JP3374761B2 - 連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造鋳
片、その鋳片の連続鋳造方法およびその鋳片を熱間圧延
する厚鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造鋳片の厚み中心部近傍に
は、中心偏析やV偏析が発生しやすい。中心偏析は、鋳
片の最終凝固部にC、S、P、Mnなどの偏析成分が濃
化して現れるもので、V偏析は、鋳片の最終凝固部近傍
に、これらの偏析成分がV字状に偏析するものである。
【0003】これらの偏析は、たとえば厚鋼板の靱性の
低下や、厚鋼板から曲げ加工後、溶接して製造される大
径鋼管の水素誘起割れの原因となることが知られてい
る。
【0004】このような偏析の生成機構は、次のように
考えられている。凝固が進み、凝固組織の一つであるデ
ンドライト樹間に偏析成分が濃化する。この濃化溶鋼
が、凝固時の鋳片の収縮またはバルジングと呼ばれる鋳
片のふくれなどにより、デンドライト樹間より流出す
る。流出した濃化溶鋼は、ところどころで局所的に集積
するか、または最終凝固部の凝固完了点に向かって流動
し、そのまま厚みのある濃化帯として凝固する。そのた
めに、これらの偏析が発生する。
【0005】これらの偏析の防止対策として、デンドラ
イト樹間に残った濃化溶鋼の移動を防止することと、濃
化溶鋼の局所的な集積を防ぐことが有効であり、次のよ
うな方法が提案されている。
【0006】その一つに、圧下ロール群による軽圧下法
があるが、凝固収縮量を若干上回る程度の軽圧下では、
偏析の改善には限界がある。
【0007】その他に、効果的にこれらの偏析を改善す
るために、圧下ロールで鋳片に大きな圧下を加える方法
がある。ただし、大きな圧下を加える場合には、圧下に
ともなう鋳片の内部割れの発生が懸念される。
【0008】鉄と鋼、60(1974)、P875に
は、一辺が120mmの正方形の断面形状をした鋳片を
圧下率30%を超えて圧下すると、30%以下で発生し
ていた内部割れが発生しなくなり、かつ厚み中心部に負
偏析部が生成して、中心偏析が改善されることが開示さ
れている。しかし、この方法では、完全に凝固した鋳片
の両端部を圧下することになるので、スラブのような断
面形状の大きな連続鋳造鋳片に適用する場合には、圧下
するための設備を大型化しなければならない。
【0009】特開平9−57410号公報には、未凝固
部を含む鋳片を20〜100mm程度バルジングさせ、
凝固完了位置の手前までにバルジング量相当分を少なく
とも一対の圧下ロールで圧下する方法が開示されてい
る。この方法では、完全に凝固した鋳片の両端部を圧下
することがないため、過大な設備を用いなくてもよい。
しかし、圧下を開始する時期については言及されておら
ず、圧下を開始する時期が適切でない場合には、偏析の
改善効果が得られないことがある。
【0010】また、上述の鉄と鋼、60(1974)、
P875に開示された方法では、負偏析部を含む鋳片を
素材として、たとえば厚鋼板に熱間圧延する場合、この
負偏析部と周囲の凝固組織部との境界近傍で、その周囲
の凝固組織部の位置に相当する製品の厚鋼板に、熱間圧
延にともなう内部割れが発生し、その内部割れが厚鋼板
に残存する場合がある。厚鋼板に内部割れがあると、機
械的性質が劣化し、またこの厚鋼板を素材とした大径鋼
管では、機械的性質の劣化や水素誘起割れが発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、中心部に等
軸晶および負偏析部を有する鋳片で、かつその鋳片を厚
鋼板に熱間圧延しても、製品の厚鋼板に内部割れが発生
しないような鋼の連続鋳造鋳片、その鋳片の連続鋳造方
法およびその鋳片を熱間圧延する厚鋼板の製造方法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)に示す連続鋳造鋳片ならびに下記の(2)に示す
連続鋳造方法および下記の(3)に示す厚鋼板の製造方
法にある。
【0013】(1)鋳片の横断面の中心部が等軸晶、そ
の周囲が分岐柱状晶と柱状晶または柱状晶で構成された
鋳造組織を備え、等軸晶部または等軸晶部とその周辺部
が負偏析領域であり、その負偏析領域と鋳片表面との間
には該等軸晶を存在させない0.02〜0.6重量%の
炭素を含有する鋼の連続鋳造鋳片。
【0014】(2)未凝固部が存在する鋳片を、バルジ
ング開始時の鋳片の厚みの5〜25%バルジングさせた
後、等軸晶の生成開始前に、バルジング相当量の厚みを
一対のロールにより圧下する上記(1)に記載の鋳片の
連続鋳造方法。
【0015】(3)上記(1)に記載の鋳片を熱間圧延
する厚鋼板の製造方法。
【0016】本発明の連続鋳造鋳片に存在する負偏析と
は、鋳片の厚み中心部の成分、たとえばCの含有率(重
量%)Cを、レードルのC分析値C0 で除した比C/C
0 の値が、1未満のことである。すなわち、鋳片の負偏
析部では、C、Si、Mnなどの含有率が、レードル分
析値よりも少なくなっていることを意味する。
【0017】本発明者らは、中心部に負偏析部を有する
連続鋳造鋳片を熱間圧延して厚鋼板を製造する場合に、
次のような理由で、厚鋼板に内部割れが発生することを
知見した。すなわち、鋳片の負偏析部とその周囲の凝固
組織部に硬度の差があるために、熱間圧延時に負偏析部
とその周囲の凝固組織との境界部に応力が集中しやすく
なる。このとき、周囲の凝固組織部に粒状偏析などのセ
ミマクロ偏析が存在すると、これらの偏析が、熱間圧延
時の内部割れの起点となる。この圧延時の割れが、厚鋼
板に内部割れとして残存する。
【0018】また、負偏析部の周囲の凝固組織に粒状偏
析が存在するのは、周囲の凝固組織が等軸晶の場合であ
り、柱状晶や分岐柱状晶の場合には、凝固に際してこれ
らの結晶が緻密に成長するため、これらの結晶の間に粒
状偏析は生成しない。
【0019】本発明の鋳片では、負偏析部と鋳片表面と
の間の凝固組織が柱状晶または分岐柱状晶であるため
に、粒状偏析がなく、そのために熱間圧延により厚鋼板
を製造する際に、内部割れが発生しにくい。なお、負偏
析部の内部には等軸晶があっても構わない。負偏析部に
ある等軸晶と等軸晶の間には、粒状偏析は生成しないか
らである。すなわち、負偏析部が生成する際には、大き
な圧下力が働いており、このときには、偏析が生成しな
いからである。
【0020】本発明の鋳片では、炭素含有量が0.02
〜0.6重量%である鋼を対象とする。この鋼の連続鋳
造鋳片の凝固組織は、鋳片の表面から中心部に向けて、
柱状晶、分岐柱状晶、等軸晶または柱状晶、等軸晶の順
番で凝固する。したがって、この鋼を連続鋳造する際
に、鋳片の圧下により負偏析部を生成させる場合には、
等軸晶が生成開始する前に圧下すれば、負偏析部の周囲
に等軸晶が生成することがない。
【0021】本発明の鋳片を熱間圧延して製造した厚鋼
板では、引張強度などの機械的性質は、通常の製品の場
合と同等である。一般に負偏析部のある厚鋼板では、機
械的性質の内、とくにZ方向(板の厚み方向)の絞りが
低下する。しかし、本発明の鋳片では、圧下の効果で負
偏析部の凝固組織が緻密なために、Z方向の絞りが低下
しない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の鋳片の横断面の凝固組織
は、鋳片の中心部が等軸晶であり、その等軸晶の周囲、
すなわち、鋳片の中心部の等軸晶から表面に向かって、
分岐柱状晶と柱状晶または柱状晶のみとなっている。
【0023】この等軸晶の厚みは、対象とする鋼、鋳片
の二次冷却水量、タンディッシュ内の溶鋼過熱度などに
よって変化するが、C含有率が0.02〜0.6重量%
の鋼の場合には、通常、鋳片の厚みのおおよそ20〜3
0%が上限である。本発明の場合にも、この程度以下が
よい。
【0024】鋳片の負偏析部は、等軸晶部のすべての領
域または等軸晶部とその周辺部の凝固組織の領域とす
る。負偏析部の領域が、等軸晶部またはその周辺部を含
む領域であるということは、負偏析部と鋳片の表面との
間には、等軸晶が存在しないことを意味する。
【0025】この負偏析部の厚みは、等軸晶の周辺部も
含めて、鋳片の厚みのおおよそ30%以下とするのがよ
い。
【0026】図1は、上述した本発明の鋳片を得るため
の連続鋳造方法を説明するための模式図である。浸漬ノ
ズル8から鋳型1内に溶鋼が注入される。鋳型内で生成
した凝固殻2aは、鋳型1から引き抜かれた後、スプレ
ー水により冷却されて、その厚みが増していく。さらに
鋳片2は、ガイドロール3および圧下ロール4を経てピ
ンチロール5により引き抜かれる。鋳片にバルジングを
起こさせるために、ガイドロール3の鋳片厚み方向の間
隔は、鋳型出側から圧下ロール4の直前までの間で、引
き抜き方向に段階的に増加するように配置する。その
後、一対の圧下ロール4で、バルジング相当量を圧下す
る。
【0027】バルジング量は、バルジング開始時の鋳片
の厚みの5〜25%とする。25%を超えてバルジング
させると、鋳片を圧下するのに、過大な設備を必要とす
るので、上限は25%とした。また、鋳片内部に負偏析
部を安定して生成させるためには、5%以上バルジング
させる必要がある。したがって、バルジング量はバルジ
ング開始時の鋳片の厚みの5〜25%とした。
【0028】鋳片の圧下は、等軸晶の生成開始前におこ
なう。圧下により生成する負偏析部と鋳片の表面との間
に、等軸晶を存在させないためである。この等軸晶の生
成開始時期は、鋼の炭素含有率、鋳片の二次冷却水量、
タンディッシュ内の溶鋼の過熱度などで決まる。鋳片の
二次冷却水量が多い場合や溶鋼の過熱度が高いと、柱状
晶が発達し、等軸晶の生成開始時期は遅くなる。鋼の炭
素含有率、二次冷却水量、溶鋼の過熱度などを変化さ
せ、鋳片の等軸晶の厚みを確認して、鋳造条件毎に等軸
晶の生成開始時期を求めておき、その時期を基に圧下を
開始する時期を決めればよい。
【0029】さらに、負偏析部と鋳片の表面との間に等
軸晶を存在させないためには、負偏析部の厚みを制御す
る必要がある。本発明者らは、この負偏析部の厚みが、
圧下を開始する時期に固相率が0.8である鋳片厚みの
凝固界面間の間隔、すなわち固相率が0.8の凝固界面
間の未凝固部の厚みと合致するという知見を得た。この
ことから、固相率が0.8である凝固界面間の未凝固部
の厚みを基準として圧下する時期を設定すれば、圧下後
の鋳片の負偏析部の厚みを制御できる。ただし、この固
相率が0.8の値は、必ずしも一般性はなく、鋳片の厚
みや連続鋳造機等が変われば違った値となる可能性があ
る。このとき、圧下する時期を変更して、負偏析部の厚
みを調べ、基準とするべき固相率を実験的に決定すれば
良い。
【0030】なお、上述した固相率0.8などの、固相
率に対応した凝固界面は、鋳造速度、鋳片の二次冷却、
鋼の物性を考慮した鋳片の厚み方向一次元非定常伝熱解
析方法による計算により求めることができる。
【0031】圧下量をバルジング相当量とするのは、こ
の圧下量では、凝固が完了した鋳片の短辺部を圧下する
ことがないため過大な設備が不要であることと、バルジ
ング相当量未満の圧下では、鋳片の中心部に負偏析部が
安定して生成しないからである。また、圧下ロールを一
対のロールとするのは、二対以上では、一対毎のロール
の圧下量が少なくなり、負偏析部が生成し難いためであ
る。
【0032】本発明の方法の場合には、圧下する前に電
磁撹拌により未凝固部を撹拌してもよい。図1に示した
電磁撹拌装置6は未凝固部2bに撹拌を与えて凝固組織
を等軸晶にするための装置である。等軸晶を多く生成さ
せると負偏析部の領域を大きくしなければならないとい
う問題がある。しかし、この電磁撹拌を行うことが有効
な場合がある。
【0033】鋼によっては、圧下時に鋳片の負偏析部に
内部割れが発生しやすい。このような場合には、柱状晶
や分岐柱状晶に比べて、等軸晶の方が内部割れを起こし
にくいので、電磁撹拌により鋳片の中心部に等軸晶を生
成させ、内部割れを防止するのが望ましい。ただし、電
磁撹拌後に鋳片を圧下して負偏析部を生成させるが、等
軸晶の厚みが負偏析部の厚みの範囲内になるようにする
のが望ましい。また、適用する鋼を限定するのが望まし
い。
【0034】電磁撹拌により鋳片の中心部に等軸晶を生
成させるとき、この等軸晶の厚みは、電磁撹拌位置での
固相率が0.4の凝固界面間の未凝固部の厚みとほぼ一
致する。固相率0.4は固相、液相ともに同時に流動が
できる状態である。ただし、この固相率が0.4の値
は、必ずしも一般性はなく、鋳片の厚みや連続鋳造機等
が変われば違った値となる可能性がある。このとき、圧
下する時期を変更して、等軸晶の厚みを調査すればよ
い。
【0035】前述したとおり、負偏析部の厚みは、圧下
する時期の固相率0.8の凝固界面間の厚みで決まり、
電磁撹拌で生成させる等軸晶の厚みは、撹拌する位置で
の、固相率0.4の凝固界面間の厚みで決まることか
ら、これら両者が適正な厚みになるように、圧下時期お
よび電磁撹拌時期を選択すればよい。
【0036】本発明の鋳片を熱間圧延して厚鋼板を製造
する場合、鋳片の加熱温度、在炉時間、圧延温度など
は、通常の鋳片を素材とする製造条件と同じ条件で構わ
ない。
【0037】
【実施例】図1に示す装置構成のスラブ連続鋳造装置を
用いて溶鋼を鋳造した。鋳片サイズは、厚み220m
m、幅1800mmとし、用いた鋼はC含有率0.15
重量%の厚鋼板用鋼である。二次冷却比水量は2リット
ル/kg−鋼、バルジング量は、10〜40mmとし
た。直径210mmの上下一対の圧下ロールを用い、最
大圧下力200ton/ロールで、バルジング相当量を
圧下した。
【0038】1m/分前後で鋳造中に鋳造速度を変更
し、圧下する時期の固相率0.8の凝固界面間の未凝固
部の厚みを変えた。また、電磁撹拌を行う時期の固相率
0.4の凝固界面間の未凝固部の厚みも変えた。電磁撹
拌装置の磁場の強さは磁束密度300ガウス、最大の撹
拌速度は300rpmとした。
【0039】さらに、タンディッシュ内の溶鋼過熱度を
変更して、凝固組織を制御した。表1に鋳造条件を示
す。
【0040】
【表1】
【0041】得られた鋳片から、鋳造方向に長さ1mの
サンプルを採取し、その横断面のマクロ組織観察をおこ
ない、鋳片横断面の凝固組織を確認し、さらに負偏析部
の厚みおよび等軸晶の厚みを測定した。
【0042】次に、長さ5mの鋳片を採取し、通常の加
熱炉で加熱した後、厚み30mmの厚鋼板に熱間圧延し
た。
【0043】厚鋼板の幅中央と1/4幅の位置から、J
IS Z 2201に定める14号引張試験片を採取
し、引張強度を調査した。さらに、鋳片の負偏析部の周
囲の粒状偏析が厚鋼板の内部割れに及ぼす影響を調査す
るために、厚鋼板のZ方向の引張試験における絞りを測
定した。Z方向の引張試験は下記の要領で実施した。す
なわち、厚鋼板の幅中央と1/4幅の位置から、板厚方
向に径が10mmで、長さが30mmの板厚全厚のサン
プルを、各試験毎にそれぞれ5個採取した。これらサン
プルの両端面に、同じ径で長さが50mmの円柱状の丸
鋼を溶接し、引張試験用サンプルを作製した。丸鋼に
は、C含有率が0.2重量%で、均質化処理した鋼を用
いた。これらサンプルの室温での引張試験結果から絞り
を求め、その平均値を各試験毎の絞りとした。また、引
張試験後のサンプルの破断面を観察し、その結果も併せ
て表1に示した。
【0044】本発明例の各試験では、負偏析領域が本発
明で規定する範囲の鋳片内、すなわち、等軸晶の厚みよ
りも負偏析部の厚みが厚いため、Z方向の引張試験にお
ける絞りが73〜76%であり、また破断位置もサンプ
ルの中央部であり良好であった。このことは、厚鋼板に
内部割れが発生していないことを意味している。また、
厚鋼板の通常の引張強度も520〜530MPaであ
り、目標である通常の鋳片を素材とした厚鋼板並の値で
あり良好であった。
【0045】本発明例の試験No.1では、等軸晶の厚
みは8mmで、負偏析部の厚みは10mmであった。試
験No.2では、溶鋼過熱度を80℃と大きくしたた
め、等軸晶の厚みは6mmと薄かった。負偏析部の厚み
は20mmであり、負偏析部の周囲は全て柱状晶であっ
た。本発明例の試験No.3およびNo.4では、電磁
撹拌を行い等軸晶の厚みを23〜28mmと厚くした。
負偏析部の厚みは、圧下する時期の固相率0.8の凝固
界面間の未凝固部の厚みを制御することにより、30m
mとし、かつ等軸晶の厚みを、本発明で規定する範囲内
の負偏析部の厚みより薄くした。
【0046】比較例の試験No.5〜No.8では、厚
鋼板の引張強度は、520〜530MPaであり、通常
の厚鋼板並であったが、Z方向の引張試験における絞り
が55〜65%と低く、またサンプルの破断位置が負偏
析領域の境界部であった。この破断位置は、鋳片の負偏
析部の周囲の粒状偏析部に相当する厚鋼板の位置であ
る。いずれの試験も、負偏析部の外側まで等軸晶が存在
しており、負偏析部の周囲に粒状偏析が生成したためで
ある。試験No.5およびNo.6では、電磁撹拌を行
わず、タンディッシュ内の溶鋼過熱度を12〜13℃に
低下させて鋳造した。溶鋼過熱度が低いため、等軸晶の
厚みが20〜22mmと厚かったのに対して、負偏析部
の厚みは10〜20mmに過ぎなかった。試験No.7
およびNo.8では、いずれも電磁撹拌を行ったので、
等軸晶の厚みは23〜28mmと厚く、負偏析部の厚み
は20mmであった。
【0047】比較例の試験No.9では、バルジングさ
せずに従来の軽圧下法により、かつ電磁撹拌を行わずに
試験し、比較例の試験No.10では、同じく従来の軽
圧下法により、かつ電磁撹拌を行って試験した。このと
きの軽圧下法では、固相率が0.8の凝固界面間の未凝
固部の厚みが20mmの時に圧下を開始し、鋳造方向の
4mの長さの間で、合計10mmの軽圧下を行った。
【0048】試験No.9の鋳片には、中心偏析が残存
しており、この鋳片を熱間圧延した厚鋼板の引張試験結
果では、絞りは55%と低く、また、引張試験サンプル
の破断位置は、サンプル中央部の中心偏析部であり、中
心偏析の弊害が明瞭に認められた。
【0049】試験No.10の鋳片を熱間圧延した厚鋼
板の引張試験結果では、絞りは58%と低く、また、引
張試験サンプルの破断位置は、サンプル中央部のこれら
偏析部であった。これは、鋳片の中心部にV偏析と粒状
偏析が残存していたためである。
【0050】
【発明の効果】本発明の鋳片は、中心部が等軸晶で、少
なくともその領域が負偏析部となった鋳片である。この
鋳片を素材として熱間圧延することにより、内部割れの
ない品質の良好な厚鋼板を得ることができる。本発明の
連続鋳造方法および本発明の厚鋼板の製造方法によれ
ば、上記の鋳片および厚鋼板を容易に製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造方法を説明するための模式図
である。
【符号の説明】
1:鋳型 2:鋳片 2a:凝固殻 2b:未凝固部 3:ガイドロール 4:圧下ロール 5:ピンチロール 6:電磁攪拌装置 7:溶鋼 8:浸漬ノズル 9:鋳造方向

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳片の横断面の中心部が等軸晶、その周囲
    が分岐柱状晶と柱状晶または柱状晶で構成された鋳造組
    織を備え、等軸晶部または等軸晶部とその周辺部が負偏
    析領域であり、その負偏析領域と鋳片表面との間には該
    等軸晶を存在させないことを特徴とする0.02〜0.
    6重量%の炭素を含有する鋼の連続鋳造鋳片。
  2. 【請求項2】未凝固部が存在する鋳片を、バルジング開
    始時の鋳片の厚みの5〜25%バルジングさせた後、等
    軸晶の生成開始前に、バルジング相当量の厚みを一対の
    ロールにより圧下することを特徴とする請求項1に記載
    の鋳片の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の鋳片を熱間圧延すること
    を特徴とする厚鋼板の製造方法。
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