JP3289613B2 - 防湿性紙 - Google Patents

防湿性紙

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JP3289613B2
JP3289613B2 JP24964796A JP24964796A JP3289613B2 JP 3289613 B2 JP3289613 B2 JP 3289613B2 JP 24964796 A JP24964796 A JP 24964796A JP 24964796 A JP24964796 A JP 24964796A JP 3289613 B2 JP3289613 B2 JP 3289613B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防湿性紙に関する
ものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、紙支
持体上に形成された特定組成の防湿層を有し、古紙回収
・再利用が可能な防湿性紙に関するものである。本発明
の防湿性紙は、防湿包装紙、耐水紙および防湿性重袋な
どの用途に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】紙支持体の少なくとも1面に、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、又はポリ塩化ビニリデンなどの
疎水性、フィルム形成性樹脂の皮膜層を形成して水蒸気
や水分の透過を防止する防湿性紙は広く知られている。
このような従来の防湿性紙は、防湿皮膜層が強固であ
り、かつ防湿性が優れているという長所があるが、この
防湿性紙を古紙として回収し再生しようとすると、パル
プ繊維がフロックを形成して十分に離解分散せず、或は
防湿皮膜そのものがシート状のまゝ残存するなどの問題
点を有している。このため前記従来の防湿性紙は、古紙
回収・再生ができないという欠点を有している。またこ
のような従来の防湿性紙の古紙は焼却処分しなければな
らないが、これは、環境保護、および天然資源の再利用
の要請に反するものである。さらに、このような従来の
防湿性紙の古紙が、通常の古紙に混在すると、その分別
が困難であって、古紙回収・再利用率を著るしく低下さ
せる原因となる。
【0003】上記のような問題点を解消するために、種
々の試みがなされている。例えば、特開昭50−367
11号には、特定の組成を有するパラフィンワックスを
含むエマルジョンを、クラフト紙に塗布し、これを加熱
下に乾燥して、古紙回収・再利用可能な防湿性紙を製造
する方法が記載されている。また、特開昭56−148
997号には、合成炭化水素系樹脂およびワックスを、
スチレン−マレイン酸系共重合体および界面活性剤を用
いて水中に分散して得られたエマルジョンと、熱可塑性
アクリル樹脂エマルジョンとの混合物からなる紙の防湿
加工用組成物が開示されており、この組成物により防湿
層を形成して得られる防湿性紙は、古紙回収・再利用可
能なものである。さらに、「包装技術」、昭和57年9
月号、42〜46頁には、紙支持体に、特定合成ゴムラ
テックスと、特定ワックス系エマルジョンとを含む塗工
液を、紙支持体に塗工することを基本とする回収・再利
用可能な防湿性紙の製造方法が記載されている。
【0004】上記のワックス含有防湿性紙は、いずれも
再離解・再生可能なものであるが、これをロール状に巻
き取ると、防湿層中に含まれるワックスが、防湿層表面
から、それに接触している防湿紙裏面に転移し、その結
果、防湿紙裏面が著しく滑り易くなり、その接触面を、
所定形状、又は所定位置に保持することが困難になる。
例えば、このようなワックス含有防湿性紙を用いて、物
品又は物体を包装するとき、防湿性紙の裏面が互に接触
すると、この接触面において、防湿性紙が互に滑って、
所定の形状を維持すること、或は所定の位置に留ること
が困難になる。このため、包装物の包装状態が不良、不
揃いになったり、滑り落ち易くなったりする。特に、重
量の大きな物品を上記のような包装紙で包装すると、運
搬などの際に包装が互にずれて包装が破れたり、或は物
品が落下するなどの事故を生ずる。このような問題点を
防止するためにワックス含有防湿性紙の裏面に、防滑層
を設けることも試みられているが、未だ十分な解決手段
は得られていない。
【0005】さらに、ワックス含有防湿紙において、ワ
ックスのブリード(防湿層内部に位置するワックスが、
時間経過とともに、防湿層表面に移行する現象を云う)
が不可避であり、このように、ワックスがブリードした
防湿層表面の接着性は著しく低いものであって、これに
ラベルなどを接着しようとしても十分に接着又は粘着せ
ず、剥がれ易くなるという問題点がある。また包袋のた
めに、ホットメルト接着剤を使用する場合、特定の常温
粘着性を有するものだけが有効であって、このため、使
用可能なホットメルト接着剤の種類がきわめて特定のも
ののみに限定される。
【0006】さらに、ワックス含有防湿性紙を用いて包
装する際に、再離解性を有する粘着テープを使用するこ
とも可能であるが、このような粘着テープの使用は、ホ
ットメルト接着剤などの接着剤又は粘着剤を用いる場合
にくらべて、その作業性が著しく低下するという問題点
がある。
【0007】さらに、防湿層形成用樹脂として、合成樹
脂ラテックス、例えばSBRラテックスなどが用いられ
ている従来の防湿性紙には、それをロール状に巻き取
り、多数のロールを多段に積み上げて長期間保管した場
合、或はこの防湿性紙により包装された物品(例えば印
刷用紙のリーム(連))を多数段に積み上げて長期間保
管した場合などのような苛酷な条件下において、ロール
内防湿紙の互いに接触する表裏面が粘着して、或は包装
紙面と、それに接触する物品(印刷用紙)の表面(又は
裏面)とが粘着してブロッキング(加熱、及び/又は加
圧により、接触表面に粘着性が発現し、接触面が互いに
接着する現象を云う)現象を発生し、このブロッキング
を解除することが困難になるという欠点がある。
【0008】上記ブロッキングを防止するために、ラテ
ックスとして用いられる合成樹脂として、比較的高いガ
ラス転移温度(Tg、例えば40℃以上)を有するもの
を用いることが知られているが、ガラス転移温度(T
g)が高い合成樹脂ラテックスを用いると、得られる防
湿層が硬くなり、これを折り曲げたとき、この折り曲げ
部の防湿性が低下するという問題が知られている。そこ
で、耐ブロッキング性が高く、しかも満足できる防湿性
を有する防湿性紙が強く要望されるようになった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、古紙回収・
再利用が可能であって、表面において滑りを生ずること
がなく、かつブロッキングを生ずることがない防湿性紙
を提供しようとするものである。さらに、本発明は、ラ
ベルなどの粘着が容易であり、かつ実用上十分な接着性
を有する防湿性紙を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の防湿性紙は、紙
支持体および、前記紙支持体の少なくとも1面上に形成
された防湿層を含み、前記防湿層が、(a)防湿性・皮
膜形成性合成樹脂、(b)5〜50μmの平均粒子径
と、5以上のアスペクト比を有する平盤状フィロケイ酸
塩化合物粒子、および(c)防湿性向上剤、を含むこと
を特徴とするものである。本発明の防湿性紙において、
前記防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)は、(a−1)
炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合物、炭素原子数
が4〜11個のアクリル酸エステル、炭素原子数が5〜
12個のメタクリル酸エステル、炭素原子数が3〜4個
のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭素原子数が6〜
7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステル
および炭素原子数が8〜11個の芳香族ビニル化合物か
ら選ばれた少なくとも1種のモノマーの重合体および共
重合体、および(a−2)炭素原子数が4〜6個の共役
ジエン化合物、炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エ
ステル、炭素原子数が5〜12個のメタクリル酸エステ
ル、炭素原子数が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル
化合物、炭素原子数が6〜7個のエチレン性不飽和カル
ボン酸グリシジルエステルおよび炭素原子数が8〜11
個の芳香族ビニル化合物から選ばれた1種以上の疎水性
コモノマーと、炭素原子数が3〜7個のエチレン性不飽
和カルボン酸、および炭素原子数が3〜9個のエチレン
性不飽和カルボン酸アミドから選ばれた1種以上の親水
性コモノマーとの共重合体から選ばれた少なくとも1種
を含むことが好ましい。本発明の防湿性紙において、前
記防湿性向上剤(c)が、尿素−ホルムアルデヒド縮合
反応生成物、メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成
物、炭素原子数が1〜8個のアルデヒド化合物、1個以
上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、架橋反応性多
価金属化合物、オルガノアルコキシシラン化合物、オル
ガノアルコキシ金属化合物、有機アミン化合物、ポリア
ミド化合物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポ
リ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物、ポリ
アミドアミン化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒド
リン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン
−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピ
ハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、お
よびポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又は
ホルムアルデヒド縮合反応生成物から選ばれた少なくと
も1種を含むことが好ましい。本発明の防湿性紙におい
て、前記防湿性向上剤(c)は、共有結合による架橋反
応性化合物(c−1)を含み、この化合物(c−1)が
前記防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)と反応してこれ
を疎水性化していてもよい。本発明の防湿性紙におい
て、前記防湿性向上剤(c)は、イオン架橋反応性化合
物(c−2)を含み、この化合物(c−2)が前記防湿
性・皮膜形成性合成樹脂と反応してこれを疎水性化して
いてもよい。本発明の防湿性紙において、前記防湿性向
上剤(c)は架橋配位反応性化合物(c−3)を含み、
この化合物(c−3)が前記防湿性・皮膜形成性合成樹
脂と反応してこれを疎水性化していてもよい。本発明の
防湿性紙において、前記オルガノアルコキシシラン化合
物およびオルガノアルコキシ金属化合物から選ばれた少
なくとも1種は、前記フィロケイ酸塩化合物粒子の表面
に担持されていることが好ましい。本発明の防湿性紙に
おいて、前記防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)と、前
記フィロケイ酸塩化合物粒子(b)との重量配合比
(a):(b)が、30〜70:70〜30であり、前
記防湿性向上剤(c)の配合重量が、前記防湿性・皮膜
形成性合成樹脂(a)100重量部に対し、0.05〜
10重量部であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の防湿性紙は、紙支持体
と、その少なくとも1面上に形成された防湿性を有する
ものであり、この防湿性は、(a)防湿性・皮膜形成性
合成樹脂、(b)5〜50μmの平均粒子径と5以上の
アスペクト比を有する平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
(b)および(c)防湿性向上剤を含むものである。
【0012】本発明の防湿性紙において、防湿性・皮膜
形成性合成樹脂(a)には格別の限定はないが、下記
(a−1)および(a−2)群から選ばれた少なくとも
1種の重合体又は共重合体を含むものであることが好ま
しい。 (a−1):炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合
物、炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エステル、炭
素原子数が5〜12個のメタクリル酸エステル、炭素原
子数が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭
素原子数が6〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリ
シジルエステルおよび炭素原子数が8〜11個の芳香族
ビニル化合物から選ばれた少なくとも1種のモノマーの
重合体および共重合体。および (a−2):炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合
物、炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エステル、炭
素原子数が5〜12個のメタクリル酸エステル、炭素原
子数が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭
素原子数が6〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリ
シジルエステルおよび炭素原子数が8〜11個の芳香族
ビニル化合物から選ばれた1種以上の疎水性コモノマー
と、炭素原子数が3〜7個のエチレン性不飽和カルボン
酸、および炭素原子数が3〜9個のエチレン性不飽和カ
ルボン酸アミドから選ばれた1種以上の親水性コモノマ
ーとの共重合体。
【0013】本発明の防湿性紙において、防湿性・皮膜
形成性合成樹脂(a)に含まれる重合体および共重合体
(a−1)および(a−2)のモノマー又はコモノマー
として用いられる炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化
合物は、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、イソプレ
ン、および2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンから
選ばれることが好ましく、より好ましくは1,3−ブタ
ジエンおよびイソプレンである。
【0014】また、炭素原子数が4〜11個のアクリル
酸エステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸n−ペンチル
(アミル)、アクリル酸イソアミル(ペンチル)、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシ
プロピル、およびアクリル酸n−ノニルなどから選ぶこ
とができ、好ましくは、アクリル酸メチルおよびアクリ
ル酸エチルである。
【0015】本発明に用いられる炭素原子数が5〜12
個のメタクリル酸エステルは、例えば、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−
ブチル、メタクリル酸n−ペンチル(アミル)、メタク
リル酸イソアミル(ペンチル)、メタクリル酸n−ヘキ
シル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、およびメタクリル酸n−ノニルなどから選ぶこと
ができ、好ましくは、メタクリル酸メチルおよびメタク
リル酸エチルである。
【0016】本発明に用いられる炭素原子数が3〜4個
のエチレン性不飽和ニトリル化合物は、好ましくはアク
リロニトリルおよびメタクリロニトリルから選ばれ、好
ましくはアクリロニトリルである。
【0017】本発明に用いられる炭素原子数が6〜7個
のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、
好ましくはアクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グ
リシジルであり、アクリル酸グリシジルが好ましい。
【0018】本発明に用いられる炭素原子数が8〜11
個の芳香族ビニル化合物は、好ましくはスチレン、α−
メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン
およびp−tert−ブチルクロロスチレンなどから選
ばれ、より好ましくはスチレンである。
【0019】本発明に用いられる炭素原子数が5〜6個
のエチレン性不飽和アルコールグリシジルエーテルは、
アクリルグリシジルエーテルおよびメタクリルグリシジ
ルエーテルから選ばれ、好ましくはアクリルグリシジル
エーテルである。
【0020】本発明の防湿性紙において、防湿・皮膜形
成性合成樹脂(a)に含まれる共重合体(a−2)の親
水性コモノマーとして用いられる炭素原子数が3〜7個
のエチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、ペ
ンテン酸(アンゲリカ酸、チグリン酸など)、ヘキセン
酸(2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸など)およびヘプ
テン酸(2−ヘプテン酸など)、ブテン二酸(フマル
酸、マレイン酸)、イタコン酸、などを包含し、好まし
くはアクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる。
【0021】このようなカルボン酸基含有モノマーを用
いて得られる重合体又は共重合体、例えばカルボン酸変
性スチレン−ブタジエン共重合体、はアルカリ水溶液、
すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのア
ルカリ金属水酸化物の水溶液中に可溶であったり又は一
部膨潤した状態であったりするものであり、疎水性基を
有する塩基性化合物例えば有機アミン化合物との造塩反
応により疎水性化、および水不溶性化することができ
る。
【0022】本発明に用いられる炭酸原子数が3〜9個
のエチレン性不飽和カルボン酸アミドは、アクリル酸ア
ミド、メタクリル酸アミド、ビニル酢酸アミド、ペンテ
ン酸アミド、ブテン二酸のモノアミド及びジアミド、イ
タコン酸のモノアミドおよびジアミド、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N
−ジメチロールアクリルアミド、N−ジメチロールメタ
クリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、お
よびN−ブトキシメチルメタクリルアミドなどを包含
し、好ましくは、アクリル酸アミドおよびメタクリル酸
アミドから選ばれる。
【0023】本発明の防湿性防水紙に用いられる共重合
体(a−2)において、疎水性コモノマーと親水性コモ
ノマーとの共重合モル比に格別の制限はないが、これは
一般に、95〜60:5〜40であることが好ましく、
90〜70:10〜30であることがより好ましい。疎
水性コモノマーと、親水性コモノマーの共重合モル比が
60:40未満では、親水性コモノマーの含有率が過大
になって、得られる共重合体の防湿、耐水性が不十分に
なることがあり、またそれが95:5より大きくなる
と、親水性コモノマーの含有率が過少になり、得られる
共重合体の物性、特に防湿性向上剤の効果に対する親水
性コモノマーの寄与が不十分になることがある。
【0024】本発明に用いられる防湿性・皮膜形成性合
成樹脂(a)は、主として、防湿層形成用バインダーと
して機能し、かつ水蒸気透過を防止するものであって、
水性溶液、水性分散液、又は水性乳液として用いられ
る。合成樹脂(a)が水不溶性である場合は、分散剤お
よび/又は乳化剤の使用量をできるだけ少なくすること
及び/又は反応性界面活性剤を用いることが好ましく、
その重合に当り乳化剤、又は分散剤の使用量を可及的に
少なくし、かつ粒子径をできるだけ小さくすること(好
ましくは150nm以下)が好ましい。また、合成樹脂
(a)は5〜30のガラス転移温度(Tg)を有するこ
とが好ましい。
【0025】本発明の防湿性紙において、防湿層に含ま
れる平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)は、5〜5
0μm、好ましくは10〜40μm、の平均粒子径と、
5以上、好ましくは10以上のアスペクト比を有するも
のである。本発明に用いられるフィロケイ酸塩化合物粒
子は平盤状であるため、この平盤状粒子を含む塗工液を
紙支持体面上に塗工すると、平盤状粒子は、その平盤状
表面を互にほゞ平行に、かつ支持体表面にほゞ平行に配
列し、この配列が積層されるため、平盤状粒子間隙が狭
くなるから、防湿層を透過する水蒸気は、平盤状粒子の
表面に沿って迂回しなければならず、従って、水蒸気の
透過距離が長くなり、水蒸気の単位時間当りの透過量が
低下するものと思われる。また、本発明の防湿層は、上
記のように水蒸気の透過流量が小さいため、例えば合成
樹脂ラテックスを用いて形成され、かつ200μmの厚
さを有する防湿層の防湿性能に対し、本発明の防湿層
は、数十μmの厚さで十分である。
【0026】本発明の防湿性紙において、平盤状フィロ
ケイ酸塩化合物粒子の平均粒子径が5μm未満のもの
は、塗工において、平盤状粒子が、互に、かつ支持体表
面に平行に配向することが困難になり、従って十分な防
湿性向上効果をあげることができない。またそれが50
μmより大きくなると、塗工液の調製中に平盤状粒子が
破損して小粒子化しやすく、また平盤状粒子の一部が塗
工面から突出することがあり、また、防湿層中における
平盤状粒子の積層数が低下して十分な防湿性向上効果を
あげることができなくなる。
【0027】本発明の防湿性紙において、平盤状フィロ
ケイ酸塩化合物粒子のアスペクト比が5未満であると、
平盤状粒子を、互に、かつ紙支持体表面にほゞ平行に配
列することが困難になり、このため得られる防湿層の防
湿性が不十分になる。アスペクト比は、それが大である
程、塗工層中の平盤状粒子の積層数が大になり、従っ
て、防湿性も向上する。平盤状粒子の厚さは、フィロケ
イ酸塩化合物の種類、粉砕方法、平均粒子径などによっ
て変動する。一般に、平均粒子径が20μmの平盤状粒
子において、その粒子径は、2〜60μmの範囲に分布
しており、またこの粒子の厚さも0.1〜数μmの範囲
に分布している。
【0028】平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子を、本発
明の防湿層に含有させるとき、その粒子径が塗工層の厚
さに対して過度に小さい場合、塗工液に含まれる平盤状
粒子のうち、紙支持体の表面にほゞ平行に配向する粒子
の割合が小さくなり、所望の防湿性能を得るために必要
な防湿層の厚さが大きくなる。このため、可及的に小さ
な防湿層の厚さおいて、可及的に高い防湿性能を得るた
めには、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子の平均粒子径
は、塗工液層の厚さの20%以上であることが好まし
い。また、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子の最大長径
は、得られる防湿層の厚さより小さく、防湿層厚さの1
00%以下であることが好ましい。平盤状粒子の最大長
径が過大であると、粒子の一部が得られる防湿層表面か
ら突出したり、或は、防湿性紙を折り曲げたとき、防湿
層中に空隙を形成するなどの不都合を生ずることがある
から、このような平盤状粒子の使用量は少ない方が好ま
しい。
【0029】本発明に用いられるフィロケイ酸塩化合物
粒子は、板状、又は薄片状であって明瞭な劈開性を示
す。平盤状フィロケイ酸塩化合物は例えば雲母、パイロ
フィライト、タルク、緑泥岩、セプテ緑石、蛇紋岩、お
よびスチルプノメレーン、などを包含し、これらのなか
でも、産出時の粒子が大きく、産出量も大きい鉱物、例
えば雲母およびタルクを用いることが好ましい。雲母族
鉱物は、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイ
ト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイ
ト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマ
イカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴ
ライト、ブリトル雲母などがあげられる。また、カオリ
ンの一種であるデラミカオリンも本発明の平盤状フィロ
ケイ酸塩化合物に包含される。
【0030】上記のような平盤状フィロケイ酸塩化合物
のうち、粒子の大きさ、アスペクト比、およびコストを
勘案すれば、白雲母、絹雲母、およびタルクが本発明に
好適に使用される。白雲母の化学組成は一般式:K2
・3Al2 3 ・6SiO2・2H2 Oで表現されるも
のである。この白雲母粒子を調製するには、白雲母原石
を、ハンマーミル等の乾式粉砕機で粉砕分級し、所望の
粒子径分布の部分を採取し、必要により、さらに水中に
おいてガラスビーズを粉砕媒として用いるサンドミル等
の湿式粉砕機による湿式粉砕を施し、所望の粒子径分布
の雲母を得る。この際、アスペクト比を所定値範囲内に
維持するために過大な力がかからないようにして粉砕し
たり、超音波をかけながら湿式粉砕(米国特許第324
0203号)するなどの配慮を施すことにより、アスペ
クト比の高い雲母粉末を調製することができる。通常こ
れらの方法で得られた白雲母粉末のアスペクト比は、電
子顕微鏡の観察などによれば20〜30である。アスペ
クト比が100程度のものも得られるが、このような高
アスペクト比粒子は工業的生産が困難であるうえ、コス
ト高になるから、実用は困難である。
【0031】絹雲母と称せられるセリサイトの化学組成
は、白雲母のそれに類似しているが、SiO2 /Al2
3 の比率が僅かに大きく、K2 Oの含有率が小さいも
のである。しかし、セリサイトは白雲母に比べ原石が細
かいため、一般的に粉砕分級して得られた絹雲母の平均
粒子径は0.5〜2μm程度であり、市販されているも
のはこれらの範囲のものがほとんどである。この為本発
明に使用するには、絹雲母として、特異的に大きい粒子
径分布のものを選択する必要があり、粉砕条件を大幅に
緩和したり、汎用製品の分級残査粗粒子部分などの中か
らさらに分級し、必要な平均粒子径およびアスペクト比
を有するものを使用する。このような方法で白雲母とほ
ぼ同じアスペクト比のセリサイトを得ることができ、そ
のアスペクト比は10〜30であることが一般である。
【0032】タルクは蝋石とも呼ばれ、ケイ酸マグネシ
ュウムの水和物であり、一般に箔片板状の粒子である。
しかし、一般に市販されているタルクは粒子径は0.1
〜3μm程度であるため、本発明に用いられるタルクは
一般製紙用ではなく窯業用の粗大粒子状のものから選択
したり、絹雲母と同様な粉砕分級の操作を施して粒子径
10μm前後のものを調製する。また、タルクのアスペ
クト比は白雲母や絹雲母に比べ小さく、5〜10程度で
ある。
【0033】このように、白雲母は原石の大きさが絹雲
母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度
分布を自由に選ぶことが可能である。一方、絹雲母は原
石は小さいがへき開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は
平板状を呈し好ましい。またタルクは粒子径、アスペク
ト比があまり大きくないが、コスト的に有利なため多量
に使用できる。
【0034】これら平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
(b)と合成樹脂(a)との配合比率は、固形分重量比
で30/70〜70/30であることが好適である。成
分(a)および(b)の合計重量に対する成分(b)の
重量比が30%未満では平盤状粒子の積層数が少なくな
り、また粒子相互の離間距離が大きすぎるために得られ
る防湿層の防湿性が不十分となることがあり、このため
塗工量を増量する必要が生じ、非経済的であり、またブ
ロッキングを生じやすくなる。またそれが70%をこえ
ると、塗工層中の平盤状粒子と合成樹脂マトリックスと
の間に多数の空隙を生じ、このため防湿性が低下するこ
とがある。
【0035】本発明の防湿性紙において、その防湿層に
は、防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)および平盤状フ
ィロケイ酸塩化合物粒子(b)とともに、防湿性向上剤
(c)が含まれる。防湿性向上剤(c)は、防湿性・皮
膜形成性合成樹脂(a)と反応して、それを疎水性に変
性し、又は架橋反応してこれを疎水性化し、或は平盤状
フィロケイ酸塩化合物粒子(c)を被覆して、その合成
樹脂(a)との接着性を高め、又はそれを疎水性化し、
又は、その互に平行な積層配向を促進し、或は、合成樹
脂(a)の粒子と及び/又は平盤状フィロケイ酸塩化合
物粒子(b)との接着性を高め、又はこれらの間隙を充
填するなどして、防湿層の防湿性能を向上させるもので
ある。
【0036】本発明に用いられる防湿性向上剤は、例え
ば下記:尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラ
ミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、炭素原子数が
1〜8個のアルデヒド化合物、1個以上のエポキシ基を
有するエポキシ化合物、架橋反応性多価金属化合物、オ
ルガノアルコキシシラン化合物、オルガノアルコキシ金
属化合物、有機アミン化合物、ポリアミド化合物、ポリ
アミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポ
リアミドアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミン化合
物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムア
ルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハ
ロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリ
アミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒ
ド縮合反応生成物、およびポリアミドアミンポリ尿素−
エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物
から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0037】上記防湿性向上剤に用いられる化合物のう
ち、尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン
−ホルムアルデヒド縮合反応生成物は、ホルムアルデヒ
ドに由来するメチロール基を有し、これが、合成樹脂成
分(a)中の重合体、又は共重合体と反応し、特にその
カルボキシル基、アミド基、およびヒドロキシル基、な
どの親水性官能基と脱水反応して、当該重合体又は共重
合体分子を架橋し、これを疎水性化、水不溶化(三次元
網目構造化)することができる。また、上記縮合生成物
は、合成樹脂成分(a)と化学的に反応しなくても、合
成樹脂成分(a)と、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
成分(b)とを安定に結着して、防湿層の防湿性能を高
めることができる。
【0038】上記防湿性向上剤に用いられる炭素原子数
が1〜8個のアルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、グリオキザール、プロピルアルデヒ
ド、プロパンジアールおよびヘキサンジアールなどを包
含し、これは、そのアルデヒド基において、合成樹脂成
分(a)に含まれる重合体又は共重合体の前記親水性官
能基と付加反応してこれを疎水性化、および水不溶性化
することができる。
【0039】上記防湿性向上剤に用いられる1個以上の
エポキシ基を有するエポキシ化合物は、例えば、ポリグ
リシジルエーテル化合物、およびポリアミド−エポキシ
樹脂などを包含し、これは、合成樹脂成分(a)に含ま
れる重合体又は共重合体の前記親水性官能基と開環付加
反応して、これを疎水性化および水不溶性化することが
できる。また上記エポキシ化合物は、防湿層の加熱乾燥
中に、合成樹脂成分(a)と、粒子成分(b)とを強固
に結着し、これらの間隙を充填して、防湿層の防湿効果
を向上させることができる。
【0040】本発明において、防湿性向上剤として使用
される架橋反応性多価金属化合物は、例えば、炭酸ジル
コニウムアンモニウム、ジルコニウムアルコキシド、チ
タンアルコキシドおよびアルミニウムアルコキシドなど
を包含し、これらの化合物中の多価金属は、合成樹脂成
分中の重合体又は共重合体と、特にその前記親水性官能
基と配位結合し、或は共有結合して、これら重合体又は
共重合体を疎水性化し、水不溶性化することができる。
【0041】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるオルガノアルコキシシラン化合物およびオルガノ
アルコキシ金属化合物は、一般にカップリング剤として
称されているものであって、無機−有機複合材料系にあ
っては無機成分と有機成分とを化学的に架橋結合し、或
は両者の少なくとも一方に化学的、又は物理的に結合し
て、両者の親和性を高め、それによって、前記無機−有
機複合材料の耐熱性、耐水性、機械的強度などを向上さ
せるものである。本発明においては、オルガノアルコキ
シシラン化合物およびオルガノアルコキシ金属化合物
は、合成樹脂成分(a)と、平盤状フィロケイ酸塩化合
物粒子(b)との親和性、接着性を向上させて両者を密
着させ、間隙の形成を防止し、それによって、防湿層の
防湿性能を向上させることができる。
【0042】本発明に用いられるオルガノアルコキシシ
ラン化合物は、その親水性部にSi原子を含むものであ
って、例えばビニルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、およびN−β−(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを包含す
る。
【0043】また本発明に用いられるオルガノアルコキ
シ金属化合物は、その親水性部分に多価金属原子(例え
ば、Ti,Alなど)を含むものであって、例えばイソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリオクタノイルチタノール、イソプロピルイソステ
アロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミ
ルフェニルチタネート、およびイソプロピルトリ(N−
アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどのチタネ
ート化合物、並びに、アセトアルコキシアルミニウムジ
イソプロピレートなどのアルミニウム化合物を包含す
る。
【0044】オルガノアルコキシシラン化合物およびオ
ルガノアルコキシ金属化合物(以下カップリング剤と記
す)は、その分子構造において、Si,Ti、又はAl
原子を含み、無機物質に対して高い反応性又は親和性を
有する親水性部分と、有機化合物に対して高い反応性又
は親和性を有する疎水性部分とを有する。この親水性部
分は、Ti,Al、又はSi原子に結合したアルコキシ
基を加水分解することにより形成される。
【0045】カップリング剤の親水基と無機化合物との
反応は次の順で進行すると言われている。すなわち
(1)カップリング剤の、アルコキシ基の加水分解によ
り形成された親水基の形成、(2)カップリング剤の親
水基の脱水縮合によるオリゴマー化、(3)無機質表面
の親水基または吸着水とカップリング剤の親水基との間
に水素結合の形成、(4)加熱脱水反応により、カップ
リング剤の親水基と無機質表面の親水基との間に共有結
合の形成、である。加水分解するアルコキシ基としては
メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、オクチル
オキシ基等が用いられる。またカップリング剤の親水基
と無機化合物の反応性は、無機化合物がガラス、シリ
カ、アルミナ、タルク、クレー、マイカなどのように表
面に水酸基を有する場合に高いが、チタネートカップリ
ング剤の場合、無機化合物が炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、硫酸カルシウムであっても、高い反応性を示す。
【0046】一方、カップリング剤の疎水基部分につい
ては、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化
合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に
疎水化して、合成樹脂マトリックスとの接着性を高め
る。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ
基等の反応性有機官能基を有する場合、この官能基と合
成樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、合成樹
脂マトリックスとに対する接着性が高まる。したがっ
て、カップリング剤の疎水基部分の組成は、合成樹脂成
分の組成に応じて選択することができる。
【0047】本発明に防湿性向上剤として用いられるカ
ップリング剤を含む防湿層は、合成樹脂成分(a)およ
び平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)に、カップリ
ング剤を混合し、得られた塗工液を、紙支持体表面に塗
布し、乾燥して形成されてもよいし、或はカップリング
剤をもって予じめ平盤状フィロケイ酸塩化合物粒の表面
を処理し、この表面に固定しておいてもよい。すなわ
ち、カップリング剤の使用方法としては、インテグラル
ブレンド法と前処理法が知られている。インテグラルブ
レンド法とは、フィロケイ酸塩化合物粒子(b)と合成
樹脂(a)とを含む塗工液にカップリング剤を直接添加
する方法である。また前処理法とは、あらかじめフィロ
ケイ酸塩化合物粒子表面をカップリング剤で処理する方
法であり、これには乾式法と湿式法とがある。乾式法は
ミキサーに粉体状のフィロケイ酸塩化合物粒子を入れ、
これを予備加熱後カップリング剤を添加して加温下で高
速攪拌する方法であり、湿式法は水、溶剤またはこれら
の混合液中にカップリング剤とフィロケイ酸塩化合物粒
子を添加し高速攪拌した後乾燥して粉末を得る方法であ
る。インテグラルブレンド法は前処理法に比べて、カッ
プリング剤の使用効果がやゝ劣るが、フィロケイ酸塩化
合物粒子の前処理という工程がないため作業性に優れて
いる。
【0048】インテグラルブレンド法や湿式前処理法に
おいてフィロケイ酸塩化合物粒子を水性処理系において
処理する場合、カップリング剤の水溶性を高めるため、
アルコキシ基として比較的疎水性の弱いメトキシ基、エ
トキシ基、イソプロポキシ基を用いることが好ましく、
カップリング剤の疎水基部分には、親水性のあるエポキ
シ基、アミノ基、ヒドロキシル基が含有されていること
が好ましい。また、カップリング剤が水に溶けにくい場
合は界面活性剤を極少量併用することもある。
【0049】カップリング剤の添加量は、フィロケイ酸
塩化合物粒子100重量部に対して0.1〜5重量部で
あることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部
である。カップリング剤の使用量が0.1重量部未満の
場合、カップリング剤によるフェロケイ酸塩化合物粒子
表面の被覆が不十分となるためその効果が不十分になる
ことがあり、またそれが5重量部を越える場合、カップ
リング剤の効果が飽和し、不経済になることがある。
【0050】カップリング剤で処理されたフィロケイ酸
塩化合物粒子の表面の疎水性が過度に高くなって、この
ため水性分散液としたとき増粘して塗工できなかった
り、分散不良となって凝集体が発生することがある。こ
の場合には、界面活性剤やポリアクリル酸系の分散剤や
イソプロピルアルコール、ジアルキルスルホコハク酸ナ
トリウム等の湿潤剤を用いて分散することができる。
【0051】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる有機アミン化合物、およびポリアミド化合物は、
カチオン性を有し、これがアニオン性を示す平盤状フィ
ロケイ酸塩化合物粒子(b)と接触すると、その軟凝集
および互に平行な積層配向を促進し、防湿層の防湿性能
を向上させることができる。有機アミン化合物、および
ポリアミド化合物は、合成樹脂(a)を架橋することが
なく、或はイオン結合により架橋しているから、これら
を用いて得られる防湿層は、その回収再生工程におい
て、水と接触すると容易に紙支持体から離解し、紙支持
体のパルプ化を容易にすることができる。
【0052】また本発明において、合成樹脂成分(a)
に含まれる共重合体がカルボン酸基を有する場合、これ
が有機モノアミン、有機ポリアミン、又は有機第4級ア
ンモニウム塩と反応して、その疎水性、又は水不溶性を
高めることができる。
【0053】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる有機アミン化合物は第1級アミン化合物、第2級
アミン化合物、第3級アミン化合物、および第4級アン
モニウム塩化合物のいずれであってもよく、また、有機
モノアミンおよび有機ポリアミンのいずれであってもよ
い。さらに有機アミン化合物は、アミノ基以外の異種官
能基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、カルボン酸
基、ニトリル基などを有するものを包含する。このよう
な変性有機アミン化合物としては、モノエポキシ化合物
やジエポキシ化合物などのエポキシ基を有する化合物と
アミン化合物の付加物、エチレンオキサイドやプロピレ
ンオキサイドなどのヒドロキシル基を有する化合物とア
ミン化合物の付加物、アクリルニトリルとアミン化合物
のマイケル付加物、フェノール化合物とアルデヒド化合
物とアミン化合物のマンニッヒ反応で得られる付加物な
どが挙げられる。
【0054】上記のような変性には、1)アミン化合物
の有する刺激臭や皮膚刺激性などの毒性を低下させるこ
と、2)アミン化合物の粘度を低下させること、および
3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすることなどの
効果がある。アミン化合物の変性の程度には、特に制限
はない。
【0055】本発明に用いられる有機アミン化合物を例
示すれば下記の通りである。1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)ま
たはモノアミン エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビス−プ
ロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ジ
メチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピル
アミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノ
ビスプロピルアミン、メンタンジアミン−3、N−アミ
ノエチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサ
ン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ポリ
ビニルアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミンな
ど。2)芳香族ポリアミンまたはモノアミン m−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンジアニリ
ン、ベンジジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,
4′−チオジアニリン、ジアニシジン、2,4−トルエ
ンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−
(o−トルイジン)、o−フェニレンジアミン、メチレ
ンビス(o−クロロアニリン)、m−アミノベンジルア
ミン、アニリンなど。3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミンまたはモノア
ミン メタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジアミ
ン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメ
チルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミンなど。4)第2級アミン N−メチルピペラジン、ピペリジン、ヒドロキシエチル
ピペラジン、ピロリジン、モルホリンなど。5)第3級アミン テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,
N′−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘ
キサメチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、1−
ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシルグリオキサリジ
ン、ピリジン、ピラジン、キノリンなど。6)第4級アンモニウム塩 ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキシルト
リメチルアンモニウムクロライド、シクロヘキシルトリ
メチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルア
ンモニウムブロマイド、2−エチルヘキシルトリメチル
アンモニウムブロマイド、1,3−ビス(トリメチルア
ンモニオメチル)シクロヘキサンジクロライド、ラウリ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデ
シルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど。7)ベタイン化合物、グリシン化合物、アミノ酸化合物 ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸
ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、ポリオ
クチルポリアミノエチルグリシン、ラウリルアミノプロ
ピオン酸ナトリウムなど。上記有機アミン化合物のなか
でも、脂肪族ポリアミン、芳香族環基を有する脂肪族ポ
リアミン、変性ポリアミンを用いることが好適である。
【0056】本発明で使用されるポリアミド化合物(ポ
リアミドアミン化合物とも称せられる)は、上記アミン
化合物とカルボン酸基を有する化合物の脱水縮合反応に
より得られるものである。例えばトール油とジエチルト
リアミンの反応生成物、リノレン酸の2量体とテトラエ
チルペンタミンの反応生成物、トリエチレンテトラミン
と飽和2塩基酸(アジピン酸、セバシン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸)の反応生成物、重合脂肪酸とジエチ
ルトリアミンの反応生成物などが挙げられる。これらポ
リアミド化合物の分子量は1000〜5000程度であ
ることが好ましい。
【0057】本発明で用いられる有機アミン化合物また
はポリアミド化合物は水溶性であることが好ましいが、
水不溶性であっても乳化や分散処理して使用することも
できる。上記アミン化合物またはポリアミド化合物を2
種以上混合して用いてもかまわない。有機アミン化合物
またはポリアミド化合物のアミン価は一般に100〜1
000であることが好ましいが、特に制限はない。
【0058】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるエポキシ化合物は、モノエポキシ化合物であって
もよい。このモノエポキシ化合物は、脂肪族モノエポキ
シ化合物および芳香族モノエポキシ化合物を包含し、例
えばブチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチ
ルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニル
グリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコ
ールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールポリエチ
レングリコールグリシジルエーテルなどから選ぶことが
できる。
【0059】本発明に用いられるモノエポキシ化合物は
水溶性のものが好ましいが、不溶性のものでも界面活性
剤などを単官能エポキシ化合物に対して0.1〜3重量
%用いて水中に分散して使用することができる。
【0060】上記モノエポキシ化合物は合成樹脂成分
(a)100部に対して0.05〜10重量部、好まし
くは0.5〜5重量部で用いられることが望ましい。モ
ノエポキシ化合物の配合量が0.05重量部未満である
場合は防湿性向上の効果が不十分になることがあり、ま
たそれが10重量部を超えると防湿性の効果が飽和し、
経済的に不利になることがある。
【0061】上記モノエポキシ化合物を含む防湿性向上
剤が用いられる場合、それとともに用いられる合成樹脂
(a)は、アクリル酸、アクリルアミド、などのように
エポキシ環と反応可能な親水性官能基(カルボキシル
基、アミド基、およびヒドロキシル基、など)を有する
モノマーを含む共重合体を含むことが好ましい。
【0062】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素
化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリア
ミドアミン化合物は、 i)ポリアルキレンポリアミンまたはアルキレンポリア
ミン、 ii)尿素類、 iii )二塩基性カルボン酸、及び必要により iv)アルデヒド類、エピハロヒドリン類およびα,γ−
ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化合物を反応させ
て得られる(特公昭59−32597、特開平4−10
097など)。上記合成において、二塩基性カルボン酸
(iii )を用いるとポリアミドポリ尿素化合物またはポ
リアミドアミンポリ尿素化合物が得られ、用いない場合
はポリアミンポリ尿素系化合物が得られる。アルデヒド
類やエピハロヒドリン類は用いる場合、その使用量は非
常に少ないか、或は合成過程で自己架橋を起こして、フ
リーのメチロール基やエポキシ基がほとんど残存しない
ことが好ましい。また、上記反応において、尿素数(i
i)を用いず、ポリアルキレンポリアミン又はアルキレ
ンポリアミン(i)と、二塩基性カルボン酸とを反応さ
せるとポリアミドアミン化合物が得られる。成分(iv)
アルデヒド類、エピハロヒドリン類、およびα,γ−ジ
ハロ−β−ヒドリン類の反応量は、成分(i)の100
モル量に対し、5〜300モルの範囲内にあることが好
ましい。
【0063】上記成分(i)として用いられるポリアル
キレンポリアミンまたはアルキレンポリアミンとして
は、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピル
アミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7
−ジアザデカン−1,10−ジアミン、エチレンジアミ
ン、プロピルジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらのなか
でジエチレントリアミン及び/又はトリエチレンテトラ
ミンを用いることが好ましい。これらの化合物(i)は
単独、あるいは2種類以上の混合物として用いられる。
また、化合物(i)にシクロヘキシルアミンなどの脂環
式アミンおよび脂環式エポキシ化合物の1種以上を併用
してもよい。
【0064】成分(ii)として用いられる尿素類として
は尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチ
ル尿素などが挙げられる。これらの中でも尿素を用いる
ことが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用いて
もよく、或は2種類以上を混合して用いてもよい。ま
た、成分(iii )として用いられる二塩基性カルボン酸
類は、分子内にカルボキシル基またはそれから誘導され
る基を2個有するものであって、遊離酸であってもよ
く、或はエステル類又は酸無水物などであってもよい。
二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性
カルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイ
ン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、テトラハイドロフタル酸、およびヘキサハイドロ
フタル酸などが挙げられる。また、二塩基性カルボン酸
とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離カ
ルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。
これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、或
は2種類以上を混合して用いてもよい。成分(iv)とし
て用いられるアルデヒド類としてはホルムアルデヒド、
プロピルアルデヒドなどのアルキルアルデヒド類やグリ
オキザール、プロパンジアール、ブタンジアール、エピ
ハロヒドリン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロ
モヒドリンなどが挙げられる。さらに、成分(iv)とし
て用いられるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては
1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられ
る。
【0065】これらアルデヒド類、エピハロヒドリン
類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は単独で用いても
よく、或は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0066】さらに単量体成分として脂環式エポキシ化
合物、アルキル化剤(一般式R−X;R=低級アルキル
基、アルケニル基、ベンジル基、フェノキシエチル基な
ど、X=ハロゲン原子)、一般式R′−C(=Y)−N
2 〔R′はアルキル基もしくは−NR′2 基、Yは酸
素原子又は硫黄原子〕で表される化合物などを反応させ
てもよい。
【0067】上記各成分は、任意の順序で反応させるこ
とができるが、その合成法の一例として次の方法を用い
ることができる。すなわち、アルキレンジアミンまたは
ポリアルキレンポリアミンと、尿素類とを脱アンモニア
反応させ、次に、この反応生成物を二塩基性カルボン酸
類と脱水縮合させ、さらに尿素類と脱アンモニア反応さ
せることによりポリアミドポリ尿素化合物が得られる。
このポリアミドポリ尿素化合物をアルデヒド類、エピハ
ロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選
ばれた化合物と反応させるとポリアミドポリ尿素−アル
デヒド(エピハロヒドリン)樹脂が得られる。
【0068】アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,
γ−ジハロ−β−ヒドリン類は分子量の調整、水溶性の
調整を目的として使用されるが、メチロール基やエポキ
シ環は自己架橋させほとんど残留していないことが好ま
しい。
【0069】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる上記ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ
尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポ
リアミドアミン化合物は、水性塗工液中で微カチオン性
を示すため、アニオン性を有する平盤状フィロケイ酸塩
化合物粒子を、皮膜形成過程において、軟凝集させ、こ
のとき、これらの平盤状粒子を、互に平行に積層配向さ
せるものと思われる。このような平盤状粒子の積層配向
性の向上は防湿層の防湿性能を向上させる。また、上記
化合物のうちには、その分子内にエポキシ環および/又
はメチロール基を有するものが包含されるが、これらの
官能基の含有率は微少であり、またその合成過程におい
て、エポキシ環および/又はメチロール基形成化合物の
大部分が自己架橋するため、これらの官能基の影響は無
視できる程度である。このため上記化合物を防湿性向上
剤として含む防湿層は、防湿性紙の回収再生の際に、紙
支持体から容易に離解し、再生パルプの離解性を阻害す
ることはほとんど認められない。
【0070】本発明において、防湿性向上剤として、ポ
リアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒ
ド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又は
ホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素
−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物、およびポリアミドアミンポ
リ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反
応生成物を用いることができる。
【0071】上記縮合反応生成物は、その分子骨格中に
アミノ基を含み、その側鎖にエポキシ環又はメチロール
基を有するものであり、一般に下記成分: (i)ポリアルキレンポリアミン (ii)尿素類 (iii )二塩基性カルボン酸類 (iv)エピハロヒドリン類又はホルムアルデヒド を反応させて合成することができる(特公昭52−22
982号、特公昭60−31948号、特公昭61−3
9435号、特開昭55−127423号)。
【0072】上記成分(i)〜(iv)を反応せしめれ
ば、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物又はポリアミドアミンポリ尿
素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生
成物が得られ、成分(i),(ii)および(iv)を反応
させれば、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又は
ホルムアルデヒド縮合反応生成物が得られ、成分
(i),(iii )および(iv)を反応させれば、ポリア
ミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮
合反応生成物が得られ、成分(i),(iv)を反応させ
れば、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデ
ヒド縮合反応生成物が得られる。
【0073】上記成分(i)として用いられるポリアル
キレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イ
ミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−
ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミ
ン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、1,3−プ
ロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(3−
アミノプロピル)メチルアミン、ビスヘキサメチレント
リアミンやポリ(Nメチルジアリルアミン塩酸塩)、ポ
リビニルベンジルアミンジメチルアミン塩酸塩などのジ
アリルアミン類の重合物、ジシアンジアミドが挙げられ
る。これらのなかでジエチレントリアミンおよびトリエ
チレンテトラミン、ジアリルアミン類の重合物が好まし
い。これらが単独あるいは2種類以上の混合物として用
いてもかまわない。
【0074】上記成分(ii)として用いられる尿素類と
しては尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジ
メチル尿素などが挙げられる。これらの中でも尿素を用
いることが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用
いてもよく、或は2種類以上を混合して用いてもよい。
また、成分(iii )として用いられる二塩基性カルボン
酸類は、分子内にカルボキシル基またはそれから誘導さ
れる基を2個有するものであって、遊離酸であってもよ
く、或はエステル類又は酸無水物などであってもよい。
二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性
カルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイ
ン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、テトラハイドロフタル酸、およびヘキサハイドロ
フタル酸などが挙げられる。また、二塩基性カルボン酸
とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離カ
ルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。
これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、或
は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0075】成分(iv)として用いられるエピハロヒド
リン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリ
ン、およびα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、例えば
1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられ
る。エピハロヒドリン類は単独で用いてもよく、或は2
種類以上を混合して用いてもよい。
【0076】成分(iv)の反応量は、ポリアルキレンポ
リアミン成分(i)の100モル部に対し、5〜300
モル部であることが好ましい。
【0077】上記縮合反応生成物の合成法の一例とし
て、ポリアミドエピハロヒドリン化合物の合成法の一例
を下記に記す。反応容器にジエチレントリアミン0.9
7モルを入れ、この反応器にアジピン酸1モルを攪拌し
ながら徐々に加え、混合物を170℃で1.5時間加熱
する。得られた粘ちょうな液体を140℃に冷却後、固
形分が50重量%になるように水を加えてポリアミド溶
液を調製する。このポリアミド溶液に、その固形分濃度
が13.5重量%になるように水を加え、40℃に加熱
し、この溶液にエピクロルヒドリンをポリアミド中の第
二アミン1モルにつき1.32モルに相当する量で徐々
に加える。さらに60℃の温度で、ガードナー粘度がE
〜Fになるまで加熱する。次に固形分濃度が12.5重
量%になるように水を加え25℃に冷却するとポリアミ
ドエピハロヒドリン化合物が得られる。他の縮合反応生
成物も、上記方法と類似の合成法により合成することが
できる。
【0078】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる上記ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロ
ヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリア
ミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド
縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリ
ン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドア
ミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド
縮合反応生成物は、水性塗工液中において良好な可溶性
を示すが、この塗工液から形成される防湿層の防湿性能
を向上させることができる。しかし、得られる防湿性紙
の防湿層は、その再生工程において、良好な離解性を示
して、紙支持体から分離し、紙支持体のパルプの離解を
阻害することがない。従って、上記縮合反応生成物は防
湿層中において、合成樹脂成分(a)と架橋反応するこ
とがほとんどないものと認められる。上記縮合反応生成
物は、いずれもその水溶液中において微カチオン性を示
し、このため、防湿層の皮膜形成の過程においてアニオ
ン性を示す平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)を軟
凝集し、この平盤状粒子を、互に平行に積層配列させ、
それによって防湿性能を向上させる。
【0079】本発明において、防湿性向上剤は、合成樹
脂成分(a)の100重量部に対して0.05〜10重
量部の割合で用いられることが好ましく、0.5〜5重
量部であることがより好ましい。この配合量が、0.1
重量部未満のときは、防湿性向上効果が不十分になるこ
とがあり、またそれが10重量部をこえると、その防湿
性向上効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
また、2種類以上の化合物からなる防湿性向上剤を用い
てもかまわない。
【0080】本発明において用いられる防湿性向上剤
が、強カチオン性であって、合成樹脂成分(a)ととも
に凝集する場合は、当該合成樹脂含有液のpHをアルカリ
側(例えば8以上)に調整したのち、これにカチオン性
防湿性向上剤の水溶液を添加して使用すればよい。
【0081】本発明の防湿性紙に用いられる防湿性向上
剤(c)において、架橋反応剤と、カップリング剤が併
用されていてもよい。この場合架橋反応剤は、尿素−ホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアル
デヒド縮合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のアルデ
ヒド化合物、1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化
合物、架橋反応性多価金属化合物および有機アミン化合
物、ポリアミド化合物などから選ばれた1種以上を含む
ことができ、また、カップリング剤は、前述のオルガノ
アルコキシシラン化合物およびオルガノアルコキシ金属
化合物から選ばれた1種以上を含むことができる。ま
た、合成樹脂成分(a)に含まれる重合体又は共重合体
は、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、ニト
リル基、カルボニル基などの親水性官能基を有している
ことが好ましく、その酸変性率が5モル%以上であるこ
とがより好ましい。
【0082】上記態様の防湿性向上剤(c)において、
架橋剤は、合成樹脂(a)100重量に対して、0.0
5〜10重量部で用いられることが好ましく、カップリ
ング剤は、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)10
0重量部に対し、0.1〜5重量部の添加量で用いられ
ることが好ましい。
【0083】本発明に用いられる紙支持体は、機械的離
解作用により水中で分散し易いパルプを主成分とするも
のであって、このようなパルプとしては、広葉樹クラフ
トパルプおよび針葉樹クラフトパルプのような化学パル
プおよび機械パルプがある。紙支持体は、上質紙、中質
紙、片艶クラフト紙、両更クラフト紙、およびクラフト
伸長紙などのいずれであってもよい。紙支持体の坪量に
は格別の限定はないが一般に30〜300g/m2 の範
囲内にあり、目的に応じて適宜の種類、坪量の原紙を紙
支持体として用いることができる。
【0084】本発明の防湿性紙を製造するには所望成分
を含有する水性塗工液を調製し、この塗工液を紙支持体
の片面、又は両面に塗工し、この塗工液層を、乾燥し
て、防湿層を形成すればよい。塗工方法および装置には
格別の制限はなく、例えばエアナイフコーター、バーコ
ーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロ
ールコーターなどの適宜のものを使用すればよい。乾燥
方法および装置についても格別の制限はなく、例えば熱
風乾燥機、接触加熱板、接触加熱ロール、赤外線乾燥
機、高周波加熱乾燥機などを用いることができる。乾燥
温度は防湿層の成分の種類、量などに応じて70〜17
0℃であることが好ましく、より好ましくは100〜1
50℃である。
【0085】
【実施例】本発明を下記実施例により更に説明する。但
し、下記実施例は、本発明の範囲を限定するものではな
い。なお実施例中の「重量部」はすべて固形分重量部を
意味する。
【0086】下記実施例において作製された防湿性紙を
下記テストに供した。 (1)透湿度 防湿性紙の防湿層表面を外側にして、JIS Z020
8、カップ法、B法により、その透湿度を測定した。一
般に、50g/m2 ・24hr以下の透湿度を有する紙
は、防湿性紙として実用可能であるが、透湿度が、35
g/m2 ・24hr以下であることが、さらに好ましい。
【0087】(2)合成樹脂成分(a)の透湿度 坪量70g/m2 の未晒両更クラフト紙の片面に、供試
合成樹脂塗料を、乾燥塗工量が20g/m2 になるよう
に塗布し、110℃で2分間乾燥し、合成樹脂塗工紙を
作製した。この合成樹脂塗工紙を、その塗工層表面を外
側にして、JIS Z0208、カップ法、B法による
透湿度測定に供した。
【0088】(3)摩擦係数 2枚の防湿性紙を、その1枚の防湿層面と、他の1枚の
裏面とが接触するように重ね合わせ、線圧12kg/cm下
において、スーパーカレンダーを1回通した後、裏面相
互間の動摩擦係数を、JIS P8147の方法により
測定した。但し、測定スピードは150mm/分であっ
た。上記テストにより測定された摩擦係数は、当該防湿
性紙を巻き上げたときの裏面相互間の摩擦係数に対応す
る。
【0089】(4)耐ブロッキング性 防湿性紙を、20cm×20cmの寸法に切断し、この防湿
性紙の防湿層上にA2コート紙を重ね合わせて、この積
層物を、温度40℃、圧力12kg/cm2 の条件下で30
分間圧着した。次に、この積層物の接着状態を観察し、
下記のように評価した。 ○ 両紙が容易に剥離した △ 両紙を剥離することができたが、バリバリと剥離
音が発生した × 両紙を破断することなく剥離することができなか
った
【0090】(5)離解性テスト法−1 供試紙を1cm×1cmの寸法に切断し、その8gを、家庭
用ミキサー中において500mlの水に混合(濃度1.6
%)し、2分間攪拌して再生パルプを調製し、内容物を
取り出し、このパルプスラリーから、実験室用手抄きマ
シンにより紙シートを作製した。得られたシートを温度
120℃の熱風循環式オーブン中で20分乾燥した。乾
燥シート中の未離解物(フィルム片、繊維塊、未離解紙
片など)の有無を目視検査した。未離解物が含まれず、
均一なシートを形成したものを、良好と判定した。テスト法−2 供試防湿性紙サンプルを40℃で1週間放置(常温で2
〜3ヶ月間に相当)した後、15kgの水に対し450g
(濃度3%)のサンプル(A4サイズに裁断)を用意
し、このサンプルをカウレス型攪拌機で上記水と一緒に
入れ、20分間1500rpm で攪拌後内容物を取り出
し、実験室用手抄きマシーンでシートを作製した。得ら
れたシートを温度120℃でフェロタイプ乾燥機で乾燥
し、未離解物(フィルム片、紙片等)の有無を目視で調
べ、離解性を評価した。未離解物が含まれず、均一なシ
ートを形成していたものを良好と判定した。
【0091】(6)平均粒子径 水中に分散させた顔料の粒子径を島津レーザー回折式粒
度分布測定装置SALD−1100 V2.0((株)
島津製作所製)によって下記の方法で測定した。なお、
平均粒子径とは、積算体積率が50%の粒子径である。 測定範囲:1〜150μmまたは0.1〜45μm 屈折率 :1.6 計算方法:直接計算法 測定回数:4回 測定間隔:2秒
【0092】実施例1 白雲母顔料(平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)、
商標:マイカA21、山口雲母工業所製、平均粒子径:
20μm、アスペクト比:20〜30)50重量部と、
カルボン酸変性SBRラテックス(合成樹脂(a)、商
標:LX407S1X1、日本ゼオン製、酸変性率:約
20%、Tg:18℃、固形分濃度:48%)48重量
部と、ソルビトールポリグリシジルエーテル(防湿性向
上剤(c)、商標:デナコールEX614B、ナガセ化
成製、固形分濃度:98%以上)2重量部とを混合して
防湿塗工液を調製した。この塗工液を、坪量70g/m
2 の未晒両更クラフト紙の片面に、メイヤーバーを用い
て、乾燥塗工量が30g/m2 になるように塗工し、熱
風循環乾燥機を用いて110℃で2分間加熱乾燥して防
湿層を形成し、防湿性紙を作製した。得られた防湿性紙
を前記テストに供した。テスト結果を表1に示す。
【0093】実施例2〜5 防湿性紙を、実施例1と同様の方法により作製した。但
し、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)として、実
施例2においては白雲母顔料(商標:マイカA11、山
口雲母工業所製、平均粒子径:5μm、アスペクト比:
20〜30)を用い、実施例3においては、白雲母顔料
(商標:マイカA61、山口雲母工業所製、平均粒子径
50μm、アスペクト比:20〜30)を用い、実施例
4においては、タルク顔料(商標:シュウエン、中央カ
オリン製、平均粒子径:15μm、アスペクト比:5〜
10)を用い、実施例5においては絹雲母顔料(商標:
セリサイトST、堀江化工製、平均粒子径14μm、ア
スペクト比:20〜30)を用いた。テスト結果を表1
に示す。
【0094】実施例6〜9 実施例1と同様の方法により防湿性紙を作製した。但
し、防湿性向上剤(c)として、実施例6においては、
メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物(商標:ユ
ーラミンP−6300、三井東圧製、固形分濃度80
%)を用い、実施例7においては、ポリアミドポリ尿素
−ホルムアルデヒド縮合反応生成物(商標:スミレーズ
レジン302、住友化学製、固形分濃度60%)、実施
例8においては炭酸ジルコニウムアンモニウム(商標:
ジルコゾールAC−7、第一稀元素製、固形分濃度:1
3%)を用い、実施例9においては、グリオキザール
(和光純薬製、固形分濃度:40%)を用いた。テスト
結果を表1に示す。
【0095】実施例10〜13 実施例1と同様にして防湿紙を作製した。但し、カルボ
ン酸変性SBRラテックス(LX407S1X1)の代
りに、実施例10においては、カルボン酸変性SBRラ
テックス(商標:PT1120、日本ゼオン製、酸変性
率:約15%、Tg:2℃、固形分濃度:48%)を用
い、実施例11においては、カルボン酸変性SBRラテ
ックス(商標:OX1060、日本ゼオン製、酸変性
率:約3%、Tg:8℃、固形分濃度:50%)40重
量部と、実施例1に記載のカルボン酸変性SBRラテッ
クス(LX407S1X1)8重量部の混合物を用い、
実施例12においては、実施例11と同一のカルボン酸
変性SBRラテックス(OX1060)43重量部と、
実施例10と同一のカルボン酸変性SBRラテックス
(PT1120)5重量部との混合物を用い、実施例1
3においては、実施例11と同一のカルボン酸変性SB
Rラテックス(OX1060)43重量部と、アクリル
重合体ラテックス(商標:アロンA104、東亜合成
製、Tg:40℃、酸変性率:約10%、固形分濃度:
40%)5重量部との混合物を用いた。テスト結果を表
1に示す。
【0096】比較例1 両更クラフト紙の片面にポリエチレンを15μmラミネ
ートしたポリエチレンラミネート紙をテストに供した。
テスト結果を表1に示す。
【0097】比較例2 カルボン酸変性SBRラテックス(LX407S1X
1)65重量部と、ワックスエマルジョンOKW−40
(荒川化学(株)製、パラフィンワックス、ポリブテ
ン、ロジン樹脂の混合乳化物、固形分45%)35重量
部とを混合した防湿塗料を、坪量70g/m2 の未晒両
更クラフト紙にメイヤーバーで固形分として20g/m
2 になるように塗工後、110℃で1分間乾燥させ防湿
性紙を製造した。テスト結果を表1に示す。
【0098】比較例3〜4 顔料として、比較例3においては、タルク(商標:PC
タルク、平均粒子径2μm、アスペクト比2〜4、ダイ
オーエンジニアリング(株)製)を用い、比較例4にお
いては、白雲母顔料(商標:マイカB72(平均粒子径
82μm、アスペクト比20〜30、山口雲母工業所
(株)製)を用いたことを除き、他は実施例1と同様に
して防湿性紙を製造した。テスト結果を表1に示す。
【0099】比較例5 カルボン酸変性SBRラテックス(LX407S1X
1)と白雲母顔料(マイカA−21)の固形分配合比率
を、50/50とし、防湿性向上剤(架橋剤)を添加し
なかったことを除き、他は実施例1と同様にして防湿性
紙を製造した。テスト結果を表1に示す。
【0100】比較例6 カルボン酸変性SBRラテックス(PT1120)と白
雲母顔料(マイカA−21)の固形分配合比率を50/
50とし、防湿性向上剤(架橋剤)を添加しなかったこ
とを除き、他は実施例10と同様にして防湿性紙を製造
した。テスト結果を表1に示す。
【0101】比較例7 カルボン酸変性SBRラテックス(OX1060)と白
雲母顔料(マイカA−21)の固形分配合比率を50/
50とし、防湿性向上剤(架橋剤)を添加しなかったこ
とを除き、他は実施例1と同様にして防湿性紙を製造し
た。テスト結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】表1は、本発明に係る実施例1〜13の防
湿性紙は、ポリエチレンラミネート紙(比較例1)にく
らべて離解性において優れ、またワックス含有塗工紙
(比較例2)にくらべて、防滑性において優れているこ
とを示している。
【0104】また、顔料が本発明の平均粒子径、アスペ
クト比を満たさない場合(比較例3,4)には、得られ
る防湿性紙の防湿性が不十分であった。さらに、本発明
に係る防湿性向上剤を使用しない場合(比較例5,6,
7)には、得られる防湿性紙の耐ブロッキング性が不十
分であった。
【0105】実施例14 グリシドキシシランカップリング剤(商標:KBM40
3、信越化学工業製)の10重量%トルエン溶液を調製
し、この溶液10重量部を、120℃において1時間乾
燥処理された白雲母顔料(商標:マイカA21、平均粒
径20μm、アスペクト比:20〜30、山口雲母工業
製)100重量部に滴下しつゝ、ミキサー中で、回転数
1000rpm で10分間攪拌し、80℃の温度で2時間
乾燥した。カップリング剤表面処理白雲母顔料(a)が
得られた。100重量部の水に、100重量部の前記カ
ップリング剤表面処理白雲母顔料(a)および0.2重
量部のポリアクリル酸系分散剤(商標:キャリボンL4
00、東亜合成製)を混合し、カウレス分散機を用い
て、回転数2000rpm において30分間分散処理し
た。前記分散液と、カルボン酸変性SBRラテックス
(商標:LX407S1X1、日本ゼオン製、固形分濃
度:48%、合成樹脂透湿度:120g/m2 ・24h
r)とを、フィロケイ酸塩化合物および合成樹脂の固形
分重量比が50/50になるように混合して塗工液を調
製した。この塗工液を、坪量70g/m2 の未晒両更ク
ラフト紙の片面に、メイヤーバーを用いて、乾燥塗工量
が30g/m2 になるように塗工し、この塗工液層を、
110℃の温度で2分間乾燥して防湿層を形成し、防湿
性紙を作製した。テスト結果を表2に示す。
【0106】実施例15 メタクリロキシシランカップリング剤(商標:KBM5
03、信越化学工業製)の10重量%トルエン溶液を調
製し、この溶液10重量部を、120℃において1時間
乾燥処理された白雲母顔料(商標:マイカA21、平均
粒径20μm、アスペクト比:20〜30、山口雲母工
業製)100重量部に滴下しつゝ、ミキサー中で、回転
数1000rpm で10分間攪拌し、80℃の温度で2時
間乾燥した。カップリング剤表面処理白雲母顔料(b)
が得られた。95重量部の水および5重量部のイソプロ
ピルアルコールとの混合液に、100重量部の前記カッ
プリング剤表面処理白雲母顔料(b)、0.2重量部の
ポリアクリル酸系分散剤(商標:キャリボンL400、
東亜合成製)および0.4重量部の界面活性剤(商標:
ダプロU99、サンノブコ製)を混合し、カウレス分散
機を用いて、回転数2000rpm において30分間分散
処理した。前記分散液と、カルボン酸変性SBRラテッ
クス(商標:LX407S1X1、日本ゼオン製、固形
分濃度:48%、合成樹脂透湿度:120g/m2 ・2
4hr)とを、フィロケイ酸塩化合物および合成樹脂の固
形分重量比が50/50になるように混合して塗工液を
調製した。この塗工液を、坪量70g/m2 の未晒両更
クラフト紙の片面に、メイヤーバーを用いて、乾燥塗工
量が30g/m2 になるように塗工し、この塗工液層
を、110℃の温度で2分間乾燥して防湿層を形成し、
防湿性紙を作製した。テスト結果を表2に示す。
【0107】実施例16 実施例14と同様にして、カップリング剤表面処理白雲
母顔料(c)を調製した。但し、グリシドキシシランカ
ップリング剤(KBM403)の代りに、アミノシラン
カップリング剤(商標:KBM603、信越化学工業
製)を用いた。80重量部の水と、5重量%アンモニア
水20重量部との混合液に、100重量部の前記カップ
リング剤表面処理白雲母顔料(c)および0.2重量部
のポリアクリル酸系分散剤(キャリボンL400)を混
合し、カウレス分散機を用いて、回転数2000rpm に
おいて30分間分散処理した。前記分散液と、カルボン
酸変性SBRラテックス(商標:LX407S1X1、
日本ゼオン製、固形分濃度:48%、合成樹脂透湿度:
120g/m2 ・24hr)とを、フィロケイ酸塩化合物
および合成樹脂の固形分重量比が50/50になるよう
に混合して塗工液を調製した。この塗工液を、坪量70
g/m2 の未晒両更クラフト紙の片面に、メイヤーバー
を用いて、乾燥塗工量が30g/m2 になるように塗工
し、この塗工液層を、110℃の温度で2分間乾燥して
防湿層を形成し、防湿性紙を作製した。テスト結果を表
2に示す。
【0108】実施例17および18 実施例17および18の各々において実施例15と同様
にして防湿性紙を作製した。但し、カップリング剤表面
処理白雲母顔料の調製に当り、メタクリロキシシランカ
ップリング剤の代りに、実施例17においては、ステア
ロイルチタネートカップリング剤(商標:KRET、味
の素製)を用いてカップリング剤表面処理白雲母顔料
(d)を調製し、実施例18においては、イソプロピル
アルミニウムカップリング剤(商標:AL−M、味の素
製)を用いて、カップリング剤表面処理白雲母顔料
(e)を調製した。テスト結果を表2に示す。
【0109】実施例19および20 実施例19および20の各々において実施例14と同様
にして防湿性紙を作製した。但し、カップリング剤表面
処理白雲母顔料の調製に当り、白雲母顔料(KBM40
3)の代りに、実施例19においては、絹雲母(商標:
セリサイトKF1325、平均粒径:13μm、アスペ
クト比:20〜30、中央カオリン製)を用いてカップ
リング剤表面処理絹雲母顔料(f)を調製し、実施例2
0においては、タルク(商標:シュウエン、平均粒子
径:18μm、アスペクト比5〜10、中央カオリン
製)を用いて、カップリング剤表面処理タルク顔料
(g)を調製した。テスト結果を表2に示す。
【0110】実施例21 白雲母顔料(マイカA21)100重量部、分散剤(キ
ャリボンL400)0.2重量部、および水100重量
部を混合し、これを、カウレス分散機を用いて、回転数
2000rpm において、30分間分散処理した。上記分
散液と、カルボン酸変性SBRラテックス(LX407
S1X1)と、グリシドキシシランカップリング剤(K
BM403)とを、白雲母顔料、変性SBR、およびカ
ップリング剤の固形分重量比が50/50/0.5にな
るように混合して、塗布液を調製した。上記塗布液を、
坪量70g/m2 の未晒両更クラフト紙の片面に、メイ
ヤーバーを用いて、乾燥塗布量が30g/m2 となるよ
うに塗布し、110℃で2分間乾燥して防湿層を形成
し、防湿性紙を作製した。テスト結果を表2に示す。
【0111】実施例22 100重量部の白雲母顔料(マイカA21)、1重量部
のグリシドキシシランカップリング剤(KBM40
3)、0.2重量部の分散剤(キャリボンL400)お
よび100重量部の水を混合し、この混合物に、カウレ
ス分散機を用いて、回転数2000rpm で30分間の分
散処理を施した。この分散液と、カルボン酸変性SBR
ラテックス(LX407S1X1)とを、白雲母顔料お
よび変性SBRの固形分重量比が、50/50になるよ
うに混合して、塗布液を調製した。上記塗布液を、坪量
70g/m2 の未晒両更クラフト紙の片面に、メイヤー
バーを用いて、乾燥塗布量が30g/m2 になるように
塗布し、110℃で2分間乾燥して防湿層を形成し、防
湿性紙を作製した。テスト結果を表2に示す。
【0112】実施例23および24 実施例23および24の各々において、実施例14と同
様にして防湿性紙を作製した。但し、カップリング剤表
面処理顔料の調製において、白雲母顔料(マイカA2
1)の代りに、実施例23においては、白雲母顔料(商
標:マイカA11、山口雲母工業所製、平均粒子径:5
μm、アスペクト比:20〜30)を用いて、カップリ
ング剤表面処理白雲母顔料(h)を調製し、実施例24
においては、白雲母顔料(商標:マイカA61、山口雲
母工業所製、平均粒子径:50μm、アスペクト比:2
0〜30)を用いて、カップリング剤表面処理白雲母顔
料(i)を調製した。テスト結果を表3に示す。
【0113】実施例25〜29 実施例25〜29の各々において、実施例14と同様に
して防湿性紙を調製した。但し、合成樹脂成分(a)と
して、下記の合成樹脂を用いた。 実施例25:カルボン酸変性SBRラテックス(商標:
OX1060、日本ゼオン製、固形分濃度:50%、合
成樹脂透湿度:160g/m2 ・24hr) 実施例26:変性SBRラテックス(商標:ポリラック
686A3、三井東圧化学製、固形分濃度50%、合成
樹脂透湿度:317g/m2 ・24hr) 実施例27:変性SBRラテックス(商標:J056
9、日本合成ゴム製、固形分濃度:48%、合成樹脂透
湿度:200g/m2 ・24hr) 実施例28:変性SBRラテックス(商標:ポリラック
760K−10R、三井東圧化学製、固形分濃度:48
%、合成樹脂透湿度:460g/m2 ・24hr) 実施例29:アクリル−スチレン共重合体ラテックス
(商標:アロンA104、東亜合成製、固形分濃度:4
0%、合成樹脂透湿度:450g/m2 ・24hr) テスト結果を表3に示す。
【0114】比較例8〜12 比較例8〜12の各々において、下記事項を除き、他は
実施例14と同様にして防湿性紙を作製した。 比較例8:カップリング剤表面処理白雲母顔料(a)の
代りに、表面未処理白雲母顔料(マイカA21)を用い
た。 比較例9:カップリング剤表面処理白雲母顔料(a)の
代りに、表面未処理絹雲母顔料(セリサイトKF132
5)を用いた。 比較例10:カップリング剤表面処理白雲母顔料(a)
の代りに、表面未処理タルク顔料(シュウエン)を用い
た。 比較例11:カップリング剤表面処理顔料の調製に際
し、白雲母顔料(マイカA21)の代りに、タルク顔料
(商標:PCタルク、ダイオーエンジニアリング製、平
均粒子径2μm、アスペクト比:2〜4)を用い、カッ
プリング剤表面処理タルク顔料(j)を調製した。 比較例12:カップリング剤表面処理顔料の調製に際
し、白雲母顔料(マイカA21)の代りに白雲母顔料
(商標:マイカB72、山口雲母工業所製、平均粒子
径:82μm、アスペクト比:20〜30)を用い、カ
ップリング剤表面処理白雲母顔料(k)を調製した。 テスト結果を表2又は表3に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】表2および3から明らかなように、本発明
に係る実施例14〜29の防湿性紙は、カップリング剤
(c)の使用により優れた防湿性能を示し、かつ実用上
十分な離解性を示した。
【0118】実施例30 100重量部の白雲母顔料(商標:マイカAB32、山
口雲母工業所製、平均粒子径:22μm、アスペクト比
20〜30)、を100重量部の水と混合し、この混合
物を、カウレス分散機を用いて、回転数2000rpm で
2時間分散処理した。この分散液と、メチルメタクリレ
ート−エチルアクリレート−メタクリル酸共重合体(重
合モル比:50/30/20、Tg:55℃)とを、白
雲母顔料および共重合体の固形分重量比が50:50に
なるように混合し、さらに、前記共重合体のメタクリル
酸含有量とモル等量のジメチルアミンを添加して塗工液
を調製した。上記塗工液を、未晒両更クラフト紙(坪
量:70g/m2 )の片面に、メイヤーバーを用いて、
乾燥塗工量が15g/m2 になるように塗布し、熱風循
環乾燥機により、110℃で2分間乾燥して防湿層を形
成し、防湿性紙を作製した。テスト結果を表4に示す。
【0119】比較例13 塗工液を、65重量部のSBRラテックス(商標:T2
004F、日本合成ゴム製)と、35重量部のワックス
エマルジョン(商標:OKW−40、パラフィンワック
スとポリブテンとロジン樹脂との混合乳化物、荒川化学
工業製)とを混合して調製した。この塗工液を、未晒両
更クラフト紙(坪量:70g/m2 )の片面に、メイヤ
ーバーを用いて、乾燥塗工量が20g/m2 になるよう
に塗工し、実施例30と同様に乾燥して防湿層を形成
し、防湿性紙を作製した。テスト結果を表4に示す。
【0120】比較例14 実施例30と同様にして、防湿性紙を作製した。但し、
白雲母顔料(マイカAB32)の代りに、タルク顔料
(商標:PCタルク、ダイオーエンジニアリング製、平
均粒子径:2μm、アスペクト比2〜4)を用いた。テ
スト結果を表4に示す。
【0121】比較例15 実施例30と同様にして防湿性紙を作製した。但し、白
雲母顔料(マイカAB32)の代りに、白雲母顔料(商
標:マイカB72、山口雲母工業所製、平均粒子径:8
2μm、アスペクト比:20〜30)を用いた。テスト
結果を表4に示す。
【0122】
【表4】
【0123】本発明に係る実施例30の防湿性紙は、実
用上良好な防湿性、離解性および摩擦係数を有していた
が、比較例13の防湿性紙(平盤状粒子(b)、防湿性
向上剤(c)を含まず、ワックスを含む)は、摩擦係数
が低く滑り易いものであり、比較例14および15の防
湿性紙(顔料が平均粒子径又はアスペクト比において、
本発明の要件を満たしていない)は、防湿性の低いもの
であった。
【0124】実施例31 水50重量部にキシレンジアミン(芳香族環含有脂肪族
ポリアミン、和光純薬工業(株)製)1重量部、および
合成樹脂としてカルボン酸変性SBRラテックス(LX
407S1X1、固形分48%)50重量部(固形分)
を加え、攪拌した。次にこれにフィロケイ酸塩顔料とし
て絹雲母顔料(商標:セリサイトKF1325、中央カ
オリン(株)製、平均粒子径:13μm、アスペクト
比:20〜30)50重量部を加えカウレス分散機で3
0分間2000rpm で攪拌し塗工液を調製した。この塗
工液をメイヤーバーを用いて未晒両更クラフト紙(坪
量:70g/m2 )の片面に、乾燥塗工量が30g/m
2 になるように手塗りした後、熱風循環乾燥機で120
℃1分間乾燥して防湿層を形成し、防湿性紙を製造し
た。テスト結果を表5に示す。
【0125】実施例32〜43及び比較例16 キシレンジアミンの代りに下記の化合物を用いたことを
除き、他は実施例31と同様にして防湿性紙を製造し
た。 実施例32:エチレンジアミン(脂肪族ポリアミン、和
光純薬工業(株)製) 実施例33:トリエチレンテトラミン(脂肪族ポリアミ
ン、和光純薬工業(株)製) 実施例34:エポキシ変性キシレンジアミン(変性アミ
ン、商標:EH265、旭電化工業(株)製) 実施例35:アクリルニトリル変性キシレンジアミン
(変性アミン、商標:X13A、三和化学工業(株)) 実施例36:オクチルアミン(脂肪族モノアミン、和光
純薬工業(株)製) 実施例37:m−フェニレンジアミン(芳香族アミン、
和光純薬工業(株)製) 実施例38:ピロリジン(2級アミン、和光純薬工業
(株)製) 実施例39:ヘキサメチレンテトラミン(3級アミン、
和光純薬工業(株)製) 実施例40:ステアリルジメチルベンジルアンモニウム
クロライド(4級アンモニウム塩、商標:カチオンS、
三洋化学工業(株)製) 実施例41:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ベ
タイン化合物、商標:オバゾリンLB、東邦化学工業
(株)製) 実施例42:重合脂肪酸とポリエチレンポリアミンの重
縮合生成物(ポリアミド樹脂、商標:315H、三和化
学工業(株)製) 実施例43:リノレイン2量体とエチレンジアミンの重
縮合生成物(ポリアミド樹脂、商標: Versamid, Gener
al Mills社製) 比較例16:防湿性向上剤を使用しなかった。 テスト結果を表5に示す。
【0126】実施例44〜48および比較例17〜19 フィロケイ酸塩化合物として平均粒子径13μmの絹雲
母顔料(セリサイトKF1325)の代わりに下記のフ
ィロケイ酸塩化合物顔料を用いたことを除き、他は実施
例31と同様にして防湿性紙を製造した。 実施例44:平均粒子径:20μmの白雲母(マイカA
21) 実施例45:平均粒子径:15μmのタルク(シュウエ
ン) 比較例17:平均粒子径:2μm、アスペクト比:5〜
10のカオリン(商標:ハイドラプリント、日成共益
(株)製) 実施例46:平均粒子径:5μmの白雲母(マイカA1
1) 実施例47:平均粒子径:33μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(マイカA31) 実施例48:平均粒子径:45μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(商標:マイカA51、山口雲母
(株)製) 比較例18:平均粒子径:55μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(商標:#4−K、KMG MINERALS製) 比較例19:平均粒子径:3.5μm、アスペクト比:
約1〜2の炭酸カルシウム顔料(商標:ソフトンBF−
100、備北粉化製) テスト結果を表6に示す。
【0127】実施例49〜52 合成樹脂(a)として、カルボン酸変化SBRラテック
ス(LX407S1X1)の代わりに下記の合成樹脂を
用いたことを除き他は実施例31と同様にして防湿性紙
を製造した。 実施例49:カルボン酸変性SBRラテックス(OX1
060) 実施例50:変性SBRラテックス(686A3) 実施例51:アクリル−スチレン共重合体ラテックス
(アロンA104) 実施例52:変性NBRラテックス(商標:LX55
0、日本ゼオン(株)製) テスト結果を表7に示す。
【0128】実施例53 水50重量部にキシレンジアミン1部と、アミノシラン
カップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、商標:KBM603、信越
化学工業(株)製)0.5重量部、合成樹脂(a)とし
て変性SBRラテックス(LX407S1X1)50重
量部(固形分)を加え攪拌した。次にフィロケイ酸塩化
合物(b)として平均粒子径:13μmの絹雲母(セリ
サイトKF1325)50部を加え、カウレス分散機で
30分間2000rpm で攪拌し塗工液を調製した。得ら
れた塗工液をメイヤーバーを用いて未晒両更クラフト紙
(坪量:70g/m2 )の片面に乾燥塗工量が30g/
2 になるように手塗りした後、熱風循環乾燥機で12
0℃1分間乾燥し、防湿層を形成して防湿性紙を製造し
た。テスト結果を表8に示す。
【0129】実施例54〜58 アミノシランカップリング剤の代わりに下記のカップリ
ング剤を用いたことを除き、他は実施例53と同様にし
て防湿性紙を製造した。 実施例54:エポキシシランカップリング剤(γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、商標:KBM4
03、信越化学工業(株)製) 実施例55:ビニルシランカップリング剤(ビニルトリ
メトキシシラン、商標:KBM1003、信越化学工業
(株)製) 実施例56:メタクリロキシシランカップリング剤(γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、商標:
KBM503、信越化学工業(株)製) 実施例57:メチルシランカップリング剤(メチルトリ
メトキシシラン、商標:KBM13、信越化学工業
(株)製) 実施例58:アミノチタネートカップリング剤(イソプ
ロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネー
ト、商標:KR44、味の素(株)) テスト結果を表8に示す。
【0130】
【表5】
【0131】
【表6】
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】表5〜7から明らかなように、防湿性向上
剤(c)として、有機アミン化合物、又はポリアミド化
合物を用いると(実施例30〜52)、得られる防湿性
紙は、良好な防湿性および離解性を示した。また、表8
から明らかなように、上記有機アミン化合物又はポリア
ミド化合物に、オルガノアルコキシシラン化合物又はオ
ルガノアルコキシ金属化合物を併用すると、得られる防
湿性紙の防湿性が一層向上した。
【0135】実施例59 水50重量部に、防湿性向上剤(c)として、フェノー
ルペンタエチレングリコールグリシジルエーテル(商
標:デナコールEx145、ナガセ化成工業(株)製)
1重量部、合成樹脂(a)として変性SBRラテックス
(商標:LX407S1X1、スチレン/ブタジエン/
カルボン酸含有コモノマー=34/47/19、日本ゼ
オン(株)製、固形分濃度:48%)50重量部(固形
分)を加え攪拌した。次にこの混合物にフィロケイ酸塩
顔料(b)として平均粒子径:13μm、アスペクト
比:20〜30)の絹雲母顔料(商標:セリサイトKF
1325、中央カオリン(株)製)50重量部を加えカ
ウレス分散機で30分間2000rpm で攪拌して塗工液
を調製した。得られた塗工液を、メイヤーバーを用いて
未晒両更クラフト紙(坪量:70g/m2 )に乾燥重量
が30g/m2 になるように手塗りした後、熱風循環乾
燥機で120℃1分間乾燥して防湿層を形成し、防湿性
紙を製造した。テスト結果を表9に示す。
【0136】実施例60〜63 実施例60〜63の各々において、実施例59と同様に
して防湿性紙を製造した。但し、防湿性向上剤(c)と
して、フェノールペンタエチレングリコールグリシジル
エーテルの代わりに下記の化合物を用いた。 実施例60:ブチレンオキサイド(和光純薬工業(株)
製) 実施例61:フェニルグリシジルエーテル(和光純薬工
業(株)製) 実施例62:アリルグリシジルエーテル(商標:デナコ
ールEX−111、ナガセ化成工業(株)製) 実施例63:ラウリルアルコールポリエチレンオキサイ
ドグリシジルエーテル、商標:デナコールEX171、
ナガセ化成工業(株)製) テスト結果を表9に示す。
【0137】実施例64〜68 実施例64〜68の各々において、実施例59と同様に
して防湿性紙を製造した。但し、フィロケイ酸塩化合物
粒子(c)として平均粒子径13μmの絹雲母顔料(セ
リサイトKF1325)の代わりに下記のフィロケイ酸
塩化合物粒子を用いた。 実施例64:平均粒子径:20μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(マイカA21) 実施例65:平均粒子径:15μm、アスペクト比:5
〜10のタルク(シュウエン) 実施例66:平均粒子径5μm、アスペクト比:20〜
30の白雲母(商標:マイカA11、山口雲母(株)
製) 実施例67:平均粒子径33μm、アスペクト比:20
〜30の白雲母(商標:マイカA31、山口雲母(株)
製) 実施例68:平均粒子径45μm、アスペクト比:20
〜30の白雲母(商標:マイカA51、山口雲母(株)
製) テスト結果を表10に示す。
【0138】実施例69〜72 実施例69〜72の各々において、実施例59と同様に
して防湿性紙を製造した。但し、実施例59で用いた合
成樹脂の代わりに下記の合成樹脂を用いた。 実施例69:変性SBR(商標:OX1060、スチレ
ン/ブタジエン/親水性官能基含有コモノマー共重合体
=58/36/6、日本ゼオン(株)製) 実施例70:変性SBR(商標:686A3、スチレン
/ブタジエン/親水性官能基含有コモノマー共重合体=
46/34/20、三井東圧(株)製) 実施例71:アクリルスチレン共重合体(商標:アロン
A104、東亜合成(株)製) 実施例72:NBR(商標:LX550、日本ゼオン
(株)製) テスト結果を表10に示す。
【0139】実施例73 水50重量部に防湿性向上剤として、フェノールペンタ
エチレングリコールグリシジルエーテル(商標:デナコ
ールEx145、ナガセ化成工業(株)製)1重量部、
アミノシランカップリング剤としてN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商標:K
BM603、信越化学工業(株)製)0.5重量部、合
成樹脂(a)として変性SBRラテックス(LX407
S1X1、固形分濃度:48%)50重量部(固形分)
を加え攪拌した。次にこの混合物にフィロケイ酸塩化合
物粒子(b)として平均粒子径:13μm、アスペクト
比:20〜30の絹雲母顔料(セリサイトKF132
5)50重量部を加え、カウレス分散機で30分間20
00rpm で攪拌して塗布液を調製した。得られた塗布液
を、メイヤーバーを用いて未晒両更クラフト紙(坪量:
70g/m2 )の片面に乾燥塗工量が30g/m2 にな
るように手塗りした後、熱風循環乾燥機で120℃1分
間乾燥して防湿層を形成し防湿性紙を製造した。テスト
結果を表11に示す。
【0140】実施例74〜78 実施例74〜78の各々において、実施例73と同様に
して防湿性紙を製造した。但し、実施例73において用
いられたアミノシランカップリング剤の代わりに下記の
カップリング剤を用いた。 実施例74:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、商標:KBM403、信越化学
工業(株)製) 実施例75:ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM1003、信越化学工業(株)製) 実施例76:メタクリロキシシラン(γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、商標:KBM503、
信越化学工業(株)製) 実施例77:メチルシラン(メチルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM13、信越化学工業(株)製) 実施例78:アミノチタネート(イソプロピルトリ(N
−アミノエチルアミノエチル)チタネート、商標:KR
44、味の素(株)) テスト結果を表11に示す。
【0141】比較例20 単官能エポキシ化合物を添加しないこと以外は実施例5
9と同様にして防湿性紙を製造した。テスト結果を表9
に示す。
【0142】比較例21 実施例59と同様にして防湿性紙を製造した。但し、実
施例59において用いられた平盤状粒子の代りに平均粒
子径:3.5μm、アスペクト比:約1〜2の炭酸カル
シウム(商標:ソフトンBF−100、備北粉化
(株))を用いた。テスト結果を表10に示す。
【0143】
【表9】
【0144】
【表10】
【0145】
【表11】
【0146】表9〜11は、本発明の防湿性紙におい
て、防湿性向上剤として添加されたエポキシ化合物によ
り、防湿性紙の防湿性が向上していることが示されてい
る。また、表11はさらに、カップリング剤の添加が、
防湿性の向上に有効なことが示されている。尚、本発明
に係る実施例59〜78の防湿性紙が良好な離解性を示
すことが確認された。
【0147】実施例79 水50重量部に、防湿性向上剤(c)としてポリアミン
ポリ尿素樹脂(商標:スミレーズレジン302、住友化
学工業(株)製)1重量部、合成樹脂(c)として変性
SBRラテックス(LX407S1X1、固形分濃度:
48%)50重量部(固形分)を加え攪拌した。次にフ
ィロケイ酸塩顔料(b)として平均粒子径:13μm、
アスペクト比:20〜30の絹雲母顔料(セリサイトK
F1325)50重量部を加え、カウレス分散機で30
分間2000rpm で攪拌して塗工液を調製した。得られ
た塗工液をメイヤーバーを用いて未晒両更クラフト紙
(坪量:70g/m2 )の片面に乾燥重量が30g/m
2 になるように手塗りした後、熱風循環乾燥機で120
℃1分間乾燥して防湿層を形成し、防湿性紙を製造し
た。テスト結果を表12に示す。
【0148】実施例80〜83 実施例80〜83の各々において、実施例79と同様に
して防湿性紙を製造した。但し、実施例79において防
湿性向上剤として使用されたスミレーズレジン302の
代わりに下記の化合物を用いた。 実施例80:スミレーズレジン633(ポリアミドポリ
尿素樹脂、住友化学工業(株)製) 実施例81:スミレーズレジン632(ポリアミドアミ
ンポリ尿素樹脂、住友化学工業(株)製) 実施例82:PA−620(ポリアミンポリ尿素樹脂、
日本PMC(株)製) 実施例83:PA−622(ポリアミドアミンポリ尿素
樹脂、日本PMC(株)製) テスト結果を表12に示す。
【0149】実施例84〜88 実施例79と同様にして防湿性紙を製造した。但し、実
施例79において用いられ平均粒子径13μmの絹雲母
顔料(セリサイトKF1325)の代わりに下記のフィ
ロケイ酸塩化合物を用いた。 実施例84:平均粒子径:20μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(マイカA21) 実施例85:平均粒子径:15μm、アスペクト比:5
〜10のタルク(シュウエン) 実施例86:平均粒子径:5μm、アスペクト比:20
〜30の白雲母(マイカA11) 実施例87:平均粒子径:33μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(マイカA31) 実施例88:平均粒子径:45μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(商標:マイカA51、山口雲母
(株)製) テスト結果を表12に示す。
【0150】実施例89〜92 実施例89〜92の各々において実施例79と同様にし
て防湿性紙を製造した。但し、実施例79で用いた合成
樹脂の代わりに下記の合成樹脂を用いた。 実施例89:変性SBR(商標:OX1060、スチレ
ン/ブタジエン/親水性官能基含有モノマー=58/3
6/6、日本ゼオン(株)製) 実施例90:変性SBR(商標:686A3、スチレン
/ブタジエン/親水性官能基含有モノマー=46/34
/20、三井東圧(株)製) 実施例91:アクリルスチレン共重合体(商標:アロン
A104、東亜合成(株)製) 実施例92:NBR(商標:LX550、日本ゼオン
(株)製) テスト結果を表12に示す。
【0151】実施例93 水50重量部に防湿性向上剤としてポリアミンポリ尿素
樹脂(商標:スミレーズレジン302、住友化学工業
(株)製)1重量部、アミノシランカップリング剤(N
−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、商標:KBM603、信越化学工業(株)製)
0.5重量部、合成樹脂(a)として、変性SBRラテ
ックス(LX407S1X1、固形分濃度:48%)5
0重量部(固形分)を加え攪拌した。次にこの混合物に
フィロケイ酸塩化合物(c)として平均粒子径:13μ
m、アスペクト比:20〜30の絹雲母顔料(セリサイ
トKF1325)50重量部を加え、カウレス分散機で
30分間2000rpm で攪拌して塗工液を調製した。得
られた塗工液をメイヤーバーを用いて未晒両更クラフト
紙(坪量:70g/m2 )の片面に乾燥塗工量が30g
/m2 になるように手塗りした後、熱風循環乾燥機で1
20℃1分間乾燥して防湿層を形成し防湿性紙を製造し
た。テスト結果を表13に示す。
【0152】実施例94〜98 実施例94〜98の各々において、実施例93と同様に
して防湿性紙を作製した。但し、実施例93において用
いられたアミノシランカップリング剤の代わりに下記の
カップリング剤を用いた。 実施例94:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、商標:KBM403、信越化学
工業(株)製) 実施例95:ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM1003、信越化学工業(株)製) 実施例96:メタクリロキシシラン(γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、商標:KBM503、
信越化学工業(株)製) 実施例97:メチルシラン(メチルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM13、信越化学工業(株)製) 実施例98:アミノチタネート(イソプロピルトリ(N
−アミノエチルアミノエチル)チタネート、商標:KR
44、味の素(株)) テスト結果を表13に示す。
【0153】比較例22 実施例79と同様にして防湿性紙を製造した。但し、フ
ィロケイ酸塩化合物の代わりに平均粒子径:3.5μ
m、アスペクト比:約1〜2の炭酸カルシウム(商標:
ソフトンBF−100、備北粉化(株))を用いた。テ
スト結果を表12に示す。
【0154】
【表12】
【0155】
【表13】
【0156】表12および13が示すように、本発明に
係る実施例79〜98の防湿性紙は、防湿性向上剤とし
て添加されたポリアミンポリ尿素系化合物により、その
防湿性は優れていた。また表13は、カップリング剤の
併用により防湿性が更に向上することを示している。実
施例79〜98の防湿性紙は、実用上十分な離解性を有
していた。
【0157】実施例99 水50重量部に、アンモニア0.1重量部、ジエチレン
トリアミン、アジピン酸およびエピクロルヒドリンより
得られた樹脂(商標:WS535、日本PMC(株)
製)0.5重量部を順次攪拌しながら加えた。次にこれ
に合成樹脂として変性SBRラテックス(LX407S
1X1、固形分濃度:48%)50重量部(固形分)を
加え攪拌した。次にこの混合物に、フィロケイ酸塩顔料
(c)として平均粒子径:13μm、アスペクト比:2
0〜30の絹雲母顔料(セリサイトKF1325)50
重量部を加え、カウレス分散機で30分間2000rpm
で攪拌して塗布液を調製した。得られた塗布液をメイヤ
ーバーを用いて未晒両更クラフト紙(坪量:70g/m
2 )の片面に乾燥塗工量が30g/m2 になるように手
塗りした後、熱風循環乾燥機で120℃1分間乾燥して
防湿層を形成し、防湿性紙を製造した。テスト結果を表
14に示す。
【0158】実施例100〜102 実施例100〜102の各々において実施例99と同様
にして防湿性紙を製造した。但し、実施例99において
用いられたジエチレントリアミン−アジピン酸−エピク
ロロヒドリン縮合反応生成物(WS535)の代わりに
下記の化合物を用いた。 実施例100:ジアリルアミン類の重合体とエピクロル
ヒドリンから得られた樹脂(商標:WS564、日本P
MC(株)製) 実施例101:ビスヘキサメチレントリアミンとエピク
ロルヒドリンから得られた樹脂(商標:WS500、日
本PMC(株)製) 実施例102:ジエチレントリアミン、ジシアンジアミ
ドおよびエピクロルヒドリンから得られた樹脂(商標:
WS515、日本PMC(株)製) テスト結果を表14に示す。
【0159】実施例103〜107および比較例23 実施例103〜107および比較例23の各々において
実施例99と同様にして防湿性紙を製造した。但し、実
施例99において用いられた平均粒子径13μmの絹雲
母顔料の代わりに下記のフィロケイ酸塩化合物を用い
た。 実施例103:平均粒子径:20μm、アスペクト比:
20〜30の白雲母(マイカA21) 実施例104:平均粒子径:15μm、アスペクト比:
5〜10のタルク(シュウエン) 実施例105:平均粒子径:5μm、アスペクト比:2
0〜30の白雲母(マイカA11) 実施例106:平均粒子径:33μm、アスペクト比:
20〜30の白雲母(マイカA31) 実施例107:平均粒子径:45μm、アスペクト比:
20〜30の白雲母(マイカA51) 比較例23:平均粒子径:3.5μm、アスペクト比:
約1〜2の炭酸カルシウム(ソフトンBF−100) テスト結果を表14に示す。
【0160】実施例108〜111 実施例108〜111の各々において、実施例99と同
様にして防湿性紙を製造した。但し、実施例99で用い
た合成樹脂の代わりに下記の合成樹脂を用いた。 実施例108:変性SBR(商標:OX1060、スチ
レン/ブタジエン/親水性官能基含有モノマー=58/
36/6、日本ゼオン(株)製) 実施例109:変性SBR(商標:686A3、スチレ
ン/ブタジエン/親水性官能基含有モノマー=46/3
4/20、三井東圧(株)製) 実施例110:アクリルスチレン共重合体(商標:アロ
ンA104、東亜合成(株)製) 実施例111:NBR(商標:LX550、日本ゼオン
(株)製) テスト結果を表14に示す。
【0161】実施例112 水50重量部に、アンモニア0.1重量部、前記ジエチ
レントリアミン−アジピン酸−エピクロルヒドリン縮合
反応生成物(WS535)0.5部、アミノシランカッ
プリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、商標:KBM603、信越化学
工業(株)製)0.5重量部を攪拌しながら順次加え、
さらに合成樹脂(a)として変性SBRラテックス(L
X407S1X1、固形分濃度48%)50重量部(固
形分)を加え攪拌した。次にこの混合液にフィロケイ酸
塩化合物(b)として平均粒子径:13μm、アスペク
ト比:20〜30の絹雲母顔料(セリサイトKF132
5)50重量部を加え、カウレス分散機で30分間20
00rpm で攪拌して塗工液を調製した。得られた塗工液
をメイヤーバーを用いて未晒両更クラフト紙(坪量:7
0g/m2 )の片面に乾燥重量が30g/m2 になるよ
うに手塗りした後、熱風循環乾燥機で120℃1分間乾
燥して防湿層を形成し、防湿性紙を製造した。テスト結
果を表15に示す。
【0162】実施例113〜117 実施例113〜117の各々において、実施例112と
同様にして防湿性紙を製造した。但し、実施例112に
おいて用いられたアミノシランカップリング剤の代わり
に下記のカップリング剤を用いた。 実施例113:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、商標:KBM403、信越化
学工業(株)製) 実施例114:ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM1003、信越化学工業(株)製) 実施例115:メタクリロキシシラン(γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、商標:KBM50
3、信越化学工業(株)製) 実施例116:メチルシラン(メチルトリメトキシシラ
ン、商標:KBM13、信越化学工業(株)製) 実施例117:アミノチタネート(イソプロピルトリ
(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、商標:
KR44、味の素(株)) テスト結果を表15に示す。
【0163】
【表14】
【0164】
【表15】
【0165】表14および15が示すように、本発明に
係る実施例99〜117の防湿性紙は、防湿性向上剤と
して、ポリアミン化合物又はポリアミド化合物とエピハ
ロヒドリンとの縮合反応生成物を用いることにより、防
湿性を向上させることができた。また表15に示されて
いるように、この縮合反応生成物とカップリング剤とを
併用することにより防湿性を更に向上させることができ
る。実施例99〜117の防湿性紙はいずれも実用上十
分な離解性を有していた。
【0166】実施例118 グリシドキシシランカップリング剤(商標:KBM40
3、信越化学工業製)の10重量%トルエン溶液を調製
し、この溶液10重量部を、120℃において1時間乾
燥処理された白雲母顔料(商標:マイカA21、平均粒
径20μm、アスペクト比:20〜30、山口雲母工業
製)100重量部に滴下しつゝ、ミキサー中で、回転数
1000rpm で10分間攪拌し、80℃の温度で2時間
乾燥した。カップリング剤表面処理白雲母顔料(a)が
得られた。100重量部の水に、100重量部の前記カ
ップリング剤表面処理白雲母顔料(a)および0.2重
量部のポリアクリル酸系分散剤(商標:キャリボンL4
00、東亜合成製)を混合し、カウレス分散機を用い
て、回転数2000rpm において30分間分散処理し
た。前記分散液と、カルボン酸変性SBRラテックス
(商標:LX407S1X1)とを、フィロケイ酸塩化
合物および合成樹脂の固形分重量比が50/50になる
ように混合し、さらに、1重量部(固形分)のメラミン
−ホルマリン縮合反応生成物(商標:ユーラミンP63
00、三井東圧(株)製)を添加して塗工液を調製し
た。この塗工液を、坪量70g/m2 の未晒両更クラフ
ト紙の片面に、メイヤーバーを用いて、乾燥塗工量が2
0g/m2 になるように塗工し、この塗工液層を、11
0℃の温度で2分間乾燥して防湿層を形成し、防湿性紙
を作製した。テスト結果を表16に示す。
【0167】実施例119 メタクリロキシシランカップリング剤(商標:KBM5
03、信越化学工業製)の10重量%トルエン溶液を調
製し、この溶液10重量部を、120℃において1時間
乾燥処理された白雲母顔料(商標:マイカA21、平均
粒径20μm、アスペクト比:20〜30、山口雲母工
業製)100重量部に滴下しつゝ、ミキサー中で、回転
数1000rpm で10分間攪拌し、80℃の温度で2時
間乾燥した。カップリング剤表面処理白雲母顔料(b)
が得られた。95重量部の水および5重量部のイソプロ
ピルアルコールとの混合液に、100重量部の前記カッ
プリング剤表面処理白雲母顔料(b)および0.2重量
部のポリアクリル酸系分散剤(商標:キャリボンL40
0、東亜合成製)を混合し、カウレス分散機を用いて、
回転数2000rpm において30分間分散処理した。前
記分散液と、カルボン酸変性SBRラテックス(LX4
07S1X1)とを、フィロケイ酸塩化合物および合成
樹脂の固形分重量比が50/50になるように混合し、
これに、1重量部(固形分)のポリアミド樹脂(商標:
スミレーズレジン5001、住友化学(株)製)を添加
して塗工液を調製した。この塗工液を、坪量70g/m
2 の未晒両更クラフト紙の片面に、メイヤーバーを用い
て、乾燥塗工量が20g/m2 になるように塗工し、こ
の塗工液層を、110℃の温度で2分間乾燥して防湿層
を形成し、防湿性紙を作製した。テスト結果を表16に
示す。
【0168】実施例120 絹雲母顔料(商標:セリサイトKF1325、平均粒
径:13μm、アスペクト比:20〜30、中央カオリ
ン(株)製)100重量部を100重量部の水中に分散
し、この分散液に、ステアロイルチタネートカップリン
グ剤(商標:KRET、味の素(株)製)1重量部を滴
加し、カラレス分散機を用いて回転数2000rpm で3
分間分散した。この分散液に固形分100重量部の変性
SBRラテックス(LX407S1X1)を添加し、さ
らに固形分2重量部のグリオキザール(和光純薬(株)
製)を添加して、防湿塗料を調製した。この塗料を用い
て、実施例118と同様にして防湿性紙を作製した。テ
スト結果を表16に示す。
【0169】実施例121 実施例120と同様にして防湿性紙を作製した。但し、
グリオキザールの代りに、ソルビトールポリグリシジル
エーテル(商標:デナコールEX614B、ナガセ化成
(株)製)を用い、かつ変性SBR(LX407S1X
1)の代りに、スチレン−ブタジエン−カルボン酸基含
有コモノマー共重合体(商標:JO619、日本合成ゴ
ム(株)製、固形分:48%、カルボン酸変性率:4
%)を用いた。テスト結果を表16に示す。
【0170】
【表16】
【0171】表16に示されているように、実施例11
8〜121により得られた防湿性紙は、架橋性化合物と
カップリング剤とからなる防湿性向上剤を用いたことに
よって、良好な防湿性および耐ブロッキング性を有し、
かつ、実用上十分な離解性を有していた。
【0172】
【発明の効果】本発明に係る防湿性紙は、良好な防湿性
および離解性を有し、さらに適度な摩擦係数および優れ
た耐ブロッキング性を有し、回収再利用可能な防湿性紙
として、高い実用性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見門 秀幸 東京都江東区東雲1丁目10番6号 新王 子製紙株式会社 東雲研究センター内 (72)発明者 古賀 慎一 東京都江東区東雲1丁目10番6号 新王 子製紙株式会社 東雲研究センター内 (56)参考文献 特開 平9−67795(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙支持体および、前記紙支持体の少なく
    とも1面上に形成された防湿層を含み、 前記防湿層が、(a)防湿性・皮膜形成性合成樹脂、
    (b)5〜50μmの平均粒子径と、5以上のアスペク
    ト比を有する平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子、および
    (c)防湿性向上剤、を含む防湿性紙。
  2. 【請求項2】 前記防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)
    が、 (a−1)炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合物、
    炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エステル、炭素原
    子数が5〜12個のメタクリル酸エステル、炭素原子数
    が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭素原
    子数が6〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジ
    ルエステルおよび炭素原子数が8〜11個の芳香族ビニ
    ル化合物から選ばれた少なくとも1種のモノマーの重合
    体および共重合体、および(a−2)炭素原子数が4〜
    6個の共役ジエン化合物、炭素原子数が4〜11個のア
    クリル酸エステル、炭素原子数が5〜12個のメタクリ
    ル酸エステル、炭素原子数が3〜4個のエチレン性不飽
    和ニトリル化合物、炭素原子数が6〜7個のエチレン性
    不飽和カルボン酸グリシジルエステル、炭素原子数が5
    〜6個のエチレン性不飽和アルコールグリシジルエーテ
    ルおよび炭素原子数が8〜11個の芳香族ビニル化合物
    から選ばれた1種以上の疎水性コモノマーと、炭素原子
    数が3〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸、および炭
    素原子数が3〜9個のエチレン性不飽和カルボン酸アミ
    ドから選ばれた1種以上の親水性コモノマーとの共重合
    体、から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1に記載
    の防湿性紙。
  3. 【請求項3】 前記防湿性向上剤(c)が、尿素−ホル
    ムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアルデ
    ヒド縮合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のアルデヒ
    ド化合物、1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合
    物、架橋反応性多価金属化合物、オルガノアルコキシシ
    ラン化合物、オルガノアルコキシ金属化合物、有機アミ
    ン化合物、アンモニア、ポリアミド化合物、ポリアミド
    ポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミ
    ドアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミン化合物、ポ
    リアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒ
    ド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又は
    ホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素
    −エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
    物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
    アルデヒド縮合反応生成物、およびポリアミドアミンポ
    リ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反
    応生成物から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1
    に記載の防湿性紙。
  4. 【請求項4】 前記防湿性向上剤(c)が、共有結合に
    よる架橋反応性化合物を含み、この化合物が前記防湿性
    ・皮膜形成性合成樹脂(a)と反応してこれを疎水性化
    している、請求項2に記載の防湿性紙。
  5. 【請求項5】 前記防湿性向上剤(c)が、イオン架橋
    反応性化合物を含み、この化合物が前記防湿性・皮膜形
    成性合成樹脂(a)と反応してこれを疎水性化してい
    る、請求項2に記載の防湿性紙。
  6. 【請求項6】 前記防湿性向上剤(c)が、架橋配位反
    応性化合物を含み、この化合物が前記防湿性・皮膜形成
    性合成樹脂(a)と反応してこれを疎水性化している、
    請求項2に記載の防湿性紙。
  7. 【請求項7】 前記オルガノアルコキシシラン化合物お
    よびオルガノアルコキシ金属化合物から選ばれた少なく
    とも1種が、前記フィロケイ酸塩化合物粒子の表面に担
    持されている、請求項3に記載の防湿性紙。
  8. 【請求項8】 前記防湿性・皮膜形成性合成樹脂(a)
    と、前記フィロケイ酸塩化合物粒子(b)との重量配合
    比(a):(b)が、30〜70:70〜30であり、
    前記防湿性向上剤(c)の配合重量が、前記防湿性・皮
    膜形成性合成樹脂(a)100重量部に対し、0.05
    〜10重量部である請求項1に記載の防湿性紙。
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