JP3453482B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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JP3453482B2
JP3453482B2 JP26837296A JP26837296A JP3453482B2 JP 3453482 B2 JP3453482 B2 JP 3453482B2 JP 26837296 A JP26837296 A JP 26837296A JP 26837296 A JP26837296 A JP 26837296A JP 3453482 B2 JP3453482 B2 JP 3453482B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法,静電
記録法,静電印刷法の如き画像形成方法に用いられる静
電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法としては米国特許第
2,297,691号明細書、特公昭42−23910
号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されて
いる如く多数の方法が知られている。一般には光導電性
物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像
を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要
に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加
熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナ
ー画像を得るものである。
【0003】上述の最終工程であるトナー像を紙の如き
シートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発
されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラーによ
る圧着加熱方式である。
【0004】加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナ
ーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と被定着シー
トのトナー像面を加圧下で接触しながら被定着シートを
通過せしめることによりトナー像の定着を行なうもので
ある。この方法は熱ローラーの表面と被定着シート上の
トナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着
シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅
速に定着を行うことができる。
【0005】しかし、複写機やプリンターの機種によっ
てそれぞれ異ったトナーが用いられているのが現状であ
る。これは、主に定着速度及び定着温度の違いによるも
のである。加熱ローラー表面とトナー像とが溶融状態,
加圧下で接触する為に、トナー像の一部が定着ローラー
表面に付着・転移し、次の被定着シートにこれが再転移
し、被定着シートを汚す、いわゆるオフセット現象が定
着速度・温度の影響を大きく受ける為である。一般に定
着速度が遅い場合は、加熱ローラー表面温度は低く、定
着速度が速い場合は、加熱ローラー表面温度は高く設定
されている。これは、トナーを定着させる為に加熱ロー
ラーがトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一
定にすることによるものである。
【0006】しかし、被定着シート上のトナーは、何層
かのトナー層を形成している為、特に定着速度が速く、
加熱ローラー温度の高い系においては、加熱ローラーに
接触するトナー層と、被定着シートに接触している最下
層のトナー層の温度差が、非常に大となる為に、加熱ロ
ーラー温度が高い場合には、最上層のトナーがオフセッ
ト現象を起こし、加熱ローラー温度が低い場合は、最下
層のトナーは十分に溶けない為に、被定着シートにトナ
ーが定着せず低温オフセットという現象が起きる。
【0007】この問題を解決する方法として、定着速度
が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートへ
のトナーのアンカーリングをさせる方法が、通常行われ
ている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下
げることができ、最上層トナーの高温オフセット現象を
防ぐことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断
力が非常に大となる為に、被定着シートが定着ローラー
に巻きつく、いわゆる巻きつきオフセットや、定着ロー
ラーから被定着シートを分離する部材の分離あとが画像
に出現したり、さらには、圧力が高いがゆえに、定着時
にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛びちった
りしてコピー画像の画質劣化を生じ易い。
【0008】従って、高速定着では、一般的には、低速
定着の場合より溶融粘度の低いトナーを用い、加熱ロー
ラー温度,定着圧力を下げることにより、高温オフセッ
トや巻きつきオフセットを防止しつつ、定着させてい
る。しかし、この様な溶融粘度の低いトナーを低速定着
に用いると、低粘度がゆえに、高温でオフセット現象が
発生する。
【0009】即ち、定着において、低速から高速まで適
用できる定着温度領域の広い、耐オフセット性にすぐれ
たトナーがないのが現状である。
【0010】また、トナーの小粒径化により、画像の解
像力や鮮映度を上げることはできても種々の問題が生じ
てくる。
【0011】先ず第一に根トナーの小粒径化により、ハ
ーフトーン部の定着性が悪くなる。この現象は特に高速
定着において、顕著である。これは、ハーフトーン部分
のトナーののり量が少なく、被定着シートの凹部に転写
されたトナーは、加熱ローラーから与えられる熱量が極
めて少なく、さらに定着圧力も、被定着シートの凸部に
よって抑制される為に悪くなるからである。また、ハー
フトーン部分で被定着シートの凸部に転写されたトナー
は、トナー層厚が薄い為に、トナー粒子1個当りにかか
るせん断力はトナー層厚の厚いベタ黒部分に比べ非常に
大きいものとなり、オフセット現象が発生したり、低画
質のコピー画像となる。
【0012】さらに、カブリの問題である。トナー粒子
径を小さくすることにより、トナーの表面積が増え、従
って帯電量分布の幅が大きくなり、カブリを生じ易くな
る。また、トナー表面積が増えることにより、トナーの
帯電特性が、より環境の影響を受け易くなる。
【0013】また、トナー粒子径を小さくすると、ワッ
クスや着色剤の分散状態がトナーの帯電性に大きく影響
を及ぼすことは明白である。
【0014】この様な小粒径トナーではワックスの分散
が不良となりやすく、感光ドラム上に現像された際にド
ラム上に付着し、クリーニング不良の原因となりやす
い。また、感光ドラム表面に傷をつけ、フィルミング等
を生じることがある。
【0015】この様な小粒径トナーを高速複写機に適用
すると、低湿下では特に帯電過剰となり、カブリや濃度
低下を生じることがある。
【0016】また、複写機の多機能化においては、例え
ば、画像の一部を露光等によって消しておき、次いでそ
の部分に別の画像を挿入するような多重多色コピーを行
なったり、複写紙の周辺を枠ぬきするような機能におい
ては、画像上の白く抜いておくべき部分にカブリが生じ
る。
【0017】すなわち、現像基準電位に対して、潜像電
位と反極性の電位をLEDやヒューズランプ等の強い光
で与え画像を消去すると、その部分にカブリが発生する
傾向が高まるという問題が生じる。
【0018】特公平2−48112号公報には、特定の
数平均分子量を有する飽和ポリエステル樹脂とイソシア
ネート化合物を反応させて得られるウレタン変性ポリエ
ステル樹脂が開示されているが、生成するウレタン変性
ポリエステル樹脂の平均分子量は小さく、分子量分布が
狭いために定着性は改善される可能性があるものの、耐
ホットオフセット性は充分ではなく改善が求められてい
る。
【0019】また、特開平2−256066号公報に、
ゲル分を2〜75重量%含有するウレタン変性ポリエス
テル樹脂を結着樹脂として用いる電子写真用トナーが開
示されている。この場合には耐ホットオフセット性は実
用的に問題のないレベルにあるものの低温定着性に関し
ては未だ不充分であり改善が求められている。
【0020】また、特開平1−154068号公報に
は、ウレタン変性ポリエステルを結着樹脂として使用す
るとともにポリプロピレン系ワックスとビスアミド系ワ
ックスを含有するトナーが開示されている。このトナー
の場合には、使用されている2種のワックスの融点が高
く、しかもその温度差が小さいために耐ブロッキング性
及び耐ホットオフセット性はともに実用上問題ないレベ
ルではあるが、低温定着性は不充分であり、トナーとし
てもワックスの均一分散の観点からは未だ不充分であ
り、依然として低温定着性と耐オフセット性の両立とい
う問題点は解決されていない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の如き問題点を解決した静電荷像現像用トナーを提供す
るものである。
【0022】本発明の目的は、低速から高速複写機に至
るまで、定着性が良好であり、かつ耐オフセット性,耐
ブロッキング性,流動性にすぐれた静電荷像現像用トナ
ーを提供するものである。
【0023】本発明の目的は、低速から高速複写機に至
るまで、小粒径化してもハーフトーン部分においてすぐ
れた定着性を示し、かつ、良画質のコピー画像を得るこ
とのできる静電荷像現像用トナーを提供するものであ
る。
【0024】本発明の目的は、結着樹脂に対して良好な
分散性を示し、ワックスが遊離することがなく感光ドラ
ムに傷をつけることがなく、クリーニング性の良好な静
電荷像現像用トナーを提供するものである。
【0025】本発明の目的は、低速から高速複写機に至
るまで、カブリがなく、高濃度のコピー画像が得られる
静電荷像現像用トナーを提供するものである。
【0026】本発明の目的は、環境変動に影響されるこ
ともなく、低湿下及び高湿下においても良好な画像を与
える静電荷像現像用トナーを提供するものである。
【0027】本発明の目的は、高速機においても安定し
て良好な画像を与え、適用機種の範囲の広い静電荷像現
像用トナーを提供するものである。
【0028】本発明の目的は、耐久性に優れ、長時間の
連続使用にあっても画像濃度が高く、白地カブリのな
い、コピー画像が得られる静電荷像現像用トナーを提供
するものである。
【0029】本発明の目的は文字入り写真画像において
は、そのコピー画像の文字が鮮明で、かつ写真画像は原
稿に忠実な濃度階調性が得られる静電荷像現像用トナー
を提供するものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融混練工
程、粉砕工程を経て製造されたトナーであり、結着樹
脂,着色剤及びワックスを含有するトナーであって、
該結着樹脂がポリエステル樹脂とイソシアネート化合物
の反応生成物であるウレタン変性ポリエステル樹脂であ
り、変性前のポリエステル樹脂が、アルコールとして
ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(EO−B
PA)及びビスフェノールAのプロピレンオキシド付加
物(PO−BPA)を用い、それらをモル比率で、EO
−BPA/PO−BPA=0.01〜10の割合で用い
て合成されたポリエステル樹脂であり、該トナーがテ
トラヒドロフラン(THF)不溶分を全結着樹脂に対し
0.01〜10重量%含有し、かつ該トナーのTHF
可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GP
C)により測定される分子量分布において、分子量10
00〜2万の領域にメインピーク(Mp)を有し、分子
量10万以上の領域にサブピーク及び/またはショルダ
ーを有しており、Z平均分子量(Mz)と重量平均分
子量(Mw)との比であるMz/Mwが100以上とな
ることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0031】本発明者の検討によれば、ウレタン変性ポ
リエステル樹脂を結着樹脂として用いるトナーにおい
て、低温定着性,耐ホットオフセット性及び耐ブロッキ
ング性という相反する特性を満足するトナーを得るため
には、従来から知られている結着樹脂のゲル分を制御す
るだけでは不充分である。
【0032】すなわち、結着樹脂に含有されるゲル分が
多くなれば耐ホットオフセット性を改善することは可能
であるが、低温定着性は明らかに劣ることになり、ゲル
分が少なくなれば低温定着性は改善される可能性がある
ものの耐ホットオフセット性は明らかに劣るものであ
る。
【0033】また、低温定着性と耐ホットオフセット性
を同時に満足するトナーを得るために、結着樹脂に含有
されるゲル分を規定するだけでは不充分であるのは、ト
ナーを製造するにあたっての混練工程で結着樹脂は機械
的な剪断力を受け高分子鎖の切断が生じ、これはゲル分
を構成する高分子鎖においても同様であるからである。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明のトナーは、少なくともウ
レタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有し、
しかも該トナーがテトラヒドロフラン(THF)不溶分
を全結着樹脂に対して10重量%以下含有し、かつ該ト
ナーのTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ(GPC)により測定される分子量分布におい
て、分子量1000〜2万の領域にメインピーク(M
p)を有し、分子量10万以上の領域にサブピーク及び
/またはショルダーを有しており、かつZ平均分子量
(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比であるMz/
Mwが100以上となるものである。
【0035】本発明のトナーは、THF不溶分を0.0
1〜10重量%含有するものであるが、好ましくは0.
05〜5重量%含有するものであり、更に好ましくは
0.1〜2重量%含有する場合である。もし、トナーの
THF不溶分が10重量%を超える場合には耐ホットオ
フセット性は改善される可能性があるものの、低温定着
性を満足することができず好ましくない。また、0.0
1重量%未満となる場合には耐ホットオフセット性が改
善されず好ましくない。
【0036】また、トナーのTHF可溶分のGPCによ
り測定される分子量分布において、分子量1000〜2
万の領域にメインピークを有し、分子量10万以上の領
域にサブピーク及び/またはショルダーを有するもので
ある。メインピークは分子量1000〜2万の領域にあ
ればよいが、好ましくは3000〜15000の領域に
あることが良く、更に好ましくは5000〜1万の領域
にあることが良い。メインピークとなる分子量が100
0未満となる場合には耐ホットオフセット性が損なわ
れ、2万を超える場合には低温定着性が損なわれ好まし
くない。
【0037】また、サブピーク及び/またはショルダー
は分子量10万以上の領域にあればよいが、好ましくは
分子量15万以上の領域にあることが良く、更に好まし
くは分子量20万以上の領域にあることが良い。10万
以上の分子量域にサブピーク及び/またはショルダーを
持たない場合には耐ホットオフセット性が著しく損なわ
れ好ましくない。
【0038】また、トナーのTHF可溶分のMz/Mw
は100以上であればよいが、好ましくは100〜20
00となる場合であり、更に好ましくは120〜150
0となる場合である。もし、Mz/Mwが100未満と
なる場合には耐ホットオフセット性が不充分となる場合
があり、2000を超える場合には低温定着性が損なわ
れる場合があり好ましくない。
【0039】本発明のトナーにおいて、Mzは50万〜
10億であればよいが、好ましくは80万〜7億となる
場合であり、更に好ましくは100万〜5億となる場合
である。もし、Mzが50万未満となる場合には耐ホッ
トオフセット性が著しく悪化し、Mzが10億を超える
場合にはトナーを生産するにあたっての粉砕効率の低下
が懸念され好ましくない。
【0040】また、Mwは5000〜1000万であれ
ばよいが、好ましくは1万〜700万となる場合であ
り、更に好ましくは5万〜500万となる場合である。
もし、Mwが5000未満となる場合には耐ホットオフ
セット性の悪化が懸念され、Mwが1000万を超える
場合には低温定着性を阻害する可能性があり好ましくな
い。
【0041】Mnは1000〜20万であればよいが、
好ましくは1500〜15万となる場合であり、更に好
ましくは2000〜10万となる場合である。もし、M
nが1000未満となる場合には、耐ブロッキング性の
悪化が懸念され、Mnが20万を超える場合には低温定
着性の悪化が懸念される。
【0042】Mw/Mnは5〜1000であればよい
が、好ましくは7〜700となる場合であり、更に好ま
しくは10〜500となる場合である。もし、Mw/M
nが5未満となる場合には耐ホットオフセット性が損な
われ、Mw/Mnが1000を超える場合には低温定着
性が損なわれる可能性があり好ましくない。
【0043】また、GPCにより測定される分子量分布
において、分子量10万以上となる成分を5〜30%含
有し、かつ分子量100万以上となる成分を1〜15%
含有すればよいが、好ましくは分子量10万以上の成分
を6〜25%含有し、かつ分子量100万以上の成分を
1.5〜10%含有する場合であり、更に好ましくは分
子量10万以上の成分を8〜20%含有し、かつ分子量
100万以上の成分を2〜8%含有する場合である。
【0044】分子量10万以上の成分が5%未満となる
場合には耐ホットオフセット性が著しく悪化し、分子量
10万以上の成分が30%を超え、かつ分子量100万
以上の成分が15%を超える場合には低温定着性が損な
われ好ましくない。
【0045】本発明のトナーにおいて好ましく用いられ
るワックスは、相対的に融点の低い低融点成分及び相対
的に融点の高い高融点成分からなり、低融点成分は60
〜100℃の融点であればよく、好ましくは62〜95
℃となる場合であり、更に好ましくは65〜90℃とな
る場合である。高融点成分は80〜140℃の融点であ
ればよく、好ましくは82〜135℃となる場合であ
り、更に好ましくは85〜130℃となる場合である。
【0046】もし、低融点成分の融点が60℃未満とな
る場合には耐ブロッキング性が不良となり、高融点成分
の融点が140℃を超える場合には低温定着を達成する
ことが困難となる。
【0047】本発明のトナーに用いられるワックスにお
いて、低融点成分と高融点成分の使用比率は重量比で1
/19〜9/1であればよいが、好ましくは1/9〜8
/1となる場合であり、更に好ましくは1/7〜7/1
となる場合である。もし、低融点成分の使用比率が1/
19より少ない場合には低温定着性を達成することが困
難となり、9/1より多くなる場合には耐ブロッキング
性,耐オフセット性ともに不良となる場合があり好まし
くない。また、一般的に2種のワックスの使用比率が1
/19〜9/1よりはずれる場合には結着樹脂に対して
ワックスを均一分散することが困難となり、ワックスの
遊離を生じ、好ましくない。また、低融点ワックス及び
高融点ワックス以外に他の第3ワックス成分を低温定着
性,耐ブロッキング性及び耐オフセット性の微妙な調整
のために1種以上含有させることができ、含有量は全ワ
ックス量に対して20重量%以下であり、融点は60〜
140℃であればよい。
【0048】本発明のトナーにおいて、ワックスは結着
樹脂100重量部に対して1〜20重量部含有させるこ
とができ、好ましくは2〜17重量部含有することがで
き、更に好ましくは3〜15重量部含有する場合であ
る。もし、含有量が1重量部未満となる場合には低温定
着性を達成することが困難であり、20重量部を超える
場合には耐ブロッキング性,耐オフセット性ともに不良
となり、ワックスの均一分散も困難となりワックスの遊
離が生じ好ましくない。
【0049】本発明のトナーにおいて、ワックスは種々
の方法により添加することができる。一般的には粉砕し
た個々のワックスを結着樹脂,磁性体等とヘンシェルミ
キサー等で撹拌混合したのちに溶融混練することにより
添加されるが、好ましくは、ワックスの低融点成分,高
融点成分及び必要に応じて第3のワックス成分をあらか
じめ溶融混合して均一なワックス成分として使用するこ
とである。また、他の好ましいワックスの添加方法とし
ては結着樹脂を有機溶剤に加熱溶解し、その後ワックス
を添加し、溶剤を蒸発乾固する方法があり、また、有機
溶剤を用いずに結着樹脂を加熱溶融しワックスを添加す
る方法がある。これらの方法によりワックスを結着樹脂
中に添加する場合には、ワックスはあらかじめ低融点成
分,高融点成分及び必要に応じて第3のワックス成分を
溶融混合したものを使用することができる。また、他の
好ましいワックスの添加方法は結着樹脂の合成工程でワ
ックスを添加することであり、この場合でもワックスは
あらかじめ溶融混合し成分を調整したものを用いること
ができる。また、他の好ましいワックスの添加方法とし
ては、低融点ワックスのみを結着樹脂にあらかじめ添加
することであり、具体的には結着樹脂のみを加熱溶融し
添加する方法、結着樹脂を有機溶剤に加熱溶解し添加
後、有機溶剤を蒸発乾固する方法及び結着樹脂の合成工
程で添加する方法である。また、この場合には、高融点
ワックスは低融点ワックスを含有する結着樹脂,磁性体
等とヘンシェルミキサー等で撹拌混合したのちに溶融混
練することによりトナーに添加される。
【0050】本発明のトナーに含有されるワックスは、
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイ
クロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの
脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワ
ックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、また
は、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サ
ゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂
肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カル
ナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部
を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖の
アルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの、
飽和直鎖脂肪酸類、ブランジン酸、エレオステアリン
酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリンア
ルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコー
ル、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリ
シルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有す
る長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類、
ソルビトールなどの多価アルコール類、ステアリン酸カ
ルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に
金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水
素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モ
ノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベ
ヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコール
の部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加など
によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステ
ル化合物などが挙げられる。
【0051】本発明において、好ましく用いられる低融
点ワックス成分としては分岐の少ない長鎖アルキル基を
有する炭化水素からなり、具体的には例えばアルキレン
を高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触
媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量
のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレン
ポリマー、一酸化炭素、水素からなる合成ガスからアー
ゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいは
これらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワッ
クスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の
利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行
ったものがより好ましく用いられる。母体としての炭化
水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)
を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成され
るもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触
媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得ら
れるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる。
【0052】本発明において好ましく用いられる高融点
ワックス成分としては分岐の少ない長鎖アルキル基を有
する炭化水素からなり、具体的には、例えばアルキレン
を高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触
媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量
のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレン
ポリマー、一酸化炭素、水素からなる合成ガスからアー
ゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいは
これらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワッ
クスがよい。
【0053】本発明のトナーにおいて好ましく用いられ
るワックスとしては、下記式(1)で示される化学構造
を有する置換アルキルワックスである。
【0054】R−Y (1) [R:ゲルパーミエーションクロマトグラフによる重量
平均分子量が3000以下の炭化水素基を示す。 Y:水酸基,カルボキシル基,アルキルエーテル基,エ
ステル基,スルホニル基を示す。]
【0055】具体的な化合物としては、 (A)CH3(CH2nCH2OH(n=約20〜約20
0) (B)CH3(CH2nCH2COOH(n=約20〜約
200) (C)CH3(CH2nCH2OCH2(CH2mCH
3(n=約20〜約200,m=0〜約100) (D)CH3(CH2nCH2COO(CH2mCH
3(n=約20〜約200,m=0〜約100) (E)CH3(CH2nCH2OSO3H(n=約20〜
約200) 等を挙げることができる。これらの化合物は、(A)化
合物の誘導体であり、主鎖は直鎖状の飽和炭化水素であ
る。化合物(A)から誘導される化合物であれば上記の
例に示した以外のものでも使用できる。
【0056】本発明において好ましく用いられる低融点
ワックスと高融点ワックスの組合せとしては、例えば以
下に挙げる組合せがある。
【0057】(1)低融点炭化水素ワックスと高融点炭
化水素ワックスの組合せ:低融点炭化水素ワックスは分
岐の少ない長鎖アルキル基であり、融点70〜90℃、
重量平均分子量400〜700、Mw/Mn=1.5〜
2前後となるものである。
【0058】高融点炭化水素ワックスは分岐の少ない長
鎖アルキル基であり、融点95〜130℃、重量平均分
子量800〜2500、Mw/Mn=2〜2.5前後と
なるものである。
【0059】(2)低融点炭化水素ワックスと高融点置
換アルキル系ワックスの組合せ:低融点ワックスは上記
(1)で示した低融点炭化水素系ワックスと同様のもの
を使用する。
【0060】高融点置換アルキル系ワックスは分岐の少
ない長鎖アルキル基を有し、置換基を有するアルキル基
が全ワックス中の50重量%以上含有される。融点95
〜130℃、重量平均分子量800〜5000、Mw/
Mn=1.5〜2.5前後となるものである。
【0061】(3)低融点置換アルキル系ワックスと高
融点炭化水素ワックスの組合せ:低融点置換アルキル系
ワックスは分岐の少ない長鎖アルキル基を有し、置換基
を有するアルキル基が全ワックス中の40重量%以上含
有される。融点は70〜90℃、重量平均分子量400
〜700、Mw/Mn=2前後となるものである。
【0062】高融点炭化水素ワックスは前記(1)で示
した高融点炭化水素ワックスと同様のものを使用でき
る。
【0063】(4)低融点置換アルキル系ワックスと高
融点置換アルキル系ワックスの組合せ:低融点置換アル
キル系ワックスは上記(3)で示した低融点アルキル系
ワックスと同様のものを使用できる。
【0064】高融点置換アルキル系ワックスは前記
(2)で示した高融点置換アルキル系ワックスと同様の
ものを使用できる。
【0065】本発明において、ウレタン変性ポリエステ
ル樹脂は全結着樹脂に対して3〜70重量%含有されて
おればよく、好ましくは5〜60重量%含有される場合
であり、更に好ましくは7〜50重量%含有される場合
である。
【0066】もし、ウレタン変性ポリエステル樹脂の含
有量が3重量%未満となる場合には、トナーに使用した
場合にたとえ本発明に係るワックスを用いたとしても耐
オフセット性が著しく悪化する場合があり好ましくな
い。また、同様にしてウレタン変性ポリエステル樹脂の
含有量が70重量%を超える場合には、トナーに使用し
た場合に低温定着性が損なわれる可能性があり、更には
画像を形成した場合に画像濃度の低下等をきたす場合も
あり好ましくない。
【0067】本発明において、イソシアネート化合物と
反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂とするポリエ
ステル樹脂(以下、ポリエステル(R)と称す)に用い
られるアルコール成分としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオー
ル、水素化ビスフェノールA、また(イ)式で表わされ
るビスフェノール誘導体;
【0068】
【化1】
【0069】また(ロ)式で示されるジオール類;
【0070】
【化2】 挙げられる。
【0071】また、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソ
ルビット、ソルビタン、さらには、例えばノボラック型
フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き3官
能以上のアルコール類を用いることができる。
【0072】また、2官能のカルボン酸としてはフタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如き
ベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジ
カルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜1
8のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水
;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン
の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられ
る。
【0073】また、3官能以上のカルボン酸としてはト
リメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸やその無水物の如き多価カルボン酸類が挙げ
られる。
【0074】本発明の実施上特に好ましいポリエステル
(R)のアルコール成分としては、前記(イ)式で示さ
れるビスフェノール誘導体であり、全アルコール成分の
70モル%以上含有されるものである。酸成分として
は、フタル酸またはその酸水物、テレフタル酸、イソフ
タル酸、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸またはその
酸無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如
ジカルボン酸類が挙げられる。
【0075】また、前記(イ)式で示されるビスフェノ
ール誘導体であるエチレンオキシド付加体(以下、EO
−BPAと称す)及びプロピレンオキシド付加体(以
下、PO−BPAと称す)を併せて用いることが好まし
く、その含有比率はモル比率で表わすならば、EO−B
PA/PO−BPA=0.01〜10であればよいが、
好ましくは0.05〜5となる場合であり、更に好まし
くは0.1〜3となる場合である。
【0076】もし、EO−BPA/PO−BPAのモル
比率が0.01未満となる場合にはポリエステル(R)
の分子量が充分に大きくならず好ましくないし、また1
0を超える場合には生成するポリエステルの成長反応を
制御するのが困難となり、Tgも同時に低くなりすぎ好
ましくない。
【0077】ポリエステル(R)において3官能以上の
アルコールは全アルコール成分の1〜10モル%含有さ
れていればよく、好ましくは2〜8モル%含有される場
合であり、更に好ましくは3〜6モル%含有される場合
である。もし、1モル%未満となる場合にはウレタン変
性ポリエステルとしてトナーに用いた際に耐ホットオフ
セット性が著しく悪化する可能性があり好ましくない。
また、10モル%を超える場合には同様にして低温定着
性が損なわれる可能性があり好ましくない。
【0078】また、3官能以上のカルボル酸は全カルボ
ン酸成分も同様にして0.5〜10モル%含有されてい
ればよく、好ましくは1〜7モル%含有されていればよ
く、更に好ましくは1.5〜5モル%含有される場合で
ある。
【0079】ポリエステル(R)の酸価は20mgKO
H/g以下であり、水酸基価は10〜80mgKOH/
gであればよく、好ましくは酸価が10mgKOH/g
以下、水酸基価が20〜70mgKOH/gとなる場合
であり、更に好ましくは酸価が5mgKOH/g以下と
なり、水酸基価が30〜60mgKOH/gとなる場合
である。
【0080】もし、酸価が20mgKOH/gを超える
場合には、ウレタン変性ポリエステル樹脂とした際にイ
ソシアネート化合物とカルボキシル基との副反応が生じ
好ましくない。また水酸基価が10mgKOH/g未満
となる場合には、イソシアネート化合物との反応効率が
低く耐ホットオフセット性が不良となりやすく好ましく
ない。水酸基価が80mgKOH/gを超える場合に
は、イソシアネート化合物との反応を制御することが困
難となり好ましくない。
【0081】ポリエステル(R)と反応させることがで
きるイソシアネート化合物としては、例えばトレリンジ
イソシアネート(以下、TDIと称す)、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと称
す)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシ
リレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0082】ポリエステル(R)のガラス転移温度(以
下、Tgと称す)は20〜80℃であればよく、好まし
くは25〜70℃となる場合であり、更に好ましくは3
0〜65℃となる場合である。もし、Tgが20℃未満
となる場合には耐ブロッキング性が著しく悪化し、Tg
が80℃を超える場合には低温定着性が悪化し好ましく
ない。
【0083】また、ポリエステル(R)のTHF可溶分
を用いて測定されるゲルパーミエーションクロマトグラ
フィ(以下、GPCと称す)により測定される重量平均
分子量(以下、Mwと称す)は2000〜10万、数平
均分子量(以下、Mnと称す)は1000〜5万であれ
ばよく、好ましくはMwが4000〜7万となり、Mn
が2000〜12000となる場合であり、更に好まし
くはMwが6000〜5万となり、Mnが2500〜9
000となる場合である。
【0084】もし、Mwが2000未満となり、Mnが
1000未満となる場合には、ウレタン変性ポリエステ
ルとしてトナーに用いた場合には耐ホットオフセット性
が損なわれる場合があり好ましくない。また、Mwが1
0万を超え、Mnが5万を超える場合には、ウレタン変
性ポリエステルとしてトナーに用いた場合には低温定着
性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
【0085】本発明において、イソシアネート化合物と
実質的に反応させることなくウレタン変性ポリエステル
と併せて用いることができる他の樹脂としては、ポリエ
ステル樹脂がある。
【0086】上記ポリエステル樹脂(以下、ポリエステ
ル(N)と称す)に用いられるアルコール成分及び酸成
分は、ポリエステル(R)に用いたものと同じものを使
用することができる。特にアルコール成分としては、前
記(イ)式で示されるビスフェノール誘導体であるEO
−BPAとPO−BPAを併せて用いるのが好ましく、
EO−BPA/PO−BPAのモル比率は0.01〜1
0であればよいが、好ましくは0.05〜5であればよ
く、更に好ましくは0.1〜3となる場合である。
【0087】また3官能以上のカルボン酸は全カルボン
酸成分に対して0.5〜10モル%含有されていればよ
く、好ましくは1〜7モル%含有されていればよく、更
に好ましくは1.5〜5モル%含有される場合である。
【0088】上記ポリエステルのTgは45〜90℃で
あればよく、好ましくは47〜80℃となる場合であ
り、更に好ましくは52〜70℃となる場合である。も
し、Tgが45℃未満となる場合には耐ブロッキング性
が著しく悪化する場合があり好ましくない。また、Tg
が90℃を超える場合には低温定着性が損なわれる場合
があり好ましくない。
【0089】また、ポリエステル(N)のMwは300
0〜100万、Mnは1000〜5万であればよく、好
ましくはMwが5000〜50万、Mnが2000〜3
万となる場合であり、更に好ましくMwが7000〜3
0万、Mnが3000〜1万となる場合である。もし、
Mwが3000未満となり、Mnが1000未満となる
場合には耐ホットオフセット性が悪化する場合があり好
ましくない。また、Mwが100万を超え、Mnが5万
を超える場合には低温定着性が損なわれ、同時に粉砕性
が悪化する場合があり好ましくない。
【0090】ポリエステル(N)の酸価は100mgK
OH/g以下であり、水酸基価が20mgKOH/g以
下であればよく、好ましくは酸価が10〜70mgKO
H/gであり、水酸基価が10mgKOH/g以下とな
る場合であり、更に好ましくは酸価が15〜60mgK
OH/gであり、水酸基価が5mgKOH/g以下とな
る場合である。
【0091】ポリエステル(R)とイソシアネート化合
物との反応生成物であるウレタン変性ポリエステル(以
下、変性ポリエステルと称す)のTgは30〜90℃で
あればよく、好ましくは40〜70℃となる場合であ
り、更に好ましくは45〜65℃となる場合である。も
し、Tgが30℃未満となる場合には耐ブロッキング性
が不良となりやすく好ましくないし、Tgが90℃を超
える場合には低温定着性を損なう可能性があり好ましく
ない。
【0092】変性ポリエステルのTHF可溶分の分子量
分布は、Z平均分子量(以下、Mzと称す)が5万〜5
000万であり、Mwが4000〜200万であり、M
nが1000〜10万となり、Mz/Mwが5〜500
0となり、Mw/Mnが2.5〜500となればよく、
好ましくはMzが10万〜2000万となり、Mwが5
000〜150万であり、Mnが2000〜5万とな
り、Mz/Mwが15〜4000となり、Mw/Mnが
3〜400であればよく、更に好ましくはMzが20万
〜1000万となり、Mwが1万〜120万となり、M
nが3000〜3万となり、Mz/Mwが20〜200
0となり、Mw/Mnが5〜300となる場合である。
【0093】変性ポリエステル及び実質的に変性されて
いないポリエステル(N)からなる結着樹脂(以下、単
に結着樹脂と称す)のTgは45〜75℃であればよ
く、好ましくは50〜70℃であり、更に好ましくは5
2〜68℃となる場合である。もし、Tgが45℃未満
となる場合には耐ブロッキング性が不良となりやすく、
またTgが75℃を超える場合には低温定着性が損なわ
れる可能性があり好ましくない。
【0094】上記結着樹脂の分子量分布はMzが3万〜
10億であり、Mwが3000〜300万であり、Mn
が1000〜8万となり、Mz/Mwが5〜1万であ
り、Mw/Mnが2〜2000となる場合であり、好ま
しくはMzが5万〜5億であり、Mwが5000〜20
0万であり、Mnが1500〜5万となり、Mz/Mw
が7〜5000であり、Mw/Mnが3〜100となる
場合であり、更に好ましくはMzが10万〜3億であ
り、Mwが5000〜100万であり、Mnが2000
〜3万となり、Mz/Mwが10〜3000となり、M
w/Mnが10〜800となる場合である。
【0095】もし、Mzが3万未満、Mwが3000未
満、Mnが1000未満となる場合には、トナーとした
場合に耐ホットオフセット性が損なわれる可能性があ
る。また、Mzが10億を超え、Mwが300万を超
え、Mnが8万を超える場合には低温定着性が損なわれ
る可能性があり好ましくない。Mz/Mwが5未満、M
w/Mnが2未満となる場合には、定着開始温度からホ
ットオフセットが発生する温度までの温度範囲が狭く実
用上問題となる可能性がある。また、Mz/Mwが10
00を超え、Mw/Mnが2000を超える場合にはワ
ックスあるいは着色剤の分散が悪化する可能性があり好
ましくない。
【0096】また、上記結着樹脂はTHF不溶分を2〜
70重量%含有することができるが、好ましくは3〜6
0重量%含有する場合であり、更に好ましくは5〜50
重量%となる場合である。もし、THF不溶分が2重量
%未満となる場合には耐ホットオフセット性が悪化する
場合があり、THF不溶分が70重量%を超える場合に
はワックスの分散性が著しく悪化する場合があり好まし
くない。
【0097】本発明において、ウレタン変性ポリエステ
ル樹脂と併せて用いることができる他の樹脂としてはビ
ニル系樹脂がある。
【0098】ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モ
ノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0099】例えばスチレン、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシ
スチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレ
ン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチ
レン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチ
レン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチ
レンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピ
レン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モ
ノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニル
の如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデ
シル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメ
チルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル
の如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アク
リル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きア
クリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエ
チルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニル
エーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケト
ン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン
類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−
ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリ
ル酸もしくはメタクリル酸誘導体;前述のα,β−不飽
和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類が挙げられ
る。
【0100】また、マレイン酸、シトラコン酸、イタコ
ン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如
き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無
水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の
如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエ
ステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸
ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエス
テル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン
酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエス
テル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマ
ル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエ
ステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチ
ルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸
エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケ
イヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケ
イヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β
−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン
酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、こ
れらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボ
キシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0101】また、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタ
クリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチ
ルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチ
ルヘキシル)スチレン等ヒドロキシル基を有するモノマ
ーが挙げられる。
【0102】このビニル系樹脂のガラス転移温度は45
〜80℃、好ましくは55〜70℃であり、数平均分子
量(Mn)が2,500〜50,000、好ましくは
3,000〜20,000であり重量平均分子量(M
w)が10,000〜1,500,000、好ましくは
25,000〜1,250,000であることが好まし
い。
【0103】ウレタン変性ポリエステル樹脂を含有する
結着樹脂は以下に示す方法により製造することができ
る。
【0104】(1)ポリエステル(R)のみが存在する
状態でイソシアネート化合物と反応させウレタン変性ポ
リエステル樹脂を製造する。ポリエステル(R)100
重量部に対して0.1〜10重量部のイソシアネート化
合物を全量添加するか、もしくは少量ずつ連続的に添加
することができる。反応温度は100〜200℃であ
り、必要に応じて段階的に温度を変化させることがで
き、反応時間は反応温度により異なるが、1分〜6時間
程度であり、反応容器としては反応釜を用いて相対的に
多量の原料を仕込みバッチ処理する場合と一軸もしくは
二軸の押出機を用いて連続的に相対的に少量の原料を供
給しつつ連続的に製造することができる。また、製造時
に本発明に係るワックスを含有させることができる。こ
の製造方法によりウレタン変性ポリエステル樹脂を主成
分とする結着樹脂が得られる。
【0105】(2)ポリエステル(N)存在下でポリエ
ステル(R)とイソシアネート化合物を反応させてウレ
タン変性ポリエステル樹脂を製造する。ポリエステル
(N)とポリエステル(R)を各々粉砕してよく混合し
たものを使用する以外は、前記製造方法(1)と同様の
反応条件で同様の反応装置を用いて製造することができ
る。また製造時には本発明に係るワックスを含有させる
ことができる。この製造方法によりウレタン変性ポリエ
ステル樹脂を含有する結着樹脂が得られる。
【0106】ポリエステル(R)とポリエステル(N)
の混合比率は重量比で5:95〜80:20で使用する
ことができる。
【0107】(3)製造方法(1)及び/または製造方
法(2)で製造したウレタン変性ポリエステル樹脂と他
の樹脂とをトナー製造時に混練、混合する。ウレタン変
性ポリエステル樹脂とトナー製造時に混合する樹脂は重
量比で5:95〜95:5で使用することができる。具
体的に使用することができる樹脂としてはポリエステル
(R)、ポリエステル(N)を含めたポリエステル樹
脂、ビニル系樹脂があり、これらの樹脂組成物はあらか
じめ本発明に係るワックスを含有させることができる。
【0108】本発明の静電荷像現像用トナーは、その帯
電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤
を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100
重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5
重量部使用するのが好ましい。
【0109】今日、当該技術分野で知られている荷電制
御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0110】例えば有機金属錯体、キレート化合物が有
効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸、金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙
げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳
香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、
エステル類、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙
げられる。
【0111】本発明のトナーを磁性トナーとして用いる
場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネ
タイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他
の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような
金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,P
b,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,C
d,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との
合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0112】磁性材料としては、従来、四三酸化鉄(F
34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛
(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe
512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄
ガドリニウム(Gd3Fe5−O12)、酸化鉄銅(CuF
24)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッ
ケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe
23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(F
e)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知
られているが、本発明によれば、上述した磁性材料を単
独で或いは2種以上の組合せで選択使用する。本発明の
目的に特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二
酸化鉄の微粉末である。
【0113】これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2
μm程度で、10Kエルステッド印加での磁気特性が抗
磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200
emu/g(好ましくは50〜100emu/g)、残
留磁化2〜20emu/gのものが望ましい。
【0114】結着樹脂100重量部に対して、磁性体1
0〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用
するのが良い。
【0115】また、一成分,二成分を問わず着色剤とし
ては、カーボンブラック,チタンホワイトやその他あら
ゆる顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば
本発明のトナーを磁性カラートナーとして使用する場合
には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、
C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド
1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダント
レッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダ
イレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.
I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー
3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダント
ブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベ
ーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等
がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミ
ネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトー
ルイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエロ
ーNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデン
オレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオ
レンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パ
ーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム
塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マン
ガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレット
レーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレー
キ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、
ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、
マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリー
ンG等がある。
【0116】また、本発明のトナーを二成分フルカラー
用トナーとして使用する場合には、次の様なものが挙げ
られる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメ
ントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,1
0,11,12,13,14,15,16,17,1
8,19,21,22,23,30,31,32,3
7,38,39,40,41,48,49,50,5
1,52,53,54,55,57,58,60,6
3,64,68,81,83,87,88,89,9
0,112,114,122,123,163,20
2,206,207,209、C.I.ピグメントバイ
オレット19、C.I.バットレッド1,2,10,1
3,15,23,29,35等が挙げられる。
【0117】かかる顔料を単独で使用しても構わない
が、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方が
フルカラー画像の画質の点からより好ましい。かかるマ
ゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,
3,8,23,24,25,27,30,49,81,
82,83,84,100,109,121、C.I.
ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレッ
ト8,13,14,21,27、C.I.ディスパース
バイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッ
ド1,2,9,12,13,14,15,17,18,
22,23,24,27,29,32,34,35,3
6,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイ
オレット1,3,7,10,14,15,21,25,
26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0118】その他の着色顔料として、シアン用着色顔
料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,
16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッ
ドブルー45又は化3式で示される構造を有するフタロ
シアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換し
た銅フタロシアニン顔料等である。
【0119】
【化3】
【0120】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,
11,12,13,14,15,16,17,23,6
5,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20
等が挙げられる。
【0121】尚、着色剤の使用量は結着樹脂100重量
部に対して、0.1〜60重量部、好ましくは0.5〜
50重量部である。
【0122】本発明に用いられる負帯電性流動化剤とし
ては、着色剤含有樹脂粒子に添加することにより、流動
性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、ど
のようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニ
リデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等の
フッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等
の微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング
剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により
表面処理を施した処理シリカ等がある。
【0123】好ましい流動化剤としては、ケイ素ハロゲ
ン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、
いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称される
もので、従来公知の技術によって製造されるものであ
る。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱
分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次
の様なものである。
【0124】 SiCl2+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0125】また、この製造工程において、例えば塩化
アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物
をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリ
カと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であ
り、それらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径と
して、0.001〜2μmの範囲内であることが望まし
く、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内
のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0126】本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物
の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体とし
ては、例えば以下の様な商品名で市販されているものが
ある。
【0127】 AEROSIL(日本アエロジル社) 130 200 300 380 TT600 MOX170 MOX80 COK84 Ca−O−SiL(CABOT Co.社) M−5 MS−7 MS−75 HS−5 EH−5 Wacker HDK N 20 V15 (WACKER−CHEMIE GMBH社) N20E T30 T40 D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社) Fransol(Fransil社)
【0128】さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相
酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処
理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シ
リカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定
された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシ
リカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0129】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処
理することによって付与される。好ましい方法として
は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成され
たシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0130】そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキ
サメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルク
ロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジク
ロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチル
クロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジ
ルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロル
シラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロ
ルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロ
ルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチ
ルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレー
ト、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジ
ビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル
テトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12
個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞ
れ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポ
リシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上
の混合物で用いられる。
【0131】本発明に用いられる流動化剤として、前述
した乾式法シリカを、次に挙げるアミノ基を有するカッ
プリング剤或いは、シリコーンオイルで処理したものを
本発明の目的を達成する為に必要に応じて用いてもかま
わない。
【0132】
【化4】
【0133】
【化5】
【0134】シリコーンオイルとしては一般に次式の側
鎖にアミノ基を有する部分構造を具備しているアミノ変
性シリコーンオイルなどが用いられる。
【0135】
【化6】
【0136】(ここでR1は水素、アルキル基、アリー
ル基、又はアルコキシ基を表わし、R2はアルキレン
基、フェニレン基を表わし、R3,R4は水素、アルキル
基或いはアリール基を表わす。但し、上記アルキル基、
アリール基、アルキレン基、フェニレン基はアミンを含
有していても良いし、また帯電性を損ねない範囲でハロ
ゲン等の置換基を有していても良い。m及びnは正の整
数を示す。)
【0137】そのようなアミノ基を有するシリコーンオ
イルとしては例えば以下のものがある。
【0138】 25℃における粘度 アミン当量 商品名 (cPs) SF8417(トーレ・シリコーン社製) 1200 3500 KF393 (信越化学社製) 60 360 KF857 (信越化学社製) 70 830 KF860 (信越化学社製) 250 7600 KF861 (信越化学社製) 3500 2000 KF862 (信越化学社製) 750 1900 KF864 (信越化学社製) 1700 3800 KF865 (信越化学社製) 90 4400 KF369 (信越化学社製) 20 320 KF383 (信越化学社製) 20 320 X−22−3680(信越化学社製) 90 8800 X−22−380D (信越化学社製) 2300 3800 X−22−3801C(信越化学社製) 3500 3800 X−22−3810B(信越化学社製) 1300 1700
【0139】なお、アミン当量とは、アミン1個あたり
の当量(g/eqiv)で、分子量を1分子あたりのア
ミン数で割った値である。
【0140】本発明に用いられる流動化剤は、BET法
で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以
上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を
与える。トナー100重量部に対して流動化剤0.01
〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのが
良い。
【0141】本発明の静電荷像現像用トナーを作製する
には結着樹脂、着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤ま
たはその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミ
ルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクスト
ルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し
て樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後
に固化物を粉砕し、粉砕物を分級して本発明のトナーを
得ることができる。
【0142】さらに、流動化剤とトナーをヘンシェルミ
キサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面
に添加剤を有する本発明の静電荷像現像用現像剤を得る
ことができる。
【0143】本発明のトナーに用いられるワックスの融
点及び分子量の測定方法は以下に示す通りである。
【0144】(1)ワックスの融点測定 示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7
(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D341
8−82に準じて測定する。
【0145】測定試料は2〜10mg、好ましくは5m
gを精密に秤量する。
【0146】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0147】この昇温過程で、温度40〜100℃の範
囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0148】この吸熱ピークの温度をもってワックスの
融点とする。もし、メインピーク近傍の温度にサブピー
クもしくはショルダーが観察される等、ワックスの融点
を決定しがたい場合には、このワックスを含有するトナ
ーを測定試料としてワックス同様の方法により吸熱ピー
ク温度を測定し、メインピークの温度をもってワックス
の融点とする。
【0149】(2)結着樹脂及びトナーのガラス転移温
度(Tg)の測定 示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7
(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D341
8−82に準じて測定する。
【0150】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。
【0151】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0152】この昇温過程で、温度40〜100℃の範
囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0153】このときの吸熱ピークが出る前と出た後の
ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発
明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0154】(3)ワックスの分子量分布の測定 (GPC測定条件)装置:GPC−150C(ウォータ
ーズ社) カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製) 温度:135℃ 溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添
加) 流速:1.0ml/min 試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0155】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した
分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Hou
wink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン
換算することによって算出される。
【0156】(4)結着樹脂の分子量分布の測定 GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によ
るクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0157】すなわち、40℃のヒートチャンバー中で
カラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒
としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流
速で流す。試料が樹脂の場合は、樹脂をロールミルで素
通し(130℃,15分)したものを用いる。また、試
料が現像剤の場合は、現像剤をTHFに溶解後0.2μ
mフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。
試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂
のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定す
る。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子
量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作
製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出
した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、
例えば、Pressure Chemical Co.
製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×1
2 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×1
4 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×10
5 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106
ものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン
試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI
(屈折率)検出器を用いる。
【0158】なお、カラムとしては、103 〜2×10
6 の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリス
チレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、W
aters社製のμ−styragel 500,10
3 ,104 ,105 の組合せや、昭和電工社製のsho
dex KA−801,802,803,804,80
5,806,807の組合せが好ましい。
【0159】(5)トナーの帯電量の測定(図1) 現像器現像担持体上からサンプリングした現像剤を秤量
後、底に500メッシュ(磁性粒子の通過しない大きさ
に適宜変更可能)の導電性スクリーン3のある金属製の
測定容器2に測定サンプルを入れ金属製のフタ4をす
る。このときの測定容器2全体の重量を秤りW1(g)
とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少
なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調
節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとす
る。この状態で充分(約2分間)吸引を行ないトナーを
吸引除去する。このときの電位計9の電位をV(ボル
ト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC
(μF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を
秤りW2(g)とする。この摩擦帯電量T(μC/g)
は下式の如く計算される。
【0160】 T(μC/g)=(C×V)/(W1−W2) 本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中
のTHF溶媒に対して不溶性となったポリマー成分(実
質的に架橋ポリマー)の重量割合を示し、架橋成分を含
む樹脂組成物の架橋の程度を示すパラメーターとして使
うことができる。THF不溶分とは、以下のように測定
された値をもって定義する。
【0161】即ち、トナーサンプル0.5〜1.0gを
秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.
86R)にいれてソックスレー抽出器にかけ、溶媒とし
てTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、溶
媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、
100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を
秤量する(W2g)。トナー中の磁性体あるいは顔料の
如き樹脂成分以外の成分の重量を(W3g)とする。T
HF不溶分は、下記式から求められる。
【0162】
【数1】
【0163】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。
【0164】ポリエステル(R)の製造: (製造例1)還流管,窒素ガス導入管,脱気用配管,温
度計及び撹拌機を装着した5リットルのセパラブルフラ
スコに、表1に示した酸成分、アルコール成分及び反応
触媒として少量の錫化合物を投入した。窒素ガスを通気
しながらフラスコを約200℃まで加熱しエステル化反
応を開始した。
【0165】反応を開始してから約1時間後に生成した
水を反応系外に除去して更に反応を進行させるためにト
ラップ装置を連結した真空ポンプを用いて反応容器内を
減圧し、その状態を3〜10時間保持して反応を終了し
た。
【0166】この様にして得られたポリエステルのT
g、水酸基価、分子量を測定したところ、Tgは約12
℃、水酸基価は28mgKOH/g、Mwは18700
であった。このポリエステルをR−1とする。
【0167】(製造例2〜10)表1に示した酸成分及
びアルコール成分を用いた以外は製造例1と同様にして
ポリエステルR−2〜R−10を得た。
【0168】ポリエステル(N)の製造: (製造例11〜20)表2に示す酸成分及びアルコール
成分を用いた以外は製造例1と同様にしてポリエステル
N−1〜N−10を得た。
【0169】比較用ポリエステルの製造:表1及び表2
に示すアルコール成分及び酸成分を用いた以外は製造例
1と同様にして比較用ポリエステル樹脂を得た。
【0170】ウレタン変性ポリエステルの製造: (製造例21)撹拌装置,温度計,窒素導入管,還流管
及びイソシアネート化合物の滴下装置を装着した反応容
器に、キシレン500重量部及びポリエステル樹脂R−
1を100重量部投入した。撹拌しながら加熱しポリエ
ステル樹脂をキシレンに溶解させた。キシレン還流下で
ジフェニルメタン−4,4′ジイソシアネート5重量部
を含有するキシレン溶液を一定量ずつ2時間かけて滴下
した。滴下終了後、更に1時間撹拌を継続し反応を終了
した。キシレンを留去することによりウレタン変性ポリ
エステル樹脂M−1を得た。これをウレタン変性方法A
とする。
【0171】(製造例22) ウレタン変性反応終了後に反応溶媒であるキシレン溶液
にポリエステル樹脂N−1を300重量部添加し、ウレ
タン変性ポリエステル樹脂との均一混合溶液とした以外
は製造例21と同様にしてウレタン変性ポリエステル樹
脂M−2を得た。これをウレタン変性方法Bとする。
【0172】(製造例23) ウレタン変性反応終了後に反応溶媒であるキシレン溶液
にポリエステル樹脂N−1を300重量部、低融点ワッ
クスLM−3を16重量部及び高融点ワックスHM−2
を12重量部添加し、ウレタン変性ポリエステル樹脂と
の均一混合溶液とした以外は製造例21と同様にして、
低融点ワックス及び高融点ワックスを含有するウレタン
変性ポリエステル樹脂M−3を得た。これをウレタン変
性方法Cとする。
【0173】(製造例24)直径2mmのメッシュを通
過する様に粉砕した100重量部のポリエステル樹脂R
−1と300重量部のポリエステル樹脂N−1をヘンシ
ェルミキサー等で撹拌混合した。
【0174】次にトリレンジイソシアネート5重量部を
一定量ずつ1時間で供給できる装置を装着した二軸混練
機を用意した。混練機の温度を140℃に設定し、上記
ポリエステル樹脂の混合物を1時間で全量溶融、混練で
きる様に混練軸の回転数と樹脂供給装置の回転数を調整
した。
【0175】この二軸混練機を用いて、上記ポリエステ
ル樹脂が溶融混練されると同時にイソシアネート化合物
と反応することによりウレタン変性ポリエステル樹脂M
−4を得た。これをウレタン変性方法Dとする。
【0176】(製造例25〜33)表3に示すポリエス
テル樹脂、イソシアネート化合物及びウレタン変性方法
を用いることによりウレタン変性ポリエステル樹脂M−
5〜M−13を得た。
【0177】比較用ウレタン変性ポリエステル樹脂の製
造:表3に示すポリエステル樹脂、イソシアネート化合
物及びウレタン変性方法を用いることにより比較用ウレ
タン変性ポリエステル樹脂を得た。
【0178】<実施例1> ウレタン変性ポリエステル樹脂 M−4 100重量部 磁性体 100重量部 モノアゾ金属錯体 2重量部 表4に示すLM−3(約57重量%)及び表5に示す HM−2 (約43重量%)からなるワックス溶融混合物の粉砕品 7重量部 (ワックス溶融混合物とは低融点ワックス及び高融点ワックスを 加熱養殖した溶液状態で混合して均一化したものであり、本発明 のトナーに好ましく用いられる。典型的なDSC測定による吸熱 パターンを図2に示す。)
【0179】上記材料をヘンシェルミキサーで前混合し
た後、130℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行
なった。混練物を放冷後、カッターミルで粗粉砕した
後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、更
に風力分級機を用いて分級し、重量平均粒径6.7μm
の磁性トナーを得た。この磁性トナー100重量部に対
し、疎水性乾式シリカ(BET200m2/g)1.0
重量部をヘンシェルミキサーにて外添添加して本発明の
トナー(1)とした。
【0180】ワックスの分散性を評価するために上記磁
性トナーを光学顕微鏡に偏光板をとりつけて低倍率で観
察したところ、遊離したワックスの存在を示す輝点は視
野に7〜8点みられるだけであり良好であった。
【0181】このトナーを用いてGP−55ディジタル
複写機(キヤノン製)を用いて10万枚の連続画出し耐
久を行なったところ、画像濃度は耐久初期(1〜10枚
目)で1.40、10万枚耐久終了時点で1.42とほ
とんど変化せず、ライン画像の飛散,太り等の画質変化
もなく良好であった。また、10万枚耐久終了時点で感
光ドラム上を詳細に観察したところ、遊離したワックス
の付着もみられず感光ドラム表面にも目立つ損傷はみら
れなかった。画像上にも感光ドラム表面の損傷に起因す
ると推定される画像欠陥はなかった。
【0182】次にNP−6060複写機(キヤノン製)
の定着器をとりはずし、ニップ約3.5mmに調整し外
部駆動装置をとりつけ150mm/秒で定着ローラーを
回転させ、温度制御装置をとりつけて、100〜250
℃の範囲で定着ローラーの温度を変えられる様に改造し
た。定着テストは温度3〜5℃に制御された恒温槽内で
実施し、定着ローラーが槽内温度と一致したのを確認後
に電源を投入し、上部ローラー(加熱ローラー)が12
0℃に達した直後に定着テストを行なった。この時点で
下部ローラー(加圧ローラー)の温度は約90℃であっ
た。次にヒーターに通電された状態で定着ローラーを2
0分間回転しつづけ定着テストを行なった。下部ローラ
ー(加圧ローラー)の温度は約100℃であった。
【0183】次に、この状態で連続して複写紙(75g
/m2)を20〜30枚/分の割り合いで150枚定着
器に通紙し、その直後に定着テストを実施した。
【0184】以上の様な定着テストの結果、電源投入直
後で11.8%、20分後に転写紙を200枚通紙した
ところ、1枚目で1.3%、200枚目でも8.1%と
実用上問題ないレベルであった。また、50℃に温度制
御された恒温槽内に7日間放置して耐ブロッキング性試
験を行なったところ、軽微な凝集はみられたもののすぐ
にほぐれ流動性を回復し良好であった。同様にして45
℃に温度制御された恒温槽内に30日間放置して耐ブロ
ッキング性試験を行なったとこり、軽微な凝集なみられ
たもののすぐにほぐれ流動性を回復し良好であった。
【0185】次にトナーサンプル1gをmg単位まで精
秤し、同様にして精秤した円筒濾紙(東洋濾紙製No.
86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒とし
てTHF200mlを用いて約140℃に温度制御され
たオイルバスで12時間抽出した。THFに溶出した成
分の重量をもとにしてTHF不溶成分を求めたところ約
0.6重量%であった。
【0186】DSCを用いてこの現像剤の結着樹脂のガ
ラス転移温度(Tg)及びワックスの融点を観察したと
ころ、Tgは58.8℃とほとんど低下せず、低融点ワ
ックス及び高融点ワックスはそれぞれワックス単独で測
定した融点とほぼ同じ融点を有することを確認した。
【0187】<実施例2> ウレタン変性ポリエステル樹脂 M−1 100重量部 ポリエステル樹脂 N−1 300重量部 磁性体 400重量部 モノアゾ金属錯体 8重量部 ワックス溶融混合物 16重量部 (実施例1で用いたものと同じもの)とした以外は実施
例1と同様にして表6に示す本発明のトナー(2)を得
た。実施例1と同様にして評価したところ表7に示す様
に良好な結果が得られた。
【0188】<実施例3>実施例1で用いたワックスの
混合物35重量部とポリエステル樹脂N−1 100重
量部からなる混合物を撹拌しながら加熱して溶融混合す
ることにより、均一な組成を有するポリエステル樹脂と
ワックスの混合物を調製した。この混合物を目開き1m
mのメッシュを通過する様に粉砕した。
【0189】 上記ポリエステル樹脂とワックスの混合物 27重量部 ウレタン変性ポリエステル樹脂 M−4 80重量部 磁性体 100重量部 モノアゾ金属錯体 8重量部 とした以外は実施例1と同様にして表6に示す本発明の
トナー(3)を得た。実施例1と同様に評価したとこ
ろ、表7に示す様に良好な結果が得られた。
【0190】<実施例4〜14>表6に示すウレタン変
性ポリエステル樹脂、低融点ワックス及び高融点ワック
スを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のトナー
(4)〜(14)を得た。実施例1と同様に評価したと
ころ、表7に示す様に良好な結果が得られた。
【0191】<比較例>表6に示す比較用ウレタン変性
ポリエステル樹脂を用い、表4に示す比較用低融点ワッ
クス及び表5に示す比較用高融点ワックスを用いた以外
は実施例1と同様に評価した結果を表7に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
【表2】
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【0196】
【表5】
【0197】
【表6】
【0198】
【表7】
【0199】定着性評価
【0200】耐ブロッキング性評価
【0201】耐オフセット性評価
【0202】ワックス分散性の評価
【0203】表1〜表3の注は以下の通りである。
【0204】1)ビスフェノールAのプロピレンオキシ
ド付加体 2)ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体 3)ジフェニルメタン4,4′−ジイソシアネート 4)トリレンジイソシアネート
【0205】
【発明の効果】本発明は定着性,耐オフセット性,耐ブ
ロッキング性,流動性のいずれの性能にも優れ、特に多
量のコピーを連続して一度にとっても初期より最後の1
枚まで良好な定着性を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの摩擦帯電量の測定装置の説明図であ
る。
【図2】本発明のトナーに好ましくは用いられるワック
スのDSCの吸熱パターンの一例を示すグラフである。
【図3】比較用トナーに用いた比較用ワックスのDSC
吸熱パターンの一例を示すグラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−56659(JP,A) 特開 平7−168397(JP,A) 特開 平4−361271(JP,A) 特開 平4−318012(JP,A) 特開 平4−226472(JP,A) 特開 平4−211272(JP,A) 特開 平4−36761(JP,A) 特開 平2−256066(JP,A) 特開 平2−87163(JP,A) 国際公開87/004811(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融混練工程、粉砕工程を経て製造され
    たトナーであり、結着樹脂,着色剤及びワックスを含有
    するトナーであって、 該結着樹脂がポリエステル樹脂とイソシアネート化合
    物の反応生成物であるウレタン変性ポリエステル樹脂で
    あり、 変性前のポリエステル樹脂が、アルコールとしてビス
    フェノールAのエチレンオキシド付加物(EO−BP
    A)及びビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物
    (PO−BPA)を用い、それらをモル比率で、EO−
    BPA/PO−BPA=0.01〜10の割合で用いて
    合成されたポリエステル樹脂であり、 該トナーがテトラヒドロフラン(THF)不溶分を全
    結着樹脂に対して0.01〜10重量%含有し、かつ該
    トナーのTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマト
    グラフィ(GPC)により測定される分子量分布におい
    て、分子量1000〜2万の領域にメインピーク(M
    p)を有し、分子量10万以上の領域にサブピーク及び
    /またはショルダーを有しており、 Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との
    比であるMz/Mwが100以上となることを特徴とす
    る静電荷像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 トナーのTHF可溶分のMz/Mwが1
    00〜2000であることを特徴とする請求項1に記載
    の静電荷像現像用トナー。
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