JP2003184723A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2003184723A
JP2003184723A JP2001384691A JP2001384691A JP2003184723A JP 2003184723 A JP2003184723 A JP 2003184723A JP 2001384691 A JP2001384691 A JP 2001384691A JP 2001384691 A JP2001384691 A JP 2001384691A JP 2003184723 A JP2003184723 A JP 2003184723A
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internal combustion
discharge
combustion engine
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Yasushi Sakakura
靖 坂倉
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火花放電終了時以降の点火プラグの電極間電
圧に基づき、混合気の燃焼状態を検出するにあたり、火
花放電終了時以降の再放電の発生を抑えて、混合気の燃
焼状態の検出精度を向上させる内燃機関用点火装置を提
供する。 【解決手段】 第3内燃機関用点火装置5においては、
火花放電中に、第2トランジスタ79を駆動制御して一
次巻線25に電流を再通電することで、点火用電圧とは
逆極性の起電力である逆起電力を二次巻線27に発生さ
せて、残留誘導電圧からこの逆起電力に相当する電圧を
差し引いた電圧を二次巻線27の両端に発生させてい
る。これにより、火花放電終了時の点火プラグ13にお
ける電極間電圧の上昇に伴う再放電が発生するのを防ぐ
ことができる。よって、再放電の発生による燃焼状態の
誤判定を防止でき、火花放電終了後の点火プラグの電極
間電圧に基づく混合気の燃焼状態の検出精度を向上でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火コイルに発生
した点火用電圧を印加することで点火プラグの電極間に
火花放電を発生させるとともに、火花放電の終了時以降
の点火プラグの電極間電圧に基づき内燃機関の燃焼状態
を検出する機能を備えた内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車エンジン等に使用され
る内燃機関においては、点火プラグによる火花放電によ
り混合気が燃焼すると、その燃焼に伴ってイオンが発生
することが知られている。このため、火花放電終了後の
燃焼室内において、イオンが存在する場合には混合気が
正常燃焼したと判断することができ、イオンが存在しな
い場合には失火したと判断することができる。
【0003】一方、点火コイルは、一次巻線への通電に
より蓄積したエネルギによって二次巻線の両端に点火用
電圧を発生し、この点火用電圧を点火プラグに印加する
ことで、点火プラグに火花放電を発生させている。な
お、点火コイルに蓄積されたエネルギは、火花放電の継
続により徐々に消費されるが、完全に消費される前に火
花放電が自然終了することから、火花放電が終了した後
も点火コイルにはエネルギが残存する。また、この残留
エネルギにより点火コイルに発生する残留誘導電圧は、
点火用電圧と同一極性であり、点火用電圧と同様に点火
プラグに印加される。
【0004】そして、残留誘導電圧の発生時に燃焼室内
にイオンが存在する場合には、点火プラグの電極間にイ
オンを介して電流(イオン電流)が流れて、このイオン
電流によって点火コイルの残留エネルギが消費されるた
め、点火プラグの電極間電圧は速やかに低下する。ま
た、残留誘導電圧の発生時に燃焼室内にイオンが存在し
ない場合には、点火プラグの電極間に電流が流れること
はなく、点火コイルの残留エネルギが消費されないた
め、点火プラグの電極間電圧は緩やかに低下する。
【0005】このことから、火花放電終了後の時間経過
に伴う電極間電圧の低下割合に基づいて、混合気の燃焼
状態を判断して、失火判定を行うことが可能となる。つ
まり、火花放電終了時以降の点火プラグの電極間電圧が
速やかに低下する場合には正常燃焼と判断することがで
き、火花放電終了時以降の点火プラグの電極間電圧が緩
やかに低下する場合には失火と判断することができる。
【0006】ここで、従来の内燃機関用点火装置におけ
る各部(点火指令信号、点火プラグの電極間電圧、およ
び二次巻線に流れる二次電流)の状態を表すタイムチャ
ートを図8に示す。図8のうち、時刻t3から時刻t5
までの期間は失火時の波形を表し、他方、時刻t13か
ら時刻t15までの期間は、正常燃焼時の波形を表すも
のであるが、火花放電終了時以降で見たときに時刻t3
以降の点火プラグの電極間電圧が時刻t13以降のそれ
よりも緩やかに低下することが判る。なお、点火指令信
号は、一次巻線の通電・遮断を行う点火用スイッチング
手段を駆動制御するための信号であり、ハイレベルの場
合に一次巻線への通電が行われ、ローレベルの場合に一
次巻線への通電は遮断される。
【0007】また、火花放電終了後の一定期間内におけ
る電極間電圧値を積分した場合、正常燃焼時には電極間
電圧積分値は小さい値となり、失火時には電極間電圧積
分値は大きい値となる。このため、電極間電圧積分値に
基づいて、正常燃焼であるか失火であるかの燃焼状態の
判定を行うことも可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、火花放電終了
後の点火プラグの電極間電圧に基づき失火検出を行う場
合には、火花放電が早期に終了して点火コイルの残留エ
ネルギが大きくなると、残留エネルギにより点火プラグ
の電極間に再度放電が発生してしまい、実際には失火し
ているにも拘わらず正常燃焼と誤判定する虞がある。
【0009】つまり、火花放電は、混合気の乱流(スワ
ール流やタンブル流)によって途切れることがあり、特
に高回転時では混合気の乱流の速度が速いため、火花放
電が比較的早いタイミングで途切れることになり、点火
コイルの残留エネルギが大きくなってしまう。そして、
この残留エネルギにより放電が再び発生すると、点火プ
ラグの電極間電圧が保持されずに低下することがある。
このように点火コイルの残留エネルギによる再放電が発
生すると、混合気の燃焼状態に拘わらず、火花放電終了
時以降の点火プラグの電極間電圧が速やかに低下するこ
とになるため、混合気の燃焼状態を正確に検出をするこ
とができないことがある。
【0010】なお、図8のうち、時刻t23から時刻2
5までの期間は、再放電(ブレイクダウン)時の波形を
表しており、失火が発生したにも関わらず、火花放電終
了時(時刻t23)以降の点火プラグの電極間電圧が、
同じ失火時の時刻t3以降のそれよりも速やかに低下す
ることが判る。その結果、点火プラグの火花放電終了時
以降の電極間電圧に基づいて燃焼状態の検出を行う場
合、失火時でも再放電が発生することがあると、点火プ
ラグの電極間電圧が速やかに低下することになり、誤っ
て正常放電と判定することになる。
【0011】特に高回転運転時においては、燃焼室内の
混合気の乱流の速度が速いため、火花放電が比較的早い
タイミングで途切れてしまい、点火コイルの残留エネル
ギが大きくなるため、再放電が発生しやすく、点火プラ
グの電極間電圧に基づく失火検知率の低下につながって
しまう。
【0012】そこで、本発明は、こうした問題に鑑みな
されたものであり、火花放電終了時以降の点火プラグの
電極間電圧に基づき、混合気の燃焼状態を検出するにあ
たり、火花放電終了時以降の再放電の発生を抑えて、混
合気の燃焼状態の検出精度を向上させる内燃機関用点火
装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の発明は、一次巻線および二
次巻線を有し、一次巻線に流れる一次電流を遮断するこ
とで二次巻線に点火用電圧を発生する点火コイルと、こ
の点火コイルの一次巻線に流れる一次電流の通電・遮断
を行う点火用スイッチング手段と、二次巻線に直列接続
されて、点火用電圧により発生する放電電流が流れるこ
とで自身の電極間に火花放電を発生する点火プラグと、
点火プラグの電極間に発生する電極間電圧を検出する電
極間電圧検出手段と、電極間電圧検出手段により検出さ
れる電極間電圧のうちで火花放電終了時以降の電極間電
圧に基づき、内燃機関の燃焼状態を判別する燃焼状態判
別手段と、を備えた内燃機関用点火装置であって、点火
プラグの火花放電中に、二次巻線に点火用電圧とは逆極
性の起電力である逆起電力を発生させることで、火花放
電終了時の電極間電圧の上昇に伴う点火プラグの再放電
を防止する再放電防止手段を備えたことを特徴とする。
【0014】つまり、点火プラグの火花放電中に、二次
巻線に点火用電圧とは逆極性の起電力である逆起電力を
発生させて、点火コイルに残存する残留エネルギにより
二次巻線に誘導される残留誘導電圧からこの逆起電力に
相当する電圧を差し引いた電圧を二次巻線の両端に発生
させるのである。その結果、火花放電が終了した時点の
二次巻線の両端電圧の上昇を抑制し、点火プラグにおけ
る電極間電圧の上昇度合いを抑えるのである。このよう
にして火花放電終了時の電極間電圧の上昇に伴う点火プ
ラグの電極間における再放電が発生するのを防ぐことが
できる。
【0015】よって、本発明(請求項1)の内燃機関用
点火装置によれば、火花放電終了時に点火プラグに再放
電が発生するのを抑制でき、実際に失火しているにも拘
わらず、正常燃焼と誤判定するのを防ぐことができるこ
とから、火花放電終了時以降の点火プラグの電極間電圧
に基づく混合気の燃焼状態の検出精度を向上させること
ができる。
【0016】なお、火花放電の終了は、点火コイルに蓄
積されたエネルギが火花放電の継続に必要な量を下回る
ことで火花放電が自然に終了する自然終了に限らず、点
火用電圧を強制的に低下させることで火花放電を遮断す
る強制終了も含まれる。そして、火花放電を強制終了す
る場合、点火コイルの残留エネルギが大きくなることか
ら再放電が発生しやすくなるが、本発明を適用すること
で再放電の発生を抑制することができ、燃焼状態の検出
精度を向上させることができる。
【0017】また、上述の内燃機関用点火装置における
再放電防止手段については、内燃機関の運転開始後の燃
焼サイクル毎に常に駆動される構成に限定されるもので
はない。特に、再放電防止手段は、少なくとも内燃機関
のエンジン回転数の高回転時に駆動されるようにすると
良い。その理由としては、エンジン回転数の高回転時で
は混合気の乱流の速度が速いため、火花放電が比較的早
いタイミングで途切れ易く、点火コイルに存在する残留
エネルギが大きくなりがちで再放電が発生し易いからで
ある。
【0018】ここで、上述(請求項1)の内燃機関用点
火装置においては、例えば、再放電防止手段が、二次巻
線に逆起電力を発生させるために、点火用電圧とは逆極
性となる外部電圧を外部から二次巻線に対して印加する
外部電圧印加手段として備えられると良い。そして、点
火プラグの火花放電開始以降に、外部電圧印加手段が、
外部電圧を二次巻線に印加することで、火花放電終了時
の電極間電圧の上昇を抑えて再放電の発生を防止するの
である。
【0019】また、上述(請求項1)の内燃機関用点火
装置においては、例えば、請求項2に記載のように、再
放電防止手段が、一次巻線に電流を再通電することで、
二次巻線に逆起電力を発生させ、点火プラグの火花放電
を強制的に遮断する再通電手段として備えられるとよ
い。
【0020】つまり、再通電手段が一次巻線に電流を再
通電すると、二次巻線に点火用電圧とは逆極性の誘導電
圧(逆起電力)が発生する。また、残留誘導電圧は、点
火用電圧と同一極性で二次巻線に発生することから、一
次巻線への再通電により逆起電力を発生させることで、
二次巻線の両端には、残留誘導電圧から逆起電力による
電圧を差し引いた電圧が発生する。この結果、点火プラ
グの火花放電を強制的に遮断することができ、火花放電
終了時(この場合、強制終了時)の電極間電圧の上昇に
伴う再放電が発生するのを防ぐことができる。
【0021】よって、本発明(請求項2)の内燃機関用
点火装置によれば、火花放電終了時に再放電が発生する
のを抑制でき、火花放電終了時以降の点火プラグの電極
間電圧に基づく混合気の燃焼状態の検出精度を向上させ
ることができる。そして、上述(請求項2)の内燃機関
用点火装置に備えられる再通電手段は、例えば、請求項
3に記載のように、一次巻線に電流を再通電するために
点火用スイッチング手段を駆動制御する第1再通電制御
手段を備えるとよい。
【0022】つまり、第1再通電制御手段を備えること
で、点火用スイッチング手段を、再放電を防止するため
の一次巻線の通電制御にも使用するのである。そして、
火花放電中に、点火用スイッチング手段を駆動制御して
一次巻線の再通電を行い、二次巻線に点火用電圧とは逆
極性の誘導電圧を発生させることで、点火プラグの火花
放電を強制的に遮断し、火花放電終了時の電極間電圧の
上昇度合いを抑えるのである。
【0023】よって、本発明(請求項3)の内燃機関用
点火装置によれば、点火用スイッチング手段により一次
巻線の再通電を行うことで、火花放電終了時の電極間電
圧の上昇に伴う再放電を防ぐことができる。この結果、
火花放電終了時以降の点火プラグの電極間電圧に基づく
混合気の燃焼状態の検出精度を向上させることができ
る。
【0024】なお、1個の点火用スイッチング手段を点
火用電圧の発生および再放電の防止の両方の用途に用い
ると通電時間が長くなり、この通電時間の延長に伴い点
火用スイッチング手段の温度が上昇することがある。そ
して、点火用スイッチング手段が高温環境下でも正常動
作可能に構成されている場合には、温度上昇は問題とは
ならないが、例えば、点火用スイッチング手段がトラン
ジスタなどの半導体素子で構成される際には、温度上昇
により正常動作が不可能となる場合が考えられる。さら
に、通電時間が過度に長くなると温度上昇幅が大きくな
り、場合によっては、高温によって点火用スイッチング
手段が破損する虞がある。
【0025】そこで、上述(請求項2)の内燃機関用点
火装置に備えられる再通電手段は、例えば、請求項4に
記載のように、点火用スイッチング手段に並列に接続さ
れて、一次巻線に流れる一次電流の通電・遮断を行う第
2スイッチング手段と、一次巻線に電流を再通電するた
めに第2スイッチング手段を駆動制御する第2再通電制
御手段と、を備えるとよい。
【0026】つまり、点火用スイッチング手段とは別
に、第2スイッチング手段を備えて、火花放電中に、第
2スイッチング手段を用いて一次巻線への再通電を行
い、点火プラグの火花放電を強制的に遮断すると共に、
火花放電終了後の再放電を抑制するのである。
【0027】これにより、一次巻線への再通電を行うに
あたり、点火用スイッチング手段の通電時間が長くなる
のを防ぐことができ、点火用スイッチング手段の温度上
昇を抑えることができる。この結果、点火用スイッチン
グ手段の正常動作を維持できると共に、点火用スイッチ
ング手段の破損を防ぐことができる。
【0028】よって、本発明(請求項4)の内燃機関用
点火装置によれば、点火用スイッチング手段が高温によ
り破損するのを防ぐことができ、点火用スイッチング手
段の正常動作を継続することが可能となる。また、第2
スイッチング手段により一次巻線の再通電を行うこと
で、火花放電終了後の再放電を防ぐことができ、燃焼状
態の検出精度を向上させることができる。
【0029】また、上述(請求項1)の内燃機関用点火
装置においては、例えば、請求項5に記載のように、再
放電防止手段が、一次巻線の両端を短絡することで、二
次巻線に点火用電圧とは逆極性の逆起電力を発生させる
一次巻線短絡手段として備えられるとよい。
【0030】つまり、火花放電中に、一次巻線の両端を
短絡すると、点火コイルの残留エネルギにより、一次巻
線短絡手段と一次巻線とからなる閉回路に電流が流れる
ことになり、これに伴い、二次巻線に残留誘導電圧とは
逆極性の誘導電圧(逆起電力)が発生することになる。
これにより、残留誘導電圧から逆起電力を差し引いた電
圧が二次巻線の両端に発生するため、二次巻線の両端に
発生する電圧値の上昇を抑えることができ、点火プラグ
の火花放電が強制的に遮断されると共に、火花放電終了
時の電極間電圧の上昇度合いを抑えることができる。
【0031】よって、本発明(請求項5)の内燃機関用
点火装置によれば、火花放電終了後に再放電が発生する
のを抑制でき、火花放電終了時以降の点火プラグの電極
間電圧に基づく混合気の燃焼状態の検出精度を向上させ
ることができる。そして、上述(請求項5)の内燃機関
用点火装置に備えられる一次巻線短絡手段は、例えば、
請求項6に記載のように、一次巻線に並列に接続された
短絡用スイッチング手段と、一次巻線の両端を短絡する
ために短絡用スイッチング手段を駆動制御する一次巻線
短絡制御手段とを備えるとよい。
【0032】このように、短絡用スイッチング手段と一
次巻線短絡制御手段とを備えることで、火花放電中に一
次巻線の両端を短絡することができ、点火プラグの火花
放電を強制的に遮断すると共に、火花放電終了時以降の
電極間電圧の上昇度合いを抑えることができる。なお、
短絡用スイッチング手段は、例えば、トランジスタ、サ
イリスタやトライアック、FET等の半導体素子で構成
することができる。
【0033】よって、本発明(請求項6)の内燃機関用
点火装置によれば、短絡用スイッチング手段により一次
巻線の両端を短絡することで、火花放電終了後の再放電
を防ぐことができる。この結果、火花放電終了時以降の
点火プラグの電極間電圧に基づく混合気の燃焼状態の検
出精度を向上させることができる。
【0034】ところで、エンジン回転速度が高回転とな
る運転状態で内燃機関を運転する場合には、燃焼室内に
おける混合気の乱流が速くなるため、火花放電が早い段
階で途切れる確率が高くなる。なお、エンジン回転速度
は、単位時間あたりのエンジン回転数のことである。
【0035】このため、内燃機関の運転状態が高回転に
なるほど残留エネルギが大きくなる確率が高くなり、火
花放電終了後の再放電が発生し易くなる。そして、内燃
機関の運転状態に拘わらず逆起電力発生時期を一定とす
る場合、高回転運転時に火花放電の開始(点火時期)か
ら逆起電力発生時期までの間隔を長く設定すると、逆起
電力を発生させる前に火花放電が途切れてしまい、点火
コイルに存在する残留エネルギが多くなりがちで、再放
電の発生確率が高くなる。
【0036】そこで、上述(請求項1から請求項6のい
ずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項7に記載のよ
うに、再放電防止手段が、少なくともエンジン回転速度
を含む内燃機関の運転状態を外部から読み込む運転状態
読込手段と、運転状態読込手段にて読み込まれた運転状
態に基づき、二次巻線に逆起電力を発生させる逆起電力
発生時期を設定すると共に、少なくともエンジン回転速
度が高回転になるほど逆起電力発生時期を早期に設定す
る逆起電力発生時期設定手段とを備えるとよい。
【0037】つまり、エンジン回転速度が高回転になる
ほど逆起電力発生時期を早期に設定することで、混合気
の乱流により火花放電が終了する運転状態であっても、
火花放電開始から逆起電力発生までの時間を短くできる
ため、火花放電が途切れる前に二次巻線に逆起電力が発
生し、再放電の発生を抑えることができる。
【0038】よって、本発明(請求項7)の内燃機関用
点火装置によれば、内燃機関の運転状態が高回転となる
場合であっても、再放電を抑制することができるため、
燃焼状態の誤判定を防ぐことができ、混合気の燃焼状態
の検出精度を向上させることができる。
【0039】なお、高回転運転時は、混合気の乱流の速
度が速く燃料が良好に撹拌されることから、混合気への
着火性に優れており、火花放電の継続時間が短い場合で
も、混合気を燃焼させることが可能である。ただし、火
花放電の継続時間として過度に短い時間を設定すると、
混合気への着火が行われずに失火に至り、内燃機関の運
転を正常に行うことができないおそれがあるため、逆起
電力発生時期は、火花放電の継続時間が0.05[mse
c]以上となるように設定すると良い。また逆起電力発
生時期設定手段は、少なくともエンジン回転速度が高回
転になるほど逆起電力発生時期を早期に設定しつつ、低
回転になるほど逆起電力発生時期が長くなるように設定
すると良い。さらには、それに加えてアイドル運転時や
内燃機関始動直後であって内燃機関が十分に暖機される
までの間といった大きな火花エネルギを必要とする運転
状態下では、点火プラグの火花放電が自然終了するよう
に逆起電力発生時期を算出しない構成を取り入れても良
い。また、運転状態としては、エンジン回転速度の他
に、エンジン負荷などを用いても良い。
【0040】そして、上述(請求項7)の内燃機関用点
火装置に備えられる逆起電力発生時期設定手段は、例え
ば、請求項8に記載のように、エンジン回転速度に応じ
た逆起電力発生時期が定められた逆起電力発生時期設定
情報を用いて、エンジン回転速度に基づき逆起電力発生
時期を設定するとよい。
【0041】このように、逆起電力発生時期設定手段
が、逆起電力発生時期設定情報を用いて逆起電力発生時
期を設定することで、エンジン回転速度に応じて逆起電
力発生時期を設定することができる。なお、逆起電力発
生時期設定情報は、例えば、実際の内燃機関を用いてエ
ンジン回転速度毎に火花放電の自然終了時期を測定した
測定結果に基づいて、エンジン回転速度に応じて適切な
逆起電力発生時期を設定できるように構成するとよい。
そして、逆起電力発生時期設定情報は、エンジン回転速
度に対応する逆起電力発生時期が定められた設定用マッ
プや設定用テーブルあるいは設定用計算式として、内燃
機関用点火装置に備えられる。
【0042】よって、本発明(請求項8)の内燃機関用
点火装置によれば、内燃機関のエンジン回転速度に応じ
て適切な逆起電力発生時期を設定することができ、運転
状態が高回転となる場合であっても再放電を抑制でき、
混合気の燃焼状態の検出精度を向上させることができ
る。
【0043】ところで、点火プラグの電極間電圧は、例
えば、測定対象に直接接続されて電圧を検出する構成の
電圧検出手段を、点火プラグの各電極に直接接続するこ
とで検出することができる。しかし、電極間電圧を直接
検出する場合には、入力可能電圧範囲として点火用電圧
(約40[kV])を含むような、入力可能電圧範囲が
広く設定された高価な電圧検出手段を用いる必要があ
り、コストの上昇が問題となる。
【0044】そこで、上述(請求項1から請求項8のい
ずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項9に記載のよ
うに、電極間電圧検出手段が、点火プラグと二次巻線の
点火用電圧発生端とを接続する通電経路との間で容量結
合する容量結合手段と、この容量結合手段に直列接続さ
れる分圧手段と、を備え、直列に接続された容量結合手
段および分圧手段が、点火プラグに並列接続されてお
り、容量結合手段と分圧手段とにより分圧された分圧電
圧を、電極間電圧として検出するとよい。
【0045】このように構成された内燃機関用点火装置
においては、直列接続された容量結合手段および分圧手
段を用いて点火プラグの電極間電圧を分圧した分圧電圧
が、点火プラグの電極間電圧に比例した電圧値となる。
なお、容量結合手段および分圧手段のそれぞれの電気的
特性(電気抵抗値など)は、使用する電気素子によって
定まることから、容量結合手段および分圧手段のそれぞ
れの両端電圧の比率(分圧比)は、点火コイルや点火プ
ラグの性能、設計に合わせて適宜設定すればよい。
【0046】また、直列に接続された容量結合手段およ
び分圧手段が、点火プラグに並列接続されていることか
ら、直列接続された容量結合手段および分圧手段の全体
の両端電圧は、点火プラグの電極間電圧に等しくなる。
このため、電極間電圧検出手段は、容量結合手段と分圧
手段とにより分圧された分圧電圧を、点火プラグの電極
間電圧として検出することができる。
【0047】また、分圧電圧は、点火プラグの電極間電
圧よりも低電圧となることから、分圧電圧に基づき電極
間電圧を検出するための電極間電圧検出手段は、点火プ
ラグの電極間電圧を直接検出する場合に比べて、入力可
能電圧範囲が狭く設定された低価格の電圧検出手段で構
成することができる。
【0048】よって、本発明(請求項9)の内燃機関用
点火装置によれば、点火プラグの電極間電圧を検出する
にあたり、低価格の電極間電圧検出手段として構成する
ことができるため、製造コストが上昇するのを抑えるこ
とができ、装置自体の信頼性を向上させることができ
る。
【0049】ところで、イオン電流を発生させるために
点火プラグの電極間に電圧を印加する際には、中心電極
が負極性、接地電極が正極性となるように電圧を印加す
る場合に比べて、中心電極が正極性、接地電極が負極性
となるように電圧を印加する場合の方が、より大きなイ
オン電流が発生可能となることが知られている。これ
は、体積の大きい陽イオンが電子の供給を受けるにあた
り、中心電極よりも表面積の大きい接地電極から電子の
供給を受けることで、より多くの電子の交換、移動が可
能となるからである。
【0050】そこで、上述(請求項1から請求項9のい
ずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項10
に記載のように、点火プラグの中心電極が、正極性とな
るように、二次巻線の点火用電圧発生端に接続されてい
るとよい。これにより、火花放電後における点火プラグ
の電極間には、より大きなイオン電流が発生可能となる
ことから、正常燃焼した場合には火花放電終了時以降の
電極間電圧がより速やかに低下することになり、正常燃
焼時と失火時とのそれぞれにおける電極間電圧の変化割
合の差異がより明確になる。
【0051】よって、本発明(請求項10)の内燃機関
用点火装置によれば、電極間電圧に関する正常燃焼時と
失火時との差異が明確となるため、正常燃焼と失火との
判定が容易となり、燃焼状態の判定精度を向上させるこ
とができる。なお、点火用電圧発生時の二次巻線の点火
用電圧における極性は、点火コイルにおける一次巻線お
よび二次巻線のそれぞれの巻線方向を調整することで設
定することができる。
【0052】ここで、点火プラグは、対向する電極が静
電容量素子として機能して電荷を蓄積することで電極間
に電位差が発生することから、火花放電の終了後に点火
プラグから二次巻線の点火用電圧発生端に向けて電荷が
移動(漏洩)してしまうと、電極間電圧の低下速度が速
くなってしまう。つまり、このような電荷の移動(漏
洩)が発生すると、火花放電終了時以降の電極間電圧が
短時間で低下することから、実際には失火しているにも
拘わらず、正常燃焼であると誤判定する虞がある。
【0053】そこで、上述(請求項1から請求項10の
いずれか)の内燃機関用点火装置においては、請求項1
1に記載のように、二次巻線の点火用電圧発生端と点火
プラグとを接続する通電経路上に直列接続され、放電電
流の通電を許容し、放電電流とは逆向きに流れる電流の
通電を阻止する逆流防止手段を備えるとよい。
【0054】つまり、逆流防止手段が、一次巻線への通
電時に二次巻線に発生する電流の通電を阻止するように
設けられていることから、火花放電終了後における点火
プラグから二次巻線に向けての電荷の移動(漏洩)を阻
止することになり、電荷の漏洩による燃焼状態の誤判定
を防ぐことができる。
【0055】また、逆流防止手段は、一次巻線への通電
遮断時に二次巻線に発生する電流(放電電流)の通電を
許容することから、点火用電圧の発生時において二次巻
線から点火プラグに流れる電流の通電を許容する。つま
り、逆流防止手段によって点火用電圧の発生時における
通電が阻止されることがないため、逆流防止手段を備え
ることに起因して火花放電が発生不可能となることはな
い。
【0056】よって、本発明(請求項11)の内燃機関
用点火装置によれば、点火プラグから二次巻線への電荷
の漏洩を防ぐことができ、実際には失火しているにも拘
わらず、電荷の漏洩によって誤って正常燃焼と判断する
のを防ぐことができ、燃焼状態の判定精度を向上させる
ことができる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1は、実施例としての内燃機関
用点火装置1の構成を表す電気回路図であり、この内燃
機関用点火装置1は、点火プラグ13の電極間に火花放
電を発生可能に構成されると共に、点火プラグ13の電
極間電圧を検出可能に構成されている。
【0058】なお、本実施例では、1気筒分について説
明を行うが、本発明は複数の気筒を備える内燃機関につ
いても適用でき、各気筒毎の内燃機関用点火装置の基本
構成は同様である。図1に示すように、本実施例の内燃
機関用点火装置1は、定電圧(例えば、電圧12
[V])を出力する電源装置11(以下、バッテリ11
ともいう)と、中心電極21と接地電極23とを備えて
内燃機関の気筒に設けられた点火プラグ13と、一次巻
線25と二次巻線27とを備えて点火用電圧を発生する
点火コイル15と、一次巻線25と直列接続されたnp
n型パワートランジスタから成る点火用トランジスタ1
7と、点火用トランジスタ17を駆動制御するための点
火指令信号20を出力する電子制御装置19(以下、E
CU19ともいう)と、を備えている。
【0059】さらに、内燃機関用点火装置1は、アノー
ドが二次巻線27(二次巻線27の点火用電圧発生端3
5)に接続され、カソードが点火プラグ13の中心電極
21に接続された逆流防止用ダイオード31と、点火プ
ラグ13の電極間電圧を検出する電圧検出回路51とを
備えている。
【0060】これらのうち、点火用トランジスタ17
は、点火コイル15の一次巻線25への通電・遮断を行
うために、ECU19からの点火指令信号20に基づい
てスイッチング動作する半導体素子からなるスイッチン
グ素子である。また、本実施例の内燃機関に備えられる
点火装置は、フルトランジスタ型点火装置である。
【0061】そして、一次巻線25は、一端が電源装置
11の正極に接続され、他端が点火用トランジスタ17
のコレクタに接続されており、二次巻線27は、一端が
電源装置11の負極と同電位のグランドに接続され、他
端(すなわち、点火用電圧発生端35)が逆流防止用ダ
イオード31のアノードに接続されている。
【0062】また、逆流防止用ダイオード31は、アノ
ードが二次巻線27に接続され、カソードが点火プラグ
13の中心電極21に接続されることから、二次巻線2
7から点火プラグ13の中心電極21に向かう電流の通
電を許容し、点火プラグ13の中心電極21から二次巻
線27に向かう電流の通電を阻止している。
【0063】さらに、点火プラグ13において、中心電
極21と対向して火花放電を発生させる火花放電ギャッ
プ24を形成する接地電極23は、電源装置11の負極
と同電位のグランドに接地されている。また、点火用ト
ランジスタ17は、ベースがECU19の点火指令信号
20の出力端子に接続され、エミッタが電源装置11の
負極と同電位のグランドに接地されている。
【0064】そして、ECU19から出力される点火指
令信号20がローレベル(一般にグランド電位)である
場合には、ベース電流が流れず点火用トランジスタ17
はオフ状態(遮断状態)となり、点火用トランジスタ1
7によって一次巻線25に電流(一次電流26)が流れ
ることはない。また、ECU19から出力される点火指
令信号20がハイレベル(一般に定電圧電源からの供給
電圧5[V])である場合には、ベース電流が流れて点
火用トランジスタ17はオン状態(通電状態)となり、
点火用トランジスタ17によって一次巻線25に電流
(一次電流26)が流れる。なお、一次巻線25への通
電により、点火コイル15に磁束エネルギが蓄積され
る。
【0065】このため、点火指令信号20がハイレベル
であり一次巻線25に一次電流26が流れている状態
で、点火指令信号20がローレベルになると、点火用ト
ランジスタ17がオフ状態となり、一次巻線25への一
次電流26の通電が遮断(停止)される。すると、点火
コイル15における磁束密度が急激に変化して、二次巻
線27に点火用電圧が発生し、これが点火プラグ13に
印加されることで、点火プラグ13の電極21−23間
に火花放電が発生する。
【0066】なお、点火コイル15は、一次巻線25へ
の通電を遮断(停止)することで、二次巻線27におけ
る点火プラグ13の中心電極21にグランド電位よりも
高い正極性の点火用電圧を発生するように構成されてお
り、点火プラグ13は、この点火用電圧が印加されると
電極21−23間に火花放電を発生する。そして、火花
放電に伴い二次巻線27に流れる二次電流28(放電電
流28)は、二次巻線27から逆流防止用ダイオード3
1、点火プラグ13の中心電極21、接地電極23の順
に通過して、グランドを介して二次巻線27に戻る方向
に流れる。
【0067】そして、点火プラグ13における火花放電
の継続に伴い、点火コイル15に蓄積されたエネルギが
消費されていき、このエネルギが火花放電の継続に必要
な量を下回ると、点火プラグ13における火花放電が自
然終了する。なお、点火プラグ13における火花放電が
自然終了した時点においても、点火コイル15には残留
エネルギが残されており、この残留エネルギによって、
二次巻線27の両端には、火花放電の発生には不十分で
はあるが概略数kVの残留誘導電圧が発生する。
【0068】この残留誘導電圧は、二次巻線の端部の正
負極性が点火用電圧と同一極性となる状態で発生するこ
とから、二次巻線に残留誘導電圧が発生する際には、中
心電極21が正極性、接地電極23が負極性となる状態
で、点火プラグ13に電圧が印加される。
【0069】次に、点火プラグ13の電極間電圧を検出
する電圧検出回路51について説明する。まず、電圧検
出回路51は、図1に示すように、二次巻線27の点火
用電圧発生端35と点火プラグ13の中心電極21とを
接続する通電経路との間で容量結合する導電体53と、
導電体53とグランドとの間に接続されるコンデンサ6
5と、コンデンサ65に並列接続される抵抗63とを備
えている。
【0070】そして、導電体53は、二次巻線27の点
火用電圧発生端35と点火プラグ13の中心電極21と
を接続する通電経路に対して所定間隔を隔てて配置され
る電極板からなり、通電経路と共に静電容量素子を構成
する。なお、導電体53と通電経路とで構成される静電
容量素子は、点火プラグ13の電極間電圧に応じた電荷
が蓄積される。
【0071】また、導電体53およびコンデンサ65
は、点火プラグ13の電極間電圧を分圧する分圧回路を
構成しており、コンデンサ65の両端電圧は、点火プラ
グ13の電極間電圧と、導電体53およびコンデンサ6
5の電圧分圧比とに基づいて定められる分圧電圧とな
る。つまり、コンデンサ65の両端電圧は、点火プラグ
13の電極間電圧に比例した電圧値となる。
【0072】さらに、導電体53とコンデンサ65との
接続点は、判別回路67の入力端子に接続されており、
導電体53およびコンデンサ65による分圧電圧が、判
別回路67に入力される。この判別回路67は、図示し
ていないが、検出した電極間電圧に応じて変化する電極
間電圧信号から燃焼状態の判別に用いる所定成分を抽出
してフィルタ後電圧信号として出力するフィルタ回路部
を備える。なお、フィルタ後電圧信号は、フィルタ回路
部から後述する比較回路部とピークホールド回路部のそ
れぞれに出力されるようになっている、また、判別回路
67は、フィルタ回路部から出力されたフィルタ後電圧
信号のピーク値をピーク電圧信号として保持するビーク
ホールド回路部と、ピークホールド回路部から出力され
るピーク電圧信号を所定の分圧比に応じて分圧して調整
後ピーク電圧信号を得るためのピーク電圧信号調整回路
部と、ECU19からの読込指令信号72に基づいてピ
ークホールド回路部のON・OFF状態をスイッチング
制御するスイッチ回路部とを備える。
【0073】さらに、判別回路67は、上記ピーク電圧
信号調整回路部から出力される調整後ピーク電圧信号
と、上記フィルタ回路部からのフィルタ後電圧信号とを
比較して、フィルタ後電圧信号が調整後ピーク電圧信号
よりも大きいときに判定結果信号68を出力する比較回
路部を備えている。なお、判別回路67に備えられる各
回路部は、公知の構成を用いればよいことはいうまでも
ない。
【0074】このような構成を備える判別回路67から
出力される判定結果信号68は、ECU19に入力され
る。そして、ECU19にて、判定結果信号68の出力
時間を検出し、この判定結果信号68の出力時間が予め
設定された燃焼状態判定時間よりも大きいか否かを判断
して、判定結果信号68の出力時間が燃焼状態判定時間
よりも小さいときに正常燃焼であると判定する。逆に、
判定結果信号68の出力時間が燃焼状態判定時間よりも
大きいと判断されたときには、失火であると判定する。
【0075】以上のように、本内燃機関用点火装置1で
は、判別回路67から出力される判定結果信号68の出
力時間に基づき、ECU19にて正常燃焼と失火の判定
を行っており、これは点火プラグ13における火花放電
終了時以降の電極間電圧の時間経過に伴う低下度合いを
検出して正常燃焼と失火の判定を行っていることに相当
する。つまり、本内燃機関用点火装置1は、点火プラグ
13の火花放電終了時以降の電極間電圧に基づき、内燃
機関の燃焼状態の判定を行っている。
【0076】また、判別回路67は、ECU19からハ
イレベルの読込指令信号72が入力される場合に、ヒー
クホールド回路部をON状態にして燃焼状態の判別処理
を行い、ローレベルの読込指令信号72が入力される場
合には、ピークホールド回路部をOFF状態にし、保持
されるフィルタ後電圧信号のピーク値をリセットして燃
焼状態の判別処理は行わないよう構成されている。
【0077】次に、内燃機関用点火装置1のECU19
において実行される燃焼状態判定処理について、図3に
示すフローチャートを用いて説明する。また、燃焼状態
判定処理を実行する際の内燃機関用点火装置1における
各部(点火指令信号20、点火プラグ13の電極間電
圧、および二次巻線27に流れる二次電流28)の状態
を表すタイムチャートを図2に示す。
【0078】なお、ECU19は、内燃機関の火花放電
発生時期(点火時期)、燃料噴射量、アイドル回転数等
を総合的に制御するためのものであり、以下に説明する
燃焼状態判定処理のほかに、別途、内燃機関の吸入空気
量(吸気管圧力),回転速度(エンジン回転速度)、ス
ロットル開度、冷却水温、吸気温等、機関各部の運転状
態を検出する運転状態検出処理等を実行している。
【0079】また、図3に示す燃焼状態判定処理は、例
えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するク
ランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸
気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割
合で実行されており、さらに、点火制御のための処理も
併せて実行している。
【0080】そして、内燃機関が始動されて燃焼状態判
定処理が開始されると、まずS310(Sはステップを
表す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出
された内燃機関の運転状態を読込み、S320にて、そ
の読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期ts
(いわゆる点火時期)および火花放電持続時間Ttを設
定する。
【0081】なお、S310での処理では、内燃機関の
エンジン回転速度と、スロットル開度や吸気管負圧(吸
入空気量)等を用いて算出されるエンジン負荷とを含む
情報を運転状態として読み込む処理を行う。そして、S
320での処理では、火花放電発生時期tsは、エンジ
ン回転速度とエンジン負荷とをパラメータとするマッ
プ、テーブル若しくは計算式を用いて制御基準値を求
め、これを冷却水温,吸気温等に基づき補正する、とい
った従来から知られている手順で設定される。
【0082】また、火花放電持続時間Ttは、エンジン
回転速度とエンジン負荷を含む運転状態に基づいて、予
め用意されたマップ、テーブル若しくは計算式を用いて
設定される。なお、この火花放電持続時間Ttの設定に
用いるマップ、テーブルもしくは計算式は、混合気の乱
流が遅く火花放電が吹き消され難い運転条件(低回転運
転時)になるほど火花放電持続時間Ttを長い時間に設
定するように、また、混合気の乱流が速く火花放電が吹
き消され易い運転条件(高回転運転時)になるほど火花
放電持続時間Ttを短い時間に設定するように構成され
ている。
【0083】そして、エンジン回転速度およびエンジン
負荷に基づいて、火花放電持続時間Ttを設定するため
の設定用マップは、例えば、図10に示すように構成さ
れている。また、この設定用マップは、実際の内燃機関
を用いてエンジン回転速度毎に火花放電の自然終了時期
を測定した測定結果に基づいて、エンジン回転速度に応
じて適切な火花放電持続時間を設定できるよう構成され
ている。
【0084】このようにして火花放電持続時間Ttを定
めることで、二次巻線27に逆起電力を発生させる逆起
電力発生時期を設定することになる。なお、本実施例で
は、エンジン回転速度とエンジン負荷をパラメータとす
るマップ、テーブルまたは計算式を用いて最適な火花放
電持続時間Ttを設定するが、エンジン回転速度のみに
基づいて火花放電持続時間Ttを設定可能なマップ、テ
ーブルあるいは計算式を用いても良い。
【0085】次に、S330では、S320にて設定し
た火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期t
sに対して、予め設定された一次巻線通電時間だけ早い
一次巻線25の通電開始時期を求め、通電開始時期に達
した時点(図2に示す時刻t1)で、点火指令信号20
をローレベルからハイレベルに変化させる(図2に示す
時刻t1)。
【0086】なお、S330の処理により、点火指令信
号20がローレベルからハイレベルに切り換わると、点
火用トランジスタ17がオン状態となり、点火コイル1
5の一次巻線25に一次電流26が流れる。また、火花
放電発生時期tsまでの一次巻線通電時間は、一次巻線
25への通電によって点火コイル15に蓄積されるエネ
ルギが、内燃機関のあらゆる運転条件下で混合気を燃焼
させることができる最大の火花エネルギとなるように、
予め設定されている。
【0087】そして、続くS340では、クランク角セ
ンサからのクランク角検出信号に基づき、S320で設
定した火花放電発生時期tsに達したか否かを判断し、
否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行す
ることで、火花放電発生時期tsになるまで待機する。
そして、S340にて、火花放電発生時期tsに達した
と判断されると(図2に示す時刻t2)、S350に移
行する。
【0088】すると、S350では、点火指令信号20
をハイレベルからローレベルに反転させ、この結果、点
火用トランジスタ17がターンオフして一次電流26が
遮断され、点火コイル15の磁束密度が急激に変化して
二次巻線27に点火用電圧が発生し、点火プラグ13の
電極21−23間に火花放電が発生する。
【0089】なお、図2に示すタイムチャートから、点
火指令信号20がハイレベルからローレベルに反転する
時刻t2において、点火プラグ13の電極間電圧が大き
な電圧値となると共に、二次電流28が流れていること
が判る。次のS360では、S340で肯定判定された
時点を起点として、S320で設定した火花放電持続時
間Ttが経過したか否かを判断しており、否定判定され
た場合には、同ステップを繰り返し実行することで、火
花放電持続時間Ttが経過するまで待機する。そして、
S360にて、火花放電持続時間Ttに達したと判断さ
れると(図2に示す時刻t3)、S370に移行する。
【0090】そして、S370では、点火指令信号20
をローレベルからハイレベルに変化させる処理を行い、
点火指令信号20がローレベルからハイレベルに切り換
わると、点火用トランジスタ17がオン状態となり、点
火コイル15の一次巻線25に一次電流26が流れて、
二次巻線27に点火用電圧とは逆極性の起電力である逆
起電力が発生する。これにより、点火プラグ13にて発
生した火花放電が強制的に遮断される。また、図2に示
すタイムチャートから、時刻t3において火花放電が終
了する(遮断される)ことで、二次電流の通電が停止し
ていることが判る。なお、この逆起電力は、残留誘導電
圧とは逆極性であり、二次巻線27の両端電圧は、残留
誘導電圧から逆起電力の電圧値を差し引いた電圧値とな
る。
【0091】この時の二次巻線27の両端電圧は、点火
用電圧と同一極性であるため、逆流防止用ダイオード3
1による制限を受けることなく、点火プラグ13の電極
間に印加される。これにより、点火プラグ13の電極
(中心電極21および接地電極23)が静電容量素子と
して機能するため、各電極に電荷が蓄積されて、電極間
に電位差が発生する。
【0092】このようにして、点火プラグ13の電極に
電荷が蓄積されている際に、燃焼室内にイオンが存在す
る場合には、そのイオンを通じて電荷が移動して点火プ
ラグ13の電極間に電流が流れることになり、電荷の移
動に伴い、点火プラグ13の火花放電終了時以降の電極
間電圧は速やかに低下する。また、燃焼室内にイオンが
存在しない場合には、イオンを介した電荷の移動が発生
しないため、点火プラグ13の火花放電終了時以降の電
極間電圧は緩やかに低下する。なお、イオンが存在しな
い場合であっても、僅かながら電荷の漏洩が生じること
から、実際には、点火プラグ13の電極間電圧は緩やか
に低下することになる。
【0093】なお、図2においては、時刻t11から時
刻t15までの各時点がそれぞれ時刻t1から時刻t5
までの各時点に対応している。そして、時刻t3から時
刻t5にかけては、失火時の波形を示しており、点火プ
ラグ13の火花放電終了時(時刻t3)以降の電極間電
圧が緩やかに低下していることが判る。また、時刻t1
3から時刻t15にかけては、正常燃焼時の波形を示し
ており、点火プラグ13の火花放電終了時(時刻t1
3)以降の電極間電圧が速やかに低下していることが判
る。
【0094】そして、時刻t3から時刻t5にかけて、
および時刻t13から時刻t15にかけての期間におい
ては、電圧検出回路51では、コンデンサ65の両端電
圧が点火プラグ13の電極間電圧に応じた分圧電圧とな
り、その分圧電圧が判別回路67に入力されている。
【0095】次に、そして、S370の処理と同期し
て、S380では、判別回路67を用いて点火プラグ1
3の電極間電圧(詳細には分圧電圧)を読み込む処理を
開始する。具体的には、判別回路67に対して出力する
読込指令信号72をハイレベルに変化させ、予め定めら
れた燃焼状態判定期間が経過すると、読込指令信号72
をローレベルに変化させる処理を行う。なお、燃焼状態
判定期間は、予めECU19に記憶されている。
【0096】なお、本実施例では、燃焼状態判定期間
は、内燃機関の運転状態に関わらず、予め設定された固
定値としているが、運転状態に応じて適切な値を設定し
てもよい。その場合には、判別回路67を運転状態に応
じて適切な値を設定するよう構成して、S390での処
理内容として、判別回路67から燃焼状態判定期間を取
り込む処理を追加するとよい。
【0097】そして、ハイレベルの読込指令信号72が
入力された判別回路67は、点火プラグ13の電極間電
圧を読込むための処理を実行して、判定結果信号68を
ECU19に対して出力する。続くS390では、判別
回路67からの判定結果信号68に基づいて燃焼状態を
判定し、正常燃焼であるか失火であるかを判別する処理
を行う。
【0098】次のS400では、S360で肯定判定さ
れた時点を起点として、点火指令信号20のハイレベル
継続時間が経過したか否かを判断しており、否定判定さ
れた場合には同ステップを繰り返し実行することで待機
し、肯定判定された場合にはS410に移行する。な
お、点火指令信号20のハイレベル継続時間は、予めE
CU19に記憶されている。そして、S400にて、点
火指令信号20のハイレベル継続時間が経過したと判断
されると(図2に示す時刻t4)、S410に移行す
る。なお、本実施例では、点火指令信号20のハイレベ
ル継続時間は、内燃機関の運転状態に関わらず、予め設
定された固定値としているが、運転状態に合わせて適切
な値を設定してもよい。
【0099】そして、S410では、点火指令信号20
を緩やかにハイレベルからローレベルに低下させる処理
を行う。このように、緩やかに点火指令信号20を低下
させるのは、再放電が発生するのを防ぐためである。つ
まり、点火指令信号20を急峻にハイレベルからローレ
ベルに変化させると、二次巻線27に点火用電圧が発生
して再放電が発生してしまうが、点火指令信号20のレ
ベルを緩やかに低下させることで、一次巻線25での単
位時間あたりの電流変化量を小さくすることができ、二
次巻線27に点火用電圧が発生するのを防ぐことができ
る。
【0100】そして、S410における処理が終了する
と、燃焼状態判定処理が終了する。なお、図2では、時
刻t4から時刻t5にかけて、および時刻t14から時
刻t15にかけて、点火指令信号20が緩やかに低下し
ており、点火プラグ13の電極間電圧が高電圧にはなら
ないことから、再放電が発生していないことが判る。
【0101】ここで、上記実施例では、点火用トランジ
スタ17が特許請求の範囲に記載の点火用スイッチング
手段に相当し、導電体53およびコンデンサ65が電極
間電圧検出手段に相当し、判別回路67のフィルタ回路
部、ピークホールド回路部、ピーク電圧信号調整回路
部、比較回路部およびECU19が燃焼状態判別手段に
相当する。また、導電体53が容量結合手段に相当し、
コンデンサ65が分圧手段に相当し、逆流防止用ダイオ
ード31が逆流防止手段に相当する。
【0102】また、点火用トランジスタ17および燃焼
状態判定処理のS360、S370、S400、S41
0が再通電手段(再放電防止手段)に相当し、特に、燃
焼状態判定処理のS360、S370、S400、S4
10が第1再通電制御手段に相当する。
【0103】さらに、燃焼状態判定処理のS310が運
転状態読込手段に相当し、燃焼状態判定処理のS320
が逆起電力発生時期設定手段に相当し、燃焼状態判定処
理のS320で用いられるマップ、テーブルあるいは計
算式が逆起電力発生時期設定情報に相当する。
【0104】以上説明したように、本実施例の内燃機関
用点火装置1においては、火花放電終了後に、一次巻線
25に電流を再通電することで、点火用電圧とは逆極性
の起電力である逆起電力を二次巻線27に発生させて、
残留誘導電圧からこの逆起電力に相当する電圧を差し引
いた電圧を二次巻線27の両端に発生させている。これ
により、火花放電終了時(この場合、強制遮断時)にお
ける点火プラグ13の電極間電圧の上昇に伴う再放電が
発生するのを防ぐことができる。
【0105】よって、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、火花放電終了後に再放電が発生するのを抑制で
き、実際に失火しているにも拘わらず、正常燃焼と誤判
定するのを防ぐことができる。このため、火花放電終了
時以降の点火プラグの電極間電圧に基づく混合気の燃焼
状態の検出精度を向上させることができる。
【0106】また、本実施例の内燃機関用点火装置は、
燃焼状態判定処理でのS310にて、少なくともエンジ
ン回転速度を含む内燃機関の運転状態を読み込む処理を
行い、S320にて、S310で読み込んだ運転状態に
基づき火花放電持続時間Ttを設定している。なお、S
320では、火花放電持続時間Ttを定めることで、二
次巻線27に逆起電力を発生させる逆起電力発生時期を
設定している。
【0107】このとき、S320では、マップ、テーブ
ルもしくは計算式を用いて、少なくともエンジン回転速
度に基づいて、火花放電持続時間Tt(換言すれば、逆
起電力発生時期)を設定している。そして、低回転時に
なるほど火花放電持続時間Ttを長い時間に設定するこ
とで、逆起電力発生時期を遅い時期に設定し、また、高
回転時になるほど火花放電持続時間Ttを短い時間に設
定することで、逆起電力発生時期を早い時期に設定して
いる。
【0108】このように、エンジン回転速度が高回転に
なるほど逆起電力発生時期を早期に設定することで、早
い段階で混合気の乱流により途切れて火花放電が終了す
る運転状態下であっても、火花放電終了から逆起電力発
生までの時間を短くできるため、再放電の発生を抑える
ことができる。
【0109】よって、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、内燃機関の運転状態が高回転となる場合であっ
ても、再放電を抑制することができるため、燃焼状態の
誤判定を防ぐことができ、混合気の燃焼状態の検出精度
を向上させることができる。さらに、本実施例の内燃機
関用点火装置においては、直列接続された導電体53お
よびコンデンサ65を用いて点火プラグ13の電極間電
圧を分圧した分圧電圧を検出している。
【0110】このとき、コンデンサ65の両端電圧であ
る分圧電圧は、点火プラグの電極間電圧よりも低電圧で
あることから、分圧電圧に基づき電極間電圧を検出する
ための判別回路67は、点火プラグ13の電極間電圧を
直接検出する場合に比べて、入力可能電圧範囲が狭く設
定された低価格の回路で構成することができる。つま
り、本実施例の内燃機関用点火装置は、判別回路67と
して入力可能電圧範囲が広く設定された高価な判別回路
を用いることなく、点火プラグ13の電極間電圧を検出
することができる。
【0111】よって、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、点火プラグ13の電極間電圧を検出するにあた
り、低価格の判別回路67を用いることができるため、
製造コストが上昇するのを抑えることができる。さら
に、本実施例の内燃機関用点火装置においては、二次巻
線27の点火用電圧発生端35と点火プラグ13とを接
続する通電経路上に直列接続された逆流防止用ダイオー
ド31を備えている。そして、この逆流防止用ダイオー
ド31は、放電電流28の通電を許容し、放電電流28
とは逆向きに流れる電流の通電を阻止している。
【0112】つまり、逆流防止用ダイオード31が、一
次巻線25への通電時に二次巻線27に発生する電流の
通電を阻止することから、火花放電終了後における点火
プラグ13から二次巻線27に向けての電荷の移動(漏
洩)を阻止することになり、電荷の漏洩による燃焼状態
の誤判定を防ぐことができる。また、逆流防止用ダイオ
ード31は、放電電流28の通電を許容することから、
逆流防止用ダイオード31を備えることに起因して火花
放電が発生不可能となることはない。
【0113】よって、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、点火プラグから二次巻線への電荷の漏洩を防ぐ
ことができ、失火しているにも拘わらず誤って正常燃焼
と判断するのを防ぐことができ、燃焼状態の判定精度を
向上させることができる。ここで、本実施例の内燃機関
用点火装置を用いて、火花放電終了時の点火プラグの電
極間電圧を測定した測定結果を図9に示す。本測定は、
上記実施例の内燃機関用点火装置を用いて、火花放電を
強制的に遮断した時の点火プラグの電極間電圧のピーク
値を検出するという手順で実行しており、ピーク値の検
出を100回実行して得られた測定結果を図9に示して
いる。
【0114】また、比較実験として、火花放電中に一次
巻線への再通電を行わない従来の内燃機関用点火装置を
用いて、火花放電が自然終了した時の点火プラグの電極
間電圧のピーク値を検出する測定も実施した。なお、両
測定とも同運転条件下で行った。
【0115】図9に示す測定結果から、従来の内燃機関
用点火装置を用いた測定では、火花放電後の電極間電圧
のピーク値が約1.1〜3.7[kV]までの広い範囲
に分布しており、そのうち2.3[kV]以上の範囲で
は再放電が数回発生していることが判る。これに対し
て、本発明の内燃機関用点火装置を用いた測定では、電
極間電圧のピーク値が約0.6〜1.1[kV]までの
狭い範囲に分布しており、再放電が発生していないこと
が判る。また、本発明の内燃機関用点火装置における電
極間電圧のピーク値は、従来の内燃機関用点火装置にお
ける電極間電圧のピーク値に比べて、低い電圧値となっ
ており、本発明の内燃機関用点火装置は、再放電が発生
し難いことが判る。
【0116】よって、図9に示す測定結果によれば、本
発明の内燃機関用点火装置は、従来の内燃機関用点火装
置に比べて、火花放電終了時の電極間電圧の上昇に伴う
再放電を防止でき、燃焼状態の判定処理における誤判定
を防止できることが判る。以上、本発明の実施例(以
下、第1実施例という)について説明したが、本発明は
上述した第1実施例に限定されるものではなく、種々の
態様を採ることができる。
【0117】そこで、第2実施例として、火花放電中に
一次巻線の両端を短絡することで、火花放電を強制的に
遮断するとともに、残留エネルギによる再放電を防ぐよ
う構成された第2内燃機関用点火装置3について説明す
る。まず、図4は、第2実施例としての第2内燃機関用
点火装置3の構成を表す電気回路図である。
【0118】そして、第2内燃機関用点火装置3は、図
1に示す第1実施例の内燃機関用点火装置1に対して、
一次巻線25の両端を短絡するための短絡用スイッチ7
5が追加されて構成されている。また、第2内燃機関用
点火装置3は、ECU19で実行される燃焼状態判定処
理の処理内容が一部異なっている。
【0119】そこで、第1実施例の内燃機関用点火装置
との相違点を中心に、第2内燃機関用点火装置3につい
て説明する。まず、短絡用スイッチ75は、一次巻線2
5に並列に接続されており、ECU19からのスイッチ
駆動指令信号76に基づき、内部線路が短絡状態に設定
されるように構成されている。そして、短絡用スイッチ
75は、通常時には内部線路が開放状態となっており、
スイッチ駆動指令信号76が入力されると内部線路が短
絡状態となり、内部線路を流れる電流が所定電流値以下
になると、内部線路が開放状態に移行するよう構成され
ている。なお、このような短絡用スイッチ75は、例え
ば、サイリスタやトライアックを用いて構成することが
できる。
【0120】つまり、火花放電中にスイッチ駆動指令信
号76が入力されて、短絡用スイッチ75が一次巻線2
5の両端を短絡すると、点火コイル15の残留エネルギ
により短絡用スイッチ75を通じて一次巻線25に電流
が流れることになる。すると、二次巻線27に残留誘導
電圧とは逆極性の誘導電圧(逆起電力)が発生する。こ
れにより、残留誘導電圧から逆起電力を差し引いた電圧
が二次巻線27の両端に発生するため、二次巻線27の
両端に発生する電圧値の上昇度合いを抑えることがで
き、火花放電終了時の電極間電圧の上昇に伴う再放電の
発生を抑えることができる。
【0121】次に、第2内燃機関用点火装置3のECU
19において実行される燃焼状態判定処理について、図
6に示すフローチャートを用いて説明する。また、燃焼
状態判定処理を実行する際の第2内燃機関用点火装置3
における各部(点火指令信号20、スイッチ駆動指令信
号76、点火プラグ13の電極間電圧、および二次巻線
27に流れる二次電流28)の状態を表すタイムチャー
トを図5に示す。
【0122】そして、内燃機関が始動されて燃焼状態判
定処理が開始されると、まずS610(Sはステップを
表す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出
された内燃機関の運転状態を読込み、S620にて、そ
の読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期ts
(いわゆる点火時期)および火花放電持続時間Ttを設
定する。
【0123】なお、S610からS650までの処理
は、第1実施例の燃焼状態判定処理におけるS310か
らS350までの処理と同一内容である。つまり、S6
10からS650までの処理では、読み込んだ運転状態
に基づき火花放電発生時期tsおよび火花放電持続時間
Ttを設定し、点火指令信号20を出力することで点火
用トランジスタ17を駆動制御して、点火コイル15の
二次巻線27に点火用電圧を発生させて、点火プラグ1
3の電極間に火花放電を発生させる一連の処理を行う。
【0124】次のS660では、判別回路67を用いて
点火プラグ13の電極間電圧を読み込む処理を開始す
る。具体的には、判別回路67に対して出力する読込指
令信号72をハイレベルに変化させ、予め定められた燃
焼状態判定期間が経過すると、読込指令信号72をロー
レベルに変化させる処理を行う。そして、ハイレベルの
読込指令信号72を受信した判別回路67では、ピーク
ホールド回路部がON状態となり、比較回路部にて上述
したようにフィルタ後電圧信号と調整後ピーク電圧信号
とを比較して、判定結果信号68をECU19に対して
出力する。
【0125】なお、燃焼状態判定期間は、同気筒におけ
る次の燃焼サイクルの点火時期前までに読込指令信号7
2をハイレベル出力するように設定されている。次のS
670では、S640で肯定判定された時点を起点とし
て、S620で設定した火花放電持続時間Ttが経過し
たか否かを判断しており、否定判定された場合には、同
ステップを繰り返し実行することで、火花放電持続時間
Ttが経過するまで待機する。そして、S670にて、
火花放電持続時間Ttに達したと判断されると(図5に
示す時刻t3)、S680に移行する。
【0126】そして、S680では、瞬時的なパルス信
号としてのスイッチ駆動指令信号76を出力する処理を
行い、スイッチ駆動指令信号76が出力されると、短絡
用スイッチ75が開放状態から短絡状態となり、一次巻
線25の両端が短絡される。すると、残留エネルギによ
り、点火コイル15の一次巻線25に一次電流26が流
れて、二次巻線27に点火用電圧とは逆極性の逆起電力
が発生する。この逆起電力は、残留誘導電圧とは逆極性
であり、二次巻線27の両端電圧は、残留誘導電圧から
逆起電力の電圧値を差し引いた電圧値となる。
【0127】この時の二次巻線27の両端電圧は、点火
用電圧と同一極性であるため、逆流防止用ダイオード3
1による制限を受けることなく、点火プラグ13の電極
間に印加される。これにより、点火プラグ13の電極
(中心電極21および接地電極23)が静電容量素子と
して機能するため、各電極に電荷が蓄積されて、電極間
に電位差が発生する。
【0128】このようにして、点火プラグ13の電極に
電荷が蓄積されている際に、燃焼室内にイオンが存在す
る場合には、そのイオンを通じて電荷が移動して点火プ
ラグ13の電極間に電流が流れることになり、電荷の移
動に伴い、点火プラグ13の電極間電圧は速やかに低下
する。また、燃焼室内にイオンが存在しない場合には、
イオンを介した電荷の移動が発生しないため、点火プラ
グ13の電極間電圧は緩やかに低下する。なお、イオン
が存在しない場合であっても、僅かながら電荷の漏洩が
生じることから、実際には、点火プラグ13の電極間電
圧は緩やかに低下することになる。
【0129】なお、図5においては、時刻t11から時
刻t15までの各時点がそれぞれ時刻t1から時刻t5
までの各時点に対応している。そして、時刻t3から時
刻t5にかけては、失火時の波形を示しており、点火プ
ラグ13の電極間電圧が緩やかに低下していることが判
る。また、時刻t13から時刻t15にかけては、正常
燃焼時の波形を示しており、点火プラグ13の電極間電
圧が速やかに低下していることが判る。さらに、時刻t
3および時刻t13では、火花放電が自然終了する前に
一次巻線への再通電を開始しており、火花放電を強制的
に遮断している。
【0130】そして、時刻t3から時刻t5にかけて、
および時刻t13から時刻t15にかけての期間におい
ては、電圧検出回路51では、コンデンサ65の両端電
圧が点火プラグ13の電極間電圧に応じた分圧電圧とな
り、その分圧電圧が判別回路67に入力されている。
【0131】続くS690では、判別回路67からの判
定結果信号68に基づいて燃焼状態を判定し、正常燃焼
であるか失火であるかを判別する処理を行う。そして、
S690における処理が終了すると、燃焼状態判定処理
が終了する。なお、S680での処理により短絡用スイ
ッチ75が短絡状態となることで一次巻線25に発生し
た一次電流26は、時間経過に伴い減少していき、一次
電流26が所定電流値以下になると、短絡用スイッチ7
5は開放状態となる。このように短絡用スイッチ75が
開放状態となるタイミングは、火花放電終了後の点火コ
イル15における残留エネルギの大きさによって変化す
るが、時刻t5の近傍となる。
【0132】なお、第2実施例では、短絡用スイッチ7
5および燃焼状態判定処理のS670、S680が特許
請求の範囲に記載の一次巻線短絡手段(再放電防止手
段)に相当し、特に、短絡用スイッチ75が短絡用スイ
ッチング手段に相当し、燃焼状態判定処理のS670、
S680が一次巻線短絡制御手段に相当する。
【0133】また、燃焼状態判定処理のS610が運転
状態読込手段に相当し、燃焼状態判定処理のS620が
逆起電力発生時期設定手段に相当し、燃焼状態判定処理
のS620で用いられるマップ、テーブルあるいは計算
式が逆起電力発生時期設定情報に相当する。
【0134】以上説明したように、第2実施例の第2内
燃機関用点火装置3においては、火花放電中に、一次巻
線25の両端を短絡することで、点火用電圧とは逆極性
となる逆起電力を二次巻線27に発生させて、残留誘導
電圧からこの逆起電力に相当する電圧を差し引いた電圧
を二次巻線27の両端に発生させている。これにより、
火花放電終了時の点火プラグ13における電極間電圧の
上昇度合いを抑えることができるため、再放電が発生す
るのを防ぐことができる。
【0135】よって、第2実施例の第2内燃機関用点火
装置3によれば、火花放電終了後に再放電が発生するの
を抑制でき、実際に失火しているにも拘わらず、正常燃
焼と誤判定するのを防ぐことができる。このため、火花
放電終了時以降の点火プラグの電極間電圧に基づく混合
気の燃焼状態の検出精度を向上させることができる。
【0136】また、第2実施例の第2内燃機関用点火装
置3においては、短絡用スイッチ75が、外部からの指
令を受けることなく、通電電流が所定電流値以下となる
ことで短絡状態から開放状態に変化する。つまり、燃焼
状態判定処理において、短絡用スイッチ75を短絡状態
から開放状態に変化させるための処理を実行する必要が
ない。
【0137】このため、第2実施例の燃焼状態判定処理
においては、第1実施例の燃焼状態判定処理におけるS
400およびS410に相当する処理を省略することが
でき、燃焼状態判定処理の処理内容を簡略化することが
できる。また、燃焼状態判定処理の処理内容を簡略化す
ることで、ECU19における内部処理の処理負荷を軽
減することができる。
【0138】次に、第3実施例として、火花放電中に、
点火用トランジスタとは別に一次巻線の通電・遮断を行
う第2トランジスタ79を備えて、第2トランジスタ7
9により一次巻線への再通電を行うことで、火花放電を
強制的に遮断すると共に、残留エネルギによる再放電を
防ぐよう構成された第3内燃機関用点火装置5について
説明する。
【0139】まず、図7は、第3実施例としての第3内
燃機関用点火装置5の構成を表す電気回路図である。そ
して、第3内燃機関用点火装置5は、図1に示す第1実
施例の内燃機関用点火装置1に対して、点火用トランジ
スタ17に並列接続された第2トランジスタ79が追加
されて構成されている。また、第3内燃機関用点火装置
5は、ECU19で実行される燃焼状態判定処理の処理
内容が一部異なっている。
【0140】そこで、第1実施例の内燃機関用点火装置
との相違点を中心に、第3内燃機関用点火装置5につい
て説明する。まず、第2トランジスタ79は、点火用ト
ランジスタ17に並列に接続されており、点火コイル1
5の一次巻線25への通電・遮断を行うために、ECU
19からの第2駆動指令信号80に基づいてスイッチン
グ動作する半導体素子(npn型パワートランジスタ)
からなるスイッチング素子である。そして、第2トラン
ジスタ79は、ベースがECU19の第2駆動指令信号
80の出力端子に接続され、コレクタが一次巻線25と
点火用トランジスタ17との接続点に接続され、エミッ
タが電源装置11の負極と同電位のグランドに接地され
ている。
【0141】そして、第2トランジスタ79は、第2駆
動指令信号80がローレベル(一般にグランド電位)で
ある場合にはベース電流が流れずオフ状態(遮断状態)
となり、第2駆動指令信号80がハイレベル(一般に定
電圧電源からの供給電圧5[V])である場合にはベー
ス電流が流れてオン状態(通電状態)となる。
【0142】つまり、火花放電中に、第2駆動指令信号
80がハイレベルとなり、第2トランジスタ79がオン
状態となると、点火コイル15の残留エネルギにより第
2トランジスタ79を通じて一次巻線25に電流が流
れ、これに伴い、二次巻線27に残留誘導電圧とは逆極
性の誘導電圧(逆起電力)が発生する。これにより、残
留誘導電圧から逆起電力を差し引いた電圧が二次巻線2
7の両端に発生するため、二次巻線27の両端に発生す
る電圧値の上昇を抑えることができ、点火プラグの火花
放電終了時の電極間電圧の上昇度合いを抑えることがで
きる。
【0143】次に、第3内燃機関用点火装置5のECU
19において実行される燃焼状態判定処理について説明
する。なお、第3実施例の燃焼状態判定処理は、第1実
施例の燃焼状態判定処理におけるS370,S400お
よびS410の処理内容を変更して構成されている。
【0144】つまり、第3実施例の燃焼状態判定処理に
おいては、S370では、第2駆動指令信号80をロー
レベルからハイレベルに変化させる処理を行い、S40
0では、第2駆動指令信号80のハイレベル継続時間が
経過したか否かを判断しており、S410では、第2駆
動指令信号80を緩やかにハイレベルからローレベルに
低下させる処理を行う。なお、第2駆動指令信号80の
ハイレベル継続時間は、予めECU19に記憶されてい
る。
【0145】よって、第3実施例の燃焼状態判定処理を
実行することで、点火用トランジスタ17を駆動制御し
て火花放電を発生させることができ、また、火花放電中
に第2トランジスタ79を駆動制御して一次巻線25へ
の再通電を行うことで、火花放電を強制的に遮断すると
共に、点火プラグ13での再放電を防ぐことができる。
【0146】なお、第3実施例では、第2トランジスタ
79および燃焼状態判定処理のS360、S370、S
400、S410が、特許請求の範囲に記載の再通電手
段(再放電防止手段)に相当し、特に、第2トランジス
タ79が第2スイッチング手段に相当し、燃焼状態判定
処理のS360、S370、S400、S410が第2
再通電制御手段に相当する。
【0147】以上説明したように、第3実施例の第3内
燃機関用点火装置5においては、火花放電中に、第2ト
ランジスタ79を駆動制御して一次巻線25に電流を再
通電することで、点火用電圧とは逆極性の起電力である
逆起電力を二次巻線27に発生させて、残留誘導電圧か
らこの逆起電力に相当する電圧を差し引いた電圧を二次
巻線27の両端に発生させている。これにより、火花放
電終了時の点火プラグ13における電極間電圧の上昇に
伴う再放電が発生するのを防ぐことができる。
【0148】よって、第3実施例の第3内燃機関用点火
装置5によれば、火花放電終了後に再放電が発生するの
を抑制でき、実際に失火しているにも拘わらず、正常燃
焼と誤判定するのを防ぐことができる。このため、火花
放電終了後の点火プラグの電極間電圧に基づく混合気の
燃焼状態の検出精度を向上させることができる。
【0149】また、第3内燃機関用点火装置5において
は、点火用トランジスタ17とは別に、第2トランジス
タ79を備えており、第2トランジスタ79を用いて一
次巻線への再通電を行い、点火プラグ13の再放電を抑
制している。これにより、一次巻線への再通電を行うに
あたり、点火用トランジスタ17の通電時間が長くなる
のを防ぐことができ、点火用トランジスタ17の温度上
昇を抑えることができる。この結果、点火用トランジス
タ17の正常動作を維持できると共に、温度上昇による
点火用トランジスタ17の破損を防ぐことができる。
【0150】よって、第3実施例の第3内燃機関用点火
装置5によれば、混合気の燃焼状態の検出精度を向上で
きると共に、点火用トランジスタ17の破損により火花
放電が発生できなくなるのを防ぐことができる。以上、
本発明の複数の実施例について説明したが、本発明は上
記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採る
ことができる。
【0151】例えば、上記実施例では、分圧電圧に基づ
き点火プラグ13の電極間電圧を検出して燃焼状態を判
定する処理を判別回路67を用いて行っているが、分圧
電圧をECU19に直接取り込み、ECU19の内部処
理で燃焼状態の判定を行う処理を実行しても良い。
【0152】また、上記実施例では、判別回路67から
出力される判定結果信号68をECU19に入力し、E
CU19にて判定結果信号68の出力時間を検出して、
この判定結果信号68の出力時間が予め設定された燃焼
状態判定時間よりも大きいか否かを判断することで、失
火であるか正常燃焼であるかを判定するものであった
が、判別回路67の内部にて、比較回路部から出力され
る判定結果信号の出力時間と燃焼状態判定時間とを比較
して、燃焼状態判定時間よりも出力時間が大きいときに
失火であることを表す失火判定信号をECU19に出力
し、逆に燃焼状態判定時間よりも出力時間が小さいとき
に正常燃焼であることを表す正常判定信号を出力するよ
うな出力回路部を設けて、燃焼状態の判定を行う処理を
実行しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の内燃機関用点火装置の構成を表
す電気回路図である。
【図2】 第1実施例の内燃機関用点火装置における各
部の状態を表すタイムチャートである。
【図3】 第1実施例の電子制御装置において実行され
る燃焼状態判定処理の処理内容を表すフローチャートで
ある。
【図4】 第2実施例の第2内燃機関用点火装置の構成
を表す電気回路図である。
【図5】 第2実施例の第2内燃機関用点火装置におけ
る各部の状態を表すタイムチャートである。
【図6】 第2実施例の電子制御装置において実行され
る燃焼状態判定処理の処理内容を表すフローチャートで
ある。
【図7】 第3実施例の第3内燃機関用点火装置の構成
を表す電気回路図である。
【図8】 従来の内燃機関用点火装置における各部の状
態を表すタイムチャートである。
【図9】 本発明の内燃機関用点火装置および従来の内
燃機関用点火装置を用いて、火花放電終了後の点火プラ
グの電極間電圧を測定した測定結果である。
【図10】 エンジン回転速度およびエンジン負荷に基
づいて、火花放電持続時間を設定するための設定用マッ
プの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、3…第2内燃機関用点火装
置、5…第3内燃機関用点火装置、13…点火プラグ、
15…点火コイル、17…点火用トランジスタ、19…
電子制御装置(ECU)、21…中心電極、23…接地
電極、25…一次巻線、27…二次巻線、31…逆流防
止用ダイオード、51…電圧検出回路、53…導電体、
65…コンデンサ、67…判別回路、75…短絡用スイ
ッチ、79…第2トランジスタ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次巻線および二次巻線を有し、前記一
    次巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線
    に点火用電圧を発生する点火コイルと、 該点火コイルの前記一次巻線に流れる前記一次電流の通
    電・遮断を行う点火用スイッチング手段と、 前記二次巻線に直列接続されて、前記点火用電圧により
    発生する放電電流が流れることで自身の電極間に火花放
    電を発生する点火プラグと、 前記点火プラグの電極間に発生する電極間電圧を検出す
    る電極間電圧検出手段と、 前記電極間電圧検出手段により検出される前記電極間電
    圧のうちで前記火花放電終了時以降の電極間電圧に基づ
    き、内燃機関の燃焼状態を判別する燃焼状態判別手段
    と、 を備えた内燃機関用点火装置であって、 前記点火プラグの火花放電中に、前記二次巻線に前記点
    火用電圧とは逆極性の起電力である逆起電力を発生させ
    ることで、前記火花放電終了時の電極間電圧の上昇に伴
    う前記点火プラグの再放電を防止する再放電防止手段を
    備えたこと、 を特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記再放電防止手段は、 前記一次巻線に電流を再通電することで、前記二次巻線
    に前記逆起電力を発生させ、前記点火プラグの火花放電
    を強制的に遮断する再通電手段として備えられること、 を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記再通電手段は、 前記一次巻線に電流を再通電するために前記点火用スイ
    ッチング手段を駆動制御する第1再通電制御手段、を備
    えること、 を特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】 前記再通電手段は、 前記点火用スイッチング手段に並列に接続されて、前記
    一次巻線に流れる前記一次電流の通電・遮断を行う第2
    スイッチング手段と、 前記一次巻線に電流を再通電するために前記第2スイッ
    チング手段を駆動制御する第2再通電制御手段と、を備
    えること、 を特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  5. 【請求項5】 前記再放電防止手段は、 前記一次巻線の両端を短絡することで、前記二次巻線に
    前記点火用電圧とは逆極性の逆起電力を発生させる一次
    巻線短絡手段として備えられること、 を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  6. 【請求項6】 前記一次巻線短絡手段は、 前記一次巻線に並列に接続された短絡用スイッチング手
    段と、 前記一次巻線の両端を短絡するために前記短絡用スイッ
    チング手段を駆動制御する一次巻線短絡制御手段と、を
    備えること、 を特徴とする請求項5に記載の内燃機関用点火装置。
  7. 【請求項7】 前記再放電防止手段は、 少なくともエンジン回転速度を含む内燃機関の運転状態
    を外部から読み込む運転状態読込手段と、 前記運転状態読込手段にて読み込まれた前記運転状態に
    基づき、前記二次巻線に前記逆起電力を発生させる逆起
    電力発生時期を設定すると共に、少なくとも前記エンジ
    ン回転速度が高回転になるほど前記逆起電力発生時期を
    早期に設定する逆起電力発生時期設定手段と、を備える
    こと、 を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    内燃機関用点火装置。
  8. 【請求項8】 前記逆起電力発生時期設定手段は、 前記エンジン回転速度に応じた前記逆起電力発生時期が
    定められた逆起電力発生時期設定情報を用いて、前記エ
    ンジン回転速度に基づき前記逆起電力発生時期を設定す
    ること、 を特徴とする請求項7に記載の内燃機関用点火装置。
  9. 【請求項9】 前記電極間電圧検出手段は、 前記点火プラグと前記二次巻線の点火用電圧発生端とを
    接続する通電経路との間で容量結合する容量結合手段
    と、 該容量結合手段に直列接続される分圧手段と、を備え、 直列に接続された前記容量結合手段および前記分圧手段
    が、前記点火プラグに並列接続されており、 前記容量結合手段と前記分圧手段とにより分圧された分
    圧電圧を、前記電極間電圧として検出すること、 を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の
    内燃機関用点火装置。
  10. 【請求項10】 前記点火プラグの中心電極が、正極性
    となるように、前記二次巻線の点火用電圧発生端に接続
    されていること、 を特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の
    内燃機関用点火装置。
  11. 【請求項11】 前記二次巻線の点火用電圧発生端と前
    記点火プラグとを接続する通電経路上に直列接続され、
    前記放電電流の通電を許容し、前記放電電流とは逆向き
    に流れる電流の通電を阻止する逆流防止手段、を備えた
    こと、 を特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載
    の内燃機関用点火装置。
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