JP3509322B2 - ポリエステル樹脂およびそれを含有するフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂およびそれを含有するフィルム

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JP3509322B2
JP3509322B2 JP22922095A JP22922095A JP3509322B2 JP 3509322 B2 JP3509322 B2 JP 3509322B2 JP 22922095 A JP22922095 A JP 22922095A JP 22922095 A JP22922095 A JP 22922095A JP 3509322 B2 JP3509322 B2 JP 3509322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
およびそれを含有するフィルムに関し、より詳しくは、
液晶ディスプレイ用基板フィルム、液晶ディスプレイ用
接着剤、UVフィルター等として使用され、また眼鏡、
窓、ガラス、温室、天窓、オーブン用窓、太陽蒸溜器の
フィルター等に使用されるポリエステル樹脂およびそれ
を含有するフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイ用の基板には、
透明性、光等方性、耐熱性、耐溶剤性、ガスバリアー性
等に優れたガラス基板が用いられてきた。しかし、近
年、液晶ディスプレイの高性能化および生産工程の効率
化の動きに伴い、従来のガラス基板に比べて、軽量化、
薄膜化およびロール化が可能で、耐衝撃性に優れたプラ
スチックフィルムやプラスチックシートが注目されてい
る。これまでに、ポリメチルメタクリレート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアリ
レート、非晶質ポリオレフィン、ポリカーボネート等か
らなるプラスチックをフィルムが提案されている。しか
し、ポリメチルメタクリレートは、吸湿性が高く、成形
品にした時に反り等の変形を生じやすく、また耐熱性も
十分ではない。非晶質ポリオレフィンは、成形性が満足
できるものではなく、また高価である。ポリエチレンテ
レフタレート、ポリアリレートおよびポリカーボネート
は、フィルム成型時のわずかな配向により複屈折が大き
くなり、またその制御も困難である。従って、生産効率
が低下し、また偏光板や液晶層等を積層したディスプレ
イの画像品質の低下の原因になり、また均質な製品の生
産が困難となる。ポリエーテルスルホンもわずかな配向
で複屈折が大きくなり、また透明性が十分でなく、さら
に吸湿性が高いため寸法安定性が悪く劣化の原因とな
る。上記の問題を解決するために、次にような透明ポリ
エステル樹脂が開示されている。特開昭63−2604
90号公報や特開平5−17560号公報に開示された
ポリエステル樹脂は、シクロヘキサン環を有する脂肪族
グリコールを用いたポリエステル樹脂である。しかし、
いずれも耐熱性が十分でなく液晶基板用フィルムに使用
するには適当でない。さらに、特開昭57−19243
2号公報および特開平3−168211号公報に開示さ
れたポリエステル樹脂は、グリコール成分にフルオレン
環等を有するビスフェノールと芳香族ジカルボン酸を用
いた全芳香族ポリエステル樹脂であり、耐熱性および光
学等方性に優れているが、溶融粘度が大きいために流動
性が悪く、従って成形性に乏しいという問題がある。さ
らにまた、特開昭64−1723号公報に開示されたポ
リエステル樹脂は、酸成分として芳香族ジカルボンに加
えて脂肪族ジカルボン酸を用いて、樹脂の機械的特性を
改善している。しかし、このポリエステル樹脂は、高
温、多湿条件下では加水分解を起こしやすいという問題
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点を解
決しようとするものであり、その目的は、透明性、耐熱
性、光等方性および成形性に優れ、かつ高温・多湿下で
も加水分解が生じないようなポリエステル樹脂を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジカルボン酸
成分として芳香族ジカルボン酸と、グリコール成分とし
て一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物および脂
肪族グリコールとを含有するポリエステル樹脂であっ
て、ジヒドロキシ化合物が、全グリコール成分中30〜
80モル%の範囲で含有されていることを特徴とするポ
リエステル樹脂である。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立してハ
ロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0〜4の整数を
示す。)
【0007】好ましい実施態様は、上記ポリエステル樹
脂が、ポリエチレンテレフタレートと、芳香族ジカルボ
ン酸と、前記一般式(1)のジヒドロキシ化合物のジア
セチル化合物との混合物を加熱して酸分解を行い、次い
で減圧下で重縮合を行うことによりなり、上記ジヒドロ
キシ化合物のジアセチル化合物が、全グリコール成分に
対して30〜80モル%の範囲となるように混合されて
なる。また好ましい実施態様は、上記ポリエステル樹脂
が、ポリエチレンテレフタレートと、芳香族ジカルボン
酸と、前記一般式(1)のジヒドロキシ化合物との混合
物を加熱して酸分解を行い、次いでアシル化を行い、次
いで、減圧下で重縮合を行うことによりなり、上記ジヒ
ドロキシ化合物が、全グリコール成分に対して30〜8
0モル%の範囲となるように混合されてなる。また本発
明は、上記ポリエステル樹脂を含有するフィルムであ
る。
【0008】次に本発明を詳細に説明する。本発明のポ
リエステル樹脂は、ジカルボン酸成分として芳香族ジカ
ルボン酸と、ジオール成分として脂肪族グリコールおよ
び一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物とを含有
する。
【0009】芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が
挙げられるが、テレフタル酸とイソフタル酸とを併用す
ることが好ましい。また得られる樹脂組成物の耐熱性等
の特性が著しく損なわれない範囲で脂肪族ジカルボン酸
を用いてもよい。この脂肪族ジカルボン酸としては、例
えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカジオン酸等が挙げられる。このようなジカルボン酸
成分は単独であるいは2種以上併用して使用される。
【0010】上記の脂肪族ジカルボン酸の使用量は、全
ジカルボン酸成分中、好ましくは0〜10モル%、より
好ましくは0〜8モル%、特に好ましくは0〜5モル%
である。
【0011】一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合
物において、R1 〜R4 において、ハロゲン原子として
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙
げられ、中でもフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ま
しい。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチ
ル、n−ヘキシル等の炭素原子数が1〜6のアルキル基
が挙げられ、中でもメチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル等の炭素原子数が1〜4のアルキル基が好ましい。ア
ルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキ
シ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキ
シ、ネオペントキシ、n−ヘキシルオキシ等の炭素原子
数が1〜6のアルコキシ基が挙げられ、中でもメトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブト
キシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の炭素
原子数が1〜4のアルコキシ基が好ましい。またmおよ
びnは0が好ましく、pおよびqは0〜2が好ましい。
さらにR3 とR4 は同一であることが好ましい。
【0012】このようなジヒドロキシ化合物の具体例と
しては、例えば、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェ
ニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−
(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)−フルオレ
ン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェ
ニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシ
−3−フルオロフェニル)−フルオレン、9,9−ビス
−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−フルオ
レン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−フルオレン、
9,9−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフ
ェニル)−フルオレン等が挙げられるが、中でも9,9
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンが経
済的に特に好ましい。このようなジヒドロキシ化合物は
単独であるいは2種以上併用して使用される。
【0013】上記ジヒドロキシ化合物は使用量は、全グ
リコール成分中、30〜80モル%、好ましくは30〜
70モル%、特に好ましくは40〜60モル%である。
ジヒドロキシ化合物の使用量が30モル%未満の場合、
ポリエステルの耐熱性が悪いため、製造工程中または製
造後に高温下に置かれた場合に寸法安定性が悪くなっ
て、フィルムの品質の低下および劣化の原因となる。逆
に80モル%を超える場合、得られるポリエステルの溶
融粘度が大きくなって成形性が悪くなる。
【0014】脂肪族グリコールは、炭素原子数2〜4の
脂肪族グリコールが好ましく、具体的には、例えばエチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等が挙げら
れ、中でもエチレングリコールが特に好ましい。
【0015】また上記の脂肪族グリコールの使用量は、
全グリコール成分中、好ましくは20〜70モル%、よ
り好ましくは30〜70モル%、特に好ましくは40〜
60モル%である。脂肪族グリコールの使用量が20モ
ル%未満の場合、得られるポリエステルの溶融粘度が大
きくなって成形性が悪くなる。また高温・多湿下で加水
分解が生じる。逆に70モル%を超える場合、ポリエス
テルの耐熱性が悪いため、製造工程中または製造後に高
温下に置かれた場合に寸法安定性が悪くなって、フィル
ムの品質の低下および劣化の原因となる。
【0016】上記のポリエステル樹脂は、公知の重縮合
方法により重合することができる。例えば、界面重合
法;溶液重合法;エステル交換法、アセテート法、アシ
ドリシス/アセテート法、アシドリシス/無水酢酸法等
の溶融重合法が採用され得る。特に溶融重合法、中でも
アシドリシス/無水酢酸法が好ましい。以下に各々の重
合法について説明する。
【0017】(界面重合法)界面重合法では、一般に酸
成分の活性種として芳香族ジカルボン酸の酸クロライド
を用い、これを有機溶媒中に溶解させた溶液を、予め一
般式(1)のジヒドロキシ化合物および脂肪族グリコー
ルを溶解させたアルカリ溶液に、室温で攪拌しながら添
加する。この時上記ジヒドロキシ化合物は、全グリコー
ル成分に対して30〜80モル%の範囲となるように添
加させる。またこの時反応を促進させめために相間移動
触媒を添加するのが一般的である。相間移動触媒として
は、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウ
ム、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラプ
ロピルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。また有
機溶媒としては、例えばクロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、1,1,3−トリクロロエタン等が挙げられ
る。得られたポリエステル中にハロゲン化物が残留して
いると、これをそのまま液晶ディスプレイ用基板に使用
した場合に、液晶ディスプレイの寿命や信頼性が低下す
る原因となるので、十分な洗浄および濾過等の残留ハロ
ゲン化物の除去工程が必要である。
【0018】(溶液重合法)溶液重合法では、一般に酸
成分の活性種としての芳香族ジカルボン酸の酸クロライ
ド、および一般式(1)のジヒドロキシ化合物および脂
肪族グリコールを有機溶媒に溶解させて加熱する。この
時上記ジヒドロキシ化合物は、全グリコール成分に対し
て30〜80モル%の範囲となるように添加させる。ま
たこの時、反応を促進させるために脱塩酸触媒を添加す
ることが一般的である。脱塩酸触媒としては、例えばア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物や第3ア
ミン等が挙げられる。この重合法においても、上記と同
様に得られたポリエステル中にハロゲン化物の残留がな
いように、十分な洗浄および濾過等の残留ハロゲン化物
の除去工程が必要である。
【0019】(溶融重合法)溶融重合法には、エステル
交換法、アセテート法、アシドリシス/アセテート法、
アシドリシス/無水酢酸法等がある。エステル交換法で
は、一般に酸成分の活性種としての芳香族ジカルボン酸
のジメチルエステル、および一般式(1)のジヒドロキ
シ化合物および過剰の脂肪族グリコールの混合物を加熱
し、メタノールを留出させた後、減圧下で重縮合を行
う。この時上記ジヒドロキシ化合物は、全グリコール成
分に対して30〜80モル%の範囲となるように混合さ
せる。またこの時反応を促進させるために重合触媒を添
加することが一般的である。重合触媒としては、例えば
アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合
物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化
合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、リチウム化合
物、ナトリウム化合物、カリウム化合物等が挙げられ、
中でも酢酸マンガンと酸化アンチモン系化合物の組み合
わせ、酢酸カルシウムと酸化アンチモン系化合物の組み
合わせ、酢酸マグネシウムと酸化アンチモン系化合物の
組み合わせ、酢酸亜鉛と酸化ゲルマニウム系化合物の組
み合わせ、酢酸マンガンと酸化ゲルマニウム系化合物の
組み合わせ、テトラブチルチタネート等が好ましい。ま
た着色防止剤、紫外線吸収剤、フェノール系やリン系酸
化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0020】アセテート法では、一般に芳香族ジカルボ
ン酸と、一般式(1)のジヒドロキシ化合物のジアセチ
ル化合物および脂肪族グリコールのジアセチル化合物と
の混合物を加熱し、酢酸を留出させた後、減圧下で重縮
合を行う。この時上記ジヒドロキシ化合物のジアセチル
化合物は、全グリコール成分に対して30〜80モル%
の範囲となるように混合させる。
【0021】上記の一般式(1)のジヒドロキシ化合物
のジアセチル化合物および脂肪族グリコールのジアセチ
ル化合物は、一般式(1)のジヒドロキシ化合物または
脂肪族グリコールの水酸基と酢酸のカルボキシル基を脱
水縮合することにより得られる。この時得られるジアセ
チル化物は、純度が99.9%以上であることが望まし
い。純度が99.9%未満であれば、重合時に得られる
ポリエステルの分子量が大きくなりにくい。例えば9,
9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンの
ジアセチル化物は、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−フルオレンと無水酢酸とを硫酸存在下で10
0℃に加熱して約30分間反応させることにより得られ
る。この時も純度が99.9%以上であることが望まし
い。また上記反応を促進させるために重合触媒を添加す
ることが一般的である。重合触媒としては、例えば酢酸
マグネシウム、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ム、酢酸カルシウム等の公知の触媒が使用可能である。
また着色防止剤、紫外線吸収剤、フェノール系やリン系
酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0022】アシドリシス/アセテート法では、ポリエ
チレンテレフタレートと、芳香族ジカルボン酸と、一般
式(1)のジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物との
混合物を加熱して酸分解を行い、均一溶液とした後、減
圧下で重縮合を行う。上記ジヒドロキシ化合物のジアセ
チル化合物は、全グリコール成分に対して30〜80モ
ル%の範囲となるように混合させる。またこの時反応を
促進させるために重合触媒を添加することが一般的であ
る。重合触媒としては、例えば酢酸マグネシウム、テト
ラブチルチタネート、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等
の公知の触媒が使用可能である。また着色防止剤、紫外
線吸収剤、フェノール系やリン系酸化防止剤等の添加剤
を必要に応じて添加してもよい。
【0023】アシドリシス/無水酢酸法では、ポリエチ
レンテレフタレートと、芳香族ジカルボン酸と、一般式
(1)のジヒドロキシ化合物との混合物を加熱して酸分
解を行い、均一溶液とした後、無水酢酸を加えてアシル
化を行う。次いでさらに昇温させて均一溶液とした後、
減圧下で重縮合を行う。上記ジヒドロキシ化合物は、全
グリコール成分に対して30〜80モル%の範囲となる
ように混合させる。またこの時反応を促進させるために
重合触媒を添加することが一般的である。重合触媒とし
ては、例えばニッケルアセチルアセトナート、亜鉛アセ
チルアセトナート、酸化スズ、テトラブチルチタネー
ト、酢酸アンチモン等の公知の触媒が使用可能である。
また着色防止剤、紫外線吸収剤、フェノール系やリン系
酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0024】これらの方法のうち、アシドリシス/アセ
テート法およびアシドリシス/無水酢酸法が好ましい。
エステル交換法では、脂肪族グリコールの反応性が低い
場合には得られるポリエステルの分子量が大きくなりに
くい。またアセテート法では、脂肪族グリコールの沸点
が低い場合には、得られるポリエステルの組成が所望の
組成とならない。
【0025】このようにして得られたポリエステルは、
乾式製膜法、湿式製膜法、溶融製膜法により製膜され
る。中でも得られるポリエステルが低沸点の汎用溶媒に
対して溶解性が高く高濃度の溶液が得られるので光等方
性の良好なフィルムが得られやすい乾式製膜法が特に好
ましい。乾式製膜法に使用される溶媒としては、好適に
は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエ
タン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル
系溶媒等が挙げられる。地球環境の点から環状エーテル
系溶媒が特に好ましい。本発明のポリエステル樹脂は、
環状エーテル系溶媒に対する溶解性が特に優れている。
【0026】
【作用】本発明においては、ポリエステル樹脂はフルオ
レン骨格を有しているため、その分子構造に由来して配
向性および複屈折が小さく、従って透明性および光等方
性に優れたポリエステル樹脂となる。また、同時にポリ
エステル樹脂が元来有する優れた耐熱性および耐溶剤性
も維持し、かつ成形性にも優れている。さらにまた、上
記ポリエステル樹脂は、低沸点の汎用溶媒等に対する溶
解性が良好であるので、このポリエステル樹脂を乾式製
膜法で容易に、安価にかつさらに光等方性に優れたフィ
ルムに製膜できる。
【0027】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施
例におけるポリエステル樹脂の極限粘度、ガラス転移温
度、複屈折値および全光線透過率は以下に示す方法によ
り測定した。 (1)極限粘度 フェノール50wt%、1,2,2,2−テトラクロロ
エタン50wt%の混合溶液25mlに、樹脂0.1m
gを40℃で溶解した後、25℃で測定した。 (2)ガラス転移温度(Tg) 樹脂を約10mg用い、示差走査熱量計(島津製作所製
DSC−50)にて樹脂を10℃/minの昇温速度で
加熱して測定した。この時、結晶の融解による吸熱ピー
クの有/無により結晶/非晶を判断した。 (3)複屈折値および屈折率 樹脂をテトラヒドロフランに30wt%の濃度で溶解さ
せ、表面平滑性の良好なPETフィルム上にキャストし
た。これを室温で乾燥させ、次いで減圧下で完全に乾燥
させて、膜厚60〜150μmのフィルムを得た。この
フィルムについて、アッペ屈折計(アタゴ)を用いて複
屈折値および屈折率を測定した。 (4)全光線透過率 (3)で得たフィルムをスペクトロフォトメーター(日
立製作所製U−3210)を用いて測定した。 (5)溶解性 テトラヒドロフランに対する樹脂の溶解性を調べた。
【0028】実施例1 ポリエチレンテレフタレート47重量部、イソフタル酸
16重量部、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−フルオレン36重量部を原料とし、これらを反応
槽に投入し、攪拌しながら240℃で酸分解を行った。
その後140℃に冷却し無水酢酸21重量部を添加し、
さらに1時間攪拌した後、300℃に昇温しながら徐々
に減圧し、300℃に維持したまま真空度0.5mmH
g以下まで減圧した。この条件を維持して粘度を上昇さ
せ所定のトルクに達した時点で反応を終了させた。得ら
れた重合体を水中に押し出してペレットとした。このペ
レットについて諸特性を測定した。その結果を表1に示
す。表1において、Rは下記式で示されるポリエステル
樹脂中の一般式(1)のジヒドロキシ化合物の含有率を
示す。実施例1においては、Rは30モル%であった。
【0029】
【数1】
【0030】実施例2 実施例1において、ポリエチレンテレフタレート27重
量部、イソフタル酸24重量部、9,9−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)−フルオレン49重量部および無
水酢酸29重量部を原料としたこと以外は、実施例1と
同様の方法でペレットを得た。このペレットについて諸
特性を測定した。その結果を表1に示す。またRは50
モル%であった。
【0031】実施例3 実施例1において、ポリエチレンテレフタレート14重
量部、イソフタル酸28重量部、9,9−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)−フルオレン58重量部および無
水酢酸34重量部を原料としたこと以外は、実施例1と
同様の方法でペレットを得た。このペレットについて諸
特性を測定した。その結果を表1に示す。またRは70
モル%であった。
【0032】比較例1 市販の光学フィルム用ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0033】比較例2 市販の光学フィルム用ポリカーボネートフィルムの諸特
性を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】比較例3 実施例1において、ポリエチレンテレフタレート59重
量部、イソフタル酸13重量部、9,9−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)−フルオレン28重量部および無
水酢酸13重量部を原料としたこと以外は、実施例1と
同様の方法でペレットを得た。このペレットについて諸
特性を測定した。その結果を表1に示す。またRは20
モル%であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、透明性、光等方性、成形性、耐熱性および耐溶
剤性に優れたポリエステル樹脂を提供することができ
る。従ってこのようなポリエステル樹脂は、光学材料に
好適に使用され得る。またこのポリエステル樹脂は、低
沸点の汎用溶媒等に対する溶解性が良好であるので、容
易にかつ安価にフィルムに製膜できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 誠一郎 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (72)発明者 栗田 智晴 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (72)発明者 犬飼 忠司 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−149881(JP,A) 特開 平4−304230(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボ
    ン酸と、グリコール成分として一般式(1)で表される
    ジヒドロキシ化合物および脂肪族グリコールとを含有す
    るポリエステル樹脂であって、 ジヒドロキシ化合物が、全グリコール成分中30〜80
    モル%の範囲で含有されていることを特徴とするポリエ
    ステル樹脂。 【化1】 (式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立してハロゲン原子、
    アルキル基またはアルコキシ基を示し、m、n、pおよ
    びqはそれぞれ独立して0〜4の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレートと、芳香族
    ジカルボン酸と、前記一般式(1)のジヒドロキシ化合
    物のジアセチル化合物との混合物を加熱して酸分解を行
    い、次いで減圧下で重縮合を行うことによりなるポリエ
    ステル樹脂であって、 上記ジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物が、全グリ
    コール成分に対して30〜80モル%の範囲となるよう
    に混合されてなることを特徴とする請求項1に記載のポ
    リエステル樹脂。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートと、芳香族
    ジカルボン酸と、前記一般式(1)のジヒドロキシ化合
    物との混合物を加熱して酸分解を行い、次いでアシル化
    を行い、次いで、減圧下で重縮合を行うことによりなる
    ポリエステル樹脂であって、 上記ジヒドロキシ化合物が、全グリコール成分に対して
    30〜80モル%の範囲となるように混合されてなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載のいずれかのポリエ
    ステル樹脂を含有するフィルム。
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