JP3473201B2 - 超伝導素子 - Google Patents

超伝導素子

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JP3473201B2 JP19635195A JP19635195A JP3473201B2 JP 3473201 B2 JP3473201 B2 JP 3473201B2 JP 19635195 A JP19635195 A JP 19635195A JP 19635195 A JP19635195 A JP 19635195A JP 3473201 B2 JP3473201 B2 JP 3473201B2
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明弘 小田川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導応用技術の超伝
導素子に関し、特に酸化物超伝導体を用いた超伝導素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、発見された酸化物超伝導体の中に
は、その超伝導臨界温度が液体窒素温度を超えるものが
あり、超伝導の応用分野を大きく広げることとなった。
【0003】その実用化の一つである超伝導素子につい
ては、酸化物超伝導体を二つに割り、再びわずかに接触
させたクラック型素子、また酸化物超伝導体を薄膜に
し、小さなくびれをつけたフ゛リッシ゛形素子や、2種類の基
体を接続した基板上に超伝導薄膜を形成したハ゛イクリスタル型
素子の様な平坦型薄膜素子、更に、酸化物超伝導薄膜の
上に絶縁体や半導体または金属などを積層し、その上に
酸化物超伝導体を積層させた積層接合型超伝導素子など
が従来試作されている。
【0004】従来試作されている素子において、クラッ
ク型素子や平坦型薄膜素子は薄膜形成時に生ずる粒界部
分を利用して接合を形成しているため、臨界電流密度な
どの重要な接合パラメータの再現性を得ることが困難で
あった。また、積層接合型超伝導素子は酸化物超伝導体
のStrauski-Krastanov的な成長モート゛に従った2次元成長
性を反映して、安定した積層界面が形成しやすいが、積
層方向のコヒーレンス長が短いため超伝導接合を形成す
るには、非常に薄い絶縁体層、半導体層、及び金属層を
形成する必要があるため、ピンホールなどの欠陥を排除
する事がが重大な課題の一つであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を解決するため、安定で良質な素子が再現性良
く得られる超伝導素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の超伝導素子は、所定角度傾斜した基板上に
形成された導電性を有する常伝導薄膜と、この上に形成
された酸化物超伝導薄膜で構成され、酸化物超伝導薄膜
を介して導電性を有する常伝導薄膜と金属電極間に電流
を印可して動作させる事を特徴とする。あるいは所定角
度傾斜した表面を有し導電性を有する基板とその表面上
に形成された酸化物超伝導薄膜、更にこの上に形成され
た金属電極により構成され、酸化物超伝導薄膜を介して
導電性を有する基板と金属電極間に電流を印可して動作
させる事を特徴とする。あるいは所定角度傾斜した表面
を有する基板上に形成された酸化物超伝導薄膜、さらに
この上に、間に少なくとも1つ以上の基板の段差を含む
ようにはなして形成した少なくとも2つ以上の金属電極
から構成され、基板の傾斜方向に電流を印可して動作さ
せる事を特徴とする。
【0007】前記本発明においては、傾斜基板の角度が
0.1〜6度であることが好ましい。
【0008】
【作用】前記本発明によれば、所定角度に傾斜した基板
を用いることにより、薄膜作製時の核形成を制御し、ス
ムーズな薄膜表面を実現できるため、ピンホールのない
積層接合素子を作製することができる。
【0009】また、用いる酸化物超伝導薄膜が、Bi2Sr2
Can-1CunOy (n=2,3)であるという本発明の好ましい構成
によれば、これらの物質のStrauski-Krastanov的な成長
モート゛に従った2次元成長性の強いことを反映して、粒径
が大きく、広範囲にスムーズな膜表面が実現できる。
【0010】更に、傾斜基板の角度が0.1〜6度であると
いう本発明の好ましい構成によれば、容易に薄膜作製時
の核形成を制御し、広範囲にスムーズな膜表面が実現で
きる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を用いて更に具体的に
説明する。
【0012】(実施例1) 最初にこの超伝導素子の製造方法を示す。まず、所定角
度傾斜させたSrTiO3(100)基板を基体として用い、RFマ
グネトロンスパッタ法によって酸化物超伝導薄膜、常伝
導薄膜を作製した。用いた傾斜基板の角度は0.1度(±
0.1度)、0.5度(±0.2度)、2度(±0.5度)、4度(±0.5
度)、6度(±0.5度)で、傾斜は基板の[110]方向に対して
ついている。図1は傾斜基板表面の概略図である。基板
表面にはテラス構造が存在している。01は傾斜の角度を
02はテラス構造を示している。これら基板の自乗平均粗
さは傾斜によるテラス部の表面において約0.24nmであっ
た。用いた酸化物超伝導体はBi2Sr2CaCu2Oy、常伝導体
はBi2Sr2CuOxである。図2は本実施例1で用いたRFマグ
ネトロンスパッタ装置内部の概観図である。図2におい
て11はBi2Sr2CaCu2Oyターゲット、12はBi2Sr2CuOxター
ゲット、13は基板、14はヒーターを内部に組み込んだ基
板ホルダーである。所定角度傾斜させたSrTiO3(100)基
板13は基板ホルダー14に銀ペーストで固定され、回転
し、各ターゲットに正対するように設置されている。基
板ホルダー14の回転をモーターで制御することにより、
基板13を11及び12のターゲット上に停止させることがで
きる。この機構を用いて、酸化物超伝導体Bi2Sr2CaCu2O
y、その上に常伝導体Bi2Sr2CuOxを、更にBi2Sr2CaCu2Oy
を積層した構造を作製することができる。これら薄膜の
作製雰囲気は、アルゴン・酸素(1:1)混合雰囲気40Pa
のガス中で行い、基板温度は700℃で、11、12の各ター
ゲットへの入力電力は50Wで行った。薄膜作製後は酸素
雰囲気中で冷却を行った。作製した薄膜のRHEEDハ゜ターンは
[-1-10]方向ではいずれも鋭いストリークが観察され、
[1-10]方向では基板の傾斜を反映した所定角度傾いたス
トリークが観測された。
【0013】作製したBi2Sr2CaCu2Oy薄膜の抵抗測定に
おける超伝導転移温度は85Kで超伝導転移を起こし、72K
で抵抗が零になるものであった。また、Bi2Sr2CuOx薄膜
だけでの抵抗測定においては、超伝導性を示さず、半導
体的な振る舞いを示した。
【0014】本実施例1の各傾斜基板上に成膜した下部
の超伝導薄膜成膜後、その上への常伝導薄膜成膜後、上
部の超伝導薄膜成膜後の原子間力顕微鏡(AFM)による
薄膜表面における1μm×1μmでの最大粗さ、平均粒径を
観察したところ、傾斜をつけていないjust(100)基板を
用いた場合は粒径のばらつきが大きく、上部の超伝導薄
膜の表面平坦性を表す最大粗さは、約10nmであったが、
傾斜基板を用いた場合は、積層接合素子作製に重要な表
面平坦性が向上することがわかった。また、0.5から4度
の間で表面粗さは最小値を持つことがわかった。このこ
とは、基板表面のテラス部端部から薄膜成長時の核生成
が起こっているためであると思われる。さらに、Bi2Sr2
Can-1CunOy (n=1,2,3)薄膜はab軸方向の拡散係数がc軸
方向に比べて極めて大きいため、粒径の大きな薄膜を成
長させやすく、本発明の3層構造を持つ積層接合素子に
適している。
【0015】積層接合素子作製には、ネガレシ゛ストを用い
たフォトリソグラフィー及びイオンミリングにより行っ
た。接合サイズは10μm×10μmである。これら素子の形
状は図3に示している。31はBi2Sr2CaCu2Oy薄膜を、32
はBi2Sr2CuOx薄膜を示している。図4は本発明の典型的
な電流ー電圧特性を示している。この特性はRSJモテ゛ルに
より精度良く整合できる。この接合にマイクロ波を照射
することにより、明瞭なシャピロステップが観測されて
おり、更に高パワーのマイクロ波照射により、臨界電流
を零に抑制することができることより、良質な超伝導接
合が形成されていることがわかる。各傾斜基板上に形成
した積層接合はいずれもシャピロステップが観測された
が、接合特性として重要なパラメータである臨界電流値
のばらつきを調べたところ、傾斜角度が2度から4度にか
けて最も小さかった。すなわち本実施例によれば、再現
性良く良質な積層超伝導接合を作製できるようになった
といえる。
【0016】(実施例2) 実施例1と同様、所定角度傾斜させたSrTiO(1
00)基板を基体として用い、RFマグネトロンスパッ
タ法によって酸化物超伝導薄膜、常伝導薄膜を作製し
た。用いた傾斜基板の角度は1.7度(±0.5度)
で、傾斜は基板の[110]方向に対してついている。
用いた酸化物超伝導体はBiSrCaCu
、常伝導体はBiSrNdCuであ
る。図5は本実施例2で用いたRFマグネトロンスパッ
タ装置内部の概観図である。図5において51はBi
ターゲット、52はSrCuOターゲット、53
はCaCuOターゲット、54はNdターゲッ
ト、55はシャッター、13は基板である。シャッター
55の回転をモーターで制御することにより、基板13
を51、52、53及び54のターゲットを選択するこ
とができる。この機構を用いて、酸化物超伝導体Bi
SrCaCu、その上に常伝導体BiSr
NdCuを、更にBiSrCaCu
を積層した構造を作製することができる。これら薄膜
の作製雰囲気は、アルゴン・酸素(5:1)混合雰囲気
3.5Paのガス中で行い、基板温度は640℃で、5
1、52、53、54の各ターゲットへの入力電力はそ
れぞれ10W、14W、85W、50Wで行った。薄膜
作製後は酸素雰囲気中で冷却を行った。作製した薄膜の
RHEEDパターンは[―1―10]方向ではいずれも
鋭いストリークが観察され、[1―10]方向では基板
の傾斜を反映した所定角度傾いたストリークが観測され
た。
【0017】作製したBi2Sr2CaCu2Oy薄膜の抵抗測定に
おける超伝導転移温度は110Kで超伝導転移を起こし、57
Kで抵抗が零になるものであった。また、Bi2Sr2NdCu2Ox
薄膜だけでの抵抗測定においては、超伝導性を示さず、
半導体的な振る舞いを示した。
【0018】本実施例2の傾斜基板上に成膜後のAFMに
よる薄膜表面における1μm×1μmでの最大粗さ、平均粒
径を観察したところ、傾斜をつけていないjust(100)基
板を用いた場合は粒径のばらつきが大きく表面平坦性を
表す最大粗さは、約22nmであったが、積層接合素子作製
に重要な表面平坦性は傾斜基板を用いることにより、向
上することがわかった。Bi2Sr2Can-1CunOy (n=1,2,3)薄
膜はab軸方向の拡散係数がc軸方向に比べて極めて大き
いため、粒径の大きな薄膜を成長させやすく、本発明の
3層構造を持つ積層接合素子に適している。
【0019】積層接合素子作製には、ネガレシ゛ストを用い
たフォトリソグラフィー及びイオンミリングにより行っ
た。接合サイズは5μm×10μmである。典型的な電流ー
電圧特性は図4同様、RSJモデルにより精度良く整合で
きる。この接合にマイクロ波を照射することにより、明
瞭なシャピロステップが観測されており、更に高パワー
のマイクロ波照射により、臨界電流を零に抑制すること
ができることより、良質な超伝導接合が形成されている
ことがわかる。本実施例によれば、再現性良く良質な積
層超伝導接合を作製できるようになったといえる。また
本実施例2では傾斜基板の角度の1.7度での詳細を示し
たが、0.1〜6度で同様に良好な超伝導素子を作成できる
ことが解った。
【0020】(実施例3) 所定角度傾斜させたSrTiO3(100)基板を基体として用
い、実施例1で用いたRFマグネトロンスパッタ法によっ
て酸化物超伝導薄膜、常伝導薄膜を作製した。用いた傾
斜基板の角度は0.1度で、傾斜は基板の[110]方向に対し
てついている。用いた酸化物超伝導体はBi2Sr2CaCu
2Oy、常伝導体はSr2CuO4である。Sr2RuO4はK2NiF4型の
ペロブスカイト構造を持ちBi2Sr2CaCu2Oyと格子整合性
が良い導電性物質で約1K以下で超伝導転移点を持ってお
り、基板SrTiO3との濡れ性に優れている。本実施例3で
は図2で用いた11はBi2Sr2CaCu2Oyターゲット、12はSr2
CuO4ターゲット、13は基板、14はヒーターを内部に組み
込んだ基板ホルダーである。これら薄膜の作製雰囲気
は、アルゴン・酸素(9:1)混合雰囲気5Paのガス中で
行い、基板温度は700℃で、11、12の各ターゲットへの
入力電力は40Wで行った。薄膜作製後は成膜時と同じ雰
囲気中で冷却を行った。この機構を用いて、酸化物導電
体Sr2RuO4、酸化物超伝導体Bi2Sr2Can-1CunOy (n=1,2,
3)薄膜を作製することができる。作製した薄膜のRHEEDハ
゜ターンは[-1-10]方向ではいずれも鋭いストリークが観察
され、[1-10]方向では基板の傾斜を反映した所定角度傾
いたストリークが観測された。
【0021】作製したSr2RuO4上のBi2Sr2CaCu2Oy薄膜の
抵抗測定における超伝導転移温度は85Kで超伝導転移を
起こし、65Kで抵抗が零になるものであった。本実施例
3の各傾斜基板上に成膜した超伝導薄膜成膜表面の原子
間力顕微鏡(AFM)による薄膜表面における1μm×1μm
での最大粗さを調べたところ、傾斜をつけていないjust
(100)基板を用いた場合は粒径のばらつきが大きく表面
平坦性を表す最大粗さは、約4nmであった。1μm×1μm
での最大粗さと基板傾斜角度との関係から0.5から4度の
傾斜基板を用いた場合、積層接合素子作製に重要な表面
平坦性が向上することがわかった。このことは、基板表
面のテラス部端部から薄膜成長時の核生成が起こってい
るためであると思われる。積層接合素子作製には、ネガ
レジストを用いたフォトリソグラフィー及びイオンミリ
ングにより行った。図6は本実施例3での素子の形状を
示している。接合サイズは2μm×4μmであり、傾斜基板
の平坦なテラス部上に形成した。13は基板を、61はBi2S
r2CaCu2Oy薄膜を、62はSr2RuO4薄膜を、63は金電極を示
している。Bi2Sr2CaCu2Oyのc軸方向を介したSr2RuO4
金電極間の電流ー電圧特性を観察したところ、超伝導素
子特性が観測された。更に零電圧近傍に電圧の飛びが観
測された。R.KleinerらはPhysical Review B (vol.49
p.1327-1341, 1994年)誌でBi2Sr2CaCu2Oy単結晶を用い
てのc軸方向の電流ー電圧特性に電圧の飛びが観測され
ることを報告している。このことより、Bi2Sr2CaCu2Oy
そのものが良質な超伝導接合であり、本実施例3は、傾
斜基板を用い、更に基板に濡れ性の良いSr2RuO4を用い
ることで、高品位なBi2Sr2CaCu2Oy薄膜作製を実現し、B
i2Sr2CaCu2Oyの良質な超伝導接合を提供できることがわ
かる。すなわち本実施例3によれば、再現性良く良質な
超伝導接合を作製できるようになったといえる。
【0022】また、本実施例ではSr2RuO4を用いた場合
の詳細を示したが、(Sr,Ca)RuO3あるいはドープ型SrTiO
3であるNb:SrTiO3(Nb:0.05%(Nbを0.05%ドープ))にお
いても同様に良好な超伝導素子を作製できることが解っ
た。
【0023】また本実施例3では傾斜基板の角度の0.1
度での詳細を示したが、0.1〜6度で同様に良好な超伝導
素子を作成できることが解った。
【0024】(実施例4) 所定角度傾斜させたSrTiO3(100)基板を基体として用
い、MBE(Molecular BeamEpitaxy)装置による反応性蒸着
法によって酸化物常伝導薄膜および酸化物超伝導薄膜を
作製した。用いた傾斜基板の角度は1.7度で、傾斜は基
板の[110]方向に対してついている。図7は本実施例4
で用いたMBE装置内部の概観図である。図7において71
はBiセル、72はSrセル、73はCaセル、74はCuセル、75は
ラジカル・ガン、76は仕切板、77はSiCヒーター、78は
基板ホルダー、79は膜厚モニター、13は基板である。所
定角度傾斜させたSrTiO3(100)基板13は基板ホルダー78
に固定されている。金属元素の蒸着はKnudsen cell(K-c
ell)71、72、73、74により、安定した蒸発が得られた。
反応ガスはラジカルガン65により、活性化したラジカル
を含む酸素を真空槽内に導入した。それぞれの蒸発源上
には蒸発量を計測するための水晶振動子による膜厚モニ
ター79を設置し、精度良い蒸発量制御を可能にした。こ
の機構を用いて、個々の元素を個別に蒸発させ、layer-
by-layer法によって原子層で制御した酸化物超伝導体Bi
2Sr2Can-1CunOy (n=1,2,3)薄膜を作製することができ
る。薄膜の作製条件は、酸素3×10-3Pa中で行い、最初
にSrTiO3(100)基板613上にSr2RuO4を、その上にBi2Sr2C
aCu2Oyを成膜した。基板温度は650℃で、各K-cell温度
は71が450℃、72が450℃、73が420℃、74が1100℃、ラ
ジカルガン75の高周波出力は250Wで行った。作製した薄
膜のRHEEDハ゜ターンは[-1-10]方向ではいずれも鋭いストリ
ークが観察され、[1-10]方向では基板の傾斜を反映した
所定角度傾いたストリークが観測された。
【0025】作製したBi2Sr2CaCu2Oy薄膜の抵抗測定に
おける超伝導転移温度は85Kで超伝導転移を起こし、65K
で抵抗が零になるものであった。図8は本実施例4での
ブリッジ型の素子の形状を示している。ブリッジサイズ
は20μm×3μmである。13は基板を、81はBi2Sr2CaCu2Oy
薄膜を、82は金電極を示しており、図8に示したように
ブリッジの長手方向がSrTiO3の(110)方向になるように
した。この構成により、ブリッジを介した電極間には少
なくとも1つ以上の基板段差を含むことになり、電極間
に印可した電流はBi2Sr2CaCu2Oyのc軸方向にも流れるこ
とになる。本実施例4の電流ー電圧特性を観察したとこ
ろ、超伝導素子特性が観測された。このことより、本実
施例4は、Bi2Sr2CaCu2Oy薄膜の接合が直列に連なった
ものを観測していると考えられる。このことは傾斜基板
を用いることにより、高品位なBi2Sr2CaCu2Oy薄膜作製
を実現し、Bi2Sr2CaCu2Oyの良質な超伝導接合を提供で
きることがわかる。すなわち本実施例4によれば、再現
性良く良質な超伝導接合を作製できるようになったとい
える。
【0026】また本実施例4では傾斜基板の角度の1.7
度での詳細を示したが、0.1〜6度で同様に良好な超伝導
素子を作成できることが解った。
【0027】(実施例5) 所定角度傾斜させたSrTiO3(100)基板を基体として用
い、実施例1で用いたRFマグネトロンスパッタ法によっ
て酸化物超伝導薄膜を作製した。用いた傾斜基板の角度
は1.7度で、傾斜は基板の[110]方向に対してついてい
る。用いた酸化物超伝導体は(Bi0.9Pb0.1)2Sr2Ca2Cu3Oy
である。これら薄膜の作製雰囲気は、実施例1と同様に
行った。成膜後、空気中850℃で焼鈍を行った。
【0028】抵抗測定における超伝導転移温度で110Kで
超伝導転移を起こし、59Kで抵抗が零になるものであっ
た。積層接合素子作製には、ネガレジストを用いたフォ
トリソグラフィー及びイオンミリングにより行った。素
子形状は図8と同じである。本実施例5の電流ー電圧特
性を観察したところ、超伝導素子特性が観測された。こ
のことより、本実施例5は、(Bi,Pb)2Sr2CaCu2Oy薄膜の
接合が直列に連なったものを観測していると考えられ
る。このことは傾斜基板を用いることにより、高品位な
(Bi,Pb)2Sr2CaCu2Oy薄膜作製を実現し、良質な超伝導接
合を提供できることがわかる。すなわち本実施例5によ
れば、再現性良く良質な超伝導接合を作製できるように
なったといえる。
【0029】また本実施例5では傾斜基板の角度の1.7
度での詳細を示したが、0.1〜6度で同様に良好な超伝導
素子を作成できることが解った。
【0030】また、以上の本実施例ではSrTiO3(100)の
傾斜基板を用いた場合の詳細を示したが、(表1)に示
すように、SrTiO3同様、Bi2Sr2Can-1CunOy (n=1,2,3)と
の格子整合性の良く、YAlO3(100)やLaAlO3(100)、LaGaO
3(001)、NdGaO3(001)、MgO(100)においても同様に良好
な超伝導素子を作製できることが解った。
【0031】
【表1】
【0032】以上、説明した本実施例によれば本発明の
超伝導素子は、酸化物超伝導薄膜として大変にスムーズ
な膜表面を実現するだけでなく、それを利用した超伝導
素子を再現性良く作製することができ、素子の集積化や
超伝導論理回路として利用できる。
【0033】これらの点において本実施例の超伝導素子
は、計算機応用、電子機器応用等に対する実用的効果は
大である。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の超伝導
素子によれば、接合パラメータとして重要な臨界電流密
度を再現性良く制御できる超伝導素子を容易に作製でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜基板表面の概略図
【図2】本実施例1で用いたRFマグネトロンスパッタ装
置内部の概観図
【図3】本実施例1の積層接合素子の外観図
【図4】本実施例の典型的な電流ー電圧特性を示す図
【図5】本実施例2で用いたRFマグネトロンスパッタ装
置内部の概観図
【図6】本実施例3の積層接合素子の外観図
【図7】本実施例3で用いたMBE装置内部の概観図
【図8】本実施例4でのブリッジ型の素子の形状を示す
【符号の説明】
01 傾斜基板の角度 02 傾斜基板のテラス構造 11 Bi2Sr2CaCu2Oyターゲット 12 Bi2Sr2CuOxターゲット 13 基板 14 ヒーターを内部に組み込んだ基板ホルダー 31 Bi2Sr2CaCu2Oy薄膜 32 Bi2Sr2CuOx薄膜 33 金電極 34 CaF2膜 51 Bi2O3 52 SrCuOx 53 CaCuOy 54 Nd2O3 55 シャッター 61 Bi2Sr2CaCu2Oy薄膜 62 Sr2RuO4薄膜 63 金電極 64 CaF2膜 71 Biセル 72 Srセル 73 Caセル 74 Cuセル 75 ラジカル・ガン 76 仕切板 77 SiCヒーター 78 基板ホルダー 79 膜厚モニター 81 Bi2Sr2CaCu2Oy薄膜 82 金電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−196762(JP,A) 特開 平6−260693(JP,A) 特開 平6−5940(JP,A) 特開 平4−332180(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/00 - 39/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板結晶軸に対して、0.1〜6度の範
    囲の傾斜角度を有する基板表面上に形成された導電性を
    有する常伝導薄膜と前記常伝導薄膜上に形成された酸化
    物超伝導薄膜、さらに前記酸化物超伝導薄膜上に形成さ
    れた金属電極から構成され、前記酸化物超伝導薄膜を介
    して導電性を有する前記常伝導薄膜と前記金属電極間に
    電流を印可して動作させるとともに、前記常伝導薄膜が
    SrRuO、あるいは(Sr,Ca)RuO、あ
    るいはNb:SrTiOであることを特徴とする超伝
    導素子。
  2. 【請求項2】 前記酸化物超伝導薄膜がBiSr
    n―1Cu(n=1.2.3・・)あることを
    特徴とする請求項1に記載の超伝導素子。
  3. 【請求項3】 前記基板がMgO、SrTiOあるい
    はYAlO、LaAlO、LaGaO、NdGa
    であることを特徴とする請求項2記載の超伝導素
    子。
  4. 【請求項4】 基板結晶軸に対して、0.1〜6度の範
    囲の傾斜角度を有し、かつ導電性を有する基板と前記基
    板表面上に形成された酸化物超伝導薄膜、更に前記酸化
    物超伝導薄膜上に形成された金属電極により構成され、
    前記酸化物超伝導薄膜を介して導電性を有する前記基板
    と前記金属電極間に電流を印可して動作させるとととも
    に、前記基板がドープ型SrTiOであるNb:Sr
    TiOであることを特徴とする超伝導素子。
  5. 【請求項5】 前記酸化物超伝導薄膜がBiSr
    n―1Cu(n=1.2.3・・)あることを
    特徴とする請求項4に記載の超伝導素子。
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