JP3324952B2 - 電子制御式ディーゼルエンジンの失火検出装置 - Google Patents

電子制御式ディーゼルエンジンの失火検出装置

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JP3324952B2
JP3324952B2 JP04375697A JP4375697A JP3324952B2 JP 3324952 B2 JP3324952 B2 JP 3324952B2 JP 04375697 A JP04375697 A JP 04375697A JP 4375697 A JP4375697 A JP 4375697A JP 3324952 B2 JP3324952 B2 JP 3324952B2
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    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディーゼルエン
ジンに対する燃料噴射の制御を運転状態に応じてコンピ
ュータにより制御するようにした電子制御式ディーゼル
エンジンに係る。詳しくは、ディーゼルエンジンで発生
する失火を検出するようにした失火検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ディーゼルエンジンはその燃
焼室に燃料を噴射して供給するための燃料噴射装置を備
える。この装置は、エンジンに設けられた燃料噴射ノズ
ルと、同ノズルに燃料を圧送するための燃料噴射ポンプ
とを含む。噴射ポンプはエンジンに連動して駆動される
ことにより、高圧の燃料を吐出して噴射ノズルへ圧送す
る。噴射ノズルは圧送された燃料を燃焼室へ噴射する。
噴射ノズルから噴射される燃料の量はエンジンの運転状
態に応じて制御される必要がある。
【0003】電子制御式ディーゼルエンジンのシステム
は、燃料の噴射量をエンジンの運転状態に応じて電気的
に制御する。この種のシステムは、制御に適した構成を
有する噴射ポンプと、同ポンプを制御するためのコンピ
ュータとを備える。噴射ポンプはエンジンのクランクシ
ャフトにより駆動されるドライブシャフトを含むカム機
構と、そのカム機構により往復動されるプランジャとを
備える。そのプランジャがカム機構により動かされるこ
とにより、噴射ポンプから高圧の燃料が吐出されて噴射
ノズルへ圧送され、同ノズルから燃焼室へ燃料が噴射さ
れる。
【0004】コンピュータは、運転者により操作される
アクセルペダルの開度(アクセル開度)と、クランクシ
ャフトの回転速度(エンジン回転速度)とに基づき、噴
射量に係る指令値を算出する。コンピュータは、図1
3,14に示すようなガバナ特性を有する関数データを
参照することにより、噴射量指令値を算出する。コンピ
ュータは、算出された噴射量指令値に基づき噴射ポンプ
を制御することにより、噴射ポンプから吐出される燃料
の量、即ち噴射ノズルから噴射される燃料の量が調整さ
れる。
【0005】噴射ポンプに設けられた回転速度センサ
は、エンジン回転速度を検出する。このセンサはドライ
ブシャフト上に設けられたパルサと、同パルサに対向し
て設けられたピックアップコイルとを含む。パルサは円
板状をなし、その外周には等角度間隔に設けられた複数
の突起を有する。ドライブシャフトと一体にパルサが回
転することにより、各突起がピックアップコイルを横切
る。このとき、ピックアップコイルは各突起の通過を検
出する毎に一つのパルス信号を出力する。パルサが一回
転する間に順次出力される各パルス信号の発生位置は、
クランクシャフトが二回転する間に進行するエンジンの
運転行程(吸気、圧縮、燃焼及び排気の行程)に正確に
対応する。即ち、このセンサは、エンジンのクランクシ
ャフトの回転角度、即ちクランク角度の変化を、ドライ
ブシャフトの回転に基づき間接的に検出する。
【0006】上記の電子制御式ディーゼルエンジンにお
いても、その経時変化や故障に起因するエミッションの
悪化に対処する必要がある。エミッションを悪化させる
要因の一つにエンジンにおける失火がある。失火とは、
噴射ノズルから燃焼室に噴射された燃料が完全に燃焼し
ない状態を意味する。ここで、失火によるエミッション
の悪化に対処するために、失火を正確に検出する必要が
ある。精密な検出を行うためには、何れの気筒で失火が
発生したかを特定することも必要になる。
【0007】特開昭63−154841号公報は、上記
構成と同等の構成を有する電子制御式ディーゼルエンジ
ンを前提とし、エンジンの失火を検出するための一つの
方法を開示する。この検出方法は、ピックアップコイル
から出力される連続したパルス信号に基づいて失火を検
出する。具体的には、ピックアップコイルから連続的に
出力される複数のパルス信号のうち、エンジンの燃焼行
程に対応した特定の複数のパルス信号のうち、異なる複
数のパルス信号の間の時間(回転速度に相関する値)が
算出される。その算出されたパルス時間(回転速度に相
関する値)が所定の基準値と比較されることにより、失
火が判定される。即ち、この検出方法では、失火が起き
たときにエンジン回転速度が落ち込むことを前提として
いる。そして、パルス時間の変化に基づきエンジン回転
速度の落ち込みを判定することにより失火が判定され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の電子
制御式ディーゼルエンジンにおいて、上記の失火検出方
法を採用した場合、以下のような不具合が考えられる。
即ち、ディーゼルエンジンにおいては、ガソリンエンジ
ンに比べて、失火が発生したときのエンジン回転速度の
落ち込み幅が相対的に小さい。更に、図(a)に示す
ように、失火に起因してエンジン回転速度が落ち込んだ
直後には、失火が発生していないにも拘らずエンジン回
転速度が再び落ち込む傾向にあり、失火が誤って判定さ
れるおそれがある。ここで、失火の発生直後にエンジン
回転速度が再び落ち込むのは、図13,14に示すよう
なガバナ特性を有する関数データに従って噴射量指令値
が算出されることによる。即ち、この関数データにおい
ては、エンジン回転速度と噴射量指令値との関係が右下
がりの特性を示す。従って、図14に示すように、アク
セル開度を一定とした場合、エンジン回転速度が上昇し
たときには、噴射量が減らされ、エンジン回転速度が低
下したときには、噴射量が増やされることになる。この
ため、失火に起因してエンジン回転速度が落ち込んだと
きには、その直後に噴射量が増やされてエンジン回転速
度が上昇する。しかし、その次には、エンジン回転速度
の上昇に応答して噴射量が減らされ、エンジン回転速度
が低下することになり、その回転速度の落ち込みが失火
の誤判定の原因になる。上記のガバナ特性に示すよう
に、エンジン回転速度の変化に応じて噴射量を制御する
ことは、ディーゼルエンジンに特有のことであり、ディ
ーゼルエンジンを制御する上で必要不可欠なことであ
る。従って、ディーゼルエンジンにおいて失火を正確に
検出するためには、上記のガバナ特性に起因したエンジ
ン回転速度の変動を見越した検出を行う必要がある。
【0009】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、上記のガバナ特性に基づき
燃料噴射量を制御するようにした電子制御式ディーゼル
エンジンにおいて、失火を適正に検出すると共に、その
失火直後におけるエンジン回転速度の再度の落ち込みに
起因して失火が誤検出されることを未然に防止すること
を可能にした電子制御式ディーゼルエンジンの失火検出
装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明では、図に示すように、
ディーゼルエンジンM1へ燃料を噴射するための噴射ノ
ズルM2と、ディーゼルエンジンM1のクランクシャフ
トM3により駆動され、噴射ノズルM2へ圧送される燃
料を吐出するための噴射ポンプM4とを含み、ディーゼ
ルエンジンM1は噴射ノズルM2から噴射される燃料を
燃焼させることによりクランクシャフトM3を回転駆動
させるものであり、クランクシャフトM3の回転速度を
検出するための回転速度検出手段M5を備え、その検出
される回転速度が上昇するほど噴射ポンプM4から吐出
される燃料の量を減少させるように制御手段M6が噴射
ポンプM4を電気的に制御することにより噴射ノズルM
2から噴射される燃料の量を制御するようにした電子制
御式ディーゼルエンジンにおいて、クランクシャフトM
3の回転位相における少なくとも二つの特定位置におけ
る回転速度の差又は比を検出される回転速度に基づいて
算出手段M7が算出し、その算出された回転速度の差又
は比を比較手段M8が所定の基準値と比較することによ
りディーゼルエンジンM1の失火の発生を判定して失火
を検出するようにした失火検出装置であって、制御手段
M6の制御により噴射ノズル2から噴射される燃料の量
の変化量を算出し、その算出された変化量に応じて、比
較手段M8により使用される基準値を補正するための補
正手段M10を設けたことを趣旨とする。
【0011】上記の構成によれば、ディーゼルエンジン
M1の運転時に、そのクランクシャフトM3の回転に同
期して噴射ポンプM4が駆動されることにより、噴射ポ
ンプM4から燃料が吐出され、噴射ノズルM2からディ
ーゼルエンジンM1へ燃料が噴射される。ディーゼルエ
ンジンM1は、噴射された燃料を燃焼させることによ
り、クランクシャフトM3を回転駆動させる。回転速度
検出手段M5はクランクシャフトM3の回転速度を検出
する。
【0012】ここで、ディーゼルエンジンM1の失火を
検出するために、算出手段M7は、クランクシャフトM
3の回転位相における少なくとも二つの特定位置におけ
る回転速度の差又は比を検出される回転速度に基づいて
算出する。比較手段M8は、その算出された回転速度の
差又は比を所定の基準値と比較することにより失火の発
生を判定して失火を検出する。
【0013】検出される回転速度が上昇するほど噴射ポ
ンプM4から吐出される燃料の量を減少させるように制
御手段M6が噴射ポンプM4を電気的に制御することに
より、噴射ノズルM2から噴射される燃料の量が調整さ
れる。ここで、失火検出のために算出された回転速度の
差又は比と比較されるべき基準値が、噴射ノズルM2か
ら噴射される燃料量の変化量に応じて補正される。従っ
て、比較手段M8により失火が検出されたとき、その直
後に回転速度の変動に応答して噴射ノズルM2から噴射
される燃料量が制御手段M6により増減され、回転速度
が再び落ち込んだとしても、その落ち込みを見越して基
準値が補正されることになる。よって、失火が検出され
た直後には、回転速度の差又は比と基準値との比較が、
回転速度の落ち込みを前提として適正に行われる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】 以下、上記発明に係る電子制御
式ディーゼルエンジンの失火検出装置を自動車に具体化
た実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】図3はこの実施形態の電子制御式ディーゼ
ルエンジンのシステムを示す概略構成図である。ディー
ゼルエンジン1は燃焼室2を含む気筒を複数有する。エ
ンジン1の吸入行程において、各気筒毎に設けられた吸
気ポート3が吸気バルブ4により開かれることにより、
エアクリーナ5を通じて吸気通路6に吸入される外気が
各燃焼室2に流れ込む。各気筒毎に設けられた燃料噴射
ノズル7は、燃料噴射ポンプ8より燃料ライン7aを通
じて圧送される燃料を各燃焼室2へ噴射する。エンジン
1の圧縮行程において、各燃焼室2に導入された燃料及
び外気がピストン9の上動により加圧されて爆発・燃焼
することにより、ピストン9が下動してクランクシャフ
ト10が回転し、エンジン1に駆動力が得られる。エン
ジン1の排気行程において、各気筒毎に設けられた排気
ポート11が排気バルブ12により開かれることによ
り、各燃焼室2において生じた排気ガスが排気通路13
へ導出され、外部へ排出される。
【0019】吸気通路6に設けられたスロットルバルブ
14はアクセルペダル15の操作に連動して作動するこ
とにより、吸気通路6を選択的に開閉する。このスロッ
トルバルブ14の開度に応じ、吸気通路6に吸入される
外気の量、即ち吸気量Qが調節される。
【0020】周知の分配型の燃料噴射ポンプ8は各燃焼
室2で燃焼に供される燃料を燃料ライン7aを通じて各
噴射ノズル7へ圧送する。噴射ポンプ8は燃料タンク
(図示しない)に貯められた燃料を高圧に圧縮し、所要
の量と時期をもって各噴射ノズル7へ向けて吐出する。
各噴射ノズル7は圧送された燃料の圧力に基づき作動
し、対応する各燃焼室2へ燃料を噴射する。噴射ポンプ
8に設けられた電磁スピル弁16は、同ポンプ8から各
回毎に吐出される燃料の量、即ち各噴射ノズル7から噴
射される燃料の量を調整する。この電磁スピル弁16
は、噴射ポンプ8からの燃料の吐出終了時期を調整する
ことにより、噴射ノズル7から噴射される燃料の量を調
整する。同じく噴射ポンプ8に設けられたタイマ装置1
7は、同ポンプ8からの燃料の吐出開始時期、即ち各噴
射ノズル7からの燃料の噴射時期を調整する。これらの
部材16,17は電気的に制御される。噴射ポンプ8は
ドライブシャフト8aを有し、そのシャフト8aがエン
ジン1のクランクシャフト10に連結される。従って、
ドライブシャフト8aはクランクシャフト10の回転に
同期して回転され、噴射ポンプ8はエンジン1の運転に
連動して駆動される。
【0021】図4に噴射ポンプ8の構造を示す。噴射ポ
ンプ8はハウジング21を備える。ハウジング21に内
蔵された燃料フィードポンプ(この図では90度だけ展
開されて示されている。)22はドライブシャフト8a
から動力を受ける。ハウジング21はこのフィードポン
プ22に通じる燃料ポート23を有する。
【0022】噴射ポンプ8はカムプレート24及びロー
ラリング25を備える。両部材24,25はカム手段を
構成する。両部材24,25はドライブシャフト8aの
回転に同期して作動することにより、噴射ポンプ8から
の燃料の吐出に寄与する。円板状をなすカムプレート2
4はドライブシャフト8aの基端(図面右端)に対して
カップリング(図示しない)を介して連結される。カム
プレート24はその一側に複数の凸部を含むカムフェイ
ス24aを有する。カムフェイス24aに対向して設け
られたローラリング25は、その円周方向に配列された
複数のカムローラ25aを有する。カムフェイス24a
の凸部の数はエンジン1の気筒数と同じである。カムプ
レート24に隣接して設けられたスプリング26は、カ
ムフェイス24aがカムローラ25aに常に係合するよ
うにプレート24を付勢する。
【0023】噴射ポンプ8はそのハウジング21に燃料
室27及び一つのシリンダ28を備える。シリンダ28
に組み付けられたプランジャ29は、カムプレート24
に対して一体的に取り付けられる。カムプレート24及
びプランジャ29は、ドライブシャフト8aの回転に基
づき一体的に作動する。即ち、ドライブシャフト8aの
回転力がカップリングを介してカムプレート24に伝達
されることにより、そのカムフェイス24aがカムロー
ラ25aに係合しながら回転する。カムプレート24は
回転しながらエンジン1の気筒数と同回数だけ同図の水
平方向へ往復動する。その動作に従い、プランジャ29
が回転しながら同方向へ往復動する。つまり、カムフェ
イス24aの凸部がカムローラ25aに乗り上げること
により、プランジャ29がシリンダ28の中を往動(図
面右方向への移動)する。その逆に、カムフェイス24
aの凸部がカムローラ25aを乗り下げることにより、
プランジャ29がシリンダ28の中を復動(図面左方向
への移動)する。
【0024】シリンダ28の中において、プランジャ2
9の先端面(図面左端面)とシリンダ28の底面との間
が高圧室30をなす。プランジャ29はその先端部外周
にエンジン1の気筒数と同数の吸入溝31を有し、同じ
く先端部に気筒数と同数の分配ポート32を有する。ハ
ウジング21は、複数の吸入溝31及び分配ポート32
に対応する部位に、分配通路33及び吸入ポート34を
有する。各分配通路33の出口に設けられた各デリバリ
バルブ35は、各分配通路33における燃料の圧力に基
づいて開く。
【0025】ドライブシャフト8aの回転に伴いフィー
ドポンプ22が駆動されることにより、燃料タンク(図
示しない)より送られる燃料が燃料ポート23を通じて
燃料室27に導入される。ドライブシャフト8aの回転
に伴いプランジャ29が復動することにより、高圧室3
0が減圧される。このとき、吸入溝31の一つが吸入ポ
ート34に連通することにより、燃料室27の中の燃料
が高圧室30に導入される。その後、プランジャ29が
往動することにより、高圧室30が加圧される。このと
き、高圧室30の燃料が各分配通路33へ押し出されて
各デリバリバルブ35が開き、噴射ポンプ8から各燃料
ライン7aへ燃料が吐出される。
【0026】ハウジング21に設けられたスピル通路3
6は、高圧室30を燃料室27に通じさせる。スピル通
路36に設けられた電磁スピル弁16は、高圧室30の
中の燃料がスピル通路36を通じて燃料室27へ逃がさ
れることを調整する。このスピル弁16はコイル37及
び弁体38を含む。このスピル弁16は常には開かれて
おり、コイル37が非励磁の状態では、弁体38がスピ
ル通路36を開いて高圧室30の燃料が燃料室27へ逃
がされる。一方、コイル37が励磁されることにより、
弁体38がスピル通路36を閉じ、高圧室30から燃料
室27へ逃げるべき燃料の流れが遮断される。
【0027】従って、電磁スピル弁16に対する通電が
制御されることにより、高圧室30から燃料室27へ逃
がされる燃料の流れが調整される。即ち、プランジャ2
9の往動中に電磁スピル弁16によりスピル通路36が
開かれることにより、高圧室30が減圧され、噴射ポン
プ8からの燃料の吐出の終了時期が決定され、各噴射ノ
ズル7からの燃料の噴射が停止する。プランジャ29の
往動中に、電磁スピル弁16によりスピル通路36が閉
じられた状態から同通路36が開かれることにより、噴
射中の噴射ノズル7からの燃料の噴射が停止する。つま
り、噴射ノズル7からの燃料の噴射の終了時期が決定さ
れる。
【0028】ハウジング21に設けられたタイマ装置
(この図では90度だけ展開されて示されている。)1
7は、噴射ポンプ8からの燃料の吐出開始時期、延いて
は各噴射ノズル7からの燃料の噴射開始時期を変更する
ためにローラリング25を動かす。即ち、タイマ装置1
7はドライブシャフト8aを中心にローラリング25を
回動させることにより、カムフェイス24aの凸部がカ
ムローラ25aに係合し始める時期、即ちプランジャ2
9が往動を開始する時期を変更させる。
【0029】タイマ装置17はハウジング40と、その
ハウジング40に組み付けられたピストン41とを備え
る。このハウジング40はピストン41の両端側に配置
された低圧室42及び加圧室43を有する。各室42,
43には、フィードポンプ22により加圧された燃料の
一部が導入され、その燃料圧力が作動油としてピストン
41に作用する。低圧室42に設けられたスプリング4
4は、ピストン41を加圧室43へ向けて付勢する。ピ
ストン41から上方へ延びるスライドピン45は、ピス
トン41をローラリング25に連結する。加圧室43に
供給された燃料圧力によりピストン41が動かされるこ
とにより、スライドピン45が揺動してローラリング2
5がドライブシャフト8aを中心に回動される。ここ
で、加圧室43の燃料圧力とスプリング44の付勢力と
の釣り合い関係に基づき、ピストン41の位置が決定さ
れる。この位置の決定により、ローラリング25の回動
位置が決定され、カムプレート24及びプランジャ29
が往動し始める時期が決定される。タイマ装置17は加
圧室43と低圧室42との間の連通路46に設けられた
電磁式のタイマ制御弁(TCV)47を含む。連通路4
6における燃料の流量がTCV47により調整されるこ
とにより、加圧室43に供給れさる燃料圧力が調整され
る。これにより、ピストン41の位置が調整され、各噴
射ノズル7からの燃料の噴射開始時期が調整される。
【0030】ドライブシャフト8a上に一体回転可能に
取り付けられ円板状のパルサ48は回転体を構成する。
パルサ48の外周に対向配置されたピックアップコイル
49は、パルス出力手段を構成する。パルサ48及びピ
ックアップコイル49は、クランクシャフト10の回転
速度、即ちエンジン回転速度NEを検出するための本発
明の回転速度検出手段としての回転速度センサ65を構
成する。図5に示すように、パルサ48はその外周面に
等角度間隔に設けられた複数(この実施例では56個)
の突起48aを有する。パルサ48はそれら突起48a
の配列の中に、二つ分の突起48aを欠落させてなる複
数(この実施形態では4個が設けられ、その数はエンジ
ン1の気筒数と同じ。)の欠落部48bを有する。これ
ら欠落部48bはパルサ48の外周に等角度間隔に配置
される。
【0031】図6(a),(b)はクランクシャフト1
0の回転変動と、それに関連してピックアップコイル4
9から出力される一連のパルス信号PSの変化を示すタ
イミングチャートである。図6(a)からも分かるよう
に、クランクシャフト10の回転変動は周期的な位相変
化を伴う。この位相変化は、エンジン1の運転時に各気
筒のピストン9が周期的に上下動することに起因する。
ピックアップコイル49は欠落部48bを除いた各突起
48aの通過を順次検知することにより、連続的なパル
ス信号PSを順次出力する。このコイル49は、欠落部
48bを除いてクランクシャフト10が所定の回転角
度、即ち所定のクランク角度CA(この実施形態では
「11.25°」)だけ回転する毎に一つのパルス信号
を出力する。図6(b)に示すように、一連のパルス信
号PSにおいて、各欠落部48bに対応する部分は、立
ち上がりを伴わない信号(欠落部信号PSL)を示す。
一連のパルス信号PSにおける欠落部信号PSLの発生
位置は、クランクシャフト10の回転変動の位相におい
て、上死点前90°の位置(BTDC90°)の近傍、
上死点後90°の位置(ATDC90°)の近傍の各々
に対応する。BTDC90°〜ATDC90°の範囲に
おいて、一連のパルス信号PSは、ある欠落部信号PS
Lからその次の欠落部信号PSLまでの間で、各パルス
信号PSが、0番目の信号、1番目の信号、2番目の信
号・・・・13番目の信号と定義される。これら一連の
パルス信号PSにおいて、特定の二つのパルス信号が発
生する間に要する時間に基づき、エンジン回転速度NE
を求めることができる。
【0032】ここで、コイル49はローラリング25と
一体に設けられている。この構成が適用される理由は、
タイマ装置17によりローラリング25が回動されて
も、コイル49から出力される一連のパルス信号PSの
位相が、プランジャ29の往復動の位相と常に一定の関
係で保たれるようにするためである。
【0033】図3において、エアクリーナ5に隣接して
設けられたエアフローメータ61は、吸気通路6に吸入
される吸気量Qを実測し、その量に応じた信号を出力す
る。エアフローメータ61に隣接して設けられた吸気温
センサ62は、吸気通路6に吸入される外気の温度(吸
気温度)THAを検出し、その温度に応じた信号を出力
する。スロットルバルブ14の近傍に設けられたスロッ
トルセンサ63は、同バルブ14の開度をアクセルペダ
ル15の操作量であるアクセル開度ACCPとして検出
し、その開度に応じた信号を出力する。このセンサ63
は周知のアイドルスイッチ(図示しない)を内蔵する。
このアイドルスイッチはスロットルバルブ14が全閉と
なったとき、即ちアクセルペダル15が未操作のとき
に、オンされてアイドル信号IDLを出力する。吸気通
路6に設けられた吸気圧センサ64は、吸気通路6にお
ける吸気圧力PMを検出し、その圧力に応じた信号を出
力する。噴射ポンプ8に設けられた回転速度センサ65
は、前述したようにクランクシャフト10の回転速度、
即ちエンジン回転速度NEをドライブシャフト8aの回
転に基づいて間接的に検出し、その速度に応じた一連の
パルス信号PSを出力する。
【0034】自動車の運転席(図示しない)に設けられ
た警告ランプ51は、エンジン1の失火を報知するため
に作動する。本発明の制御手段、算出手段、比較手段及
び補正手段を構成する電子制御装置(ECU)71は前
述した各種センサ等61〜65から出力される信号を入
力する。ECU71はこれらの入力信号に基づき、噴射
ポンプ8における電磁スピル弁16及びTCV47、並
びに警告ランプ51をそれぞれ制御する。
【0035】ECU71は中央処理装置(CPU)7
2、読み出し専用メモリ(ROM)73、ランダムアク
セスメモリ(RAM)74及びバックアップRAM75
を備える。ECU71はこれら各部72〜75と、外部
入力回路76と、外部出力回路77等とをバス78によ
り接続してなる論理演算回路を構成する。ここで、CP
U72は演算制御の機能と、カウンタの機能を兼ね備え
る。ROM73は所定の制御プログラム等を予め記憶す
る。RAM74はCPU73の演算結果等を一時記憶す
る。バックアップRAM75は予め記憶したデータを保
存する。外部入力回路76はバッファ、波形整形回路及
びA/D変換器等を含む。外部出力回路77は駆動回路
等を含む。各種センサ等61〜65は外部入力回路76
に接続される。各部材16,47,51は外部出力回路
77に接続される。
【0036】CPU72は外部入力回路76を介して入
力する各種センサ等61〜65からの信号を入力値とし
て読み込む。CPU72はそれら入力値に基づき、燃料
の噴射量制御及び噴射時期制御、並びに失火検出に係る
制御等を実行するために各部材16,47,51等を制
御する。
【0037】ここで、燃料噴射量制御とは、エンジン1
の運転状態に応じて噴射ポンプ8から吐出される燃料量
を制御するために、電磁スピル弁16を制御することで
ある。この制御において、CPU72は各種センサ61
〜65等により検出される各種パラメータQ,THA,
ACCP,PM,NEに基づき、電子スピル弁16を制
御するために使用される最終噴射量QFINを算出す
る。この実施形態で、この種の噴射量制御を実行するE
CU71は、本発明の制御手段に相当する。
【0038】燃料噴射時期制御とは、エンジン1の運転
状態に応じて噴射ポンプ8から吐出される燃料の吐出開
始時期を制御するために、TCV47(タイマ装置1
7)を制御することである。この制御において、CPU
72は各種センサ63,65等により検出される各種パ
ラメータACCP,NE等に基づき、TCV47を制御
するために使用される進角制御値を算出する。この実施
形態で、この種の噴射時期制御を実行するECU71
は、噴射時期制御手段に相当する。
【0039】失火検出に係る制御とは、回転速度センサ
65(ピックアップコイル49)から出力される一連の
パルス信号PSに基づき求められるエンジン回転速度N
Eの変化から、エンジン1における失火の発生を検出す
ることである。
【0040】次に、ECU71により実行される各種制
御のうち、失火検出に係る制御の処理内容について説明
する。ROM43は図7〜図11に示すフローチャート
に関する制御プログラム等を予め記憶している。図7は
「失火検出ルーチン」を示し、ECU71はこのルーチ
ンを所定時間毎に周期的に実行する。
【0041】ステップ100において、ECU71は各
センサ63,65により検出されるアクセル開度ACC
P及びエンジン回転速度NEの値をそれぞれ読み込む。
ステップ110において、ECU71はアクセル開度A
CCPの値が所定時間以上継続して一定状態であるか否
かを判断する。ここで、アクセル開度ACCPの値が一
定状態でない場合、エンジン1の運転状態が変化したも
のとして、ECU71はその後の処理を一旦終了する。
アルセル開度ACCPの値が一定状態である場合、EC
U71は処理をステップ120へ移行する。
【0042】ステップ120において、ECU71はエ
ンジン回転速度NEの値が所定時間以上継続して一定状
態であるか否かを判断する。ここで、エンジン回転速度
NEの値が一定状態でない場合、エンジン1の運転状態
が変化したものとして、ECU71はその後の処理を一
旦終了する。エンジン回転速度NEの値が一定状態であ
る場合、エンジン1が運転状態に変化のない定常運転状
態であるものとして、ECU71は処理をステップ13
0へ移行する。この実施形態で、ステップ100〜12
0の処理を実行するECU71は、エンジン1が定常運
転状態にあるか否かを判断する状態判断手段に相当す
る。
【0043】ステップ130において、ECU71は今
回噴射されるべき最終噴射量QFINの算出を終了した
か否かを判断する。ECU71はこの最終噴射量QFI
Nの算出を、別途に実行される燃料噴射量制御において
行う。この算出において、ECU71は、図8に示すガ
バナ特性を有する関数データを参照することにより、ア
クセル開度ACCP及びエンジン回転速度NEの値から
基本噴射量QBASの値を算出する。ECU71は、算
出された基本噴射量QBASの値を、吸気温度THAを
含む他のパラメータの値に基づいて補正することによ
り、最終噴射量QFINの値を算出する。この関数デー
タにおいて、エンジン回転速度NEと基本噴射量QBA
Sとの関係は右下がりの特性を示す。従って、アクセル
開度ACCPの値を一定とした場合、エンジン回転速度
NEが上昇したときには、基本噴射量QBASは減少
し、エンジン回転速度NEが低下したときには、基本噴
射量QBASは増大する。ステップ130において、最
終噴射量QFINの算出を終了していない場合、ECU
71はその後の処理を一旦終了する。最終噴射量QFI
Nの算出を終了している場合、ECU71は失火判定の
ための基準値を算出するために、処理をステップ140
へ移行する。この実施形態で、ステップ130の処理を
実行するECU71は、噴射量の算出終了を判断するた
めの終了判断手段に相当する。
【0044】ステップ140において、ECU71は今
回算出された最終噴射量QFINの値、今回の噴射前1
80°において回転速度センサ65により検出されたエ
ンジン回転速度NEの値をそれぞれ読み込む。
【0045】ステップ150において、ECU71は過
去n回において算出された最終噴射量QFINの値の平
均値QFINAVE、同じく過去n回における噴射前1
80°において検出されたエンジン回転速度NEの値の
平均値NEAVEをそれぞれ算出する。ここで、「n」
とは、エンジン1で失火が発生しても最終噴射量QFI
Nに係る平均値QFINAVEが十分に安定し得る値で
ある。この実施形態で、ステップ140,150の処理
を実行するECU71は、過去の所定期間において算出
された噴射量QFINの平均値、エンジン回転速度NE
の平均値を算出するための平均値算出手段に相当する。
【0046】ステップ160において、ECU71は今
回算出された両平均値QFINAVE,NEAVEに基
づき、失火判定のための基本判定値KLFABを算出す
る。ECU71は、図9に示すような所定の二次元関数
データを参照することにより、この基本判定値KLFA
Bを算出する。この関数データにおいて、最終噴射量Q
FINに係る平均値QFINAVEが増大するに連れて
基本判定値KLFABは増大する傾向にあり、エンジン
回転速度NEに係る平均値NEAVEが増大するに連れ
て基本判定値KLFABは減少する傾向にある。この実
施形態で、ステップ160の処理を実行するECU71
は、失火判定のための基本判定値KLFABを算出する
ための基本判定値算出手段に相当する。
【0047】ステップ170において、ECU71は今
回算出された最終噴射量QFINの値とその平均値QF
INAVEとの差、及び今回算出されたエンジン回転速
度NEに係る平均値NEAVEに基づき、失火判定のた
めの判定補正値KLFACを算出する。ECU71は、
図10(a),(b),(c)に示すような所定の二次
元関数データを参照することにより、この判定補正値K
LFACを算出する。この関数データにおいて、エンジ
ン回転速度NEに係る平均値NEAVEを一定とした場
合、最終噴射量QFINの値とその平均値QFINAV
Eとの差が増大するに連れて判定補正値KLFACは増
大する傾向にある。この増大の傾きは、平均値NEAV
Eが大きくなるほど小さくなる傾向にある。ここで、最
終噴射量QFINの値とその平均値QFINAVEとの
差は、今回算出された最終噴射量QFINの平均値QF
INAVEに対する変化量を意味する。この実施形態
で、ステップ170の処理を実行するECU71は、今
回算出された噴射量の変化量を算出し、その変化量に基
づいて失火判定のための判定補正値KLFACを算出す
るための判定補正値算出手段に相当する。
【0048】ステップ180において、ECU71は基
本判定値KLFABに判定補正値KLFACを加算する
ことにより、本発明の所定の基準値としての最終判定値
KLFAFを算出する。この実施形態で、ステップ18
0の処理を実行するECU71は、失火判定のために使
用される基準値を補正するための本発明の補正手段に相
当する。
【0049】ステップ190において、ECU71はク
ランクシャフト10の回転位相における上死点TDCか
ら所定角度(この実施形態では「90°CA」)だけ過
ぎたか否かを判断する。即ち、ECU71は、上死点後
90°の位置ATDC90°を過ぎたか否かを判断す
る。図6に示すように、この位置ATDC90°は、一
連のパルス信号PSにおける13番目のパルス信号PS
の発生位置に対応する。この位置ATDC90°を過ぎ
ていない場合、ECU71はその後の処理を一旦終了す
る。この位置ATDC90°を過ぎた場合、ECU71
は処理をステップ200へ移行する。この実施形態で、
ステップ190の処理を実行するECU71は、クラン
クシャフト10の回転位相における特定位置を判断する
ための特定位置判断し相当する。
【0050】ステップ200において、ECU71はク
ランクシャフト10の回転位相における上死点TDCに
おける第1の瞬時回転速度NELの値を算出する。即
ち、ECU71は、図6(b)において、一連のパルス
信号PSの4番目のパルス時間TN4〜7番目のパルス
時間TN7のそれぞれを算出する。ここで、パルス時間
TNとは、あるパルス信号PSの立ち上がりからその次
のパルス信号PSの立ち上がりまでに要する時間を意味
する。
【0051】図6(b)に示す一連のパルス信号PSに
おいて、その0番目のパルス信号PS〜13番目のパル
ス信号PSの各々について、TN0〜TN13のパルス
時間TNを求めることができる。ここで、6番目のパル
ス信号PSの発生位置はクランクシャフト10の回転変
動の位相における上死点TDCに対応する。13番目の
パルス信号PSの発生位置は上死点前90°の位置BT
DC90°又は上死点後90°の位置ATDC90°に
それぞれ対応する。この実施形態で、ステップ200の
処理を実行するECU71は、クランクシャフト10の
回転位相上の4番目〜7番目を特定順次としてそれらの
パルス信号SPに係る個々のパルス時間TN4〜TN7
をパルス間隔として算出する第1の個別間隔算出手段に
相当する。ECU71は算出された各パルス時間TN4
〜TN7を積算することにより、図6に示すように、第
1の時間積算値TNLを算出する。この実施形態で、上
記の処理を実行するECU71は、上記特定順序におけ
る個々のパルス間隔を積算することにより、それら複数
のパルス信号の間隔を算出する第1のパルス間隔算出手
段に相当する。そして、ECU71は、その算出された
第1の時間積算値TNLに基づき、その値TNLの逆数
を算出することにより、第1の瞬時回転速度NELの値
を算出する。この実施形態で、上記の処理を実行するE
CU71は、第1の時間積算値TNLに基づいて第1の
瞬時回転速度NELを算出するための第1の瞬時回転速
度算出手段に相当する。
【0052】ステップ210において、ECU71はス
テップ200に準じて、前述した上死点後90°の位置
ATDC90°における第2の瞬時回転速度NEHの値
を算出する。即ち、ECU71は、図6(b)におい
て、一連のパルス信号PSの12番目のパルス時間TN
12と13番目のパルス時間TN13をそれぞれ算出す
る。この実施形態で、ステップ210の処理を実行する
ECU71は、上記回転位相上の12番目〜13番目を
特定順序としてそれらのパルス信号SPに係る個々のパ
ルス時間TN12,TN13をパルス間隔として算出す
る第2の個別間隔算出手段に相当する。ECU71は算
出された両パルス時間TN12,TN13を積算するこ
とにより、図6に示すように第2の時間積算値TNHを
算出する。この実施形態で、上記の処理を実行するEC
U71は、上記特定順序における個々のパルス間隔を積
算することにより、それら複数のパルス信号の間隔を算
出する第2のパルス間隔算出手段に相当する。そして、
ECU71は、その算出された第2の時間積算値TNH
に基づき、その値TNHの逆数を算出することにより、
第2の瞬時回転速度NEHの値を算出する。この実施形
態で、上記の処理を実行するECU71は、第2の時間
積算値TNHに基づき第2の瞬時回転速度NEHを算出
するための第2の瞬時回転速度算出手段に相当する。
【0053】ステップ220において、ECU71は、
両瞬時回転速度TNH,TNLの差を、失火の大きさを
示す失火値ΔNEとして算出する。即ち、ここでは、上
死点位置TDCの近傍においてクランクシャフト10が
所定角度(11.25°×4=45°)だけ回転すると
きの第1の瞬時回転速度NELと、上死点後90°の位
置ATDC90°の近傍においてクランクシャフト10
が所定角度(45°)だけ回転するときの第2の瞬時回
転速度NEHとの差が、失火値ΔNEとして求められ
る。この実施形態で、ステップ200〜220の処理を
実行するECU71は、クランクシャフト10の回転位
相における二つの特定位置におけるエンジン回転速度N
Eの差を失火値ΔNEとして算出するための本発明の算
出手段に相当する。
【0054】図11はクランクシャフト10の回転変
動、つまりは回転速度センサ65により検出されるエン
ジン回転速度NEの変化につき、失火がある場合と無い
場合を比較して示す。この図からも分かるように、クラ
ンクシャフト10の周期的な回転変動において、所定時
期に噴射ノズル7から噴射された燃料が確実に燃焼した
場合、その燃焼直後の回転変動はそれ以前の回転変動と
ほぼ同じ大きさを示す。この場合のエンジン回転速度N
Eの変動幅、即ち失火値ΔNEは充分に大きく、失火が
無いことを示す。これに対し、噴射ノズル7から噴射さ
れた燃料が燃焼しなかった場合、その燃焼直後の回転変
動(失火値ΔNE)はそれ以前の回転変動(失火値ΔN
E)よりも小さくなる。この場合の失火値ΔNEは実質
的に小さく、失火が有ることを示す。
【0055】ステップ230において、ECU71は失
火値ΔNEが最終判定値KLFAFりも小さいか否かを
判断する。この実施形態で、ステップ230の処理を実
行するECU71は、エンジン回転速度NEの差、即ち
失火値ΔNEを所定の基準値と比較するための本発明の
比較手段に相当する。ここで、失火値ΔNEが最終判定
値KLFAFりも小さい場合、ECU71はエンジン1
の特定気筒において失火が発生したものと判定し、処理
をステップ240へ移行する。
【0056】ステップ240において、ECU71は失
火を報知するために警告ランプ51を点灯させる。この
実施形態で、上記処理を実行するECU71は、失火を
検出したときにそのことを報知するための報知手段に相
当する。更に、ECU71は失火による異常であること
を示す異常コードをバックアップRAM75に記憶さ
せ、その後の処理を一旦終了する。この実施形態で、上
記処理を実行するECU71は、失火を検出したときに
そのことを記録する記録手段に相当する。
【0057】一方、ステップ230において、失火値Δ
NEが最終判定値KLFAFよりも小さくない場合、E
CU71はエンジン1に失火が無かったものと判定し、
処理をステップ250へ移行する。
【0058】ステップ250において、ECU71は警
告ランプ51を消灯させる。更に、ECU71は燃焼が
正常であることを示す正常コードをバックアップRAM
75に記憶させ、その後の処理を一旦終了する。
【0059】以上説明したように、この実施形態の構成
によれば、エンジン1の運転時にクランクシャフト10
が回転すると、その回転に同期して噴射ポンプ8のドラ
イブシャフト8aが回転する。このドライブシャフト8
aの回転に同期して、ローラリング25及びカムプレー
ト24の協働によりプランジャ29が作動すると、噴射
ポンプ8から燃料が吐出され、各噴射ノズル7から各燃
焼室2へ燃料が噴射される。各燃焼室2で噴射された燃
料が燃焼すると、ピストン9が作動してクランクシャフ
ト10が回転駆動される。
【0060】このとき、噴射ポンプ8では、回転速度セ
ンサ65を構成するパルサ48がドライブシャフト8a
の回転に伴い回転し、その複数の突起48a及び欠落部
48bがピックアップコイル49を通過する。このコイ
ル49が各突起48a等の通過を順次検知することによ
り、クランクシャフト10の回転速度、即ちエンジン回
転速度NEに相関する連続的なパルス信号PSが同コイ
ル49から順次に出力される。
【0061】ここで、エンジン1の失火を検出するため
に、ECU71は連続的に出力されるパルス信号PSの
中の特定順序における複数のパルス信号PSに係る間隔
の差を算出する。ECU71は、その算出されたパルス
間隔の差から、クランクシャフト10の回転位相におけ
る二つの特定位置におけるエンジン回転速度NEの差を
算出する。ECU71は、算出されたエンジン回転速度
の差を所定の基準値と比較することにより、即ちエンジ
ン回転速度NEが急激に落ち込んだことを判定すること
により、失火の発生を判定して失火を検出する。
【0062】即ち、ECU71は、4番目〜7番目の各
パルス信号PSに係る各パルス時間TN4〜TN7の合
計を第1の時間積算値TNLとして算出し、その逆数を
第1の瞬時回転速度NELとして算出する。同じく、E
CU71は、12番目,13番目の各パルス信号PSに
係る各パルス時間TN12,TN13の合計を第2の時
間積算値TNHとして算出し、その逆数を第2の瞬時回
転速度NEHとして算出する。ECU71は、二つの瞬
時回転速度NEL,NEHの差を失火値ΔNEとして算
出する。ECU71はこの失火値ΔNEを、算出された
最終判定値KLFAFと比較することにより、失火を判
定する。
【0063】燃料噴射量制御において、ECU71はエ
ンジン回転速度NEが上昇するほど基本噴射量QBAS
を減少させるような所定のガバナ特性に従って噴射ポン
プ8を電気的に制御する。これにより、エンジン回転速
度NEの変化に伴って算出されるべき最終噴射量QFI
Nが増減され、各噴射ノズル7から噴射される燃料量が
増減される。ここで、エンジン回転速度NEが失火の発
生に起因して落ち込んだ場合、ECU71は上記ガバナ
特性に従って噴射ポンプ8を制御する。このとき、各噴
射ノズル7から噴射される燃料量は増やされ、エンジン
回転速度NEが上昇する。その後、エンジン回転速度N
Eの上昇に応答して、ECU71が上記ガバナ特性に従
って噴射ポンプ8を制御する。このとき、各噴射ノズル
7から噴射される燃料量は減らされ、エンジン回転速度
NEが再び落ち込むことになり、その落ち込みが失火の
誤判定の原因となり得る。
【0064】そこで、この実施形態では、ECU71は
毎回算出される最終噴射量QFINの平均値QFINA
VEと、特定の期間において毎回検出されるエンジン回
転速度NEの平均値NEAVEとに基づき、失火判定の
比較のための基準判定値KLFABを算出する。ECU
71は毎回算出される最終噴射量QFINとその平均値
QFINAVEとの差(最終噴射量QFINの変化量)
と、上記エンジン回転速度NEの平均値NEAVEとに
基づき、判定補正値KLFACを算出する。ECU71
は、算出された基本判定値KLFABを判定補正値KL
FACにより補正することにより、失火判定のための所
定の基準値である最終判定値KLFAFを算出する。
【0065】従って、エンジン回転速度NEの落ち込み
が判定され、失火が検出されたときには、その検出直後
に最終噴射量QFINが増やされてエンジン回転速度N
Eが上昇し、次いで最終噴射量QFINが減らされてエ
ンジン回転速度NEが再び落ち込むことになる。しか
し、この実施形態では、失火判定のための最終判定値K
LFAFが、失火検出後のエンジン回転速度NEの落ち
込みを見越して補正される。このため、失火検出直後に
は、エンジン回転速度NEの差、即ち失火値ΔNEと最
終判定値KLFAFとの比較が、エンジン回転速度NE
の再度の落ち込みを前提として適正に行われる。この結
果、上記ガバナ特性に基づき燃料噴射量を制御するよう
にした電子制御式ディーゼルエンジンにおいて、失火を
適正に検出することができる。それと共に、失火直後に
おけるエンジン回転速度NEの再度の落ち込みに起因し
て失火が誤って検出されることを未然に防止することが
できる。
【0066】この実施形態では、失火検出直後における
失火の誤検出が回避されることから、実際に失火が発生
した気筒だけを正確に特定することが可能になる。従っ
て、失火検出後に行われるべき失火対策を容易にするこ
とが可能になる。
【0067】この実施形態の構成によれば、上記ガバナ
特性に起因して生じる失火判定上の不具合につき、EC
U71の演算上の構成を改良することにより対処してい
る。このため、本来、ディーゼルエンジン1を制御する
上で必要不可欠な上記ガバナ特性を変更する必要がな
く、従前のガバナ特性をそのまま継続して使用すること
ができる。
【0068】この実施形態の構成によれば、失火が検出
されたときに警告ランプ51が点灯されることから、運
転者等がその異常を直ちに知ることができる。従って、
失火の報せを受けて運転者がエンジン1又は噴射ポンプ
8等を点検することにより、失火に起因するエンジン1
のエミッションの悪化に早めに対処することが可能とな
る。
【0069】この実施形態の構成によれば、失火が検出
されたときにそのことが異常コードによってバックアッ
プRAM75に記憶される。このため、エンジン1の点
検時に、作業者がバックアップRAM75の中のデータ
を読み出すことにより、失火に関する履歴を確認するこ
とができる。この意味で、失火原因に関してエンジン1
又は噴射ポンプ8等を適期に点検することが可能とな
り、エンジン1のエミッションの悪化に早めに対処する
ことが可能となる。
【0070】 次に、上記発明の課題を解決する電子制
御式ディーゼルエンジンの失火検出装置を自動車に具体
化した参考例を図面を参照して説明する。尚、この参考
では、前記実施形態と同じ構成については同一の符号
を付して説明を省略し、前記実施形態と異なる点を中心
に説明する。
【0071】この参考例では、「失火検出ルーチン」の
内容の点で前記実施形態と異なる。この参考例で、EC
U71は本発明の制御手段、算出手段、比較手段及び
考例たる禁止手段を構成する。
【0072】図12は「失火検出ルーチン」を示し、E
CU71はこのルーチンを所定時間毎に周期的に実行す
る。本参考例のルーチンにおいて、図7に示すルーチン
と同じ内容を有するステップ100〜160,190〜
250については、同一の符号を付して説明を省略す
る。本参考例のルーチンでは、図7のルーチンにおける
ステップ170,180の処理が除かれ、それに代わっ
てステップ300,310,320の処理が加えられ、
ステップ230の処理がステップ330の処理に置き換
えられる。
【0073】ステップ100から移行してステップ30
0において、ECU71は予め所定値に設定されたカウ
ント値CTが「0」であるか否かを判断する。ECU7
1は、このカウント値CTをステップ240の後のステ
ップ320において、所定値に設定する。つまり、EC
U71は、失火が検出されたときにカウント値CTを所
定値に設定する。
【0074】上記ステップ300においてカウント値C
Tが「0」でない場合、ECU71は、失火が検出され
てから所定時間が経過していないことから、処理をステ
ップ310に移行する。そして、ECU71は、ステッ
プ310においてカウント値CTを減算した後、その後
の失火検出を行うことなく処理を一旦終了する。一方、
上記ステップ300においてカウント値CTが「0」で
ある場合、失火が検出されてから所定時間が経過したこ
とから、ECU71はその後の失火検出を行うために処
理をステップ110へ移行する。
【0075】尚、この参考例で、ステップ310の処理
を実行するECU71は、所定のカウント値CTを減算
するための減算手段に相当する。ステップ320の処理
を実行するECU71は、所定のカウント値CTを所定
値に設定するための設定手段に相当する。ステップ30
0〜320の処理を実行するECU71は、失火が判定
されたときに、その判定後の所定期間だけ失火の判定を
禁止するための本参考例の禁止手段に相当する。
【0076】このルーチンでは、図7のルーチンにおけ
るステップ170,180の処理が除かれることから、
ステップ160において算出される基本判定値KLFA
Bは、本参考例の失火判定のための基準値となる。更
に、その基準値の変更に合わせて、ステップ330にお
いて、ECU71は失火値ΔNEを基本判定値KLFA
Bと比較することにより失火の判定を行う。
【0077】この参考例の構成によれば、前記実施形態
の構成と異なり、ECU71は失火を検出したとき、そ
の検出後の所定期間だけ失火の判定を禁止する。従っ
て、失火が検出されたとき、その検出直後にエンジン回
転速度NEが再び落ち込んだとしても、その落ち込みに
対応する期間に失火の検出が行われることはない。この
ため、上記ガバナ特性に基づき燃料噴射量を制御するよ
うにした本参考例の電子制御式ディーゼルエンジンにお
いても、失火を適正に検出することができると共に、失
火直後におけるエンジン回転速度NEの再度の落ち込み
に起因して失火が誤って検出されることを未然に防止す
ることができる。
【0078】この参考例で、上記失火の誤検出に係る作
用及び効果以外の作用及び効果については、前記実施形
態で既に説明されたものと同じである。尚、上記実施形
は次のような別の実施形態に具体化することもでき
る。以下の別の実施形態でも前記実施形態と同等の作用
及び効果を得ることができる。
【0079】(1)前記実施形態では、失火の判定に際
し、クランクシャフト10の回転位相における二つの特
定位置における第1及び第2の瞬時回転速度NEH,N
ELの差としての失火値ΔNEを所定の基準値としての
最終判定値KLFAF又は基本判定値KLFABと比較
する。これに対し、失火の判定に際し、第1及び第2の
瞬時回転速度NEH,NELの比を所定の基準値と比較
してもよい。
【0080】(2)前記実施形態では、失火の判定に際
し、クランクシャフト10の回転位相における二つの特
定位置における第1及び第2の瞬時回転速度NEH,N
ELの差としての失火値ΔNEを所定の基準値としての
最終判定値KLFAF又は基本判定値KLFABと比較
する。これに対し、失火の判定に際し、第1及び第2の
瞬時回転速度NEH,NELに相関する第1及び第2の
時間積算値TNL,TNHの差又は比を所定の基準値と
比較してもよい。
【0081】(3)前記実施形態では、最終噴射量QF
INの値とその平均値QFINAVEとの差、及びエン
ジン回転速度NEに係る平均値NEAVEに基づき失火
判定のための判定補正値KLFACを算出する。これに
対し、最終噴射量QFINの値とその平均値QFINA
VEとの差のみに基づき判定補正値KLFACを算出し
てもよい。
【0082】(4)前記実施形態では、噴射ポンプ8に
設けられた回転速度センサ65によりクランクシャフト
10の回転速度を間接的に検出する。これに対し、クラ
ンクシャフト10の回転速度を直接検出するようにした
回転速度センサを設けてもよい。
【0083】(5)前記実施形態では、燃料噴射量を制
御するためのアクチュエータとしての電磁スピル弁16
を備えた噴射ポンプ8に具体化した。これに対し、燃料
噴射量を制御するためのアクチュエータとして、プラン
ジャ上のスピルリングと、同リングを移動させるための
電磁ソレノイドとを備えた噴射ポンプに具体化すること
もできる。
【0084】更に、本発明の実施形態には、特許請求の
範囲に記載した技術的思想に係る次のような実施態様が
含まれることを、以下にその効果と共に記載する
【0085】
【0086】()ディーゼルエンジンへ燃料を噴射す
るための噴射ノズルと、前記ディーゼルエンジンのクラ
ンクシャフトにより駆動され、前記噴射ノズルへ圧送さ
れる燃料を吐出するための噴射ポンプとを含み、前記デ
ィーゼルエンジンは前記噴射ノズルから噴射される燃料
を燃焼させることにより前記クランクシャフトを回転駆
動させるものであり、前記噴射ポンプは、前記クランク
シャフトの回転に同期して回転されるドライブシャフト
と、そのドライブシャフトの回転に同期して作動するこ
とにより前記燃料の吐出に寄与するカム手段と、前記燃
料の吐出を終了させるために電気的に作動する終了調整
手段と、前記ドライブシャフトに一体回転可能に取り付
けられ、等角度間隔に配置された複数の突起を外周に有
する回転体と、その回転体とにより前記クランクシャフ
トの回転速度を検出する回転速度検出手段を構成し、前
記各突起の通過を順次検知することにより連続的なパル
ス信号を順次出力するパルス出力手段とを備え、前記検
出される回転速度が上昇するほど前記噴射ポンプから吐
出される燃料の量を減少させるように制御手段が前記終
了調整手段の作動を電気的に制御することにより前記噴
射ノズルから噴射される燃料の量を制御するようにした
電子制御式ディーゼルエンジンにおいて、前記連続的な
パルス信号の中の特定順序における複数のパルス信号の
間隔の差又は比を算出手段が算出し、その算出されたパ
ルス間隔の差又は比を比較手段が所定の基準値と比較す
ることにより前記ディーゼルエンジンの失火を検出する
ようにした失火検出装置であって、前記制御手段の制御
によって前記噴射ノズルから噴射される燃料の量の変化
量を算出し、その算出された変化量に応じて、前記比較
手段により使用される前記基準値を補正するための補正
手段を設けたことを特徴とする電子制御式ディーゼルエ
ンジンの失火検出装置。
【0087】この構成によれば、ディーゼルエンジン特
有のガバナ特性に基づき噴射量を制御するようにした電
子制御式ディーゼルエンジンにおいて、失火を適正に検
出することができ、その失火の直後におけるエンジン回
転速度の再度の落ち込みに起因して失火が誤検出される
ことを未然に防止することができる。
【0088】()請求項1に記載の発明において、前
記算出手段において前記回転速度の差又は比を算出する
ために適用される前記特定位置を、前記クランクシャフ
トの回転位相における上死点位置及び上死点後90°位
置に対応させたことを特徴とする。
【0089】この構成によれば、前記上死点位置におけ
る回転速度と、前記上死点後90°位置における回転速
度との差を所定の基準値と比較することにより、失火を
検出することができる。
【0090】()請求項1に記載の発明において、前
記比較手段が失火を検出したときにその失火の発生を報
知するための報知手段を設けたことを特徴とする。この
構成によれば、人が失火の発生を直ちに知ることがで
き、その報せを受けて失火に早めに対処することが可能
になる。
【0091】()請求項1に記載の発明において、前
記比較手段が失火を検出したときにその失火の発生を記
録するための記録手段を設けたことを特徴とする。この
構成によれば、前記記録手段により記録された記録を適
宜に読み出すことにより、前記失火に早めに対処するこ
とが可能になる。
【0092】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ディー
ゼルエンジン特有のガバナ特性に基づき燃料噴射量を制
御するようにした電子制御式ディーゼルエンジンにおい
て、噴射ノズルから噴射される燃料量の変化量を算出
し、その算出された変化量に応じて、失火判定のための
所定の基準値を補正するようにしている。
【0093】
【0094】
【0095】従って、失火が検出されたとき、その検出
直後に回転速度が再び落ち込むことを見越して所定の基
準値が補正されることになり、失火検出直後には、回転
速度の差又は比と基準値との比較が回転速度の落ち込み
を前提として適正に行われる。このため、失火を適正に
検出することができると共に、その失火直後における回
転速度の再度の落ち込みに起因して失火が誤検出される
ことを未然に防止することができるという効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のディーゼルエンジンに係り、エンジン
回転速度と噴射量指令値の変化を示すタイミングチャー
【図2】 発明の構成を示す概念構成図。
【図3】 ディーゼルエンジンシステムを示す概略構成
図。
【図4】 噴射ポンプの構造を示す断面図。
【図5】 回転速度センサの構成を示す正面図。
【図6】 (a),(b)はクランクシャフトの回転変
動及び一連のパルス信号の位相を示すタイミングチャー
ト。
【図7】 「失火検出ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図8】 燃料噴射量制御のためのガバナ特性に係る関
数データを示すグラフ。
【図9】 基本判定値の算出に適用される関数データを
示すグラフ。
【図10】 (a)〜(c)は判定補正値の算出に適用
される関数データを示すグラフ。
【図11】 失火とクランクシャフトの回転変動との関
係を示すタイミングチャート。
【図12】 「失火検出ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図13】 従来の燃料噴射量制御のためのガバナ特性
に係る関数データを示すグラフ。
【図14】 図13の一部を特定して説明するためのグ
ラフ。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン、7…噴射ノズル、8…噴射ポ
ンプ、10…クランクシャフト、65…回転速度検出手
段としての回転速度センサ、71…ECU(71は制御
手段、算出手段、比較手段、禁止手段及び補正手段を構
成する。)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−91300(JP,A) 特開 平7−145752(JP,A) 特開 平7−293316(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 45/00 368 F02D 45/00 362 F02D 45/00 364

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディーゼルエンジンへ燃料を噴射するた
    めの噴射ノズルと、前記ディーゼルエンジンのクランク
    シャフトにより駆動され、前記噴射ノズルへ圧送される
    燃料を吐出するための噴射ポンプとを含み、前記ディー
    ゼルエンジンは前記噴射ノズルから噴射される燃料を燃
    焼させることにより前記クランクシャフトを回転駆動さ
    せるものであり、 前記クランクシャフトの回転速度を検出するための回転
    速度検出手段を備え、前記検出される回転速度が上昇す
    るほど前記噴射ポンプから吐出される燃料の量を減少さ
    せるように制御手段が前記噴射ポンプを電気的に制御す
    ることにより前記噴射ノズルから噴射される燃料の量を
    制御するようにした電子制御式ディーゼルエンジンにお
    いて、前記クランクシャフトの回転位相における少なく
    とも二つの特定位置における回転速度の差又は比を前記
    検出される回転速度に基づいて算出手段が算出し、その
    算出された回転速度の差又は比を比較手段が所定の基準
    値と比較することにより前記ディーゼルエンジンの失火
    の発生を判定して失火を検出するようにした失火検出装
    置であって、前記制御手段の制御により前記噴射ノズルから噴射され
    る燃料の量の変化量を算出し、その算出された変化量に
    応じて、前記比較手段により使用される前記基準値を補
    正するための補正手段 を設けたことを特徴とする電子制
    御式ディーゼルエンジンの失火検出装置。
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