JP3436050B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JP3436050B2
JP3436050B2 JP05206997A JP5206997A JP3436050B2 JP 3436050 B2 JP3436050 B2 JP 3436050B2 JP 05206997 A JP05206997 A JP 05206997A JP 5206997 A JP5206997 A JP 5206997A JP 3436050 B2 JP3436050 B2 JP 3436050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動力制御装置に
係り、特に、車両において緊急ブレーキ操作が行われた
際に、通常時に比して大きな制動力を発生させる制動力
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平4−12126
0号に開示される如く、緊急ブレーキ操作が要求された
場合に、通常時に比して大きな制動力を発生させる制動
力制御装置が知られている。上記従来の制動力制御装置
は、ポンプを液圧源として高圧の液圧を発生する液圧発
生機構を備えている。
【0003】上記従来の装置において、ホイルシリンダ
はマスタシリンダ又は液圧発生機構に選択的に連通され
るように構成されている。通常時には、ホイルシリンダ
とマスタシリンダとが連通されることで、ブレーキ踏力
に応じた液圧に調圧されたマスタシリンダ圧がホイルシ
リンダに供給される。以下、かかる状態を実現する制御
を通常ブレーキ制御と称する。また、緊急ブレーキ操作
が検出された場合には、ホイルシリンダと液圧発生機構
が連通されることで、液圧発生機構の高圧の液圧がホイ
ルシリンダに供給される。以下、かかる状態を実現する
制御をブレーキアシスト制御と称する。従って、上記従
来の装置によれば、通常時において制動力をブレーキ踏
力に応じた大きさに制御し、かつ、緊急ブレーキ操作が
検出された後に、制動力を速やかに立ち上げることがで
きる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ブレーキア
シスト制御の実行中は、ホイルシリンダにはマスタシリ
ンダに比して高圧の液圧が発生している。従って、ブレ
ーキアシスト制御が終了して、通常ブレーキ制御が開始
される際、ホイルシリンダとマスタシリンダとが連通さ
れることにより、高圧のホイルシリンダ圧がマスタシリ
ンダに付与される。このため、ブレーキペダルに衝撃力
が伝達されて、運転者に違和感を与えてしまう。
【0005】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、ブレーキアシスト制御の終了時に、ブレーキペダ
ルに衝撃力が伝達されるのを防止することが可能な制動
力制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、ブレーキ踏力に応じた制動力を発生さ
せる通常ブレーキ制御と、運転者により緊急ブレーキ操
作が行なわれた際に通常ブレーキ制御に比して大きな制
動力を発生させるブレーキアシスト制御とを実行する制
動力制御装置において、ブレーキペダルに連結され、該
ブレーキペダルに付与される操作量に応じた液圧を発生
するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧に応
じた液圧を発生するレギュレータと、高圧の液圧を発生
する高圧液圧源と、通常時にはホイルシリンダと前記マ
スタシリンダとが連通する通常ブレーキ状態を実現する
ことにより前記通常ブレーキ制御を実行させ、緊急ブレ
ーキ操作が行なわれた際にはホイルシリンダと前記高圧
液圧源とが連通するブレーキアシスト状態を実現するこ
とにより前記ブレーキアシスト制御を実行させ、かつ、
前記ブレーキアシスト制御の終了条件が成立すると、
てのホイルシリンダと前記レギュレータとが連通するパ
ワー圧保持状態を実現する液圧制御手段と、を備える制
動力制御装置により達成される。
【0007】本発明において、ブレーキアシスト制御の
実行中にはホイルシリンダの液圧(以下、ホイルシリン
ダ圧と称す)はマスタシリンダの液圧に比して高圧に昇
圧されている。このため、ブレーキアシスト制御の終了
条件が成立した際に、直ちに通常ブレーキ状態が実現さ
れると、高圧のホイルシリンダ圧がマスタシリンダに付
与される。マスタシリンダはブレーキペダルに連結され
ている。従って、マスタシリンダに高圧のホイルシリン
ダ圧が付与されると、ブレーキペダルに衝撃力が伝達さ
れる。本発明によれば、液圧制御手段は、ブレーキアシ
スト制御の終了条件が成立すると、パワー圧保持状態を
実現する。パワー圧保持状態においては、全てのホイル
シリンダがレギュレータと連通しているため、マスタシ
リンダに高圧のホイルシリンダ圧が付与されることはな
い。従って、ブレーキアシスト制御の終了時に、ブレー
キペダルに衝撃力が伝達されることが防止される。
【0008】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く、請求項1記載の制動力制御装置において、前記液
圧制御手段は、前記通常ブレーキ状態から開始されたブ
レーキアシスト制御の終了条件が成立した後所定期間、
前記パワー圧保持状態を維持する制動力制御装置によっ
て効果的に達成される。
【0009】本発明において、通常ブレーキ状態ではマ
スタシリンダとホイルシリンダとが連通している。この
ため、通常ブレーキ状態からブレーキアシスト制御が開
始される直前に、ブレーキフルードはマスタシリンダか
らホイルシリンダへ流入する。一方、パワー圧保持状態
においては、レギュレータとホイルシリンダとが連通し
ている。このため、ブレーキアシスト制御の終了条件の
成立時にパワー圧保持状態が実現されると、ブレーキフ
ルードはホイルシリンダからレギュレータへ流入する。
従って、ポンピングブレーキ操作に伴って通常ブレーキ
状態からブレーキアシスト制御が繰り返し実行される
と、マスタシリンダ内のブレーキフルードは次第に減少
することになる。本発明によれば、液圧制御手段は、通
常ブレーキ状態から開始されたブレーキアシスト制御
終了条件が成立した後所定期間、パワー圧保持状態を維
持する。このため、上記所定期間内にブレーキアシスト
制御が再び開始されても、マスタシリンダ内のブレーキ
フルード量が減少することはない。
【0010】更に、上記の目的は、請求項3に記載する
如く、請求項1又は2記載の制動力制御装置において、
ポンピングブレーキ操作が実行されたことを検出するポ
ンピングブレーキ操作検出手段を備え、かつ、前記液圧
制御手段は、前記液圧制御手段は、前記ブレーキアシス
ト制御の終了条件の成立時にポンピングブレーキ操作が
検出された場合に、前記パワー圧保持状態を実現するこ
となく直ちに前記通常ブレーキ状態を実現することを特
徴とする制動力制御装置によっても効果的に達成され
る。
【0011】本発明において、液圧制御手段はブレーキ
アシスト制御の終了条件の成立時にポンピングブレーキ
操作が検出された場合に、パワー圧保持状態を実現する
ことなく直ちに通常ブレーキ状態を実現する。この場
合、ブレーキアシスト制御の終了条件が成立した時に
ホイルシリンダ内のブレーキフルードはマスタシリンダ
へ回収される。従って、ポンピングブレーキ操作に伴っ
てブレーキアシスト制御が繰り返し実行された場合に、
マスタシリンダ内のブレーキフルード量が減少すること
が防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例に対応
するハイドロブースタ式制動力制御装置(以下、単に制
動力制御装置と称す)のシステム構成図を示す。本実施
例の制動力制御装置は、電子制御ユニット10(以下、
ECU10と称す)により制御されている。
【0013】制動力制御装置は、ブレーキペダル12を
備えている。ブレーキペダル12の近傍には、ブレーキ
スイッチ14が配設されている。ブレーキスイッチ14
は、ブレーキペダル12が踏み込まれた状態でオン信号
を出力し、ブレーキペダル12が踏み込まれていない状
態でオフ信号を出力する。ブレーキスイッチ14の出力
信号はECU10に供給されている。ECU10は、ブ
レーキスイッチ14の出力信号に基づいてブレーキペダ
ル12が踏み込まれているか否かを判別する。
【0014】ブレーキペダル12は、マスタシリンダ1
6に連結されている。マスタシリンダ16の上部にはリ
ザーバタンク18が配設されている。リザーバタンク1
8には、ブレーキフルードをリザーバタンク18に還流
させるためのリターン通路20が連通している。リザー
バタンク18には、また、供給通路22が連通してい
る。供給通路22はポンプ24の吸入側に連通してい
る。ポンプ24の吐出側には、アキュムレータ通路26
が連通している。アキュレータ通路26と供給通路22
との間には、アキュムレータ通路26に過剰な圧力が生
じた場合に開弁する定圧開放弁27が配設されている。
【0015】アキュムレータ通路26には、ポンプ24
から吐出される油圧を蓄えるためのアキュムレータ28
が連通している。アキュムレータ通路26には、また、
上限側圧力スイッチ30および下限側圧力スイッチ32
が接続されている。上限側圧力スイッチ30は、アキュ
ムレータ通路26の圧力(以下、アキュムレータ圧P
ACC と称す)が所定の上限値を超える場合にオン出力を
発生する。一方、下限側圧力スイッチ32は、アキュム
レータ圧PACC が所定の下限値を超える場合にオン出力
を発生する。
【0016】ポンプ24は、下限側圧力スイッチ32か
らオン出力が発せられた後、上限側圧力スイッチ30に
よってオン出力が発せられるまで、すなわち、アキュム
レータ圧PACCが下限値を下回った後、上限値に到達
するまでオン状態とされる。このため、アキュムレータ
圧PACCは常に上限値と下限値との間に維持される。
マスタシリンダ16には、レギュレータ34が一体に組
み込まれている。レギュレータ34には、アキュムレー
タ通路26が連通している。以下、マスタシリンダ16
とレギュレータ34とを総称してハイドブースタ36
と称す。
【0017】図2は、ハイドロブースタ36の断面図を
示す。ハイドロブースタ36は、ハウジング38を備え
ている。ハウジング38の内部には第1ピストン40が
配設されている。第1ピストン40は、大径部42およ
び小径部44を備えている。大径部42の外周面にはシ
ールリング43が配設されている。また、小径部44の
大径部42とは反対側端部の外周面には、シールリング
45が配設されている。シールリング43及び45によ
り第1ピストン40とハウジング38とのシール性が確
保されている。
【0018】ハウジング38の内部には、第1ピストン
40のブレーキペダル12側にアシスト油圧室46が形
成されていると共に、小径部44の周囲に大気圧室48
が形成されている。図2に示す状態において、大気圧室
48は液圧通路49を介してリザーバタンク18と連通
している。ハウジング38の内部には、第2ピストン5
0が配設されている。第2ピストン50は、大径部52
とスプール部54とを備えている。ハウジング38の内
部には、第1ピストン40と第2ピストン50との間に
第1油圧室56が形成されている。ハウジング38の内
部には、スプール部54を取り巻くように第2油圧室5
8が形成されている。第1油圧室56には、第1ピスト
ン40および第2ピストン50を離間方向に付勢するス
プリング60が配設されている。第2油圧室58は、液
圧通路62を介してアシスト油圧室46と連通してい
る。
【0019】なお、第1油圧室56はマスタシリンダ1
6の液圧室として機能し、第2油圧室58はレギュレー
タ34の液圧室として機能する。第1ピストン40は、
ブレーキペダル12に踏力が付与されていない状態で
は、図2における右側変位端、即ち、原位置に保持され
る。この状態では、第1油圧室56は液圧通路49を介
してリザーバタンク18と連通する。一方、ブレーキペ
ダル12に踏力が付与されると、第1ピストン40は図
2における左向きに変位する。この変位が一定量を越え
た状態では、第1油圧室5とリザーバタンク18との
連通はシールリング45によって遮断される。
【0020】ハウジング38の内部には、また、一端が
アキュムレータ通路26に連通し、かつ、他端がスプー
ル部54の外周面に開口する高圧通路64が形成されて
いる。スプール部54は、図2における左方向に変位す
ることにより高圧通路64と第2油圧室58とを導通状
態とし、図2における右方向に変位することにより高圧
通路64と第2油圧室58とを遮断状態とする。
【0021】ハウジング38の内部には、弁機構66が
配設されている。弁機構66は、弁座68、弁体70、
および、スプリング72を備えている。弁座68の周囲
には、リザーバタンク18に連通する大気圧室74が形
成されている。また、弁座68の端面には、第2油圧室
58に連通する調圧通路76が開口している。弁座68
の内部には、大気圧室74と調圧通路76とを連通する
油路が形成されている。弁体70は、第2ピストン50
が図1に於ける右側変位端、すなわち、原位置に位置す
る場合にその油路を導通状態とし、かつ、第2ピストン
50が原位置から図1に於ける左方向へ変位している場
合にその油路を遮断状態とする。
【0022】ハウジング38の内部には、弁機構66の
端面から僅かに離間した位置にリアクションディスク7
8が配設されている。リアクションディスク78は、ハ
ウジング38の内部に、調圧通路76に連通する反力室
80を隔成している。リアクションディスク78は弾性
を有する部材で構成されており、反力室80に高圧の油
圧が導かれると、弾性変形することにより弁機構66と
当接する。
【0023】ブレーキペダル12にブレーキ踏力Fが加
えられていない場合は、第1ピストン40および第2ピ
ストン50が共に原位置、すなわち、図2に於ける右側
変位端に保持される。この場合、第2油圧室58は、弁
機構66を介して調圧通路76とリザーバタンク18と
が導通状態とされることにより大気圧に調圧されると共
に、第1油圧室56はリザーバタンク18と連通される
ことにより大気圧に調圧される。第2油圧室58が大気
圧に調圧されると、液圧通路62を介して第2油圧室に
連通するアシスト油圧室46は同様に大気圧に調圧され
る。
【0024】ブレーキペダル12にブレーキ踏力Fが加
えられると、第1ピストン40および第2ピストン50
は、それらの原位置から図2における左方向へ変位す
る。第2ピストン50に左向きの変位が生ずると、先ず
弁機構66が閉弁状態となり、調圧通路76とリザーバ
タンク18とが遮断状態とされる。第2ピストン50が
更に左向きに変位すると、スプール部54を介して高圧
通路64と第2油圧室58とが導通状態とされる。
【0025】高圧通路64と第2油圧室58とが導通状
態となると、アキュムレータ圧PAC C が第2油圧室58
に導かれることにより第2油圧室58の内圧(以下、こ
の圧力をレギュレータ圧PREと称す)が昇圧する。レギ
ュレータ圧PREはアシスト油圧室46に導かれる。この
ため、レギュレータ圧PREが昇圧すると、第1ピストン
40には、ブレーキ踏力Fに加えてそのレギュレータ圧
REに応じたアシスト力Faが加えられる。
【0026】アシスト油圧室46に導かれたレギュレー
タ圧PREが第1ピストン40に作用する面積をS1 とす
ると、アシスト力Faは次式の如く表すことができる。 Fa=S1 ×PRE ・・・(1) この場合、第1油圧室56には、ブレーキ踏力Fとレギ
ュレータ圧PREとに応じた油圧(以下、この圧力をマス
タシリンダ圧PM/C と称す)が発生する。第1ピストン
40の小径部44の断面積をS2 とすると、マスタシリ
ンダ圧PM/C は、ブレーキ踏力F、および、レギュレー
タ圧PREを用いて次式の如く表すことができる。
【0027】 PM/C =(F+S1 ×PRE)/S2 ・・・(2) この際、第1油圧室56内のブレーキフルードが第2ピ
ストン58を押圧する力FM/C は、第2ピストン50の
大径部52の面積をS2 とすると、次式の如く表すこと
ができる。 FM/C =PM/C ×S2 =F+S1 ×PRE ・・・(3) また、第2油圧室58にレギュレータ圧PREが発生した
場合に、第2油圧室58内のブレーキフルードが第2ピ
ストン58を押圧する力FREは、第2油圧室58内のレ
ギュレータ圧PREが第2ピストン58に作用する面積を
3 とすると、次式の如く表すことができる。
【0028】 FRE=PRE×S3 ・・・(4) 第2油圧室58に発生するレギュレータ圧PREは、反力
室80にも導かれる。第2ピストン50が、弁機構66
とリアクションディスク78とが当接するまで図2に於
ける右向きに変位すると、第2ピストン50には、リア
クションディスク78を介してレギュレータ圧PREに応
じた反力Frが伝達される。反力Frは、所定値Kを用
いて次式の如く表すことができる。
【0029】 Fr=K×PRE ・・・(5) ブレーキペダル12にブレーキ踏力Fが加えられた後、
上記(3)〜(5)式に示すFM/C 、FRE、および、F
rに次式の関係が成立する間は第2ピストン50が原位
置から図2に於ける左方向に変位する。 FM/C >FRE+Fr ・・・(6) この場合、第2油圧室58が高圧通路64と導通状態に
維持されるため、レギュレータ圧PREは徐々に上昇す
る。
【0030】ブレーキペダル12にブレーキ踏力Fが加
えられた後、上記(3)〜(5)式に示すFM/C
RE、および、Frに次式の関係が成立する状態が形成
されると、第2ピストン50は原位置に向けて押し戻さ
れる。 FM/C <FRE+Fr ・・・(7) 第2ピストン50が原位置に向けて押し戻されると、第
2油圧室58が高圧通路64から遮断されるため、レギ
ュレータ圧PREの昇圧が停止される。このため、ハイド
ロブースタ36によれば、ブレーキペダル12にブレー
キ踏力が加えられた後、次式の関係が満たされるように
レギュレータ圧PREが調圧される。
【0031】 FM/C =FRE+Fr ・・・(8) 上記(8)式の関係は、上記(3)〜(5)式の関係を
用いて次式の如く書き換えることができる。 PRE=F/(S3 +K−S1 ) ・・・(9) 本実施例において、ハイドロブースタ36は、上記
(9)式中“1/(S3 +K−S1 )”が所定の倍力比
となるように、かつ、レギュレータ圧PREとマスタシリ
ンダ圧PM/C とがほぼ等圧となるように設計されてい
る。このため、ハイドロブースタ36によれば、ブレー
キペダル12にブレーキ踏力Fが加えられた場合に、第
1油圧室56および第2油圧室58に、ブレーキ踏力F
に対して所定の倍力比を有する液圧(マスタシリンダ圧
M/C およびレギュレータ圧PRE)を発生させることが
できる。
【0032】尚、以下の記載においては、ハイドロブー
スタ36によって生成される液圧、すなわち、第1油圧
室56で生成されるマスタシリンダ圧PM/C 、および、
第2油圧室58で生成されるレギュレータ圧PREを総称
して、マスタシリンダ圧PM/ C と称す。図1に示す如
く、ハイドロブースタ36の第1油圧室56、および、
第2油圧室58には、それぞれ第1液圧通路82、およ
び、第2液圧通路84が連通している。第1液圧通路8
2には、第1アシストソレノイド86(以下、SA-1
6と称す)および第2アシストソレノイド88(以下、
SA-288と称す)が連通している。一方、第2液圧通
路84には、第3アシストソレノイド90(以下、SA
-390と称す)が連通している。
【0033】SA-186およびSA-288には、また、
制御圧通路92が連通している。制御圧通路92は、レ
ギュレータ切り換えソレノイド94(以下、STR94
と称す)を介してアキュムレータ通路26に連通してい
る。STR94は、オフ状態とされることでアキュムレ
ータ通路26と制御圧通路92とを遮断状態とし、か
つ、オン状態とされることでそれらを導通状態とする2
位置の電磁弁である。
【0034】SA-186には、右前輪FRに対応して設
けられた液圧通路96が連通している。同様に、SA-2
88には、左前輪FLに対応して設けられた液圧通路9
8が連通している。SA-186は、オフ状態とされるこ
とで液圧通路96を第1液圧通路82に導通させる第1
の状態を実現し、かつ、オン状態とされることで液圧通
路96を制御圧通路92に導通させる第2の状態を実現
する2位置の電磁弁である。また、SA-288は、オフ
状態とされることで液圧通路98を第1液圧通路82に
導通させる第1の状態を実現し、かつ、オン状態とされ
ることで液圧通路98を制御圧通路92に導通させる第
2の状態を実現する2位置の電磁弁である。
【0035】SA-390には、左右後輪RL,RRに対
応して設けられた液圧通路100が連通している。SA
-390は、オフ状態とされることで第2液圧通路84と
液圧通路100とを導通状態とし、かつ、オン状態とさ
れることでそれらを遮断状態とする2位置の電磁弁であ
る。第2液圧通路84と液圧通路100との間には、第
2液圧通路84側から液圧通路100側へ向かうフルー
ドの流れのみを許容する逆止弁102が配設されてい
る。
【0036】右前輪FRに対応する液圧通路96には、
右前輪保持ソレノイド104(以下、SFRH104と
称す)が連通している。同様に、左前輪FLに対応する
液圧通路96には左前輪保持ソレノイド106(以下、
SFLH106と称す)が、左右後輪RL,RRに対応
する液圧通路100には右後輪保持ソレノイド108
(以下、SRRH108と称す)および左後輪保持ソレ
ノイド110(以下、SRLH110と称す)が、それ
ぞれ連通している。以下、これらのソレノイドを総称す
る場合は「保持ソレノイドS**H」と称す。
【0037】SFRH104には、右前輪減圧ソレノイ
ド112(以下、SFRR112と称す)が連通してい
る。同様に、SFLH106、SRRH108およびS
RLH110には、それぞれ左前輪減圧ソレノイド11
4(以下、SFLR114と称す)、右後輪減圧ソレノ
イド116(以下、SRRR116と称す)および左後
輪減圧ソレノイド118(以下、SRLR118と称
す)が、それぞれ連通している。以下、これらのソレノ
イドを総称する場合には「減圧ソレノイドS**R」と
称す。
【0038】SFRH104には、また、右前輪FRの
ホイルシリンダ120が連通している。同様に、SFL
H106には左前輪FLのホイルシリンダ122が、S
RRH108には右後輪RRのホイルシリンダ124
が、また、SRLH110には左後輪RLのホイルシリ
ンダ126がそれぞれ連通している。更に、液圧通路9
6とホイルシリンダ120との間には、SFRH104
をバイパスしてホイルシリンダ120側から液圧通路9
6へ向かうフルードの流れを許容する逆止弁128が配
設されている。同様に、液圧通路98とホイルシリンダ
122との間、液圧通路100とホイルシリンダ124
との間、および、液圧通路100とホイルシリンダ12
6との間には、それぞれSFLH106、SRRH10
8およびSRLH110をバイパスするフルードの流れ
を許容する逆止弁130,132,134が配設されて
いる。
【0039】SFRH104は、オフ状態とされること
により液圧通路96とホイルシリンダ120とを導通状
態とし、かつ、オン状態とされることによりそれらを遮
断状態とする2位置の電磁弁である。同様に、SFLH
106、SRRH108およびSRLH110は、それ
ぞれオン状態とされることにより液圧通路98とホイル
シンダ122とを結ぶ経路、液圧通路100とホイルシ
ンダ124とを結ぶ経路、および、液圧通路100とホ
イルシンダ126とを結ぶ経路を遮断状態とする2位置
の電磁弁である。
【0040】SFRR112、SFLR114、SRR
R116およびSRLR118にはリターン通路20が
連通している。SFRR112は、オフ状態とされるこ
とによりホイルシリンダ120とリターン通路20とを
遮断状態とし、かつ、オン状態とされることによりホイ
ルシリンダ120とリターン通路20とを導通状態とす
る2位置の電磁弁である。同様に、SFLR114、S
RRR116およびSRLR118は、それぞれオン状
態とされることによりホイルシリンダ122とリターン
通路20とを結ぶ経路、ホイルシリンダ124とリター
ン通路20とを結ぶ経路、および、ホイルシリンダ12
6とリターン通路20とを結ぶ経路を導通させる2位置
の電磁弁である。
【0041】右前輪FRの近傍には、車輪速センサ13
6が配設されている。車輪速センサ136は、右前輪F
Rの回転速度に応じた周期でパルス信号を出力する。同
様に、左前輪FLの近傍、右後輪RRの近傍、および、
左後輪RLの近傍には、それぞれ対応する車輪の回転速
度に応じた周期でパルス信号を出力する車輪速センサ1
38,140,142が配設されている。車輪速センサ
136〜142の出力信号はECU10に供給されてい
る。ECU10は、車輪速センサ136〜142の出力
信号に基づいて各車輪の回転速度VW を検出する。
【0042】ハイドロブースタ36の第2油圧室58に
連通する第2液圧通路84には、液圧センサ144が配
設されている。液圧センサ144は、第2油圧室58の
内部に発生する液圧、すなわち、ハイドロブースタ36
によって生成されるマスタシリンダ圧PM/C に応じた電
気信号を出力する。液圧センサ144の出力信号はEC
U10に供給されている。ECU10は、液圧センサ1
44の出力信号に基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検
出する。
【0043】次に、本実施例の制動力制御装置の動作を
説明する。本実施例の制動力制御装置は、油圧回路内に
配設された各種の電磁弁の状態を切り換えることによ
り、通常のブレーキ装置としての機能、アンチロッ
クブレーキシステムとしての機能、および、制動力の
速やかな立ち上がりが要求される場合に通常時に比して
大きな制動力を発生させる機能(ブレーキアシスト機
能)を実現する。
【0044】図1は、通常のブレーキ装置としての機
能(以下、通常ブレーキ機能と称す)を実現するための
制動力制御装置の状態を示す。すなわち、通常ブレー
キ機能は、図1に示す如く、制動力制御装置が備える全
ての電磁弁をオフ状態とすることにより実現される。以
下、図1に示す状態を通常ブレーキ状態と称す。また、
制動力制御装置において通常ブレーキ機能を実現させる
ための制御を通常ブレーキ制御と称す。
【0045】図1において、左右前輪FL,FRのホイ
ルシリンダ120,122は、第1液圧通路82を介し
てハイドロブースタ34の第1油圧室56に連通してい
る。また、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ12
4,126は、第2液圧通路84を介してハイドロブー
スタ36の第2油圧室58に連通している。この場合、
ホイルシリンダ120〜126のホイルシリンダ圧P
W/C は、常にマスタシリンダ圧PM/C と等圧に制御され
る。従って、図1示す状態によれば、通常ブレーキ機能
が実現される。
【0046】図3は、アンチロックブレーキシステム
としての機能(以下、ABS機能と称す)を実現するた
めの制動力制御装置の状態を示す。すなわち、ABS
機能は、図3に示す如く、SA-186およびSA-288
をオン状態とし、かつ、ABSの要求に応じて保持ソレ
ノイドS**Hおよび減圧ソレノイドS**Rを適当に
駆動することにより実現される。以下、図3に示す状態
をABS作動状態と称す。また、制動力制御装置におい
てABS機能を実現させるための制御をABS制御と称
す。
【0047】ECU10は、車両が制動状態にあり、か
つ、何れかの車輪について過剰なスリップ率が検出され
た場合にABS制御を開始する。ABS制御中は、前輪
に対応して設けられた液圧通路96,98が、後輪に対
応して設けられた液圧通路100と同様にハイドロブー
スタ36の第2油圧室58に連通する。従って、ABS
制御中は、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C が第2
油圧室58を液圧源として昇圧される。
【0048】ABS制御の実行中に、保持ソレノイドS
**Hを開弁状態とし、かつ、減圧ソレノイドS**R
を閉弁状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C
を増圧することができる。以下、この状態を (i)増圧モ
ードと称す。また、ABS制御中に保持ソレノイドS*
*Hおよび減圧ソレノイドS**Rの双方を閉弁状態と
すると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を保持するこ
とができる。以下、この状態を(ii)保持モードと称す。
更に、ABS制御中に保持ソレノイドS**Hを閉弁状
態とし、かつ、減圧ソレノイドS**Rを開弁状態とす
ると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を減圧すること
ができる。以下、この状態を (iii)減圧モードと称す。
【0049】ECU10は、ABS制御中に、各車輪の
スリップ状態に応じて、各車輪毎に適宜上記の (i)増圧
モード、(ii)保持モード、および、 (iii)減圧モードが
実現されるように、保持ソレノイドS**Hおよび減圧
ソレノイドS**Rを制御する。保持ソレノイドS**
Hおよび減圧ソレノイドS**Rが上記の如く制御され
ると、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C は、対応す
る車輪に過大なスリップ率を発生させることのない圧力
に制御される。従って、上記の制御によれば、制動力制
御装置においてABS機能を実現することができる。
【0050】ABS制御中は、各車輪で減圧モードが行
われる毎にホイルシリンダ120〜126内のブレーキ
フルードがリターン通路20に排出される。そして、各
車輪で増圧モードが行われる毎にハイドロブースタ36
からホイルシリンダ120〜126にブレーキフルード
が供給される。このため、ABS制御中は通常ブレーキ
時に比して多量のブレーキフルードがハイドロブースタ
36から流出する。
【0051】ハイロドブースタ36の第1油圧室56に
は、アキュムレータ28のような液圧源が連通していな
い。また、上述の如くブレーキペダル12が踏み込まれ
た状態では、第1油圧室56とリザーバタンク18との
間は遮断されている。このため、ABS制御の実行中に
第1油圧室56が液圧源として用いられると、第1油圧
室56内部のブレーキフルードが多量に流出して、その
結果、ブレーキペダル12に過大なストロークが生ずる
事態が生ずる。これに対して、本実施例のシステムにお
いては、ABS制御中に、スプール部54を介してアキ
ュムレータ28に連通する第2油圧室58が液圧源とし
て用いられる。このため、本実施例のシステムによれ
ば、ABS制御の実行中にブレーキペダル12に過大な
ストロークが生ずることはない。
【0052】図4乃至図6は、ブレーキアシスト機能
(以下、BA機能と称す)を実現するための制動力制御
装置の状態を示す。ECU10は、運転者によって制動
力の速やかな立ち上がりを要求するブレーキ操作、すな
わち、緊急ブレーキ操作が実行された後に図4乃至図6
に示す状態を適宜実現することでBA機能を実現する。
以下、制動力制御装置において、BA機能を実現させる
ための制御をBA制御と称す。
【0053】図4は、BA制御の実行中に実現されるア
シスト圧増圧状態を示す。アシスト圧増圧状態は、BA
制御の実行中に各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を増圧
させる必要がある場合に実現される。本実施例のシステ
ムにおいて、アシスト圧増圧状態は、図4に示す如く、
SA-186、SA-288、SA-390およびSTR94
をオン状態とすることで実現される。
【0054】アシスト圧増圧状態では、全てのホイルシ
リンダ120〜126がSTR94を介してアキュムレ
ータ通路26に連通する。従って、アシスト圧増圧状態
を実現すると、全ての車輪のホイルシリンダ圧P
W/C を、アキュムレータ28を液圧源として昇圧するこ
とができる。アキュムレータ28には、高圧のアキュム
レータ圧PACC が蓄えられている。このため、アシスト
圧増圧状態によれば、全ての車輪のホイルシリンダ圧P
W/C を、マスタシリンダ圧PM/C に比して高圧に昇圧す
ることができる。
【0055】ところで、図4に示すアシスト圧増圧状態
において、液圧通路96,98,100は、上記の如く
アキュムレータ通路26に連通していると共に、逆止弁
102を介して第2液圧通路84に連通している。この
ため、第2液圧通路84に導かれるマスタシリンダ圧P
M/C が各車輪のホイルシリンダ圧PW/C に比して大きい
場合は、アシスト圧増圧状態においてもハイドロブース
タ36を液圧源としてホイルシリンダ圧PW/C を昇圧す
ることができる。
【0056】図5は、BA制御の実行中に実現されるア
シスト圧保持状態を示す。アシスト圧保持状態は、BA
制御の実行中に各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を保持
する必要がある場合に実現される。アシスト圧保持状態
は、図5に示す如く、SA-186、SA-288、SA-3
90およびSTR94をオン状態とした状態で、更に、
全ての保持ソレノイドS**Hをオン状態(閉弁状態)
とすることで実現される。
【0057】アシスト圧保持状態では、ハイドロブース
タ36とホイルシリンダ120〜126とが遮断状態と
され、リターン通路20とホイルシリンダ120〜12
6とが遮断状態とされ、かつ、アキュムレータ28から
ホイルシリンダ120〜126へ向かうフルードの流れ
が阻止される。このため、アシスト圧保持状態によれ
ば、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C を一定値に保
持することができる。
【0058】図6は、BA制御の実行中に実現されるア
シスト圧減圧状態を示す。アシスト圧減圧状態は、BA
制御の実行中に各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を減圧
する必要がある場合に実現される。アシスト圧減圧状態
は、図6に示す如く、SA-186およびSA-288をオ
ン状態とすることで実現される。アシスト圧減圧状態で
は、アキュムレータ28とホイルシリンダ120〜12
6とが遮断状態とされ、リターン通路20とホイルシリ
ンダ120〜126とが遮断状態とされ、かつ、ハイド
ロブースタ36とホイルシリンダ120〜126とが導
通状態とされる。このため、アシスト圧減圧状態によれ
ば、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C を、マスタシ
リンダ圧PM/C を下限値として減圧することができる。
【0059】制動力制御装置においてBA制御が開始さ
れると、その後、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C が速
やかに昇圧されることにより、何れかの車輪について過
剰なスリップ率が生ずる場合がある。ECU10は、こ
のような場合には、BA制御に加えてABS制御を実行
する。以下、この制御をBA+ABS制御と称す。BA
+ABS制御は、上記図4乃至図6に示す何れかの状態
を実現しつつ、過剰なスリップ率の生じた車輪(以下、
ABS対象車輪と称す)について、適宜上述した(i) 増
圧モード、(ii)保持モード、および、(iii) 減圧モード
が実現されるように、保持ソレノイドS**Hおよび減
圧ソレノイドS**Rを制御することで実現される。
【0060】すなわち、上記図4に示すアシスト圧増圧
状態、または、上記図5に示すアシスト圧保持状態が実
現されている場合は、保持ソレノイドS**Hの全てに
アキュムレータ圧PACC が供給される。このような状況
下では、保持ソレノイドS**Hおよび減圧ソレノイド
S**Rを適当に制御することで、全ての車輪につい
て、(ii)保持モード、 (iii)減圧モード、および、ホイ
ルシリンダ圧PW/C をマスタシリンダ圧PM/C を超える
圧力に昇圧することを目的とする (i)増圧モードを実現
することができる。従って、上記図4および図5に示す
何れかの状態が実現されている場合は、ABS制御の要
求に応じて保持ソレノイドS**Hおよび減圧ソレノイ
ドS**Rを制御することで、BA+ABS制御を実現
することができる。
【0061】また、上記図6に示すアシスト圧減圧状態
が実現されている場合は、保持ソレノイドS**Hの全
てにマスタシリンダ圧PM/C が供給されている。この場
合、全ての車輪について(ii)保持モードおよび (iii)減
圧モードを実現することができる。ところで、上記図6
に示すアシスト圧減圧状態は、運転者が制動力の減少を
意図している場合に、すなわち、何れの車輪のホイルシ
リンダ圧PW/C も増圧する必要がない場合に実現され
る。従って、上記図6に示すアシスト圧減圧状態が実現
されている場合に、ABS対象車輪について(ii)保持モ
ードおよび (iii)減圧モードが実現できれば、適正にB
A+ABS制御の要求を満たすことができる。
【0062】このように、本実施例の制動力制御装置に
よれば、BA制御が開始された後、上記図4乃至図6に
示す何れかの状態を実現しつつ、ABS制御の要求に応
じて保持ソレノイドS**Hおよび減圧ソレノイドS*
*Rを制御することにより、BA+ABS制御を実現す
ることができる。上述したBA+ABS制御によれば、
アキュムレータ28を液圧源として、全ての車輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C を対応する車輪に過大なスリップ率
を発生させることのない適当な圧力に制御することがで
きる。
【0063】図7は、本実施例の制動力制御装置におい
て、運転者によって緊急ブレーキ操作が実行された場合
の、マスタシリンダ圧PM/C 及びホイルシリンダ圧の時
間変化をそれぞれ曲線及びで例示している。図7に
おいては、時刻t1 で運転者により緊急ブレーキ操作が
行われたことが検出されている。かかる緊急ブレーキ操
作の検出は、例えば、マスタシリンダ圧PM/C あるいは
その昇圧速度が所定値を上回ったか否かを判別すること
等により行なうことができる。緊急ブレーキ操作が検出
されると、制動力制御装置がアシスト圧増圧状態とされ
ることによってBA制御が開始される。このため、ホイ
ルシリンダ圧PW/C はマスタシリンダ圧PM/C を越えて
最大アシスト油圧Pasist まで速やかに昇圧され、制動
力の速やかな立ち上がりが実現される。以後、BA制御
の実行中には、マスタシリンダ圧PM/C の変化に応じて
上記アシスト圧増圧状態、アシスト圧保持状態、及びア
シスト圧減圧状態が適宜切り替えて実現されることで、
BA制御が実行される。
【0064】BA制御を終了すべき条件(以下、BA制
御終了条件と称す)が成立した場合、即ち、運転者によ
る緊急ブレーキ操作が解除されたことが検出された場合
には、制動力制御装置が通常ブレーキ状態に切り替えら
れることで、BA制御が終了されると共に通常ブレーキ
制御が再開される。緊急ブレーキ操作が解除されたこと
は、例えば、マスタシリンダ圧PM/C あるいはその減圧
速度が所定値を下回ったか否か等に基づいて検出するこ
とができる。図7においては、時刻t2 において緊急ブ
レーキ操作の解除が検出され、BA制御が終了されると
共に通常ブレーキ制御が再開されている。
【0065】BA制御の実行中には、ホイルシリンダ圧
W/C はマスタシリンダ圧PM/C に比して高圧に昇圧さ
れている。従って、図7に例示する如く、BA制御が終
了される時刻t2 においては、ホイルシリンダ圧PW/C
はマスタシリンダ圧PM/C に比して高圧とされている。
このため、時刻t2 において直ちに通常ブレーキ状態に
切り替えられると、ホイルシリンダ120及び122の
高圧のホイルシリンダ圧PW/C がハイドロブースタ34
の第1油圧室56に付与されることとなる。上記図2に
示す如く、第1油圧室56の液圧はブレーキペダル12
に連結された第1ピストン40に直接作用する。このた
め、第1油圧室56に高圧が付与されると、第1ピスト
ン40に衝撃力が作用する。かかる衝撃力は、ブレーキ
ペダル12へ伝達されることにより運転者に対して違和
感を与えると共に、第1ピストン40に設けたられたシ
ールリング43及び45の耐久性を低下させることにも
なる。
【0066】そこで、本実施例の液圧制御装置において
は、かかる不都合を回避するため、BA終了条件が成立
した際、直ちに通常ブレーキ状態に切り替えるのではな
く、以下の手順で通常ブレーキ状態に移行することとし
ている。即ち、BA終了条件が成立すると、先ず、SA
-186及びSA-288をオン状態に維持しつつSTR9
4及びSA-390をオフ状態とする。以下、かかる状態
を、パワー圧保持状態と称す。図8は、本実施例の制動
力制御装置のパワー圧保持状態を示す。図8に示す如
く、パワー圧保持状態ではホイルシリンダ120〜12
6は全てハイドロブースタ36の第2油圧室58に連通
している。また、上記図2に示す如く、第2油圧室58
と第1ピストン40との間には、第2ピストン50の大
径部52及び第1油圧室56が介在している。従って、
ホイルシリンダ120〜126が第2油圧室58に連通
されることで高圧のホイルシリンダ圧PW/C が第2油圧
室58に付与されても、第1ピストン40及びブレーキ
ペダル12に衝撃力が作用することはない。
【0067】ホイルシリンダ120〜126が第2油圧
室58に連通されると、ホイルシリンダ120〜126
内のブレーキフルードが第2油圧室58へ流出すること
でホイルシリンダ圧PW/C は減圧される。そして、ホイ
ルシリンダ圧PW/C がマスタシリンダ圧PM/C とほぼ等
しい圧力になるまで減圧された時点で、SA-186及び
SA-288をオフ状態とすることで、第1油圧室56に
高圧のホイルシリンダ圧PW/C を付与することなく、通
常ブレーキ状態を実現することができる。このように、
以上の手順をとることにより、BA制御の終了時にブレ
ーキペダル12へ衝撃力を伝達させることなく、通常ブ
レーキ状態を実現することができる。
【0068】ところで、上述の如く、BA制御は通常ブ
レーキ状態において緊急ブレーキ操作が行なわれた場合
に開始される。従って、通常ブレーキ状態からBA制御
が開始される直前には、第1油圧室56内のブレーキフ
ルードはホイルシリンダ120及び122に流出する。
また、BA制御の実行中には、第1油圧室56は周囲と
遮断されるため、第1油圧室56に対してブレーキフル
ードが流入あるいは流出することはない。一方、上記手
順の如く、BA制御の終了時にホイルシリンダ120及
び122を第2油圧室58に連通させることとすると、
ブレーキフルードはホイルシリンダ120及び122か
ら第2油圧室58に流出する。従って、BA制御が1回
実行されるごとに、第1油圧室56内のブレーキフルー
ドは第2油圧室58へ流出することになって、第1油圧
室56のブレーキフルード量が減少してしまう。
【0069】上述の如く、第1油圧室56は、ブレーキ
ペダル12への踏み込みが解除された状態ではリザーバ
タンク18と連通するように構成されている。従って、
BA制御の終了後にブレーキペダル12への踏み込みが
解除されれば、第1油圧室56のブレーキフルード量の
減少は、リザーバタンク18からブレーキフルードが供
給されることで補償される。
【0070】しかしながら、運転者がポンピングブレー
キ操作を実行することにより、ブレーキペダル12が一
定量以上踏み込まれた状態で、BA制御が繰り返して実
行される場合がある。この場合、第1油圧室56にブレ
ーキフルードが供給されることなく、BA制御が実行さ
れるごとに第1油圧室56からブレーキフルードが流出
することになる。図9は、かかる場合のマスタシリンダ
圧PM/C の時間変化、BA制御の実行状態、及び、ブレ
ーキフルードの流れの状態(第1液圧室56からホイル
シリンダ120、122へ流出する状態を実線の矢印
で、ホイルシリンダ120、122から第2液圧室58
へ流出する状態を破線の矢印でそれぞれ示す)を例示し
ている。図9に例示する如く、ポンピングブレーキ操作
が実行されると、マスタシリンダ圧PM/C は周期的に増
減し、これに同期してBA開始条件及びBA終了条件が
断続的に成立することでBA制御が繰り返し実行されて
いる。このため、第1油圧室56内のブレーキフルード
量は次第に減少し、ブレーキペダル12に過大なストロ
ークが生じてしまう。
【0071】かかる事態を防止するため、本実施例にお
いては、BA終了条件が成立した後、一定期間はパワー
圧保持状態を維持することで、ポンピングブレーキ操作
によりBA開始条件が再び成立した場合に、BA制御を
パワー圧保持状態から開始させることとしている。上述
の如く、パワー圧保持状態においては、ホイルシリンダ
120及び122は第2油圧室58に連通している。こ
のため、ブレーキペダル12に踏力が付与されると、ホ
イルシリンダ120及び122は第2油圧室58を液圧
源として昇圧される。従って、パワー圧保持状態からB
A制御が開始・終了された場合には、ブレーキフルード
は第2油圧室58とホイルシリンダ120〜126との
間で授受されることとなって、第1油圧室56内のブレ
ーキフルード量は変化しない。
【0072】このように、本実施例によれば、BA終了
条件の成立後、パワー圧保持状態が維持されることで、
ポンピングブレーキ操作中にBA制御が繰り返し実行さ
れた場合に第1油圧室56からブレーキフルードが流出
することが防止され、これにより、ブレーキペダル12
に過大なストロークが生ずる事態が回避される。ところ
で、図8に示す如く、パワー圧保持状態では、第1油圧
室56は周囲と遮断されている。また、上記図2を参照
して説明した如く、ブレーキペダル12に踏力が付与さ
れた場合、第2ピストン50にはリアクションディスク
78の弾性変形に応じて変位するのみであり、その変位
量は極めて小さい。従って、パワー圧保持状態において
は、ブレーキペダル12に踏力が付与されてもブレーキ
ペダル12にストロークは殆ど生じない。
【0073】一般に、運転者は、ブレーキペダル12の
ストローク量に応じた制動力が発生することを期待して
ブレーキペダル12を操作するものと考えられる。この
ため、ブレーキペダル12を操作した場合にブレーキペ
ダル12にストロークが生じなければ、運転者に違和感
を与えることになる。従って、ポンピングブレーキ操作
が実行されていないのであれば、速やかにパワー圧保持
状態から通常ブレーキ状態に切り替えられることが望ま
しい。
【0074】そこで、本実施例においては、予め、種々
の状況下におけるポンピングブレーキ操作の継続時間を
実測することにより、ポンピングブレーキ操作の一般的
な継続時間Tを求めておく。そして、通常ブレーキ状態
から開始されたBA制御(以下、最初のBA制御と称
す)についてのBA終了条件が成立した時点で、ポンピ
ングブレーキ操作が開始されたとみなして、パワー圧保
持状態から通常ブレーキ状態に切り替えるタイミングを
決定する。即ち、最初のBA制御についてのBA終了条
件が成立した時点から時間Tが経過するまでは、ポンピ
ングブレーキ操作が継続している可能性があると判断し
てパワー保持状態を維持すると共に、時間Tが経過した
時点で、ポンピングブレーキ操作は終了したものと判断
して通常ブレーキ状態に切り替えることとしている。ま
た、ブレーキスイッチ14の出力信号に基づいてブレー
キペダル12への踏み込みの解除が解除されたことが検
出された場合には、ポンピングブレーキ操作は実行され
ていないと判断することができる。従って、かかる場合
には、時間Tが経過していなくとも、通常ブレーキ状態
に移行することとしている。
【0075】このように、本実施例によれば、ポンピン
グブレーキ操作が実行されている可能性がある間は、パ
ワー圧保持状態が維持されることで、第1液圧室56の
ブレーキフルード量の減少に伴ってブレーキペダル12
に過大なストロークが生ずることが防止されると共に、
ポンピングブレーキ操作が実行されている可能性が解消
した時点で通常ブレーキ状態が実現されることで、ブレ
ーキペダル12にストロークが生じないことに起因して
運転者に違和感を与えることが最小限に抑制される。
【0076】なお、ポンピングブレーキ操作は、制動力
を短い周期で増減させることを意図して行なわれるもの
であって、ブレーキペダルへの操作量に応じた制動力を
発生させることを意図して行なわれるものではない。こ
のため、ポンピングブレーキ操作時においては、ブレー
キペダル12にストロークが生じなくとも、運転者に違
和感を与えることはないと考えられる。また、最初のB
A制御が開始される際には、第1油圧室56からブレー
キフルードが流出する。しかしながら、BA制御の実行
の1回あたりに、第1油圧室56から流出するブレーキ
フルードの量は小さいため、ブレーキペダル12のスト
ロークに有意な変化が生ずることはない。
【0077】次に、図10及び図11を参照して、上述
した機能を実現すべくECU10が実行する処理の内容
について説明する。図10は、緊急ブレーキ操作が実行
された場合にBA制御を開始すべくECU10が実行す
る制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図10
に示すルーチンは、所定時間毎に起動される定時割り込
みルーチンである。図10に示すルーチンが起動される
と、先ずステップ200の処理が実行される。
【0078】ステップ200では、緊急ブレーキ操作が
実行されたか否かが判別される。かかる判別は、上述の
如く、例えばマスタシリンダ圧PM/C あるいはその昇圧
速度が所定値を越えたか否かに基づいて行なうことがで
きる。ステップ200において、緊急ブレーキ操作が実
行されたと判別されると、次に、ステップ202の処理
が実行される。一方、緊急ブレーキ操作が実行されてい
ないと判別されると、以後何ら処理が実行されることな
く今回のルーチンは終了される。
【0079】ステップ202では、フラグFBAがセット
される。ここで、フラグFBAはBA制御を開始すべき条
件(以下、BA開始条件と称す)が成立したことを示す
フラグである。本ルーチンと別に実行されるBA制御ル
ーチンは、フラグFBAを参照することにより、BA開始
条件が成立したか否かを判別する。そして、BA開始条
件が成立すると、BA制御ルーチンはマスタシリンダ圧
M/C に応じて上記アシスト圧増圧状態、アシスト圧減
圧状態、及びアシスト圧保持状態を適宜切り替えること
によりBA機能を実現する。ステップ202の処理が終
了されると今回のルーチンは終了される。
【0080】次に、図11を参照して、BA制御を終了
すべくECU10が実行する制御ルーチンの一例のフロ
ーチャートを示す。図11に示すルーチンは、所定時間
毎に起動される定時割り込みルーチンである。図11に
示すルーチンが起動されると、先ずステップ210の処
理が実行される。ステップ210では、BA終了条件が
成立するか否かが判別される。かかる判別は、上述の如
く、例えばマスタシリンダ圧PM/C が所定値を下回った
か否か、あるいは、PM/C の減少速度が所定値を上回っ
たか否か等に基づいて行なうことができる。その結果、
BA終了条件が成立すると判別されたならば、次に、ス
テップ212の処理が実行される。一方、ステップ21
0でBA終了条件が不成立であると判別されたならば、
再びステップ210の処理が実行される。即ち、ステッ
プ210の処理はBA終了条件が成立するまで繰り返し
実行される。
【0081】ステップ212では、SA-390及びST
R94が共にオフ状態とされる。ステップ212の処理
が終了されると、次にステップ214においてタイマ変
数T m がゼロにリセットされる。タイマ変数Tm は、経
過時間を示す変数である。従って、ステップ214でT
m がリセットされることで、Tm はBA終了条件が成立
した後の経過時間を示すことになる。ステップ214の
処理が終了されると、次にステップ216において、S
-186及びSA-288がオン状態とされる。上記ステ
ップ212及び216の処理が実行されることにより、
パワー圧保持状態が実現される。ステップ216の処理
が終了されると、次にステップ218の処理が実行され
る。
【0082】ステップ218では、タイマー変数Tm
所定時間Tに比して大きいか否かが判別される。ここ
で、所定時間Tは上記したポンピングブレーキ操作の一
般的な継続時間である。ステップ218において、Tm
>Tが成立すると判別されたならば、BA終了条件が成
立してから所定時間Tが経過しており、従って、ポンピ
ングブレーキ操作は終了していると判断されて、次にス
テップ220の処理が実行される。一方、ステップ21
8においてTm >Tが不成立であると判別された場合に
は、次にステップ222の処理が実行される。
【0083】ステップ222では、ブレーキスイッチ1
4の出力信号に基づいて、ブレーキペダル12が踏み込
まれているか否かが判別される。その結果、ブレーキペ
ダル12が踏み込まれていないならば、ポンピングブレ
ーキ操作は実行されていないと判断されて、次にステッ
プ220の処理が実行される。一方、ステップ222に
おいて、ブレーキペダル12が踏み込まれていると判別
された場合には、次に、ステップ224において変数T
m がインクリメントされる。ステップ224の処理が終
了されると、ステップ218の処理が再び実行される。
【0084】上述の如く、ステップ220の処理はポン
ピングブレーキ操作が実行されていないと判断された場
合に実行される。そこで、ステップ220では、SA-1
86及びSA-288がオフ状態とされることで、通常ブ
レーキ状態が実現される。ステップ220の処理が終了
されると今回のルーチンは終了される。なお、上記図1
1に示すルーチンにおいて、ステップ218、222、
及び224からなるループを実行することにより、パワ
ー圧保持状態が維持される。従って、パワー圧保持状態
が維持されている期間内にBA制御が開始された場合に
は、ステップ214におけるタイマー変数Tm の初期化
処理が実行されることはない。即ち、上記ルーチンによ
れば、最初のBA制御、即ち、パワー圧保持状態から実
行されたBA制御についてBA終了条件が成立した時点
から、パワー圧保持状態を維持すべき期間が起算される
ことは起こりえず、最初のBA制御についてBA終了条
件が成立した時点のみが前記期間の起算点とされる。こ
のため、本ルーチンによれば、パワー圧保持状態を、ポ
ンピングブレーキ操作の一般的な継続時間に応じた適正
な期間だけ維持することができる。
【0085】上述の如く、本実施例によれば、BA制御
の終了後、パワー圧保持状態が実現されることで、ブレ
ーキペダル12に衝撃力が伝達されることが防止され
る。また、BA制御の終了後、ポンピングブレーキ操作
が実行されている可能性がある期間中はパワー圧保持状
態が維持されることで、ポンピングブレーキ操作により
BA制御が繰り返し実行された場合に、ブレーキペダル
12に過大なストロークが生ずることが防止される。
【0086】次に、本発明の第2実施例である制動力制
御装置について説明する。本実施例の制動力制御装置
は、BA制御の実行中にポンピングブレーキ操作が行な
われていることが検出された場合には、BA終了条件が
成立した後、パワー圧保持状態を経ることなく、BA制
御状態から直ちに通常ブレーキ状態に切り替える点に特
徴を有している。
【0087】上述の如く、BA制御状態から直ちに通常
ブレーキ状態に切り替えられると、レーキペダル12に
衝撃力が伝達される。しかしながら、一般に、ポンピン
グブレーキ操作によりBA制御が繰り返されるような状
況の下では、運転者はブレーキペダル12に対して大き
な踏力を付与しているため、ブレーキペダル12に衝撃
力が伝達されても、運転者が大きな違和感を覚えること
はないと考えられる。一方、通常ブレーキ状態において
は、ホイルシリンダ120及び122は第1油圧室56
と連通している。このため、BA終了条件の成立と同時
に通常ブレーキ状態に切り替えられれば、ブレーキフル
ードがホイルシリンダ120及び122から第1油圧室
56に流入することで、ブレーキペダル12に過大なス
トロークが生ずることが防止される。
【0088】そこで、本実施例においては、ポンピング
ブレーキ操作中には、ブレーキペダル12に衝撃力が伝
達されても支障はないと判断し、ブレーキペダル12に
過大なストロークが生ずるのを防止することを優先し
て、BA終了条件が成立すると同時に通常ブレーキ状態
を実現することとしている。なお、通常ブレーキ状態で
は、ブレーキペダル12に付与する踏力に応じたペダル
ストロークが発生する。従って、本実施例においては、
ペダルストロークが発生しないことに起因して運転者に
違和感を与えることが防止される。
【0089】以下、上記の機能を実現すべくECU10
が実行する処理の内容について説明する。本実施例にお
いては、第1実施例と同様に、上記図1に示す制動力制
御装置においてECU10が上記図10に示すルーチン
を実行することにより、緊急ブレーキ操作が検出された
際にBA制御を開始させる。図12は本実施例におい
て、ECU10がポンピングブレーキ操作が行なわれて
いるか否かを判定すべく実行するルーチンのフローチャ
ートである。また、図13はECU10がBA制御を終
了させるべく実行するルーチンのフローチャートであ
る。
【0090】先ず、図12を参照してECU10がポン
ピングブレーキ操作が行なわれているか否かを判定すべ
く実行するルーチンの内容について説明する。図12に
示すルーチンは所定時間毎に起動される定時割り込みル
ーチンである。本ルーチンにおいては、ブレーキペダル
12が踏み込まれた状態でBA制御が開始された回数が
カウントされ、このカウント値が所定値を上回った場合
に、ポンピングブレーキ操作が行なわれたと判断され
る。
【0091】図12に示すルーチンが起動されると、先
ず、ステップ230の処理が実行される。ステップ23
0では、ブレーキスイッチ14の出力信号に基づいてブ
レーキペダル12が踏み込まれているか否かが判別され
る。その結果、ブレーキペダル12が踏み込まれていな
いと判別されたならば、次にステップ232においてカ
ウンタCがクリアされた後、今回のルーチンは終了され
る。ここで、カウンタCは、後述する如く、ブレーキペ
ダル12が踏み込まれた状態でBA制御が開始された回
数を示すカウンタである。一方、ステップ230におい
てブレーキペダル12が踏み込まれていると判別された
場合には、次にステップ234の処理が実行される。
【0092】ステップ234では、BA制御が実行中で
あるか否かが判別される。かかる判別は、上記したフラ
グFBAの状態を検出することにより行なうことができ
る。ステップ234においてBA制御が実行中でないと
判別された場合には、以後の処理が実行されることなく
今回のルーチンは終了される。一方、ステップ234に
おいてBA制御の実行中であると判別された場合には、
次にステップ236において、カウンタCがインクリメ
ントされる。ステップ236の処理が終了されると、次
にステップ238の処理が実行される。
【0093】ステップ238では、カウンタCが所定値
P以上であるか否かが判別される。その結果、C≧Pが
成立すると判別されたならば、ブレーキペダル12が踏
み込まれた状態でBA制御がP回以上開始されたことに
なる。この場合、ポンピングブレーキ操作が行なわれた
と判定され、次にステップ240においてポンピング判
定フラグFPUMPがセットされた後、ステップ242の処
理が実行される。一方、ステップ238においてC≧P
が不成立であるならば、ポンピングブレーキ操作が行な
われていると判定するには至らないと判断される。この
場合、ステップ240はスキップされて次にステップ2
42の処理が実行される。
【0094】ステップ242では、BA制御が終了した
か否かが判別される。その結果、BA制御が終了してい
ないと判別されたならば、再びステップ238の処理が
実行される。一方、ステップ242においてBA制御が
終了していると判別されれば今回のルーチンは終了され
る。上述の如く、図12に示すルーチンでは、ステップ
230においてブレーキペダル12が踏み込まれている
ことが判別され、かつ、ステップ234においてBA制
御が実行中であると判別された場合に、ステップ236
においてカウンタCがインクリメントされると共に、B
A制御が終了されるまではステップ238〜242のル
ープが繰り返し実行される。また、ブレーキペダル12
が踏み込まれていないと判別された場合には、ステップ
232においてカウンタCはクリアされる。従って、カ
ウンタCはブレーキペダル12が踏み込まれた状態でB
A制御が連続的に開始された回数を示すこととなる。こ
のため、上記ステップ238においてカウンタCが所定
値P以上であるか否かに基づいて、ポンピングブレーキ
操作が行なわれたか否かの判定を適正に行なうことがで
きる。
【0095】次に、図13を参照して、本実施例におい
てECU10がBA制御を終了させるべく実行するルー
チンの内容について説明する。図13に示すルーチンは
所定時間毎に起動される定時割り込みルーチンである。
本ルーチンが起動されると、先ずステップ240の処理
が実行される。ステップ240では、BA終了条件が成
立するか否かが判別される。その結果、BA終了条件が
成立すると判別されたならば、次に、ステップ242の
処理が実行される。一方、BA終了条件が不成立なら
ば、再びステップ240の処理が実行される。従って、
ステップ240の処理はBA制御の終了条件が成立する
まで繰り返し実行される。
【0096】ステップ242では、STR94及びSA
-396が共にオフ状態とされる。ステップ246の処理
が終了されると、続くステップ244においてポンピン
グ判定フラグFPUMPがセットされているか否かが判別さ
れる。その結果、フラグFPU MPがセットされていると判
別されたならば、ポンピングブレーキ操作中にBA終了
条件が成立したと判断される。この場合、次にステップ
246において、SA -186及びSA-288が共にオフ
状態とされる。このステップ246の処理により、通常
ブレーキ状態が実現される。一方、ステップ244でフ
ラグFPUMPがセットされていないと判別されたならば、
次にステップ248以降の処理が実行される。
【0097】上述の如く、本ルーチンによれば、BA制
御の終了時にステップ244においてポンピングブレー
キ操作が検出された場合には、直ちにステップ246に
おいて通常ブレーキ状態が実現されるため、BA制御の
終了時にホイルシリンダ120及び122のブレーキフ
ルードが第1油圧室56へ流出する。従って、BA制御
の実行前後で第1油圧室56のブレーキフルードが減少
することが防止され、これにより、ポンピングブレーキ
操作に伴ってBA制御が繰り返し実行された場合に、ブ
レーキペダル12に過大なストロークが生ずることが防
止される。
【0098】ステップ248以降においては、BA終了
条件の成立後所定時間が経過するまで、あるいは、ブレ
ーキペダル12の踏み込みが解消されるまでパワー圧保
持状態を維持することによってBA制御の終了時にブレ
ーキペダル12に衝撃力が伝達されるのを防止するため
の処理が実行される。ステップ248ではタイマー変数
m がゼロに初期化される。このステップ248の処理
が実行されることにより、タイマー変数Tm はBA終了
条件が成立した後の経過時間を示すことになる。ステッ
プ248の処理が終了されると、次にステップ250に
おいて、SA-186及びSA-288がオン状態とされ
る。このステップ250の処理が実行されることによ
り、パワー圧保持状態が実現される。ステップ250の
処理が終了されると、次にステップ252において、ブ
レーキペダル12が踏み込まれているか否かが判別され
る。その結果、ブレーキペダル12が踏み込まれている
と判別されたならば、次にステップ254の処理が実行
される。一方、ステップ252においてブレーキペダル
12が踏み込まれていないと判別された場合には、ブレ
ーキペダル12に衝撃力が伝達されても運転者に違和感
を与えることはない。この場合、次にステップ256に
おいて通常ブレーキ状態を実現すべくSA-186及びS
-288が共にオフ状態とされる。ステップ256の処
理が終了されると今回のルーチンは終了される。
【0099】ステップ254では、タイマ変数Tm が所
定時間S以上であるか否かが判別される。ここで、所定
時間SはBA制御が終了された後、ホイルシリンダ圧P
W/Cがマスタシリンダ圧PM/C とほぼ等しい程度まで減
圧されるのに要する時間である。従って、ステップ25
4において、Tm ≧Sが成立すると判別されたならば、
ホイルシリンダ圧PW/C はマスタシリンダ圧PM/C とほ
ぼ等しい圧力まで減圧されており、通常ブレーキ状態に
切り替えてもブレーキペダル12に衝撃力が伝達される
ことはないと判断される。この場合、次にステップ25
6の処理が実行されることにより通常ブレーキ状態が実
現される。一方、ステップ254においてTm ≧Sが不
成立であると判別されたならば、次にステップ258に
おいて変数Tm がインクリメントされた後、再びステッ
プ250の処理が実行される。
【0100】上述の如く、本実施例によれば、BA終了
条件成立時に、ポンピングブレーキ操作が検出された場
合には、直ちに通常ブレーキ状態を実現することで、ブ
レーキペダル12に過大なストロークが生ずるのを防止
することができる。また、ポンピングブレーキ操作が検
出されない場合には、BA終了条件の成立後所定時間が
経過するまで、あるいは、ブレーキペダル12の踏み込
みが解消されるまでパワー圧保持状態を維持させること
で、BA制御の終了時にブレーキペダル12に衝撃力が
伝達されるのを防止することができる。
【0101】なお、上記第1及び第2実施例において
は、アキュムレータ28及びポンプ24が上記した高圧
液圧源に対応している。また、ECU10が図11又は
図13に示すルーチンを実行することにより上記した液
圧制御手段が、ECU10が図12に示すルーチンを実
行することにより上記したポンピングブレーキ操作検出
手段が、それぞれ実現されている。
【0102】なお、以上の説明においては、図1に示す
制動力制御装置において、ECU10が図11に示すル
ーチン又は図13に示すルーチンの何れか一方を実行す
ることにより、BA制御を終了させることとしたが、本
発明はこれに限定されるものではなく、BA終了条件が
成立するごとに、ECU10が図11に示すルーチンの
ステップ212以降の処理と、図13に示すルーチンの
図244以降の処理とを交互に実行することとしてもよ
い。この場合、図12に示すルーチンは上記第2実施例
と同様に所定の時間間隔で実行することとすればよい。
【0103】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、ブレーキアシスト制御の終了時にブレーキペダルに
衝撃力が伝達されるのを防止することができる。また、
請求項2及び3記載の発明によれば、ポンピングブレー
キ操作に伴ってブレーキアシスト制御が繰り返し実行さ
れた場合に、ブレーキペダルに過大なストロークが生ず
るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
の通常ブレーキ状態を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す制動力制御装置に用いられるハイド
ロブースタの構成図である。
【図3】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
のABS作動状態を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
においてBA制御中またはBA+ABS制御中に実現さ
れるアシスト圧増圧状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
においてBA制御中またはBA+ABS制御中に実現さ
れるアシスト圧保持状態を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
においてBA制御中またはBA+ABS制御中に実現さ
れるアシスト圧減圧状態を示す図である。
【図7】BA制御の開始前から終了後に至るマスタシリ
ンダPM/C 及びホイルシリンダPW/C の時間変化を示す
図である。
【図8】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装置
のパワー圧保持状態を示す図である。
【図9】ポンピングブレーキ操作が行なわれた場合の、
マスタシリンダ圧PM/C の時間変化、BA制御の作動状
態、及び、ブレーキフルードの流れの状態を示す図であ
る。
【図10】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装
置においてBA制御を開始すべく実行されるルーチンの
フローチャートである。
【図11】本発明の第1実施例に対応する制動力制御装
置においてBA制御を終了すべく実行されるルーチンの
フローチャートである。
【図12】本発明の第2実施例に対応する制動力制御装
置においてポンピングブレーキ操作を検出すべく実行さ
れる制御ルーチンのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施例に対応する制動力制御装
置においてBA制御を終了すべく実行されるルーチンの
フローチャートである。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 12 ブレーキペダル 16 マスタシリンダ 24 ポンプ 28 アキュムレータ 34 レギュレータ 36 ハイドロブースタ 56 第1油圧室 58 第2油圧室 86 第1アシストソレノイド(SA-1) 88 第2アシストソレノイド(SA-2) 90 第3アシストソレノイド(SA-3) 94 レギュレータ切り換えソレノイド(STR)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−24818(JP,A) 特開 平9−39768(JP,A) 特開 平8−91196(JP,A) 特開 平1−114561(JP,A) 特開 平4−334649(JP,A) 特開 平6−199213(JP,A) 特開 平4−121260(JP,A) 特開 平9−48337(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00 - 8/96

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ踏力に応じた制動力を発生させ
    る通常ブレーキ制御と、運転者により緊急ブレーキ操作
    が行なわれた際に通常ブレーキ制御に比して大きな制動
    力を発生させるブレーキアシスト制御とを実行する制動
    力制御装置において、 ブレーキペダルに連結され、該ブレーキペダルに付与さ
    れる操作量に応じた液圧を発生するマスタシリンダと、 前記マスタシリンダの液圧に応じた液圧を発生するレギ
    ュレータと、 高圧の液圧を発生する高圧液圧源と、 通常時にはホイルシリンダと前記マスタシリンダとが連
    通する通常ブレーキ状態を実現することにより前記通常
    ブレーキ制御を実行させ、緊急ブレーキ操作が行なわれ
    た際にはホイルシリンダと前記高圧液圧源とが連通する
    ブレーキアシスト状態を実現することにより前記ブレー
    キアシスト制御を実行させ、かつ、前記ブレーキアシス
    ト制御の終了条件が成立すると、全てのホイルシリンダ
    と前記レギュレータとが連通するパワー圧保持状態を実
    現する液圧制御手段と、を備えることを特徴とする制動
    力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制動力制御装置におい
    て、 前記液圧制御手段は、前記通常ブレーキ状態から開始さ
    れた前記ブレーキアシスト制御の終了条件が成立した後
    所定期間、前記パワー圧保持状態を維持することを特徴
    とする制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の制動力制御装置に
    おいて、 ポンピングブレーキ操作が実行されたことを検出するポ
    ンピングブレーキ操作検出手段を備え、かつ、 前記液圧制御手段は、前記ブレーキアシスト制御の終了
    条件の成立時にポンピングブレーキ操作が検出された場
    合に、前記パワー圧保持状態を実現することなく直ちに
    前記通常ブレーキ状態を実現することを特徴とする制動
    力制御装置。
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