JP3293132B2 - 液卵白 - Google Patents

液卵白

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JP3293132B2 JP36494999A JP36494999A JP3293132B2 JP 3293132 B2 JP3293132 B2 JP 3293132B2 JP 36494999 A JP36494999 A JP 36494999A JP 36494999 A JP36494999 A JP 36494999A JP 3293132 B2 JP3293132 B2 JP 3293132B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、業務用に製造され
る液卵白であって、新鮮な殻付卵を割卵して得られる液
卵白に含まれる濃厚卵白のようなギョロギョロ感のある
液卵白に関する。
【0002】
【従来の技術】親子丼、カツ丼等の卵とじを含む食品や
スクランブルエッグ、オムレツ等の卵加工品を外食産業
や弁当向けに大量生産する場合、卵材料としては、業務
用に製造された液卵白、液卵黄、液全卵、又は調味料等
が添加された加工卵等が使用される。
【0003】この場合、液卵白としては、殻付卵を割卵
して卵黄から分離した後、異物除去のためストレーナー
に通して濾過し、それをプレート式(連続式)、あるい
は撹拌羽根で上下左右に撹拌しつつ加熱するバッチ式加
熱殺菌法で均一に加熱して殺菌したものが使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、殻付卵を割
卵して得た液卵白(即ち、未濾過、未殺菌の生卵白)
が、ギョロギョロ感のある、チクソトロピー性の濃厚卵
白を含むのに対し、上述した方法で業務用に製造された
液卵白は、濃厚卵白を含まない均一な水様卵白となる。
これは、業務用の液卵白の製造工程において、まず、濾
過によって濃厚卵白が壊れ、次いで、殺菌時の加熱撹拌
によってさらに濃厚卵白が壊れ、また、パイプラインに
よる移送によっても濃厚卵白が壊れ、液卵白が水様卵白
に均一化されるためである。こうして一旦水様卵白にな
ると、それ以降静置しても濃厚卵白は形成されない。
【0005】このため、業務用に製造された液卵白を用
いて製造された、親子丼、カツ丼等の卵とじを含む食品
やスクランブルエッグ、オムレツ等の卵加工品は、同様
の手作りの調理品においては液卵白中の濃厚卵白が液卵
黄と均一に混合し難いために卵の凝固部分が卵白模様と
なるのに対し、卵の凝固部分が均一な黄色になるので、
不自然な印象を呈するものとなる。
【0006】さらに、手作りの調理品であっても、使用
する卵の鮮度が低下すると液卵白中の濃厚卵白が少なく
なるために、卵の凝固部分の卵白模様がなくなっていく
ことから、業務用に製造された液卵白を用いて製造され
た食品において、卵の凝固部分が均一な黄色を呈してい
ると、使用した卵原料の鮮度の低さが連想され、商品イ
メージが低下するという問題もある。
【0007】本発明はこのような従来技術の問題に対
し、濾過工程や殺菌工程を経て製造される業務用の液卵
白であって、卵とじを含む食品やスクランブルエッグ、
オムレツ等の卵加工品の製造に際して卵白模様の形成を
可能とする液卵白を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、加熱処理した液卵白であって、チクソトロ
ピー量が200〜1900(Pa/s)、かつ濾過卵白
の表面疎水性を1とする相対表面疎水性が1.2〜3.
4である濃厚卵白様加熱液卵白からなることを特徴とす
る液卵白を提供する。
【0009】また、このようなチクソトロピー量及び相
対表面疎水性を有する濃厚卵白様加熱液卵白を含有し
た、卵白模様入り食品製造用液卵白や、灰汁取り用液卵
白を提供する。
【0010】さらに、本発明は、上述の濃厚卵白様加熱
液卵白からなる液卵白を入れた液卵白収容部と液卵黄を
入れた液卵黄収容部とからなる液卵白液卵黄セットを提
供する。
【0011】本発明において、チクソトロピー量とは、
25℃において試料をローターで撹拌し、その間のずり
応力を測定し、図1に示すように、縦軸をずり応力(P
a)、横軸をずり速度(sec-1)とした流動曲線を作成する
場合において、初めの5分間で回転数を0(sec-1)から
234(sec-1)に一定速度で上昇させ、次の5分間で回
転数を234(sec-1)から0(sec-1)に一定速度で下降さ
せたときの、流動曲線で囲まれた領域(図中、ドットで
塗りつぶした部分)の面積をいう。ただし、こうして得
られるチクソトロピー量は、同様の測定を繰り返し行う
と減少するので、本発明においては第1回目の測定によ
り得られた値をいう。
【0012】また、表面疎水性とは、試料を50mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0)で所定のタンパク質濃度に希
釈し、得られた試料溶液を波長390nmの光で励起し
た場合に生じる波長470nmの蛍光強度を測定し、そ
のときの蛍光強度を縦軸に、タンパク質濃度(mg/m
L)を横軸にプロットして得られるグラフの傾きを言う
(Hayakawa,S. and Nakai,S., Can. Inst. Food Sci. T
echnol. J. 18 No.4,290-295(1985)参照)。こうして得
られる表面疎水性の値は測定機器に依存するので、本発
明においては濾過卵白の表面疎水性を1とした場合の試
料の表面疎水性を相対表面疎水性とし、相対表面疎水性
で液卵白の特性を規定する。ここで、濾過卵白とは、殻
付卵を手割りして得た液卵白を撹拌して均一化し、30
メッシュストレーナーで濾過したものをいう。
【0013】本発明の液卵白は、チクソトロピー量が2
00〜1900(Pa/s)の濃厚卵白様加熱液卵白か
らなり、この濃厚卵白様加熱液卵白は、新鮮な殻付卵を
割卵して得られる液卵白に含まれる濃厚卵白のようなギ
ョロギョロ感を有する。したがって、本発明の液卵白と
任意の液卵黄とから卵とじ部分を有する食品やスクラン
ブルエッグ、オムレツ等の卵加工品を製造すると、卵の
凝固部分に自然な卵白模様を形成することが可能とな
る。
【0014】さらに、本発明の液卵白液卵黄セットは、
本発明の液卵白を入れた液卵白収容部と任意の液卵黄を
入れた液卵黄収容部とからなるので、この液卵白液卵黄
セットを用いることにより、自然な卵白模様を有する、
卵とじを含む食品やスクランブルエッグ、オムレツ等の
卵加工品を、極めて簡便に製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を
詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一または
同等の構成要素を表している。
【0016】本発明の濃厚卵白様加熱液卵白は、チクソ
トロピー量が200〜1900(Pa/s)、好ましく
は500〜1600(Pa/s)である。本発明におい
てチクソトロピー量とは、前述のように流動曲線で囲ま
れた領域の面積を表している。図1に示すように、業務
用の濾過卵白や業務用の加熱殺菌卵白のチクソトロピー
量が一般に10(Pa/s)以下であり、また、新鮮な
殻付卵を割卵して得られる液卵白に含まれる水様卵白の
チクソトロピー量も10(Pa/s)以下であるのに対
して、本発明の濃厚卵白様加熱液卵白のチクソトロピー
量は極めて高い。なお、新鮮な殻付卵を割卵して得られ
る液卵白に含まれる濃厚卵白のチクソトロピー量は13
50(Pa/s)程度である。
【0017】チクソトロピー量が200(Pa/s)未
満であると、本発明の液卵白と任意の液卵黄とから卵の
凝固部分を含む食品を製造した場合に、液卵白と液卵黄
とが均一に混合し、卵の凝固部分に卵白模様を形成する
ことができない。反対に、チクソトロピー量が1900
(Pa/s)を超えると、卵の凝固部分に卵白模様を形
成することはできるが、卵白の凝固部分と卵黄の凝固部
分との境界が不自然に明確になるので好ましくない。
【0018】なお、本発明の濃厚卵白様加熱液卵白のチ
クソトロピー量は、冷凍保管やチルド保管によって若干
低下する場合があるが、その場合でも200〜1900
(Pa/s)の範囲にある。このため、本発明の液卵白
を冷凍保管あるいはチルド保管した後に使用する場合で
も、本発明の液卵白と、任意の液卵黄とから調理した卵
の凝固部分には卵白模様を形成することが可能となる。
【0019】一方、本発明の濃厚卵白様加熱液卵白は、
自然な卵白模様を形成する点から、相対表面疎水性が
1.2〜3.4であり、好ましくは1.6〜3.1であ
る。殻付卵を割卵して得られる生の液卵白に含まれる濃
厚卵白の相対表面疎水性は1.2未満であるため、相対
表面疎水性の数値によって、本発明の液卵白に含まれる
濃厚卵白様加熱液卵白と、卵殻付卵を割卵して得られる
生の液卵白に含まれる濃厚卵白とは明確に区別され、双
方のタンパク質の構造が同一ではないことがわかる。な
お、濃厚卵白様加熱液卵白の相対表面疎水性は、チルド
保管や冷凍保管してもあまり変化しない。
【0020】本発明の液卵白は、例えば、次のようにし
て製造することができる。まず、液卵白から異物を除去
するため、液卵白を濾過する。濾過により、液卵白中に
本来含まれていた濃厚卵白が壊され、液卵白が全体的に
水様卵白となってもよい。なお、液卵白に含まれる異物
が問題にならない場合には、濾過を省略してもよい。
【0021】次に、52〜56℃の恒温槽で静置又は2
0rpm以下で極めて緩やかに撹拌することにより加熱
する。加熱温度が56℃よりも高いと、短時間の加熱で
も液卵白の加熱凝固物が冷凍変性するようになるので好
ましくない。また、この特定温度の加熱時に液卵白を高
速で撹拌すると、濃厚卵白様加熱液卵白を形成すること
ができず、その場合、再度加熱しても、静置しても濃厚
卵白様加熱液卵白を形成することはできない。これは、
濃厚卵白様加熱液卵白の形成は、その液卵白に含まれる
ある種のタンパク質の特定温度での加熱凝固作用による
と考えられ、撹拌によりこのタンパク質の凝固物を崩し
た後は、再度このタンパク質の凝固作用を利用すること
ができないためと考えられる。
【0022】濃厚卵白様加熱液卵白の形成に際して、液
卵白の加熱時間は、加熱温度、加熱する液卵白の量、撹
拌速度等に応じて異なり、例えば、静置状態で52℃の
場合60〜120分、56℃の場合30〜90分とす
る。また、この加熱は、厚生省食品衛生法の卵白のバッ
チ殺菌条件の「54℃、10分以上」に相当するので、
殺菌処理を兼ねることができる。
【0023】以上の濃厚卵白様加熱液卵白の製造方法に
よると、殻付卵を割卵して得られる生の液卵白に当初含
まれていた濃厚卵白が壊されて水様卵白状になったもの
や、当初からの水様卵白も含めて、原料液卵白全体を濃
厚卵白様加熱液卵白に形成できる。そのため、本発明の
液卵白に占める濃厚卵白様加熱液卵白の割合と、殻付卵
を割卵して得られる未濾過未加熱殺菌の液卵白中に含ま
れる濃厚卵白がその液卵白に占める割合とを対比するこ
とによっても、本発明の液卵白と殻付卵を割卵して得ら
れる未濾過未加熱殺菌の液卵白とを区別することができ
る。
【0024】また、本発明の液卵白は、濾過工程や加熱
殺菌工程を経て製造することができるので、業務用の液
卵白として有用なものとなる。
【0025】本発明の液卵白は、上述の濃厚卵白様加熱
液卵白のみから構成してもよいし、水様卵白、液卵黄、
液全卵、カラザ等が混合されていてもよい。また、本発
明の液卵白には、増粘多糖類等の添加剤を含有させても
よい。なお、従来、業務用の液卵白には液卵黄が0.1
%未満混入しているが、本発明の液卵白に液卵黄が2%
程度含まれていても、チクソトロピー量や相対表面疎水
性を前述の範囲に形成することができる。ただし、卵の
凝固部分に卵白模様をつける点からは、液卵白全体に占
める濃厚卵白様加熱液卵白の割合を10重量%以上とす
ることが好ましく、60重量%以上とすることがより好
ましい。
【0026】本発明の濃厚卵白様加熱液卵白からなる液
卵白は、卵白模様入り食品製造用液卵白として有用なも
のとなる。即ち、本発明の液卵白と別に用意した卵黄液
と混合することにより、好ましくは全卵における液卵白
と液卵黄の比率(液卵白:液卵黄=1:10〜10:
1)で混合することにより、手割した液全卵と同様に使
用することができ、丼物、スープ、かに玉等の卵とじを
含む卵加工品や、厚焼き卵、卵焼き、スクランブルエッ
グ、オムレツ等の卵加工品の材料となる。この場合、本
発明の液卵白と組み合わせて使用する液卵黄について
は、特に制限はなく、加熱殺菌した液卵黄や、必要に応
じて増粘剤等の添加剤を加えた液卵黄を使用することが
できる。また、本発明の液卵白と液全卵を組み合わせて
使用してもよい。液全卵としても、加熱殺菌したものや
増粘剤等の添加剤を加えたものを使用することができ
る。
【0027】本発明の濃厚卵白様加熱液卵白からなる液
卵白は、それ単独で、スープの灰汁取り用液卵白として
も使用することができる。
【0028】この他、本発明の濃厚卵白様加熱液卵白か
らなる液卵白の用途に特に制限はなく、チクソトロピー
性が必要とされる水産練製品、畜肉練製品、具材を分散
させた液状製品、スープ、フライのバッター用製品等の
有用な材料となる。
【0029】図2は、本発明の液卵白液卵黄セットの一
つの態様の斜視図である。この液卵白液卵黄セット10
は、独立的に形成されたプラスチック製の袋に本発明の
液卵白と任意の液卵黄とがれぞれ充填密封された液卵白
収容部1と液卵黄収容部2からなっている。この場合、
液卵白と液卵黄の充填量の割合は、全卵における液卵白
と液卵黄の割合と同様にすることが好ましい。液卵白収
容部1及び液卵黄収容部2の縁辺にそれぞれ形成されて
いる切込3から液卵白収容部1と液卵黄収容部2をそれ
ぞれ引き裂くことにより開封し、任意の容器に液卵白と
液卵黄を入れ、これらを軽く混ぜ合わせて調理に使用す
ることにより、自然な卵白模様の卵の凝固部分を有する
食品ゃ卵加工品を極めて簡便に製造することができる。
【0030】図3は、本発明の他の態様の液卵白液卵黄
セット11の斜視図及び断面図である。この液卵白液卵
黄セット11は、一つのプラスチック製の袋状容器4の
中央部に、表裏のプラスチックシートを帯状に熱融着域
とした熱融着域5を設け、袋状容器4を2つの収容部に
区切り、各収容部にそれぞれ液卵白6あるいは液卵黄7
を充填密封し、液卵白収容部1あるいは液卵黄収容部2
としたものである。
【0031】この液卵白液卵黄セット11によれば、液
卵白収容部1と液卵黄収容部2が一体に形成されている
ので、一度の開封操作で液卵白収容部1と液卵黄収容部
2を開封することができる。
【0032】図4の液卵白液卵黄セット12は、図3の
液卵白液卵黄セット11において、液卵白収容部1と液
卵黄収容部2との境界となっている熱融着域5の幅を調
整することにより、あるいは熱融着強度を調整すること
により、液卵白収容部1又は液卵黄収容部2を押圧する
ことによって熱融着域5が同図(c)に示すように開
き、液卵白収容部1に充填されている液卵白6と液卵黄
収容部2に充填されている液卵黄7とが混合するように
したものである。
【0033】この液卵白液卵黄セット12によれば、液
卵白6と液卵黄7とを混合するための容器を別途用意し
なくてもこれらの収容部1、2内で混合できるので、よ
り一層簡便に、自然な卵白模様の卵の凝固部分を有する
食品や卵加工品を調理することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0035】試験例1 殻付卵を手割りして卵白と卵黄に分け、それぞれを撹拌
して均一化し、30メッシュストレーナーで濾過するこ
とにより、濾過卵白と濾過卵黄を得た。
【0036】濾過卵白2500gを3Lのステンレス容
器に入れ、温水に浸漬し、撹拌することなく加熱し、表
1又は表2に示す所定の温度に所定時間維持した。その
後、ステンレス容器を10℃以下に調整した冷水に浸漬
して卵白が10℃以下になるまで冷却することにより加
熱液卵白を得た。
【0037】各加熱液卵白のチクソトロピー量及び相対
表面疎水性を次のようにして測定した。
【0038】チクソトロピー量の測定:剪断応力計測器
としてHaake社製、RotoviscoRV20を使用し、ローターと
してMV1(Haake社製)を使用し、25℃にて、初めの5
分間は、回転数を0(sec-1)から234(sec-1)に一定速
度で上昇させ、次の5分間は回転数を234(sec-1)か
ら0(sec-1)に一定速度で下降させ、そのときの剪断応
力(Pa)を測定した。縦軸を剪断応力(Pa)、横軸を剪断速
度(sec-1)とした流動曲線をプロットし、流動曲線で囲
まれた面積をチクソトロピー量とした。
【0039】相対表面疎水性の測定:Hayakawa,S. and
Nakai,S., Can. Inst. Food Sci. Technol. J. 18 No.
4, 290-295(1985)の方法を一部変更して次のように表面
疎水性を測定した。即ち、50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)に試料を溶解し、10,000×g、20分間の遠心
分離で不溶物を除去し、これを50mMリン酸緩衝液
(pH7.0)で希釈し、タンパク質濃度0.025%
及び0.05%の試料溶液を調製した。
【0040】試料溶液2mLに8mM 1-anilinonaphth
alene-8-sulfonate溶液(前述の50mMリン酸緩衝
液)10μLを添加し、試料溶液に励起光(波長390
nm)を照射したときの蛍光強度Fs(波長470n
m)を、日立製作所製F−2000型分光蛍光光度計を用い
て測定した。また、試料溶液の蛍光強度F1と、50m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)に2mLに8mM 1-ani
linonaphthalene-8-sulfonate溶液(50mMリン酸緩
衝液)10μLを添加したものの蛍光強度F2もそれぞ
れ同様に測定し、Fs−F1−F2を試料の蛍光強度とし
た。
【0041】縦軸を蛍光強度、横軸をタンパク質濃度
(mg/mL)としたグラフにデータをプロットし、グ
ラフの傾きを求め、表面疎水性とした。この表面疎水性
を濾過卵白についても測定し、濾過卵白の表面疎水性を
1とした場合の試料の表面疎水性(即ち、相対表面疎水
性)を求めた。
【0042】なお、タンパク質の定量はSigma社製ALBUM
IN,CHICKEN EGG Grade V: Minimum98% を標準としてLow
ey法(Lowry,O.H., Rosebrough,N.J., Farr,A.L., and
Randall,R.J, J.Biol.Chem., 193, 265-275(1951))で
行った。
【0043】結果を表1及び表2に示す。
【0044】また、各加熱液卵白を用いて次のようにカ
ツ丼を製造し、得られたカツ丼における卵白模様を次の
基準で評価した。結果を表3に示す
【0045】・卵白模様の評価基準 ××:卵白と卵黄とが混ざり、卵白模様が確認できない ×:卵白模様は得られるが、卵白と卵黄との境目がはっ
きりして不自然である △:卵白模様は小さいが、確認できる ○:卵白と卵黄との境目が若干はっきりしているが、適
度な卵白模様が確認できる ◎:卵白模様がはっきりし、卵白と卵黄との境目では双
方が自然に混ざり合い、殻付生卵から手割りして製造し
たものと酷似している
【0046】・カツ丼の製造方法 まず、上述の加熱液卵白200gと濾過卵黄100gを
軽く混ぜた。一方、親子鍋にスライスした玉ねぎ30g
とだし汁100gを入れ、加熱し、玉ねぎが煮えている
ことを確認した後、カットした豚カツを1枚入れ、再度
だし汁を沸騰させた。そこに、上述の加熱液卵白と濾過
卵黄との混合液100gを入れ、蓋をして約1〜2分間
加熱した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表1及び表3から、チクロトロピー量が2
00(Pa/s)未満であると、卵白と卵黄が混ざり、
卵の凝固部分に卵白模様を確認できないこと、反対にチ
クソトロピー量が1900(Pa/s)を超えると、卵
白模様は得られるが不自然さが感じられることがわか
る。
【0051】また、表2及び表3から、相対表面疎水性
が1.2未満であると卵白と卵黄が混ざり、卵の凝固部
分に卵白模様を確認できないこと、反対に相対表面疎水
性が3.4を超えると、卵白模様は得られるが不自然さ
が感じられることがわかる。
【0052】実施例1 殻付卵を手割りして卵白と卵黄に分け、このうち卵白を
撹拌して均一化し、30メッシュストレーナーで濾過す
ることにより、濾過卵白を得た。
【0053】濾過卵白2500gを3Lのステンレス容
器に入れ、56℃に調整した温水に浸漬し、撹拌するこ
となく55℃まで加熱し、その温度を60分間維持し
た。その後、このステンレス容器を10℃以下に調整し
た冷水に浸漬することにより、卵白が10℃以下になる
まで冷却した。
【0054】実施例2 実施例1において、3Lのステンレス容器に入れた濾過
卵白2500gの加熱時に5rpmで非常に緩やかに撹
拌した以外は実施例1の操作を繰り返した。
【0055】実施例3 実施例1において濾過卵白を3Lのステンレス容器に入
れたのに代えて、濾過卵白1kgを1kg容量のポリエ
チレン袋に充填した以外は実施例1の操作を繰り返し
た。
【0056】実施例4 殻付卵を手割りして卵白と卵黄に分け、それぞれ撹拌し
て均一化し、30メッシュストレーナーで濾過すること
により、濾過卵白と濾過卵黄を得た。
【0057】濾過卵白200gと濾過卵黄100gを別
々に図4の形状の袋状容器の液卵白収容部及び液卵黄収
容部に充填密封し、これを56℃に調整した温水に浸漬
し、撹拌することなく55℃まで加熱し、その温度を6
0分間維持した。その後、袋状容器を10℃以下に調整
した冷水に浸漬することにより、卵白が10℃以下にな
るまで冷却した。
【0058】実施例5 実施例1と同様にして濾過卵白を得た。
【0059】一方、割卵機を用いて割卵し、卵黄と卵白
を撹拌して均一化し、30メッシュストレーナーで濾過
することにより、濾過全卵を得た。
【0060】濾過卵白200gと濾過全卵100gを別
々に図3の形状の袋状容器の液卵白収容部及び液卵黄収
容部に充填密封し、これを56℃に調整した温水に浸漬
し、撹拌することなく55℃まで加熱し、その温度を6
0分間維持した。その後、袋状容器を10℃以下に調整
した冷水に浸漬することにより、卵白が10℃以下にな
るまで冷却した。
【0061】評価1:上湯スープの灰汁とり 深鍋に老鶏1羽分、豚肉のぶつ切り2kg、干し柱40
g、水18Lを入れ、強火にかけ、沸騰後、表面に浮い
てきた灰汁をすくい取り、中火にして湯が循環する程度
にし、根しょうが1個と長ねぎ2本を叩き潰したものを
入れ、約4時間煮詰めた。全体の湯量が4割程度に煮詰
まったものを静かに布巾でこし、スープを得た。得られ
たスープは白濁していた。
【0062】次に、上述のようにして得られたスープ9
Lを加熱し、そこに実施例1、実施例2又は実施例3で
製造した濃厚卵白様加熱液卵白100gを流し入れ、極
弱火にして30分間そのままにし、上に浮いてきた卵白
をオタマですくい取った。こうして得られたスープは、
実施例1、実施例2、実施例3のいずれの濃厚卵白様加
熱液卵白を使用した場合も、白濁することなく、澄んで
いた。
【0063】比較のため、濃厚卵白様加熱液卵白に代え
て、通常の殺菌卵白(濾過卵白を56℃で3.5分間撹
拌処理したもの。チクソトロピー量7.5)を用いる
と、スープ全体が白くなり、卵白をすくい取るのが困難
で、この殺菌卵白は灰汁取り用として使用できないこと
がわかった。
【0064】評価2:カツ丼の製造 親子鍋にスライスした玉ねぎ30gとだし汁100gを
入れ、加熱した。玉ねぎが煮えていることを確認した
後、カットした豚カツを1枚入れ、再度だし汁を沸騰さ
せた。
【0065】一方、実施例4で製造した袋状容器の液卵
白収容部を軽く押し潰すことにより中央の熱融着域を開
けて袋状容器内部で液卵白と液卵黄を軽く混ぜ、それを
ボールにあけ、オタマで100gを上述の沸騰している
だし汁に入れ、蓋をして約1〜2分間加熱した。
【0066】これにより、卵白の白い所と、卵黄の黄色
い所がそれぞれ残り、コントラストの美しいカツ丼を得
ることができた。
【0067】評価3:スクランブルエッグの製造 実施例4で製造した袋状容器の液卵の充填部分を軽く押
し潰すことにより中央の熱融着域を開けて袋状容器内部
で液卵白と液卵黄を軽く混ぜ、それをボールにあけた。
この液卵白と液卵黄の混合液100gに塩0.2gと胡
椒0.02gを入れて混ぜ合わせ混合液卵を得た。
【0068】一方、フライパンを加熱し、バター10g
を入れ、バターが溶けたところで上述の混合液卵を入
れ、これを箸で撹拌しながら液卵が凝固するまで加熱し
た。これにより、黄色の中に卵白の白い部分が点在した
コントラストの美しいスクランブルエッグを製造するこ
とができた。
【0069】評価4:スクランブルエッグの製造 実施例5で製造した袋状上記の卵白収容部と卵黄収容部
のそれぞれから液卵白と液全卵をボールにあけて軽く混
ぜ、この混合液100gに塩0.2gと胡椒0.02g
を入れて混ぜ合わせ、得られた混合液を用いて、評価3
と同様にしてスクランブルエッグを製造した。これによ
り、黄色の中に卵白の白い部分が点在したコントラスト
の美しいスクランブルエッグが得られた。
【0070】
【発明の効果】本発明の液卵白によれば、親子丼、カツ
丼等の卵とじを含む食品やスクランブルエッグ、オムレ
ツ等の卵加工食品の製造に際して、卵の凝固部分に卵白
模様を形成することが可能となる。
【0071】また、本発明の液卵白は、業務用に製造さ
れる従来の濾過卵白のように、殻付卵を割卵して得られ
る生卵白が本来的に有する濃厚卵白部分が壊され、水様
卵白に均一化されている液卵白から製造することができ
る。さらに、本発明の液卵白の製造工程には加熱工程が
含まれる。よって、本発明の液卵白は、濾過工程や加熱
殺菌工程を経て製造される業務用の、チルド保管や冷凍
保管のできる液卵白として実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 チクソトロピー量を求める流動曲線の説明図
である。
【図2】 液卵白液卵黄セットの斜視図である。
【図3】 液卵白液卵黄セットの斜視図(同図(a))
及び断面図(同図(b))である。
【図4】 液卵白液卵黄セットの斜視図(同図
(a))、熱融着域が閉じている状態の断面図(同図
(b))及び熱融着域が開いた状態の断面図(同図
(c))である。
【符号の説明】
1 液卵白収容部 2 液卵黄収容部 3 切込 4 袋状容器 5 熱融着域 6 液卵白 7 液卵黄 10 液卵白液卵黄セット 11 液卵白液卵黄セット 12 液卵白液卵黄セット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−190767(JP,A) 特開 昭57−99172(JP,A) 特開 昭56−35965(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱処理した液卵白であって、チクソト
    ロピー量が200〜1900(Pa/s)、かつ濾過卵
    白の表面疎水性を1とする相対表面疎水性が1.2〜
    3.4である濃厚卵白様加熱液卵白からなることを特徴
    とする液卵白。
  2. 【請求項2】 濃厚卵白様加熱液卵白が、液卵白の10
    重量%以上含まれる請求項1記載の液卵白。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のチクソトロピー量及び相
    対表面疎水性を有する濃厚卵白様加熱液卵白を含有し
    た、卵白模様入り食品製造用液卵白。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のチクソトロピー量及び相
    対表面疎水性を有する濃厚卵白様加熱液卵白を含有し
    た、灰汁取り用液卵白。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の液卵白
    を充填密封した液卵白収容部と液卵黄を充填密封した液
    卵黄収容部とからなる液卵白液卵黄セット。
  6. 【請求項6】 液卵白収容部と液卵黄収容部が、一つの
    袋状容器に形成され、かつ液卵白収容部と液卵黄収容部
    とを区分する境界が、液卵白収容部又は液卵黄収容部を
    押圧することによって開くように形成されている請求項
    5記載の液卵白液卵黄セット。
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