JP3447020B2 - 弾性体履板 - Google Patents

弾性体履板

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JP3447020B2
JP3447020B2 JP27970794A JP27970794A JP3447020B2 JP 3447020 B2 JP3447020 B2 JP 3447020B2 JP 27970794 A JP27970794 A JP 27970794A JP 27970794 A JP27970794 A JP 27970794A JP 3447020 B2 JP3447020 B2 JP 3447020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性体履板に係り、特
に建設機械、農業機械等装軌車両の無限軌道履帯に好適
な弾性体履板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブルドーザ等の装軌車両におい
て、遊動輪と起動輪との間にトラックフレームを配設
し、このトラックフレームの上下に複数の上転輪と下転
輪とを配設し、これら各転動輪に鉄製履帯を巻装し、起
動輪を駆動することにより、鉄製履帯を回動して車両を
走行させている。この一般的な鉄製履帯の構造に関し、
図10(a)に平面図を、図10(b)に側面図を示
す。この鉄製履帯は、鉄履板42が、左右一対のリンク
41a、41bにボルト43により締結されると共に、
前後に隣り合うリンク41a、44aとリンク41b、
44bとが、複数のピン45により連結され、無端状に
一体化されて、無限軌道履帯を形成している。図中、4
6はナットである。
【0003】しかしながら、かかる構成の鉄製履帯は、
これを装備した車両が作業現場まで舗装路面等を自走す
る際、直接路面に接触して路面を傷める問題があり、路
面保護マット等を敷くことにより、路面を保護してい
る。したがって、移動時間が長くなり、作業効率低下の
原因となっている。また、走行時の振動・騒音も大き
く、特に都市型の工事においては、これらの低減が要求
されている。かかる上記問題を解決する履帯として、無
端状のゴムベルトに一定間隔で金属芯金を埋設し、この
芯金を起動輪と噛み合わせて駆動する一体型ゴム履帯が
採用されており、実用的な寿命も得られている。しか
し、1箇所でも亀裂等が生じると切断に至りやすく、し
かも一体型に成形されているので、ゴム履帯そのものが
使用不能になる欠点がある。
【0004】次に、鉄製履帯の路面損傷等の問題を解決
する別の履帯として、下記のように、履板を個々に取り
付け可能なゴム履板とすると共に、鉄履板と交換可能な
ゴム履板がある。 (イ)ブロック状の芯金をゴムで包み込んだゴム履板と
し、このゴム履板とリンクとをボルトで直接締結する履
帯が知られている(例えば、実開平4−56593号公
報参照)。 (ロ)鉄履板の接地面側グローサを挟み込むようにした
凹凸を有する金属板に、ゴム等を接着させ、鉄履板を介
して金属板とリンクとをボルトで締結することが知られ
ている(例えば、実開平5−78684号公報参照)。
これと同様に、グローサを挟み込むようにした鉄板にゴ
ム等を固着させ、この鉄板と鉄履板とをボルトで締結
し、さらにこの鉄履板とリンクとをボルトで締結するこ
とも知られている(例えば、実開平6−10088号公
報参照)。 (ハ)鉄履板の接地面側のみにゴムを焼き付けて接着
し、このゴム履板とリンクとを締結することが知られて
いる(例えば、特開平5−305883号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には次のような問題点がある。 (イ)においては、ゴムの芯金側形状が凹凸のある接地
面側芯金の形状に沿っているため、作業時などの負荷に
よる弾性歪みがこの凹凸面に遮られて、歪みが集中し、
凹凸面近傍から疲労亀裂を生じやすく、寿命が不十分で
ある。なお、芯金を包み込む別の履板が、実開平3−4
7290号及び特開平5−286463号に開示されて
いるが、これらは、芯金とリンクを一体化したゴム履板
である。しかし、損傷等によるゴム履板交換時には、一
枚交換でもリンクピンの脱着が必要となり、多大な工数
を要する煩わしい作業のために、交換性に問題がある。
さらに、リンクを含めた交換となるので、経済性にも問
題がある。
【0006】(ロ)においては、鉄履板のグローサによ
って弾性体内部の弾性歪みが不均一となり、その箇所か
ら疲労亀裂を早めるので、寿命が不十分である。また、
鉄履板が露出しているので、ブロック等縁石を破壊しや
すい問題もある。 (ハ)においては、ゴム厚さの薄い部分があり、ゴム末
端部より亀裂、剥離等を生じ易く、寿命が不十分であ
る。なお、この末端部を改良しているものとして、実開
平4−84092号に開示されている。しかし、小石等
にゴム履帯が乗り上げた場合には、履帯は逆反りする
が、その際のストッパーとなる部分に、即ち、履板の前
後方向の末端部に、ゴムが回り込んでおり、その厚さが
不十分なために高応力となり、亀裂を生じやすい。さら
に、履板の左右末端部も、ゴムで被覆されていないの
で、亀裂、剥離等を生じ易い問題がある。しかも、鉄履
板による縁石破壊の問題もある。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点に着目
し、履板寿命が一体型ゴム履帯と同程度を有し、履板損
傷時の履板交換性が容易な弾性体履板を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る弾性体履板において、履板とリンクと
をボルトにより締結し、この履板を取り付けた複数のリ
ンクをピンにより連結して構成した無限軌道履帯の履板
であって、前記履板は、ボルトの挿通孔を設ける弾性体
と、左右両側の翼部と接地面側へ凹陥状をなす履板取付
部とからなる芯体と、から構成され、この履板取付部に
はボルトの取付穴を設けてなり、芯体が弾性体に埋設さ
れて一体化すると共に、芯体が、ボルト取付穴とその近
傍を、及び履板取付部のリンクへの取付面を、それぞれ
弾性体から露出してなることを特徴とする。また、翼部
のリンク側には、少なくとも一の上部リブを設けてな
り、また履板取付部の接地面側には、少なくとも一の下
部リブを設けてなる。
【0009】また、弾性体履板のリンク長手方向の断面
は、(イ)接地面がリンク取付面と略平行な平面又は曲
面を有し、(ロ)リンク長手方向の弾性体履板全幅がリ
ンクピッチより小さく、(ハ)リンク長手方向の接地面
幅が弾性体履板全幅より小さく、(ニ)リンク長手方向
の側面には、接地面よりリンク側となる部分に、逆反り
初期に隣の弾性体履板と接触する逆反り初期接触部を形
成する。この逆反り初期接触部の位置は、リンク長手方
向断面における弾性体履板の側面であって、リンク取付
面から接地面までの距離に対する、リンク取付面から逆
反り初期接触部までの距離の割合が0.8の部分より、
リンク側となる位置としてよい。さらに、弾性体履板の
接地面側は、弾性体履板の長手方向の中央部には方形接
地面を形成し、この方形接地面の左右両側には先細りと
なる台形接地面を形成し、この台形接地面と弾性体履板
長手方向の側端部との間には傾斜した台形状の面を形成
してなる。また、ボルト挿通孔の孔径に対して、ボルト
挿通孔を有する接地面のリンク長手方向端部からボルト
挿通孔の内面までの距離の比率が、0.75以上であ
る。さらには、両翼部の接地面側表面は、滑らかな面で
ある。
【0010】
【作用】上記構成による本発明の作用を説明する。リン
ク、ボルトの取り付け面部以外の芯体を、弾性体に埋設
することで、両者の接触面積が大きくなって高い接着力
が得られると共に、弾性体と芯体との接着端部が、履板
取付部近傍と内側になるので、引裂の発生が大幅に低減
可能となる。また、芯体は、翼部が履板取付部よりもリ
ンク側上方向に位置する形状であり、履板取付部下方の
弾性体に対して、翼部の接地面側と接地面と間の弾性体
厚さを大きくできる。これにより、例えば、弾性体履板
の接地面からリンクピンまでの高さ寸法を、従来のゴム
履板と同等にすることで、車体仕様(特に、車体全高)
を変えることなく、翼部下側の弾性体を厚くできる。し
たがって、リンク下面から接地面間での弾性体厚さを同
程度にしている一般的な履板と比較して、本発明の弾性
体履板は、翼部下側の弾性体マスが大きいので、より大
きな弾性変形量が得られて耐引き裂き性が良好であると
共に、縁石を破壊することもない。さらに、芯体上下面
の所定部分へ必要に応じてリブを設けることにより、曲
げ剛性等が強化されて、耐久性、信頼性が確保される。
【0011】弾性体履板のリンク長手方向断面における
形状、寸法関係等を定めることにより、弾性体履板逆反
り時に、従来技術における接触とは異なる初期接触とな
る。即ち、従来技術では、弾性体の接地面近傍での接
触、或いは弾性体を接着する鉄履板同士での接触となる
のに対し、本発明では、接地面よりリンク側の位置で、
逆反り初期接触部同士が接触し始める。従って、石等に
乗り上げた場合、従来技術においては、接地面近傍での
接触により生じる変形と、乗り上げによる変形とが相乗
されたり、鉄履板同士の干渉により大きな逆反り角度が
得られなかったりして、弾性体履板は、接地面部が局部
的に変形して大きな応力が発生し、引裂等を生じやす
い。一方、本発明においては、逆反り初期接触部がリン
ク側の側面にあるので、逆反り時に、隣り合う弾性体履
板の接触による変形が、接地面から離れる部分で生じ
て、弾性体接地面部の局部的変形が防止可能となる。ま
た、逆反り角度が増大するに従って、接触部は逆反り初
期接触部の両側方向、即ちリンク側方向と接地面側方向
へと拡がり、隣り合う弾性体履板同士の反発弾性力が増
大するので、負荷が隣接する弾性体履板に分散し、集中
荷重による局部的変形を生じることがない。さらにかか
る構成により、比較的大きな石等に乗り上げた場合で
も、逆反りした弾性体が石を包み込むように乗り上げる
ので、弾性体内部に不均一な歪みを発生することなく、
ゆるやかな弾性変形が得られる。また、逆反り初期接触
部の位置を、側面の所定域とすることで、良好な上記作
用が得られやすくなる。
【0012】弾性体履板の接地面側に関しては、中央部
の方形接地面両側に、先細りの台形接地面を有するの
で、作業時に履板端部が土等に乗り上げても捩じり変形
を小さくすることが可能であり、食い込み性、特に湿地
などでの食い込み性が良好となり、大きな牽引力が得ら
れる。この台形接地面のリンク長手方向両側に形成され
る傾斜面は、土を把持して履板の横滑りを防止すると共
に、噛み込んだ石の排出性も良い。また、接地面側の左
右端部に、傾斜した台形状の面を形成しているので、傾
斜面を形成していない場合と比べると、ステアリング抵
抗が小さくなり、良好な走行性が得られる。これら方形
接地面、傾斜した台形状の面は、翼部下方の弾性体マス
が大きい部分でもあり、さらに、ステアリング抵抗が低
減され、縁石に乗り上げた場合でも、欠け、割れ等の損
傷が防止される。
【0013】また、ボルト挿通孔の形成位置を、穴径に
対して所定比率の位置とすることにより、ボルト挿通孔
の接地面近傍の損傷を小さくできるので、所望の品質が
得られる。さらに、翼部の接地面側が平滑な表面を有す
ることで、突起部を有する従来の芯金の場合とは異な
り、作業時の弾性体変形が均一で、翼部下面に応力集中
部がないので、亀裂発生が低減できる。
【0014】
【実施例】以下に、本発明に係る弾性体履板の実施例に
つき、図面を参照しつつ詳述する。図1〜図6におい
て、本実施例の弾性体履板10は、芯体2と、この芯体
2を包み込むように埋設する弾性体1とから構成され、
一体化されている。この埋設される芯体2は、弾性体履
板長手方向の左右両側の翼部2bと、接地面9側に凹陥
状をなす履板取付部2aとからなる。この翼部2bは、
板状をベース形状とし、接地面9側には平滑な面を形成
し、リンク15(図7参照)側面でリンク長手方向の中
央部には、履板取付部2aを基端とする上部リブ7を設
けている。また、履板取付部2aは、リンク15側には
リンク取付面8を形成すると共に、4ヶ所のボルト取付
穴4を備え、ボルト(図示せず)によりリンク15へ着
脱可能に締結される。さらに、履板取付部2aの接地面
9側は、リンク長手方向の中央部には、左右両側の翼部
2bを基端として対向する2ヶ所の第1下部リブ5を設
け、リンク長手方向の両端部には、左右両側の翼部2b
を基端として連続する第2下部リブ6を設けている。ま
た、弾性体履板長手方向において、芯体2の長さは、接
地面9の長さより大きくしてある。
【0015】一方、弾性体1は、孔径Dなる4箇所のリ
ンク取付用ボルト挿通孔3を備えると共に、このボルト
挿通孔3に対応する芯体2のボルト取付穴4部、及びリ
ンク取付面8部以外の芯体面を被覆埋設している。この
弾性体1の接地面側には、弾性体履板長手方向の中央部
に、方形接地面1aが形成され、この方形接地面1aの
左右両側に、先細りの台形接地面1bが形成されてい
る。これら方形接地面1aと台形接地面1bとの図形上
の境界を、二点鎖線で図1に示す。この台形接地面1b
から弾性体履板長手方向の側端部との間には、リンク1
5側に傾斜する台形状の面1cが形成されている。ま
た、リンク長手方向において、台形接地面1b及び傾斜
する台形状の面1cの端部から、弾性体1の側端部まで
は、傾斜面1fが形成されている。以上のように、翼部
2bを履板取付部2aよりもリンク15側に形成するこ
とで、翼部2bと接地面9との間の弾性体1厚さを、大
きくしてある。
【0016】さらに、リンク長手方向において、方形接
地面1aの端部から、弾性体1の側端部までは、リンク
15側に傾斜する第2側面1eが形成され、この第2側
面1eからリンク15側となる上方に向かって、第1側
面1dが形成されている。本実施例では、側面1gは
(図3参照)、第1側面1dと第2側面1eとから形成
すると共に、弾性体履板10の逆反り時において(図7
参照)、隣り合う弾性体履板10同士の初期接触部が、
第1側面1dと第2側面1eとの境界部12となるよう
にしてある。また、上記ボルト挿通孔3の孔径Dに対し
て、この第2側面1eの接地面9端部からボルト挿通孔
3の内面までの距離a(図3参照)の比率a/Dが、
0.75以上にしてある。
【0017】次に、図7において、弾性体履板10は、
ボルト(図示せず)を介してリンク15に締結され、こ
の弾性体履板10を取り付けた複数のリンク15が、ピ
ン16を介して回動可能に連結され、無限軌道履帯を構
成している。この弾性体履板10は、接地面9がリンク
取付面8とほぼ平行な平面あるいは曲面であり、弾性体
履板全幅L2 がリンクピッチL1 より小さく、接地面幅
L3 が弾性体履板全幅L2 より小さい。この全幅L2
は、リンクピッチL1 より小さくしてあるが、接地面圧
が高くなる場合には、全幅L2 をリンクピッチL1 に近
い値とすることで、接地面圧を低減し、弾性マスも大き
くなり好ましいことが多い。
【0018】また、リンクピン中心P0 からの接地面方
向垂線Pと、リンクピン中心P0 から側面1gの逆反り
初期接触部P1 への接線とのなす角度θ1 は、接地面方
向垂線Pと、リンクピン中心P0 から次期接触面となる
第2側面1eの任意の点P2とを結ぶ直線とのなす角度
θ2 より、小さい。本実施例では、上述のように、逆反
り初期接触部P1 は、第1側面1dと第2側面1eとの
境界部12に対応する。この逆反り初期接触部P1 の位
置は、接地面9よりもリンク15側方向となる側面1g
に形成される。なお、接地面9近傍での局部的変形防止
を考慮すると、L5 /L4 =0.8程度の位置より上方
向(リンク15側)の位置が好ましい。ここで、L4
は、リンク取付面8と接地面9との距離、L5 は、リン
ク取付面8と逆反り初期接触部P1 との距離である。さ
らに好ましくは、隣り合う弾性体1の全体的にゆるやか
な変形等を考慮して、L5 /L4 =0.6程度の部分よ
り上方向の位置がよい。
【0019】かかる構成において、芯体2表面の大部分
は弾性体1に包み込むように埋設されているので、芯体
2と弾性体1との接触面積が大きく、高い接着力が得ら
れる。作業時には、牽引力、旋回抵抗力等の負荷が加わ
って弾性体1が変形し、芯体2と弾性体1との接着端縁
が剥離し易いが、本実施例の接着端部は低応力部に形成
されているので、剥離の発生が大幅に低減可能となる。
また、弾性体履板長手方向において、芯体2の長さを、
接地面9の長さより大きくしてあるので、側方作業時あ
るいは突起物乗り越え時に、芯体2で荷重が支持され、
弾性体履板10の損傷を防止している。
【0020】弾性体履板10の接地面9側に関しては、
端面に向かって幅が小さくなる台形接地面1bにより、
弾性体履板10の端部が土等に乗り上げても、捩じり変
形が小さく、また湿地などでの食い込み性も良好で、大
きな牽引力が得られる。また、傾斜面1fは、土を把持
して履板の横滑りを防止すると共に、噛み込んだ石の排
出性も良い。更に、傾斜した台形状の面1cにより、傾
斜面を形成していない場合と比べて、ステアリング抵抗
が小さくなり、良好な走行性が得られる。さらに、翼部
2bの接地面9側部分の弾性体1マスが大きいので、よ
り大きな弾性変形が可能であり、耐引き裂き性が良好で
あると共に、縁石破壊も防止される。また、芯体1に
は、必要に応じて上部リブ7、下部リブ5、6を設ける
ことにより、芯体1の曲げ剛性等が強化されて、耐久
性、信頼性が確保される。
【0021】図8は、隣り合う弾性体履板の逆反りの模
式的な図である。本実施例では、上述のように(図7参
照)、弾性体履板全幅L2 がリンクピッチL1 より小さ
いと共に、逆反り初期接触部P1 における角度θ1 が、
第2側面1eの任意点の一例である端部P2 における角
度θ2 より、小さいとしてある。これにより、逆反り開
始時は、隣り合う弾性体履板10の逆反り初期接触部P
1 で接触し、続いて図8(a)に示すように、逆反り角
度θ3 の状態では、逆反り初期接触部P1 近傍が接触
し、弾性体1が少し変形する。逆反りが進んで、逆反り
角度θ3 より更に大きくなると、隣り合う弾性体履板1
0の第1側面1dの大部分が接触するとともに、第2側
面1eも逆反り初期接触部P1 から接触が増加するが、
弾性体1の撓みは、接地面9側に開放され易い。
【0022】また、逆反り角度θ3 が大きくなるに従っ
て、弾性体1は全体的に撓むようになる。さらに、逆反
り角度θ4 と大きくなると、弾性体1の全体的撓みはよ
り増大するが、局部的変形は生じない。この状態を図8
(b)に示すが、例えば凸程度の大きい突起物18を乗
り越えるような場合には、接地面側は突起物18を包み
込むようにして、広い面積で接触する。この接触によ
り、隣り合う弾性体1は、第1側面1dと、第2側面1
eとがほぼ全面接触となり、弾性反発し合って荷重を分
担するようになる。なお、逆反りが逆反り角度θ4 と大
きい場合でも、隣り合う弾性体履板10の芯体2は、干
渉したり、芯体2、2間の弾性体1が薄くなることがな
いように、芯体2のリンク長手方向サイズが設定されて
いる。このように、大きな逆反り角が得られつつ、局部
的集中荷重も防止される。さらに、接触面部に土砂など
を噛み込んだ場合でも、履帯巻き上げ時に容易に排出す
るので、異物の排出性がよい。
【0023】図9は、孔径Dに対する距離a(図3参
照)の比率と、弾性体履板10の損傷度との関係を示し
たものであり、種々の水準の距離aを織り込んだ車両に
よる耐久テスト結果である。ここで、損傷度は、弾性体
履板10の損傷の程度を、具体的には、主として接地面
9側のボルト挿通孔3近傍の損傷程度を、商品価値の有
無に基づいて評価したものである。また、損傷度0.3
は、耐久テスト終了時の合格限度レベルである。耐久テ
スト結果から、肉厚比率γ(=a/D)は、大きくなる
に従って損傷度が小さくなり、0.75以上で商品価値
があると評価される。
【0024】以上、本発明に係る弾性体履板について詳
述したが、上記実施例に限定されるものではない。本実
施例では図1に示すように、方形接地面1aと傾斜した
台形状の面1cとの間に台形接地面1bを形成してある
が、方形接地面1aの弾性体履板長手方向を延長して
斜した台形状の面1cと接するように形成し、傾斜した
台形状の面1cの接地面端部もこれに合わせて長く形成
した弾性体履板としてもよい。次に、芯体2は、従来芯
金と同様に、接地面側表面に凸部等の突起部を有する形
状でも適用されるが、図4〜図6に示すように、接地面
側表面、特に翼部2b下面は滑らかな面である方が好ま
しい。この滑らかな面を有することにより、弾性体1に
発生する内部応力は均一になり、芯体2近傍から発生し
やすい亀裂起点を防止できる。ここで、接地面側の滑ら
かな面とは、この芯体2近傍の弾性体1に歪みが集中し
ない形状、即ち凹凸等の急変しない形状を意味し、平
面、曲面、凹状或いは凸状の傾斜面等は勿論のこと、ゆ
るやかな凹凸を有する面でもよい。さらに、芯体2の端
部、コーナは、応力集中を防止するため、一般的なR、
面取り等を施して良い。また、芯体2には、上部リブ
7、下部リブ5、6等のリブを備える例を説明したが、
このリブは、芯体補強が主たる目的であり、必要に応じ
て形状、位置、数量を設定してよい。例えば、リブの無
い芯体2、上部リブ7と下部リブ6とを備える芯体2
等、種々の芯体が設計可能である。
【0025】また、側面1gについては、第1側面1d
と第2側面1eとの2面からなる場合で説明したが、こ
の側面は、一曲面、複数の曲面からなる複合曲面、複数
の平面からなる複合平面、或いは曲面と平面とからなる
複合面でよい。これは、本発明の一つである逆反り初期
接触部P1 の形成に関しては、逆反り初期接触部P1を
適切な位置にすることが重要であり、その結果、局部で
の大変形を防止し、有用な寿命が得られる。さらに、弾
性体には、ゴム、ウレタン、樹脂、エラストマー、非金
属系複合材等の比較的軟質な材料が用いられ、芯体に
は、鋼、鋳鋼、鋳鉄等の一般的な従来芯金材質、並びに
金属系複合材、非金属系複合材等の強度を有する材料が
用いられる。この芯体を弾性体に埋設しているが、例え
ばゴムの場合に行われる一般的な加硫接着など、一般的
な接着、接合等を施して埋設してある。また、リンクへ
の取付用ボルトとしては、通常のボルトでよいが、六角
穴付きボルトの使用は、ボルト挿通孔の孔径Dを小さく
できるので、ボルト挿通孔と方形接地面端面との距離a
(図3参照)が大きくなり、損傷度が小さくなるので好
ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。リ
ンク、ボルトの取付部分以外の芯体表面を、弾性体に埋
設するので、両者の固着面積が大きくなって高い接着力
が得られると共に、剥離の発生が大幅に低減可能とな
り、従来の一体型ゴム履帯と同程度の寿命が得られる。
この芯体の翼部は接地面側が平滑であると共に、翼部接
地面側の弾性体マスが大きいので、割れ、欠け等が防止
され寿命向上に有用である。と同時に、縁石を破壊しな
いので、オペレータの負担も軽減される。また、弾性体
履板の脱着は、ボルト、ナット等の取付部材を取付・取
外すだけであり、短時間で容易に行えるので、鉄履板と
同様に、摩耗、損傷時等での交換性が良い。
【0027】突起物乗り越えに伴う逆反り時には、隣り
合う弾性体同士の側面が、接地面よりもリンク側から接
触し始めて、大きい接触面積となるので、弾性体の疲労
亀裂発生が少ない。この接触面部に土砂などを噛み込ん
だ場合でも、巻き上げ時に容易に排出し、排出性がよ
い。また、台形接地面により、弾性体履板の端部が土等
に乗り上げても、捩じり変形が小さく、しかも湿地など
での食い込み性も良好で、大きな牽引力が得られる。傾
斜面は、土を把持して履板の横滑りを防止すると共に、
噛み込んだ石の排出性も良い。さらに、傾斜した台形状
面により、ステアリング抵抗が小さくなり、良好な走
行性が得られる。また、ボルト挿通孔の孔径と位置と
を、所定の関係とすることで、損傷の少ない耐久性のあ
る外観が得られ、良い商品価値を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る弾性体履板の接地面側か
らの平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1のB−B矢視断面図である。
【図4】実施例に係る芯体のリンク取付面側から見た平
面図である。
【図5】図4のX−X矢視断面図である。
【図6】図5のY−Y矢視図である。
【図7】実施例に係る弾性体履板のリンク締結状態での
説明図である。
【図8】実施例に係る隣り合う弾性体履板の逆反りを示
し、(a)は逆反り初期接触部近傍が接触状態での説明
図、(b)は逆反り角度が大きい時の説明図である。
【図9】実施例に係る弾性体履板の肉厚比率と損傷度の
関係を示す図表である。
【図10】従来技術に係る一般的な鉄製履帯の構造を示
し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 弾性体、1a 方形接地面、1b 台形接地面、1
傾斜した台形状の面、1f 傾斜面、1d 第1側
面、1e 第2側面、1g 側面、2 芯体、2a 履
板取付部、2b 翼部、3 ボルト挿通孔、4 ボルト
取付穴、5 第1下部リブ、6 第2下部リブ、7 上
部リブ、8 リンク取付面、9 接地面、10 弾性体
履板、15 リンク、16 ピン、a 距離、D 孔
径、L1リンクピッチ、L2 弾性体履板全幅、L3
接地面幅、P 接地面方向垂線、P0 リンクピン中
心、P1 逆反り初期接触部、θ1 、θ2 角度。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 履板とリンクとをボルトにより締結し、
    前記履板を取り付けた複数の前記リンクをピンにより連
    結して構成した無限軌道履帯の履板であって、前記履板
    は、前記ボルトの挿通孔を設ける弾性体と、左右両側の
    翼部と接地面側へ凹陥状をなす履板取付部とからなる芯
    体と、から構成され、前記履板取付部には前記ボルトの
    取付穴を設けてなり、前記芯体が前記弾性体に埋設され
    て一体化すると共に、前記芯体が、前記ボルト取付穴と
    その近傍を、及び前記履板取付部の前記リンクへの取付
    面を、それぞれ露出し、前記リンク長手方向の側面に
    は、前記接地面より前記リンク側となる部分に、逆反り
    初期に隣の弾性体履板と接触する逆反り初期接触部を形
    成し、前記逆反り初期接触部の位置は、前記リンク長手
    方向断面における前記弾性体履板の側面であって、前記
    リンク取付面から前記接地面までの距離に対する、前記
    リンク取付面から前記逆反り初期接触部までの距離の割
    合が0.8の部分より、前記リンク側となる位置である
    ことを特徴とする弾性体履板。
  2. 【請求項2】 前記翼部の前記リンク側には、少なくと
    も一の上部リブを設けてなることを特徴とする請求項1
    記載の弾性体履板。
  3. 【請求項3】 前記履板取付部の前記接地面側には、少
    なくとも一の下部リブを設けてなることを特徴とする請
    求項1記載の弾性体履板。
  4. 【請求項4】 前記弾性体履板のリンク長手方向の断面
    は、 (イ)接地面が前記リンク取付面と略平行な平面又は曲
    面を有し、 (ロ)前記リンク長手方向の弾性体履板全幅がリンクピ
    ッチより小さく、 (ハ)前記リンク長手方向の接地面幅が前記弾性体履板
    全幅より小さいことを特徴とする請求項1,2又は3記
    載の弾性体履板。
  5. 【請求項5】 前記弾性体履板の接地面側は、前記弾性
    体履板の長手方向の中央部には方形接地面を形成し、前
    記方形接地面の左右両側には先細りとなる台形接地面を
    形成し、前記台形接地面と前記弾性体履板長手方向の側
    端部との間には傾斜した台形状の面を形成してなること
    を特徴とする請求項4記載の弾性体履板。
  6. 【請求項6】 前記ボルト挿通孔の孔径に対して、前記
    ボルト挿通孔を有する前記接地面のリンク長手方向端部
    から前記ボルト挿通孔の内面までの距離の比率が、0.
    75以上であることを特徴とする請求項2〜のいずれ
    か1項に記載の弾性体履板。
  7. 【請求項7】 前記両翼部の接地面側表面は、滑らかな
    面であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項
    に記載の弾性体履板。
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