JP3396981B2 - ブレーキディスクロータ - Google Patents

ブレーキディスクロータ

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JP3396981B2
JP3396981B2 JP32031494A JP32031494A JP3396981B2 JP 3396981 B2 JP3396981 B2 JP 3396981B2 JP 32031494 A JP32031494 A JP 32031494A JP 32031494 A JP32031494 A JP 32031494A JP 3396981 B2 JP3396981 B2 JP 3396981B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用のディスクブレ
ーキ装置のブレーキディスクロータに係り、特に、対向
する摺動板間に放射状のリブを設けることでリブ間にベ
ンチホールを形成し、このベンチホールを流れる冷却風
により、冷却性能の促進を図るようにしたベンチレーテ
ッド型のブレーキディスクロータに関する。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、この種のブレーキデ
ィスクロータ1は、アウタ側摺動板2と、インナ側摺動
板3と、それらの間に放射状に配設された複数のリブ4
とを有し、左右から摩擦パッド(図示略)で挟圧できる
ように、ホイールWHと平行な姿勢で車軸WSの端部に
連結されている。
【0003】この種のブレーキディスクロータとして
は、各種のものが提案されている。
【0004】図8、図9は特開平5−346126号公
報に記載されたブレーキディスクロータ1を示す。この
ブレーキディスクロータ1では、リブ4が摺動板2の半
径方向に角度を持って配設されており、リブ4、4間に
ベンチホール6が形成されている。そして、リブ4の長
さ方向途中に、隣接するベンチホール6、6間を連通す
る通孔5が設けられ、リブ4が内周側リブ4Aと外周側
リブ4Bに分かれている。
【0005】また、図10は特開平5−346127号
公報に記載されたブレーキディスクロータ7を示す。こ
のブレーキディスクロータ7では、リブ4が摺動板2の
半径方向に角度を持って配設されており、さらにリブ4
が回転方向後方側に湾曲させられている。
【0006】これらのブレーキディスクロータ1、7で
は、同ロータ1、7が矢印方向に回転した際に、ベンチ
ホール6からの冷却風の流出方向(矢印S)が、ブレー
キディスクロータ1、7の半径方向に対して斜めにな
る。よって、ブレーキディスクロータの周りの気流(以
下、「ディスク周りの気流」という)と合流する際の通
気抵抗が低くなり、冷却風の流れ効率が良くなる。
【0007】また、図11は特開平5−164159号
公報に記載されたブレーキディスクロータ8を示す。こ
のブレーキディスクロータ8では、内周側のリブ0Aの
外周側に、2股状に分かれた形のリブ9B、9Bが配置
されている。
【0008】また、この他に、リブを半径方向に沿って
直線状に形成し、リブの途中等に通孔を形成した例とし
て、特開平5−321960号公報、特開平6−129
452号公報、実開昭59−51224号公報に記載の
ものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した特
開平5−346126号公報、特開平5−346127
号公報に記載のブレーキディスクロータは、リブを半径
方向に対し角度を設けた形状にしているので、車両の左
右輪に対して共用することができず、コスト高になると
いう問題があった。
【0010】また、特開平5−164159号公報に記
載のものは、外周側に2股状のリブを配置しているた
め、2股状リブの一方が冷却風を遮る方向に向くことに
なり、冷却風の通気抵抗を増大させる可能性があった。
【0011】また、特開平5−321960号公報、特
開平6−129452号公報、実開昭59−51224
号公報に記載のものは、リブの外周端が一様に揃った位
置にあり、しかも摺動板の摺動面の略外周まで連続して
いるので、リブ間を通過した冷却風の排出方向が、ディ
スク周りの流れに対して直交(半径方向)することとな
り、冷却風がディスク外部へ流出する際の通気抵抗が増
大するという可能性があった。
【0012】本発明は、上記事情を考慮し、左右輪に共
用できる形であり、しかも、ディスク外部へ流出する際
の冷却風の通気抵抗を軽減し、冷却風の流れをスムーズ
にして、冷却性能の向上を図ることのできるブレーキデ
ィスクロータを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、対向
する摺動板間に放射状に複数のリブを配設し、隣接する
リブ間に径方向内外端が開口したベンチホールを有する
ブレーキディスクロータにおいて、前記各リブを摺動板
の半径方向に沿って配すると共に、該リブとして、長さ
方向の途中に隣接するベンチホール間を連通する通孔を
有した通孔付きリブと、同通孔を有しない通孔無しリブ
とを円周方向に交互に配列し、前記通孔無しリブの外周
端を、前記通孔付きリブの外周端より内周側で、且つ前
記通孔付きリブの通孔の径方向の内側端より外周側に位
置させ、前記通孔付きリブの通孔の内側端を、前記摺動
板の摺動面の径方向幅の中央より外周側に位置させたこ
とを特徴とする。
【0014】請求項2の発明は、請求項1記載のブレー
キディスクロータであって、前記通孔無しリブの外周端
を、該通孔無しリブの一側に隣接する通孔付きリブの通
孔の内側端と、他側に隣接する通孔付きリブの外周端と
を結ぶ直線よりも、外周側に位置させたことを特徴とす
る。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2記載
のブレーキディスクロータであって、前記通孔付きリブ
の通孔の径方向の外側端を、前記通孔無しリブの外周端
より内周側に位置させたことを特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載のブレーキディスクロータであって、前記通孔
付きリブの内周端よりも通孔無しリブの内周端を外周側
に位置させたことを特徴とする。
【0017】
【作用】請求項1の発明では、ブレーキディスクロータ
の回転に伴い、遠心力によってベンチホール内を内周端
から外周端に向かって冷却風が流れ、それにより、リブ
および摺動板が冷却される。この場合、冷却風はベンチ
ホール外周端からブレーキディスクロータの外部へ流出
する際に、ブレーキディスクロータの回転方向後方側に
偏向した状態で、ディスク周りの気流と合流する。以
下、それについて述べる。
【0018】ここでは、図2を参照して気流の説明の便
宜上、ブレーキディスクロータの回転方向前方に通孔付
きリブ、後方に通孔無しリブが存在するベンチホールを
「VA」と呼び、該ベンチホールVA内に流入する冷却
風を「F1」と呼ぶ。また、ブレーキディスクロータの
回転方向前方に通孔無しリブ、後方に通孔付きリブが存
在するベンチホールを「VB」と呼び、該ベンチホール
VBに流入する冷却風を同「F2」、「F3」と呼ぶ。
冷却風F2、F3のうち、冷却風F2は回転方向後方側
に流入する冷却風、つまり通孔付きリブ寄りの位置に流
入する冷却風を指す。また、冷却風F3は回転方向前方
側に流入する冷却風、つまり通孔無しリブ寄りの位置に
流入する冷却風を指す。
【0019】冷却風F1は、通孔無しリブに沿ってその
外周端近傍まで流れ、同外周端近傍から外へ向けて流出
することで、回転方向後方側に偏向する。ここで、この
通孔無しリブの外周端は、通孔付きリブの外周端より内
周側、つまり摺動板の外周縁よりも内側に後退している
ので、ブレーキディスクロータ外部へ流出する際に、そ
の手前で、冷却風F1は回転方向後方側に偏向すること
になる。
【0020】ベンチホールVA内を流れる冷却風F1
が、このように通孔無しリブの外周端近傍で偏向するこ
とにより、その影響が、通孔付きリブで隔てられた隣
(回転方向前側)のベンチホールVBを流れる冷却風F
2にも、通孔を通して及ぶことになる。即ち、冷却風F
2は、通孔付きリブに沿って通孔の近傍まで流れた時点
で、隣接するベンチホールVAの冷却風F1の流れに引
き寄せられて偏向し、それにより通孔を通過して、隣の
ベンチホールVA側に流れ込み、冷却風F1の外側に沿
って、同じく回転方向後方側へ偏向しながら、外周方向
へ流出することになる。
【0021】一方、ベンチホールVB内を通孔無しリブ
の背面(回転方向の後側の壁面)に沿って流れる冷却風
F3は、その回転方向後方側の冷却風F2の流れに影響
されて、通孔の近傍でわずかに偏向しながら、その先に
進み、通孔付きリブの外周端より外へ向かって流出す
る。その際、その更に回転方向前方側のベンチホールV
Aから流出して来る冷却風F1は、偏向した状態で冷却
風F3の外側に流れて来るので、その影響で、冷却風F
3もブレーキディスクロータの外部へ流出する手前で偏
向させられる。
【0022】このように、冷却風は、ベンチホールを通
ってブレーキディスクロータの外部へ流出する手前で回
転方向後方側に偏向するため、ディスク周りの気流に合
流する際の通気抵抗が軽減され、良好な流れが実現し
て、冷却効率が向上する。また、通孔付きリブの通孔の
外側端に、冷却風F2、F3が当たるため、この部分で
の流れの境界層が薄くなって、同部分での熱伝達が促進
され、冷却効率が向上する。
【0023】ここで、上記条件の意義を示すために、上
記条件を満たさない場合の流れについて考えて述べる。
【0024】もし、通孔無しリブの外周端が通孔付きリ
ブの外周端よりも内周側に位置していない場合は、ベン
チホールVAを流れる冷却風F1の偏向が、ブレーキデ
ィスクロータ外部へ流出する手前では生じない。このた
め、隣のベンチホールVBを流れる冷却風F2の偏向も
発生せず、その結果、ブレーキディスクロータ外部へ流
出する際の通気抵抗の軽減が期待できない。
【0025】また、もし通孔無しリブの外周端が、通孔
の内側端より外周側に位置していない場合は、冷却風F
1の偏向による影響が、通孔を通して隣のベンチホール
VBに強く及ぶことになる。その結果、回転方向後方側
の冷却風F2ばかりでなく、回転方向前方の冷却風F3
も吸い寄せられて、大きく偏向してしまい、ベンチホー
ルVB側の冷却風の分布が大きく偏ることになる。従っ
て、ベンチホールVB内を通る冷却風とベンチホールV
Bの周壁との間での熱移動が減少し、結果的に冷却効率
が向上しなくなる可能性がある。
【0026】また、もし通孔の内側端が摺動板の摺動面
の幅方向中央よりも外周側にない場合は、流速がまだ増
大していない段階で、冷却風F2が通孔の近傍に達する
ことになるため、通孔を通しての冷却風F1による吸い
出し効果も大きくなく、冷却風F2の偏向が少な過ぎ
て、結果的にブレーキディスクロータ外部へ流出する際
の偏向量が小さくなり、通気抵抗の軽減効果が期待でき
ない。
【0027】これらのことから、請求項1の発明の条件
が満たされた場合に初めて、ブレーキディスクロータ外
部へ流出する手前での流れの偏向と、リブ全面への平均
した流れの分布を実現できる。
【0028】請求項2の発明では、ベンチホールVB内
を流れる冷却風F2が通孔を通過してベンチホールVA
内に流入する際、その流れの延長上に通孔無しリブの外
周端が存在することによって抵抗を受ける。従って、冷
却風F2が通孔を通して適度にベンチホールVA側に吸
い出されることになり、冷却風F3まで吸い寄せられる
ことがなくなる。このため、冷却風F3の多くの部分
(主流)はベンチホールVB内を流れ、冷却風の分布の
偏りが減少する。
【0029】もし、通孔付きリブの通孔を通ってベンチ
ホールVA側に流入する冷却風F2の流れの延長上に、
通孔無しリブの外周端が存在しない場合は、冷却風F2
の流れが同外周端による抵抗をほとんど受けなくなるの
で、通孔を通して多量の冷却風が流れやすくなり、回転
方向前方側の冷却風F3まで吸い寄せられる可能性が生
じる。そうなると、冷却風の流れの分布に偏りができ、
冷却効率の向上が図れなくなる。
【0030】請求項3の発明では、通孔付きリブの通孔
の外側端が通孔無しリブの外周端より内周側に位置して
いることにより、通孔を通ってベンチホールVA側に流
入する冷却風F2の流路が実質的に狭められる。よっ
て、請求項2の発明の場合と同様に、冷却風F2が通孔
を通して適度にベンチホールVA側に吸い出されること
になり、冷却風F3まで吸い寄せられることがなくな
る。このため、冷却風F3の多くの部分(主流)はベン
チホールVB内を流れ、冷却風の分布の偏りが減少す
る。
【0031】もし、通孔付きリブの通孔の外側端が通孔
無しリブの外周端より内周側に位置していない場合は、
通孔を通ってベンチホールVA側に流入する冷却風F2
の流路が実質的に広がる。よって、冷却風F2が通孔を
通して過度にベンチホールVA側に吸い出されることに
なり、冷却風F3までが吸い寄せられる可能性が生じ
て、冷却風の流れの分布に偏りができ、冷却効率の向上
が図れなくなる。
【0032】請求項4の発明では、ベンチホールVAに
流れ込む冷却風F1より、ベンチホールVBに流れ込む
冷却風F2、F3を多くする、あるいは逆にベンチホー
ルVBに流れ込む冷却風F2、F3より、ベンチホール
VAに流れ込む冷却風F1を少なくすることができ、結
果的に、各ベンチホールを流通する冷却風量の平均化を
図ることができる。
【0033】即ち、ベンチホールVB側に流れ込む冷却
風F2、F3のうち、冷却風F2は途中からベンチホー
ルVA側に流入する。従って、ベンチホールVB側はベ
ンチホールVA側より、流れる冷却風量が少なくなる可
能性があるが、通孔付きリブの内周端よりも通孔無しリ
ブの内周端を外周側に位置させた、つまり、通孔無しリ
ブの内周端よりも通孔付きリブの内周端を内周側に位置
させたことにより、ベンチホールVA、VBに流入する
冷却風の量に差を設けることができ、その結果として、
各ベンチホールVA、VBを流通する冷却風量のバラン
スをとることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。
【0035】図1は実施例のブレーキディスクロータの
横断面図である。このブレーキディスクロータ10は、
図8の従来例と同様に、対向する2枚の摺動板2、3
(一方は図示されず)間に放射状に複数のリブ11、1
4を配設し、隣接するリブ11、14間に径方向内外端
が開口したベンチホール13を形成したものである。
【0036】ここで、各リブ11、14は摺動板2の半
径方向に沿って直線状に形成されており、これによりブ
レーキディスクロータ10は左右輪に共用できるように
なっている。また、リブとして、長さ方向の途中に隣接
するベンチホール13間を連通する通孔12を有した通
孔付きリブ11と、同通孔12を有しない通孔無しリブ
14とが、円周方向に交互に配列されている。通孔付き
リブ11は、通孔12によって、内周側リブ11Aと外
周側リブ11Bに分かれており、通孔12は、リブ11
の長手方向一部を取り除いた矩形孔として形成されてい
る。なお、各リブ11、11A、11B、14の端部
は、抵抗を少なくするように丸められている。
【0037】各リブ11、14は、次の条件を満足する
ように形成されている。
【0038】まず、通孔無しリブ14の外周端14b
は、通孔付きリブ11の外周端11bよりも、寸法t1
(t1>0)だけ内周側に引っ込んでおり、摺動板2の
外周縁までに若干の距離を保っている(条件1)。ま
た、通孔無しリブ14の外周端14bは、通孔付きリブ
11の通孔12の内周端12aより、寸法t2(t2>
0)だけ外周側に位置している(条件2)。また、通孔
付きリブ11の通孔12の径方向の内側端12aは、摺
動板2の摺動面2aの径方向幅Hの中間線15よりも、
寸法t3(t3>0)だけ外周側に位置している(条件
3)。
【0039】その他に、この実施例のブレーキディスク
ロータ10では、通孔無しリブ14の外周端14bが、
該通孔無しリブ14の一方に隣接する通孔付きリブ11
の通孔12の内側端12aと、他方に隣接する通孔付き
リブ11の外周端11aとを結ぶ直線16よりも、寸法
t4(t4>0)だけ外周側に位置している(条件
4)。また、通孔付きリブ11の通孔12の径方向の外
側端12bは、通孔無しリブ14の外周端14bより
も、寸法t5(t5>0)だけ内周側に位置している
(条件5)。
【0040】次に、図2〜図3を参照して作用を説明す
る。
【0041】図2に示すように、ブレーキディスクロー
タ10が矢印R方向に回転すると、ブレーキディスクロ
ータ10の周囲に、相対的に回転方向と反対回りの気流
FXが生じる。同時に、遠心力によってベンチホール1
3内を内周端から外周端に向かって冷却風が流れ、それ
により、リブ11、14および摺動板2、3(図7参
照)が冷却される。冷却風は、ベンチホール13の外周
端からブレーキディスクロータ10の外部へ向かって流
出するが、その際、ブレーキディスクロータ10の回転
方向後方側に偏向した状態で、ブレーキディスクロータ
10周りの気流FXと合流する。以下、詳述する。
【0042】気流の説明の便宜上、図2に示すように、
ブレーキディスクロータ10の回転方向前方に通孔付き
リブ11、後方に通孔無しリブ14が存在するベンチホ
ールをVAとし、該ベンチホールVA内に流入する冷却
風をF1とする。また、ブレーキディスクロータ10の
回転方向前方に通孔無しリブ14、後方に通孔付きリブ
11が存在するベンチホールをVBとし、該ベンチホー
ルVBに流入する冷却風をF2、F3とする。但し、冷
却風F2、F3のうち、冷却風F2は回転方向後方側に
流入する冷却風、つまり通孔付きリブ11寄りの位置に
流入する冷却風を指す。また、冷却風F3は回転方向前
方側に流入する冷却風、つまり通孔無しリブ14寄りの
位置に流入する冷却風を指す。
【0043】図3(a)に示すように、ブレーキディス
クロータ10の回転に従い、冷却風F1は、通孔無しリ
ブ14に沿って,その外周端14b近傍まで流れ、同外
周端14b近傍から外へ向けて流出することで、回転方
向後方側に偏向する。この場合、通孔無しリブ14の外
周端14bが、通孔付きリブ11の外周端11bより内
周側、つまり摺動板2の外周縁よりも内側に後退してい
るので、ブレーキディスクロータ10の外部に流出する
際に、その手前で、冷却風F1は回転方向後方側に偏向
することになる。
【0044】ベンチホールVA内を流れる冷却風F1
が、このように通孔無しリブ14の外周端14b近傍で
偏向することにより、その影響が、通孔付きリブ11で
隔てられた隣(回転方向前側)のベンチホールVBを流
れる冷却風F2にも、通孔12を通して及ぶことにな
る。
【0045】即ち、冷却風F2は、通孔付きリブ11に
沿って通孔12の近傍まで流れた時点で、隣接するベン
チホールVAの冷却風F1の流れに引き寄せられて偏向
し、それにより通孔12を通過して、隣のベンチホール
VA側に流れ込み、冷却風F1の外側に沿って、同じく
回転方向後方側へ偏向しながら、外周方向へ流出するこ
とになる。
【0046】一方、ベンチホールVB内を通孔無しリブ
14の背面(回転方向の後側の壁面)に沿って流れる冷
却風F3は、その回転方向後方側の冷却風F2の流れに
影響されて、通孔12の近傍でわずかに偏向しながら、
その先に進み、通孔付きリブ11の外周端11bより外
へ向かって流出する。その際、その更に回転方向前方側
のベンチホールVAから流出して来る冷却風F1は、偏
向した状態で冷却風F3の外側に流れて来るので、その
影響で、冷却風F3もブレーキディスクロータ10の外
部へ流出する手前で偏向させられる。
【0047】このように、冷却風F1、F2、F3は、
ベンチホール13(VA、VB)を通ってブレーキディ
スクロータ10の外部へ流出する手前で、回転方向後方
側に偏向する。このため、ブレーキディスクロータ10
の周りの気流FXに合流する際の通気抵抗が軽減され、
良好な流れが実現して、冷却効率が向上する。また、通
孔付きリブ11の通孔12の外側端12b、つまり通孔
12の外周側のリブ11Bの内周側端縁に、冷却風F
2、F3が当たるため、この部分での流れの境界層が薄
くなって、同部分での熱伝達が促進され、冷却効率が向
上する。
【0048】ブレーキディスクロータ10を逆方向に回
転させた場合も、冷却風の偏向の向きが逆方向となる
他、すべて同じ作用を果たす。
【0049】次に、上述した条件1、2、3を満たさな
い場合の流れについて、それぞれ検討してみる。
【0050】もし、図3(b)に示すように、通孔無し
リブ14の外周端14bが通孔付きリブ11の外周端1
1bよりも内周側に位置していない場合は、ベンチホー
ルVAを流れる冷却風F1の偏向が、ブレーキディスク
ロータ10の外部へ流出する手前では生じない。このた
め、隣のベンチホールVBを流れる冷却風F2の偏向も
ほとんど発生せず、その結果、ブレーキディスクロータ
10の外部へ流出する際の通気抵抗の軽減が期待できな
い。
【0051】また、もし図3(c)に示すように、通孔
無しリブ14の外周端14bが、通孔12の内側端12
aより外周側に位置していない場合は、冷却風F1の偏
向による影響が、通孔12を通して隣のベンチホールV
Bに強く及ぶことになる。その結果、回転方向後方側の
冷却風F2ばかりでなく、回転方向前方の冷却風F3も
吸い寄せられて、大きく偏向してしまい、ベンチホール
VB側の冷却風F2、F3の分布が大きく偏ることにな
る。従って、ベンチホールVB内を通る冷却風とベンチ
ホールVBの周壁との間での熱移動が減少し、結果的に
冷却効率が向上しにくくなる。
【0052】また、もし図3(d)に示すように、通孔
12の内側端12aが摺動板2の摺動面2aの幅方向中
間線15よりも外周側にない場合は、流速がまだ増大し
ていない段階で、冷却風F2が通孔12の近傍に達する
ことになるため、通孔12を通しての冷却風F1による
吸い出し効果も小さく、冷却風F2の偏向が少な過ぎ
て、結果的にブレーキディスクロータ10の外部へ流出
する際の偏向量が小さくなり、通気抵抗の軽減効果が期
待できない。
【0053】以上より、前記条件1、2、3が満たされ
た場合に初めて、ブレーキディスクロータ10外部へ流
出する手前での流れの偏向と、リブ11、14全面への
平均した流れの分布を実現できて、冷却効率の向上が図
れることが分かる。
【0054】次に、条件4の意義について図4を参照し
ながら検討してみる。
【0055】条件4を満たしている実施例のブレーキデ
ィスクロータ10では、図4(a)に示すように、ベン
チホールVB内を流れる冷却風F2が通孔12を通過し
てベンチホールVA内に流入する際、その流れの延長上
に通孔無しリブ14の外周端14bが存在することによ
って抵抗を受ける。従って、冷却風F2が通孔12を通
して適度にベンチホールVA側に吸い出されることにな
り、冷却風F3まで吸い寄せられることがなくなる。こ
のため、冷却風F3の多くの部分(主流)はベンチホー
ルVB内を流れ、冷却風F3の分布の偏りが減少する。
【0056】これに対し、もし図4(b)に示すよう
に、条件4を満たしていない場合は、通孔付きリブ11
の通孔12を通ってベンチホールVA側に流入する冷却
風F2の流れの延長上に、通孔無しリブ14の外周端1
4bが存在しないことになる。従って、この場合は、冷
却風F2の流れが同外周端14bによる抵抗をほとんど
受けなくなり、通孔12を通して多量の冷却風が流れや
すくなって、回転方向前方側の冷却風F3までが吸い寄
せられる。そうなると、冷却風F3の流れの分布に偏り
ができて、冷却効率の向上が図れなくなる。
【0057】よって、条件4を満たすことにより、一層
冷却効率の向上が図れることが分かる。
【0058】次に、条件5の意義について図5を参照し
ながら検討してみる。
【0059】条件5を満たしている実施例のブレーキデ
ィスクロータ10では、図5(a)に示すように、通孔
付きリブ11の通孔12の外側端12bが通孔無しリブ
14の外周端14bより内周側に位置していることによ
り、通孔12を通ってベンチホールVA側に流入する冷
却風F2の流路が実質的に狭められる。よって、冷却風
F2が通孔12を通して適度にベンチホールVA側に吸
い出され、冷却風F3まで吸い寄せられることがなくな
る。このため、冷却風F3の多くの部分(主流)はベン
チホールVB内を流れ、冷却風の分布の偏りが減少す
る。
【0060】これに対し、もし図5(b)に示すよう
に、通孔付きリブ11の通孔12の外周端11aが通孔
無しリブ14の外周端14aより内周側に位置していな
い場合は、通孔12を通ってベンチホールVA側に流入
する冷却風F2の流路が実質的に広がり、冷却風F2が
通孔12を通して過度にベンチホールVA側に吸い出さ
れることになる。その結果、冷却風F3までが吸い寄せ
られることになり、冷却風F3の流れの分布に偏りがで
きて、冷却効率の向上が図れなくなる。
【0061】以上のように、実施例のブレーキディスク
ロータ10によれば、リブ11、14を摺動板2の半径
方向に沿って直線状に形成したので、右左車輪のブレー
キディスクロータを共通化することができ、コスト低減
を図ることができる。また、摺動板2の半径方向に直線
状にリブ11、14を形成してあっても、ベンチホール
13からブレーキディスクロータ10の外部へ冷却風が
流出する際の通気抵抗を低減することができ、良好な冷
却風の流れを実現することができて、冷却効率の向上を
図ることができる。
【0062】図6は本発明の他の実施例を示す。
【0063】この実施例のブレーキディスクロータ20
においては、通孔付きリブ11の内周端11aよりも、
通孔無しリブ14の内周端14aが、寸法t6(t6>
0)だけ外周側に位置している。
【0064】この場合は、ベンチホールVAに流れ込む
冷却風F1より、ベンチホールVBに流れ込む冷却風F
2、F3を多くする、あるいは逆にベンチホールVBに
流れ込む冷却風F2、F3より、ベンチホールVAに流
れ込む冷却風F1を少なくすることができる。そして、
結果的に、各ベンチホールVA、VBを流通する冷却風
量の平均化を図ることができる。
【0065】即ち、ベンチホールVB側に流れ込む冷却
風F2、F3のうち、冷却風F2は途中からベンチホー
ルVA側に流入する。従って、ベンチホールVB側はベ
ンチホールVA側より、流れる冷却風量が少なくなる
が、本実施例では、通孔付きリブ11の内周端11aよ
りも通孔無しリブ14の内周端14aを外周側に位置さ
せた、つまり通孔無しリブ14の内周端14aよりも通
孔付きリブ11の内周端11aを内周側に位置させたこ
とにより、ベンチホールVA、VBに流入する冷却風の
量に差を設けることができる。よって、その結果、各ベ
ンチホールVA、VBを流通する冷却風量を略等しく設
定することができ、それにより冷却効率の向上が図れ
る。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、リブを摺動板の半径方向に沿って直線状に形成
したので、右左車輪のブレーキディスクロータを共通化
することができ、コスト低減を図ることができる。ま
た、摺動板の半径方向に直線状にリブを形成してあって
も、ベンチホールからディスク外部へ冷却風が流出する
際の通気抵抗を低減することができ、良好な冷却風の流
れを実現することができて、冷却効率の向上を図ること
ができる。
【0067】請求項2の発明によれば、各ベンチホール
を流れる冷却風の流れに偏りの少ない分布を与えること
ができ、さらに冷却効率の向上を図ることができる。
【0068】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
と同様に、各ベンチホールを流れる冷却風の流れに偏り
の少ない分布を与えることができ、さらに冷却効率の向
上を図ることができる。
【0069】請求項4の発明によれば、各ベンチホール
を流通する冷却風量のバランスをとることができ、さら
に冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブレーキディスクロータの
横断面図である。
【図2】同ブレーキディスクロータ内の冷却風の流れを
示す図である。
【図3】同ブレーキディスクロータ内の流れ(a)と、
実施例の条件1〜3を満たさなかった場合の流れ(b)
〜(d)の比較説明図である。
【図4】同ブレーキディスクロータ内の流れ(a)と、
実施例の条件4を満たさなかった場合の流れ(b)の比
較説明図である。
【図5】同ブレーキディスクロータ内の流れ(a)と、
実施例の条件5を満たさなかった場合の流れ(b)の比
較説明図である。
【図6】本発明の他の実施例のブレーキディスクロータ
の横断面図である。
【図7】従来のブレーキディスクロータがホイールに取
り付けられた状態を示す縦断面図である。
【図8】従来のブレーキディスクロータの縦断面図であ
る。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】従来の他のブレーキディスクロータの横断面
図である。
【図11】従来の更に他のブレーキディスクロータの一
部横断面図である。
【符号の説明】
2 摺動板 2a 摺動面 11 通孔付きリブ 11a 通孔付きリブの内周端 11b 通孔付きリブの外周端 12 通孔 12a 通孔の径方向の内側端 12b 通孔の径方向の外側端 13 ベンチホール 14 通孔無しリブ 14a 通孔無しリブの内周端 14b 通孔無しリブの外周端 H 摺動面の径方向幅 15 摺動面の中心線(摺動面の径方向幅の中間) 16 直線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 65/12 F16D 65/847

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する摺動板間に放射状に複数のリブ
    を配設し、隣接するリブ間に径方向内外端が開口したベ
    ンチホールを有するブレーキディスクロータにおいて、 前記各リブを前記摺動板の半径方向に沿って配すると共
    に、 該リブとして、長さ方向の途中に隣接するベンチホール
    間を連通する通孔を有した通孔付きリブと、同通孔を有
    しない通孔無しリブとを円周方向に交互に配列し、 前記通孔無しリブの外周端を、前記通孔付きリブの外周
    端より内周側で、且つ前記通孔付きリブの通孔の径方向
    の内側端より外周側に位置させ、 前記通孔付きリブの通孔の内側端を、前記摺動板の摺動
    面の径方向幅の中央より外周側に位置させたことを特徴
    とするブレーキディスクロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキディスクロータ
    であって、 前記通孔無しリブの外周端を、該通孔無しリブの一側に
    隣接する通孔付きリブの通孔の内側端と、他側に隣接す
    る通孔付きリブの外周端とを結ぶ直線よりも、外周側に
    位置させたことを特徴とするブレーキディスクロータ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のブレーキディス
    クロータであって、 前記通孔付きリブの通孔の径方向の外側端を、前記通孔
    無しリブの外周端より内周側に位置させたことを特徴と
    するブレーキディスクロータ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のブレー
    キディスクロータであって、 前記通孔付きリブの内周端よりも通孔無しリブの内周端
    を外周側に位置させたことを特徴とするブレーキディス
    クロータ。
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