JP3473677B2 - 希土類ボンド磁石用磁性粉末と希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石 - Google Patents

希土類ボンド磁石用磁性粉末と希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石

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JP3473677B2 JP19376298A JP19376298A JP3473677B2 JP 3473677 B2 JP3473677 B2 JP 3473677B2 JP 19376298 A JP19376298 A JP 19376298A JP 19376298 A JP19376298 A JP 19376298A JP 3473677 B2 JP3473677 B2 JP 3473677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R(Rは希土類元
素)と、FeまたはFe並びにCoと、Nを主構成成分
とする希土類ボンド磁石用磁性粉末、この磁性粉末と樹
脂バインダーを主成分とする希土類ボンド磁石用組成
物、および、この組成物を磁石形状に成形して成る希土
類ボンド磁石に係り、特に、不可逆減磁率の小さな耐熱
性に優れた希土類ボンド磁石用磁性粉末と希土類ボンド
磁石用組成物および希土類ボンド磁石の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、菱面体晶系または六方晶系の結晶
構造をもつ金属間化合物に窒素を導入させたR−Fe−
N(Rは希土類元素)系磁性材料が、特に永久磁石材料
として優れた磁気特性をもつことから注目されている。
例えば、特開平2−57663号公報では、六方晶系あ
るいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H
(R:イットリウムを含む希土類元素のうちの少なくと
も一種)で表される磁気異方性材料を開示している。
【0003】このR−Fe−N系磁性粉末と樹脂バイン
ダーとから成る希土類ボンド磁石として、樹脂バインダ
ーにポリアミド(ナイロン)を用いたSm−Fe−N系
射出成形ボンド磁石は公知である。例えば、"Developme
nt of high-energy productSm2Fe173 bonded mag
nets"(Proc. Int. Conf. MRS, Tokyo, 1993, L7-1)で
は、保磁力HcJが5〜7kOeのSm−Fe−N系射出
成形ボンド磁石を開示している。また、特開平6−29
5805号あるいは特開平6−295816号公報には
保磁力HcJが6kOe未満のSm−Fe−N系射出成形
ボンド磁石が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら従来
のR−Fe−N系射出成形ボンド磁石は、磁気特性の耐
熱性が悪いという問題点があった。
【0005】すなわち、磁石を組み込んだ磁気回路では
磁石が発生する磁束(フラックス)を利用するため、必
要な磁束が温度履歴に依存せず安定に得られること、す
なわち良好な耐熱性が要求される。
【0006】この耐熱性の指標として、磁石を所定時間
所定温度で加熱しその前後の磁束変化率(不可逆減磁
率)を評価することが行われる。また、特に1時間加熱
したときの不可逆減磁率をその加熱温度での初期減磁率
と呼ぶことがある。いずれも0に近いほど耐熱性が良好
である。
【0007】そして、従来のR−Fe−N系射出成形ボ
ンド磁石では、初期減磁率が5%になる加熱温度が80
℃以下であった。例えば上記"Development of high-ene
rgyproduct Sm2Fe173 bonded magnets"によれ
ば、Sm−Fe−N系射出成形ボンド磁石で50℃、S
m−(Fe,Co)−N系射出成形ボンド磁石で80℃で
あった。
【0008】しかし、希土類ボンド磁石の主な用途であ
るOA機器用あるいはAV機器用小型モータでは少なく
とも80℃まで使用可能であることが求められており、
更に自動車用途に対しては100〜125℃を越える耐
熱性が求められている。
【0009】このため、80℃で5%以上減磁してしま
う従来のR−Fe−N系射出成形ボンド磁石では耐熱性
が十分とはいえなかった。
【0010】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、初期減磁率が5%
になる加熱温度が80℃を越える耐熱性に優れた希土類
ボンド磁石用磁性粉末と希土類ボンド磁石用組成物およ
び希土類ボンド磁石を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明者等は以下に挙げる従来技術を参考にし
て希土類ボンド磁石用磁性粉末等の開発を試みた。
【0012】まず、参考にした特開平4−157705
号公報には、ボンド磁石用R−Fe−N系磁性粉末の粒
子径に関し、平均粒子径が0.1〜30μmの範囲にあ
ること、成形加工性や表面平滑性に特に優れた材料を作
製する場合には平均粒子径が1〜10μmであることが
好ましいこと等が開示され、また、特開平5−3080
12号公報には、粒子径1μm以下の粒子の含有率を体
積基準で10%以下とすることによりR−Fe−N系を
含む磁性粉末の磁気特性が向上することが開示されてい
る。これ等の従来技術は、粒子径の平均値および粒度分
布の微粒側を規定する手法であり、粒度分布の粗粒側に
関する知見は皆無である。
【0013】一方、参考にした特開平5−175022
号公報では、磁性粉末粒子径の標準偏差を1.0μm以
下にすることによってHk(後述するように残留磁束密
度Brの90%まで磁化Jが低下するときの減磁界で減
磁曲線の角型性を表すもの)の高いボンド磁石を製造で
きるとしている。しかし、樹脂ボンド磁石に適用する場
合、磁性粉末の平均粒子径に関して「単磁区となる程度
の粒子径、たとえば0.5〜10μm程度にまで粉砕す
る」ことしか記載されておらず、具体的な粒度分布の粗
粒側に関する知見は上述した従来技術と同様に皆無であ
る。また、その実施例にも粉末の磁気特性はあるが、ボ
ンド磁石の磁気特性や耐熱性については具体的に記載さ
れていない。
【0014】そこで、粒度分布の微粒側を規定するこれ
等従来技術の手法に従って、磁性粉末の平均粒子径や1
μm未満の微粒側粒度分布制御などを種々検討したが、
磁性粉末の角型性や保磁力を高めても必ずしもボンド磁
石の耐熱性を改善させるには至らなかった。特に、粒子
径1μm未満の粒子の存在は、特開平5−308012
号公報に記述されている磁性粉末の場合とは異なり、ボ
ンド磁石化した後には減磁曲線の角型性や保磁力にそれ
ほど影響していないことが確認された。
【0015】尚、この様な分析から、ボンド磁石を製造
する工程途中で、原料となる磁性粉末が晒される50〜
330℃の温度履歴により粒子径1μm未満の小さな粒
子の磁石特性は損なわれ、最終的なボンド磁石の磁気特
性は、磁石特性を損なわれずに生き残った1μm以上の
磁性粉末によって影響されているとの推論が導かれるに
至った。すなわち、耐熱性に優れた希土類ボンド磁石を
求める場合、粒度分布の微粒側を規定する従来手法によ
っていてはその実現が困難で、これまで知見のなかった
粒度分布の粗粒側を規定する新たな手法が必要となると
の考えを得るに至った。
【0016】この様な推論の下、これまで知見のなかっ
た粗粒側の粒子径がボンド磁石の耐熱性に与える影響を
詳細に検討したところ、粒子径1.0μm以上の全磁性
粉末に対する5.0μm以上の全磁性粉末の含有率が、
減磁曲線の角型性や保磁力に強く影響を及ぼし、その結
果、耐熱性が左右されることを見出だすに至った。本発
明はこの様な技術的発見に基づき完成されたものであ
る。
【0017】すなわち、請求項1に係る発明は、R(R
は希土類元素)と、FeまたはFe並びにCoと、Nを
主構成成分としかつTh2Zn17型結晶構造を有する希
土類ボンド磁石用磁性粉末を前提とし、粒子径1.0μ
m以上の全磁性粉末に対する粒子径5.0μm以上の全
磁性粉末の含有率が個数基準で2.5%以下であり、か
つ、粒子径1.0μm以上の全磁性粉末に対する粒子径
4.0μm以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で0%
を超え4.5%以下であると共に、粒子径1.0μm以
上の全磁性粉末に対する粒子径3.2μm以上の全磁性
粉末の含有率が個数基準で0%を超え10%以下である
ことを特徴とするものである。
【0018】
【0019】次に、請求項に係る発明は、初期減磁率
が5%になる加熱温度が80℃を越える耐熱性を具備す
る希土類ボンド磁石の製造に用いられる希土類ボンド磁
石用組成物を前提とし、請求項1記載の希土類ボンド磁
石用磁性粉末と樹脂バインダーを主成分とすることを特
徴とし、また、請求項に係る発明は、希土類ボンド磁
石を前提とし、上記請求項記載の希土類ボンド磁石用
組成物を磁石形状に成形して成りかつその初期減磁率が
5%になる加熱温度が80℃を越える耐熱性を具備する
ことを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0021】まず、本発明に係る希土類ボンド磁石用磁
性粉末、希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド
磁石で使用する磁性粉末としては、例えば、特開平2−
057663号公報に従い溶解鋳造法、あるいは特許第
1702544号明細書若しくは特開平9−15780
3号公報などで示される還元拡散法で製造されるR−F
e系合金あるいはR−(Fe,Co)系合金を窒化した
後、微粉砕して得ることができる。Rは希土類元素であ
るがSmが40重量%以上含まれるものが好ましい。C
oを添加すると磁石の飽和磁化と磁束密度の温度係数が
向上する。また、主構成成分であるR、FeまたはFe
並びにCo、Nに加えて、C、Al、Si、P、Ti、
V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、N
b、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、
Os、Ir、Pt、Auの一種以上を磁性粉末に3重量
%以下添加すると耐熱性をさらに高めることが出来る。
微粉砕は、ジェットミル、振動ボールミル、回転ボール
ミルなど公知の技術で実施することができるが、ボンド
磁石用磁性粉末、ボンド磁石用組成物およびボンド磁石
を製造したとき粒子径1.0μm以上の全磁性粉末に対
する5.0μm以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で
2.5%以下、好ましくは1.0%以下となるように、
粉砕条件の制御や分級機の併用を行うことが必要である
(請求項1、請求項、請求項)。ここで5.0μm
以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で2.5%を超え
ると、磁石の減磁曲線の角型性や保磁力が低下し耐熱性
が悪化する。また粒子径1.0μm以上の全磁性粉末に
対する粒子径4.0μm以上の全磁性粉末の含有率を個
数基準で0%を超え4.5%以下(請求項1、請求項
、請求項)、さらには粒子径1.0μm以上の全磁
性粉末に対する粒子径3.2μm以上の全磁性粉末の含
有率を個数基準で0%を超え10%以下とする(請求項
1、請求項、請求項)ことによって、減磁曲線の角
型性や保磁力がより改善され、耐熱性が向上する。
【0022】次に、本発明に係る希土類ボンド磁石用磁
性粉末、希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド
磁石において、磁性粉末の粒子径は次のように評価・定
義される。上記希土類ボンド磁石用磁性粉末が樹脂に埋
め込まれたもの、希土類ボンド磁石用組成物または希土
類ボンド磁石の断面を研磨し、光学顕微鏡や走査型電子
顕微鏡などでひとつの試料につき1視野以上の写真を撮
影する。得られた写真に、同一の磁性粉末に重ならない
ように、平行な複数本の直線を引く。このとき1個の磁
性粉末と直線との交点間距離をもって、その磁性粉末の
粒子径と定義する。また、粒度分布の評価にあたって
は、100個以上、好ましくは200個以上の磁性粉末
について粒子径を測定する。得られたデータから粒子径
1μm未満の磁性粉末のものを除き、1μm以上の磁性
粉末について粒子径の対数に対する個数基準の粒度分布
を算出し、5.0μm以上の磁性粉末の含有率を求め
る。
【0023】尚、微粉砕した磁性粉末の発火防止などハ
ンドリング性を向上させるために、例えば、特開昭52
−54998号、特開昭59−170201号、特開昭
60−128202号、特開平3−211203号公
報、または、特開昭46−7153号、特開昭56−5
5503号、特開昭61−154112号、特開平3−
126801号公報に開示されているような湿式ないし
乾式処理による徐酸化皮膜を磁性粉末表面に形成するこ
とができる。
【0024】また、特開平5−230501号、特開平
5−234729号、特開平8−143913号号、特
開平7−268632号公報や日本金属学会講演概要
(1996年春期大会、No.446、p.184)な
どに開示されているような金属皮膜を形成する方法や、
特公平6−17015号、特開平1−234502号、
特開平4−21702号、特開平5−213601号、
特開平7−326508号、特開平8−153613
号、特開平8−183601号公報などによる無機皮膜
を形成する方法などの一種以上の表面処理を磁性粉末に
施すと、磁性粉末、組成物およびボンド磁石の保磁力が
向上し耐熱性がさらに向上する。
【0025】次に、本発明に係る希土類ボンド磁石用組
成物の樹脂バインダーは磁性粉末の結合剤として作用す
るものであり、適用できる樹脂としては特に限定される
ことはなく、例えば、熱可塑性樹脂の場合は、6ナイロ
ン、6、6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、
6、12ナイロン、芳香族系ナイロン、これらの分子を
一部変性した変性ナイロン等のポリアミド樹脂、直鎖型
ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレ
ンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹
脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、メタ
クリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化
塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピ
レン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹
脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエー
テルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹
脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、各
種エラストマーやゴム類等が挙げられ、これらの単重合
体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品な
どが挙げられる。また、これら熱可塑性樹脂の2種類以
上のブレンド等における系も当然含まれる。これら熱可
塑性樹脂の溶融粘度や分子量は、所望の機械的強度が得
られる範囲で低い方が望ましく、形状は、パウダー、ビ
ーズ、ペレット等特に限定されないが、磁性粉末との均
一混合性から考えるとパウダーが望ましい。
【0026】また、例えば、熱硬化性樹脂の場合は、エ
ポキシ樹脂、ビニルエステル系エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリ
ア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミド・トリ
アジン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、熱
硬化性ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレ
タン系樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂等が挙げら
れ、これらの基本組成物や他種モノマーやこれら樹脂の
2種類以上のブレンド等における系も当然含まれる。こ
れら熱硬化性樹脂の粘度、分子量、性状等は、所望の機
械的強度や成形性が得られる範囲であれば特に限定され
ないが、磁性粉末との均一混合性や成形性から考えると
パウダー又は液状が望ましい。
【0027】これらの樹脂バインダーの含有量は、磁性
粉末100重量部に対して100重量部よりも多く充填
した場合、ボンド磁石の磁束密度が著しく低下する。ま
た、3重量部より少ないと著しく成形性が低下し所望の
成形体が得られない。よって、これらの樹脂混合量は、
磁性粉末100重量部に対し3重量部以上100重量部
以下が好ましい。
【0028】また、本発明に係る希土類ボンド磁石用組
成物を製造するとき、添加物としてカップリング剤や滑
剤、安定剤などを使用すると、さらに組成物の加熱流動
性が向上し成形性や磁気特性が向上する。カップリング
剤としては、シラン系カップリング剤、例えば、ビニル
トリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル
エチルトリメトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルジエト
キシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピル
トリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメト
キシシランなどが、また、チタン系カップリング剤、例
えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、
イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)
チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホ
スフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジ
オクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピ
ルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチ
ルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソ
プロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルト
リドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピ
ルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス
(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネー
ト、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネ
ート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブ
チル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、
イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジ
オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネ
ート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネ
ートなど、が挙げられ、樹脂バインダーの種類に合わせ
た適当なものを選択しそれらの一種または二種以上を使
うことが出来る。滑剤としては、例えば、パラフィンワ
ックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリ
プロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、
マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,
2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、
オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ア
ルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、
リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛
等の脂肪酸塩(金属石鹸類)ステアリン酸アミド、オレ
イン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パル
ミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステア
リン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチ
レンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸
アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビス
オレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−
ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類、ステ
アリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコー
ル、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール、および、これら変性物から成る
ポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコング
リース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グ
リース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪
素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪
素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられ
る。また、安定剤としては、ビス(2,2,6,6,−
テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−
7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,
2,3−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4
−ジオン,4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−
ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキ
サメチレン、[[2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)イミノ]]、2−(3,5−ジ・第三ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン
酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジル)等のヒンダード・アミン系安定剤のほか、フェ
ノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化
剤等が挙げられる。また滑剤としては、パラフィンワッ
クス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプ
ロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マ
イクロワックスなどのワックス類、ステアリン酸、12
−オキシステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸類や、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン
酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜
鉛、リノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜
鉛などの脂肪酸塩、ステアリン酸アミド、オレイン酸ア
ミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸
アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸ア
ミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス
ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、
ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン
酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリ
ルスアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミ
ド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステア
リン酸アミド、メチロールベヘン酸アミドなどの脂肪酸
アミド、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル、エ
チレングリコール、ステアリルアルコールなどのアルコ
ール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコールおよびこれらの
変性物から成るポリエーテル類、シリコーンオイル、シ
リコングリースなどのポリシロキサン類、フッ素系オイ
ル、フッ素系グリース、含フッ素樹脂粉末といったフッ
素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、ア
ルミナ、シリカゲルなどの無機化合物粉体などが挙げら
れ、これらの一種または二種以上を使うことが出来る。
【0029】これらの磁性粉末と樹脂バインダー等を、
例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキ
サー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネ
タリーミキサー等の混合機、および、バンバリーミキサ
ー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出
機、二軸押出機等の混練機を使用して混合・混練するこ
とによって本発明に係る希土類ボンド磁石用組成物が得
られる。
【0030】また、本発明に係る希土類ボンド磁石用組
成物を、例えば射出成形することによって本発明に係る
希土類ボンド磁石が得られる。あるいは、射出成形ボン
ド磁石ではないが、特開平6−236807号、特開平
7−249538号公報などに開示されるような押出成
形法でも同様な耐熱性に優れた希土類ボンド磁石が製造
できる。尚、このとき磁場中で成形すると、磁性粉末の
磁化容易方向が揃い高い磁束密度を持つ異方性の高性能
希土類ボンド磁石が製造できる。
【0031】これらの混練・成形工程において、以下に
述べる7項目の一つ以上を実施することによって、ボン
ド磁石の耐熱性を更に向上させることができる。
【0032】すなわち、 1.樹脂バインダーと磁性粉末との混練温度を、熱可塑
性樹脂を用いる場合には240℃以下、好ましくは22
0℃以下とすればよい。混練温度が240℃を超えると
希土類ボンド磁石用組成物およびボンド磁石の磁気特
性、特に角型性と保磁力が低下する。
【0033】2.混練する雰囲気を、例えば、窒素ガ
ス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの非酸化性雰囲気
とし、残留酸素濃度を10体積%以下、望ましくは1体
積%以下とすればよい。このとき、特に混練機の原料投
入ホッパー内部、シリンダー内部、混練された溶融組成
物の出口であるダイス付近を上記非酸化性雰囲気とする
ことが効果的である。更に、熱可塑性樹脂を用いる場合
にはダイスを通った希土類ボンド磁石用組成物が室温に
冷却されるまでの雰囲気も上記非酸化性雰囲気とするこ
とが望ましい。残留酸素濃度が10体積%を超えると上
記組成物およびボンド磁石の磁気特性、特に角型性と保
磁力が低下する。
【0034】3.熱可塑性樹脂を用いる場合にはダイス
を通った組成物の室温への冷却時間も可及的速やかであ
るのがよく、ダイスから出た組成物をファンで空冷した
り液体窒素や水などの冷媒中へ投入するとよい。冷却時
間が長いと組成物およびボンド磁石の磁気特性、特に角
型性と保磁力が低下する。
【0035】4.得られた混練後の組成物をペレットに
粉砕する工程においても、雰囲気を例えば、窒素ガス、
アルゴンガス、ヘリウムガスなどの非酸化性雰囲気と
し、残留酸素濃度を10体積%以下、望ましくは1体積
%以下とすればよい。残留酸素濃度が10体積%を超え
ると組成物およびボンド磁石の磁気特性、特に角型性と
保磁力が低下する。
【0036】5.熱可塑性樹脂を用いる場合にはボンド
磁石に成形する際の成形機シリンダー温度を250℃以
下、望ましくは230℃以下とすればよい。また熱可塑
性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いる場合には金型温度
を140℃以下、望ましくは120℃以下とすればよ
い。シリンダー温度が250℃を超えたり、金型温度が
140℃を超えると、組成物およびボンド磁石の磁気特
性、特に角型性と保磁力が低下する。但し、シリンダー
温度と金型温度については、磁場中で形成する場合には
磁性粉末の配向性を損なわない範囲で上記のように設定
することが望ましい。
【0037】6.成形する雰囲気を、例えば、窒素ガ
ス、アルゴンガス、ヘリウムガスないしは減圧真空など
の非酸化性雰囲気とし、残留酸素濃度を10体積%以
下、望ましくは1体積%以下とすればよい。このとき、
特に成形機の原料投入ホッパー内部、シリンダー内部、
金型キャビティー付近を上記非酸化性雰囲気とした上で
成形することが効果的である。更に、成形品が室温に冷
却されるまでの雰囲気も上記非酸化性雰囲気とすること
が望ましい。残留酸素濃度が10体積%を超えると希土
類ボンド磁石用組成物およびボンド磁石の磁気特性、特
に角型性と保磁力が低下する。
【0038】7.金型から取り出された成形品の室温へ
の冷却時間も可及的速やかであるのがよく、成形品をフ
ァンで空冷したり液体窒素やドライアイスや水などの冷
媒中へ投入するとよい。冷却時間が長いと希土類ボンド
磁石用組成物およびボンド磁石の磁気特性、特に角型性
と保磁力が低下する。
【0039】8.熱硬化性樹脂を用い、成形後に樹脂の
硬化工程が必要な場合には、その温度は140℃以下、
望ましくは80℃以下とするのがよい。硬化温度が高い
ほど硬化時間は短縮できるが、140℃を超えると希土
類ボンド磁石用組成物およびボンド磁石の磁気特性、特
に角型性と保磁力が低下する。また硬化雰囲気を雰囲気
を例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスない
しは減圧真空などの非酸化性雰囲気とし、残留酸素濃度
を10体積%以下、望ましくは1体積%以下とすればよ
い。残留酸素濃度が10体積%を超えると希土類ボンド
磁石用組成物およびボンド磁石の磁気特性、特に角型性
と保磁力が低下する。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】純度99.9重量%、粒度150メッシュ
(タイラー標準、以下同じ)以下の電解Fe粉2.25
kgと、純度99重量%、平均粒度325メッシュの酸
化Sm粉末1.01kgと、純度99重量%の粒状金属
Ca 0.44kgと、無水塩化Ca粉末0.05kg
とを、Vブレンダーを用いて混合した。ここで得られた
混合物をステンレス容器に入れ、アルゴン雰囲気下11
50℃で8時間加熱し還元拡散反応させた。
【0042】次いで、反応生成物を冷却してから水中に
投入し崩壊させた。得られたスラリーを水洗し、更に酢
酸を用いて酸洗浄して未反応のCaと副生したCaOを
除去した。得られたスラリーを濾過しエタノールで置換
した後、真空乾燥して150μm以下のSm−Fe合金
粉末を約3kgを得た。
【0043】次いで、この粉末を管状炉中に装填し、ア
ンモニア分圧0.35のアンモニア−水素混合ガス雰囲
気中、465℃で6時間加熱(窒化処理)し、その後、
アルゴンガス中465℃で2時間加熱(アニール処理)
し、24.6重量%Sm−3.6重量%N−71.8重
量%FeのSm−Fe−N系磁性粉末を得た。
【0044】この磁性粉末をX線解析したところ、菱面
体晶系のTh2Zn17型結晶構造の回折線(Sm2Fe17
3金属間化合物)を示した。
【0045】次に、上記磁性粉末を以下の表1の条件で
微粉砕し、実施例1〜2、比較例および参考例1〜2
係る希土類ボンド磁石用磁性粉末を調製した。
【0046】
【表1】 これら実施例1〜2、比較例および参考例1〜2に係る
各希土類ボンド磁石用磁性粉末に、磁性粉末100重量
部に対して12−ポリアミド樹脂8重量部、エチレンビ
スステアリン酸アミド1重量部、パラフィンワックス1
重量部を混合し、ラボプラストミルにて混練した。混練
温度は220〜240℃、混練槽内の雰囲気は8体積%
2−N2、混練後に取り出した組成物の冷却は空冷とし
た。
【0047】得られた実施例1〜2、比較例および参考
例1〜2に係る各希土類ボンド磁石用組成物をプラスチ
ック粉砕機により粉砕し成形用ペレットとした。このペ
レットからφ20×13mmの円柱状ボンド磁石を13
mm方向に4kOeの配向磁場をかけながら射出成形し
て製造した。シリンダー温度は190〜250℃、金型
温度は110℃、射出成形機の原料ホッパー・シリンダ
ー内部の雰囲気は8体積%O2−N2、金型キャビティー
付近の雰囲気は大気、および取り出した成形品の冷却方
法は空冷とした。
【0048】得られた実施例1〜2、比較例および参考
例1〜2に係る各成形品(ボンド磁石)の端面を研磨し
た後、走査型電子顕微鏡で2000倍の写真を3視野ず
つ撮影した。次に、6μm間隔で複数本の直線を写真上
に引き、先に述べた方法で磁性粉末の粒子径を測定し
た。得られたデータから1μm以上のものを抽出し、そ
の粒子径の対数に対する個数基準粒度分布を求めた。抽
出した磁性粉末粒子数は200個以上である。このデー
タから、5.0μm、4.0μm、3.2μm以上の粒
子径を持つ磁性粉末の含有率を調べた。尚、図1〜図3
は、電子顕微鏡写真から求めた実施例1、比較例、実施
例2の個数基準の累積粒度分布を示す。
【0049】また、得られた実施例1〜2、比較例およ
び参考例1〜2に係る各ボンド磁石のHkと保磁力HcJ
を、13mm方向に50kOeのパルス磁場で着磁した
後、自記磁束計にて測定した。ここでHkは、残留磁束
密度Brの90%まで磁化Jが低下するときの減磁界
で、減磁曲線の角型性を表すものである。
【0050】これらの結果を表2に示す。
【0051】
【表2】 但し、表2中、含有率1は5.0μm以上の磁性粉末含
有率、含有率2は4.0μm以上の磁性粉末含有率、含
有率3は3.2μm以上の磁性粉末含有率をそれぞれ示
している。
【0052】次に、実施例1〜2、比較例および参考例
1〜2に係る各ボンド磁石をφ10×7mm(7mm方
向が配向方向)に加工し、配向方向に磁場50kOeで
着磁した後、50〜125℃の範囲の各温度に設定した
恒温槽内で1時間加熱した。室温での総磁束量を加熱前
後で測定しその差を加熱前の総磁束量で割ることにより
不可逆減磁率(初期減磁率)を評価した。総磁束量の測
定にはデジタルフラックスメーターを使用した。初期減
磁率の加熱温度依存性から5%の初期減磁が起こる温度
(耐熱温度と呼ぶ)を求め上記表2に示す。
【0053】『評価』 実施例1および2では、粒子径1.0μm以上の全磁性
粉末に対する粒子径5.0μm、4.0μm、3.2μ
m以上の全磁性粉末の含有率が、それぞれ個数基準で
2.5%、4.5%、10%以下の場合(請求項の条
件を全て具備する)であり、減磁曲線の角型性と保磁力
が向上し耐熱温度が100℃以上と最も優れていること
が確認できる。
【0054】また、参考例1では、粒子径5.0μm以
上の全磁性粉末の含有率が個数基準で2.5%以下の場
合(4.0μm以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で
5.2%、また、3.2μm以上の全磁性粉末の含有率
が個数基準で12%で請求項の条件をそれぞれ具備せ
ず)であり、耐熱温度が80℃を超えることが確認でき
る。
【0055】参考例2では、粒子径5.0μm、4.0
μm以上の全磁性粉末の含有率が、それぞれ個数基準で
2.5%、4.5%以下の場合(3.2μm以上の全磁
性粉末の含有率が個数基準で11%で請求項の条件を
具備せず)であり、耐熱温度が90℃以上であることが
確認できる。すなわち、実施例1、2よりは耐熱性が若
干劣るが、参考例1よりは優れていることが確認でき
る。
【0056】一方、比較例では、粒子径5.0μm、
4.0μm、3.2μm以上の全磁性粉末の含有率が、
それぞれ個数基準で2.5%、4.5%、10%を超え
る場合であり、耐熱温度が80℃に達していないことが
確認できる。
【0057】なお、当然のことながら、これらの各ボン
ド磁石に含まれる磁性粉末の粒度分布は成形前の各希土
類ボンド磁石用組成物でも全く同じである。
【0058】
【発明の効果】請求項1、に係る発明によれば、
粒子径1.0μm以上の全磁性粉末に対する粒子径5.
0μm以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で2.5%
以下であり、かつ、粒子径1.0μm以上の全磁性粉末
に対する粒子径4.0μm以上の全磁性粉末の含有率が
個数基準で0%を超え4.5%以下であると共に、粒子
径1.0μm以上の全磁性粉末に対する粒子径3.2μ
m以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で0%を超え1
0%以下に設定されているため、初期減磁率が5%にな
る温度が80℃を超え、耐熱性の極めて優れたR−Fe
−N系ボンド磁石(希土類ボンド磁石)用磁性粉末、希
土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石を提供
できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における1μm以上の粒子径
の対数に対する磁性粉末の個数基準の累積粒度分布を示
すグラフ図。
【図2】比較例における1μm以上の粒子径の対数に対
する磁性粉末の個数基準の累積粒度分布を示すグラフ
図。
【図3】本発明の実施例2における1μm以上の粒子径
の対数に対する磁性粉末の個数基準の累積粒度分布を示
すグラフ図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−308012(JP,A) 特開 平5−226132(JP,A) 特開 平10−41116(JP,A) 特開 平9−97732(JP,A) 特開 平7−302725(JP,A) 特開 平5−339683(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/00 - 1/117 B22F 1/00 C22C 38/00 303

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R(Rは希土類元素)と、FeまたはFe
    並びにCoと、Nを主構成成分としかつTh2Zn17
    結晶構造を有する希土類ボンド磁石用磁性粉末におい
    て、 粒子径1.0μm以上の全磁性粉末に対する粒子径5.
    0μm以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で2.5%
    以下であり、かつ、粒子径1.0μm以上の全磁性粉末
    に対する粒子径4.0μm以上の全磁性粉末の含有率が
    個数基準で0%を超え4.5%以下であると共に、粒子
    径1.0μm以上の全磁性粉末に対する粒子径3.2μ
    m以上の全磁性粉末の含有率が個数基準で0%を超え1
    0%以下であることを特徴とする希土類ボンド磁石用磁
    性粉末。
  2. 【請求項2】初期減磁率が5%になる加熱温度が80℃
    を越える耐熱性を具備する希土類ボンド磁石の製造に用
    いられる希土類ボンド磁石用組成物において、 上記請求項1記載の希土類ボンド磁石用磁性粉末と樹脂
    バインダーを主成分とすることを特徴とする希土類ボン
    ド磁石用組成物。
  3. 【請求項3】上記請求項記載の希土類ボンド磁石用組
    成物を磁石形状に成形して成りかつその初期減磁率が5
    %になる加熱温度が80℃を越える耐熱性を具備するこ
    とを特徴とする希土類ボンド磁石。
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