JP3401785B2 - 連続鋳造における鋳片の冷却方法 - Google Patents

連続鋳造における鋳片の冷却方法

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JP3401785B2
JP3401785B2 JP24126099A JP24126099A JP3401785B2 JP 3401785 B2 JP3401785 B2 JP 3401785B2 JP 24126099 A JP24126099 A JP 24126099A JP 24126099 A JP24126099 A JP 24126099A JP 3401785 B2 JP3401785 B2 JP 3401785B2
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敦嗣 平田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素鋼、低合金
鋼、高低合金鋼、ステンレス鋼など種々の鋼のブルーム
またはビレット(以下鋳片という)の連続鋳造において、
鋳片の中心部に発生するセンターポロシティもしくは中
心偏析を低減することが可能な鋳片の冷却方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管は、マンネスマン法、ユジー
ンセジュルネ法により圧延または鍛造工程をへて製造さ
れるが、連続鋳造鋳片にセンターポロシティもしくは中
心偏析が存在すると、鋳片の内質部が管の内表面となる
ため、その程度が大きいと製造された管内表面に疵が発
生し、品質上の欠陥となりやすい。
【0003】連続鋳造鋳片のセンターポロシティ、中心偏析
の軽減方法としては、鋳片冷却の際の熱収縮を利用する
二次冷却方法が、既にいくつか提案されている。例え
ば、残溶湯プールの鋳込み方向最先端位置より手前2〜1
5mの位置からプール先端位置まで鋳込み方向に沿って、
鋳片の液芯核の凝固の進行に伴い、鋳片表面をその凝固
収縮による体積収縮量相当量以上を逐次強制冷却して鋳
片凝固殻を収縮せしめ、鋳片断面を減面して鋳造し、中
心偏析を低減する方法(特開昭62-61764号公報)が提案さ
れている。
【0004】また、残溶湯プールの鋳込み方向最先端位置よ
り手前2〜15mの位置からプール先端位置まで鋳込み方向
に沿う鋳片表面温度を、鋳片の液芯核の凝固の進行に合
わせて、鋼のA3変態温度もしくはAC3変態の開始温度TA
以上で、次式に示す有効鋳片表面温度TV以下の温度に逐
次強制冷却して鋳片凝固殻を収縮せしめ、鋳片断面を減
面して鋳造し、中心偏析を低減する方法(特公平3-46217
号公報)が提案されている。 TV=Ta+(TN−Ta)×0.3 ただし、TN:ピンチロールを出た後の自然放冷による鋳
片表面温度、Ta:凝固収縮量を補償するに必要な凝固殻
平均冷却を得る鋳片表面温度
【0005】残溶湯プールの鋳込み方向最先端位置より手前
2〜15mの位置からプール先端位置まで鋳込み方向に沿っ
て鋳片の残溶鋼の凝固進行に伴う凝固収縮による体積収
縮量相当量以上を、鋳片表面の逐次冷却による凝固殻の
収縮荷より補う連続鋳造方法において、前記逐次冷却を
行う位置より手前に鋳片凝固加熱装置を設置し、鋳片凝
固殻の平均温度を高くしその後に逐次冷却を行って鋳片
断面を減面して鋳造し、中心偏析を低減する方法(特開
昭63-30161号公報)が提案されている。
【0006】残溶湯プールの鋳込み方向最先端位置より手前
2〜15mの位置からプール先端位置までの鋳片表面を、鋳
込み方向に沿って、鋳片の液芯核の凝固の進行に伴い、
その凝固収縮による体積収縮量相当量以上の冷却量で逐
次強制冷却して鋳片凝固殻を収縮せしめ、鋳片断面を減
面して鋳造する際に、鋳込み方向の残溶湯プール最先端
を検知し、該検知に基づいて鋳片の凝固収縮量および表
面収縮を補償すべき表面温度を計算し、該温度となるよ
うに水冷帯長さ、冷却水量および冷却パターンを調節し
て鋳造し、中心偏析を低減する方法(特開昭63-165053号
公報)が提案されている。
【0007】連続鋳造用鋳型より引き抜いた円形状鋳片に対
し、該鋳片の凝固完了点に至るまでの少なくとも5mの領
域にわたって強制冷却を施し、該鋳片の表面温度を連続
的に低下させ復熱を防止しつつ鋳造し、好適な円もしく
はそれに近い断面形状を得る方法(特開平1-118351号公
報)が提案されている。
【0008】連続鋳造鋳片の核が柔らかい凝固相の状態にあ
るときに、この柔らかい核と該核の周りの既に凝固した
殻との間の熱収支の差によって上記の核が上記の殻によ
り常に圧縮される効果が生ずるように鋳片を強制冷却、
例えば、1時間当たりかつ鋳片1m3当たりの平均流量が8
〜15m3で実施する方法(特開平2-15856号公報)が提案さ
れている。
【0009】鋳片中心部の固相率が0.1ないし0.3になった時
点で水量密度25〜100[リットル/(min.・m2)]の水冷却に
よる鋳片の表面冷却を開始し、鋳片中心部の固相率が0.
8以上になるまで上記の水量密度による水冷却を継続
し、センターポロシティを低減する方法(特許第2856068
号)が提案されている。
【0010】鋳造中の鋳片中心部の固相率が0.1ないし0.3に
なったときに、該鋳片の短辺面側に対する水冷却を開始
し、鋳片中心部の固相率が0.8以上になるまで水冷却を
継続し、中心偏析を低減する方法(特開平6-335760号公
報)が提案されている。
【0011】径または厚みが250mm以上の鋳片を鋳造する際
に、鋳型の直下に設けた前段スプレー帯と下流側の凝固
が完了する手前に設けた凝固末期用の後段スプレー帯の
2つの区域で行う二次冷却において、鋳片中心部の固相
率が0.5以上0.65以下の領域から0.8以上となるまでの間
を水量密度25〜100[リットル/(min.・m2)]の水冷却を継
続し、中心偏析を低減する方法(特開平8-19843号公報)
が提案されている。
【0012】径または厚みが261mm以下の鋳片中心部の固相
率が0.2〜0.8の時点で、比水量0.1〜0.41kg・steelの水
冷却による鋳片の表面冷却を開始し、完全凝固するまで
前記比水量による水冷却を継続し、センターポロシティ
を低減する方法(特開平8-332556号公報)が提案されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の鋳片表面を冷却
して鋳片に収縮を与え、センターポロシティおよび中心
偏析を低減する既に開示されている方法は、更に検討す
べき下記の問題点がある。 (1) 上記の既に開示されている方法では、センターポ
ロシティおよび中心偏析の低減効果を発揮する適正条件
の幅が非常に狭く、鋳造速度によってこの適正条件を表
すと±100mm/min.程度であり、実生産に用いようとする
とピンチロール回転速度測定誤差の外乱によって、適正
条件を容易に外れてしまう。したがって、適正範囲を増
大させる必要がある。 (2) 上記(1)で述べたように適正範囲が非常に狭いた
め、冷却開始および終了位置を的確に制御する必要があ
る。 (3) 上記の既に開示されている方法では、冷却媒体の
散布状態等について開示されていない。しかしながら、
センターポロシティおよび中心偏析が低減する効果を発
揮するためには、冷却範囲内において均一に冷却しなけ
ればなければならない。また、均一な冷却がなされない
場合は、鋼種によっては熱応力によって鋳片の曲がりが
発生し、実生産に適さないということもある。 (4) 上記の既に開示されている方法は、確かに中心偏
析の低減効果はある。しかしながら、鋼種によっては更
に低減しなければ、継目無鋼管製造時に内面疵が発生す
る場合がある。
【0014】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消
し、炭素鋼、低合金鋼、高低合金鋼、ステンレス鋼など
種々の鋼の連続鋳造において、鋳片の中心部に発生する
センターポロシティもしくは中心偏析を低減することが
可能な鋳片の冷却方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく種々試験検討を重ね、下記のような知見
を得た。 (1) センターポロシティおよび中心偏析の低減効果を
発揮する適正範囲を増大するには、凝固末期強制冷却
の水量密度を大きくしてより鋳片表面を冷却する、小
さい水量密度にて凝固末期強制冷却を開始した後、鋳込
み下流側へいくほど水量密度を増大させる、という二つ
の手段が有効である。 (2) 凝固末期強制冷却開始および終了位置を制御する
には、固定された凝固末期強制冷却帯を用い、偏析を考
慮した凝固計算により最終凝固位置を求め、鋳造速度を
調整するのが最も簡便であり、実生産に適する。 (3) 凝固末期強制冷却帯で冷却水の均一散布を実現す
るには、フラットスプレーの場合幅方向を鋳込み方向と
同一とするのが有効である。また、フルコーンノズルを
適用することも有効である。 (4) 更に中心偏析を低減するには、凝固末期強制冷却
の前に鋳片中心部の溶鋼を物理的に撹拌し、予めある程
度偏析を分散させておくのが有効である。
【0016】本発明の鋳片の冷却方法は、鋼のブルーム
またはビレットの連続鋳造において、残溶湯プールの鋳
込み方向最先端より手前0.1〜2.0m位置もしくは
鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置から鋳片中
心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固末期強制
冷却帯で鋳片表面水量密度を10〜300リットル
/(min.・m 2 )とし、かつ、水量密度を下流側に
なるほど増加させて水冷却することを特徴とする。
【0017】鋼のブルームまたはビレットの連続鋳造に
おいて、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.
1〜2.0m位置もしくは鋳片中心部の固相率が0.1
〜0.8の位置から鋳片中心部の固相率が0.99以上
となるまで、凝固末期強制冷却帯での鋳片表面の水量密
度を10〜300リットル/(min.・m 2 )とし、
かつ、凝固末期強制冷却帯を2以上に分割し、各冷却帯
長さを0.2〜5.8mとし、各冷却帯の水量密度を下
流側になるほど増加させて水冷却することを特徴とす
る。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る連続鋳造に
よる鋳片の製造工程の一例を示す模式図である。タンデ
ィッシュ1から連続鋳造用鋳型2に注入された溶鋼3は、
鋳型2内において冷却され、凝固シェルが外側に形成さ
れる。この鋳型2から引き抜かれた鋳片4は、スプレー冷
却帯5を経てピンチロール帯6に入り、スプレー冷却され
る。その後鋳片4は、電磁撹拌装置7を経て凝固末期強制
冷却帯8において強制冷却される。
【0029】凝固末期強制冷却帯における鋳片の強制冷却
は、残溶鋼プールの鋳込み方向最先端より手前0.1〜2.0
mの位置もしくは鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置
から開始する必要がある。これは、残溶鋼プールの鋳込
み方向最先端より手前2.0mを超えもしくは鋳片中心部の
固相率が0.1未満では、強制冷却開始が早すぎて実際に
鋳片中心部の収縮代が大きくなる時に表面の収縮代を大
きく保てなくなるために、鋳片中心部の内質改善効果が
発揮できなくなるからである。また、残溶鋼プールの鋳
込み方向再先端より手前0.1m未満の位置もしくは鋳片中
心部の固相率が0.8を超える位置では、最終凝固位置に
近すぎて鋳片中心部の内質改善効果を発揮する時間がな
いためである。
【0030】凝固末期強制冷却帯における鋳片の強制冷却終
了は、鋳片中心部の固相率が0.99以上となる位置とする
必要がある。これは、鋳片中心部の固相率が0.99未満の
位置で強制冷却を終了すると、完全に凝固しないうちに
強制冷却が終了するため、鋳片表面の復熱により中心部
に引張り応力が働き、逆に鋳片中心部の内質を悪化させ
てしまうからである。
【0031】図2は、1%Cr鋼を直径200mmのビレットに連続鋳
造する際、凝固末期強制冷却帯長さ5m、水量密度100リ
ットル/min.・m2、300リットル/min.・m2、鋳造速度2.1
〜2.8m/min.の条件で連続鋳造した場合のセンターポロ
シティ直径と鋳造速度との関係を調査したものである。
センターポロシティ≦5mmが継目無鋼管製造時に内面疵
にならないために必要である。
【0032】凝固末期強制冷却帯における水量密度が100リ
ットル/min.・m2未満の場合には、図2に示すように、セ
ンターポロシティ≦5mmとするには鋳造速度を<±0.1m/
min.に制御しなければならない。これは、ピンチロール
による鋳造速度測定誤差範囲内であり、実生産において
鋳造速度の制御が不可能である。制御可能な鋳造速度範
囲は、≧±0.1m/min.である。水量密度の増加は、鋳造
速度の適正範囲を広げ、≧±0.1m/min.となるため、実
生産において鋳造速度の制御が可能となる。水量密度の
上限を300リットル/min.・m2としたのは、水量密度が30
0リットル/min.・m2を超えると鋳片表面が過冷却とな
り、鋳片の曲がり等の問題が発生するためである。
【0033】図3は、1%Cr鋼を直径200mmのビレットに連続鋳
造する際、凝固末期強制冷却帯長さ5m、鋳造速度2.43m/
min.の鋳造条件で、水量密度を30リットル/min.・m2、1
00リットル/min.・m2、170リットル/min.・m2と変化さ
せた場合のメニスカスからの距離と鋳片中心部の冷却速
度と表皮の冷却速度との関係を調査したものである。水
量密度の増加によって、鋳造速度の適正範囲が広がるこ
とがわかる。
【0034】鋳片の内質改善効果の発現には、表皮の冷却速
度、すなわち収縮密度が鋳片中心部の冷却速度、すなわ
ち収縮密度を超えることが必要条件である。図3に示す
ように、水量密度≧100リットル/min.・m2とすることに
よつて、表皮の冷却速度>鋳片中心部の冷却速度が実現
されており、鋳片の内質改善効果の発現が裏付けられて
いる。
【0035】図4は、1%Cr鋼を直径200mmのビレットに連続鋳
造する際、凝固末期強制冷却帯長さ5m、水量密度100リ
ットル/min.・m2、170リットル/min.・m2、凝固末期強
制冷却帯長さ3.5mの水量密度を、前段0.8mを65リットル
/min.・m2、後段2.7mを170リットル/min.・m2、鋳造速
度1.9〜2.9m/min.の条件で連続鋳造した場合のセンター
ポロシティ直径と鋳造速度との関係を調査したものであ
る。センターポロシティ≦5mmが継目無鋼管製造時に内
面疵にならないための必要レベルである。
【0036】図4に示すように、凝固末期強制冷却帯の水量
密度は、鋳込み方向の後方になるほど増加させると、や
はり鋳造速度の適正範囲を増大させることが可能とな
る。これは、冷却速度が低下してきたところで、更に強
制冷却を施すことによって、鋳片表皮において大きい冷
却速度を維持することが可能となるためである。
【0037】このことは、1%Cr鋼を直径200mmのビレットに
連続鋳造する際、凝固末期冷却帯長さ3.5mの前段0.8mを
65リットル/min.・m2、後段2.7mを170リットル/min.・m
2、鋳造速度2.10m/min.、2.75m/min.の条件で連続鋳造
した場合のメニスカスからの距離と鋳片中心部の冷却速
度と表皮の冷却速度との関係を調査した図5からも明ら
かである。
【0038】分割した凝固末期強制冷却帯長さの最低値を0.
2m、水量密度の最低値を10リットル/min.・m2としたの
は、これ以上であれば、表皮の冷却速度>鋳片中心部の
冷却速度が実現可能となるからである。
【0039】凝固末期強制冷却帯の直前から鋳型下端の間の
いずれかの位置には、電磁撹拌を鋳込み方向もしくは鋳
込み方向と直角方向に実施することによって、予めある
程度中心偏析を分散させると、図6に示すように、継目
無鋼管の内面疵発生率を低減することができる。
【0040】径または厚みが320mm以下の鋳片の場合は、伝
熱抵抗が小さいため鋳片中心部の内質改善効果がより大
きい。
【0041】凝固末期強制冷却帯の長さは、6mを超えると鋳
片の過冷却が発生し、鋼種によっては曲がりが発生して
実生産には適さない。したがって、凝固末期強制冷却帯
の総長さは6m以下であることが望ましい。
【0042】凝固末期強制冷却帯での冷却は、エアーミスト
スプレーにより行うと、水冷却に比較して大きい冷却能
が得られるため、より望ましい。
【0043】凝固末期強制冷却帯のスプレーノズルとして
は、フラットタイプを適用する場合、図7に示すよう
に、ノズル71のスプレー幅方向を鋳片72の矢印で示す鋳
込み方向とすることによって、より均一な冷却が可能と
なる。これによって、内質改善効果の安定化を図ること
ができ、さらに鋳片の曲がりの発生も抑制することがで
きる。フルコーンタイプを適用した場合は、冷却のより
均一化が図られるため、さらに望ましい内質改善効果が
得られる。
【0044】凝固末期強制冷却帯入側の鋳片表面温度は、85
0℃以上であることが必要である。850℃未満では、既に
凝固が進行しており、内質改善効果の発現は見られな
い。凝固末期強制冷却帯出側の鋳片表面温度は、700℃
以下にしなければならない。これは、この程度の冷却を
しなければ、鋳片表皮の冷却速度が鋳片中心部の冷却速
度を上回ることができないからである。
【0045】丸ビレットの残溶鋼プールの鋳込み方向最先端
位置を求めるには 、一般的な下記式(1)の円柱座標熱伝
導微分方程式を解き、偏析を考慮した丸ビレット鋳片の
中心部固相率が0.99となる時間を求めると、鋳造速度か
ら残溶鋼プールの鋳込み方向最先端位置が求まる。した
がって、鋳造速度の調整を行うことによって、図8に示
すように、適正範囲冷却が得られる的中率が100%とな
り、内質改善効果が安定する。
【0046】
【数1】
【0047】鋳型内電磁撹拌の併用は、等軸晶率が上昇して
中心偏析の分散が可能となるため、さらに内質改善効果
が認められる。
【0048】溶鋼の鋳込み終了は、定常部と同一の一定速度
で行うことによって、最終鋳込みの非定常鋳片において
も良好な品質を確保することができる。
【0049】
【実施例】図1に示す構造に等しい湾曲半径10mの円
弧湾曲型連続鋳造機を用い、凝固末期強制冷却帯をメニ
スから27.5mから34.5mの位置に設置し、
断面円形の直径200mmの連続鋳造用鋳型により丸ビ
レット鋳片を鋳造した。鋳造鋼種は、表1に示す化学成
分の低炭素鋼、鋳造速度は2.0〜2.7m/mi
n.、鋳型直後の二次冷却帯の比水量は0.05〜0.
8リットル/kg・steelとした。鋳造条件を表
2、表3に、鋳造結果を表4に示す。また、得られた丸
ビレット鋳片は、継目無鋼管の製造に用い、継目無鋼管
内面疵の発生率を調査した。その結果を表4に示す。
【0050】なお、表2、表3中のVcは鋳造速度、中心fsは中
心固相率、Lpは残溶湯プールの鋳込み方向最先端よりの
距離を示す。また、表4中のセンターポロシティ面積分
率(%)は、ビレット横断面マクロサンプルから測定され
る(ポロシティ面積)/(鋳片面積)×100により求めた。ま
た、中心偏析度C/C0は、ビレット横断面マクロサンプル
の1/4部分と中心部分より採取した直径5mmのドリルサン
プルより[C]分析を実施し、(中心部C濃度)/(1/4部C濃
度)により求めた。継目無鋼管内面疵の発生率は、目視
および超音波探傷試験を実施し、(内面疵発生本数)/(製
管本数)×100により求めた。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】表2〜表4に示すように、実施例は、強
制冷却帯の分割を実施しており、前段2mで水量密度5
0リットル/(min.・m2)、後段3mで水量密度
150リットル/(min.・m2)とした。実施例
においては、良好な鋳片品質が得られている。参考例1
は、強制冷却開始位置、強制冷却終了位置、強制冷却帯
長さ、水量密度が充分で、良好な鋳片品質が得られてい
る。参考は、強制冷却帯直前に電磁撹拌装置を設置
し、電磁撹拌を実施したもので、中心偏析度に著しい改
善が認められる。参考は、冷却方法としてエアーミ
ストスプレーを用いたもので、良好な鋳片品質が得られ
ている。
【0056】参考は、スプレーノズルとしてフルコ
ーンタイプを用いたもので、良好な鋳片品質が得られて
いる。参考は、前記(1)式の凝固計算により残溶
鋼プールの鋳込み方向最先端位置を予測し、鋳造速度の
調整を行ったもので、内質改善効果の安定化とともに、
当然ながら良好な鋳片品質が得られている。参考
は、鋳型内電磁撹拌を実施したもので、中心偏析度の改
善が認められる。参考は、鋳込み終了を定常部と同
一の一定速度引き抜きを実施したもので、最終鋳片にお
いても良好な鋳片品質が得られている。
【0057】これに対し、比較例1は、冷却開始位置が残溶
鋼プールの鋳込み方向最先端位置から0.05mと遅いた
め、既にセンターポロシティおよび中心偏析が生成して
いるため、内質改善効果が認められず、継目無鋼管に内
面疵発生率が高くなっている。比較例2は、冷却終了位
置が早く、鋳片表皮の復熱による膨張のために鋳片中心
部に引張り応力が生じ、センターポロシティおよび中心
偏析ともに悪化している。当然ながら継目無鋼管の内面
疵発生率も非常に高くなっている。
【0058】比較例3は、強制冷却帯が7mと長いために鋳片
が過冷却されて曲がりが生じ、製品とならなかった。比
較例4は、強制冷却帯の水量密度が90リットル/(min.・m
2)と小さいため、内質改善効果が認められない。比較例
5は、強制冷却帯の水量密度が400リットル/(min.・m2)
と大きすぎるため、鋳片が過冷却されて曲がりが生じ、
製品とならなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の連続鋳造における鋳片の冷却方
法は、炭素鋼、低合金鋼、高低合金鋼、ステンレス鋼な
ど種々の鋼片の連続鋳造において、鋼片の中心部に発生
するセンターポロシティまたは中心偏析を低減すること
ができ、鋼片を素材とする継目無鋼管の内面疵の発生を
抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた連続鋳造設備の概要を示す模式
図である。
【図2】凝固末期強制冷却帯での水量密度と鋳造速度と
センターポロシティ直径との関係を示すグラフである。
【図3】メニスカスからの距離と鋼片中心および表皮の
冷却速度と水量密度との関係を示すグラフである。
【図4】水量密度と鋳造速度とセンターポロシティ直径
との関係を示すグラフである。
【図5】メニスカスからの距離と鋼片中心および表皮の
冷却速度と水量密度との関係を示すグラフである。
【図6】凝固末期強制冷却帯直前での電磁撹拌の有無と
継目無鋼管の内面疵発生率との関係を示すグラフであ
る。
【図7】フラットスプレーの幅方向を鋳込み方向と同一
とした場合の模式図で、(a)図は側面図、(b)図は平面図
である。
【図8】残溶湯プールの鋳込み方向最先端位置推定によ
る鋳造速度制御実施の有無と適正範囲的中率との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 鋳型 3 溶鋼 4、72 鋳片 5 スプレー冷却帯 6 ピンチロール帯 7 電磁撹拌装置 8 凝固末期強制冷却帯 71 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−332556(JP,A) 特開 平11−216551(JP,A) 特開 平11−192539(JP,A) 特開 昭59−159257(JP,A) 特開 昭60−245718(JP,A) 特開 平9−314289(JP,A) 特開 平8−19843(JP,A) 特開 昭63−165053(JP,A) 特開 平7−1096(JP,A) 特開 平8−150451(JP,A) 特開 平6−335760(JP,A) 特開 平10−128510(JP,A) 特開 平2−15856(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/124 B22D 11/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼のブルームまたはビレット連続鋳造に
    おいて、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.
    1〜2.0mの位置から鋳片中心部の固相率が0.99
    以上となるまで、凝固末期強制冷却帯での鋳片表面の水
    量密度を10〜300リットル/(min.・m 2 )と
    し、かつ、水量密度を下流側になるほど増加させて水冷
    却することを特徴とする連続鋳造における鋳片の冷却方
    法。
  2. 【請求項2】 鋼のブルームまたはビレット連続鋳造に
    おいて、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置か
    ら鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固
    末期強制冷却帯での鋳片表面の水量密度を10〜300
    リットル/(min.・m 2 )とし、かつ、水量密度を
    下流側になるほど増加させて水冷却することを特徴とす
    る連続鋳造における鋳片の冷却方法。
  3. 【請求項3】 鋼のブルームまたはビレット連続鋳造に
    おいて、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.
    1〜2.0mの位置から鋳片中心部の固相率が0.99
    以上となるまで、凝固末期強制冷却帯で鋳片表面の水量
    密度を10〜300リットル/(min.・m 2 )と
    し、かつ、凝固末期強制冷却帯を2以上に分割して各冷
    却帯長さを0.2〜5.8mとし、各冷却帯の水量密度
    を下流側になるほど増加させて水冷却することを特徴と
    る連続鋳造における鋳片の冷却方法。
  4. 【請求項4】 鋼のブルームまたはビレット連続鋳造に
    おいて、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置か
    ら鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固
    末期強制冷却帯で鋳片表面の水量密度を10〜300リ
    ットル/(min.・m 2 )とし、かつ、凝固末期強制
    冷却帯を2以上に分割して各冷却帯長さを0.2〜5.
    8mとし、各冷却帯の水量密度を下流側になるほど増加
    させて水冷却することを特徴とする連続鋳造における鋳
    片の冷却方法。
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