JP3386219B2 - ポリエステル混繊糸の製造方法 - Google Patents

ポリエステル混繊糸の製造方法

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JP3386219B2 JP03362094A JP3362094A JP3386219B2 JP 3386219 B2 JP3386219 B2 JP 3386219B2 JP 03362094 A JP03362094 A JP 03362094A JP 3362094 A JP3362094 A JP 3362094A JP 3386219 B2 JP3386219 B2 JP 3386219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル混繊糸の製
造方法に関する。さらに詳しくは、紡糸した複数のフィ
ラメント群を異なる条件下で熱処理した後、合糸混繊し
て、ポリエステル混繊糸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱処理を施すことによって嵩高性を呈す
るポリエステル混繊糸は、熱収縮差を有するポリエステ
ル繊維同志を混繊することによって得られることは周知
である。かかる混繊糸は、熱処理時に高収縮率のポリエ
ステル繊維が収縮し、これにより低収縮率のポリエステ
ル繊維が張り出すことによって嵩高性を付与するもので
ある。この時、高収縮繊維の単繊維の繊度は太くし、低
収縮繊維の単繊維の繊度を細くすることにより、熱処理
後の嵩高糸の風合は、表面タッチがソフトであって腰が
あるものとなる。
【0003】かかる熱収縮差を有するポリエステル混繊
糸を得るためには、予め熱収縮差のある複数のフィラメ
ントを混繊する方法が多く採用されている。例えば、特
開昭54−82423号公報には、同一紡糸口金からポ
リエステルを溶融吐出し急冷して得られる紡糸フィラメ
ントを2つに分割して、その一方の糸束には水が主体で
ある油剤を付与し、他方の糸束には水よりも高温の沸点
を有する剤を付与し、次いで、両者を別々に同一条件で
熱処理しつつ延伸を施した後、混繊する方法が提案され
ている。しかし、紡糸油剤の沸点差を利用して糸束間に
収縮差(沸水収縮差)を付与するものであるため、糸束
間の沸水収縮差を充分に大きくすることができず、得ら
れる混繊糸は繊維間の収縮差の小さいものとなる。この
ため、最終的に得られる嵩高糸は、嵩高性が乏しく、満
足し得る風合は得られなかった。
【0004】ところで、紡糸引取速度が3000m/分
程度の溶融紡糸で得られる部分配向糸(以降POYと称
する)は、沸水収縮率が大きく、前記混繊糸の高収縮繊
維として用いることが考えられる。しかしながら、PO
Yは沸水収縮差が大きいものの、延伸後十分な熱固定処
理が施されているフィラメントと比較して、結晶構造が
完全でないため、経時により結晶構造や配向構造が変化
したり、耐熱性及び寸法安定性が劣る等の種々の欠点を
有している。
【0005】近年、繊維市場環境は、均一、均質なもの
に対する要求から消費者の高級化指向に伴う多種、多様
なものに対する要求へと変化し、少品種・大量生産から
多品種・少量生産の付加価値品生産へと変化している。
一方では、生産性を向上させるために、高速化が急がれ
ている。こうした状況下で、例えば特開昭62−191
511号公報には、紡出糸を吐出し冷却した後、再加熱
して4000m/分〜6000m/分で引き取り、十分
配向させた後に、沸水収縮率の異なる2種以上のフィラ
メントを合糸する方法が提案されている。すなわち、溶
融吐出されたポリエステル繊維を一旦冷却した後、再加
熱処理する際に、好ましくは高収縮糸と低収縮糸の単繊
維繊度比を1.5以上とし、且つ再加熱装置の雰囲気温
度を変えることによって沸水収縮差を発現させている。
しかしながら、この方法によれば、生産性よく嵩高性の
ある混繊糸が得られるものの、再加熱装置を各フィラメ
ント群に沿って個別に設け、それぞれの温度設定を変え
なければならないので、設備費がかさみ、しかも温度管
理が煩雑となり、製造コストが高くなるという問題があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、同一の加熱装
置を用い、同一温度に設定した加熱筒で熱処理を施して
も、物性差、結晶構造差等を有するポリエステル混繊糸
を、高速製糸の下で安価に製造することのできる新規な
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討の結果、紡出した複数のフィラメ
ント群の一方には水を付与して集束し、他方には水を付
与することなく、非集束状態で、夫々を加熱筒に通すこ
とにより、物性差、結晶構造差等を有する混繊糸が安定
且つ容易に得られることを見い出し、本発明に到達し
た。
【0008】すなわち、本発明によれば、 (1)ポリエステルを溶融して紡糸口金より吐出した複
数のフィラメント群を一旦冷却した後、夫々加熱筒を通
して異なる熱処理を施し、次いで3000m/分以上、
5500m/分以下の速度で引取った後、合糸混繊して
ポリエステル混繊糸を製造するに際し、一方のフィラメ
ント群は、水を付与して集束状態で加熱筒に通し、他方
のフィラメント群は、水を付与することなく非集束状態
で加熱筒に通すことを特徴とするポリエステル混繊糸の
製造方法、及び(2)水を付与して集束状態としたフィ
ラメント群を通す加熱筒の出口側開口が非集束状態のフ
ィラメント群を通す加熱筒の出口側開口よりも大きい上
記(1)のポリエステル混繊糸の製造方法が提供され
る。
【0009】本発明で用いられるポリエステルは、主た
る繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリ
エステルを主たる対象とする。しかし、テレフタル酸成
分及び/又はエチレングリコール成分以外の第3成分を
少量(通常はテレフタル酸成分に対して20モル%以
下)共重合したものであってもよく、また他種ポリマー
を少量(通常ポリエステルに対して10重量%以下)混
合したものであってもよい。
【0010】本発明においては、上記ポリエステルを溶
融吐出した複数のフィラメント群を、一旦冷却した後、
夫々別の加熱筒を用いて加熱処理し、次いで3000〜
5500m/分の速度で引き取った後、合糸混繊する
か、又は同一の加熱筒を通して加熱処理し、次いで30
00〜5500m/分の速度で引き取った後、合糸混繊
する。ここで、ポリエステルの溶融温度及び冷却条件
は、ポリエステルの溶融紡糸に通常採用されている条件
でよく、例えば285〜300℃の温度範囲で溶融し、
温度25℃温度65%の冷却風で冷却すればよい。
【0011】引取速度は、3000〜5500m/分、
好ましくは3500〜5000m/分とする必要があ
る。3000m/分未満では、混繊糸を構成するフィラ
メント群が、いずれも伸度及び沸水収縮率が大きくなっ
て、フィラメント群間の物性差が発現せず、十分な風合
を呈する混繊糸が得られないばかりか、十分な繊維構造
が形成されないために、沸水収縮率が高すぎたり、ある
いはアルカリ減量加工時にフィブリル化し易いといった
問題がある。一方、5500m/分を越える場合には、
いずれのフィラメント群も伸度及び沸水収縮率が低くな
り、物性差が小さくなって、十分な嵩高性が得られなく
なる。
【0012】本発明の方法において、一方のフィラメン
ト群は、水を付与して集束状態で加熱筒に通し、他方の
フィラメント群は、水を付与することなく非集束状態で
加熱筒に通す。フィラメント群に水を付与して集束状態
を得る方法としては、紡糸口金と加熱筒の間にオイリン
グローラを設け、紡出されたフィラメント群に水を付与
して集束させる方法、集束ガイドのフィラメント群通過
部から一定量の水を計量吐出させ、フィラメント群に水
を付与して集束させるようにしたメータリングオイル
(以降MOと称する)装置を設ける方法などがあるが、
コンパクトで、高速走行フィラメント群に対する水(油
剤)付与適性に優れているMO装置を設ける方法が好ま
しい。
【0013】フィラメント群に水を付与して集束させる
位置は、紡糸口金から0.4〜1.0m下方が好まし
く、0.6〜0.8m下方が更に好ましい。特に、フィ
ラメント群の単繊維繊度が大きい場合(例えば2デニー
ル以上)は、紡糸口金から0.8〜1.0m下方が好ま
しく、単繊維繊度が小さい場合(例えば2デニール未
満)は、紡糸口金から0.4〜0.8m下方が好まし
い。フィラメント群に付与する水としては、水単独でも
よいが、通常は、水性油剤エマルジョンの形で付与する
のが好ましい。この場合、水の付与量は、通常0.30
〜0.70重量%であり、好ましくは0.35〜0.5
5重量%である。このように水を付与して集束させたフ
ィラメント群以外のフィラメント群は、水を付与せずに
非集束状態で加熱筒に通す。ここで、非集束状態とは、
完全に開繊された状態であることが望ましいが、フィラ
メント群を加熱筒入口において、加熱筒直径の約2分の
1の直径まで絞った状態でも本発明の目的を達成するこ
とができ、かかる状態も本発明で言う非集束状態に含ま
れるものである。
【0014】水を付与した集束状態のフィラメント群及
び水を付与しない非集束状態のフィラメント群を、夫々
別の加熱筒を通して熱処理を施してもよいし、同一の加
熱筒を通してもよい。各加熱筒は、紡糸口金下0.5〜
1.5mに取り付けることが好ましく、例えば長さ1〜
1.5m、内径30〜60mmのステンレス製円筒状加
熱筒を等間隔に2〜8本配設し、その周囲を長さ1.5
m、幅1mの箱型の熱媒槽で囲んだものが用いられる。
加熱手段としては、電熱ヒーターを用いてもよいが、均
一加熱、消費エネルギーの節約の観点から、熱媒式加熱
が好ましく採用される。各加熱筒は、同一加熱装置によ
り、同一温度設定で加熱されているものが、設備コスト
の低減、温度管理の簡素化の点で好ましい。
【0015】加熱筒の設定温度は、300℃程度以下で
あれば、銘柄(全繊度、単繊維繊度)等に応じて任意に
選択することができるが、100℃以下では温度制御が
難しく、しかも物性差、結晶構造差が発現し難くなり、
250℃を越えると、銘柄によっては断糸が発生し易く
なるので注意を要する。特に好ましい温度範囲は、15
0〜250℃である。また、加熱筒の出口側開口は、高
速で走行するフィラメント群に随伴する気流が加熱筒外
に流出することにより、加熱筒内の温度がポリエステル
のガラス転移温度よりも低下して、分子配向が進まず、
最少限必要とする機械的特性が得られなくなるのを防ぐ
うえで、直径又は幅が0.5〜10mm、特に3〜8m
mとなるように絞ることが好ましい。この加熱筒の出口
側開口は、円形状、四角形状、スリット状等の任意の形
状とすることができる。
【0016】更に、本発明においては、水を付与しない
非集束状態のフィラメント群と水を付与して集束状態と
したフィラメント群とを別々の加熱筒に通し、水を付与
しない非集束状態のフィラメント群を通す加熱筒の出口
側開口を、水を付与して集束状態としたフィラメント群
を通す加熱筒の出口側開口よりも小さくすると、両フィ
ラメント群間の物性差、結晶構造差等が更に大きくな
り、より優れた嵩高性、風合、濃淡染着差を有する混繊
糸が得られるので好ましい。かくして、加熱筒で熱処理
された両フィラメント群を合糸混繊して、混繊糸を得
る。この混繊には、任意の混繊装置を用いることができ
るが、通常はインターレース装置が好ましく用いられ
る。
【0017】図1、図2及び図3は、本発明方法を実施
するのに使用する装置の例を示す概略図であり、図1で
は、紡糸口金1A、1Bから吐出されたポリエステルフ
ィラメント群2A、2Bを紡糸冷却筒3で冷却、固化し
た後、夫々加熱装置5で加熱されている加熱筒6A、6
Bに通す。この場合、一方のフィラメント群2Aは、M
O装置4により水(水性油剤エマルジョン)を付与して
集束状態で加熱筒6Aに通し、他方のフィラメント群2
Bは、水を付与せず、集束することなくそのまま非集束
状態で加熱筒6Bに通す。
【0018】次いで、加熱筒6Bで熱処理されたフィラ
メント群2Bは、糸条出口側開口7Bから導出し、MO
装置8により集束、油剤付与を行った後、インターレー
ス装置10に送り、フィラメント群2Aは、糸条出口側
開口7Aから導出し、ガイド9を介してインターレース
装置10に導いて、両フィラメント群2A、2Bを合
糸、混繊し、引取ローラー11、11′により引き取っ
て、必要に応じてインターレース装置12により再度交
絡を付与した後、巻取機13で巻き取る。
【0019】なお、図2は、加熱筒6Bで熱処理された
フィラメント群2BにMO装置8Bで集束、油剤付与処
理を施すと共に、フィラメント群2Aにも、図1のガイ
ド9に代えてMO装置8Aを用いて集束、油剤付与を行
う例を示すものである。フィラメント群2Aに、MO装
置4で水を単独で付与した場合には、更に油剤付与が必
要となるため、この装置を用いるのが適している。
【0020】また、図3は、フィラメント群2A及び2
Bを同一の加熱筒6に通した例であり、一方、図4は、
図1に示す装置において、非集束状態のフィラメント群
2Bが通る加熱筒6Bの糸条出口側開口7Bを、MO装
置4で水(水性油剤エマルジョン)を付与して集束した
フィラメント群2Aが通る加熱筒6Aの糸条出口側開口
7Aよりも小さくした例を示すものである。糸条出口側
開口の大きさは、例えば開閉式の絞り部材を設けるなど
して調節すればよい。
【0021】本発明により得られたポリエステル混繊糸
は、異なる条件下で熱処理された複数のフィラメント群
からなり、各フィラメント群間には、物性差、結晶構造
差があり、その結果、優れた嵩高性、風合、異染着性を
呈することになる。本発明では、水を付与せず非集束状
態で加熱筒に通したフィラメント群(以降B群と称す
る)の方が、水を付与して集束状態で加熱筒に通したフ
ィラメント群(以降A群と称する)よりも、配向度(△
n)、比重(ρ)が高くなり、伸度は低くなる。
【0022】各フィラメント群の伸度、配向度、比重、
沸水収縮率は、紡糸引取速度、加熱筒温度、繊度、繊維
断面形状、水付与量、加熱筒出口側開口の大きさなどに
よって変ってくるが、およそ下記の値となる。 A群: 伸度 : 35%以上(好ましくは50〜100%) 配向度: 0.05〜0.15(好ましくは0.07
〜0.13) 比重: 1.360〜1.390(好ましくは1.
360〜1.385) 沸水収縮率:4〜50%(好ましくは4〜35%) B郡: 伸度: 25〜70%(好ましくは30〜50%) 配向度: 0.10以上(好ましくは0.10〜0.
16) 比重: 1.370以上(好ましくは1.375〜
1.390) 沸水収縮率:2〜15%
【0023】A群とB群との間の伸度差は10%以上
(好ましくは20〜40%)、配向度差は0.02以
上、比重差は0.01以であることが望ましい。沸水収
縮率差は10〜30%であることが望ましいが、10%
未満であっても、A群が染料を取り込み易い結晶構造を
有しているため、濃染糸となり、嵩高性は低くなるもの
の、特異な濃淡染着差を有する外観を呈し、しかもヌメ
リ感のある新しい質感の混繊糸が得られる。
【0024】本発明においては、A群及びB群の繊度は
同一であっても異なっていてもよく、また断面形状も同
じであっても異なっていてもよい。総繊度が大きすぎる
と、膨みが大きくなりすぎて、逆に風合が低下し易いた
め、200デニール以下、特に150デニール以下が好
ましく、単繊維繊度は小さいほど風合が良好となり、A
群は3デニール以下、B群は2デニール以下が望まし
い。
【0025】また、本発明により得られたポリエステル
混繊糸は、そのまま製織等に用いてもよいが、更に、必
要に応じて、別工程で延伸、仮撚加工を施してもよい。
その際の倍率は、紡糸引取速度等に依存し、通常1.0
5〜1.50倍程度となる。以上では、A群とB群の2
つのフィラメント群を用いた例について説明したが、本
発明方法は、これに限定されるものではなく、例えば、
A群は水の付与量を変えた複数のフィラメント群で構成
するなどして、3つ以上のフィラメント群を用いてもよ
い。
【0026】
【作用】本発明によれば、同一の加熱装置により同一設
定温度で加熱されている加熱筒に通して熱処理しても、
一方のフィラメント群(A群)は、加熱筒に入る前に水
を付与して集束しているため、水の蒸発熱及び集束状態
にあることの両方により、糸条温度が加熱筒内雰囲気温
度よりもかなり低くなり、他方のフィラメント群(B
群)は、水を付与せず非集束状態で加熱筒を通過するの
で、糸条温度が加熱筒内雰囲気温度に近いところまで上
昇する。その結果、前者は配向、結晶化が進行せず、伸
度が大きくなり、配向度、比重は小さくなる。これに対
して、後者は、高温で加熱されるため、配向、結晶化が
進行し、伸度が小さくなり、配向度、比重は大きくな
る。
【0027】更に、加熱筒を別々にして、A群の加熱筒
の出口側開口を、B群の加熱筒の出口側開口よりも大き
くすると、走行フィラメントの随伴気流が、前者の方が
後者よりも多量に加熱筒から排出されるため、加熱筒内
の雰囲気温度が、前者の方が後者よりも低下し、上記の
物性差、結晶構造差を更に大きくすることができる。こ
れらのフィラメント群(A群及びB群)を混繊して、収
縮処理を施すと、伸度、沸水収縮率の大きいフィラメン
ト群(A群)は、伸度、沸水収縮率の小さいフィラメン
ト群(B群)よりも大きく収縮し、その結果、図5に示
すように、B群2Bが、A群2Aに絡まった構造の混繊
糸が得られる。
【0028】この場合、A群とB群との間の沸水収縮率
差が大きければ、嵩高性が向上するし、沸水収縮率差が
小さくても、結晶構造差によるヌメリ感が発現し、新し
い特異な風合が得られる。また、繊度、断面形状を変更
することにより、更に膨らみやヌメリ感を増すことがで
きる。更に、本発明方法により得られた混繊糸は、濃染
部と淡染部とが長い周期で混じり合っており、従来の混
繊糸のような均一な霜降り調の糸とは異なり、長周期の
濃染部が流れるように混在する特異な濃淡染着差を有し
ている。
【0029】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳述する。
尚、伸度、配向度、比重、沸水収縮率は下記の方法で測
定した。 (イ)伸度;島津製作所製のオートグラフを使用し、試
料長20cm、引張速度100%/分で測定した。 (ロ)配向度(△n);偏向顕微鏡により単色(ナトリ
ウム)ランプのもとで、コンペンセーターの補正角度か
ら求めたレーターディション、干渉縞の数及び試料の直
径から配向度を求めた。 (ハ)沸水収縮率;試料を100℃沸騰水中で30分間
拘束状態で熱処理したときの収縮量を、試料長に対する
パーセントで表す。 (ニ)比重;比重が1.276〜1.416の範囲内に
なるように調製したn―ヘプタン:四塩化炭素混合液を
用い、密度勾配管法により測定した。 (ホ)風合;混繊糸で製織した織物を触感により評価
し、強度4.5g/de、伸度30〜40%の同一繊度
の糸条で同様に製織した基準織物と比較して、柔らか
く、ヌメリ感、腰があるものを◎、若干柔らかいものを
○、柔らかさが同等のものを△、硬いものを×で示し
た。 (ヘ)濃淡染着差;混繊糸を筒編みとし、イーストマン
ブルーで染色した後、目視で判定し、濃淡の長さが3c
m以上あるものを◎、濃淡の長さが3cm未満の霜降り
状に近いものを○、濃淡差がほとんどないものを△、濃
淡差が全く認められないものを×で示した。
【0030】[実施例1〜5、比較例1〜3]ポリエス
テルチップを溶融温度290℃で溶融し、孔径が0.2
mm、ランド長が0.8mm・ホール数が36ホールの
紡糸口金を用いて溶融吐出した後、図1に示す装置で、
夫々の繊度、紡糸引取速度、加熱筒設定温度、MO装置
4での水付与量を表1記載のように変更して捲取った。
なお、MO装置4は、紡糸口金1Aの下方60cmの位
置に設け、濃度12%の水性油剤エマルジョンの形で水
を付与した。また、加熱筒としては、長さ1.3m、内
径40mmのステンレス製円筒を用い、その出口側開口
は直径7mmの円形状開口とした。結果は表2に示す通
りであった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】本発明方法(実施例1〜5)で製造した混
繊糸は、十分な嵩高性を示し、風合、濃淡染着差も良好
であり、特に単繊維繊度が小さくなるほど柔らかくなる
が、紡糸引取速度が3000m/分未満の場合(比較例
1)は、A群、B群共に伸度及び沸水収縮率が大きくな
ってフィラメント群間の物性差が発現せず、風合、濃淡
染着差が劣ったものとなった。また、紡糸引取速度が5
500m/分を越える場合(比較例2)も、フィラメン
ト群間の物性差が小さくなって、満足できる風合、濃淡
染着差が得られなかった。更に、加熱筒を加熱せず、室
温にした場合(比較例3)は、両フィラメント群の物性
差がほとんどなくなり、風合、濃淡染着差共に不良であ
った。
【0034】[実施例6、比較例4]実施例3におい
て、ガイド9に代えてMO装置8Aを使用した装置(図
2)を用い、MO装置4では水を0.5重量%付与し、
MO装置8Aでは水性油剤エマルジョンを付与し、その
他の条件は実施例3と同じにして混繊糸を製造した(実
施例6)。また、比較のために、実施例6において、M
O装置4を取り外し、加熱筒6Aに通す前の水付与を行
なわず、非集束状態で熱処理を行ない、その他の条件
は、実施例6と同じにして混繊糸を製造した(比較例
4)。結果は表3に示す通りであり、一方のフィラメン
ト群(A群)に水を付与して集束状態で加熱筒に通した
場合(実施例6)は、物性差、結晶構造差が発現して、
良好な風合、濃淡染着差が得られたが、A群に水を付与
して集束状態とすることをしなかった場合(比較例4)
は、A群B群共、同一条件で熱処理される結果となり、
物性差、結晶構造差はまったく発現せず、良好な風合、
濃淡染着差は得られなかった。
【0035】[実施例7]実施例6において、図4に示
すように、フィラメント群(B群)2Bの方の加熱筒6
Bの出口側開口7Bを、直径3mmと小さくした他は、
実施例6と同一条件で混繊糸を製造した。結果は表3に
示す通りであり、実施例6よりも更に物性差、結晶構造
差が大きくなり、優れた風合、濃淡染着差が得られた。
【0036】[実施例8]実施例4において、フィラメ
ント群(B群)2Bは孔径が0.15mm、ランド長が
0.6mm、ホール数が72ホールの紡糸口金を用いて
295℃で溶融吐出し、その他の条件は実施例3と同じ
にして混繊糸を製造した。得られた混繊糸は、50デニ
ール/36フィラメントのフィラメント群(A群)と5
0デニール/72フィラメントのフィラメント群(B
群)からなるものであった。結果は表3に示す通りであ
り、沸水収縮率の差は小さいものの、伸度差、配向度差
が大きく、しかも比重差(結晶構造差)が大きいため、
嵩高性は小さいものの、ヌメリ感のある良好な風合を有
し、濃淡染着差の大きい混繊糸が得られる。
【0037】
【表3】
【0038】[実施例9〜11]ポリエステルチップを
溶融温度290℃で溶融し、孔径が0.2mm、ランド
長が0.8mm・ホール数が36ホールの紡糸口金を用
いて溶融吐出した後、図3に示す装置で、夫々の繊度、
紡糸引取速度、加熱筒設定温度、MO装置4での水付与
量を表4記載のように変更して捲取った。なお、MO装
置4は、紡糸口金1の下方60cmの位置に設け、濃度
12%の水性油剤エマルジョンの形で水を付与した。ま
た、加熱筒としては、長さ1.3m、内径40mmのス
テンレス製円筒を用い、その出口側開口は直径7mmの
円形状開口とし、さらに引取った糸条は、図3に示すよ
うに、2本合糸した後にインターレース装置10で混繊
して捲取った。結果は表5に示す通りであった。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、同一の加熱装置を用
い、同一温度に設定した加熱筒で熱処理を施しても、物
性差、結晶構造差を有するポリエステル混繊糸を、高速
で安価に製造することができ、得られた混繊糸は、優れ
た嵩高性あるいはヌメリ感のある良好な風合、長周期の
濃淡が流れるように混在する特異な濃淡染着差を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の一例を示す概略図であ
る。
【図2】本発明を実施する装置の他の例を示す概略図で
ある。
【図3】本発明を実施する装置の他の例を示す概略図で
ある。
【図4】本発明を実施する装置の更に他の例を示す概略
図である。
【図5】本発明によって製造された混繊糸を収縮処理し
たものの一例を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2A フィラメント群(A群) 2B フィラメント群(B群) 3 紡糸冷却筒 4 メータリングオイル(MO)装置 5 加熱装置 6、6A、6B 加熱筒 7、7A、7B 糸条出口側開口 8、8A、8B メータリングオイル(MO)装置 9 ガイド 10 インターレース装置 11、11′ 引取ローラ 12 インターレース装置 13 巻取機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−5933(JP,A) 特開 平1−33212(JP,A) 特開 昭54−82423(JP,A) 特開 平6−17332(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02J 1/00 - 13/00 D02G 1/00 - 3/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを溶融して紡糸口金より吐
    出した複数のフィラメント群を一旦冷却した後、夫々加
    熱筒を通して異なる条件下で熱処理を施し、次いで30
    00m/分以上、5500m/分以下の速度で引取った
    後、合糸混繊してポリエステル混繊糸を製造するに際
    し、一方のフィラメント群は、水を付与して集束状態で
    加熱筒に通し、他方のフィラメント群は、水を付与する
    ことなく非集束状態で加熱筒に通すことを特徴とするポ
    リエステル混繊糸の製造方法。
  2. 【請求項2】 非集束状態のフィラメント群を通す加熱
    筒の出口側開口が、水を付与して集束状態としたフィラ
    メント群を通す加熱筒の出口側開口よりも小さい請求項
    1記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
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