JP2001342433A - 建材用防湿水性塗料及び建材用防湿性構造体 - Google Patents

建材用防湿水性塗料及び建材用防湿性構造体

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JP2001342433A
JP2001342433A JP2000162888A JP2000162888A JP2001342433A JP 2001342433 A JP2001342433 A JP 2001342433A JP 2000162888 A JP2000162888 A JP 2000162888A JP 2000162888 A JP2000162888 A JP 2000162888A JP 2001342433 A JP2001342433 A JP 2001342433A
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JP2000162888A
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Hisanori Yagi
寿則 八木
Takashi Sako
隆 河向
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非塩素系合成樹脂を使用して極めて高い防湿性
を有し、水系で作業適性に優れた建材用防湿水性塗料、
並びに建材用防湿性構造体を得る。 【解決手段】非塩素系皮膜形成性合成樹脂及び平盤状フ
ィロケイ酸塩化合物粒子を含有する建材用防湿水性塗
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築材料である支持
体に塗工して、耐腐蝕性向上、結露防止等のために防湿
性を付与する建材用防湿水性塗料、及び前記建材用防湿
水性塗料を塗工してなる建材用防湿構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物を構成する屋根材、天井
材、壁材、床材等、及びそれらを構成する石膏ボード、
鉄板、化粧板、壁紙等の各種建材上に被膜形成性を有す
る合成樹脂を積層して水蒸気の透過を防止することは知
られている。これは、各種ボード状の建材が、吸湿によ
る反りが発生することを防止したり、また、建材の材料
が吸湿による強度劣化が発生することを防止するなどの
目的で行われる。また、例えばグラスウールや石綿等を
主体とする無機質断熱材はそれ自体の透湿性が大きいた
め、これを外壁等建物外郭部の内側に取り付けた場合、
室内の水蒸気が断熱材内部に浸入、外郭部表面あるいは
その近傍で冷却され結露するという、いわゆる内部結露
の現象を生じ、室内への結露水の滲みだし、それによる
汚斑、断熱性の低下等の被害をもたらす。このため、合
成樹脂フイルム等の透湿抵抗性の高い素材を前記断熱材
の室内側面に貼ることが行われている。また、建材上に
ポリ塩化ビニリデンを塗装して外気水蒸気の浸入を防い
で耐腐食性を付与したり、結露を防ぐ方法が存在した。
更に建築施工時、建材の必要な部位にポリ塩化ビニリデ
ンの水性エマルジョンを塗装し、防湿性を高めて家屋の
結露によるカビの発生や、湿気による腐敗を防止する方
法が知られている。特開平5−98711には石膏ボー
ド表面に塩化ビニリデン系共重合体を形成した防湿石膏
ボード、特開平11−269425にはポリ塩化ビニリ
デン樹脂を主体とする建材用防湿水性塗料、特開平11
−348180には化粧板表面にポリ塩化ビニリデンを
含む防湿防水塗膜層を形成する方法が記載されている。
これらポリ塩化ビニリデンを主体とする塗料により建材
に防湿性を付与する方法は、ポリ塩化ビニリデンの膜厚
数十μm程度で透湿度が10g/m2・24hr以下とい
う高い防湿性がえられるため、用いられている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかし、最近の環境
重視の情勢から、建材を解体して破棄焼却する際、より
環境負荷の少ない素材が求められている。その際、ポリ
塩化ビニリデン等の塩素を含有する塩素系樹脂は、焼却
処理時にダイオキシンの発生の原因となる恐れがあるた
め、建材の防湿用素材として非塩素系樹脂を用いるもの
が望まれている。また、有機溶剤系の塗料は環境に与え
る負荷、及び人体への悪影響や可燃性等から作業時の安
全性に配慮する必要があることから水系の塗料が求めら
れている。このような非塩素系の建材用防湿水性塗料と
しては特開平9−328672に合成樹脂エマルジョ
ン、タッキフアイヤーエマルジョン、ワックスエマルジ
ョン、シリコン樹脂エマルジョン、フッ素樹脂エマルジ
ョン等の撥水材を含む防湿性接着剤組成物が開示されて
いる。これら撥水材を含む防湿塗料による防湿層は表面
の撥水性によって建材内部への水の浸入を防ぐものであ
るが、水蒸気の浸入を高い能力で防止するために必要な
透湿度が一桁の防湿層を形成することができないか、で
きたとしても防湿層の膜圧が100μm以上にもなるた
め、希釈媒としての水の乾燥に長時間を要したり経済的
に成り立たない。このように、高い防湿性を有する防湿
層を得ることができる非塩素系の樹脂を主体とした建材
用防湿水性塗料は存在しなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記課題を
解決するために以下の方法をとる。即ち、本発明は、非
塩素系皮膜形成性合成樹脂及び平盤状フィロケイ酸塩化
合物粒子を含有する建材用防湿水性塗料である。また、
本発明の2は、さらに防湿性向上剤を含有する前記建材
用防湿水性塗料である。また、本発明の3は、非塩素系
皮膜形成性合成樹脂がアルカリ可溶性樹脂である前記建
材用防湿水性塗料である。また、本発明の4は、防湿性
向上剤が含窒素化合物である前記建材用防湿水性塗料で
ある。また、本発明の5は、支持体の少なくとも一面に
前記の建材用防湿水性塗料を塗工して形成した防湿層を
有する建材用防湿性構造体である。また、本発明の6
は、支持体に下地層を形成し、その上に防湿層を形成し
た前記建材用防湿性構造体である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の建材用防湿水性塗料は、
非塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)及び平盤状フィロケ
イ酸塩化合物粒子(b)を含むものである。
【0006】本発明において、非塩素系皮膜形成性合成
樹脂(a)には格別の限定はないが、下記(a−1)及
び(a−2)群から選ばれた少なくとも1種の重合体又
は共重合体を含むものであることが好ましい。 (a−1):炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合
物、炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エステル、炭
素原子数が5〜12個のメタクリル酸エステル、炭素原
子数が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭
素原子数が6〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリ
シジルエステル及び炭素原子数が8〜11個の芳香族ビ
ニル化合物から選ばれた少なくとも1種のモノマーの重
合体及び共重合体。 (a−2):炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合
物、炭素原子数が4〜11個のアクリル酸エステル、炭
素原子数が5〜12個のメタクリル酸エステル、炭素原
子数が3〜4個のエチレン性不飽和ニトリル化合物、炭
素原子数が6〜7個のエチレン性不飽和カルボン酸グリ
シジルエステルおよび炭素原子数が8〜11個の芳香族
ビニル化合物から選ばれた1種以上の疎水性コモノマー
と、炭素原子数が3〜7個のエチレン性不飽和カルボン
酸、および炭素原子数が3〜9個のエチレン性不飽和カ
ルボン酸アミドから選ばれた1種以上の親水性コモノマ
ーとの共重合体。
【0007】本発明において、非塩素系皮膜形成性合成
樹脂(a)に含まれる重合体及び共重合体(a−1)及
び(a−2)のモノマー又はコモノマーとして用いられ
る炭素原子数が4〜6個の共役ジエン化合物は、ブタジ
エン(1,3−ブタジエン)、イソプレン、及び2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエンから選ばれることが好
ましく、より好ましくは1,3−ブタジエン及びイソプ
レンである。
【0008】また、炭素原子数が4〜11個のアクリル
酸エステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸n−ペンチル
(アミル)、アクリル酸イソアミル(ペンチル)、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシ
プロピル、およびアクリル酸n−ノニル等から選ぶこと
ができ、好ましくはアクリル酸メチル及びアクリル酸エ
チルである。
【0009】本発明に用いられる炭素原子数が5〜12
個のメタクリル酸エステルは、例えば、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−
ブチル、メタクリル酸n−ペンチル(アミル)、メタク
リル酸イソアミル(ペンチル)、メタクリル酸n−ヘキ
シル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、及びメタクリル酸n−ノニル等から選ぶことがで
き、好ましくはメタクリル酸メチル及びメタクリル酸エ
チルである。
【0010】本発明に用いられる炭素原子数が3〜4個
のエチレン性不飽和ニトリル化合物は、好ましくはアク
リロニトリル及びメタクリロニトリルから選ばれ、好ま
しくはアクリロニトリルである。
【0011】本発明に用いられる炭素原子数が6〜7個
のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、
好ましくはアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリ
シジルであり、アクリル酸グリシジルが好ましい。
【0012】本発明に用いられる炭素原子数が8〜11
個の芳香族ビニル化合物は、好ましくはスチレン、α−
メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン
及びp−tert−ブチルクロロスチレン等から選ば
れ、より好ましくはスチレンである。
【0013】本発明に用いられる炭素原子数が5〜6個
のエチレン性不飽和アルコールグリシジルエーテルは、
アクリルグリシジルエーテル及びメタクリルグリシジル
エーテルから選ばれ、好ましくはアクリルグリシジルエ
ーテルである。
【0014】本発明において、非塩素系被膜形成性合成
樹脂(a)に含まれる共重合体(a−2)の親水性コモ
ノマーとして用いられる炭素原子数が3〜7個のエチレ
ン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸
(アンゲリカ酸、チグリン酸等)、ヘキセン酸(2−ヘ
キセン酸、3−ヘキセン酸等)及びヘプテン酸(2−ヘ
プテン酸等)、ブテン二酸(フマル酸、マレイン酸)、
イタコン酸等であり、好ましくはアクリル酸及びメタク
リル酸である。
【0015】このようなカルボン酸基含有モノマーを用
いて得られる重合体又は共重合体、例えばカルボン酸変
性スチレン−ブタジエン共重合体は、アルカリ水溶液、
即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカ
リ金属水酸化物の水溶液中に可溶、又は一部膨潤した状
態であり、疎水性基を有する塩基性化合物、例えば有機
アミン化合物との造塩反応により疎水性化、及び水不溶
性化することができる。
【0016】本発明に用いられる炭酸原子数が3〜9個
のエチレン性不飽和カルボン酸アミドは、アクリル酸ア
ミド、メタクリル酸アミド、ビニル酢酸アミド、ペンテ
ン酸アミド、ブテン二酸のモノアミド及びジアミド、イ
タコン酸のモノアミド及びジアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−
ジメチロールアクリルアミド、N−ジメチロールメタク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、及び
N−ブトキシメチルメタクリルアミド等を包含し、好ま
しくはアクリル酸アミド及びメタクリル酸アミドであ
る。
【0017】また、共重合体(a−2)において、疎水
性コモノマーと親水性コモノマーとの共重合モル比に格
別の制限はないが、これは一般に、95〜60:5〜4
0であることが好ましく、90〜70:10〜30であ
ることがより好ましい。疎水性コモノマーと親水性コモ
ノマーの共重合モル比が60:40未満では、親水性コ
モノマーの含有率が過大になって、得られる共重合体の
防湿、耐水性が不十分になることがあり、またそれが9
5:5より大きくなると、親水性コモノマーの含有率が
過少になり、得られる共重合体の物性、特に防湿性向上
剤の効果に対する親水性コモノマーの寄与が不十分にな
ることがある。
【0018】本発明に用いられる非塩素系皮膜形成性合
成樹脂(a)は、主として防湿層形成用バインダーとし
て機能し、かつ水蒸気透過を防止するものであって、水
性溶液、水性分散液、又は水性乳液として用いられる。
非塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)が水不溶性である場
合は、分散剤及び/又は乳化剤の使用量をできるだけ少
なくすること及び/又は反応性界面活性剤を用いること
が好ましく、重合にあたり乳化剤、又は分散剤の使用量
を可及的に少なくし、かつ粒子径をできるだけ小さくす
ること(好ましくは150nm以下)が好ましい。ま
た、合成樹脂は5〜90℃のガラス転移温度(Tg)を
有することが好ましく、5〜40℃の場合は常温で成膜
することが容易であるが40℃〜90℃の場合はブチル
カルビトールアセテートやポリビニルピロリドンなどの
成膜助剤で樹脂を可塑化して柔軟化するのが好ましい。
これらの樹脂の中でも、官能基としてカルボン酸をアン
モニウム塩、ナトリウムなどのアルカリ金属塩やアルカ
ノールアミンなどの塩基化合物で中和して水可溶性にし
たアルカリ可溶性樹脂は、エマルジョンなどの乳化物と
して得られる樹脂に比べ、成膜した場合の膜の均一性が
優れ水分子の膜中への拡散速度が低下し、高い防湿性が
得られるため好ましい。これらにはエチレンとカルボン
酸のアンモニウム塩などのαオレフィン不飽和カルボン
酸の共重合体がある。更に、エマルジョンなどの乳化物
からなる樹脂などの場合は、成膜したのちに加熱してエ
マルジョン粒子を変形融着させて均一な皮膜とすること
が好ましい。このためにはTg以上の温度で数分以上加
熱することが必要であり、Tgが高いほど長時間保持す
る必要がある。この加熱温度は通常100℃以上、好ま
しくは130℃以上で3分以上加熱することが好まし
い。しかし、200℃以上であると変色や炭化が発生す
るため好ましくない。
【0019】本発明の建材防湿水性塗料に含まれる平盤
状フィロケイ酸塩化合物粒子は、この平盤状粒子を含む
塗工液を支持体面上に塗工すると、平盤状粒子は、その
平盤状表面を互にほぼ平行に、かつ支持体表面にほぼ平
行に配列し、この配列が積層されるため、平盤状粒子間
隙が狭くなるから、防湿層を透過する水蒸気は、平盤状
粒子の表面に沿って迂回しなければならず、従って、水
蒸気の透過距離が長くなり、水蒸気の単位時間当りの透
過量が低下するものと思われる。従って、例えば合成樹
脂ラテックスを主成分とする数百μm以上の厚さを有す
る防湿層で得られる防湿性能と同じような性能が、本発
明の防湿塗料では、その防湿層厚みが数十μmで達成す
ることができる。
【0020】本発明の平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
(b)は、5〜50μm、好ましくは10〜40μmの
平均粒子径と、5以上、好ましくは10以上のアスペク
ト比を有するものである。本発明に用いられるフィロケ
イ酸塩化合物粒子平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子の平
均粒子径が5μm未満のものは、塗工によって、平盤状
粒子が互にかつ支持体表面に平行に配向することが困難
になり、従って十分な防湿性向上効果をあげることがで
きない。また平均粒子径が50μmを越えると、塗工液
の調製中に平盤状粒子が破損して小粒子化しやすく、ま
た平盤状粒子の一部が塗工面から突出することがあり、
また、防湿層中における平盤状粒子の積層数が低下して
十分な防湿性向上効果をあげることができなくなる。
【0021】また、本発明において平盤状フィロケイ酸
塩化合物粒子のアスペクト比が5未満であると、平盤状
粒子を、互に、かつ紙支持体表面にほぼ平行に配列する
ことが困難になり、このため得られる防湿層の防湿性が
不十分になる。またアスペクト比は大である程、塗工層
中の平盤状粒子の積層数が大になり、従って防湿性も向
上する。平盤状粒子の厚さは、フィロケイ酸塩化合物の
種類、粉砕方法、平均粒子径などによって変動する。一
般に、平均粒子径が20μmの平盤状粒子において、そ
の粒子径は、2〜60μmの範囲に分布しており、また
この粒子の厚さも0.1〜数μmの範囲に分布してい
る。
【0022】本発明において、平盤状フィロケイ酸塩化
合物粒子を防湿層に含有させるとき、その粒子径が塗工
層の厚さに対して過度に小さい場合、塗工液に含まれる
平盤状粒子のうち、紙支持体の表面にほぼ平行に配向す
る粒子の割合が小さくなり、所望の防湿性能を得るため
に必要な防湿層の厚さが大きくなる。このため、可及的
に小さな防湿層の厚さおいて、可及的に高い防湿性能を
得るためには、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子の平均
粒子径は、塗工液層の厚さの20%以上であることが好
ましい。また、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子の最大
長径は、得られる防湿層の厚さより小さく、防湿層厚さ
の100%以下であることが好ましい。平盤状粒子の最
大長径が過大であると、粒子の一部が得られる防湿層表
面から突出したりするなどの不都合を生ずることがある
から、このような平盤状粒子の使用量は少ない方が好ま
しい。
【0023】本発明に用いられるフィロケイ酸塩化合物
粒子は、板状、又は薄片状であって明瞭な劈開性を示
す。平盤状フィロケイ酸塩化合物は例えば雲母、パイロ
フィライト、タルク、緑泥岩、セプテ緑石、蛇紋岩、及
びスチルプノメレーン等を包含し、これらの中でも、産
出時の粒子が大きく、産出量も大きい鉱物、例えば雲母
及びタルクを用いることが好ましい。雲母族鉱物は、白
雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母
(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金
雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジン
マイカ、イライト、チンマイカ、パラゴライト、ブリト
ル雲母等があげられる。また、カオリンの一種であるデ
ラミカオリンも本発明の平盤状フィロケイ酸塩化合物に
包含される。
【0024】上記のような平盤状フィロケイ酸塩化合物
のうち、粒子の大きさ、アスペクト比、及びコストを勘
案すれば、白雲母、絹雲母、及びタルクが本発明に好適
に使用される。白雲母の化学組成は一般式:K2O・3
Al23・6SiO2・2H2Oで表現されるものであ
る。この白雲母粒子を調製するには、白雲母原石をハン
マーミル等の乾式粉砕機で粉砕分級し、所望の粒子径分
布の部分を採取し、必要により、更に水中においてガラ
スビーズを粉砕媒として用いるサンドミル等の湿式粉砕
機による湿式粉砕を施し、所望の粒子径分布の雲母を得
る。この際、アスペクト比を所定値範囲内に維持するた
めに、過大な力がかからないようにして粉砕したり、超
音波をかけながら湿式粉砕(米国特許第3240203
号)する等の配慮を施すことにより、アスペクト比の高
い雲母粉末を調製することができる。通常これらの方法
で得られた白雲母粉末のアスペクト比は、電子顕微鏡の
観察等によれば20〜30である。アスペクト比が10
0程度のものも得られるが、このような高アスペクト比
粒子は工業的生産が困難であるうえ、コスト高になるか
ら、実用は困難である。
【0025】絹雲母と称せられるセリサイトの化学組成
は、白雲母のそれに類似しているが、SiO2/Al2
3の比率が僅かに大きく、K2Oの含有率が小さいもので
ある。しかしセリサイトは白雲母に比べ原石が細かいた
め、一般的に粉砕分級して得られた絹雲母の平均粒子径
は0.5〜2μm程度であり、市販されているものはこ
れらの範囲のものがほとんどである。このため本発明に
使用するには、絹雲母として、特異的に大きい粒子径分
布のものを選択する必要があり、粉砕条件を大幅に緩和
したり、汎用製品の分級残査粗粒子部分等の中から更に
分級し、必要な平均粒子径及びアスペクト比を有するも
のを使用する。このような方法で白雲母とほぼ同じアス
ペクト比のセリサイトを得ることができ、そのアスペク
ト比は10〜30であることが一般である。
【0026】タルクは蝋石とも呼ばれ、ケイ酸マグネシ
ウムの水和物であり、一般に箔片板状の粒子である。し
かし、一般に市販されているタルクは粒子径は0.1〜
3μm程度であるため、本発明に用いられるタルクは一
般製紙用ではなく窯業用の粗大粒子状のものから選択し
たり、絹雲母と同様な粉砕分級の操作を施して粒子径1
0μm前後のものを調製する。また、タルクのアスペク
ト比は白雲母や絹雲母に比べ小さく、5〜10程度であ
る。
【0027】このように、白雲母は原石の大きさが絹雲
母、タルクと比較して非常に大きく、粉砕分級して粒度
分布を自由に選ぶことが可能である。一方、絹雲母は原
石は小さいが、劈開性が大きく、白雲母と同様粉砕物は
平板状を呈し好ましい。またタルクは粒子径、アスペク
ト比があまり大きくないが、コスト的に有利なため多量
に使用できる。
【0028】これら平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
(b)と非塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)との配合比
率は、固形分重量比で30/70〜70/30であるこ
とが好適である。成分(a)及び(b)の合計重量に対
する成分(b)の重量比が30%未満では平盤状粒子の
積層数が少なくなり、また粒子相互の離間距離が大きす
ぎるために得られる防湿層の防湿性が不十分となること
があり、このため塗工量を増量する必要が生じ非経済的
であり、またブロッキングを生じやすくなる。また70
%を越えると、塗工層中の平盤状粒子と合成樹脂マトリ
ックスとの間に多数の空隙を生じ、このため防湿性が低
下することがある。
【0029】また、本発明の建材用防湿水性塗料には、
非塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)及び平盤状フィロケ
イ酸塩化合物粒子(b)に加えて、防湿性向上剤(c)
を含有することが望ましい。防湿性向上剤(c)は、非
塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)と反応して、それを疎
水性に変性、又は架橋反応してこれを疎水性化し、ある
いは平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(c)を被覆し
て、その非塩素系皮膜形成性合成樹脂(a)との接着性
を高め、又はそれを疎水性化し、又は、その互に平行な
積層配向を促進し、あるいは非塩素系皮膜形成性合成樹
脂(a)の粒子と及び/又は平盤状フィロケイ酸塩化合
物粒子(b)との接着性を高め、又はこれらの間隙を充
填する等して、防湿層の防湿性能を向上させるものであ
る。
【0030】本発明に用いられる防湿性向上剤は、尿素
−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルム
アルデヒド縮合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のア
ルデヒド化合物、1個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物、架橋反応性多価金属化合物、オルガノアルコ
キシシラン化合物、オルガノアルコキシ金属化合物、有
機アミン化合物、ポリアミド化合物、ポリアミドポリ尿
素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミ
ンポリ尿素化合物、ポリアミドアミン化合物、ポリアミ
ドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合
反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又
はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿
素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生
成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリ
ン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物から選ばれた少
なくとも1種を含むことが好ましい。
【0031】上記防湿性向上剤に用いられる化合物のう
ち、尿素−ホルムアルデヒド縮合反応生成物、メラミン
−ホルムアルデヒド縮合反応生成物は、ホルムアルデヒ
ドに由来するメチロール基を有し、これが合成樹脂
(a)中の重合体、又は共重合体と反応し、特にそのカ
ルボキシル基、アミド基、及びヒドロキシル基等の親水
性官能基と脱水反応して、当該重合体又は共重合体分子
を架橋し、これを疎水性化、水不溶化(三次元網目構造
化)することができる。また、上記縮合生成物は、合成
樹脂(a)と化学的に反応しなくても、合成樹脂(a)
と、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)とを安定に
結着して、防湿層の防湿性能を高めることができる。
【0032】上記防湿性向上剤に用いられる炭素原子数
が1〜8個のアルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、グリオキザール、プロピルアルデヒ
ド、プロパンジアール及びヘキサンジアール等を包含
し、これは、そのアルデヒド基において、合成樹脂
(a)に含まれる重合体又は共重合体の前記親水性官能
基と付加反応してこれを疎水性化、及び水不溶性化する
ことができる。
【0033】上記防湿性向上剤に用いられる1個以上の
エポキシ基を有するエポキシ化合物は、例えば、ポリグ
リシジルエーテル化合物、及びポリアミド−エポキシ樹
脂等を包含し、これは、合成樹脂(a)に含まれる重合
体又は共重合体の前記親水性官能基と開環付加反応し
て、これを疎水性化及び水不溶性化することができる。
また上記エポキシ化合物は、防湿層の加熱乾燥中に、合
成樹脂(a)と、粒子(b)とを強固に結着し、これら
の間隙を充填して、防湿層の防湿効果を向上させること
ができる。
【0034】本発明において、防湿性向上剤として使用
される架橋反応性多価金属化合物は、例えば炭酸ジルコ
ニウムアンモニウム、ジルコニウムアルコキシド、チタ
ンアルコキシド及びアルミニウムアルコキシド等を包含
し、これらの化合物中の多価金属は、合成樹脂成分中の
重合体又は共重合体と、特にその前記親水性官能基と配
位結合し、あるいは共有結合して、これら重合体又は共
重合体を疎水性化し、水不溶性化することができる。
【0035】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるオルガノアルコキシシラン化合物及びオルガノア
ルコキシ金属化合物は、一般にカップリング剤として称
されているものであって、無機−有機複合材料系にあっ
ては無機成分と有機成分とを化学的に架橋結合し、ある
いは両者の少なくとも一方に化学的、又は物理的に結合
して、両者の親和性を高め、それによって、前記無機−
有機複合材料の耐熱性、耐水性、機械的強度等を向上さ
せるものである。本発明においては、オルガノアルコキ
シシラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物は、
合成樹脂(a)と、平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子
(b)との親和性、接着性を向上させて両者を密着さ
せ、間隙の形成を防止し、それによって、防湿層の防湿
性能を向上させることができる。
【0036】本発明に用いられるオルガノアルコキシシ
ラン化合物は、その親水性部にSi原子を含むものであ
って、例えばビニルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を包含する。
【0037】また本発明に用いられるオルガノアルコキ
シ金属化合物は、その親水性部分に多価金属原子(例え
ば、Ti,Al等)を含むものであって、例えばイソプ
ロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル
トリオクタノイルチタノール、イソプロピルイソステア
ロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミル
フェニルチタネート、及びイソプロピルトリ(N−アミ
ドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート化
合物、並びに、アセトアルコキシアルミニウムジイソプ
ロピレート等のアルミニウム化合物を包含する。
【0038】オルガノアルコキシシラン化合物及びオル
ガノアルコキシ金属化合物(以下カップリング剤と記
す)は、その分子構造において、Si,Ti、又はAl
原子を含み、無機物質に対して高い反応性又は親和性を
有する親水性部分と、有機化合物に対して高い反応性又
は親和性を有する疎水性部分とを有する。この親水性部
分は、Ti,Al、又はSi原子に結合したアルコキシ
基を加水分解することにより形成される。
【0039】カップリング剤の親水基と無機化合物との
反応は次の順で進行すると言われている。即ち(1)カ
ップリング剤のアルコキシ基の加水分解により形成され
た親水基の形成、(2)カップリング剤の親水基の脱水
縮合によるオリゴマー化、(3)無機質表面の親水基又
は吸着水とカップリング剤の親水基との間に水素結合の
形成、(4)加熱脱水反応により、カップリング剤の親
水基と無機質表面の親水基との間に共有結合の形成であ
る。加水分解するアルコキシ基としてはメトキシ基、エ
トキシ基、イソプロポキシ基、オクチルオキシ基等が用
いられる。またカップリング剤の親水基と無機化合物の
反応性は、無機化合物がガラス、シリカ、アルミナ、タ
ルク、クレー、マイカ等のように表面に水酸基を有する
場合に高いが、チタネートカップリング剤の場合、無機
化合物が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ムであっても、高い反応性を示す。
【0040】一方、カップリング剤の疎水基部分につい
ては、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化
合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に
疎水化して、合成樹脂マトリックスとの接着性を高め
る。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ
基等の反応性有機官能基を有する場合、この官能基と合
成樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、合成樹
脂マトリックスとに対する接着性が高まる。従って、カ
ップリング剤の疎水基部分の組成は、合成樹脂の組成に
応じて選択することができる。
【0041】本発明に防湿性向上剤として用いられるカ
ップリング剤を含む防湿層は、合成樹脂(a)及び平盤
状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)に、カップリング剤
を混合し、得られた塗工液を、紙支持体表面に塗布し、
乾燥して形成されても良く、あるいはカップリング剤を
もって予め平盤状フィロケイ酸塩化合物粒の表面を処理
し、この表面に固定しておいてもよい。即ち、カップリ
ング剤の使用方法としては、インテグラルブレンド法と
前処理法がある。インテグラルブレンド法とは、フィロ
ケイ酸塩化合物粒子(b)と合成樹脂(a)とを含む塗
工液にカップリング剤を直接添加する方法である。前処
理法とは、予めフィロケイ酸塩化合物粒子表面をカップ
リング剤で処理する方法であり、これには乾式法と湿式
法とがある。乾式法はミキサーに粉体状のフィロケイ酸
塩化合物粒子を入れ、これを予備加熱後カップリング剤
を添加して加温下で高速攪拌する方法であり、湿式法は
水、溶剤又はこれらの混合液中にカップリング剤とフィ
ロケイ酸塩化合物粒子を添加し高速攪拌した後乾燥して
粉末を得る方法である。インテグラルブレンド法は前処
理法に比べて、カップリング剤の使用効果がやや劣る
が、フィロケイ酸塩化合物粒子の前処理という工程がな
いため作業性に優れている。
【0042】インテグラルブレンド法や湿式前処理法に
おいてフィロケイ酸塩化合物粒子を水性処理系において
処理する場合、カップリング剤の水溶性を高めるため、
アルコキシ基として比較的疎水性の弱いメトキシ基、エ
トキシ基、イソプロポキシ基を用いることが好ましく、
カップリング剤の疎水基部分には、親水性のあるエポキ
シ基、アミノ基、ヒドロキシル基が含有されていること
が好ましい。また、カップリング剤が水に溶けにくい場
合は界面活性剤を極少量併用することもある。
【0043】カップリング剤の添加量は、フィロケイ酸
塩化合物粒子100重量部に対して0.1〜5重量部で
あることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部
である。カップリング剤の使用量が0.1重量部未満の
場合、カップリング剤によるフェロケイ酸塩化合物粒子
表面の被覆が不十分となるためその効果が不十分になる
ことがあり、またそれが5重量部を越える場合、カップ
リング剤の効果が飽和し、不経済になることがある。
【0044】カップリング剤で処理されたフィロケイ酸
塩化合物粒子の表面の疎水性が過度に高くなって、この
ため水性分散液としたとき増粘して塗工できなかった
り、分散不良となって凝集体が発生することがある。こ
の場合には、界面活性剤やポリアクリル酸系の分散剤や
イソプロピルアルコール、ジアルキルスルホコハク酸ナ
トリウム等の湿潤剤を用いて分散することができる。
【0045】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる有機アミン化合物、及びポリアミド化合物は、カ
チオン性を有し、これがアニオン性を示す平盤状フィロ
ケイ酸塩化合物粒子(b)と接触すると、その軟凝集及
び互に平行な積層配向を促進し、防湿層の防湿性能を向
上させることができる。
【0046】また本発明において、合成樹脂(a)に含
まれる共重合体がカルボン酸基を有する場合、これが有
機モノアミン、有機ポリアミン、又は有機第4級アンモ
ニウム塩と反応して、その疎水性、又は水不溶性を高め
ることができる。
【0047】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる有機アミン化合物は第1級アミン化合物、第2級
アミン化合物、第3級アミン化合物、及び第4級アンモ
ニウム塩化合物のいずれであってもよく、また、有機モ
ノアミン及び有機ポリアミンのいずれであってもよい。
更に有機アミン化合物は、アミノ基以外の異種官能基、
例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、ニ
トリル基等を有するものを包含する。このような変性有
機アミン化合物としては、モノエポキシ化合物やジエポ
キシ化合物等のエポキシ基を有する化合物とアミン化合
物の付加物、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイ
ド等のヒドロキシル基を有する化合物とアミン化合物の
付加物、アクリルニトリルとアミン化合物のマイケル付
加物、フェノール化合物とアルデヒド化合物とアミン化
合物のマンニッヒ反応で得られる付加物等が挙げられ
る。
【0048】上記のような変性には、1)アミン化合物
の有する刺激臭や皮膚刺激性等の毒性を低下させるこ
と、2)アミン化合物の粘度を低下させること、及び
3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすること等の効
果がある。アミン化合物の変性の程度に特に制限はな
い。
【0049】本発明に用いられる有機アミン化合物を例
示すれば下記の通りである。 1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)又
はモノアミン エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエ
チルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールア
ミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジア
ミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジア
ミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレ
ンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラ
ウリルアミン等。 2)芳香族ポリアミン又はモノアミン m−フェニレン
ジアミン、4,4′−メチレンジアニリン、ベンジジ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−チオジア
ニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジ
アミノジフェニルスルホン、4,4′−(o−トルイジ
ン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−ク
ロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリン
等。 3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン又はモノアミ
ン メタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジ
アミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジル
ジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン
等。 4)第2級アミン N−メチルピペラジン、ピペリジ
ン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホ
リン等。 5)第3級アミン テトラメチルグアニジン、トリエタ
ノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メ
チルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチ
レンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシ
ルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリン
等。 6)第4級アンモニウム塩 ジアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2
−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、
1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘ
キサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアン
モニウムクロライド等。 7)ベタイン化合物、グリシン化合物、アミノ酸化合物
ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢
酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、ポリ
オクチルポリアミノエチルグリシン、ラウリルアミノプ
ロピオン酸ナトリウム等。 上記有機アミン化合物の中でも、脂肪族ポリアミン、芳
香族環基を有する脂肪族ポリアミン、変性ポリアミンを
用いることが好適である。
【0050】本発明で使用されるポリアミド化合物(ポ
リアミドアミン化合物とも称せられる)は、上記アミン
化合物とカルボン酸基を有する化合物の脱水縮合反応に
より得られるものである。例えばトール油とジエチルト
リアミンの反応生成物、リノレン酸の2量体とテトラエ
チルペンタミンの反応生成物、トリエチレンテトラミン
と飽和2塩基酸(アジピン酸、セバシン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸)の反応生成物、重合脂肪酸とジエチ
ルトリアミンの反応生成物等が挙げられる。これらポリ
アミド化合物の分子量は1000〜5000程度である
ことが好ましい。
【0051】本発明で用いられる有機アミン化合物又は
ポリアミド化合物は水溶性であることが好ましいが、水
不溶性であっても乳化や分散処理して使用することもで
きる。上記アミン化合物又はポリアミド化合物を2種以
上混合して用いてもかまわない。有機アミン化合物又は
ポリアミド化合物のアミン価は一般に100〜1000
であることが好ましいが特に制限はない。
【0052】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるエポキシ化合物は、モノエポキシ化合物であって
もよい。このモノエポキシ化合物は、脂肪族モノエポキ
シ化合物及び芳香族モノエポキシ化合物を包含し、例え
ばブチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチル
グリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグ
リシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリル
グリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコー
ルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールポリエチレ
ングリコールグリシジルエーテル等から選ぶことができ
る。
【0053】本発明に用いられるモノエポキシ化合物は
水溶性のものが好ましいが、不溶性のものでも界面活性
剤等を単官能エポキシ化合物に対して0.1〜3重量%
用いて水中に分散して使用することができる。
【0054】上記モノエポキシ化合物は合成樹脂成分
(a)100部に対して0.05〜10重量部、好まし
くは0.5〜5重量部で用いられることが望ましい。モ
ノエポキシ化合物の配合量が0.05重量部未満である
場合は防湿性向上の効果が不十分になることがあり、ま
たそれが10重量部を越えると防湿性の効果が飽和し、
経済的に不利になることがある。
【0055】上記モノエポキシ化合物を含む防湿性向上
剤が用いられる場合、それとともに用いられる合成樹脂
(a)は、アクリル酸、アクリルアミド、等のようにエ
ポキシ環と反応可能な親水性官能基(カルボキシル基、
アミド基、及びヒドロキシル基等)を有するモノマーを
含む共重合体を含むことが好ましい。
【0056】本発明において、防湿性向上剤として用い
られるポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素
化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミ
ドアミン化合物は、 i)ポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミ
ン、 ii)尿素類、 iii)二塩基性カルボン酸、及び必要により iv)アルデ
ヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−
ヒドリン類から選ばれた化合物を反応させて得られる
(特公昭59−32597、特開平4−10097
等)。 上記合成において、二塩基性カルボン酸(iii)を用い
るとポリアミドポリ尿素化合物又はポリアミドアミンポ
リ尿素化合物が得られ、用いない場合はポリアミンポリ
尿素系化合物が得られる。アルデヒド類やエピハロヒド
リン類は用いる場合、その使用量は非常に少ないか、あ
るいは合成過程で自己架橋を起こして、フリーのメチロ
ール基やエポキシ基がほとんど残存しないことが好まし
い。また、上記反応において、尿素数(ii)を用いず、
ポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミン
(i)と、二塩基性カルボン酸とを反応させるとポリア
ミドアミン化合物が得られる。成分(iv)アルデヒド
類、エピハロヒドリン類、及びα,γ−ジハロ−β−ヒ
ドリン類の反応量は、成分(i)の100モル量に対
し、5〜300モルの範囲内にあることが好ましい。
【0057】上記成分(i)として用いられるポリアル
キレンポリアミン又はアルキレンポリアミンとしては、
例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルア
ミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−
ジアザデカン−1,10−ジアミン、エチレンジアミ
ン、プロピルジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン等が挙げられる。これらの中でジ
エチレントリアミン及び/又はトリエチレンテトラミン
を用いることが好ましい。これらの化合物(i)は単
独、あるいは2種類以上の混合物として用いられる。ま
た、化合物(i)にシクロヘキシルアミン等の脂環式ア
ミン及び脂環式エポキシ化合物の1種以上を併用しても
よい。
【0058】成分(ii)として用いられる尿素類として
は尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチ
ル尿素等が挙げられる。これらの中でも尿素を用いるこ
とが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用いても
よく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。ま
た、成分(iii)として用いられる二塩基性カルボン酸
類は、分子内にカルボキシル基又はそれから誘導される
基を2個有するものであって、遊離酸であってもよく、
あるいはエステル類又は酸無水物等であってもよい。二
塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性カ
ルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン
酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、テトラハイドロフタル酸、及びヘキサハイドロフタ
ル酸等が挙げられる。また、二塩基性カルボン酸とグリ
コール類との反応生成物であって、末端に遊離カルボン
酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。これら
二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、あるいは
2種類以上を混合して用いてもよい。成分(iv)として
用いられるアルデヒド類としてはホルムアルデヒド、プ
ロピルアルデヒド等のアルキルアルデヒド類やグリオキ
ザール、プロパンジアール、ブタンジアール、エピハロ
ヒドリン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒ
ドリン等が挙げられる。更に、成分(iv)として用いら
れるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては1,3−
ジクロロ−2−プロパノール等が挙げられる。
【0059】これらアルデヒド類、エピハロヒドリン
類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は単独で用いても
よく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0060】更に単量体成分として脂環式エポキシ化合
物、アルキル化剤(一般式R−X;R=低級アルキル
基、アルケニル基、ベンジル基、フェノキシエチル基
等、X=ハロゲン原子)、一般式R′−C(=Y)−N
H2〔R′はアルキル基もしくは−NR′2基、Yは酸
素原子又は硫黄原子〕で表される化合物等を反応させて
もよい。
【0061】上記各成分は、任意の順序で反応させるこ
とができるが、その合成法の一例として次の方法を用い
ることができる。即ち、アルキレンジアミン又はポリア
ルキレンポリアミンと、尿素類とを脱アンモニア反応さ
せ、次に、この反応生成物を二塩基性カルボン酸類と脱
水縮合させ、更に尿素類と脱アンモニア反応させること
によりポリアミドポリ尿素化合物が得られる。このポリ
アミドポリ尿素化合物をアルデヒド類、エピハロヒドリ
ン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化
合物と反応させるとポリアミドポリ尿素−アルデヒド
(エピハロヒドリン)樹脂が得られる。
【0062】アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,
γ−ジハロ−β−ヒドリン類は分子量の調整、水溶性の
調整を目的として使用されるが、メチロール基やエポキ
シ環は自己架橋させほとんど残留していないことが好ま
しい。
【0063】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる上記ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ
尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポア
ミドアミン化合物は、水性塗工液中で微カチオン性を示
すため、アニオン性を有する平盤状フィロケイ酸塩化合
物粒子を、皮膜形成過程において、軟凝集させ、このと
き、これらの平盤状粒子を、互に平行に積層配向させる
ものと思われる。このような平盤状粒子の積層配向性の
向上は防湿層の防湿性能を向上させる。また、上記化合
物のうちには、その分子内にエポキシ環及び/又はメチ
ロール基を有するものが包含されるが、これらの官能基
の含有率は微少であり、またその合成過程において、エ
ポキシ環及び/又はメチロール基形成化合物の大部分が
自己架橋するため、これらの官能基の影響は無視できる
程度である。このため上記化合物を防湿性向上剤として
含む防湿層は、防湿性紙の回収再生の際に、紙支持体か
ら容易に離解し、再生パルプの離解性を阻害することは
ほとんど認められない。
【0064】本発明において、防湿性向上剤として、ポ
リアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒ
ド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又は
ホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素
−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ
尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応
生成物を用いることができる。
【0065】上記縮合反応生成物は、その分子骨格中に
アミノ基を含み、その側鎖にエポキシ環又はメチロール
基を有するものであり、一般に下記成分:(i)ポリア
ルキレンポリアミン(ii)尿素類(iii)二塩基性カル
ボン酸類(iv)エピハロヒドリン類又はホルムアルデヒ
ド を反応させて合成することができる(特公昭52−
22982号、特公昭60−31948号、特公昭61
−39435号、特開昭55−127423号)。
【0066】上記成分(i)〜(iv)を反応せしめれ
ば、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物又はポリアミドアミンポリ尿
素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生
成物が得られ、成分(i)、(ii)及び(iv)を反応さ
せれば、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物が得られ、成分(i)、
(iii)及び(iv)を反応させれば、ポリアミドアミン
−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
物が得られ、成分(i)、(iv)を反応させれば、ポリ
アミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反
応生成物が得られる。
【0067】上記成分(i)として用いられるポリアル
キレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イ
ミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−
ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミ
ン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、1,3−プ
ロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(3−
アミノプロピル)メチルアミン、ビスヘキサメチレント
リアミンやポリ(Nメチルジアリルアミン塩酸塩)、ポ
リビニルベンジルアミンジメチルアミン塩酸塩等のジア
リルアミン類の重合物、ジシアンジアミドが挙げられ
る。これらの中でジエチレントリアミン及びトリエチレ
ンテトラミン、ジアリルアミン類の重合物が好ましい。
これらが単独あるいは2種類以上の混合物として用いて
もかまわない。
【0068】上記成分(ii)として用いられる尿素類と
しては尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジ
メチル尿素等が挙げられる。これらの中でも尿素を用い
ることが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用い
てもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよ
い。また、成分(iii)として用いられる二塩基性カル
ボン酸類は、分子内にカルボキシル基又はそれから誘導
される基を2個有するものであって、遊離酸であっても
よく、あるいはエステル類又は酸無水物等であってもよ
い。二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩
基性カルボン酸のいずれでもよい。その具体例として
は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、テトラハイドロフタル酸、及びヘキサハイ
ドロフタル酸等が挙げられる。また、二塩基性カルボン
酸とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離
カルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよ
い。これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよ
く、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0069】成分(iv)として用いられるエピハロヒド
リン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリ
ン、及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、例えば1,
3−ジクロロ−2−プロパノール等が挙げられる。エピ
ハロヒドリン類は単独で用いてもよく、あるいは2種類
以上を混合して用いてもよい。
【0070】成分(iv)の反応量は、ポリアルキレンポ
リアミン成分(i)の100モル部に対し、5〜300
モル部であることが好ましい。
【0071】上記縮合反応生成物の合成法の一例とし
て、ポリアミドエピハロヒドリン化合物の合成法の一例
を下記に記す。反応容器にジエチレントリアミン0.9
7モルを入れ、この反応容器にアジピン酸1モルを攪拌
しながら徐々に加え、混合物を170℃で1.5時間加
熱する。得られた粘ちょうな液体を140℃に冷却後、
固形分が50重量%になるように水を加えてポリアミド
溶液を調製する。このポリアミド溶液に、その固形分濃
度が13.5重量%になるように水を加え、40℃に加
熱し、この溶液にエピクロルヒドリンをポリアミド中の
第二アミン1モルにつき1.32モルに相当する量で徐
々に加える。更に60℃の温度で、ガードナー粘度がE
〜Fになるまで加熱する。次に固形分濃度が12.5重
量%になるように水を加え25℃に冷却するとポリアミ
ドエピハロヒドリン化合物が得られる。他の縮合反応生
成物も、上記方法と類似の合成法により合成することが
できる。
【0072】本発明において、防湿性向上剤として用い
られる上記ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロ
ヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリア
ミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド
縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリ
ン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドア
ミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド
縮合反応生成物は、水性塗工液中において良好な可溶性
を示すが、この塗工液から形成される防湿層の防湿性能
を向上させることができる。上記縮合反応生成物は、い
ずれもその水溶液中において微カチオン性を示し、この
ため、防湿層の皮膜形成の過程においてアニオン性を示
す平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)を軟凝集し、
この平盤状粒子を、互に平行に積層配列させ、それによ
り防湿性能を向上させる。
【0073】本発明において、防湿性向上剤は、合成樹
脂(a)の100重量部に対して0.05〜10重量部
の割合で用いられることが好ましく、0.5〜5重量部
であることがより好ましい。この配合量が、0.1重量
部未満のときは、防湿性向上効果が不十分になることが
あり、またそれが10重量部を越えると、その防湿性向
上効果が飽和し、経済的に不利になることがある。ま
た、2種類以上の化合物からなる防湿性向上剤を用いて
もかまわない。
【0074】本発明において用いられる防湿性向上剤
が、強カチオン性であって、合成樹脂成分(a)ととも
に凝集する場合は、当該合成樹脂含有液のpHをアルカリ
側(例えば8以上)に調整したのち、これにカチオン性
防湿性向上剤の水溶液を添加して使用すればよい。
【0075】本発明に用いられる防湿性向上剤(c)に
おいては、架橋反応剤と、カップリング剤が併用されて
いてもよい。この場合架橋反応剤は、尿素−ホルムアル
デヒド縮合反応生成物、メラミン−ホルムアルデヒド縮
合反応生成物、炭素原子数が1〜8個のアルデヒド化合
物、1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、架
橋反応性多価金属化合物及び有機アミン化合物、ポリア
ミド化合物等から選ばれた1種以上を含むことができ、
また、カップリング剤は、前述のオルガノアルコキシシ
ラン化合物及びオルガノアルコキシ金属化合物から選ば
れた1種以上を含むことができる。また、合成樹脂成分
(a)に含まれる重合体又は共重合体は、カルボキシル
基、アミド基、ヒドロキシル基、ニトリル基、カルボニ
ル基等の親水性官能基を有していることが好ましく、そ
の酸変性率が5モル%以上であることがより好ましい。
【0076】上記態様の防湿性向上剤(c)において、
架橋剤は、合成樹脂(a)100重量に対して、0.0
5〜10重量部で用いられることが好ましく、カップリ
ング剤は平盤状フィロケイ酸塩化合物粒子(b)100
重量部に対し、0.1〜5重量部の添加量で用いられる
ことが好ましい。
【0077】本発明に支持体として用いられる建材は、
石膏ボード、断熱パネル、化粧板、壁紙、内装用クロス
等の建築施工用の各種板状、もしくはシート状の建材で
ある。また、上記建材に防湿層を形成するにあたって
は、上記建材表面状に直接本発明防湿塗料と塗工しても
よく、また、予め本発明防湿性塗料を塗工した紙、フィ
ルム等の支持体で、さらに建材の表面を被覆する方法で
行うことも可能である。また、本発明の防湿性塗料は、
建築施工現場において、各種建築部位にスプレー等で直
接塗工することも可能である。本件塗料は水性であるた
め、このような場合における施工安全性に極めて優れて
いる。尚、これら建材に防湿性塗料を塗工するにあたっ
て、建材自体への防湿塗料の浸透を防ぐために、ラッカ
ー塗料や水性塗料等、通常の下地処理塗料を予め建材表
面に塗工、乾燥したのち前記防湿塗料を塗工することが
望ましい。
【0078】また、本発明の建材用防湿性構造体は、本
発明の建材防湿水性塗料を調製し、この塗料を支持体で
ある建材の表面に塗工し、この塗工層を乾燥することに
より防湿層を形成したものである。塗工方法、及び塗工
装置には格別の制限はなく、例えばカーテンコーター、
スプレー等の適宜のものを使用すればよい。また、乾燥
方法及び装置についても格別の制限はなく、例えば熱風
乾燥機、接触加熱板、接触加熱ロール、赤外線乾燥機、
高周波加熱乾燥機等を用いることができる。乾燥温度は
防湿層の成分の種類、塗工量等に応じ、70〜170℃
であることが好ましく、より好ましくは100〜150
℃である。特に防湿性を高めるにはこれら加熱環境に建
材を滞留させて、防湿塗料中の皮膜形成性樹脂の融着を
進行させ、水分の透過を防止するような構造にすること
が望ましい。
【0079】
【実施例】本発明を下記実施例により更に説明する。但
し下記実施例は、本発明の範囲を限定するものではな
い。なお実施例中の「重量部」はすべて固形分重量部を
意味する。
【0080】<実施例1>50重量部の水にザイクセン
−AC(アンモニアで可溶化したαオレフィン不飽和カ
ルボン酸共重合体、固形分30%:住友精化(株)製)
100重量部を加えて攪拌し、フィロケイ酸塩化合物マ
イカA21(白雲母、平均粒子径22μm、アスペクト
比20〜30:山口雲母工業所(株)製)50重量部を添
加、攪拌し防湿性塗料を調製した。次いで、前記防湿性
塗料を晒クラフト紙(坪量70g/m2、厚さ100μ
m)にバーコーターにより固形分として片面45g/m2
塗工後、120℃で10分間乾燥させて建材用防湿水性
塗料を塗布した防湿紙を製造した。得られた防湿紙を石
膏ボード(厚さ10mm:吉野石膏(株)製)の表面に
貼合し、防湿性建材を得た。
【0081】<実施例2>50重量部の水にカップリン
グ剤KBM603(アミノシランカップリング剤、有効
成分98%以上:信越化学工業(株)製)を0.5重量
部添加、攪拌後、合成樹脂ザイクセン−L(アルカノー
ルアミンで中和したαオレフィン不飽和カルボン酸共重
合体、固形分25%:住友精化(株)製)100重量部
を加え攪拌し、フィロケイ酸塩化合物マイカA21(白
雲母、平均粒子径22μm、アスペクト比20〜30:
山口雲母工業所(株)製)50重量部を添加、攪拌し防湿
性塗料を調製した。次いで、実施例1と同様の方法で防
湿紙を得て、さらに防湿性建材を得た。
【0082】<実施例3>実施例1の防湿性塗料100
重量部に架橋剤デナコールEX614B(ソルビトール
ポリグリシジルエーテル、有効成分98%以上:ナガセ
化成(株)製)1重量部を添加、攪拌して防湿性塗料を
調製した。次いで、実施例1と同様の方法で防湿紙を得
て、さらに防湿性建材を得た。
【0083】<実施例4>実施例2と同様に調整した防
湿性塗料に、架橋剤WS535(ポリアミドアミンエピ
クロロ縮合物、固形分30%:日本PMC(株)製を2
重量部更に混合して防湿性塗料を調製した。次いで、実
施例1と同様の方法で防湿紙を得て、さらに防湿性建材
を得た。
【0084】<比較例1>晒クラフト紙(坪量70g/m
2、厚さ100μm)にポリエチレンを片面20μmラ
ミネートしたポリエチレンラミネート紙を実施例1と同
様の石膏ボードに貼合し、防湿性建材とした。
【0085】<比較例2>晒クラフト紙(坪量70g/m
2、厚さ100μm)を実施例1と同様の石膏ボードに
貼合し、防湿性建材とした。
【0086】なお、本発明の建材用防湿水性塗料は、石
膏ボード等各種建材の方面に直接塗工することも可能で
あるが、クラフト紙、合成樹脂フィルム等の基材に塗工
して防湿シートとした上、さらに石膏ボード等の各種建
材に貼合して防湿層を設ける上記実施例に述べた方法を
とる事も可能である。なお、本発明塗料の塗工量は、塗
料の素材への浸透等、各種条件を勘案して、塗工量を増
減する必要がある。例えばより浸透の少ない建材ボード
等に直接塗料を塗工する場合にはこれより少ない塗工量
で目的の防湿性を達成することができる。
【0087】<防湿性評価方法>JIS−Z0208、
B法(カッブ法)により、防湿層側を外側として透湿度
を測定し評価を行った。なお、この評価方法において、
一般的に建材用防湿塗料として実用可能な防湿塗料は、
10g/m2・24hr以下の透湿度を示すものである。
5g/m2・24hr以下であることが更に好ましい。
【0088】以上実施例、比較例の測定結果を表1に示
す。
【0089】
【表1】
【0090】表1より、フィロケイ酸塩化合物と合成樹
脂からなる建材用防湿水性塗料、フィロケイ酸塩化合物
と合成樹脂に架橋剤又はカップリング剤、もしくは両者
を添加した建材用防湿水性塗料を塗工した防湿紙は防湿
性が良好であり、ポリエチレンラミネート紙は防湿性に
劣る。従って、石膏ボード表面に貼合した場合に、本発
明の防湿塗料を塗工した防湿紙を石膏ボード表面等の建
材に貼合した場合、優れた防湿性を示す建材用防湿性構
造体となるものである。
【0091】
【発明の効果】本発明により、非塩素系合成樹脂を使用
して極めて高い防湿性を有し、しかも水系で作業適性に
優れた建材用防湿水性塗料、並びに建材用防湿性構造体
を得ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DA01 DB01 DH25 FA24 GA06 JD02 JD15 4J038 CA021 CC021 CG011 CG141 CG161 CG171 CH031 CH041 CH171 DA142 DA162 DB002 DH002 HA266 HA456 JA23 JA31 JB01 JC30 JC38 MA08 MA13 NA03 NA06 PB05 PC04 PC06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非塩素系皮膜形成性合成樹脂及び平盤状フ
    ィロケイ酸塩化合物粒子を含有することを特徴とする建
    材用防湿水性塗料。
  2. 【請求項2】防湿性向上剤を含有することを特徴とする
    請求項1項記載の建材用防湿水性塗料。
  3. 【請求項3】非塩素系皮膜形成性合成樹脂がアルカリ可
    溶性樹脂であることを特徴とする請求項1〜2のいずれ
    かに記載の建材用防湿水性塗料。
  4. 【請求項4】防湿性向上剤が含窒素化合物であることを
    特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の建材用防湿
    水性塗料。
  5. 【請求項5】支持体の少なくとも一面に請求項1〜4の
    いずれかに記載の建材用防湿水性塗料を塗工して形成し
    た防湿層を有することを特徴とする建材用防湿性構造
    体。
  6. 【請求項6】支持体に下地層を形成し、その上に防湿層
    を形成したことを特徴とする請求項5に記載の建材用防
    湿性構造体。
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