JP3484748B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
体洗浄剤に関し、さらに詳細にはシルク製品、ウール製
品、おしゃれ着などのわずかな汚れでも洗浄の必要が生
じる衣類に対して適度な洗浄力と形態保持機能を有し、
泡切れが良く、優れた風合いを損なわず、かつ保存安定
性に優れた液体洗浄剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のつけ置き洗いとは一般に洗濯機、
手洗い(もみ洗い)等で洗浄する前の予洗のことを指し
たり、酵素を配合し洗浄力を強化した洗浄剤溶液につけ
ておくことを指していた。この洗浄方法では十分に汚れ
を落とすために長時間(例えば一晩)衣類をつけておく
必要がある。 【0003】従来、家庭における衣類の洗濯は、陰イオ
ン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を主成分と
する洗浄剤で洗浄を行った後、繊維の風合いおよび帯電
防止能を付与するために陽イオン性界面活性剤を主成分
とする柔軟剤で柔軟処理を行っている。しかし、この方
法では洗浄および柔軟性付与という二つの操作が必要と
なり煩雑さを伴う。そこで、特公昭47−4750号公報や特
開昭57−126896号公報では上記操作を同時に行う一液型
の洗浄剤組成物が検討されている。この一液型の洗浄剤
組成物は非イオン性界面活性剤または半極性界面活性剤
を主成分とし、分子内に長鎖の飽和アルキル基を有する
モノアルキル型またはジアルキル型陽イオン性界面活性
剤を柔軟剤成分として配合しているものである。さらに
特開平4−4298号公報では洗い上がりの風合いを上げる
目的で不飽和のジアルキル型陽イオン性界面活性剤とポ
リオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活
性剤とアミンオキシド型非イオン性界面活性剤を組み合
わせた洗浄剤組成物を提案している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】シルクやウールのよう
なデリケートな衣類は、わずかに汚れた状態でも洗浄す
る必要があるが、これらを従来のつけ置き洗いで洗浄し
た場合、長時間を要するため、衣類が縮むという問題が
生じていた。さらに従来のつけ置き洗い用の洗浄剤組成
物では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオ
ン性界面活性剤を主成分としているため、すすぎ時に泡
切れが悪いという欠点も有していた。また従来の一液型
の洗浄剤組成物は保存安定性が悪く、長期間保存すると
低温で白濁や沈澱を生じ、組成物の外観が損なわれると
いう欠点があった。 【0005】本発明は、デリケートな衣料に対し短時間
のつけ置き洗いで汚れが落ちる適度な洗浄力と縮みのな
い形態保持機能を有し、泡切れが良く、優れた風合いを
損なわず、かつ保存安定性に優れた液体洗浄剤組成物を
提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに研究を重ねたところ、特定の非イオン性界面活性剤
と特定の範囲のヨウ素価を有する陽イオン性界面活性剤
と水溶性シリコーン誘導体を特定の重量比で組み合わせ
ることで、従来にはない特徴のある液体洗浄剤組成物を
得るに至った。すなわち、本発明は、下記のa、b、c
を含有し、aが10〜50重量%、bが1〜15重量%、cが
0.1〜5重量%であり、aとb+cの重量比が10/1〜
2/1であることを特徴とする液体洗浄剤組成物であ
る。 a. 式(1) で示される非イオン性界面活性剤。 【0007】 【化3】 【0008】(式中R1は炭素数10〜22のアルキル基ま
たはアルケニル基、nは5〜15、mは1〜5を示す) b. 式(2) で示される、ヨウ素価が40〜100の陽イオン
性界面活性剤。 【0009】 【化4】 【0010】(式中R2およびR3は炭素数12〜24のアル
キル基またはアルケニル基、R4およびR5はメチル基、
エチル基または−(CH2CH2O)PHでpは1〜15、X
はハロゲン原子、CH3SO4、またはC2H5SO4を示
す) c. 水溶性シリコーン誘導体。 式(1)で示される非イオン性界面活性剤はR1が炭素
数10〜22のアルキル基またはアルケニル基であり、例え
ばラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリ
ル基、オレイル基、ヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基
等が挙げられ、炭素数が9以下では風合いが損なわれ、
23以上では保存安定性が悪くなる。nは5〜15であり、
エチレンオキシドの平均付加モル数を示し、nが5未満
では保存安定性が悪くなり、15を超えるとすすぎ時の泡
切れが悪くなる。mは1〜5であり、プロピレンオキシ
ドの平均付加モル数を示し、mが1未満ではすすぎ時の
泡切れが悪くなり、風合いが損なわれ、5を超えると保
存安定性が悪くなる。エチレンオキシド、プロピレンオ
キシドは各々ブロック付加であり、ランダム付加では風
合が損なわれ、また、エチレンオキシド、プロピレンオ
キシドの付加順序が逆になると保存安定性が悪くなる。 【0011】式(2) で示される陽イオン性界面活性剤は
R2およびR3が炭素数12〜24のアルキル基またはアルケ
ニル基であり、例えばラウリル基、ミリスチル基、パル
ミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、ヤ
シ油アルキル基、牛脂アルキル基等が挙げられ、炭素数
が11以下では風合いが損なわれ、25以上では保存安定性
が悪くなる。R4およびR5はメチル基、エチル基、また
は−(CH2CH2O)pHで、pは1〜15であり、エチレ
ンオキシドの平均付加モル数を示し、pが15を超えると
風合いが損なわれる。Xはハロゲン原子、CH3SO4、
またはC2H5SO4を示し、ハロゲン原子としては塩
素、臭素、ヨウ素が挙げられる。この陽イオン性界面活
性剤はヨウ素価が40〜100であり、ヨウ素価が40未満で
は形態保持機能、風合いが損なわれ、100を超えるとす
すぎ時の泡切れが悪くなる。 【0012】c成分の水溶性シリコーン誘導体としては
ポリエーテル変性シリコーン誘導体、アルコール変性シ
リコーン誘導体、アミノ変性シリコーン誘導体、エポキ
シ変性シリコーン誘導体、カルボキシル変性シリコーン
誘導体等が挙げられる。aは10〜50重量%であるが、10
重量%未満では洗浄力、保存安定性が低下し、50重量%
を超えると泡切れが悪くなる。 【0013】bは1〜15重量%であるが、1重量%未満
では形態保持機能、風合いが損なわれ、15重量%を超え
ると洗浄力、保存安定性が低下する。cは0.1〜5重量
%であるが、0.1重量%未満では形態保持機能、風合い
が損なわれ泡切れが悪くなり、5重量%を超えると洗浄
力、保存安定性が低下する。aとb+cの重量比は10/
1〜2/1であるが、これよりもaが大きくなると形態
保持機能、風合いが損なわれ、泡切れが悪くなり、小さ
くなると洗浄力、保存安定性が低下する。 【0014】本発明の洗浄剤組成物は、所望により一般
に配合される成分、例えば、グリセリン、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、エタノール等の可溶化剤、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ケイ酸ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウ
ム、トリポリリン酸ナトリウム等のビルダー、パラオキ
シ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、塩化ベン
ザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド
等の殺菌剤、エチレンジアミン四酢酸誘導体、クエン
酸、ニトリロトリ酢酸三ナトリウム等のキレート剤、ベ
ンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体等の紫
外線吸収剤、その他に色素、香料等を本発明の効果を損
なわない程度に含むことができる。 【0015】 【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。実
施例で行った試験法および評価法を以下に示す。これら
の試験に使用した水は水道水である。風合い性試験、形
態保持性試験、洗浄力試験および泡切れ性試験は全てつ
け置き洗いを基準として検討を行ない、用いたシルク布
は丹後産の絹100%のサテン織布である。 【0016】(1)保存安定性 液体洗浄剤組成物を約70℃で調製後、約40℃まで冷却し
た。これを100mlのスクリュー管にとり、−5℃および2
5℃の恒温槽に一ヶ月間放置してその外観の変化を目視
により判定し、次の3段階で評価した。 〇:保存安定性良好(透明溶解状態で、流動性がある) △:安定性やや不良(やや濁り、流動性がある) ×:安定性不良(分離、沈澱が認められる、または固化
する) 【0017】(2)風合い性 液体洗浄剤組成物の0.1重量%濃度の水溶液500mlを1リ
ットルのビーカーにとり、この中に20cm×20cmのシルク
布を10分間浸漬し、振りすすぎを2回行った後、10秒間
脱水し乾燥した。この洗浄操作を1サイクルとし、5サ
イクル繰り返した。5サイクル終了後、低温のアイロン
をかけて試験布とした。20名の女性をパネラーとし、こ
の布について手触りの感触による未洗浄布との一対比較
を行った。未洗浄よりも試験布の方が非常に柔らかいと
感じた場合を3点、やや柔らかいと感じた場合を2点、
わずかにかたいと感じた場合を1点、非常にかたいと感
じた場合を0点として20名の平均値を求めて、次の3段
階で評価した。 風合い性良好(平均値 2.5点以上) やや風合い性がある(平均値 2.5点未満 1.5点以上) 風合い性が弱い(平均値 1.5点未満) 【0018】(3)形態保持性 大きさ30cm×30cmのシルクの未加工布を20℃、65%
RHで4時間以上調湿した。この布に油性のサインペン
で8ヶ所(布の4角と各辺の中央)に印をつけ、それぞ
れに番号を付した後、それぞれの印の間の長さを測定し
(タテ a1 0、a2 0、a3 0;ヨコ b1 0、b2 0、
b3 0)、この長さを原長とした。で得た試験布3枚を1つの1リットルのビーカー
に入れ、つけ置き洗いを行なった。液体洗浄剤組成物の
濃度は0.1重量%とし、水温は20℃とした。すすぎとし
ては、1リットルのビーカーの中で振りすすぎを2回行
った。次いで、この試験布を洗濯機の脱水槽の壁につけ
て、回転が安定してから10秒間脱水後、網の上にのせて
平干しして乾燥させ、20℃、65%RHで4時間以上調湿
した。さらに、先にで付した印について再度それらの
間の長さを測定し(タテ a1 W、a2 W、a3 W;ヨコ b
1 W、b2 W、b3 W) 、これから次式にしたがって試験布の
収縮率を算出した。 【0019】 【数1】 【0020】O.M.:試験布の原長(タテ a1 0、a
2 0、a3 0;ヨコ b1 0、b2 0、b3 0) W.M.:洗浄後の長さ(タテ a1 W、a2 W、a3 W;ヨ
コ b1 W、b2 W、b3 W) タテ、ヨコそれぞれ3ヶ所から算出した収縮率を平均し
て、その平均値から形態保持性を次の3段階で評価し
た。 形態保持性が高い(タテ、ヨコの収縮率が5.0%未満) 形態保持性が中程度(タテ、ヨコの収縮率が5.0%以上1
0.0%未満) 形態保持性が低い(タテ、ヨコの収縮率が10.0%以上) 【0021】(4)洗浄力 液体洗浄剤組成物水溶液500mlを1リットルのビーカー
にとり、これに10cm×10cmの人工汚染布2枚および白布
2枚を浸漬し、浴比が1:100になるように調整し、つ
け置き洗いを行った。洗浄条件および人工汚染布の組成
は以下の通りである。 〈洗浄条件〉 洗浄時間 20分間 洗浄剤組成物濃度 0.1重量% 洗浄温度 20℃ すすぎ 振りすすぎ 脱水 脱水槽の回転が安定し
てから10秒 〈人工汚染布の汚垢組成〉 オレイン酸 15.0 パルミチン酸 7.5 ミリスチン酸 7.5 牛脂硬化油 30.0 コレステロール 10.0 スクワレン 5.0 セチルアルコール 10.0 パラフィン 15.0 これにカーボンブラックを分散させたものを人工汚垢と
し、これで白布を汚染し、人工汚染布とした。汚染布を
乾燥後、カラーコンピューター(スガ試験機(株)製)
で表面反射率を測定し、下記の式から洗浄力を計算し、
次の3段階で評価した。 【0022】 【数2】 【0023】洗浄力が過度(洗浄力25%以上) 洗浄力が良好(洗浄力15%以上25%未満) 洗浄力が弱い(洗浄力15%未満) 【0024】(5)泡切れ性 液体洗浄剤組成物の0.1重量%濃度水溶液500mlを1リッ
トルのビーカーにとり、この中に20cm×20cmのシルク布
を10分間浸漬し、振りすすぎを2回行った。20名の女性
をパネラーとし、この布について手触りの感触による試
験を行った。触るとぬるつき、泡が手につく場合を0
点、ややぬるつき感があると感じた場合を1点、ほとん
どぬるつかないと感じた場合を2点として20名の平均値
を求めて、次の3段階で評価した。 泡切れ良好(平均値 1.5点以上) やや泡切れが悪い(平均値 1.0点以上 1.5点未満) 泡切れが悪い(平均値 1.0点未満) 【0025】実施例1〜10および比較例1〜10 表1〜4に示す配合組成の試料を調製し、その性能を評
価した。結果を表1〜4に示す。表中の単位は重量%を
示す。 【0026】 【表1】【0027】 【表2】【0028】 【表3】【0029】 【表4】【0030】表1〜4において、 (注1)式(1) のR1が13、nが8.5、mが2である。 (注2)式(1) のR1が13、nが8.5、mが0である。 (注3)ライオン(株)製「アーカード20−75I(主要
成分は式(2) のR2、R3がオレイル基、R4、R5がメチ
ル基、Xが塩素原子の化合物であり、ヨウ素価は70) 」
を使用した。 (注4)日本油脂(株)製「ニッサンカチオン2-OLR
(主要成分は式(2) のR2、R3がオレイル基、R4、R5
がメチル基、Xが塩素原子の化合物であり、ヨウ素価は
50)」を使用した。 (注5)信越化学工業(株)製「KF-351A(ポリエーテル
変性シリコーン)」を使用した。 (注6)信越化学工業(株)製「KF-393(アミノ変性シ
リコーン)」を使用した。 【0031】表1〜4から、本発明の実施例1〜10の組
成物は、短時間のつけ置き洗いで汚れが落ちる適度な洗
浄力と縮みのない形態保持機能を有し、泡切れが良く、
優れた風合いを損なわず、かつ保存安定性に優れた組成
物であることが明らかである。比較例1の組成物はaが
10重量%未満であるため保存安定性が悪く、洗浄力が弱
い。比較例2の組成物はaが50重量%を超えているため
泡切れが悪い。比較例3の組成物はbが1重量%未満で
あるため風合い性が悪く、形態保持性が低い。比較例4
の組成物はbが15重量%を超えているため保存安定性が
悪く、洗浄力が弱い。比較例5の組成物はcが0.1重量
%未満であるため風合い性が悪く、形態保持性が低く、
泡切れが悪い。比較例6の組成物はcが5重量%を超え
ているため保存安定性が悪く、洗浄力が弱い。比較例7
の組成物はaとb+cの重量比が10/1より大きいため
風合い性が悪く、形態保持性が低く、泡切れが悪い。比
較例8の組成物はaとb+cの重量比が2/1より小さ
いため保存安定性が悪く、洗浄力が弱い。比較例9の組
成物は式(1) のmが0の非イオン性界面活性剤を使用し
ているため形態保持性が低く、泡切れが悪い。比較例10
の組成物はaの代わりにラウリルジメチルアミンオキシ
ドを使用しているため保存安定性、泡切れが悪く、形態
保持性が低く、洗浄力が弱い。 【0032】 【発明の効果】本発明の液体洗浄剤組成物は、短時間の
つけ置き洗いで汚れが落ちる適度な洗浄力と縮みのない
形態保持機能を有し、泡切れが良く、優れた風合いを損
なわず、かつ保存安定性に優れた液体洗浄剤組成物であ
るので、シルク製品、ウール製品、おしゃれ着などのわ
ずかな汚れでも洗浄の必要が生じるデリケートな衣類の
洗浄に最適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下記のa、b、cを含有し、aが10〜50重
量%、bが1〜15重量%、cが0.1〜5重量%であり、
aとb+cの重量比が10/1〜2/1であることを特徴
とする液体洗浄剤組成物。 a.式(1) で示される非イオン性界面活性剤。 【化1】 (式中R1は炭素数10〜22のアルキル基またはアルケニ
ル基、nは5〜15、mは1〜5を示す) b.式(2) で示される、ヨウ素価が40〜100の陽イオン
性界面活性剤。 【化2】 (式中R2およびR3は炭素数12〜24のアルキル基または
アルケニル基、R4およびR5はメチル基、エチル基また
は−(CH2CH2O)PHでpは1〜15、Xはハロゲン原
子、CH3SO4、またはC2H5SO4を示す) c.水溶性シリコーン誘導体。
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