断面に形成したり、あ
るいは同図(e)に示すように、長さの異なる方形断面
のものを混在させた形で構成してもよい。
【0104】上記センサ構造の製造方法について図13
を用いて説明する。この場合も基本的には、前述の第一
部分211と第二部分212とを含む未焼成組立体31
0の焼成により製造される。しかしながら、図1等に示
すセンサ構造とは、下記のような製法上の違いを有す
る。まず、スペーサ部を形成するためのZrO2グリー
ンシートを含む第三部分が省略され、代わって第一部分
211と第二部分212との各々の対向面において隙間
15に予定された領域に、セラミック粉末ペースト(例
えば多孔質Al23粉末ペースト)を用いて、支柱部2
10となるべき支柱部パターン266a及び266bが
形成される。また、その支柱部パターン266a及び2
66bと重なりを生じない位置において同じく該隙間1
5に予定された領域に、焼成時に燃焼ないし分解する材
質の粉末ペースト(例えばカーボンペースト)により補
助支持パターン267a及び267bが形成される。さ
らに、上記隙間15に予定された領域を除く他の領域に
は、絶縁層パターンとしての貼合わせコート269がA
23粉末ペースト等により支柱部パターン266a及
び266bの合計の高さよりも小さい厚さで形成され
る。
【0105】上記未焼成組立体310を焼成することに
より、図15に示すように、第二素子4と第一素子3と
の間においては、補助支持パターン267a及び267
bが消失するとともに、上記支柱部パターン266a,
266bが焼成により一体化して支柱部210が形成さ
れ、該支柱部210により大きさが規定された形で隙間
15が形成される。一方、隙間15を除く他の領域にお
いてそれら第二素子4と第一素子3とは、貼合わせコー
ト269に基づく絶縁層260を介して互いに接合され
る。
【0106】ここで、図14に示すように、支柱部パタ
ーン266a,266bと、補助支持パターン267
a,267bとは平面をほぼ埋め尽くすように相補的に
形成され、第一部分211と第二部分212とを積層し
た際に、補助支持パターン267a,267bによる補
強効果に基づき、支柱部パターン266a,266bが
両者の間で潰れることが防止ないし抑制される。また、
第一部分211と第二部分212とは、その要部がZr
2グリーンシート220及び230で形成されている
ため、図15(a)に誇張して示すように、貼合わせコ
ート269が266a,266bの合計厚さよりもかな
り薄く形成されていたとしても、ZrO2グリーンシー
ト220及び230が少し橈むことで、両者は貼合わせ
コート269を介して密着でき、焼成により支障なく一
体化することができる。
【0107】図16は、図13に示したものと類似の製
法により得られるセンサ構造の変形例を示している。該
構成においては、隙間15の連通部が開放部ではなく、
多孔質Al23焼成体により多孔質セラミック体270
として構成されている。また、支柱部210は形成され
ていない。
【0108】上記構造の製造方法について、図13との
相違点を中心に図17を用いて説明する。まず、図13
の支柱部パターン266a,266bに代えて、多孔質
セラミック体270を形成するための連通部パターン2
71aと271bとが多孔質Al23粉末ペーストによ
り形成され、隙間形成部には図13と同様にカーボンペ
ーストによる隙間形成用補助支持パターン272a及び
272bが形成される。これを焼成することにより、連
通部パターン271aと271bとは一体化して多孔質
セラミック体270となり、隙間形成用補助支持パター
ン272a及び272bは消失して隙間15を形成す
る。
【0109】以下、上記排気ガスセンサを使用したセン
サシステムについて説明する。図18は、排気ガスセン
サ1を用いたセンサシステムの一例の電気的構成を示す
ブロック図である。すなわち、該センサシステム50
は、上記排気ガスセンサ1と、マイクロプロセッサ51
と、それら排気ガスセンサ1とマイクロプロセッサ51
とを接続する周辺回路50aとから構成されている。な
お、マイクロプロセッサ51のCPU53は、ROM5
5に格納された制御プログラム55aにより、素子制御
手段、濃度検出情報出力手段、特定成分検出情報生成・
出力手段、被検出成分濃度情報補正手段、通電制御手
段、ポンプ電流補正量決定手段、補正演算手段、補正濃
度情報生成手段、内部抵抗測定手段、温度情報生成手
段、濃淡電池起電力測定手段及び電圧情報補正手段等の
主体をなす。
【0110】排気ガスセンサ1の第二素子4は、電極1
2が接地される一方、電極13は、制御モード切替え手
段としてのアナログスイッチ回路500のスイッチSw
5がオンの場合にはオペアンプ61の出力側に接続さ
れ、同じくスイッチSw4がオンの場合にはアナログス
イッチ回路60のスイッチSw1を経てオペアンプ61
(ポンプ電流制御手段)の負端子側に接続されるように
なっている(ここで、Sw4及びSw5は、一方がオンに
なれば他方が必ずオフとなる)。また、第一素子3の電
極11側は、第二素子4の電極12と共通接地される
が、電極10は、スイッチ回路500のスイッチSw6
がオンの場合にはオペアンプ61の出力側に接続され、
同じくスイッチSw7がオンの場合にはスイッチ回路6
0のスイッチSw1を経てオペアンプ61(ポンプ電流
制御手段)の負端子側に接続されるようになっている
(ここで、Sw4及びSw5は、一方がオンになれば他方
が必ずオフとなる)。
【0111】なお、スイッチ回路500の作動はマイク
ロプロセッサ51からの制御信号により制御される。そ
して、マイクロプロセッサ51は、それぞれ第一モード
及び第二モードに対応するH及びLのいずれかの信号に
より、切替え制御部501を経てスイッチ回路500に
切替え信号を送信する。この信号は、例えば切替え制御
部501のバッファ502(省略してもよい)を経てS
w4及びSw6に非反転入力され、またインバータ503
を経てSw5及びSw7に反転入力される。これにより、
Sw4及びSw6の組とSw5及びSw7の組は、組内のも
のは互いに同時にオン又はオフとなり、組間では一方の
組がオンとなる場合には他方の組が必ずオフとなる。そ
して、Sw5及びSw7がオンの場合には、第一素子3が
酸素濃淡電池素子となり第二素子4が酸素ポンプ素子と
なる第一モードとなり、Sw4及びSw6がオンの場合に
は、これとは逆の第二モードとなる。
【0112】オペアンプ61の正端子側には起電力目標
値ECを与えるための電源回路65が接続されている。
該電源回路65は、起電力目標値ECの設定値を一定の
範囲で変更可能に構成されている。例えば図に示す例に
おいては、3つの固定抵抗66a〜66cと1つの可変
抵抗66dを各辺に備えるブリッジ回路66と、これに
接続された電源67とを含んで構成されている。可変抵
抗66dの抵抗レンジをRmin〜Rmaxとして、Rmin<
Re<Rmaxとなるある抵抗値Reにおいてブリッジが平
衡し、オペアンプ61の端子への出力電圧が0となるよ
うに、固定抵抗66a〜66cの各抵抗値が調整されて
いる。そして、可変抵抗66dの抵抗値をReからそれ
ぞれRmin又はRmax側にずらせることにより、起電力目
標値ECは0Vを挟んでそれぞれ正負両側に一定の範囲
で変更可能となる。
【0113】オペアンプ61は、周辺の抵抗器61a〜
61dとともに差動増幅器を構成し、その出力側は電流
検出用の抵抗器62を介して、第一及び第二素子3及び
4のうち、酸素ポンプ素子となるべきものの隙間15に
面さない側の電極に接続される(すなわち第一モードで
は電極13、第二モードでは電極10)。一方、入力の
負端子側には、第一及び第二素子3及び4のうち、酸素
濃淡電池素子となるべきものの隙間15に面さない側の
電極(すなわち第一モードでは電極10、第二モードで
は電極13)に接続される。これにより、オペアンプ6
1は、酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力入力Emと、
起電力目標値ECとの差電圧Em−ECを反転増幅して、
その出力電圧を酸素ポンプ素子の隙間15に面さない側
の電極に印加することとなる。
【0114】例えば第二モードでは、図19に示すよう
に、Em>ECであればEm−EC>0であるから、オペア
ンプ61の出力電圧−A1(Em−EC)は負となり、第
一素子3には第一電極11側が負となるように電圧が印
加され、第一素子3には隙間15に酸素を汲み込む方向
にポンプ電流Ipが流れる。このポンプ電流Ipは、電流
検出用抵抗器62(抵抗値R3)の両端電圧差の形で、
周辺の抵抗器64a〜64dとともに差動増幅器を構成
するオペアンプ64により電圧信号として取り出され、
さらに図18に示すように、ダイポーラ型のA/D変換
器70でデジタル化されてマイクロプロセッサ51に入
力される。
【0115】図18に戻って、次に、各電極10〜13
のうち、酸素濃淡電池素子の第三電極側(第二モードで
は電極13、第一モードでは電極10)には、アナログ
スイッチ回路60のSw2及びSw3を介して、電流値I
Cで極性が互いに異なる定電流電源回路73と74とが
それぞれ接続されている。また、上記第三電極側の電圧
信号VSは、ダイポーラ型のA/D変換器71でデジタ
ル変換されてマイクロプロセッサ51に入力されるよう
になっている。なお、アナログスイッチ回路60の各ス
イッチSw1〜Sw3は、マイクロプロセッサ51からの
制御信号を受けてオン・オフする。
【0116】また、排気ガスセンサ1の第一及び第二の
ヒータ2及び5は、例えば共通のヒータ通電回路72を
介してマイクロプロセッサ51に接続されている。図2
0(a)にヒータ通電回路72の一例を示している。該
ヒータ通電回路72は、マイクロプロセッサ51から与
えられるヒータ制御値をアナログ変換するD/A変換器
80と、これに接続された電流増幅用のトランジスタ8
2とを備え、このトランジスタ82にヒータ2及び5が
接続されている。トランジスタ82は能動領域で作動
し、与えられるヒータ制御値に応じてヒータ2,5の通
電電流を増加させる。
【0117】一方、図20(b)は、PWM(pulse wi
dth modulation)制御方式を採用したヒータ通電回路7
2の例を示すものである。この回路72の主体をなすの
はPWM制御回路85であり、マイクロプロセッサ51
から与えられるヒータ制御値をアナログ変換するD/A
変換器86と、三角波(あるいはのこぎり波)発生回路
87と、それらD/A変換器86及び三角波発生回路8
7からの出力がそれぞれ入力される単電源オペアンプ8
8とを含んで構成されている。単電源オペアンプ88
は、ヒータ制御値と三角波入力値との大小関係に応じて
ゼロ及びゼロでない所定電圧Vのいずれかを出力するコ
ンパレータとして作動する(本実施例では、三角波入力
値が大きい場合に+V、ヒータ制御値が大きい場合にゼ
ロが出力されるものとする)。以下、オペアンプ88を
コンパレータ88とよぶ。
【0118】また、図20(c)は、三角波発生回路8
7の一例を示すものであり、その要部はコンパレータと
して機能するオペアンプ89と、オペアンプ98と抵抗
器97及びコンデンサ99とからなる積分回路100と
からなる。オペアンプ89は、図中A点とB点の電圧加
算値が正であるか負であるかに応じて、それぞれ正負の
最大電圧を出力する。そして、このオペアンプ89の出
力電圧は、ダイオード群92〜95とツェナーダイオー
ド96により、0Vに対する正負の電圧が一定値VZDの
方形波となり、これが積分回路100によって0Vに対
する正負の最大振幅がVZDの三角波に変換される。な
お、三角波の周期λ(図21)は、積分回路100の抵
抗器97の抵抗値とコンデンサ99の容量に応じて調整
できる。発生した三角波は、オペアンプ101により所
定の振幅に増幅されて図20(b)のコンパレータ88
に出力される。
【0119】図21は、PWM制御回路85の作動説明
図であり、コンパレータ88の入力において、ヒータ制
御電圧値Viが三角波入力Vtよりも小さくなっている期
間においてはコンパレータ88の出力は+Vとなり、そ
うでない場合は0となる。これにより、コンパレータ8
8はデューティ比が{(Vi+Vmax)/2Vmax}×λ
(ただし、−Vmax≦Vi≦+Vmax、Vmaxは三角波入力
の最大振幅)のPWM波を出力することとなる。このP
WM波出力により図20(b)のトランジスタ82が高
速でスイッチングされ、ヒータ2,5は上記デューティ
比により断続的に通電される。そして、このデューティ
比がヒータ制御電圧値Viに応じて変化することによ
り、ヒータ2,5の発熱が調整される。
【0120】次に、図18に示すマイクロプロセッサ5
1は、周辺回路50aとの間の出入力インターフェース
となるI/Oポート52と、これに接続されたCPU5
3、RAM54、ROM55及びクロック回路56等に
より構成されている。そのRAM54には、CPU53
のワークエリア54aと、後述する処理において取り込
まれる各種測定値のデータ、あるいは後述する制御処理
の過程で生ずる各種カウンタ値を格納するための測定値
メモリエリア54bが形成されている。また、ROM5
5には、センサシステム50の被検出成分の出力値決定
の演算とその出力制御を司る制御プログラム55aと、
該制御プログラム55aが使用する補正参照情報55b
(内容については後述する)が格納されている。また、
CPU53は、クロック回路56が発する一定周期のク
ロックパルスのカウントにより、後述の処理において使
用される時間計測のためのタイマー機能を実現する。
【0121】以下、センサシステム50の作動につい
て、マイクロプロセッサ51のCPU53からみた処理
の流れにより説明する。図30〜図32はそのフローチ
ャートを示している。まず、図30のS0において、排
気ガスセンサ1の活性化処理を行う。活性化処理の目的
は、ヒータ2,5の通電を開始し、第一素子3と第二素
子4とを所定の作動温度に安定化させることにある。そ
して、素子温度の検出は、第一素子3又は第二素子4の
内部抵抗を測定し、その内部抵抗値RVSが図24(a)
に示すように一定の温度依存性を示すことを利用して行
う(以下、本実施例では内部抵抗測定を第二素子4を用
いて行うものとする)。
【0122】その処理の詳細を図31に示している。す
なわちS101において、ヒータ通電回路72に制御値
Viとして所期設定値Vh0を設定する。このとき、アナ
ログスッチ回路60のSw1〜Sw3は全てオフとし、オ
ペアンプ61も非作動状態とする。この状態で、S10
2でヒータ通電回路72に対し、ヒータ制御電圧値Vi
の初期設定値Vh0を出力することでヒータの通電が開始
される。そして、S103において通電開始から一定時
間t0が経過したら、温度制御処理に入る。まずS10
4で、図18のアナログスイッチ回路60のSw2をオ
ンとし、図31のS105で活性化判断カウンタ値Nを
クリアする。
【0123】次いで、S106に進み、第二素子4の電
極13側の電圧VSの値をA/D変換器71(図18)
を介して取り込み、S107でそのVSの値から第二素
子4の内部抵抗RVSを算出する。すなわち、Sw1がオ
フであり、オペアンプ61も非作動であるから、定電流
電源73(電流Ic:内部抵抗検出用電流)の作動によ
り第二素子4に対し図22に示す通電経路が形成され
る。ここで、第二素子4の電極12側が接地されている
ことから、電極13側の電圧VSは、第二素子4の内部
抵抗をRVSとして、 VS=IC・RVS‥‥‥(1) で表される。また、VSは第二素子4に印加される電圧
情報としての意味を持ち、内部抵抗値RVSは、 RVS=(VS/IC)‥‥‥(2) で求めることができる。なお、厳密には電圧VSには第
二素子4の濃淡電池起電力Emが重畳されているのであ
るが、本活性化処理においては電流Icが十分大きく、
濃淡電池起電力Emは第二素子4にかかる分圧に比べて
無視できるものとして、その補正は行っていない。ただ
し、後述する方法により補正を行ってもよい。
【0124】前述の通り、図24(a)に示すように、
RVSの値は第二素子4の素子温度Tと一定の関係を有し
ており、該関係を補正参照情報55bとしてROM55
(図18)に記憶しておけば、RVSの値から素子温度T
を決定することができる。また、RVSの値そのものを温
度情報として使用することもできる。本実施例では、説
明をわかりやすくするために、図24(b)に示すよう
に、各種内部抵抗RVSの値と素子温度Tの値とを互いに
対応付けて示すマップ301がROM55に記憶されて
おり、このマップ301を参照して補間法によりRVSに
対応する温度Tを求めるようにしている(S107)。
なお、算出された内部抵抗RVSの値は、図18の測定値
メモリエリア54bに格納され、新たな内部抵抗RVSの
検出・算出が行われた場合は上書き更新される。
【0125】この決定された素子温度Tが、上限値Tma
x、下限値Tminの設定温度範囲内に入っているか否かが
S108、S110で判断される。素子温度Tが上限値
Tmaxよりも大きくなっている場合は、ヒータ制御電圧
値Viが一定の値ΔViだけ減少してヒータ2,5の発熱
が抑制され、逆に下限値Tminを下回っている場合には
ヒータ制御電圧値ViがΔViだけ増加してヒータ2,5
の発熱が促進される(S109,S111)。また、T
min≦T≦TmaxであればVi現状の値が維持され、活性
化判断カウンタ値Nをインクリメントする(S112,
S113)。
【0126】そして、活性化判断カウンタ値Nの値が、
例えば設定値NSに到達するまで、上記S106〜S1
13の処理を一定の時間間隔taで繰返し(S114,
S115)、NがNSに到達すれば、素子温度Tはほぼ
上記設定温度範囲内に維持されたものとみなし、図18
においてアナログスイッチ回路60のSw2をオフ、S
w1をオンとし、さらにオペアンプ61を作動状態とし
て所定時間twだけウォームアップした後、活性化処理
が終了する(S116,S117)。
【0127】図30に戻り、活性化処理S0が終了する
とS1に進み、スイッチ回路500のSw4 ,Sw6を
オンにしてモードを第二モードに設定する。そしてS2
に進み、第一素子3のポンプ電流Ipの検出を開始す
る。この状態では、アナログスイッチ回路60は、Sw
1のみがオンとなっているから、通電経路は図19に示
す通りとなる。この状態におけるセンサ1の作動につい
て以下に説明する。
【0128】すなわち、センサ1が排気ガスと接触する
に伴い、隙間15内では被検出成分としてのメタン等の
炭化水素(以下、HCと記す)と酸素とが反応すること
で、酸素濃度が減少し、第二素子4には第三電極13側
を正とする濃淡電池起電力Emが発生する。ここで、オ
ペアンプ61に入力される起電力目標値ECが例えば0
であるとすれば、Em−EC>0であるから、オペアンプ
61の出力電圧−A1(Em−EC)は負となり、第一素
子3には第一電極11側が負となるように電圧が印加さ
れ、第一素子3には隙間15に酸素を汲み込む方向にポ
ンプ電流Ipが流れる。すると、第一素子3による隙間
15への酸素の汲み込みが進み、濃淡電池起電力Emは
次第に小さくなるから、酸素ポンプ電流Ipは小さくな
る方向に制御される。その結果、最終的には濃淡電池起
電力Emはほぼ0に近づくように酸素ポンプ電流が制御
され、そのときの酸素ポンプ電流Ipの平衡値から被検
出成分の濃度を知ることができる。ポンプ電流Ipの信
号は、前述の通りオペアンプ64により電流検出用抵抗
器62の両端電圧の差を取ることで電圧信号に変換さ
れ、A/D変換器70でデジタル化されてマイクロプロ
セッサ51に入力される。しかしながら、起電力目標値
ECは実際には必ずしも0に設定されるとは限らない。
その理由について以下に説明する。
【0129】まず、濃淡電池起電力が0であるというこ
とは、理論上は第二素子4の両側(すなわち、隙間15
及び16)の酸素濃度が等しくなっていることを意味す
る。このことは、ポンプ電流が隙間15と16とにおけ
る被検出成分の消費量の差に直接的に対応していること
も意味するから、被検出成分の濃度を精度よく検出で
き、また検出結果の解析も容易になる。しかしながら通
常は、隙間15及び16の酸素濃度が等しくなっても、
第二素子4の起電力は実際には0にはならず、一定のオ
フセット起電力が残ることが多い。この場合は、上記オ
フセット起電力に対応する起電力目標値ECを10mV
以下の範囲で設定し、濃淡電池起電力の絶対値が該起電
力目標値ECに到達したときの第一素子3に流れる電流
値を検出信号として採用することで、排気ガス中の被検
出成分の濃度をより正確に検出できる。
【0130】また、第二素子4のオフセット起電力は、
検出に係る排気ガス中の酸素濃度が低くなるほど変動し
やすくなり、一定以下の酸素濃度におけるオフセット起
電力を基準として起電力目標値ECを設定すると、セン
サ出力が排気ガス中の酸素濃度の影響を受けやすくな
る。そこで、酸素を例えば1体積%以上(望ましくは1
0体積%以上)含有し、かつセンサ作動温度において酸
素と反応する成分を実質的に含有しない試験ガスを、隙
間15及び16にそれぞれ導入したときのオフセット起
電力の絶対値をEOS(単位:mV)とし、これを基準と
して起電力目標値ECを(EOS−5)mV以上(EOS+
5)mV以下の範囲内で設定することが有効である。
【0131】この起電力目標値ECの変更・調整は、前
述の通り電源回路65の可変抵抗66dの調整により行
うことができる。なお、第二素子4のオフセット起電力
は、第二素子4毎に互いに異なる値とはなっても、同一
の第二素子4においては比較的長期に亙って安定した値
を示し続けることが多い。そこで、可変抵抗66dは、
例えば装置50の出荷時等において、使用されている第
二素子4の固有のオフセット起電力に対応して一旦抵抗
値を調整してしまえば、後は変更の必要性がなくなるこ
とも十分に考えられる。この場合は、可変抵抗66dを
半固定抵抗器により構成しておけば便利である。
【0132】さて、図30に戻り、ポンプ電流Ipの値
が検出されたら、このポンプ電流Ipに対応する被検出
成分の濃度を決定する。しかしながら、ポンプ電流Ip
の値は素子温度Tによって変動するから、以下のように
して補正を行う。まず、RAM54(図18)に記憶さ
れている第二素子4の内部抵抗値RVSの値を読み込ん
で、対応する温度Tを前述のマップ301(図24)を
参照して決定する(図30:S3)。そして、ポンプ電
流Ipの値に対する各温度毎のポンプ電流補正量ΔIp
は、例えば図25(b)に示すような形で実験的に決定
することが可能であるから、各ΔIpの値と素子温度T
の値とを互いに対応付けて示すマップ302(図26)
をこれに基づいて作成し、これをROM55(補正参照
情報記憶手段)に記憶しておけば、各ポンプ電流補正量
ΔIpはこのマップ302(温度偏差−ポンプ電流補正
量関係情報)を参照して補間法によりに決定することが
できる(図30:S4)。なお、図29(a)に示すよ
うに、内部抵抗値RVSとポンプ電流補正量ΔIpとを直
接対応させたマップ302aを記憶しておき、内部抵抗
値RVSの値から直接補正量ΔIpを決定するようにして
もよい。
【0133】次いでS5に進み、ポンプ電流補正量ΔI
pを実測されたポンプ電流Ipに加算してこれを補正する
とともに、その補正後のポンプ電流Ip’に対応する被
検出成分濃度としてのHC濃度CHCBを決定する。この
場合、第二モードであるから、CHCBは全HC濃度に対
応する(なお、マップでは、第一モード作動の説明に援
用するため、HC濃度を単にCHCと記している)。各種
ポンプ電流Ip’の値に対するHC濃度CHCBの値は、例
えば図27に示すような、ポンプ電流Ip’とHC濃度
CHCBとの関係を与えるマップ304(ROM55に記
憶されている)を参照して、補間法により決定すること
ができる。こうして、HC濃度CHCBが決定されればS
6において、これを温度補償された濃度検出値として出
力する。
【0134】なお、図29(b)に示すように、素子温
度Tの各種値毎に、ポンプ電流IpとHC濃度CHCとを
互いに対応付けて示した二次元的なマップ302b(ポ
ンプ電流情報−被検出成分濃度関係情報)により、検出
されたポンプ電流Ipの値と素子温度Tの値との組に対
応するHC濃度CHCBの値を、二次元補間により直接的
に決定するようにしてもよい。また、あるいは上述の方
法により温度補償を行ったポンプ電流Ipの値をそのま
ま出力するようにしてもよい。一方、ポンプ電流Ipに
対する温度変動の影響がそれほど問題とならない場合に
は、マイクロプロセッサ51による上記温度補償処理を
特に行なわない構成とすることも可能である。この場
合、マイクロプロセッサ51を省略し、オペアンプ51
を濃度検出情報出力手段として機能させることができ
る。
【0135】次いで図30のS7に進み、スイッチ回路
500のSw5 ,Sw7をオンにしてモードを第一モー
ドに設定する。そしてS8に進み、以降S12までは、
酸素ポンプ素子が第二素子4となり、酸素濃淡電池素子
が第一素子3となり、また酸素ポンプ素子による酸素の
ポンピング方向が隙間16側から隙間15側への汲み込
みとなる。そして、S8で第二素子4のポンプ電流I
p”の検出を開始し、S9で第一素子3の内部抵抗値RV
S’を読み取り、さらにS10でIp”の補正量を算出す
る。そして、S11で補正されたIp”から、CH濃度
出力値CHCA(メタン濃度に対応する)を算出し、S1
2でこれを出力する。また、S13では、非メタンHC
濃度値CHCCをCHCB−CHCAにより算出し、S14でこ
れを出力する。なお、図27〜図29と同様の各マップ
は、第一モード用にも別途記憶しておく(この場合、マ
ップの内容は第二モードのそれとは一般には異なるもの
となる)。以降はS1に戻って以下の処理が繰り返され
る。
【0136】次に、素子温度Tは、活性化処理の際に設
定された後も、上記炭化水素濃度の検出処理と並行して
その制御が継続される。その処理の流れを図32に示し
ている。すなわち、該処理ルーチンは、図30のルーチ
ンに対する割り込み処理ルーチンとして、クロックパル
ス(クロック回路56(図18)による)に基づく時間
計測によりCPU53が周期的に実行するものである。
該実行の周期であるが、例えば0.3〜1msの範囲で
設定することができる。実行周期が1msを超えると、
温度測定ひいてはセンサによる濃度検出精度が十分確保
できなくなる場合がある。一方、0.3ms未満になる
と、CPU53の処理時間に占める温度測定処理の比率
が大きくなり過ぎ、酸素ポンプ素子の作動停止時間が長
くなって濃度検出精度が十分確保できなくなる場合があ
る。ただし、CPU53としてクロック周波数の高いも
のなど、高速処理の可能なものを採用することで、実行
周期を上記値以下とできる可能性もある。なお、図23
に、その処理におけるアナログスイッチ回路60のSw
1〜Sw3の作動タイミング図を、検出される第二素子4
の第三電極13側の電圧信号VSと対応付けて示してい
る。
【0137】まず、S201において、図18のアナロ
グスイッチ回路60のSw1をオンしたままの状態で、
第二素子4の第三電極13側の電圧信号VSを読み込
み、これを検出値VS1としてRAM54の測定値メモリ
エリア54bに格納する。この電圧信号VSは、オペア
ンプ61に入力される濃淡電池起電力Emに対応する値
となる。次いで、S202で、Sw1をオフとし、代わ
ってSw2をオンとする。すると、通電経路は図22に
示す状態となり、第二素子4に内部抵抗検出用の定電流
ICが通電される。そして、定電流ICの通電開始から一
定時間t1だけ経過後に電圧信号VSを読み込み、これを
検出値VS2としてRAM54の測定値メモリエリア54
bに格納する(S203,S204)。前述の通りこの
ときの電圧信号VSは、第二素子4の内部抵抗を反映し
たものとなるが、ここには該第二素子4の濃淡電池起電
力Emが重畳ないし含まれた形になっている。そこで、
VS2とVS1との差をとることにより、濃淡電池起電力E
m成分の影響を取り除くことができる(S209)。
【0138】ここで、定電流ICの通電開始から一定時
間t1だけ経過後にVSを測定しているのは次の理由によ
る。すなわち、第二素子4に定電流ICを通電すると、
第二素子4内においてその通電と逆方向(すなわち隙間
16側から15側へ向かう方向)に酸素が輸送され、第
二素子4両側の酸素濃度に変化を生ずる。その結果、図
23に示すように、濃淡電池起電力EmひいてはVSの値
も電流ICの通電継続に伴い変化する。ここで、内部抵
抗測定の精度を確保するためには、通電により不可避的
に生ずるVSの変化を常にほぼ一定のものとすることが
大切である。そして、内部抵抗測定用電流として一定の
電流ICが使用されるわけであるから、VS測定までの通
電時間が常にt1となるように制御すれば、それによる
酸素輸送量すなわち第二素子4両側の酸素濃度変化もほ
ぼ一定となり、濃淡電池起電力EmひいてはVSの変化を
ほぼ一定とすることができる。なお、アナログスイッチ
回路60のスイッチング速度が十分速く、通電経路切替
え後の電流レベルの安定化も十分速い場合には、定電流
ICの通電開始直後にVSを測定するようにしてもよい。
【0139】次に、定電流ICの通電により、第二素子
4両側の酸素濃度変化が生ずることにより、別の問題と
して、排気ガスセンサ1が炭化水素濃度の測定に復帰し
た際に、その酸素濃度の変化が被検出成分濃度の測定精
度に影響を及ぼす場合がある。また、第二素子4の内部
抵抗値が高い場合には、第二素子4内の酸素イオンが移
動しにくくなって、電流通電に伴い分極を生ずることも
ある。この問題を解決するために、本実施例では次のよ
うな方式を採用している。すなわち、図32のS205
〜S208において、VSの検出後さらに一定時間t2が
経過後にSw2をオフとして定電流ICの通電が終了する
一方、代わってSw3をオンとすることにより、極性が
逆の定電流電源74(修正電流通電手段)によりICと
は逆方向で大きさが同じ修正電流IAを、ICの合計通電
時間t1+t2にほぼ等しい時間t3だけ通電し、その後
Sw3をオフとする。これにより、第二素子4において
上記とは逆向きにほぼ同量の酸素が輸送され、IC通電
により隙間16側から隙間15側汲み込んだ酸素がいわ
ば汲み戻される形となり、変化した酸素濃度が内部抵抗
測定前の状態に近づけることができる。なお、第二素子
4の内部抵抗測定用の電流ICの通電時間を十分短くで
きる場合など、第二素子4両側の酸素濃度変化に及ぼす
影響が小さいと判断できる場合には、図34に示すよう
に、修正電流IAを発生するための定電流電源74を省
略することも可能である(なお、これに対応してアナロ
グスイッチ回路60も、スイッチチャンネル数の少ない
ものを用いればよい)。
【0140】図32に戻り、修正電流IAの通電が終了
すれば、前述の通りS209でVS2とVS1との差ΔVS
を算出し、そのΔVSをVSとみなすことで前述の(2)式
によりRVSを算出する。以下、RVSから素子温度Tを決
定し、それに基づいてヒータ制御電圧値Viを決定する
S210〜S215に至る処理は、図31のセンサ活性
化処理のS107〜S112に至る処理とほぼ同一であ
るので、説明を省略する。その後、S216で時間t4
だけ待機した後、S217でSw1をオンとし、内部抵
抗測定処理は終了する。以降は、再び図30の炭化水素
濃度の測定処理ルーチンの実行となる。素子温度Tの測
定値は該内部抵抗測定処理が行われる毎に更新され、常
にその更新された素子温度Tの情報が、図30の炭化水
素濃度の測定処理ルーチンにおいても使用される。ま
た、ヒータ温度も、素子温度Tの測定値に基づいて定期
的に補正されることとなる。
【0141】これにより、ヒータ2,5により第二素子
4の温度が設定値に精度よく保持され、排気ガス中の炭
化物濃度の測定精度が向上する。また、図25に示すよ
うに、自動車エンジン等において急加減速を行った場合
に排気ガス温度が急激に変化し、これに対応して第二素
子4の温度Tが急激に変化した場合でも、酸素ポンプ電
流Ipの温度変化分を補正することにより、素子温度T
の復帰を待たなくても、比較的精度の高い炭化物濃度の
測定を続行することが可能となる。
【0142】なお、内部抵抗測定処理は、炭化水素濃度
の測定処理ルーチンに対する割り込みルーチンとするの
ではなく、該測定処理ルーチンのサブルーチンとして実
行させることもできる。この場合のフローチャートの例
を図33に示す。S0〜S14の炭化水素濃度の決定・
出力処理は図30と全く同じであるが、異なる点はS3
01〜S303のステップを追加することにより、1回
終了する毎に測定カウンタNmをカウントアップするよ
うになっている点である。そして、S302でNmが一
定のカウント数Nqに到達した場合に、S304として
図32に示したものと全く同一の内部抵抗測定処理が実
行される。なお、内部抵抗測定処理実行後は、S301
へ戻って測定カウンタNmが1に戻り、以下同様の処理
が繰り返される。この方法においては、内部抵抗測定処
理が定期的に行われる点では変わりはないが、必ずしも
一定の時間間隔ではなく、炭化水素濃度の測定処理が一
定回数終了する毎に実行される点に特徴がある。こうす
れば、炭化水素濃度の測定処理が内部抵抗測定処理のた
めに中断されることがなくなり、エラー等の発生頻度も
少なくなる。
【0143】また、図28に示すように、内部抵抗RVS
の各種値と対応付けて、ヒータ通電回路72に与えるべ
き制御電圧値Viの値を記憶したマップ305を記憶し
てき、これを参照することにより、内部抵抗RVS(すな
わち素子温度T)の値に応じて、現在の電圧値とは無関
係に該制御電圧値Viの値を決定するようにしてもよ
い。
【0144】さらに、定電流発生回路を図18に示す7
3と74との2台を用いる代わりに、図示しない極性切
替え回路を用いて1台のものを随時極性を切り替えて使
用するようにしてもよい。また、マイクロプロセッサ5
1側から指令された電流値及び極性により、その内容に
応じた電流を発生できる回路を用いてもよい。その一例
を図35に示している。すなわち、該構成では、定電流
発生回路73,74に代えて電圧・電流変換回路189
が用いられている。
【0145】この回路189においては、マイクロプロ
セッサ51からの電流指示電圧ViがD/A変換器(ダ
イポーラ型のもの)190を介してオペアンプ191に
入力されるとともに、オペアンプ191の出力側には電
流検出用の抵抗器195が接続され、さらに該オペアン
プ191の出力による抵抗器195での電圧降下がボル
テージホロワ192を介してフィードバックされるよう
になっている。これにより、抵抗器195での電圧降下
すなわち電流値IOは、接続される負荷に関係なく、入
力電圧Viに応じた一定値に保持される。なお、図にお
いて抵抗器193及び194の抵抗値をそれぞれRf、
Rkとし、抵抗器195の抵抗値をRSとすれば、 IO=(Vi×Rf)/(Rk×RS)‥‥‥(3) となる。この場合、所定の電流指示電圧Viにより内部
抵抗測定用の電流ICを発生させるとともに、修正電流
は、電圧Viとは逆極性の電流指示電圧Vi’を与えるこ
とにより、電流ICとは逆方向の電流として発生させる
こともできる。また、発生させるべき電流レベル及び通
電時間も、マイクロプロセッサ51側からの電流指示電
圧値及びその出力時間を変更することにより、自由に設
定することができる。
【0146】以下、本発明の排気ガスセンサの各種変形
例について説明する。まず、図1等の電極13など、酸
化触媒活性の低い電極は、図37(a)に示すように、
Pt、Rh、Pd、Ir等、高活性金属グループに属す
るもので多孔質電極の本体部101を形成しておき、そ
の排気ガスとの接触表面側に、触媒不活性な材料(例え
ば、Au又はAgを主体とする金属などの低活性金属グ
ループに属するもの、あるいはSnO2、ZnO、In2
3、WO3、Bi23等の酸化物)によるコーティング
102を施して最終的な電極としてもよい。
【0147】この場合、上記コーティング102は、例
えば図37(b)に示すように、上記触媒不活性な材料
粒子を含んだペーストを本体部101上に塗付して再焼
成する方法により形成したり、あるいは同図(c)に示
すように、真空蒸着やスパッタリング等の気相製膜法に
より形成することができる。なお、上記図37(b)な
いし(c)に示すように、多孔質に形成された本体部1
01には、多数の空隙Pが入り組んで形成されているた
め、コーティング102がそのような空隙Pの内面奥深
くにまで必ずしも形成されない場合もありうるが、被検
出成分と酸素との反応に対する触媒活性を十分に小さく
できるのであれば、そのような未コーティング部が形成
されていても差し支えない。
【0148】また、図38に示すように、第一素子3と
第二素子4との間に形成される隙間15には、金属メッ
シュ又は多孔質金属(例えばPt製のもの)で構成され
たガス保持部材160を介挿することができる。なお、
上記ガス保持部材160を金属メッシュで構成する場
合、その網目の形成密度が100〜500メッシュのも
のを使用することが望ましい。
【0149】次に、図1等に示した排気ガスセンサ1に
おいては、第一素子3と第二素子4との間の隙間15
は、これをなるべく小さくして(望ましくは1mm以
下)当該隙間15による新たな排気ガスの流入規制効果
をなるべく高めることが、センサ1の検出精度を向上さ
せる上で有利である。逆に言えば、該隙間15の寸法が
大きすぎると、触媒活性を有した電極(本実施例では第
二電極11及び第三電極12)上でのHCと酸素との反
応が不安定化し、酸素濃淡電池起電力が小さくなってセ
ンサ出力が十分に得られなくなることもありうる。しか
しながら、上記素子3,4間の隙間15の量を小さくし
過ぎると、今度は焼成により第一素子3及び第二素子4
を製造した際に、焼成時の僅かな変形が隙間15の形成
量に大きな影響を及ぼし、センサ個体間での出力のばら
つきが生じやすくなる場合がある。以下、これを解決す
るために有効なセンサ構造について説明する(なお、既
に説明したセンサ構造と共通の部分については同一の符
号を付してその詳細な説明は省略する)。
【0150】すなわち、図39に示す排気ガスセンサ4
00においては、第二素子4と第一素子3との間に、壁
部形成体としてのスペーサ部401が介挿され、そのス
ペーサ部401の電極11及び12に対応する位置に
は、厚さ方向にこれを貫通する窓部401aが形成され
ている。スペーサ部401は該窓部401aにより、電
極11,12の周囲を取り囲む壁部401bを形成す
る。そして、その壁部401bの内面と第二素子4及び
第一素子3の各対向面とによって囲まれた空間が測定室
403(隙間15)とされている。そして、上記測定室
403に対応する位置において壁部401bと第一素子
3との間には、該第一素子3の幅方向両側においてそれ
ぞれ測定室403と外側の被検出雰囲気とを連通させる
拡散流通規制部としてのスリット402が形成されてい
る。
【0151】図39(c)に示すように、該スリット4
02は、第二電極12の幅方向両側において壁部401
bの第一素子3との積層面側部分を一定厚さ切り欠いた
形態で形成されており、同図(a)に示すように、電極
12の対応する縁に沿って第一素子3の長手方向に延び
ている。また、その幅dは測定室403の高さhよりも
小さく設定されており、具体的にはd/hが1/100
〜1/4、より望ましくは1/20〜1/8の範囲で設
定されている。また、スリット幅dの絶対値は、0.0
1〜1.0mm、より望ましくは0.02〜0.05m
mの範囲で設定されている。さらに、スリット402内
の空間体積Vに対するスリット内周面の面積の比S/V
は4〜100、望ましくは20〜50の範囲で調整され
ている。なお、該スリット402は、同様の形態で壁部
401bと第二素子4との間に形成してもよい。
【0152】なお、スペーサ部401(壁部401b)
は、第二素子4に対してはその積層面のほぼ全面におい
て、また、第一素子3に対しては、上記スリット402
の形成領域を除いて同様にその積層面のほぼ全面におい
て、それぞれ焼成により一体化されている。また、第一
のヒータ2及び第二のヒータ5は、スペーサ6及び8を
介して第一素子3及び第二素子4に対しそれぞれ積層さ
れている。
【0153】上記排気ガスセンサ400の要部をなす第
一素子3、スペーサ部401及び第二素子4の一体積層
体は、例えば図5等に示すのと同様の方法により、それ
ぞれ上記各部3,401,4となるべきセラミックグリ
ーンシート(成形体)を積層して焼成することにより製
造することができる。このとき、第一素子3となるべき
グリーンシート(セラミック成形体)と、スペーサ部と
なるべきグリーンシートとの間においてスリット402
の形成が予定された領域に、焼成温度で焼失する材料
(例えばカーボンペーストなど)で形成された所定厚さ
の層を挟みこんでおけば、焼成時にこの層が焼失して上
記スリット402を簡単に形成することができる。
【0154】このようにすれば、測定室403の高さh
(すなわち隙間15の大きさ)をある程度以上に大きく
した場合でも、排気ガスはスリット402において拡散
を規制されつつ測定室403に流入し、また測定室40
3に導入された後は同じくスリット402を通って拡散
を規制されつつ被測定雰囲気中へ排出される。従って、
一旦導入された排気ガスの測定室403内での滞留時間
が長くなり、その間に被検出雰囲気中の排気ガス組成
(特に酸素あるいは水蒸気量)が変化しても、測定室内
のガスへの影響が小さくなるので、センサ400の出力
が向上し、ひいてはセンサ400の検出精度を高めるこ
とができる。また、第一素子3及び第二素子4とは、ス
ペーサ部401を介して一体化されているから、センサ
400の機械的強度が高められている。
【0155】なお、同様の構成の測定室は、第二素子4
の電極13側及び/又は第一素子3の電極10側にも形
成することができる。図40は、その一例を示してい
る。すなわち、同図のセンサ400においては、窓部4
04aを有したスペーサ部404を介して隙間形成部材
としての隙間形成用セラミック板406が一体化されて
おり、そのスペーサ部404による壁部404bの内面
と、第一素子3ないし第二素子4と隙間形成用セラミッ
ク板406との各対向面とによって測定室407が形成
されている。また、この測定室407に対応する位置に
おいて壁部404bと第一素子3ないし第二素子4との
間には、第二電極12側と同様のスリット405が形成
されている。また、第一ヒータ2ないし第二ヒータ5は
隙間形成用セラミック板406に積層されている。該構
成により、さらに安定で高出力のセンサを実現できる。
【0156】なお、スリットに代えて小孔により拡散規
制流通部を構成することもできる。例えば、図45に示
す例おいては、第一素子3及び第二素子4の板面方向に
おいて壁部401bを貫く小孔410が、第一及び第二
電極11,12の周方向に沿って所定の間隔で複数形成
されている。一方、図46に示す例においては、第二素
子4を厚さ方向に貫く小孔410が、第三電極13の周
縁に沿って所定の間隔で複数形成されている。
【0157】次に、図41に示す構成においては、第二
素子4に上記スペーサ部401が焼成により一体化され
る一方、第一素子3は一体化せずに分離して構成した例
を示す。この場合、スリット402は、第一素子3の板
面と壁部401bの対向面との間に形成されることとな
る。また、第一のヒータ2、第一素子3、第二素子4及
び第二のヒータ5がスペーサ6〜8を介して積層されて
積層体31が形成されるとともに、角型の貫通孔30a
を有するセラミックストッパ30が、積層体31に対し
外側から嵌着されている。なお、図41に示すように、
スペーサ7はスペーサ部401と第一素子3との間に介
挿され、両者の間に所定の大きさのスリット402を形
成する役割を果たす。
【0158】上記排気ガスセンサ400の組み立ては、
例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、
図42(a)に示すように、素子2〜5をスペーサ6〜
8を介して積層して積層体31を作り、(b)に示すよ
うにこれにセラミックストッパ30を嵌着する。続い
て、(c)に示すように、素子2〜5の各接続端子に例
えばステンレス鋼製のリード線37を溶接により接合
し、さらに(d)に示すように、該積層体31を碍管3
2内に挿入し、その内側にガラス粉末を充填した後、こ
れを所定の炉で900〜1000℃に加熱してガラス粉
末を溶融させ、碍管32と積層体31との間をガラスシ
ールする。
【0159】そして、図43(a)に示すように、積層
体31が一体化された碍管32を主体金具34内に配置
し、また、碍管32と主体金具34との間にかしめ金具
36を挿入し、さらに碍管32の主体金具34からの露
出部分に外筒33を被せ、次いで主体金具34を外筒3
3に向けて加熱しながらかしめることにより、かしめ結
合部34aが形成され、主体金具34と外筒33とが一
体化される。続いて、同図(b)に示すように、シール
部材38と保護外筒39とが一体化された別のリード線
群37aを、それぞれ対応するリード線37に溶接する
(以下、一体化された両リード線に改めて符号37を付
与する)。そして、シール部材38と保護外筒39とを
リード線37上を滑らせてその末端部を外筒33内に挿
入し、両者の間をかしめることにより図43(c)に示
す状態となり、さらにプロテクタ35を主体金具34に
対して溶接により取付ければ、図43(d)に示すよう
に、排気センサ400の組み立てが完了する。
【0160】なお、この場合も図44に示すように、電
極10ないし電極13側にも測定室407を形成する構
成が可能である。すなわち、同図のセンサ400におい
ては、電極10ないし電極13側に測定室407を形成
するためのスペーサ部404が一体化され、そのスペー
サ部404による壁部404bの内面と、第一素子3な
いし第二素子4と第一ヒータ2ないし第二ヒータ5との
各対向面とによって測定室407が形成されている。ま
た、スペーサ部404と第一ヒータ2ないし第二ヒータ
5との間には、スリット405が形成されている。該構
成では、第一ヒータ2ないし第二ヒータ5が隙間形成部
材の役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガスセンサの一例の要部を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図。
【図2】その詳細な構造を示す説明図。
【図3】その組立構造の一例を示す説明図。
【図4】上記センサの作動説明図。
【図5】図1の排気ガスセンサの製造方法を示す分解斜
視図。
【図6】図1の排気ガスセンサの第一の変形例を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図とB−B断面図。
【図7】図6の排気ガスセンサの製造方法を示す分解斜
視図。
【図8】図1の排気ガスセンサの第二の変形例を示す平
面図、側面図及びそのA−A断面図とB−B断面図。
【図9】同じく第三の変形例を示す平面図、側面図及び
そのA−A断面図とB−B断面図。
【図10】同じく第四の変形例を示す平面図、側面図及
びそのA−A断面図。
【図11】図10の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図12】図1の排気ガスセンサの第五の変形例を示す
平面図、側面図、B−B断面図、及びその支柱部のいく
つかの変形例をしめす断面図。
【図13】図12の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図14】その支柱部パターンと補助支持パターンの配
置関係を模式的に示す説明図。
【図15】補助支持パターンの作用説明図。
【図16】図1の排気ガスセンサの第六の変形例を示す
平面図、側面図及びA−A断面図。
【図17】図16の排気ガスセンサの製造方法を示す分
解斜視図。
【図18】上記センサを用いた本発明の排気ガスセンサ
システムの一例の電気的構成を示すブロック図。
【図19】その炭化水素濃度測定モード(第二モード)
における回路作動系統を示すブロック図。
【図20】ヒータ通電回路のいくつかの例を示すブロッ
ク図。
【図21】ヒータのPWM制御の説明図。
【図22】酸素濃淡電池素子の内部抵抗測定時の回路作
動系統を示すブロック図。
【図23】酸素濃淡電池素子の内部抵抗測定時の各スイ
ッチの作動タイミング図。
【図24】素子温度と酸素濃淡電池素子の内部抵抗との
関係の一例を示すグラフ、及び酸素濃淡電池素子の内部
抵抗と素子温度の関係を示すマップの概念図。
【図25】エンジン急加速あるいは急減速に伴うポンプ
電流変化の測定例を示すプロファイル、素子温度と補正
ポンプ電流値との関係の一例を示すグラフ。
【図26】素子温度と補正ポンプ電流値との関係を示す
マップの概念図。
【図27】ポンプ電流値とHC濃度との関係を示すマッ
プの概念図。
【図28】酸素濃淡電池素子の内部抵抗値とヒータ制御
電圧との関係を示すマップの概念図。
【図29】酸素濃淡電池素子の内部抵抗値と補正ポンプ
電流値との関係を示すマップの概念図、及び素子温度と
ポンプ電流値とHC濃度との関係を示す二次元マップの
概念図。
【図30】図18の排気ガスセンサシステムにおけるマ
イクロプロセッサ側の制御の流れを示すフローチャー
ト。
【図31】そのセンサ活性化処理の詳細を示すフローチ
ャート。
【図32】同じく内部抵抗測定処理の詳細を示すフロー
チャート。
【図33】図18の排気ガスセンサシステムにおけるマ
イクロプロセッサ側の別の制御態様の流れを示すフロー
チャート。
【図34】図18の排気ガスセンサシステムにおいて、
修正電流通電用の電源を省略した場合のブロック図。
【図35】図18の排気ガスセンサシステムにおいて、
内部抵抗測定用及び修正電流通電用の定電流電源を、電
圧−電流変換回路に置き換えた例を示すブロック図。
【図36】本発明の排気ガスセンサの第一モードと第二
モードの作用説明図。
【図37】コーティングにより触媒不活性な電極を作成
する方法の説明図。
【図38】酸素ポンプ素子と酸素濃淡電池素子との間に
ガス保持部材を介挿した例を示す模式図。
【図39】測定室にスリットを介して排気ガスを導入す
るようにした構造のセンサの一例を示す平面図、側面図
及びそのA−A断面図。
【図40】その第一の変形例を示す平面図、側面図及び
そのA−A断面図。
【図41】同じく第二の変形例を示す平面図、側面図及
びそのA−A断面図。
【図42】図41のセンサの組立方法の一例を示す工程
説明図。
【図43】図42に続く工程説明図。
【図44】図39のセンサの第三の変形例を示す平面
図、側面図及びそのA−A断面図。
【図45】測定室に小孔を介して排気ガスを導入するよ
うにした構造のセンサの一例を示す部分平面図、及びそ
のB−B断面図。
【図46】その変形例を示す部分平面図及び底面図。
【符号の説明】
1,400 排気ガスセンサ 3 第一素子 4 第二素子 10〜13 電極 15 隙間 14,16 隙間(反対空間) 50 センサシステム 51 マイクロプロセッサ 53 CPU(素子制御手段、濃度検出情報出力手段、
特定成分検出情報生成・出力手段、被検出成分濃度情報
補正手段、通電制御手段、ポンプ電流補正量決定手段、
補正演算手段、補正濃度情報生成手段、内部抵抗測定手
段、温度情報生成手段、濃淡電池起電力測定手段及び電
圧情報補正手段) 55 ROM(補正参照情報記憶手段) 55a 補正参照情報 61 オペアンプ(ポンプ電流制御手段) 74 定電流電源(修正電流通電手段) 200 スペーサ部 201,202 絶縁層 204 開口部 210 支柱部 211 第一部分(第一の粉末成形体) 212 第二部分(第二の粉末成形体) 213 第三部分 240 ZrO2グリーンシート(スペーサ成形体) 241,242 貼合わせコート(絶縁パターン) 266a,266b 支柱部パターン 302 マップ(温度偏差−ポンプ電流補正量関係情
報) 302b マップ(ポンプ電流情報−被検出成分濃度関
係情報) 401,404 スペーサ部(壁部形成体) 401b,404b 壁部 402,405 スリット(拡散規制流通部) 403,407 測定室 410 小孔(拡散規制流通部) 500 スイッチ回路(制御モード切替え手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大島 崇文 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気ガス中に含まれる被検出成分の検出
    を行うための排気ガスセンサであって、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に電
    極が形成され、排気ガス中の被検出成分に対するそれら
    電極の酸化触媒活性が互いに異なる第一素子と、 酸素
    イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に電極が
    形成され、被測定雰囲気からの排気ガスの流通が許容さ
    れた所定量の隙間が形成されるように前記第一素子と対
    向配置されるとともに、排気ガス中の被検出成分に対す
    るそれら電極の酸化触媒活性が互いに異なるものとさ
    れ、かつ両面の前記電極間の酸化触媒活性差が、前記第
    一素子の両面の前記電極間の酸化触媒活性差より大きく
    なるように調整された第二素子とを備え、 それら第一素子と第二素子の一方が酸素濃淡電池素子と
    して機能し、他方が、該酸素濃淡電池素子に生ずる濃淡
    電池起電力の絶対値が減少する方向に前記隙間に酸素を
    汲み込み又は該隙間から酸素を汲み出す酸素ポンプ素子
    として機能するようになっており、 かつ前記第一素子が前記酸素濃淡電池素子となり前記第
    二素子が前記酸素ポンプ素子となる第一モードと、その
    逆となる第二モードとの間で切替え可能とされたことを
    特徴とする排気ガスセンサ。
  2. 【請求項2】 前記隙間と、前記第一素子及び第二素子
    のうち前記酸素濃淡電池素子となるもの(以下、単に酸
    素濃淡電池素子という)を挟んで該隙間と反対側の空間
    (以下、反対空間という)とに、それぞれ被検出成分と
    酸素とを含有する排気ガスが導入され、 また、前記第一素子及び第二素子のうち前記酸素ポンプ
    素子となるもの(以下、単に酸素ポンプ素子という)の
    前記隙間側の電極を第一電極、前記酸素濃淡電池素子の
    前記隙間側の電極を第二電極、前記酸素濃淡電池素子の
    前記反対空間側の電極を第三電極として、前記隙間と前
    記反対空間とに導入された前記排気ガス中の前記被検出
    成分が、少なくともそれら隙間と前記反対空間との一方
    において、前記第一〜第三電極の少なくともいずれかを
    酸化触媒として前記排気ガス中の酸素と反応することに
    より消費されるとともに、前記隙間と前記反対空間との
    間で酸素との反応による前記被検出成分の消費量に差が
    生じるように、それら第一〜第三電極の酸化触媒活性が
    調整されており、 前記酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電力が予め定められ
    た起電力目標値ECに到達したときの前記酸素ポンプ素
    子に流れる電流値を反映した情報を、前記排気ガス中の
    前記被検出成分の濃度検出情報として出力するように
    し、 かつ前記第一素子の両面の前記電極間の酸化触媒活性差
    と、前記第二素子の両面の前記電極間の酸化触媒活性差
    とが互いに異なることに基づいて、前記第一モードと第
    二モードとで、互いに異なる内容の濃度検出情報を出力
    するようにした請求項1記載の排気ガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記第一素子は、前記2つの電極のうち
    酸化触媒活性の高いものが前記隙間に面するように配置
    され、前記第二素子は前記2つの電極のうち酸化触媒活
    性の高いものが前記隙間に面するように配置される請求
    項1又は2に記載の排気ガスセンサ。
  4. 【請求項4】 前記第一素子の前記隙間に面する電極
    と、前記第二素子の前記隙間に面する電極とは、互いに
    同一の材質で構成されている請求項3記載の排気ガスセ
    ンサ。
  5. 【請求項5】 前記第一素子の前記隙間に面さない電極
    がPt−Pd電極とされ、同じく該隙間に面する電極が
    Pt電極とされる一方、 前記第二素子の前記隙間に面する電極がPt電極とさ
    れ、同じく該隙間に面さない電極がAu電極とされた請
    求項4記載の排気ガスセンサ。
  6. 【請求項6】 前記排気ガス中に、酸化反応に対する活
    性が異なる2以上の被検出成分が含まれている場合に、
    前記第一モードにおいて得られる濃度検出情報と、前記
    第二モードにおいて得られる濃度検出情報とに基づい
    て、前記2以上の被検出成分のうちの特定のものの濃度
    に関する情報を得るようにした請求項2ないし5のいず
    れかに記載の排気ガスセンサ。
  7. 【請求項7】 前記第一モードにおいて、前記2以上の
    被検出成分のうちの特定の1成分の濃度に関する濃度検
    出情報を出力するものとされ、 前記第二モードにおいて前記2以上の被検出成分の全て
    についての合計濃度に関する濃度検出情報を出力するも
    のとされ、 前記第二モードにおいて得られる濃度検出情報の出力
    と、前記第一モードにおいて得られる濃度検出情報の出
    力との差に基づいて、前記2以上の被検出成分から、前
    記特定の1成分を除いた残余の成分の合計濃度に関する
    情報が得られるようにした請求項5記載の排気ガスセン
    サ。
  8. 【請求項8】 前記被検出成分のうちの前記特定の1成
    分はメタンであり、それ以外の被検出成分は非メタン炭
    化水素である請求項7記載の排気ガスセンサ。
  9. 【請求項9】 排気ガス中に含まれる被検出成分の検出
    を行うための排気ガスセンサシステムであって、 酸素イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に電
    極が形成され、排気ガス中の被検出成分に対するそれら
    電極の酸化触媒活性が互いに異なる第一素子と、 酸素
    イオン伝導性固体電解質により構成されて両面に電極が
    形成され、被測定雰囲気からの排気ガスの流通が許容さ
    れた所定量の隙間が形成されるように前記第一素子と対
    向配置されるとともに、排気ガス中の被検出成分に対す
    るそれら電極の酸化触媒活性が互いに異なるものとさ
    れ、かつ両面の前記電極の酸化触媒活性差が、前記第一
    素子の両面の前記電極間の酸化触媒活性差より大きくな
    るように設定された第二素子とを備えた排気ガスセンサ
    と、 前記第一素子と第二素子との一方を酸素濃淡電池素子と
    して、他方を、該濃淡電池起電力の絶対値が減少する方
    向に前記隙間に酸素を汲み込み又は該隙間から酸素を汲
    み出す酸素ポンプ素子として機能させる素子制御手段
    と、 前記素子による制御モードが、前記第一素子が前記酸素
    濃淡電池素子となり前記第二素子が前記酸素ポンプ素子
    となる第一モードと、その逆となる第二モードとの間で
    切り替える制御モード切替え手段と、 を備えたことを特徴とする排気ガスセンサシステム。
  10. 【請求項10】 前記隙間と、前記第一素子及び第二素
    子のうち前記酸素濃淡電池素子となるもの(以下、単に
    酸素濃淡電池素子という)を挟んで該隙間と反対側の空
    間(以下、反対空間という)とに、それぞれ被検出成分
    と酸素とを含有する排気ガスが導入され、 また、前記第一素子及び第二素子のうち前記酸素ポンプ
    素子となるもの(以下、単に酸素ポンプ素子という)の
    前記隙間側の電極を第一電極、前記酸素濃淡電池素子の
    前記隙間側の電極を第二電極、前記酸素濃淡電池素子の
    前記反対空間側の電極を第三電極として、前記隙間と前
    記反対空間とに導入された前記排気ガス中の前記被検出
    成分が、少なくともそれら隙間と前記反対空間との一方
    において、前記第一〜第三電極の少なくともいずれかを
    酸化触媒として前記排気ガス中の酸素と反応することに
    より消費されるとともに、前記隙間と前記反対空間との
    間で酸素との反応による前記被検出成分の消費量に差が
    生じるように、それら第一〜第三電極の酸化触媒活性が
    調整されており、 前記素子制御手段は、前記酸素濃淡電池素子の濃淡電池
    起電力が予め定められた起電力目標値ECに近づくよう
    に、前記酸素ポンプ素子の作動を制御するものとされ、
    さらに、 前記濃淡電池起電力が前記起電力目標値ECに到達した
    ときの前記酸素ポンプ素子に流れる電流値を反映した情
    報を、前記排気ガス中の前記被検出成分の濃度検出情報
    として出力するとともに、前記第一素子の両面の前記電
    極間の酸化触媒活性差と、前記第二素子の両面の前記電
    極間の酸化触媒活性差とが互いに異なることに基づい
    て、前記第一モードと第二モードとで、互いに異なる内
    容の濃度検出情報を出力する濃度検出情報出力手段が設
    けられている請求項9記載の排気ガスセンサシステム。
  11. 【請求項11】 前記排気ガス中に、酸化反応に対する
    活性が異なる2以上の被検出成分が含まれている場合
    に、前記第一モードにおいて得られる濃度検出情報と、
    前記第二モードにおいて得られる濃度検出情報とに基づ
    いて、前記2以上の被検出成分のうちの特定のものの濃
    度に関する情報を生成し、これを出力する特定成分検出
    情報生成・出力手段が設けられている請求項9又は10
    に記載の排気ガスセンサシステム。
  12. 【請求項12】 前記濃度検出情報出力手段は、前記第
    一モードにおいて前記酸素濃淡電池素子の濃淡電池起電
    力に基づいて、前記2以上の被検出成分のうちの特定の
    1成分の濃度に関する濃度検出情報を出力するものとさ
    れ、また、前記第二モードにおいては、同じく前記2以
    上の被検出成分の全てについての合計濃度に関する濃度
    検出情報を出力するものとされ、 前記特定成分検出情報生成・出力手段は、前記第二モー
    ドにおいて得られる濃度検出情報の出力と、前記第一モ
    ードにおいて得られる濃度検出情報の出力との差に基づ
    いて、前記2以上の被検出成分から、前記特定の1成分
    を除いた残余の成分の合計濃度に関する情報を生成・出
    力するものである請求項11記載の排気ガスセンサシス
    テム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006138809A (ja) * 2004-11-15 2006-06-01 Ngk Spark Plug Co Ltd ガス濃度測定装置
CN110161104A (zh) * 2018-02-13 2019-08-23 日本碍子株式会社 特定气体浓度测定装置以及特定气体浓度测定***

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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