JP3273933B2 - 内燃機関用点火システム - Google Patents

内燃機関用点火システム

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JP3273933B2 JP33995199A JP33995199A JP3273933B2 JP 3273933 B2 JP3273933 B2 JP 3273933B2 JP 33995199 A JP33995199 A JP 33995199A JP 33995199 A JP33995199 A JP 33995199A JP 3273933 B2 JP3273933 B2 JP 3273933B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火プラグに点火
用高電圧を印加して、点火プラグを火花放電させる内燃
機関用点火システムに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関において、混合気の正常な燃焼
を得るために必要な火花エネルギの大きさは、内燃機関
の運転状態によって異なることが知られている。ここ
で、火花エネルギは、火花放電で流れる電流の大きさお
よび放電時間として表すことができる。
【0003】例えば、アイドリング運転等の低回転低負
荷時では、燃焼室への混合気の充填量は少なく、混合気
の流動も遅いため、混合気の燃焼は非常に緩慢に進む。
したがって、低回転低負荷時には、火花エネルギを大き
くして、混合気の燃焼を助ける必要がある。一方、高回
転高負荷時では、燃焼室への混合気の充填量は多く、混
合気密度が高くなるので燃焼は早く進むため、比較的小
さい火花エネルギで充分である。
【0004】また、混合気の空燃比が異なる場合におい
ても、必要な火花エネルギの大きさは異なり、例えば、
リーンバーンエンジン等で行われる、空燃比20以上の
希薄空燃比での運転時には、燃料の密度が低く混合気へ
の着火性が悪くなるため、火花エネルギを大きくする必
要がある。
【0005】このため、従来の内燃機関用点火システム
では、火花エネルギが不足することのないよう、例えば
冷間始動時におけるアイドリング運転といった着火性の
劣る運転状態であっても、混合気への着火が良好となる
ような大きさの火花エネルギを供給できるようにしてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の内燃機関用点火システムは、必要最大の火花エネル
ギより少ない火花エネルギで運転可能な状態(即ち、高
回転高負荷時)では、火花エネルギの供給が過剰とな
り、点火プラグの電極を無駄に消耗してしまうという問
題がある。
【0007】ところで、近年、内燃機関用点火システム
においては、点火プラグに点火用高電圧を印加するため
に点火コイルの一次巻線への通電・非通電を切り換える
スイッチとして、パワートランジスタ等のスイッチング
素子を使用した点火システムが一般的になってきてい
る。そして、こうした点火システムでは、スイッチング
素子にて行われる一次巻線への通電・非通電が、内燃機
関各部を総合的に制御するエンジン制御装置(以下、単
に「ECU」ともいう)より出力される点火指令信号に
基づいて行われるものである。なお、この点火指令信号
については、内燃機関の運転状態に基づいて演算される
点火時期に応じて、ECUより出力されるものである。
【0008】それより、上記点火システムにあっては、
低回転低負荷時においては、ECUがその運転状態に基
づいて一次巻線への通電時間を長くするように点火指令
信号を出力することから、火花エネルギを大きくし、一
方、高回転高負荷時においては、ECUがその運転状態
に基づいて一次巻線への通電時間を短くするように点火
指令信号を出力することから、火花エネルギを小さくす
るように制御することが可能になる。
【0009】しかしながら、一次巻線への通電時間が短
くなると、火花放電発生時に二次巻線に発生する点火用
高電圧が低くなってしまう。そのため、ECUから出力
される点火指令信号に応じて一次巻線への通電時間を単
に制御するようにした場合、火花放電を発生させるため
の要求電圧が高くなる(例えば、40kV)運転状態、
即ち高回転高負荷時において、点火指令信号が過度に短
くなることで一次巻線への通電時間も短くなってしま
い、点火プラグへ印加するための点火用高電圧が低下し
て、火花放電を発生させることができずに失火してしま
うといった虞がある。それより、点火指令信号は、点火
プラグにて火花放電が発生可能な大きさに制御すること
が不可欠となるが、そのような場合では、高回転高負荷
時における火花エネルギの過剰な供給による点火プラグ
の電極消耗といった上記問題についての解決には依然至
らなかった。
【0010】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
のであり、ECUから出力される点火指令信号を点火プ
ラグにて火花放電が発生可能な大きさに制御しつつ、火
花エネルギの過剰な供給を抑えて、点火プラグの電極消
耗を抑制することができる内燃機関用点火システムを提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の発明は、二次巻線が内燃機
関に装着された点火プラグと共に閉ループを形成する点
火コイルと、内燃機関の運転状態に基づいて点火時期を
演算し、この点火時期に応じた点火指令信号を出力する
エンジン制御装置と、点火指令信号に基づき、点火コイ
ルの一次巻線への通電・遮断を行うためのスイッチング
手段を備える点火駆動装置と、からなり、スイッチング
手段にて一次巻線への通電・遮断を行うことにより、二
次巻線に点火用高電圧を発生させて、点火プラグを火花
放電させる内燃機関用点火システムであって、エンジン
制御装置は、内燃機関の運転状態に基づいて火花放電継
続時間を算出する火花放電継続時間算出手段と、点火指
令信号であって、火花放電継続時間を点火駆動装置に通
知するための通知用点火指令信号を生成する点火指令信
号生成手段と、を備えており、点火駆動装置は、エンジ
ン制御装置より出力される通知用点火指令信号から火花
放電継続時間を読み取り、点火プラグにて火花放電が発
生してから火花放電継続時間が経過すると火花放電を強
制的に遮断する火花放電遮断手段、を備えたことを特徴
とする。
【0012】このように構成された本発明(請求項1)
の内燃機関用点火システムにおいては、エンジン制御装
に設けられた火花放電継続時間算出手段が、内燃機関
の運転状態に基づいて火花放電継続時間を算出する。
た、エンジン制御装置に設けられた点火指令信号生成手
段が、火花放電継続時間を通知用点火指令信号を用い
て、点火駆動装置に通知する。そして、点火プラグに火
花放電が発生してからその火花放電継続時間が経過する
と、点火駆動装置に設けられた火花放電遮断手段が作動
して、点火プラグの火花放電を強制的に遮断するのであ
る。
【0013】つまり、本発明では、エンジン制御装置よ
り内燃機関の運転状態に基づいて出力される点火指令信
号の制御により一次巻線への通電時間を制御することで
火花放電継続時間を制御するのではなく、上述した方法
にて火花放電遮断手段を用いて点火プラグにて発生した
火花放電を強制的に遮断するようにして、火花放電継続
時間を制御することで、点火プラグに不必要な火花エネ
ルギが供給されるのを防止するのである。
【0014】このため、本発明によれば、点火指令信号
を火花放電が発生可能な大きさに制御した状態とするこ
とができるので、火花放電前の一次巻線への通電時間を
十分長く設定することが可能となり、あらゆる運転条件
においても火花放電を発生させることができる大きさの
点火用高電圧にした状態で、点火プラグに印加すること
ができる。そして、内燃機関の運転状態に基づいて火花
放電継続時間が算出され、その火花放電継続時間に基づ
き火花放電が遮断されるので、点火プラグに供給される
火花エネルギの過剰な供給を抑えることができるのであ
る。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】ここで、上記の内燃機関用点火システムに
おいて、最適な火花放電継続時間を算出するには、内燃
機関の運転状態を正確に検出して、その検出結果に基づ
いて算出する必要がある。そこで、上記の内燃機関用点
火システムにおいて内燃機関の運転状態を検出するにあ
たっては、例えば、火花放電継続時間算出手段は、エン
ジン回転速度により内燃機関の運転状態を検出すると良
い。
【0019】そして、火花放電継続時間算出手段は、例
えば、内燃機関が低回転である時には火花放電継続時間
として長い値を算出し、反対に、内燃機関が高回転であ
る時には火花放電継続時間として短い時間を算出するこ
とで、内燃機関の運転状態に適した火花放電継続時間を
算出することができる。
【0020】したがって、このように構成した内燃機関
用点火システムによれば、エンジン回転速度に基づいて
火花放電継続時間を算出することで、内燃機関の運転状
態に適した火花放電継続時間を算出することができる。
【0021】また、上記の内燃機関用点火システムにお
いて内燃機関の運転状態を検出するにあたっては、例え
ば、内燃機関用点火システムは、内燃機関のエンジン負
荷を算出するエンジン負荷算出手段を備えており、火花
放電継続時間算出手段は、このエンジン負荷算出手段に
て算出されるエンジン負荷算出値により内燃機関の運転
状態を検出すると良い。
【0022】つまり、エンジン負荷算出手段が算出する
エンジン負荷算出値に基づいて、内燃機関の運転状態を
検出するのである。そして、火花放電継続時間算出手段
が、例えば、エンジン負荷が低負荷である時には火花放
電継続時間として長い値を算出し、反対に、エンジン負
荷が高負荷である時には火花放電継続時間として短い値
を算出することで、内燃機関の運転状態に適した火花放
電継続時間を算出することができる。
【0023】よって、このように構成した内燃機関用点
火システムによれば、エンジン負荷に基づいて火花放電
継続時間を算出することで、内燃機関の運転状態に適し
た火花放電継続時間を算出することができる。さらに、
上記の内燃機関用点火システムにおいて内燃機関の運転
状態を検出するにあたっては、例えば、内燃機関用点火
システムは、内燃機関の始動直後において、この内燃機
関が十分に暖機されたか否かを判定する判定手段、を備
えており、火花放電継続時間算出手段は、この判定手段
からの判定結果により内燃機関の運転状態を検出すると
良い。
【0024】つまり、内燃機関が十分に暖機されるまで
の運転状態は、混合気への着火性がとりわけ劣る運転状
態であることから、前述した判定手段にて内燃機関が十
分に暖機されていないと判定した時には、火花放電継続
時間を長く設定する、あるいは火花放電遮断を行わない
ようにして、火花エネルギを十分に確保し、混合気を確
実に燃焼させるのである。
【0025】なお、より最適な火花放電継続時間を算出
するためには、エンジン回転速度、エンジン負荷などの
複数のパラメータに基づいて検出される内燃機関の運転
状態に応じて、火花放電継続時間を算出するとよい。
して、請求項1に記載の発明は、エンジン制御装置は、
内燃機関の運転状態に基づいて火花放電継続時間を算出
する火花放電継続時間算出手段と、点火指令信号であっ
て、火花放電継続時間を点火駆動装置に通知するための
通知用点火指令信号を生成する点火指令信号生成手段
と、を備えており、点火駆動装置は、エンジン制御装置
より出力される通知用点火指令信号から火花放電継続時
間を読み取り、点火プラグにて火花放電が発生してから
火花放電継続時間が経過すると火花放電を強制的に遮断
する火花放電遮断手段、を備えたことを特徴とする内燃
機関用点火システムである。
【0026】つまり、エンジン制御装置に備えられた火
花放電継続時間算出手段が火花放電継続時間を算出し、
点火駆動装置に備えられた火花放電遮断手段が、火花放
電継続時間算出手段により算出された火花放電継続時間
に基づいて、火花放電を強制的に遮断するのである。
【0027】これにより、エンジン制御装置では、火花
放電継続時間算出手段としての処理を実行することにな
るが、火花放電遮断手段としての処理は点火駆動装置に
おいて実行されるため、火花放電を強制的に遮断するた
めのすべての処理をエンジン制御装置において実行する
必要はない。このため、すべての処理をエンジン制御装
置で実行する場合に比べて、火花放電遮断手段としての
処理に相当する分だけエンジン制御装置の処理負荷の上
昇を抑制することができる。
【0028】また、エンジン制御装置は、内燃機関を制
御するために各部の状態が既に入力されていることか
ら、火花放電継続時間を算出するために、内燃機関の運
転状態(エンジン回転速度やエンジン負荷など)を表す
信号を新規に入力する必要がない。よって、入出力端子
や信号配線等を新規に設置することなく、多くの内燃機
関の運転状態を得ることができることから、従来の装置
からの構成変更項目を少なく抑えつつ、最適な火花放電
継続時間を算出することができる。
【0029】また、エンジン制御装置に備えられた点火
指令信号生成手段が、火花放電継続時間を通知するため
の通知用点火指令信号を生成することから、点火駆動装
置は、通知用点火指令信号に基づき火花放電継続時間を
読みとることができるため、火花放電継続時間を入力す
るための配線を新たに設ける必要がない。
【0030】よって、本発明(請求項1)によれば、火
花放電を遮断するための処理を、エンジン制御装置と点
火駆動装置に分散して備えるため、エンジン制御装置に
おける処理負荷の上昇を抑えることができ、エンジン制
御装置における各制御処理を正確に実行する事が可能と
なる。
【0031】さらに、請求項1に記載の内燃機関用点火
システムは、従来の内燃機関用点火システムに対して信
号入出力のための入出力端子や配線等の構成変更が少な
いことから、配線の分岐による他の既存装置へのノイズ
などの悪影響が生じにくいという利点がある。
【0032】ところで、火花放電継続時間を点火駆動装
置に通知するための通知用点火指令信号を生成する点火
指令信号生成手段としては、例えば、請求項2に記載の
ように、点火指令信号はパルス信号であって、点火指令
信号生成手段は、火花放電継続時間を点火駆動装置に通
知するために、点火指令信号のパルス幅を変化させて通
知用点火指令信号を生成すると良い。
【0033】つまり、火花放電継続時間の長さに応じ
て、例えば、算出された火花放電継続時間が長くなるに
従い、パルス幅が長くなるように通知用点火指令信号を
生成するのである。これにより、様々な火花放電継続時
間をエンジン制御装置から点火駆動装置に対して伝達す
ることができる。
【0034】そして、通知用点火指令信号が入力された
点火駆動装置では、火花放電遮断手段が通知用点火指令
信号のパルス幅から火花放電継続時間を読みとること
で、火花放電継続時間を取得する事ができる。こうして
火花放電継続時間を取得した火花放電遮断手段は、火花
放電が発生してから火花放電継続時間が経過すると、火
花放電を強制的に遮断するのである。
【0035】なお、通知用点火指令信号のパルス幅につ
いては、火花放電前の一次電流通電時間に相当すること
から、過度に短くなると火花放電を発生できなくなる虞
があるため、少なくとも火花放電が発生可能な最短の長
さよりも長いパルス幅を設定するとよい。
【0036】また、複数の気筒が設けられた内燃機関で
は、複数の点火指令信号が存在するが、そのうちの1気
筒に対応する点火指令信号を通知用点火指令信号として
用いて火花放電継続時間を伝達するようにし、点火駆動
装置では、この通知用点火指令信号から取得した火花放
電継続時間に基づいて、全ての気筒における火花放電を
強制的に遮断するようにするとよい。これにより、点火
指令信号生成手段での処理を減らすことができ、エンジ
ン制御装置の処理負荷の上昇を抑制することができる。
【0037】さらに、複数の気筒が設けられた内燃機関
において、1気筒に対応する火花放電継続時間に基づい
て、全ての気筒における火花放電を強制的に遮断する際
には、同一燃焼サイクルにおける各気筒への通知用点火
指令信号としての点火指令信号を、すべて同一の火花放
電継続時間に応じたパルス幅の信号とするとよい。そし
て、受信した複数の通知用点火指令信号をそれぞれ比較
することで、火花放電継続時間の読みとりエラーのチェ
ックを行うのである。これにより、ノイズなどの影響を
抑えて正確に火花放電継続時間を伝達することが可能に
なる。
【0038】ところで、内燃機関において火花放電が発
生する点火周期はミリ秒単位と短いことから、連続する
2つの点火時期のそれぞれの時点における内燃機関の運
転状態はあまり大きく変化していない。そこで、点火指
令信号のパルス幅を変化させて通知用点火指令信号を生
成するにあたっては、請求項3に記載のように、点火指
令信号生成手段は、一定周期間隔をもって必要に応じた
回数だけ点火指令信号のパルス幅を変化させて通知用点
火指令信号を生成し、火花放電遮断手段は、エンジン制
御装置より出力される通知用点火指令信号から火花放電
継続時間を読み取ると、次の火花放電継続時間を読み取
るまで、最後に読み取った火花放電継続時間に基づき前
記点火プラグの火花放電を強制的に遮断するとよい。
【0039】つまり、エンジン制御装置から点火駆動装
置への火花放電継続時間の伝達を、各燃焼サイクル毎に
行うのではなく、一定周期間隔毎に行うように、例え
ば、数回の燃焼サイクルに1回の割合で行うようにする
のである。これにより、火花放電継続時間算出手段によ
る処理が実行される時間間隔が長くなり、単位時間あた
りの処理回数が減るため、エンジン制御装置における処
理負荷の上昇を抑えることができる。
【0040】また、火花放電継続時間を伝達するための
通知用点火指令信号は、少なくとも火花放電が発生可能
な点火用高電圧を確保するために、通常の点火指令信号
よりも長いパルス幅に設定することが望ましい。しか
し、このように点火指令信号を設定すると、各燃焼サイ
クルでパルス幅の長い点火指令信号が出力されることと
なるため、一次巻線の通電時間が長くなり、一次巻線や
一次電流の通電・遮断を行うスイッチング素子にかかる
負担が大きくなってしまうことがある。
【0041】そこで、本発明(請求項3)に記載の内燃
機関用点火システムのように、一定周期間隔毎に火花放
電継続時間を伝達するための通知用点火指令信号を出力
することで、一次巻線の通電時間が必要以上に延長され
るのを抑えることができる。したがって、本発明(請求
項3)によれば、エンジン制御装置における処理負荷の
上昇を抑えることができることから、正常に制御処理の
実行が可能となり、また、一次巻線の通電時間が必要以
上に延長されないことから、一次巻線やスイッチング素
子への負担を軽減することができる。
【0042】なお、火花放電継続時間の伝達を行う一定
周期については、長く設定するほどエンジン制御装置に
おける処理負荷の上昇を抑制することができるが、長く
なり過ぎると、内燃機関の運転状態の変化に追随して火
花放電継続時間を制御することができなくなる。このた
め、火花放電継続時間の伝達を行う一定周期について
は、内燃機関の運転状態の変化に追随可能な周期を設定
することが望ましい。
【0043】そして、火花放電継続時間を点火駆動装置
に通知するための通知用点火指令信号を生成する点火指
令信号生成手段としては、請求項4に記載のように、点
火指令信号はパルス信号であって、点火指令信号生成手
段は、火花放電継続時間を点火駆動装置に通知するため
に、点火指令信号のパルス幅を所定幅大きくした通知用
点火指令信号の連続出力回数を変化させるとよい。
【0044】つまり、点火指令信号生成手段は、火花放
電を発生させるための通常の点火指令信号と、この通常
の点火指令信号と識別可能な通知用点火指令信号とを生
成可能に構成され、算出された火花放電継続時間に応じ
て、通知用点火指令信号の連続出力回数を変化させるの
である。そして、火花放電継続時間の長さに対応する通
知用点火指令信号の連続出力回数を予め定めておき、火
花放電継続時間の長さに応じて、通知用点火指令信号の
連続出力回数を変化させるのである。
【0045】そして、点火指令信号が入力された点火駆
動装置では、火花放電遮断手段が通知用点火指令信号の
連続出力回数から火花放電継続時間を読みとることで、
火花放電継続時間を取得する事ができる。こうして火花
放電継続時間を取得した火花放電遮断手段は、火花放電
が発生してから火花放電継続時間が経過すると、火花放
電を強制的に遮断するのである。
【0046】また、火花放電継続時間を伝達するにあた
り、ミリ秒単位の短い周期で行われる火花放電におい
て、火花放電継続時間に応じて点火指令信号のパルス幅
を変化させて伝達する方法は、点火指令信号の生成処理
および判定処理に高い精度が要求される。それに比べ
て、本発明(請求項4)のように所定のパルス幅をもっ
た通知用点火指令信号の連続出力回数によって火花放電
継続時間を伝達する方法は、通常の点火指令信号と識別
可能な通知用点火指令信号が生成できればよいことか
ら、高精度の高価な装置ではなく、安価な装置を用いて
点火指令信号を生成することが可能である。
【0047】なお、通知用点火指令信号の連続出力回数
については、例えば、算出された火花放電継続時間が長
くなるに従い、連続出力回数を減少させるように定める
とよい。このようにすることで、信号配線でのノイズ等
の影響によって通知用点火指令信号が通常の点火指令信
号と誤認識された場合に、算出した火花放電継続時間よ
りも火花放電継続時間が長く認識されることになる。こ
のため、ノイズなどの影響によって誤認識された場合
に、火花放電継続時間が短く設定されるのを避けること
ができ、失火の発生を防ぐことができる。
【0048】ところで、内燃機関において火花放電が発
生する点火周期はミリ秒単位と短いことから、先にも述
べたように連続する2つの点火時期のそれぞれの時点に
おける内燃機関の運転状態はあまり大きく変化していな
い。そこで、請求項5に記載のように、点火指令信号生
成手段は、一定周期間隔をもって通知用点火指令信号を
連続して生成し、火花放電遮断手段は、エンジン制御装
置より出力される通知用点火指令信号の連続出力回数か
ら火花放電継続時間を読み取ると、次の火花放電継続時
間を読み取るまで、最後に読み取った火花放電継続時間
に基づき点火プラグの火花放電を強制的に遮断するとよ
い。
【0049】つまり、エンジン制御装置から点火駆動装
置への火花放電継続時間の伝達を、各燃焼サイクル毎に
行うのではなく、一定周期毎に行うように、すなわち、
数回の燃焼サイクルに1回の割合で行うようにするので
ある。これにより、火花放電継続時間算出手段による処
理が実行される時間間隔が長くなり、単位時間あたりの
処理回数が減るため、エンジン制御装置における処理負
荷の上昇を抑えることができる。
【0050】また、火花放電継続時間を伝達するための
点火指令信号は、少なくとも火花放電が発生可能な点火
用高電圧を確保するために、通常の点火指令信号よりも
長いパルス幅に設定することが望ましい。しかし、この
ように点火指令信号を設定すると、各燃焼サイクルでパ
ルス幅の長い点火指令信号が出力されることとなるた
め、一次巻線の通電時間が長くなり、一次巻線や一次電
流の通電・遮断を行うスイッチング素子にかかる負担が
大きくなってしまう。
【0051】そこで、本発明(請求項5)に記載の内燃
機関用点火システムのように、一定周期毎に火花放電継
続時間を伝達するための点火指令信号を出力すること
で、一次巻線の通電時間が必要以上に延長されるのを抑
えることができる。したがって、本発明(請求項5)に
よれば、エンジン制御装置における処理負荷の上昇を抑
えることができることから、正常に制御処理の実行が可
能となり、また、一次巻線の通電時間が必要以上に延長
されないことから、一次巻線やスイッチング素子への負
担を軽減することができる。
【0052】なお、火花放電継続時間の伝達を行う一定
周期については、長く設定するほどエンジン制御装置に
おける処理負荷の上昇を抑制することができるが、長く
なり過ぎると、内燃機関の運転状態の変化に追随して火
花放電継続時間を制御することができなくなる。このた
め、火花放電継続時間の伝達を行う一定周期について
は、内燃機関の運転状態の変化に追随可能な周期を設定
することが望ましい。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1は、第1実施例の内燃機関用
点火システムの構成を表す電気回路図である。なお、本
第1実施例で説明する内燃機関は複数の気筒を備えてい
るが、図1では、図面を見やすくするために、1気筒分
のみを記載している。
【0057】図1に示すように、本第1実施例の内燃機
関用点火システム1は、放電用の電気エネルギ(例えば
電圧12V)を供給する電源装置(バッテリ)11と、
内燃機関の気筒に設けられた点火プラグ13と、一次巻
線L1と二次巻線L2とからなる点火コイル15と、一
次巻線L1への通電・遮断を行うためのnpn型トラン
ジスタ17を備える点火駆動回路19と、点火制御のた
めに点火駆動回路19に対して点火指令信号IGを出力
するエンジン制御装置(以下、ECUと呼ぶ)31と、
を備えている。
【0058】そして、点火駆動回路19は、一次巻線L
1と直列接続されたnpn型のトランジスタ17と、火
花放電を発生させるための第1指令信号Sa、および火
花放電遮断を行うための第2指令信号Sbを制御する火
花放電制御回路21と、火花放電制御回路21からの指
令により火花放電を強制的に遮断する火花放電遮断回路
51とを備えている。
【0059】これらのうち、トランジスタ17は、点火
コイル15の一次巻線L1への通電・非通電を切り換え
る半導体素子からなるスイッチング素子であり、本第1
実施例の内燃機関用点火システム1はフルトランジスタ
型の点火装置を用いて構成された点火システムである。
【0060】ここで、一次巻線L1の一端は、電源装置
11の正極に接続され、他端は、トランジスタ17のコ
レクタおよび火花放電遮断回路51に接続されている。
また、二次巻線L2の一端は、電源装置11の正極に接
続されている一次巻線L1の一端に接続され、他端は、
点火プラグ13の中心電極13aに接続されている。そ
して、点火プラグ13の接地電極13bは、電源装置1
1の負極と同電位のグランドに接地される。また、トラ
ンジスタ17は、ベースが火花放電制御回路21の第1
指令信号Saを出力する端子に接続され、エミッタがグ
ランドに接地されている。
【0061】また、火花放電制御回路21には、ECU
31から出力される点火指令信号IGと、図示しないス
ロットル開度センサから出力されるスロットル開度信号
とが入力されている。そして、火花放電制御回路21
は、点火指令信号IGに基づいて、第1指令信号Saを
制御することによりトランジスタ17のベース電流を制
御して、点火プラグ13の電極間に火花放電を発生させ
るようにトランジスタ17の動作を制御する。また、火
花放電制御回路21には図示しないマイクロコンピュー
タ(マイコン)が備えられており、後述する火花放電遮
断処理を実行して第2指令信号Sbを制御して火花放電
を強制的に遮断する。
【0062】そして、火花放電制御回路21は、点火指
令信号IGがローレベル(一般にグランド電位)である
時には、第1指令信号Saをローレベルに変化させて、
トランジスタ17にベース電流を流さず、トランジスタ
17をオフ状態とするため、一次巻線L1には電流は流
れない。
【0063】また、火花放電制御回路21は、点火指令
信号IGがハイレベル(一般に定電圧電源の出力電圧V
c。図1では定電圧電源は図示省略。)である時には、
第1指令信号Saをハイレベルに変化させて、トランジ
スタ17にベース電流を流し、トランジスタ17をオン
状態とする。トランジスタ17がオン状態となると、電
源装置11の正極側から点火コイル15の一次巻線L1
を通って電源装置11の負極側に至る、一次巻線L1の
通電経路が形成され、一次巻線L1に電流(一次電流)
i1が流れる。
【0064】よって、点火指令信号IGがハイレベルで
あるために一次巻線L1に一次電流i1が流れている状
態で、点火指令信号IGがローレベルになると、トラン
ジスタ17がオフ状態となって、一次巻線L1への一次
電流i1の通電を遮断する。すると、急激な磁束の変化
が生じて、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電
圧が発生し、これが点火プラグ13に印加されること
で、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電
が発生する。
【0065】尚、点火コイル15は、一次巻線L1への
通電遮断により、点火プラグ13の中心電極13a側に
グランド電位よりも低い負の点火用高電圧を発生させる
ように構成されており、火花放電に伴い二次巻線L2に
流れる電流(二次電流)i2は、点火プラグ13の中心
電極13aから二次巻線L2を通って、一次巻線L1側
に流れる。また、二次巻線L2と一次巻線L1との接続
部分には、二次巻線L2から一次巻線L1側に電流が流
れるのを許容し、逆方向への電流の流れを阻止するため
に、ダイオード等からなる整流素子Dが設けられてい
る。そして、この整流素子Dの動作によって、トランジ
スタ17のターンオン時(一次巻線L1への通電開始
時)に二次巻線L2に電流が流れるのが阻止される。
【0066】また、火花放電遮断回路51は、エミッタ
が接地され、ベースが火花放電制御回路21の第2指令
信号Sbを出力する端子と接続され、コレクタがコンデ
ンサ87の一端(電極)に接続されるとともに、ダイオ
ード83を介して接地されたnpn型のトランジスタ8
5を備えている。そして、ダイオード83は、アノード
が接地され、カソードがトランジスタ85のコレクタに
接続されている。また、コンデンサ87は、トランジス
タ85との接続端(電極)とは反対側の接続端(電極)
が、抵抗91を介して一次巻線L1とトランジスタ17
のコレクタとの接続端に接続されている。さらに、ダイ
オード89が抵抗91に並列接続されており、ダイオー
ド89は、アノードが抵抗91と一次巻線L1との接続
端に接続され、カソードが抵抗91とコンデンサ87と
の接続端に接続されている。
【0067】そして、火花放電制御回路21から出力さ
れる第2指令信号Sbがローレベルである場合には、火
花放電遮断回路51内のトランジスタ85がオフ状態と
なり、火花放電遮断回路51が、電源装置11の正極か
ら一次巻線L1に向かう方向に一次電流i1を流すこと
はない。
【0068】また、第2指令信号Sbがハイレベルであ
る場合、火花放電遮断回路51内のトランジスタ85が
オン状態となり、火花放電遮断回路51が、電源装置1
1の正極側から点火コイル15の一次巻線L1を通って
電源装置11の負極側に至る、一次巻線L1の通電経路
を形成し、一次巻線L1に一次電流i1を流す。このと
き、一次巻線L1からコンデンサ87に流れ込む電流
は、ダイオード89を通じて流れる。
【0069】そして、通電経路に流れる電流によってコ
ンデンサ87に電荷が蓄積されるに従い、一次電流i1
は緩やかに減少し、コンデンサ87に、一次巻線L1の
インダクタンスとコンデンサ87の容量とで決まる一定
の時定数にて、所定量の電荷が蓄積されると、コンデン
サ87に電流が流れなくなり、一次電流i1を遮断す
る。
【0070】ただし、コンデンサ87が、一次巻線L1
側に接続された電極を正極性として電源装置11の電圧
より大きい電位差で充電されている場合、第2指令信号
Sbがハイレベルであっても、一次電流i1は流れない
ため、予めコンデンサ87に蓄積された電荷を放電させ
ておく必要がある。そこで、本実施例では、点火用高電
圧を発生させるための第1指令信号Saをハイレベルに
する、すなわち、トランジスタ17をオン状態とするこ
とで、コンデンサ87が充電されている場合のその電荷
を放電させることができる。
【0071】つまり、トランジスタ17をオン状態とす
ると、トランジスタ17、抵抗91、コンデンサ87、
ダイオード83による閉ループが形成され、コンデンサ
87に蓄積された電荷によって、この閉ループに電流が
流れることにより、コンデンサ87は放電される。この
とき、コンデンサ87が放電する電流は、ダイオード8
9ではなく抵抗91を通じて流れる。このため、通電経
路に流れる電流値が小さくなり、トランジスタ17に流
れる電流量が抑制されることになる。これにより、コン
デンサ87に蓄積された電荷を放電させた時に伴うトラ
ンジスタ17の発熱を小さく抑えることが可能となる。
【0072】したがって、火花放電遮断回路51は、コ
ンデンサ87が放電された状態で、第2指令信号Sbが
ローレベルからハイレベルに変化されると、一次巻線L
1に一次電流i1の通電を開始し、時間経過に従い一次
電流i1を緩やかに減少させていき、最終的に一次電流
i1を遮断する。そして、次の点火用高電圧を発生させ
るべく再度第1指令信号Saがハイレベルになること
で、コンデンサ87に蓄積された電荷が放電される。
【0073】ここで、図2に、図1に示す回路図におけ
る、点火指令信号IG(第1指令信号Sa),点火プラ
グ13の中心電極13aの電位Vp,トランジスタ17
に流れる電流i4,点火コイル15の一次巻線L1に流
れる一次電流i1,の各状態を表すタイムチャートを示
す。図2に示す時刻t1にて、点火指令信号IGがロー
からハイレベルに切り換わると、点火コイル15の一次
巻線L1に一次電流i1が流れ始める。その後、予め設
定された通電時間が経過した時刻t2にて、点火指令信
号IGがハイからローレベルに切り換わると、点火コイ
ル15の一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断さ
れ、点火プラグ13の中心電極13aに負の点火用高電
圧が印加される。これにより、中心電極13aの電位V
pが急峻に低下し、点火プラグ13の電極13a−13
b間に電流が流れて火花放電が発生していることが判
る。
【0074】また、時刻t1では、前の燃焼サイクルで
の火花放電の強制遮断によってコンデンサ87に蓄積さ
れた電荷が放電されるため、コンデンサ87から抵抗9
1に向かう方向に電流が流れる。図2では、コンデンサ
87に流れる電流i3を、抵抗91からコンデンサ87
に向かう方向を正方向としており、この時流れる電流i
3は負の電流として表される。
【0075】そして、このとき、トランジスタ17のコ
レクタには、電流i3と一次巻線L1に流れる一次電流
i1とが流れ込むため、トランジスタ17に流れる電流
i4は、一次電流i1と電流i3とを重ね合わせた電流
波形となる。なお、電流i3において負の値となる方向
の電流がトランジスタ17に流れ込むときには、電流i
4としては正の値となる方向の電流が流れることにな
る。
【0076】ここで、トランジスタ17の発熱を抑える
ためには、電流i4の大きさを小さく抑えることが望ま
しく、電流i3の大きさを抑えるとよい。よって、電流
i3が小さくなるように、抵抗91の抵抗値を決定する
とよい。ただし、第1指令信号Saがハイレベルである
時間(時刻t1からt2までの時間)内に、コンデンサ
87が完全に放電できる抵抗値に設定することが望まし
い。
【0077】そして、図2における時刻t3にて、第2
指令信号Sbがローからハイレベルに切り換わると、ト
ランジスタ85がターンオンして、電源装置11の正極
側から点火コイル15の一次巻線L1、火花放電遮断回
路51を通って電源装置11の負極側に至る通電経路を
形成し、一次巻線L1に一次電流i1が通電される。こ
のとき、火花放電遮断回路51の内部での通電経路は、
ダイオード89、コンデンサ87、トランジスタ85に
よって形成され、コンデンサ87に電荷が蓄積されるに
従い、一次電流i1が緩やかに減少し、コンデンサ87
に所定量の電荷が蓄積されて完全に充電されると、一次
電流i1に電流が流れなくなる。
【0078】なお、時刻t2までに、コンデンサ87に
蓄積された電荷は放電されているため、時刻t3でのコ
ンデンサ87は、火花放電を遮断するのに必要な大きさ
の一次電流i1を流すことが出来る。このように、一次
電流i1の遮断によって点火用高電圧が発生していると
きに、再度一次電流i1を通電すると、点火コイル15
における磁束の変化方向が反転し、逆極性の電圧が二次
巻線L2に発生することになる。火花放電時とは逆極性
の電圧が発生した場合、前述の整流素子Dによって電流
が流れることが阻止されるため、火花放電を発生させる
ことができなくなる。
【0079】これらのことから、図2に示すように、点
火プラグ13の中心電極13aの電位Vpが充分低いた
めに、電極13a−13b間で火花放電が生じている場
合に、火花放電遮断回路51を用いて一次巻線L1への
通電を行うようにすれば、点火プラグ13の中心電極1
3aの電位Vpを上昇させて、火花放電を強制的に遮断
させることが出来る。
【0080】次に、ECU31は、CPU,ROM,R
AM,A/D変換器などを備えて構成されており、内燃
機関の火花放電発生時期、燃料噴射量、アイドル回転数
等を総合的に制御するためのものである。そして、EC
U31は、火花放電を発生させるための点火制御処理を
行っており、点火制御処理を行うために、別途、内燃機
関の吸入空気量(吸気管圧力),回転速度,スロットル
開度,冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出
する運転状態検出処理を行っている。
【0081】ここで、点火制御処理は、例えば、内燃機
関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角セン
サからの信号に基づき、内燃機関が、吸気、圧縮、燃
焼、排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行され
る。そして、内燃機関が始動されて点火制御処理が起動
されると、点火制御処理は、別途実行される運転状態検
出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、読
み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期(いわゆ
る点火時期)を演算する。そして、内燃機関の運転状態
に基づいて算出した点火時期(図2における時刻t2)
を基準として、この点火時期よりも所定時間だけ早い時
刻(図2における時刻t1)で点火指令信号IGをハイ
レベルに変化させて(点火指令信号IGを出力し)、一
次巻線L1に一次電流i1を流す。
【0082】ここで、所定時間は、火花放電前の一次電
流通電時間のことであり、着火性の劣る運転条件におい
ても確実に混合気へ着火できる高い点火用高電圧による
火花放電を発生させるために、一次電流通電時間には、
点火コイルに十分な磁束を蓄積できる時間が設定されて
いる。これにより、火花放電が発生してから自然に終了
するまでの火花放電継続時間も十分長くなり、混合気の
着火性の劣る運転状態であっても、火炎核の成長を助け
て混合気を確実に燃焼させることができるようになる。
【0083】そして、点火制御処理は、時刻t1から所
定時間が経過した点火時期(図2における時刻t2)に
て、点火指令信号IGをローレベルに変化させて、一次
電流i1を急激に遮断し、点火用高電圧を二次巻線L2
に発生させて点火プラグ13の電極間に火花放電を発生
させる。
【0084】よって、点火制御処理は、このようにして
点火指令信号IGを用いて点火駆動回路19内の火花放
電制御回路21がトランジスタ17を駆動させ、点火プ
ラグ13の電極間に火花放電を発生させて混合気を燃焼
させることで、内燃機関を運転している。
【0085】次に、火花放電制御回路21にて、火花放
電を強制的に遮断するために実行される火花放電遮断処
理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。な
お、火花放電遮断処理は、内燃機関が始動されると同時
に起動されて、処理を開始する。
【0086】そして、この火花放電遮断処理が開始され
ると、まず、S110(Sはステップを表す)では、内
燃機関が十分に暖機された運転状態であるか否かを判断
しており、肯定判定される場合にはS130に移行し、
否定判定される場合にはS120に移行する。なお、S
110における判定は、例えば、内燃機関の冷却水温度
あるいは潤滑油温度が、それぞれ予め設定された暖機完
了判定用の規定値より高いか否かを判断することにより
行う。そして、例えば、内燃機関の始動直後のように暖
機が不十分であるときには、S110で否定判定され、
S120に移行する。
【0087】S120では、火花放電遮断のための処理
は行わず、火花放電は点火コイルに蓄積されたエネルギ
の減少にともない自然に終了する。なお、本第1実施例
の内燃機関用点火システム1は、前述の点火制御処理に
て、着火性の劣る運転状態においても確実に混合気へ着
火できるように、火花放電前の一次電流通電時間が設定
されている。このため、火花放電遮断を行わないこと
で、火花放電継続時間を十分に長くすることができ、冷
間始動後の暖機運転時のように水温が低く着火性の劣る
運転状態であっても、確実に混合気を燃焼させることが
出来る。そして、S120の処理が実行されると、再び
S110に移行する。
【0088】よって、内燃機関の暖機が不十分である間
は、S110,S120の処理を繰り返し実行すること
で、混合気を確実に燃焼できる火花放電を発生させて内
燃機関の運転を継続し、内燃機関が十分に暖機されるま
では火花放電遮断を行わない。
【0089】そして、内燃機関が十分に暖機されたと判
断されると、S110で肯定判定されて、S130に移
行する。S130では、内燃機関のエンジン回転速度を
計算するため、一旦、回転速度計算ルーチンに処理を移
行する。ここで、図4に火花放電制御回路21にて実行
される回転速度計算ルーチンのフローチャートを示す。
【0090】そして、回転速度計算ルーチンが起動され
ると、まず、S310では、点火指令信号IGの状態変
化(たとえば、ハイレベルからローレベルへの変化)を
監視しており、特に、初回の監視であるか否かを判断し
ている。このとき、初回の監視である場合には、点火指
令信号IGがハイレベルからローレベルに変化した時点
で肯定判定されてS320に移行し、初回の監視ではな
い時には否定判定されてS330に移行する。つまり、
S310では、点火指令信号IGを用いて点火時期を検
出しており、特に、内燃機関の始動後、回転速度計算ル
ーチンが初めて起動された時の最初の点火時期を検出し
ているのである。
【0091】そして、初回の監視における点火時期とな
るとS310で肯定判定されて、S320に移行し、S
320では現在時刻tを時刻変数T0に代入し、このと
きの点火時期の時刻を記憶する。そして、S320の処
理が終了すると、S330に移行する。
【0092】S310で否定判定されるか、S320の
処理が実行されると、S330に移行する。そして、S
330では、点火指令信号IGがハイレベルからローレ
ベルへ状態変化したか否かを判断しており、肯定判定さ
れるとS340に移行し、否定判定されると同ステップ
を繰り返し実行することで待機する。つまり、S330
では、時刻変数T0に記憶された時刻における点火時期
の次の点火時期を検出しているのである。
【0093】そして、S330で肯定判定されて、S3
40に移行すると、S340では、現在時刻tを時刻変
数T1に代入し、S330で検出された点火時期の時刻
を記憶する。続くS350では、時刻変数T0とT1と
の時間差(T1−T0)から、内燃機関のエンジン回転
速度を計算する。つまり、時刻変数T0とT1との時間
差は、火花放電が発生する点火周期に等しいことから、
この時間差の逆数を計算することでエンジン回転速度を
算出するのである。
【0094】次のS360では、時刻変数T1の値を時
刻変数T0に代入し、次回の回転速度の計算処理に備え
る。そして、S360の処理が実行されると、回転速度
計算ルーチンの処理が終了し、再び火花放電遮断処理に
処理が移行する。
【0095】このようにしてS130でエンジン回転速
度が計算されると、次のS140では、スロットル開度
信号を取り込み、続くS150で、スロットル開度信号
に基づき予め設定されたマップあるいは変換式を用いて
変換処理を行い、エンジン負荷を計算する。
【0096】そして、次のS160では、S130で求
めたエンジン回転速度と、S150で求めたエンジン負
荷に基づき、火花放電継続時間Tsを決定する。具体的
には、エンジン回転速度およびエンジン負荷をパラメー
タとするマップもしくは計算式を用いて火花放電継続時
間Tsを算出する。なお、算出に用いるマップもしくは
計算式は、火花放電継続時間Tsが内燃機関の運転状態
に応じて最適な値として算出されるように、予め幾つか
の測定データ等に基づいて定められている。
【0097】続くS170では、点火指令信号IGに基
づいて点火時期であるか否かを判断しており、肯定判定
されるとS180に移行し、否定判定されると同ステッ
プを繰り返し実行することで待機する。そして、点火時
期に達してS170で肯定判定されて、S180に移行
すると、S180では、現在時刻tを時刻変数T2に代
入する。つまり、S180では、S170で検出した点
火時期の時刻を記憶するのである。
【0098】続くS190では、現在時刻tから時刻変
数T2を差し引いた値が、S160で算出した火花放電
継続時間Tsに等しいか否かを判断しており、肯定判定
されるとS200に移行し、否定判定されると同ステッ
プを繰り返し実行することで、火花放電継続時間Tsが
経過するまで待機する。つまり、S190では、S17
0で検出された点火時期から火花放電継続時間Tsが経
過した火花放電遮断時期を検出しているのである。
【0099】そして、火花放電遮断時期に達して(図2
に示す時刻t3)S190で肯定判定されると、S20
0に移行し、S200では火花放電遮断動作を行う。具
体的には、第2指令信号Sbをハイレベルに変化させ
て、火花放電遮断回路51を動作させることにより、一
次巻線L1に電流(一次電流i1)を流すことで、火花
放電を強制的に遮断する。
【0100】つまり、一次電流i1の遮断によって点火
用高電圧が発生しているときに、再度一次電流i1を通
電すると、点火コイル15における磁束の変化方向が反
転し、逆極性の電圧が二次巻線L2に発生することにな
る。火花放電時とは逆極性の電圧が発生した場合、前述
の整流素子Dによって電流が流れることが阻止されるた
め、火花放電を発生させることができなくなる。よっ
て、一次電流i1を再通電することで、火花放電を強制
的に遮断することができる。
【0101】また、火花放電遮断を行うにあたっては、
前述したように、火花放電遮断回路51によって流れる
一次電流i1は、火花放電遮断直後は大きな電流値とな
るように制御されており、その後の時間経過に伴い、コ
ンデンサ87に電荷が蓄積されるに従って徐々に電流値
が小さくなる。そして、コンデンサ87に、一次巻線L
1のインダクタンスとコンデンサ87の容量とで決まる
一定の時定数にて、所定量の電荷が蓄積されると、コン
デンサ87に電流が流れなくなり、一次電流i1を遮断
する。
【0102】そして、S200は、第2指令信号Sbを
ハイレベルに変化させることで火花放電遮断回路51を
動作させた後、一次電流i1が流れなくなるか、かなり
電流値が小さくなる所定時間が経過すると、第2指令信
号Sbをローレベルに変化させて(図2に示す時刻t
4)、同ステップでの処理を終了し、再びS130に移
行する。
【0103】そして、S130に移行して、再び回転速
度計算ルーチンが起動されると、初回の監視ではないこ
とから、S310で否定判定されて、S330に移行す
る。そのあと、回転速度計算ルーチンでは、前述したよ
うに処理が行われて回転速度を計算する。なお、S35
0では前回実行された際にS360で記憶された時刻変
数T0を用いてエンジン回転速度を計算する。そして、
火花放電遮断処理に処理が移行すると、前述したように
一次電流i1を再通電する処理が実行されて火花放電の
遮断を行う。
【0104】このようにして、火花放電遮断処理は、内
燃機関が停止されるまで、S130からS200までの
処理を繰り返し実行して、火花放電の遮断を行う。この
ように、火花放電遮断処理は、内燃機関の運転状態に基
づいて火花放電継続時間Tsを算出し、火花放電が発生
する点火時期から火花放電継続時間Tsが経過した火花
放電遮断時期で、火花放電を強制的に遮断する。
【0105】
【0106】以上説明したように、本第1実施例の内燃
機関用点火システム1においては、ECU31の指令に
基づいて、点火駆動回路19における火花放電制御回路
21がトランジスタ17をオン・オフさせることによ
り、点火コイル15の二次巻線L2に発生した点火用高
電圧を点火プラグ13に印加して、点火プラグ13の電
極13a−13b間に火花放電を発生させている。その
後、火花放電制御回路21が、内燃機関の運転状態に基
づき算出した火花放電継続時間Tsが経過した時点で、
火花放電遮断回路51を動作させて、点火コイル15の
一次巻線L1に再度一次電流i1を流すことにより、火
花放電を強制的に遮断するように、内燃機関用点火シス
テムが構成されている。
【0107】このように構成された本第1実施例の内燃
機関用点火システムは、ECU31ではなく、点火駆動
回路19における火花放電制御回路21に火花放電遮断
処理が備えられており、火花放電を強制的に遮断するた
めの処理は、ECU31ではなく、点火駆動回路19に
て実行されるように構成されている。このため、火花放
電を遮断するための処理が、ECU31の処理負荷に影
響を与えることがなく、火花放電を遮断するための処理
が原因となってECU31の処理負荷が上昇することは
ない。さらに、本第1実施例の内燃機関用点火システム
1では、火花放電を遮断するための処理は、ECU31
に備えられていないことから、火花放電遮断を行わない
従来の内燃機関用点火システムに備えられていたECU
31をそのまま使用することができる。
【0108】また、本第1実施例では、点火駆動回路1
9における火花放電制御回路21において、エンジン回
転速度およびエンジン負荷に基づいて火花放電継続時間
を算出しているが、点火駆動回路19に入力される点火
指令信号IGを用いて、火花放電の発生周期からエンジ
ン回転速度を算出している。このため、エンジン回転速
度を表す信号を点火駆動回路19に入力するための入力
端子や信号配線等の設置を省略することができる。
【0109】したがって、本第1実施例の内燃機関用点
火システムによれば、火花放電を遮断するための処理を
点火駆動回路19にて実行するため、ECU31の処理
負荷を上昇させてしまうことがなく、ECU31にて実
行される各制御処理を正常に実行することが可能とな
る。また、従来の内燃機関用点火システムにて使用して
いたECU31を使用でき、さらに、点火駆動回路19
へエンジン回転速度を入力するための入力端子や配線等
の設置を省略できることから、従来の内燃機関用点火シ
ステムからの構成変更項目が少なくなり、火花放電を遮
断する内燃機関用点火システムを低コストで実現する事
ができる。
【0110】次に、火花放電を遮断するための処理を、
ECU31と点火駆動回路19に分散して実行する内燃
機関用点火システムを第2実施例として以下に説明す
る。図5に、第2実施例の内燃機関用点火システムの構
成を表す電気回路図を示す。なお、第2実施例の内燃機
関は、第1実施例と同様に複数の気筒を備えているが、
図5では、図面を見やすくするために1気筒分のみを記
載している。
【0111】図5に示すように、本第2実施例の内燃機
関用点火システム1は、放電用の電気エネルギ(例えば
電圧12V)を供給する電源装置(バッテリ)11と、
内燃機関の気筒に設けられた点火プラグ13と、一次巻
線L1と二次巻線L2とからなる点火コイル15と、一
次巻線L1への通電・遮断を行うためのnpn型トラン
ジスタ17を備える点火駆動回路19と、点火制御のた
めに点火駆動回路19に対して点火指令信号IGを出力
するエンジン制御装置(以下、ECUと呼ぶ)31と、
を備えている。
【0112】そして、点火駆動回路19は、一次巻線L
1と直列接続されたnpn型のトランジスタ17と、火
花放電を発生させるための第1指令信号Sa、および火
花放電遮断を行うための第2指令信号Sbを制御する火
花放電制御回路21と、火花放電制御回路21からの指
令により火花放電を強制的に遮断する火花放電遮断回路
51とを備えている。
【0113】ここで、第2実施例の内燃機関用点火シス
テム1は、第1実施例の内燃機関用点火システム1と比
べて、点火駆動回路19における火花放電制御回路2
1、およびECU31において実行される処理内容が異
なっていることから、同様の構成要素についての説明は
省略し、第1実施例と異なっている構成要素を中心に以
下に説明する。
【0114】まず、点火駆動回路19における火花放電
制御回路21は、ECU31から出力される点火指令信
号IGが入力されており、点火指令信号IGに基づい
て、第1指令信号Saを制御することによりトランジス
タ17のベース電流を制御して、点火プラグ13の電極
間に火花放電を発生させるようにトランジスタ17の動
作を制御する。なお、第2実施例の点火駆動回路19に
おいては、スロットル開度信号は入力されていない。ま
た、火花放電制御回路21には図示しないマイクロコン
ピュータ(マイコン)が備えられており、後述する火花
放電遮断処理を実行して、ECU31で算出される火花
放電継続時間に基づいて、第2指令信号Sbを制御する
ことで火花放電を強制的に遮断する。
【0115】そして、火花放電制御回路21は、第1実
施例と同様に、点火指令信号IGの状態に応じて、第1
指令信号Saの状態を変化させることにより、トランジ
スタ17を駆動して、一次巻線L1への通電・遮断を行
う。よって、点火指令信号IGがハイレベルであるため
に一次巻線L1に一次電流i1が流れている状態で、点
火指令信号IGがローレベルになると、トランジスタ1
7がオフ状態となって、一次巻線L1への一次電流i1
の通電を遮断する。すると、急激な磁束の変化が生じ
て、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電圧が発
生し、これが点火プラグ13に印加されることで、点火
プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生す
る。
【0116】そして、一次電流i1の遮断によって点火
用高電圧が発生しているときに、点火駆動回路19にお
ける火花放電制御回路21が、後述する火花放電遮断処
理を実行して、第2指令信号Sbを制御して火花放電遮
断回路51を動作させることにより、再度一次電流i1
を通電すると、点火コイル15における磁束の変化方向
が反転し、逆極性の電圧が二次巻線L2に発生すること
になる。火花放電時とは逆極性の電圧が発生した場合、
前述したように、整流素子Dによって二次巻線L2に電
流が流れることが阻止されるため、火花放電を発生させ
ることができなくなり、火花放電を強制的に遮断させる
ことが出来る。
【0117】そして、第2実施例における点火制御処理
は、第1実施例と同様に、点火指令信号IGを制御し、
点火指令信号IGを受信した点火駆動回路19における
火花放電制御回路21が、第1指令信号Saを制御する
ことによりトランジスタ17を駆動して、点火プラグ1
3の電極間に火花放電を発生させて混合気を燃焼させる
ことで、内燃機関を運転している。
【0118】さらに、第2実施例のECU31では、内
燃機関の運転状態に基づいて、火花放電継続時間を算出
している。つまり、第1実施例の火花放電遮断処理にお
けるS110からS160の処理に相当する火花放電継
続時間算出処理を、ECU31が実行して、エンジン回
転速度およびエンジン負荷に基づいて、火花放電継続時
間Tsを算出するのである。なお、エンジン回転速度お
よびエンジン負荷の算出は、運転状態検出処理の検出結
果を利用している。
【0119】そして、ECU31では、火花放電継続時
間算出処理により算出された火花放電継続時間に応じ
て、点火指令信号生成処理が通知用点火指令信号として
の点火指令信号IGを生成する。この点火指令信号生成
処理では、火花放電継続時間Tsに応じて、点火指令信
号IGのパルス幅Tspkを変化させており、例えば、
表1に示すような火花放電継続時間Tsとパルス幅Ts
pkとの関係に基づいて、通知用点火指令信号としての
点火指令信号IGを生成する。
【0120】
【表1】
【0121】なお、通知用点火指令信号は、各燃焼サイ
クル毎に火花放電継続時間Tsに応じたパルス幅が設定
される。また、本第2実施例では、火花放電継続時間に
関する情報を含まない通常の点火指令信号IGのパルス
幅Tnは、3.5msに設定されており、着火性の劣る
運転状態においても火花放電が発生可能なエネルギを点
火コイルに蓄積できるようにしている。また、パルス幅
が3.5msの点火指令信号IGが出力されたときに
は、火花放電の強制遮断は行わない。
【0122】このようにして生成された通知用点火指令
信号としての点火指令信号IGは、点火駆動回路19に
出力されて、点火時期および火花放電継続時間Tsを点
火駆動回路19に伝達する。そして、点火駆動回路19
における火花放電制御回路21は、通常の点火指令信号
IGおよび通知用点火指令信号としての点火指令信号I
Gに基づいて、前述したようにトランジスタ17を駆動
して火花放電を発生させるとともに、通知用点火指令信
号としての点火指令信号IGのパルス幅から火花放電継
続時間Tsを読み取る。そして、読み取った火花放電継
続時間Tsに従って、第2指令信号Sbを制御して火花
放電遮断回路51を動作させて、火花放電を強制的に遮
断する。
【0123】次に、点火駆動回路19における火花放電
制御回路21にて実行される火花放電遮断処理を図6に
示すフローチャートに沿って説明する。この火花放電遮
断処理が開始されると、まず、S510では、点火指令
信号IGが立ち上がり方向(ローレベルからハイレベ
ル)に状態変化したか否かを判断しており、肯定判定さ
れるとS520に移行し、否定判定されると同ステップ
を繰り返し実行することで待機する。つまり、S510
では、点火指令信号IGが立ち上がり方向に状態変化す
る時期を検出して、磁束(エネルギ)を点火コイルに蓄
積するための一次電流の通電開始時期を検出している。
【0124】そして、S510で肯定判定されると、S
520では現在時刻tを時刻変数T0に代入し、点火指
令信号IGの立ち上がり時刻を記憶する。続くS530
では、点火指令信号IGが立ち下がり方向(ハイレベル
からローレベル)に状態変化したか否かを判断してお
り、肯定判定されるとS540に移行し、否定判定され
ると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つ
まり、S530では、点火指令信号IGが立ち下がり方
向に状態変化する時期を検出して、一次電流の通電遮断
時期(いわゆる点火時期)を検出している。
【0125】そして、S530で肯定判定されると、S
540では現在時刻tを時刻変数T1に代入し、点火指
令信号IGの立ち下がり時刻(点火時期)を記憶する。
次のS550では、S520およびS540にて記憶し
た時刻変数T0とT1との時間差から点火指令信号IG
のパルス幅Tspkを算出する。そして、算出したパル
ス幅Tspkに対応する火花放電継続時間Tsを算出
し、次回の燃焼サイクルにおける火花放電継続時間Ts
を決定する。
【0126】そして、S560では、点火指令信号IG
に基づいて次の燃焼サイクルにおける点火時期に達した
か否かを判断しており、肯定判定されるとS570に移
行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行する
ことで待機する。点火時期となりS560で肯定判定さ
れると、続くS570では現在時刻tを時刻変数T2に
代入し、点火時期の時刻を記憶する。
【0127】続くS580では、現在時刻tから時刻変
数T2を差し引いた値(t−T2)が、S550で決定
された火花放電継続時間Tsに等しいか否かを判断して
おり、肯定判定されるとS590に移行し、否定判定さ
れると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
つまり、S580では、S560で検出された点火時期
から火花放電継続時間Tsが経過した火花放電遮断時期
を検出している。
【0128】そして、火花放電遮断時期に達してS58
0で肯定判定されると、S590に移行し、S590で
は火花放電遮断動作を行う。具体的には、第1実施例と
同様に、第2指令信号Sbをハイレベルに変化させて、
火花放電遮断回路51を動作させることにより、一次巻
線L1に電流(一次電流i1)を流すことで、火花放電
を強制的に遮断する。
【0129】そして、S590は、第2指令信号Sbを
ハイレベルに変化させることで火花放電遮断回路51を
動作させた後、一次電流i1が流れなくなるか、かなり
電流値が小さくなる所定時間が経過すると、第2指令信
号Sbをローレベルに変化させて、同ステップでの処理
を終了するとともに、火花放電遮断処理を終了する。
【0130】このように、第2実施例の火花放電遮断処
理は、通知用点火指令信号としての点火指令信号IGの
パルス幅Tspkから火花放電継続時間Tsを読み取
り、次の燃焼サイクルにおける点火時期から火花放電継
続時間Tsが経過した火花放電遮断時期で、火花放電を
強制的に遮断する。よって、火花放電遮断処理は、火花
放電が終了すると起動されて、次の燃焼サイクルにおい
て火花放電継続時間を決定し、さらに次の燃焼サイクル
において火花放電遮断を行い処理を終了する。このた
め、火花放電遮断処理は、2つの燃焼サイクルにわたる
期間で一連の処理が行われるとともに、各燃焼サイクル
毎に起動されるため、点火駆動回路19における火花放
電制御回路21では、同時に複数の火花放電遮断処理を
実行することができるように構成されている。
【0131】ここで、第2実施例の内燃機関用点火シス
テム1における第1気筒から第3気筒における、IG信
号(点火指令信号)と点火プラグ13の中心電極13a
の電位のタイムチャートを図7に示す。図7に示すよう
に、第1気筒においては、点火時期が時刻t14である
IG信号のパルス幅が、通常のパルス幅Tnよりも長い
パルス幅Tspkになっており、次の燃焼サイクルにお
いて火花放電遮断を行うことを示している。このため、
点火時期が時刻t17である次の火花放電では、自然に
火花放電が終了する火花放電継続時間Ttaよりも短い
火花放電継続時間Ttbで火花放電が遮断されている。
この火花放電継続時間Ttbは、例えば表1に示すよう
な関係に基づいて、パルス幅Tspkに対応する値とし
て算出された火花放電継続時間Tsである。なお、図7
における通常のパルス幅Tnは、火花放電遮断を行わな
いことを示す点火指令信号のパルス幅を示している。
【0132】また、第2気筒および第3気筒について
も、第1気筒と同様に、火花放電遮断を行うことを示す
パルス幅TspkのIG信号を受けた次の燃焼サイクル
において火花放電遮断を行っている。そして、本実施例
では、各気筒毎に独立して火花放電継続時間が設定可能
に構成されている。
【0133】なお、本第2実施例においては、ECU3
1が、特許請求の範囲における請求項1に記載のエンジ
ン制御装置に相当し、トランジスタ17がスイッチング
手段に相当し、点火駆動回路19が点火駆動装置に相当
し、火花放電継続時間算出処理が火花放電継続時間算出
手段に相当し、点火指令信号生成処理が点火指令信号生
成手段に相当し、火花放電遮断処理および火花放電遮断
回路51が火花放電遮断手段に相当する。また、火花放
電継続時間Tsに応じてパルス幅Tspkが設定された
点火指令信号が、通知用点火指令信号に相当する。
【0134】以上説明したように、本第2実施例の内燃
機関用点火システム1においては、ECU31からの指
令に基づいて、点火駆動回路19における火花放電制御
回路21がトランジスタ17をオン・オフさせ、点火コ
イル15の二次巻線L2に発生した点火用高電圧を点火
プラグ13に印加して、点火プラグ13の電極13a−
13b間に火花放電を発生させている。さらに、ECU
31は、内燃機関の運転状態に基づき火花放電継続時間
Tsを算出し、火花放電継続時間Tsに応じてパルス幅
を変化させた通知用点火指令信号としての点火指令信号
IGを出力する。そして、点火駆動回路19における火
花放電制御回路21は、通知用点火指令信号としての点
火指令信号IGのパルス幅Tspkから火花放電継続時
間Tsを読み取る。その後、火花放電制御回路21が、
次回の燃焼サイクルにおける点火時期から火花放電継続
時間Tsが経過した時点で、火花放電遮断回路51を動
作させて、点火コイル15の一次巻線L1に再度一次電
流i1を流すことにより、火花放電を強制的に遮断する
ように、内燃機関用点火システム1が構成されている。
【0135】つまり、ECU31が火花放電継続時間T
sを算出する処理を行い、点火駆動回路19が火花放電
継続時間に基づいて火花放電を強制的に遮断する処理を
行うのである。これにより、ECU31では、火花放電
継続時間Tsを算出する処理を実行することになるが、
火花放電継続時間Tsに基づく火花放電遮断時期を検出
して火花放電を遮断する処理は点火駆動回路19におい
て実行されるため、火花放電を強制的に遮断するための
すべての処理をECU31で実行するのではない。この
ため、すべての処理をECU31で実行する場合に比べ
て、火花放電遮断時期を検出して火花放電を遮断する処
理の分だけECU31の処理負荷の上昇を抑制すること
ができる。
【0136】また、ECU31は、内燃機関を制御する
ために各部の状態が既に入力されていることから、火花
放電継続時間Tsを算出するために、内燃機関の運転状
態(エンジン回転速度やエンジン負荷など)を表す信号
を新規に入力する必要がない。よって、入出力端子や信
号配線等を新規に設置することなく、多くの内燃機関の
運転状態を得ることができることから、従来の装置から
の構成変更項目を少なく抑えつつ、多くの運転状態に基
づいて、最適な火花放電継続時間を算出することができ
る。
【0137】また、ECU31にて実行される点火指令
信号生成処理が、火花放電継続時間に応じたパルス幅の
通知用点火指令信号としての点火指令信号IGを生成す
ることから、点火駆動回路19では、この点火指令信号
IGから火花放電継続時間Tsを読みとることができ
る。このため、火花放電継続時間Tsを入力するための
配線を新たに設ける必要がない。
【0138】したがって、本第2実施例の内燃機関用点
火システムによれば、火花放電を遮断するための処理
を、ECU31と点火駆動回路19に分散して実行する
ため、ECU31における処理負荷の上昇を抑えること
ができ、ECU31における内燃機関各部の総合的な制
御処理を正確に実行する事が可能となる。
【0139】また、信号入出力のための入出力端子や配
線等の構成変更が発生しないため、配線の分岐などによ
る他の既存装置へのノイズなどの悪影響が生じないとい
う利点がある。なお、点火指令信号IGのパルス幅につ
いては、火花放電前の一次電流通電時間に相当すること
から、過度に短くなると火花放電を発生できなくなる虞
があるため、点火指令信号生成処理では、少なくとも火
花放電が発生可能な最短の長さよりも長いパルス幅を設
定するようにしている。
【0140】また、本実施例の内燃機関は複数の気筒を
備えており、各気筒に対応する複数の点火指令信号IG
のそれぞれのパルス幅を独立して設定するようにしてい
るが、これら複数のうちの1気筒に対応する点火指令信
号IGを用いて火花放電継続時間Tsを伝達するように
するとよい。そして、点火駆動回路19では、1気筒に
対応する通知用点火指令信号としての点火指令信号IG
から取得した火花放電継続時間Tsに基づいて、全ての
気筒における火花放電を強制的に遮断するのである。こ
れにより、点火指令信号生成処理での処理量を減らすこ
とができ、ECU31の処理負荷の上昇を抑制すること
ができる。
【0141】さらに、複数の気筒が設けられた内燃機関
において、1気筒に対応して算出された火花放電継続時
間に基づいて、全ての気筒における火花放電を強制的に
遮断する際には、同一燃焼サイクルにおける各気筒への
通知用点火指令信号としての点火指令信号IGを、すべ
て同一の火花放電継続時間Tsに応じたパルス幅の信号
とするとよい。そして、受信した複数の通知用点火指令
信号のパルス幅が等しいか否かをそれぞれ比較すること
で、火花放電継続時間Tsの読みとりエラーのチェック
を行うのである。これにより、ノイズなどの影響を抑え
て正確に火花放電継続時間を伝達することが可能にな
る。
【0142】次に、火花放電を遮断するための処理を、
ECU31と点火駆動回路19に分散して実行する内燃
機関用点火システムのうち、第2実施例とは、火花放電
継続時間を通知する周期が異なる第3実施例について以
下に説明する。第3実施例の内燃機関用点火システム1
の構成は、第2実施例と同様であり、電気回路図は図5
に示す電気回路図と同様である。
【0143】そして、第3実施例の内燃機関用点火シス
テム1は、第2実施例と比べて、点火駆動回路19にお
ける火花放電制御回路21で実行される火花放電遮断処
理と、ECU31で実行される点火指令信号生成処理が
異なっていることから、同様の構成要素についての説明
は省略し、第2実施例と異なっている部分を中心に以下
に説明する。
【0144】まず、ECU31で実行される点火指令信
号生成処理について説明する。第3実施例における点火
指令信号生成処理では、火花放電継続時間Tsに応じて
点火指令信号IGのパルス幅Tspkを変化させ、通知
用点火指令信号を生成している点では、第2実施例と同
じであるが、100回の燃焼サイクルのうち1回の割合
で、火花放電継続時間Tsに応じたパルス幅の通知用点
火指令信号を生成している。つまり、第3実施例では、
各燃焼サイクル毎に火花放電継続時間Tsに応じたパル
ス幅の通知用点火指令信号を生成するのではなく、点火
駆動回路19へ火花放電継続時間Tsを伝達する周期が
第2実施例よりも長くなっている。
【0145】また、同一燃焼サイクルにおける第1気筒
から第3気筒のそれぞれの点火指令信号IGを、すべて
同一の火花放電継続時間Tsに応じたパルス幅の通知用
点火指令信号として生成している。なお、火花放電継続
時間Tsを伝達する燃焼サイクルではない時には、火花
放電継続時間に関する情報を含まない通常の点火指令信
号IG(たとえば、パルス幅Tnが3.5ms)が生成
される。
【0146】そして、点火駆動回路19における火花放
電制御回路21は、第2実施例と同様に、通知用点火指
令信号としての点火指令信号IGに基づいて、前述した
ようにトランジスタ17を駆動して火花放電を発生させ
るとともに、その点火指令信号IGのパルス幅から火花
放電継続時間Tsを読み取る。そして、読み取った火花
放電継続時間Tsに従って、第2指令信号Sbを制御し
て火花放電遮断回路51を動作させて、火花放電を強制
的に遮断する。
【0147】次に、点火駆動回路19にて実行される火
花放電遮断処理を図8に示すフローチャートに沿って説
明する。なお、火花放電遮断処理は、100回の燃焼サ
イクルのうち1回の割合で繰り返し起動される。また、
第2実施例では、各気筒毎に独立した火花放電遮断処理
がそれぞれ実行されていたが、第3実施例では、各気筒
への点火指令信号IGの論理和(OR)を点火指令信号
として、1つの火花放電遮断処理で処理を行う。
【0148】そして、この火花放電遮断処理が開始され
ると、まず、S710では、点火指令信号IGが立ち上
がり方向(ローレベルからハイレベル)に状態変化した
か否かを判断しており、肯定判定されるとS720に移
行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行する
ことで待機する。つまり、S710では、点火指令信号
IGが立ち上がり方向に状態変化する時期を検出して、
磁束(エネルギ)を点火コイルに蓄積するための一次電
流の通電開始時期を検出している。
【0149】そして、S710で肯定判定されると、S
720では現在時刻tを時刻変数T0に代入し、点火指
令信号IGの立ち上がり時刻を記憶する。続くS730
では、点火指令信号IGが立ち下がり方向(ハイレベル
からローレベル)に状態変化したか否かを判断してお
り、肯定判定されるとS740に移行し、否定判定され
ると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つ
まり、S730では、点火指令信号IGが立ち下がり方
向に状態変化する時期を検出して、一次電流の通電遮断
時期(いわゆる点火時期)を検出している。
【0150】そして、S730で肯定判定されると、S
740では現在時刻tを時刻変数T1に代入し、点火指
令信号IGの立ち下がり時刻(点火時期)を記憶する。
次のS750では、S720およびS740にて記憶し
た時刻変数T0とT1との時間差から点火指令信号IG
のパルス幅Tspkを算出する。
【0151】続くS760では、S750で算出したパ
ルス幅Tspkが4msよりも大きいか否かを判断して
おり、肯定判定されるとS770に移行し、否定判定さ
れるとS710に移行する。つまり、S760では、点
火指令信号IGが、火花放電継続時間Tsを通知するた
めにパルス幅が設定された通知用点火指令信号であるか
否かを判断している。
【0152】なお、S760において、パルス幅Tsp
kの判定しきい値を4msに設定しているのは、確実に
通知用点火指令信号を識別するためである。つまり、回
転変動等の影響により通常の点火指令信号IGのパルス
幅Tn(3.5ms)が変動する(ばらつく)ことがあ
ることから、上記パルス幅Tnよりも若干大きいパルス
幅を判定しきい値として判定することで、確実に通知用
点火指令信号を識別できるようにするのである。
【0153】S760で否定判定されると、S710に
移行して、次の点火指令信号IGが入力されるまで待機
する。S760で肯定判定されてS770に移行する
と、S770ではTspkカウンタの値に1を加算(イ
ンクリメント)する。
【0154】次のS780では、Tspkカウンタが2
以上であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS
790に移行し、否定判定されるとS710に移行す
る。ここで、本実施例の内燃機関は3気筒で構成されて
おり、同一燃焼サイクルにおける各気筒への点火指令信
号IGを、すべて同一の火花放電継続時間Tsに応じた
パルス幅の通知用点火指令信号としている。
【0155】このため、S780では、3気筒分の通知
用点火指令信号としての点火指令信号IGのうち少なく
とも2気筒に対応する火花放電継続時間Tsに応じてパ
ルス幅が設定されていることを検出するのと同時に、火
花放電継続時間Tsの読み取りエラーのチェックを行っ
ている。
【0156】そして、S780で否定判定されると、S
710に移行して、次の点火指令信号IGが入力される
まで待機する。また、S780で肯定判定されてS79
0に移行すると、S790では、ECU31で点火指令
信号IGを生成するときに用いた火花放電継続時間Ts
とパルス幅Tspkとの関係(例えば、表1に示す関
係)に従い、S750で算出したパルス幅Tspkに対
応する火花放電継続時間Tsを導出し、火花放電継続時
間Tsを決定する。
【0157】続くS800では、Tspkカウンタに0
を代入してカウンタリセットを行う。次のS810で
は、一旦、持続可変ルーチンに処理を移行して、火花放
電の遮断を行う。ここで、図9に持続可変ルーチンのフ
ローチャートを示す。
【0158】そして、持続可変ルーチンが起動される
と、まず、S910では、点火指令信号IGに基づいて
次の燃焼サイクルにおける点火時期に達したか否かを判
断しており、肯定判定されるとS920に移行し、否定
判定されると同ステップを繰り返し実行することで待機
する。
【0159】点火時期となりS910で肯定判定される
と、続くS920では現在時刻tを時刻変数T2に代入
し、点火時期の時刻を記憶する。続くS930では、現
在時刻tから時刻変数T2を差し引いた値(t−T2)
が、火花放電遮断処理のS790で決定された火花放電
継続時間Tsに等しいか否かを判断しており、肯定判定
されるとS940に移行し、否定判定されると同ステッ
プを繰り返し実行することで待機する。つまり、S93
0では、S910で検出された点火時期から火花放電継
続時間Tsが経過した火花放電遮断時期を検出してい
る。
【0160】そして、火花放電遮断時期に達してS93
0で肯定判定されると、S940に移行し、S940で
は火花放電遮断動作を行う。具体的には、第2実施例と
同様に、第2指令信号Sbをハイレベルに変化させて、
火花放電遮断回路51を動作させることにより、一次巻
線L1に電流(一次電流i1)を流すことで、火花放電
を強制的に遮断する。
【0161】そして、S940は、第2指令信号Sbを
ハイレベルに変化させることで火花放電遮断回路51を
動作させた後、一次電流i1が流れなくなるか、かなり
電流値が小さくなる所定時間が経過すると、第2指令信
号Sbをローレベルに変化させて、同ステップでの処理
を終了するとともに、持続可変ルーチンを終了する。
【0162】持続可変ルーチンが終了すると、再び火花
放電遮断処理に処理が移行し、するとS810は同ステ
ップでの処理を終了するとともに、火花放電遮断処理を
終了する。そして、火花放電遮断処理は、100回の燃
焼サイクルに1回の割合で起動されて、上述した処理を
行う。また、一旦決定された火花放電継続時間Tsは、
点火駆動回路19における火花放電制御回路21の内部
に記憶されており、次の火花放電遮断処理が実行されて
更新されるまで同一の火花放電継続時間Tsが記憶され
る。
【0163】さらに、持続可変ルーチンは、火花放電遮
断処理から読み出されて実行されるだけではなく、各気
筒毎に各燃焼サイクルに1回の割合で読み出されて実行
されており、実行された時点で記憶されている火花放電
継続時間Tsを用いて火花放電を遮断する。
【0164】ここで、第3実施例の内燃機関用点火シス
テム1を用いて火花放電の遮断を行った場合、図7に示
すタイムチャートにおける時刻t17以降に発生する火
花放電は、各気筒とも火花放電継続時間の更新が行われ
るまで、点火時期から火花放電継続時間Ttbが経過し
た時点で火花放電遮断される。つまり、第3実施例の内
燃機関用点火システムであれば、図7に示す時刻20で
発生した火花放電は、時間Ttaだけ継続して自然に終
了するのではなく、火花放電継続時間Ttbで火花放電
遮断される。
【0165】このように、第3実施例の内燃機関用点火
システムでは、ECU31から点火駆動回路19への火
花放電継続時間の伝達を、各燃焼サイクル毎に行うので
はなく、100回の燃焼サイクルに1回の割合で行うよ
う構成されている。これにより、火花放電継続時間算出
処理による処理の実行頻度が少なくなり、ECU31に
おける処理負荷の上昇を抑えることができる。なお、E
CU31が火花放電継続時間Tsに応じてパルス幅を設
定した通知用点火指令信号としての点火指令信号IGを
出力するタイミングと、点火駆動回路19が火花放電継
続時間Tsを検出するタイミングは、同じ燃焼サイクル
となるように同期処理が行われている。
【0166】また、火花放電継続時間を伝達するための
通知用点火指令信号は、少なくとも火花放電が発生可能
な電圧を確保するために、通常の点火指令信号よりも長
いパルス幅に設定されている。しかし、このように通知
用点火指令信号を設定して、各燃焼サイクルでパルス幅
の長い通知用点火指令信号としての点火指令信号IGが
出力されると、一次巻線L1の通電時間が長くなり、一
次巻線L1や一次電流の通電・遮断を行うトランジスタ
17にかかる負担が大きくなってしまう。しかし、本第
3実施例の内燃機関用点火システムのように、100回
の燃焼サイクルに1回の割合で火花放電継続時間Tsを
伝達する通知用点火指令信号としての点火指令信号IG
を出力することで、トランジスタ17にかかる負担を抑
えることができる。
【0167】したがって、本第3実施例によれば、EC
U31における処理負荷の上昇を抑えることができるこ
とから、ECU31における内燃機関各部の総合的な制
御処理を正確に実行することができ、また、一次巻線L
1の通電時間が必要以上に延長されないことから、一次
巻線L1やトランジスタ17への負担を軽減することが
できる。
【0168】次に、火花放電を遮断するための処理を、
ECU31と点火駆動回路19に分散して実行する内燃
機関用点火システムのうち、複数の点火指令信号(通知
用点火指令信号)を用いて1つの火花放電継続時間を通
知する第4実施例について以下に説明する。
【0169】第4実施例の内燃機関用点火システム1の
構成は、第2実施例と同様であり、電気回路図は図5に
示す電気回路図と同様である。そして、第4実施例の内
燃機関用点火システム1は、第2実施例と比べて、点火
駆動回路19における火花放電制御回路21で実行され
る火花放電遮断処理と、ECU31で実行される点火指
令信号生成処理が異なっていることから、同様の構成要
素についての説明は省略し、第2実施例と異なっている
部分を中心に以下に説明する。
【0170】まず、ECU31で実行される点火指令信
号生成処理について説明する。第4実施例における点火
指令信号生成処理は、パルス幅が3.5msとなる通常
の点火指令信号IGと、パルス幅が4.5msとなる通
知用点火指令信号としての点火指令信号IGとが生成可
能であり、通常時はパルス幅が3.5msの点火指令信
号IGを出力している。そして、100回の燃焼サイク
ルを1単位期間とし、その1単位期間における最初の燃
焼サイクルを起点として、火花放電継続時間に応じた回
数の通知用点火指令信号としての点火指令信号IGを連
続して生成する。このとき、通知用点火指令信号の連続
出力回数は、例えば、表2に示すような火花放電継続時
間Tsと連続出力回数Nspkとの関係に基づいて決定
する。
【0171】
【表2】
【0172】このように連続して生成された通知用点火
指令信号としての点火指令信号IGは、点火駆動回路1
9に出力されて、点火時期および火花放電継続時間Ts
を点火駆動回路19における火花放電制御回路21に伝
達する。そして、点火駆動回路19における火花放電制
御回路21は、第2実施例と同様に、通常の点火指令信
号IGおよび通知用点火指令信号としての点火指令信号
IGに基づいて、前述したようにトランジスタ17を駆
動して火花放電を発生させるとともに、通知用点火指令
信号の連続出力回数から火花放電継続時間Tsを読み取
る。そして、読み取った火花放電継続時間Tsに従っ
て、第2指令信号Sbを制御して火花放電遮断回路51
を動作させて、火花放電を強制的に遮断する。
【0173】次に、点火駆動回路19における火花放電
制御回路21にて実行される火花放電遮断処理を図10
に示すフローチャートに沿って説明する。なお、火花放
電遮断処理は、内燃機関が始動されると同時に起動され
て、100回の燃焼サイクル(1単位期間)毎に繰り返
し起動される。また、第4実施例では、第3実施例と同
様に、各気筒への点火指令信号IGの論理和(OR)を
点火指令信号として、1つの火花放電遮断処理で処理を
行う。
【0174】そして、この火花放電遮断処理が開始され
ると、まず、S1010では、点火指令信号IGが立ち
上がり方向(ローレベルからハイレベル)に状態変化し
たか否かを判断しており、肯定判定されるとS1020
に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行
することで待機する。つまり、S1010では、点火指
令信号IGが立ち上がり方向に状態変化する時期を検出
して、磁束(エネルギ)を点火コイルに蓄積するための
一次電流の通電開始時期を検出している。
【0175】そして、S1010で肯定判定されると、
S1020では現在時刻tを時刻変数T0に代入し、点
火指令信号IGの立ち上がり時刻を記憶する。続くS1
030では、点火指令信号IGが立ち下がり方向(ハイ
レベルからローレベル)に状態変化したか否かを判断し
ており、肯定判定されるとS1040に移行し、否定判
定されると同ステップを繰り返し実行することで待機す
る。つまり、S1030では、点火指令信号IGが立ち
下がり方向に状態変化する時期を検出して、一次電流の
通電遮断時期(いわゆる点火時期)を検出している。
【0176】そして、S1030で肯定判定されると、
S1040では現在時刻tを時刻変数T1に代入し、点
火指令信号IGの立ち下がり時刻(点火時期)を記憶す
る。次のS1050では、S1020およびS1040
にて記憶した時刻変数T0とT1との時間差から点火指
令信号IGのパルス幅Tspkを算出する。
【0177】続くS1060では、S1050で算出し
たパルス幅Tspkが4msよりも大きいか否かを判断
しており、肯定判定されるとS1070に移行し、否定
判定されるとS1080に移行する。つまり、S106
0では、点火指令信号IGが通知用点火指令信号である
か否かを判断している。
【0178】なお、S1060において、パルス幅Ts
pkの判定しきい値を4msに設定しているのは、確実
に通知用点火指令信号を識別するためである。つまり、
回転変動等の影響により通常の点火指令信号IGのパル
ス幅Tn(3.5ms)が変動する(ばらつく)ことが
あることから、上記パルス幅Tnよりも若干大きいパル
ス幅を判定しきい値として判定することで、確実に通知
用点火指令信号を識別できるようにするのである。
【0179】S1060で肯定判定されてS1070に
移行すると、S1070ではTspkカウンタの値に1
を加算(インクリメント)する。そして、S1070の
処理が終了すると、S1010に移行して、次の点火指
令信号IGが入力されるまで待機する。
【0180】そして、S1010からS1070までの
処理を繰り返すことで、通知用点火指令信号の連続出力
回数をTspkカウンタでカウントする。また、S10
60で否定判定されてS1080に移行すると、S10
80では、前回の点火指令信号IGのパルス幅Tspk
が4msよりも大きいか否かを判断しており、肯定判定
されるとS1090に移行し、否定判定されるとS10
10に移行する。つまりS1080では、通知用点火指
令信号の出力の終了を検出している。
【0181】そして、S1080で否定判定されると、
S1010に移行して、次の点火指令信号IGが入力さ
れるまで待機する。また、S1080で肯定判定されて
S1090に移行すると、S1090では、S1070
でカウントしたTspkカウントの値を連続出力回数N
spkとして、対応する火花放電継続時間Tsを算出
し、火花放電継続時間Tsを決定する。
【0182】続くS1100では、Tspkカウンタに
0を代入してカウンタリセットを行う。次のS1110
では、一旦、持続可変ルーチンに処理を移行して、火花
放電の遮断を行う。
【0183】ここで、持続可変ルーチンは第3実施例に
おいて実行される持続可変ルーチンと同様の処理である
ため、説明は省略する。持続可変ルーチンが終了する
と、再び火花放電遮断処理に処理が移行し、するとS1
110は同ステップでの処理を終了するとともに、火花
放電遮断処理を終了する。
【0184】そして、火花放電遮断処理は、100回の
燃焼サイクル(1単位期間)毎に起動されて、上述した
処理を行う。また、一旦決定された火花放電継続時間T
sは、点火駆動回路19における火花放電制御回路21
の内部に記憶されており、次の火花放電遮断処理が実行
されて更新されるまで同一の火花放電継続時間Tsが記
憶される。
【0185】さらに、持続可変ルーチンは、第3実施例
と同様に、火花放電遮断処理から読み出されて実行され
るだけではなく、各気筒毎に各燃焼サイクルに1回の割
合で読み出されて実行されており、実行された時点で記
憶されている火花放電継続時間Tsを用いて火花放電を
遮断する。
【0186】ここで、第4実施例の内燃機関用点火シス
テム1における第1気筒から第3気筒におけるIG信号
(点火指令信号)、各気筒のIG信号の論理和(OR)
信号、および点火プラグ13の中心電極13aの電位の
タイムチャートを図11に示す。
【0187】図11に示すように、時刻t33から時刻
t36の間にECU31から出力されたIG信号の論理
和(OR)信号は、通常の点火指令信号のパルス幅Tn
よりも長いパルス幅Tspkの通知用点火指令信号であ
り、次の燃焼サイクルから火花放電継続時間Tsを更新
することを示している。このため、時刻t37以降に発
生する火花放電では、自然に火花放電が終了するまでの
火花放電継続時間Ttaよりも短い火花放電継続時間T
tbで火花放電が遮断されている。
【0188】なお、表2によれば、連続出力回数Nsp
kが3回の場合には火花放電遮断なしとなるが、図11
に示すように動作する内燃機関用点火システムでは、表
2以外の連続出力回数Nspkと火花放電継続時間Ts
との関係が設定されている。つまり、連続出力回数Ns
pkが3回の場合に、火花放電継続時間がTtaよりも
短いTtbが設定されるようになっている。
【0189】そして、時刻t37以降に発生する火花放
電は、次の火花放電継続時間の更新が行われるまで、点
火時期から火花放電継続時間Ttbが経過した時点で火
花放電遮断される。このように、第4実施例の内燃機関
用点火システムでは、ECU31から点火駆動回路19
への火花放電継続時間の伝達を、100回の燃焼サイク
ル(1単位期間)毎に行うよう構成されている。これに
より、火花放電継続時間算出処理による処理の実行頻度
が少なくなり、ECU31における処理負荷の上昇を抑
えることができる。なお、ECU31が火花放電継続時
間Tsに応じて通知用点火指令信号を出力するタイミン
グと、点火駆動回路19における火花放電制御回路21
が火花放電継続時間Tsを検出するタイミングは、同じ
燃焼サイクルとなるように同期処理が行われている。
【0190】また、本第4実施例の内燃機関用点火シス
テムは、100回の燃焼サイクル(1単位期間)毎に、
火花放電継続時間Tsを伝達するための点火指令信号I
G(通知用点火指令信号)を出力する期間を設けること
で、トランジスタ17への通電時間を短くし、トランジ
スタ17にかかる負担を抑えることができる。
【0191】更に、通知用点火指令信号の連続出力回数
によって火花放電継続時間を伝達するため、火花放電継
続時間を伝達するための入出力端子や配線を新規に設置
することなく、様々な火花放電継続時間をエンジン制御
装置から点火駆動装置に対して伝達することができる。
【0192】また、火花放電継続時間を伝達するにあた
り、ミリ秒単位の短い周期で行われる火花放電におい
て、火花放電継続時間に応じて点火指令信号のパルス幅
を変化させて伝達する方法は、点火指令信号の生成処理
に高い精度が要求される。それに比べて、本第4実施例
の内燃機関用点火システムのように、通知用点火指令信
号の連続回数によって火花放電継続時間Tsを伝達する
場合、通常の点火指令信号と通知用点火指令信号の2種
類の点火指令信号が生成できればよい。このことから、
高精度の高価な装置ではなく、安価な装置を用いて点火
指令信号を生成することが可能である。
【0193】したがって、本第4実施例の内燃機関用点
火システムによれば、火花放電継続時間算出処理による
処理の実行頻度が少なくなるため、ECU31における
処理負荷の上昇を抑えることができ、ECU31におけ
る内燃機関各部の総合的な制御処理を正確に実行する事
が可能となる。
【0194】なお、通知用点火指令信号の連続出力回数
については、表2に示すように、算出された火花放電継
続時間が長くなるに従い、連続出力回数を減少させるよ
うに定めるとよい。このようにすることで、信号配線で
のノイズ等の影響によって通知用点火指令信号が通常の
点火指令信号と誤認識された場合に、算出した火花放電
継続時間よりも火花放電継続時間が長く認識されること
になる。このため、ノイズなどの影響によって誤認識さ
れた場合に、火花放電継続時間が短く設定されるのを避
けることができ、失火の発生を防ぐことができる。
【0195】次に、火花放電を遮断するための処理を、
ECU31と点火駆動回路19に分散して実行するとと
もに、ECU31で算出した火花放電継続時間を点火駆
動回路19に伝達するための配線を独立して設けた内燃
機関用点火システムを第5実施例として以下に説明す
る。
【0196】図12に、第5実施例の内燃機関用点火シ
ステムの構成を表す電気回路図を示す。なお、第5実施
例の内燃機関は、第2実施例と同様に複数の気筒を備え
ているが、図12では、図面を見やすくするために1気
筒分のみを記載している。図12に示すように、本第5
実施例の内燃機関用点火システム1は、放電用の電気エ
ネルギ(例えば電圧12V)を供給する電源装置(バッ
テリ)11と、内燃機関の気筒に設けられた点火プラグ
13と、一次巻線L1と二次巻線L2とからなる点火コ
イル15と、一次巻線L1への通電・遮断を行うための
npn型トランジスタ17を備える点火駆動回路19
と、点火制御のために点火駆動回路19に対して点火指
令信号IGを出力するエンジン制御装置(以下、ECU
と呼ぶ)31と、を備えている。
【0197】そして、点火駆動回路19は、一次巻線L
1と直列接続されたnpn型のトランジスタ17と、火
花放電を発生させるための第1指令信号Sa、および火
花放電遮断を行うための第2指令信号Sbを制御する火
花放電制御回路21と、火花放電制御回路21からの指
令により火花放電を強制的に遮断する火花放電遮断回路
51とを備えている。
【0198】ここで、第5実施例の内燃機関用点火シス
テム1は、第2実施例の内燃機関用点火システム1と比
べて、ECU31で算出した火花放電継続時間を点火駆
動回路19に伝達する方法が異なっており、火花放電継
続時間を伝達するための配線が独立して設けられてい
る。
【0199】つまり、第2実施例の内燃機関用点火シス
テムでは、ECU31にて実行される火花放電継続時間
算出処理により算出された火花放電継続時間に応じて、
点火指令信号生成処理が、火花放電継続時間Tsに応じ
たパルス幅Tspkの通知用点火指令信号としての点火
指令信号IGを生成し、この点火指令信号IGを用い
て、点火駆動回路19に火花放電継続時間を伝達してい
る。
【0200】これに対して、第5実施例の内燃機関用点
火システムでは、ECU31にて実行される火花放電継
続時間算出処理により算出された火花放電継続時間に応
じて、ECU31にて実行される火花放電遮断信号生成
処理が、火花放電継続時間Tsに応じたパルス幅の火花
放電遮断指令信号Scを生成し、この火花放電遮断指令
信号Scを用いて、点火駆動回路19に火花放電継続時
間を伝達している。すなわち、点火指令信号IGとは別
の信号(火花放電遮断指令信号Sc)を用いて、ECU
31から点火駆動回路19に対して火花放電継続時間を
伝達している。
【0201】ここで、火花放電遮断信号生成処理は、例
えば、火花放電継続時間Tsに応じて、火花放電遮断指
令信号Scのパルス幅を変化させて、火花放電遮断指令
信号を生成している。そして、火花放電制御回路21に
おいて実行される火花放電遮断処理では、火花放電遮断
指令信号Scのパルス幅から火花放電継続時間Tsを読
み取り、次の燃焼サイクルにおける点火時期から火花放
電継続時間Tsが経過した火花放電遮断時期で、火花放
電を強制的に遮断する。
【0202】なお、第5実施例の内燃機関用点火システ
ムにおいて実行される他の処理(例えば、点火制御処理
等)については、第2実施例における処理と同様の処理
を行っている。これにより、第5実施例のECU31で
は、火花放電継続時間算出処理を実行することになる
が、火花放電遮断処理は点火駆動回路19において実行
されるため、火花放電を強制的に遮断するためのすべて
の処理をECU31において実行する必要はない。この
ため、すべての処理をECU31で実行する場合に比べ
て、火花放電遮断処理に相当する分だけECU31の処
理負荷の上昇を抑制することができる。
【0203】また、ECU31は、内燃機関を制御する
ために各部の状態が既に入力されていることから、火花
放電継続時間を算出するために、内燃機関の運転状態
(エンジン回転速度やエンジン負荷など)を表す信号を
新規に入力する必要がない。よって、入出力端子や信号
配線等を新規に設置することなく、多くの内燃機関の運
転状態を得ることができることから、従来の装置からの
構成変更項目を少なく抑えつつ、最適な火花放電継続時
間を算出することができる。
【0204】そして、ECU31にて実行される火花放
電遮断信号生成処理が、火花放電継続時間に応じた火花
放電遮断指令信号Scを生成することから、点火駆動回
路19は、点火指令信号IGの送信時期に限定されるこ
となく、最適なタイミングで火花放電遮断指令信号Sc
に基づき火花放電継続時間Tsを読みとることができ
る。
【0205】このため、ECU31における処理負荷が
高くなる時期を避けて、火花放電継続時間Tsの算出処
理、及び火花放電遮断指令信号Scを出力する処理を行
うことで、ECU31における処理負荷の上昇を抑制す
ることができる。また、点火駆動回路19における処理
負荷が高くなる時期を避けて、火花放電遮断指令信号S
cに基づき火花放電継続時間を算出する処理を行うこと
で、点火駆動回路19における処理負荷の上昇を抑制す
ることができる。
【0206】よって、本第5実施例の内燃機関用点火シ
ステムによれば、火花放電を遮断するための処理を、E
CU31と点火駆動回路19に分散して備えるため、E
CU31における処理負荷の上昇を抑えることができ、
ECU31における内燃機関各部の総合的な制御処理を
正確に実行する事が可能となる。また、ECU31およ
び点火駆動回路19のそれぞれにおいて実行する火花放
電を遮断するための処理を、処理負荷が高くなる時期を
避けて実行することが可能になるため、さらにECU3
1および点火駆動回路19にて実行される上記制御処理
を正確に実行することが可能となる。
【0207】
【0208】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、
種々の態様を採ることができる。例えば、通常の点火指
令信号のパルス幅は3.5msに限ることはなく、内燃
機関に応じて、火花放電が発生可能な点火用高電圧を発
生できるように設定すればよい。また、第4実施例の内
燃機関用点火システムにおける通知用点火指令信号のパ
ルス幅は、4.5msに限ることはない。
【0209】また、第3実施例及び第4実施例では、火
花放電継続時間Tsを伝達するための処理の実行周期
を、100回の燃焼サイクル(1単位期間)毎としてい
るが、実行周期はこれに限定する必要はなく、必要に応
じて適切な実行周期を設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の内燃機関用点火システムの構成
を表す電気回路図である。
【図2】 第1実施例の内燃機関用点火システムの各部
の状態を表すタイムチャートである。
【図3】 第1実施例のエンジン制御装置(ECU)が
実行する火花放電遮断処理を表すフローチャートであ
る。
【図4】 第1実施例のエンジン制御装置(ECU)が
実行する回転速度計算ルーチンを表すフローチャートで
ある。
【図5】 他の実施例の内燃機関用点火システムの構成
を表す電気回路図である。
【図6】 第2実施例のエンジン制御装置(ECU)が
実行する火花放電遮断処理を表すフローチャートであ
る。
【図7】 第2実施例の内燃機関用点火システムの各部
の状態を表すタイムチャートである。
【図8】 第3実施例のエンジン制御装置(ECU)が
実行する火花放電遮断処理を表すフローチャートであ
る。
【図9】 第3実施例のエンジン制御装置(ECU)が
実行する持続可変ルーチンを表すフローチャートであ
る。
【図10】 第4実施例のエンジン制御装置(ECU)
が実行する火花放電遮断処理を表すフローチャートであ
る。
【図11】 第4実施例の内燃機関用点火システムの各
部の状態を表すタイムチャートである。
【図12】 第5実施例の内燃機関用点火システムの構
成を表す電気回路図である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火システム、11…電源装置、13…
点火プラグ、13a…中心電極、13b…接地電極、1
5…点火コイル、17…トランジスタ、19…点火駆動
回路、D…整流素子、L1…一次巻線、L2…二次巻
線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 15/10 F02P 3/045 F02P 9/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二次巻線が内燃機関に装着された点火プ
    ラグと共に閉ループを形成する点火コイルと、 内燃機関の運転状態に基づいて点火時期を演算し、該点
    火時期に応じた点火指令信号を出力するエンジン制御装
    置と、 前記点火指令信号に基づき、前記点火コイルの一次巻線
    への通電・遮断を行うためのスイッチング手段を備える
    点火駆動装置と、からなり、 前記スイッチング手段にて前記一次巻線への通電・遮断
    を行うことにより、前記二次巻線に点火用高電圧を発生
    させて、前記点火プラグを火花放電させる内燃機関用点
    火システムであって、 前記エンジン制御装置は、 内燃機関の運転状態に基づいて火花放電継続時間を算出
    する火花放電継続時間算出手段と、 前記点火指令信号であって、前記火花放電継続時間を前
    記点火駆動装置に通知するための通知用点火指令信号を
    生成する点火指令信号生成手段と、を備えており、 前記点火駆動装置は、 前記エンジン制御装置より出力される前記通知用点火指
    令信号から前記火花放電継続時間を読み取り、前記点火
    プラグにて火花放電が発生してから該火花放電継続時間
    が経過すると火花放電を強制的に遮断する火花放電遮断
    手段、を備えたことを特徴とする内燃機関用点火システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記点火指令信号はパルス信号であっ
    て、前記点火指令信号生成手段は、前記火花放電継続時
    間を前記点火駆動装置に通知するために、該点火指令信
    号のパルス幅を変化させて前記通知用点火指令信号を生
    成すること、を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用
    点火システム。
  3. 【請求項3】 前記点火指令信号生成手段は、一定周期
    間隔をもって必要に応じた回数だけ点火指令信号のパル
    ス幅を変化させて前記通知用点火指令信号を生成し、 前記火花放電遮断手段は、前記エンジン制御装置より出
    力される前記通知用点火指令信号から火花放電継続時間
    を読み取ると、次の火花放電継続時間を読み取るまで、
    最後に読み取った火花放電継続時間に基づき前記点火プ
    ラグの火花放電を強制的に遮断すること、を特徴とする
    請求項2に記載の内燃機関用点火システム。
  4. 【請求項4】 前記点火指令信号はパルス信号であっ
    て、前記点火指令信号生成手段は、前記火花放電継続時
    間を前記点火駆動装置に通知するために、該点火指令信
    号のパルス幅を所定幅大きくした通知用点火指令信号の
    連続出力回数を変化させるように生成すること、を特徴
    とする請求項1に記載の内燃機関用点火システム。
  5. 【請求項5】 前記点火指令信号生成手段は、一定周期
    間隔をもって前記通知用点火指令信号を連続して生成
    し、 前記火花放電遮断手段は、前記エンジン制御装置より出
    力される該通知用点火指令信号の連続出力回数から火花
    放電継続時間を読み取ると、次の火花放電継続時間を読
    み取るまで、最後に読み取った前記火花放電継続時間に
    基づき前記点火プラグの火花放電を強制的に遮断するこ
    と、を特徴とする請求項4に記載の内燃機関用点火シス
    テム。
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