JP3431416B2 - 気孔表面非晶質ポーラスセラミックス及びその製造方法 - Google Patents

気孔表面非晶質ポーラスセラミックス及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真現像廃液、有
機塩素化合物など現在その処理が問題となっている各種
排水・廃液の処理に有用な気孔表面が非晶質であるポー
ラスセラミックス及びその製造方法並びにそれを用いた
各種排水・廃液の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポーラス(多孔質)セラミック
スを利用した各種廃水の処理方法は知られている。例え
ば、本発明者らによる特開昭58−205516号公報
には、ケイ石−粘土の混合物に長石及びアルミナ粉末を
加えたものに、おがくずと水を加え混練した泥状物の成
型品を1100〜1200℃で焼成してなる化学薬品、
重金属等の選択除去に優れたチューブ型のセラミック系
カートリッジフィルターが記載されている。
【0003】本発明者らによる特公平1−60317号
公報には、処理槽の底部に砂や砂利の層からなる濾過層
を設け、その上にポーラス状のセラミックス粒状物を積
層させた処理層を設け、該処理層の上面と該濾過層の下
面に散気管を配してなる下水等の廃水処理装置が記載さ
れている。
【0004】本発明者らによる特開昭61−13649
0号公報には、曝気槽内の廃水の流れの方向を横断する
位置に、間隔をあけて網体等の有孔材料内に充填してな
るポーラス状のセラミックス粒状物からなる濾材を立設
してなる曝気式廃水処理装置が記載されている。
【0005】本発明者らによる特公平1−42758号
公報には、曝気槽内の廃水の流れの方向を横断する位置
に、間隔をあけて網体等の有孔材料内に充填してなるポ
ーラス状のセラミックス粒状物からなる濾材を立設して
なる曝気槽とこの曝気槽と管体にて連通した、その底部
に砂や砂利の層からなる濾過層を設け、その上にポーラ
ス状のセラミックス粒状物を積層させた処理層を設け、
該処理層の上面と該濾過層の下面に散気管を配してなる
処理槽からなる曝気式高度廃水処理装置が記載されてい
る。
【0006】特公平2−1558号公報には、主として
家庭用雑排水、産業廃水、食品加工廃水等の廃水を、多
孔質セラミックスと木質細片を主成分とする処理媒質中
で生物学的に処理する方法が記載されている。
【0007】本発明者らによる特公昭63−66247
号公報には、ポーラスなセラミックスと活性炭との混合
物を濾材として円筒体に充填しフィルター装置とした乳
化性の含油廃水の処理法が記載されている。
【0008】本発明者らによる特開昭60−26158
6号公報には、ポーラスなセラミックスの層の間に活性
炭の層からなる中間層を設けたものを濾材として、水道
水等の飲料水中から、金属、金属イオン及び有機塩素化
合物を除去する方法が記載されている。
【0009】また、本願発明者らによる特開昭61−2
91473号公報には、これら排水・廃液処理に用いら
れる多孔質セラミックスの製造法として、「粘土鉱物粉
末に水を添加混合したスラリーに気孔形成材料を含有さ
せ、乾燥、焼成して多孔質セラミックスを製造する方法
において、前記気孔形成材料は、金属粉末又は有機金属
結合物を気孔表面に結合させる前処理を施し、焼成は空
気中又は窒素雰囲気下で行うことを特徴とする多孔質セ
ラミックスの製造法」が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在そ
の処理が問題になっているテトラクロロエチレン、トリ
クロロエタン等の有機塩素化合物を含有する廃液等各種
排水・廃液の処理に上記方法や従来から知られているポ
ーラスセラミックスを適用しても、完全に排水・廃液中
の有害・汚染物質を除去することはできなかった。
【0011】また、前記特開昭61−291473号公
報には、その実施例の記載によると、乾燥成型体を昇温
し、1200〜1500℃程度で1時間焼成して多孔質
セラミックスを製造しているが、かかる1200〜15
00℃までの電気炉による短時間での昇温と1時間程度
の焼成では、得られるセラミックスは全体的に均質なも
のとなり、その気孔表面は非晶質とはなっておらず、そ
の圧縮強度においてバラツキが大きく、圧縮強度の小さ
いセラミックスは微粉化しやすく、排水・廃液処理用カ
ラムに充填して用いた場合、目詰まりが生じて長時間の
使用が難しく、また、各種排水・廃液の処理に用いた場
合、有害・汚染成分の除去性能が不十分でかつ長期使用
に難があり、実用的といい得るものではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
現在その処理が問題になっているP(燐)やN(窒
素)、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物、六価
クロム、鉛等の重金属を含有する排水・廃液中のこれら
有害・汚染物質を、我が国の水質環境基準を下回り、皆
無に近いまで除去しうると共に、長期使用に耐える実用
的なポーラスセラミックスを開発すべく鋭意研究し、従
来からのポーラスセラミックスに関する知見を一つずつ
見直し、均質なポーラスセラミックスをいかに作るかと
いう従来の知見を覆して、その表面と気孔表面の組成が
異なり、気孔表面が非晶質であるポーラスセラミックス
を作成したところ、意外にもこの気孔表面が非晶質であ
るポーラスセラミックスが各種排水・廃液処理に有効か
つ実用的であることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】すなわち本発明は、粘土と気孔形成材料と
水を混合し、適宜形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型
体の品温を、該成型体中の気孔形成材料の自燃等によ
り、5〜15時間、望ましくは10時間程度かけて、常
温から600〜800℃まで昇温させた後、成型体の品
温を600〜800℃で3〜7時間、望ましくは5時間
程度維持せしめ、次いで1200〜1500℃まで昇温
させた後、この温度で4〜8時間、望ましくは6時間程
度焼成し、冷却後クラッシャー処理を施してなる気孔表
面が非晶質であるポーラスセラミックス及びその製造方
法並びにそれを用いた排水・廃液の処理法等に関するも
のである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる「粘
土」とは、水分を加えると粘着性と可塑性を示し、乾く
と硬くなる性質を有し、その大部分が、ケイ酸塩鉱物を
主成分とする粘土鉱物から構成されているものをいう
が、必要に応じてカルシウム、マグネシウム、ナトリウ
ム、カリウム等他の無機成分等を含有していてもよい。
【0015】本発明において用いられる「気孔形成材
料」とは、オガクズ、木屑、モミガラ、麦ワラ、フス
マ、バーク(木の皮)等植物に由来するもの等、加熱に
よってガスを発生しながら燃焼するものであればどのよ
うなものでも用いることができ、特にオガクズ、木屑が
自然段階における急激なガス発生がなく、気孔表面が非
晶質であるポーラスセラミックスの構造を安定的に形成
するという観点から望ましい。
【0016】本発明において用いられる「水」として
は、通常水道水が用いられるが、その他粘土鉱物中にア
ルカリ分が少ない場合には海水も使用できる。また、他
の原料である粘土、気孔形成材料に水分が含まれている
場合は、その水分でもって代用することもできる。
【0017】本発明において、粘土と気孔形成材料と水
との「混練」は、これら3者を適宜順序で、モルタルセ
メントミキサー等の混練機で均一になるまで混練するこ
とにより行われ、また、これら成分の混合割合は、本発
明の気孔表面非晶質ポーラスセラミックスが得られるな
らばどのような割合でもよいが、連続気孔部に非晶質部
を多く形成させ、処理対象物質をその他の非平滑部に吸
着させる目的の観点からして、粘土2:水3.2:気孔
形成材料6.76(重量部、以下同じ)の割合の混合物
が望ましいが、これに限定されるものではない。混合後
は、焼成の便なるように、煉瓦状、円盤状等適宜形状に
成型される。
【0018】本発明における成型後の「乾燥」は、通常
室温で含水率40%になるまで静置することにより行わ
れるが、バーナー等を用いた通風乾燥等により実施する
こともでき、上記静置乾燥に限定されるものではない。
【0019】本発明における「昇温」及び「焼成」は、
電気炉、耐火煉瓦からなる窯業釜又はキルン等上記乾燥
後の成型体を加温・焼成することができるものであれば
いかなるものでも使用しうるが、均一なセラミックス製
品を一度に大量生産することが出来るという観点からは
窯業釜又はキルンが望ましい。
【0020】本発明において焼成後の成型体は、これを
そのままブロックタイプやカートリッジタイプのフィル
ターとして使用することができるが、これをカラム等に
充填して用いる場合には通常クラッシャー(粉砕)処理
が施される。このクラッシャー処理には、ロール型等通
常の粉砕機であればどのようなタイプのものでも使用で
きるが、カラム等における使用に適さない粉状のセラミ
ックスの生じる割合を減ずるために、本発明者らが改良
したロールとロールの最狭部が10〜30mmに調整さ
れたロール型クラッシャーを用いることが望ましい。
【0021】次に本発明における気孔表面非晶質ポーラ
スセラミックスを製造する上で、最も重要な「昇温」及
び「焼成」工程について説明する。まず、成型後乾燥さ
せた成型体の品温を、徐々に常温から600〜800
℃、望ましくは800℃まで昇温させる。かかる緩慢な
昇温工程を採用することにより、焼結後のセラミックス
の性状が成型体製造時とほぼ同様の形状を保つことによ
り、充分な連続気孔を形成しつつ、充分な処理対象物と
の反応部を有するものとなる。
【0022】他方、この緩慢な昇温工程を採用しない従
来の昇温方法、例えば前記特開昭61−291473号
公報に記載されている多孔質セラミックスを製造する場
合のように、電気炉等を用いて急激な昇温過程をたどる
昇温方法を採用すると、焼結後のセラミックスが結晶成
分間の結合が不十分でもろく、同時にセラミックスに形
成された気孔表面の大部分が結晶質で覆われ、被処理成
分が気孔中を通過する際の抵抗が大きくなり、被処理成
分が気孔中へ充分浸透することができないという性質・
性状を有するものとなり、これを廃水・廃液中の汚染・
有害成分の除去に適用した場合、その除去が不十分なも
のとなり、かつ長期の使用に耐えうるものが得られな
い。
【0023】かかる緩慢な常温から600〜800℃ま
での昇温に要する時間は、成型物の大きさや量にもよる
が、通常5〜15時間程度、望ましくはおよそ10時間
かけて行う。このような昇温を制御するには、電気炉や
窯業釜およびキルンの加熱加温を調節することによって
実施することができるが、オガクズ等の可燃性の気孔形
成材料を含む乾燥成型体の一隅を、例えばバーナー等に
より点火し、成型体中のオガクズ等の可燃性気孔形成材
料自体の燃焼(自燃)により行われる。この自燃による
品温の制御方法は、ポーラスセラミックスを調製する上
で本発明者らにより初めて見いだされた画期的な方法で
あり、この方法を採用することにより、重金属、高BO
D廃水、高COD廃水等のより優れた排水・廃液処理用
の気孔表面が非晶質であるポーラスセラミックス製品が
得られることが確かめられている。
【0024】このように、5〜15時間かけて乾燥成型
体の品温が600〜800℃に達した段階で、成型体中
のオガクズ等の可燃物は灰化する。この段階で、追い焚
き等によりこの600〜800℃の温度を3〜7時間、
望ましくはおよそ5時間保持する。この工程は本発明の
気孔表面が非晶質のポーラスセラミックスを製造する上
で不可欠な工程である。
【0025】この工程を採用することにより、粘土中の
アルカリ成分が徐々に溶けだし、その結果、ポーラスな
セラミックスの連続気孔表面が非晶質となり、焼結後の
ポーラスセラミックスの強度が増大する。この工程を採
用することなく、従来行われているように常温から12
00〜1500℃まで一気に加温すると、焼成後のセラ
ミックスの品質にバラツキが生じるばかりか、有害・汚
染物質の除去性能においても不十分なものとなる。
【0026】例えば、その圧縮強度が大きいものから小
さいものまで種々の強度のものが生じ、強度の小さいも
のは、焼成後のクラッシャー処理において粉状になり、
この粉状セラミックスをカラムに充填後、排水・廃液処
理に供すると、流体抵抗が大きく、すぐに目詰まりを生
じ、到底実用に供することはできないものである。
【0027】つぎに、この600〜800℃で3〜7時
間加熱された成型体は、4時間程度かけて1200〜1
500℃まで昇温させる。本発明において、1200〜
1500℃とその焼成温度に幅があるのは、粘土中の二
酸化ケイ素およびアルカリ分の量を制御し、焼成結果と
して異なる活性表面を得るためという理由による。すな
わち、粘土中のアルカリ分が比較的多く、焼結が容易な
場合については1200℃程度でよいが、ケイ素分が多
く焼結が困難な場合には1500℃での焼成がよく、幅
広い用途に用いることが可能なセラミックスを得るとい
う理由でおよそ1250℃での焼成が特に好ましい。
【0028】成型体の品温が、1200〜1500℃に
達したならば、この温度で4〜8時間、望ましくは6時
間程度焼成する。この温度での焼成時間が、前記特開昭
61−291473号公報に記載されているように1時
間程度であると、連続気孔形成部の表面非晶質化が不充
分で周囲の粒子との充分な焼結強度が得られないという
理由から、破壊しやすいという欠点を有するセラミック
スしか得られない。
【0029】本発明において、「気孔表面が非晶質」と
は、セラミックス内部に形成される連続気孔の表面が、
ケイ酸ソーダを主成分とする非晶質と、ケイ酸ソーダや
酸化カルシウムなどの結晶質(結晶性粒子)を合わせも
ったものをいう。結晶質(結晶性粒子)の部分は、廃水
中の処理対象成分と反応するが、非晶質の部分は反応に
寄与しない。
【0030】しかし、連続気孔表面を株式会社日立製作
所製の電界放射型走査電子顕微鏡S−4200型により
加速電圧10KV(二次電子像)及び20KV(反射電
子像)、撮影倍率3000倍の条件下で観察したとこ
ろ、例えば前記特開昭61−291473号公報に記載
されている従来の多孔質セラミックスでは、図1に示す
ように、セラミックス粒子の表面1ばかりでなく、連続
気孔2の表面の大部分が結晶性粒子3に覆われており、
処理対象成分の流れ4がセラミックス粒子に到達し、連
続気孔2中を通過しようとしても、抵抗が大きく、処理
対象成分が気孔2中へ充分流入・浸透することがでず、
処理対象成分との反応に寄与するのは、殆どセラミック
ス粒子の表面1であるのに対し、本発明の表面非晶質ポ
ーラスセラミックスでは、図2に示すように、連続気孔
2の表面に平滑な非晶質部分5が存在し、処理対象成分
の流れ4がセラミックス粒子に到達し、連続気孔2中を
通過する際の抵抗が少なく、処理対象成分が気孔2中へ
充分流入・浸透することができ、これにより、セラミッ
クス粒子の表面1のみならず、気孔2中に存在する結晶
性粒子3が処理対象成分と反応し、その結果優れた廃水
処理効果を達成しうると考えられる。
【0031】本発明の気孔表面が非晶質のポーラスセラ
ミックスを用いて、処理することができる排水・廃液の
種類は、特に限定されるものではないが、現在までのと
ころ、本発明者らは気孔表面が非晶質であるポーラスセ
ラミックスを用いて、トリクロロエタンのような有機塩
素含有廃液、有機窒素含量が高い養豚屎尿排水、鉛、六
価クロム、ニッケル、水銀、亜鉛、カドミウム、セレン
等の重金属含有廃液、水溶性タンパク含量が高い乳製品
製造工場、水産加工処理場、屠殺場からの廃水、その除
去が困難とされているP、Nを含有する河川、湖沼、工
場の各排水、パルプ工場廃水、写真現像に伴って排出さ
れる廃液、自動車の洗車場からのワックスと洗剤が混じ
った排水等において、その効果を確認している。
【0032】本発明において用いられる「活性炭」と
は、木炭、ヤシ殻、石炭チャーその他動物の骨や血液等
の原料を十分に炭化して製造されるものであればよく、
大きな比表面積と吸着能をもつ多孔質の炭素質からなる
物質であれば、現在市販されているものに限定されるも
のではない。
【0033】
【実施例】本発明の特徴を明瞭にするため次に実施例を
挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
ない。なお、実施例中の部数は重量部を表す。 実施例1:気孔表面が非晶質のポーラスセラミックスの
製造 粘土(瀬戸地方から採取した)2部と水3.2部とオガ
クズ6.76部とを、混練機を用いてよく混練し、縦と
横と高さがそれぞれ250mm×130mm×110m
mの煉瓦状に成型し、その含水率が40%になるまで、
常温で3昼夜乾燥させた。この乾燥煉瓦状成型体を、容
積10m3の窯業釜に入れ、その一隅にバーナーで点火
した。およそ10時間後、該成型体中のオガクズが自燃
により灰化し、品温はおよそ800℃に達していた。こ
の品温800℃程度の灰化成型体を加熱(追い焚き)
し、5時間程度その品温をおよそ800℃に保持した。
【0034】次いで、およそ4時間かけて、成型体の温
度がおよそ1250℃になるまで加熱し、この温度でお
よそ6時間焼成した。焼成後の成型体が冷却した後、釜
から取り出した。
【0035】この時点で成型体の圧縮強度を株式会社島
津製作所製の圧縮強度試験機で測定したところ、6.0
〜9.5Kg/cm2という高圧縮強度範囲のものが得
られた。次に、このものをクラッシャーにかけ粉砕した
ところ、その径が10mm以上のものが20%、6〜1
0mmのものが30%、2〜6mmのものが20%、2
mm以下の粉状のものが30%の割合で得られた。
【0036】実施例1で得られたポーラスセラミックス
の物性は以下のとおりであった。 カサ比重 0.36〜0.40 気孔率 86.7% 比表面積 23m2/g
【0037】上記ポーラスセラミックスの組成を、KE
VEX社製のエネルギー分散型X線分光機SIGMA2
型により加速電圧15KV、測定時間100秒の条件下
で測定したところ、セラミックス全体の組成は、酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化カルシウム、酸
化マグネシウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム等から
なり、粒子表面と気孔表面の活性部分の組成は、ケイ酸
ソーダ、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム等の結晶質であり、また、気孔表面の非活性部
分の組成は、ケイ酸ソーダ、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム等の非晶質であっ
た。
【0038】また、本発明のポーラスセラミックスは、
セラミックスの全体及びその外部表面の組成に比べて、
その気孔表面の組成としてケイ素系成分が多く、また前
記電子顕微鏡写真による表面状態からして、本発明のポ
ーラスセラミックスは、その気孔表面が非晶質であるポ
ーラスセラミックスであることがわかる。
【0039】比較例1:従来法によるポーラスセラミッ
クスの製造 次の昇温・焼成工程を採用する以外は実施例1と同様に
行った。すなわち実施例1と同様に調整した乾燥煉瓦状
成型体を電気炉に入れ、その品温がほぼ直線的に125
0℃まで上昇するまで4時間加熱し、1250℃でおよ
そ1時間焼成した。
【0040】焼成後の成型体の圧縮強度を、実施例1同
様、株式会社島津製作所製の圧縮強度測定機で測定した
ところ、2.1〜9.6Kg/cm2であり、圧縮強度
の範囲にバラツキがみられ、また低圧縮強度のものの占
める割合が高かった。次に、このものをクラッシャーに
かけ粉砕したところ、その径が10mm以上のものが5
%、6〜10mmのものが10%、2〜6mmのものが
20%、2mm以下のものが65%の割合で得られ、実
施例1に比べて、粉状のものの占める割合が非常に高か
った。
【0041】比較例1で得られたポーラスセラミックス
の物性は以下のとおりであった。 カサ比重 0.4〜0.52 気孔率 85.6〜87.1% 比表面積 18〜38m2/g
【0042】このポーラスセラミックスの組成を、実施
例1と同様に測定したところ、セラミックス全体の組
成、粒子表面と気孔表面の活性部分の組成及び気孔表面
の非活性部分の組成においては大差はなかった。
【0043】上記の各種物性値を実施例1のものと比べ
ると、組成全体や外部表面の組成には差異はないが、そ
の電子顕微鏡写真による気孔表面の状態からして、本発
明の気孔表面が非晶質であるポーラスセラミックスと異
なり、その気孔表面は大部分が酸化ケイ素、酸化カルシ
ウム等からなる均質な結晶質であり、結晶粒子が大き
く、また結晶粒子間の結合が不十分で、実施例1のもの
に比べ活性な結晶粒子が適量配置された構造とはなって
いない(前記図1及び図2参照)。
【0044】実施例2:本発明の気孔表面が非晶質のポ
ーラスセラミックスを用いた有機塩素含有廃液の処理 実施例1で得られたその径が6〜10mmの気孔表面が
非晶質のポーラスセラミックスと活性炭(武田薬品株式
会社製)の50:50の混合物を用いて、以下のように
テトラクロロエチレンを含有する工場廃液10リットル
の処理を図3の処理装置を用いて行った。
【0045】図3に示すように、直径26mm、長さ1
03mm、容積50mlのカラム6に、実施例1で得ら
れた気孔表面が非晶質のポーラスセラミックス12.5
gと同量の活性炭の混合物7を充填し、このものを3本
直列に連結した装置を用い、通水線速度0.2mm/
秒、接触時間25分45秒、処理水量6.7ml/分の
処理条件で、通水時間14400分(100日)の長期
連続運転を行った。その結果を図4に示す。
【0046】図4中、●印は工場から排出される廃液中
のテトラクロロエチレン濃度を表し、そのため得られる
サンプル毎にその濃度が変動している。また、■印は処
理後のテトラクロロエチレン濃度を表している。図4か
らもわかるように、本発明の気孔表面が非晶質のポーラ
スセラミックスを用いた処理後の廃液中のテトラクロロ
エチレン濃度は0.01mg/Lまで低下し、この値は
我が国の水質基準である0.1mg/Lを大きく下回っ
ていた。
【0047】またこのテトラクロロエチレン濃度0.0
1mg/Lという処理能力は連続通水時間10680分
まで継続することが確かめられた。これらの結果からす
ると、本発明の気孔表面が非晶質のポーラスセラミック
スの作用は、単なる物理的吸着では説明できず、またカ
ラム中には微生物の増殖が認められないことから、その
メカニズムは明らかではないが、テトラクロロエチレン
が何らかの作用により分解されているものと思われる。
【0048】比較例2:活性炭のみを使用した有機塩素
含有廃液の処理 実施例2における気孔表面が非晶質のポーラスセラミッ
クスと活性炭の混合物に代えて、活性炭のみを用いる以
外は実施例2と同様に行った。その結果を図5に示す。
図5中●印は気孔表面非晶質ポーラスセラミックスと活
性炭の混合物による処理後のテトラクロロエチレン濃度
を表し、また■印は活性炭単独処理におけるテトラクロ
ロエチレン濃度を表している。
【0049】図5からもわかるように、活性炭のみを使
用した場合には廃液中のテトラクロロエチレンの量は、
0.1mg/Lまでしか低下しなかった。この値は、実
施例2における気孔表面が非晶質のポーラスセラミック
スと活性炭の混合物を用いた場合の10倍の値であり、
このことから本発明の気孔表面が非晶質のポーラスセラ
ミックスの有効性がよくわかる。
【0050】比較例3:従来法によるポーラスセラミッ
クスを使用した有機塩素含有廃液の処理 比較例1により製造されたポーラスセラミックスを用い
る以外は実施例2と同様に行った。その結果、比較例1
により製造されたポーラスセラミックスと活性炭の混合
物による処理は、上記比較例2における活性炭単独処理
と大差なく、テトラクロロエチレンの吸着能力及びその
持続力において、本発明の気孔表面が非晶質のポーラス
セラミックスと活性炭を用いた場合に比べて劣ってい
た。
【0051】
【発明の効果】本発明の気孔表面が非晶質のポーラスセ
ラミックスを用いると、現在その処理が問題となってい
る排水・廃液中の有害・汚染物質の除去・分解が可能と
なり、また、その除去・分解作用が長時間持続すること
から、極めて実用的であるといえる。
【0052】また、本発明の製造方法によると、上記気
孔表面が非晶質のポーラスセラミックスが製造すること
ができるばかりか、排水・廃液の処理に有用な高圧縮強
度範囲のものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポーラスセラミックスの気孔表面の状態
を示す模式図である。
【図2】本発明の表面非晶質ポーラスセラミックスの気
孔表面の状態を示す模式図である。
【図3】有機塩素含有廃液の処理装置の縦断面図であ
る。
【図4】本発明によるテトラクロロエチレン含有廃液の
長期連続処理の結果を示す図である。
【図5】テトラクロロエチレン含有廃液の本発明による
処理と活性炭単独処理との比較結果を示す図である。
【符号の説明】
1 ポーラスセラミックス粒子の表面 2 ポーラスセラミックス粒子の連続気孔 3 ポーラスセラミックス粒子における結晶性粒子 4 処理対象物の流れ 5 ポーラスセラミックス粒子の気孔表面の非晶質部分 6 廃液処理カラム 7 気孔表面非晶質ポーラスセラミックスと活性炭の混
合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−338185(JP,A) 特開 平5−105548(JP,A) 特開 昭61−291473(JP,A) 特開 平6−305851(JP,A) 特開 昭60−261586(JP,A) 特開 昭61−136490(JP,A) 特開 昭61−153196(JP,A) 特開 平6−218280(JP,A) 社団法人窯業協会編「窯業工学ハンド ブック」株式会社 技報堂 昭和41年12 月25日 発行,p39,p.1383〜p. 1389

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘土と気孔形成材料と水を混合し、適宜
    形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型体の品温を、成型
    体中の気孔形成材料の自燃により、5〜15時間かけ
    て、常温から600〜800℃まで昇温させた後、成型
    体の品温を600〜800℃で3〜7時間保持し、次い
    で1200〜1500℃まで昇温させた後、この温度で
    4〜8時間焼成し、冷却後クラッシャー処理することを
    特徴とする気孔表面が非晶質であるポーラスセラミック
    スの製造方法。
  2. 【請求項2】 粘土と気孔形成材料と水を混合し、適宜
    形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型体の品温を、成型
    体中の気孔形成材料の自燃により、5〜15時間かけ
    て、常温から600〜800℃まで昇温させた後、成型
    体の品温を600〜800℃で3〜7時間保持し、次い
    で1200〜1500℃まで昇温させた後、この温度で
    4〜8時間焼成し、冷却後クラッシャー処理することに
    より得られる気孔表面が非晶質であるポーラスセラミッ
    クス。
  3. 【請求項3】 粘土と気孔形成材料と水を混合し、適宜
    形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型体の品温を、成型
    体中の気孔形成材料の自燃により、5〜15時間かけ
    て、常温から600〜800℃まで昇温させた後、成型
    体の品温を600〜800℃で3〜7時間保持し、次い
    で1200〜1500℃まで昇温させた後、この温度で
    4〜8時間焼成し、冷却後クラッシャー処理することに
    より得られる気孔表面が非晶質であるポーラスセラミッ
    クスを用いることを特徴とする排水・廃液の処理方法
  4. 【請求項4】 粘土と気孔形成材料と水を混合し、適宜
    形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型体の品温を、成型
    体中の気孔形成材料の自燃により、5〜15時間かけ
    て、常温から600〜800℃まで昇温させた後、成型
    体の品温を600〜800℃で3〜7時間保持し、次い
    で1200〜1500℃まで昇温させた後、この温度で
    4〜8時間焼成し、冷却後クラッシャー処理することに
    より得られる気孔表面が非晶質であるポーラスセラミッ
    クスと、活性炭との混合物からなる排水・廃液処理剤
  5. 【請求項5】 粘土と気孔形成材料と水を混合し、適宜
    形状に成形後、乾燥させ、該乾燥成型体の品温を、成型
    体中の気孔形成材料の自燃により、5〜15時間かけ
    て、常温から600〜800℃まで昇温させた後、成型
    体の品温を600〜800℃で3〜7時間保持し、次い
    で1200〜1500℃まで昇温させた後、この温度で
    4〜8時間焼成し、冷却後クラッシャー処理することに
    より得られる気孔表面が非晶質であるポーラスセラミッ
    クスと、活性炭との混合物を用いることを特徴とする排
    水・廃液の処理方法
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