JP3255502B2 - 高安定弾性表面波素子 - Google Patents

高安定弾性表面波素子

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JP3255502B2 JP20461693A JP20461693A JP3255502B2 JP 3255502 B2 JP3255502 B2 JP 3255502B2 JP 20461693 A JP20461693 A JP 20461693A JP 20461693 A JP20461693 A JP 20461693A JP 3255502 B2 JP3255502 B2 JP 3255502B2
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勇次 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は共振子あるいはフィルタ
として用いる弾性表面波素子、殊に温度変化に対して周
波数変動の少ない高安定弾性表面波素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、弾性体の表面付近を伝搬する弾性
表面波(SAW:Surface Acoustic
Wave)を利用したエレクトロメカニカル機能素子が
電子・通信機器の分野を中心に共振子あるいはフィルタ
として用いられており、例えば、最近ではページャ、携
帯電話等の移動体通信用フィルタとしての応用も進めら
れている。このような通信の分野に於いては周波数有効
利用の要請から、素子の高周波化並びに温度に対する周
波数の高安定化が強く求められている。
【0003】周波数温度特性が安定な共振子としてはバ
ルク波を利用したATカット(オイラー角θ=125
゜;35゜回転Yカット)水晶共振子が一般的であり、
図1に示す如く常温近傍を変曲点とする3次曲線の周波
数温度特性を呈し、前記変曲点を中心として比較的広い
温度範囲に亘って温度変化に対する周波数変動率(周波
数温度変化率)を小さくすることが可能であって、−4
0〜80゜Cの温度変化に対し周波数温度変化率が約2
0ppmとなることが知られている。ところが水晶のバ
ルク波を利用した共振子は温度変化に対する周波数安定
性は優れているものの、その共振周波数が基板の厚さに
反比例するため、高周波用共振子を得ようとすると基板
を薄く加工しなければならず、結果として機械的強度が
低下するため製造が困難となり、基本波振動では数十M
Hz程度が高周波化の限界であった。これに対し、弾性
表面波素子はその共振周波数が電極周期で決定するた
め、基本波振動において1GHz程度の高周波化が容易
であり、更なる高周波化が期待されている。
【0004】しかしながら、一般に弾性表面波素子用圧
電基板はATカット水晶に比べて周波数温度特性が著し
く劣ると云う欠点があり、図2に示す如く比較的周波数
温度特性が良好であるとしてSAW共振子あるいはSA
Wフィルタ等に広く用いられているSTカット(オイラ
ー角θ=132.75゜;42.75゜回転YカットX
伝搬)水晶基板を用いた弾性表面波素子の場合であって
も、−40〜80゜Cの温度変化に対する周波数温度変
化率が約120ppmとATカットに比して6倍もの変
動を呈すると云う欠陥があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は上述した如き従来の弾性表面波
素子の欠点を除去するためになされたものであって、常
温近傍の比較的広い温度範囲に亘って周波数温度特性を
改善し、STカット水晶を用いた弾性表面波素子よりも
はるかに優れた、望ましくはバルク波を利用するATカ
ットと同等あるいはそれ以上の周波数温度特性を呈する
弾性表面波素子を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】上述の目的を達成するため本発明は、圧
電基板表面近傍を伝搬するSH 型弾性表面波を利用す
べく前記圧電基板表面に少なくとも一の比較的質量の重
い金属材料から成るインタディジタルトランスジューサ
(IDT )電極を配設した弾性表面波素子に於いて、
結晶X 軸を回転の中心としてXY 平面に対するカット
アングルθが27 ゜乃至37 ゜の範囲となるように切
り出した水晶基板を前記圧電基板として用いたものであ
って、前記SH 型弾性表面波の位相速度伝搬方向と結
晶X 軸との成す面内回転角ψが75 ゜≦|ψ|<90
゜となるよう前記IDT 電極を構成したものであっ
て、更には前記面内回転角ψと前記カットアングルθが
|ψ|=(1 .1 θ+48 )±5 (deg .)但
し、|ψ|<90 ゜を満足するよう構成した、あるい
は前記SH 型弾性表面波の波長をλ、前記IDT 電極
の膜厚をh としたとき、h /λが0 .01 乃至0
.018 となるよう構成した、あるいは前記IDT
電極の材料として金を用いたもの、理想的には圧電基板
表面近傍を伝搬するSH 型弾性表面波を利用すべく前
記圧電基板表面に金を材料とする少なくとも一のインタ
ディジタルトランスジューサ(IDT )電極を配設し
た弾性表面波素子に於いて、結晶X 軸を回転の中心と
してXY 平面に対するカットアングルθが30 ゜とな
るように切り出した水晶基板を前記圧電基板として用い
たものであって、前記SH 型弾性表面波の位相速度伝
搬方向と結晶X 軸との成す面内回転角ψが81 .6
゜となるよう前記IDT 電極を構成したものであり、
前記SH 型弾性表面波の群速度伝搬方向に沿って前記
IDT電極を配置したものである。
【0007】
【実施例】以下、本発明を実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。本発明は図3に示す如く、互いに直交
する2つの回転Yカット水晶基板の一方をATカット基
板1と想定したとき、他方の基板2の表面にIDT電極
を配設することにより、周波数温度特性の優れたATカ
ット基板1のバルク波と同じ図中黒ヌリの矢印で示す伝
搬方向をもち、この伝搬方向に対し垂直な図中白ヌキの
矢印で示す方向に粒子変位を有するSH型弾性表面波
(例えば、所謂Love波の如き弾性表面波)が存在す
るとの知見に基づきなされたものである。
【0008】まず、周波数温度特性についての理論的解
析の結果を示し、次いでこれに基づいて行った実験結果
を示す。水晶基板の切断面および表面波の伝搬特性を論
ずる際には、一般にオイラー角を用いる。ここでは図4
に示す如き右手系のオイラー角(φ,θ,ψ)を用い
た。これは図中X,Y,Zを夫々水晶の結晶軸とする
と、第1回転角φはZ軸を中心に、第2回転角θはφに
よる変換後のX軸であるX′軸を中心にXY平面を夫々
回転した角度であり、第3回転角ψは前記2つの回転で
決まった平面内でのX′軸からの回転角で表面波の伝搬
方向である。このオイラー角を用いて新しい座標系(X
1,X2,X3)に対する材料係数を求めることができ
る。例えば、−60゜回転YカットZ′伝搬水晶基板の
場合は(0゜,30゜,90゜)と表記され、以下θを
カットアングル、ψを面内回転角と称する。
【0009】回転Yカット水晶基板の表面に膜厚hの金
属膜を設け、X1方向に伝搬するSH型弾性表面波につ
いて解析を行う。この場合SH型弾性表面波はX2方向
に粒子変位を持つ横波であり、所謂Love波を利用す
るものとする。図5は解析モデルを示す図であって、L
ove波を励起するには比較的質量の重いIDT電極を
必要とするため膜厚hを有する金属膜の材料として金
(Au)を用いた場合につき解析を行なった。
【0010】解析には、水晶基板内並びに金属膜内で夫
々独立の変位および電位を仮定し、各領域で構成方程式 Tij=CE ijklkl−ekljk (1) Di=εS ijj+eijkjk (2) 但し、CE:電界一定の時の弾性スティフネス定数 T :応力 εS:ひずみ一定の時の誘電率 e :圧電定数 E :電界 S :ひずみ D :電束蜜度 およびニュートンの運動方程式
【数1】を用いた。但し、文字上のドットは時間積分
を、コンマはその後の数字の方向への空間積分を表して
いる。さらにガウスの法則 Di,j=0 (i=1、2、3) (4) をこれらと連立させ、各境界における境界条件を (1)粒子変位が連続であること (2)応力が連続であること (3)電束密度の法線成分が連続であること (4)電位が連続であること として解析を行った。
【0011】X1方向に伝搬する波動の位相速度をV、
IDTの1周期長をLとするとその中心周波数fは、 f=V/L (5) となる。位相速度Vは基板と金属膜厚の材料定数によっ
て決まるが、材料定数は温度によって変動するから、結
果としてVが温度によって変化することとなる。ここ
で、温度によって変化するためVに影響を及ぼす材料定
数として 1)基板材料の弾性定数 2)基板材料の密度 3)電極金属膜の弾性定数 4)電極金属膜の膜厚 5)電極金属膜の密度 さらに、IDTの周期Lに影響を与えるものとして 6)基板材料の熱膨張 7)電極金属膜の熱膨張 と云った事項を考慮した。
【0012】上述の理論式に基づき解析した結果を以下
に示す。まず面内回転角ψが90゜(Z伝搬)の場合に
ついて解析した結果を図6に示す。同図に於いて横軸は
カットアングルθ、縦軸は伝搬するSH型弾性表面波の
波長λで正規化した膜厚h/λであって、等値線中の数
字は−40〜80゜Cに於ける周波数温度変化率の変化
量であり、単位はppmである。尚、斜線で示す部分は
周波数温度変化率が100ppm以下となる領域であ
る。面内回転角ψ=90゜の場合はSTカットの時と同
様に2次的な曲率の周波数温度特性を呈するものの最適
なカットを選択することにより周波数温度変化量がST
カットの場合の1/2以下となる。しかしながら、これ
はATカットの周波数温度変化率の約3倍であり、更な
る周波数温度特性の改善をすべく面内回転角ψの条件を
段階的に変化せしめて解析を行った。
【0013】図7はその結果をまとめたものであって、
横軸にはカットアングルθ、縦軸には面内回転角ψをと
り、各組合せにおいて−40〜80゜Cでの周波数温度
変化率の変化量が最小となる正規化膜厚h/λをプロッ
トしたものである。同図によれば、カットアングルθが
27゜乃至37゜の範囲となるように切り出した水晶基
板において、 ψ≒1.1θ+48 (deg.) (6) なる式を満足する場合には、膜厚を適当に選択すれば最
適な周数温度特性が得られる。図8は正規化膜厚h/λ
=0.015の時の−40〜80゜Cでの周波数温度変
化率の変化量を等値線図として示したもので、等値線上
の数字は周波数温度変化率の変化量であり、単位はpp
mである。斜線で示す部分は周波数温度変化率の変化量
がSTカット水晶基板を用いた弾性表面波素子のそれよ
り小さい100ppm以下となる領域であって、カット
アングルθが27゜乃至42゜の範囲であり、面内回転
角ψが概ね70゜より大きく90゜より小さい範囲に存
在する。図9および図10は、夫々正規化膜厚h/λ=
0.015の時のカットアングルθおよび面内回転角ψ
による−40〜80゜Cでの周波数温度変化率曲線の違
いを求めたものであり、図11は両者の結果より最も周
波数温度変化率の少なかったオイラー角(0゜,29.
9゜,81.55゜)なる条件に於いて正規化膜厚h/
λを変化せしめた場合の周波数温度変化率曲線である。
上述した最小となる条件に於いては、ATカットの1/
3以下の約6ppm以下と極めて高安定なSAWデバイ
スの実現を示唆するものである。
【0014】上述の最適条件に対してカットアングルθ
のみを変化させた場合は約±0.85゜、面内回転角ψ
のみを変化させた場合は約±1.4゜、膜厚のみを変化
させた場合は正規化膜厚h/λにして約±5%と云う比
較的広範囲に亘って、−40〜80゜Cでの周波数温度
変化率の変化量が30ppm以下となる。このような広
範囲に亘って良好な周波数温度特性が存在するならば、
実際に基板をカットする際、あるいは基板上に電極を形
成する際のマスク合わせにずれが生じた場合であっても
これを許容し十分な周波数温度特性のデバイスを実現す
る上で有利である。従って、従来のSTカット水晶基板
を用いた弾性表面波素子の周波数温度特性より優れた特
性を得る為に実質的には ψ=(1.1θ+50)±5 (deg.) 但し、ψ<90゜ (7) なる式を満足するよう構成すればよい。
【0015】明細書が煩雑となるので個別のデータは省
略するが、図7に示す各プロット点に於いて、上述した
正規化膜厚h/λ=0.015の時とほぼ同等の解析結
果を得ることができ、同図より面内回転角ψが90゜に
近づく若しくはカットアングルθが大きくなるにしたが
って膜厚の最適条件は薄くなる。また、−40〜80゜
Cでの周波数温度変化率の変化量が30ppm以下とな
るためにカットアングルθ、面内回転角ψ並びに正規化
膜厚h/λがとり得る領域は膜厚が厚いほど広くなり、
膜厚が薄くなるにしたがって狭くなる傾向があった。
【0016】以上、周波数温度特性のみに着目し、その
解析結果について述べてきたが、SAWデバイスとして
他の特性、例えば電気機械結合係数(K2)、パワーフ
ロー角についても考慮する必要がある。ここで、周知の
通り電気機械結合係数は圧電効果の大小を示す量であ
り、弾性表面波素子の基板として利用する上で大きいほ
うが望ましい。図12は正規化膜厚h/λ=0.015
の時の電気機械結合係数の解析結果を示す等値線図であ
って、実線はSH型弾性表面波の、破線は一般的なレー
リー波の電気機械結合係数を示している。SH型弾性表
面波の電気機械結合係数はSTカット水晶基板の一般的
な値のおよそ2倍と大きく、今回利用するSH型弾性表
面波にとってレーリー波は不要なスプリアス応答となる
ものの、SH型弾性表面波の電気機械結合係数はレーリ
ー波のそれに比して十分大きく、レーリー波による影響
は少ないと考えられるが、カットアングルθを小さく且
つ面内回転角ψを90゜に近づけたほうが望ましく、7
5゜以下では弾性表面波素子を構成するのに十分な電気
機械結合係数を得ることが困難であると考えられる。ま
た図示は省略するが膜厚を厚くするほどSH型弾性表面
波の電気機械結合係数が大きく、レーリー波のレスポン
スが小さくなることを見い出した。
【0017】一方、パワーフロー角は図13に示す如く
基板上に配設したIDT電極により励起される弾性表面
波の位相速度の伝搬方向と群速度の伝搬方向とのなす角
度であって、パワーフロー角が大きくなると伝搬損失が
増大する原因となることから零とすることが望ましいと
されている。図14はパワーフロー角の解析結果を示す
等値線図であって、SH型弾性表面波の場合は面内回転
角ψが90゜の時パワーフロー角が零となり、90゜か
らずれるにしたがってパワーフロー角が大きくなる傾向
を呈する。即ち、電気機械結合係数及びパワーフロー角
の影響を勘案すればカットアングルθを27゜乃至37
゜の範囲、面内回転角ψを概ね75゜より大きく90゜
より小さい範囲で選ぶことが弾性表面波素子として実用
的であると言えよう。
【0018】以上の解析結果に基づき、サンプルを試作
し−40〜80゜Cの温度範囲に於ける周波数温度変化
率の測定を行なった。以下煩雑となるのを避ける意味か
らオイラー角(0゜,30゜,ψ)の水晶基板(−60
゜回転Yカット水晶基板)上に電極を形成した場合につ
いて説明する。金と水晶基板との付着力が弱いことから
基板上に薄い(数100オングストロームの)チタンを
蒸着した上に金を蒸着し、これをフォトエッチングする
ことにより電極形成した。IDT電極は送・受波用それ
ぞれ60対と40対とし、交差幅は20波長分とした。
また、送・受波用IDT間には20波長分のグレーティ
ングを、両IDTの外側には50波長分の一様膜を設け
た。図15は実験に用いた電極パターンの概略配置図で
あって、パワーフロー角を勘案して群速度伝搬方向に沿
って配置した。
【0019】図16は面内回転角ψが81.53゜、電
極膜厚が8720オングストローム,波長λが52μ
m、IDT電極のピッチに対する電極指の幅の比率w/
pが47%であるサンプルについて、IDTによる周波
数伝送特性を50Ω系のネットワーク・アナライザにて
測定した結果である。同図より、SH型弾性表面波の中
心周波数から約4.5%低い周波数側にレイリー波の応
答が確認できるが、レイリー波の周波数温度変化率に比
してSH型弾性表面波のそれが非常に小さいことがわか
る。
【0020】図17は面内回転角ψを81.6゜とした
サンプルについての周波数温度変化率の変化を示す図で
あり、理論値を示す図18と同様に電極の膜厚hが薄い
場合には周波数温度変化特性は傾きの大きい右下がりの
直線的な変化を示し、膜厚を徐々に厚くするに従って傾
きが小さくなると共に20゜C近傍に変曲点をもつ3次
曲線を呈すると云う傾向が見られた。グラフが煩雑とな
るためサンプル数を間引いて示したが、この例では80
00乃至8600オングストロームの範囲で−40〜8
0゜Cでの周波数温度変化率の変化量が70ppm以下
となり、特に図中白抜きの三角印で示すサンプルは約2
0ppmと、目標とするATカット水晶基板に於けるバ
ルク波の場合とほぼ同等の特性が得られた。而してさら
に膜厚を厚くするとこれも理論値と同様に再び右下がり
の直線を呈するようになる。
【0021】面内回転角ψ、w/p、金薄膜の下地とし
て用いたチタンの膜厚及びマスク精度等の製造上のばら
つきを原因とするサンプル毎の周波数温度変化率のばら
つきも見られたが、これらのばらつきを考慮し補正を行
なってみるとほぼ理論値通りの結果を得ることができ
た。さらに、面内回転角ψを83.0゜及び85.0゜
としたサンプルによる実験結果を夫々図19及び図20
に示す。この場合も理論値とほぼ同等の結果を得ること
ができた。また、実験結果は省略したがカットアングル
θが30゜以外の条件についてもほぼ同等の結果が得ら
れることを確認した。
【0022】尚、以上本発明を面内回転角ψが正の場合
を例に説明してきたが、本発明はこれのみに限定される
ものではなく、結晶の対称性からψを負の方向に回転せ
しめた場合であっても同等の特性が得られることは当然
であり説明するまでもない。即ち、周波数温度変化率の
変化量が100ppm以下であり、電気機械結合係数及
びパワーフロー角の影響を勘案した弾性表面波素子とし
て実用的な領域は、カットアングルθが27゜乃至42
゜の範囲で、面内回転角ψが概ね75゜≦|ψ|<90
゜となる範囲に存在し、前記(7)式は |ψ|=(1.1θ+48)±5 (deg.) 但し、|ψ|<90゜ と書き換えることが可能である。また、実施例として水
晶基板上に2つのIDT電極を形成した弾性表面波共振
子を例に本発明を説明してきたが、本発明はこれのみに
限定されるものではなく、水晶基板上に1つのIDT電
極とその両側に反射器を配置するタイプあるいは多数の
IDT電極を配置しこれらを縦続接続するタイプ等のあ
らゆる弾性表面波素子に適用可能なこと言うまでもな
い。
【0023】
【発明の効果】本発明は、以上説明した如く構成するも
のであるから、SH型弾性表面波を利用するSAWデバ
イスを、カットアングルθが27゜乃至37゜の範囲と
なるように切り出した水晶基板を前記圧電基板として用
い、面内回転角ψが概ね75゜≦|ψ|<90゜となる
よう適宜選択して電極を構成するのみで何ら格別の手段
を講じることなく、ATカット水晶のバルク波と同等の
周波数温度特性を実現可能とする上で著しい効果を奏す
る。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】ATカット水晶共振子の周波数温度特性を示す
図。
【図2】STカット水晶基板を用いた弾性表面波共振子
の周波数温度特性を示す図。
【図3】SH型弾性表面波を説明する図。
【図4】オイラー角の定義を示す図。
【図5】解析に用いた解析モデルを示す図。
【図6】オイラー角(0,θ,90゜)に於ける解析結
果を示す図。
【図7】面内回転角ψを段階的に変化せしめたときの解
析結果を示す図。
【図8】正規化膜厚h/λ=0.015の時の周波数温
度変化率の変化量を等値線図として示した図。
【図9】カットアングルθを段階的に変化せしめたとき
の周波数温度変化率曲線を示す図。
【図10】面内回転角ψを段階的に変化せしめたときの
周波数温度変化率曲線を示す図。
【図11】正規化膜厚h/λを段階的に変化せしめたと
きの周波数温度変化率曲線を示す図。
【図12】正規化膜厚h/λ=0.015の時の電気機
械結合係数の解析結果を等値線図として示した図。
【図13】パワーフロー角を説明する図。
【図14】パワーフロー角の解析結果を等値線図として
示した図。
【図15】電極パターンの概略配置図。
【図16】周波数伝送特性を測定した結果を示す図。
【図17】面内回転角ψが81.6゜のサンプルの周波
数温度変化率曲線を示す図。
【図18】解析により求めた面内回転角ψが81.6゜
のときの周波数温度変化率曲線を示す図。
【図19】面内回転角ψが83.0゜のサンプルの周波
数温度変化率曲線を示す図。
【図20】面内回転角ψが85.0゜のサンプルの周波
数温度変化率曲線を示す図。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電基板表面近傍を伝搬するSH型弾性表
    面波を利用すべく前記圧電基板表面に少なくとも一の比
    較的質量の重い金属材料から成るインタディジタルトラ
    ンスジューサ(IDT)電極を配設した弾性表面波素子
    に於いて、結晶X軸を回転の中心としてXY平面に対す
    るカットアングルθが27゜乃至37゜の範囲となるよ
    うに切り出した水晶基板を前記圧電基板として用いたも
    のであって、前記SH型弾性表面波の位相速度伝搬方向
    と結晶X軸との成す面内回転角ψが75゜≦|ψ|<9
    0゜となるよう前記IDT電極を構成したことを特徴と
    する高安定弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】前記面内回転角ψと前記カットアングルθ
    が|ψ|=(1.1θ+48)±5(deg.)但し、
    |ψ|<90゜を満足するよう構成したことを特徴とす
    る請求項1記載の高安定弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】前記SH型弾性表面波の波長をλ、前記I
    DT電極の膜厚をhとしたとき、h/λが0.01乃至
    0.018となるよう構成したことを特徴とする請求項
    1あるいは請求項2記載の高安定弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】前記IDT電極の材料として金を用いたこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の高安定弾性
    表面波素子。
  5. 【請求項5】圧電基板表面近傍を伝搬するSH型弾性表
    面波を利用すべく前記圧電基板表面に金を材料とする少
    なくとも一のインタディジタルトランスジューサ(ID
    T)電極を配設した弾性表面波素子に於いて、結晶X軸
    を回転の中心としてXY平面に対するカットアングルθ
    が30゜となるように切り出した水晶基板を前記圧電基
    板として用いたものであって、前記SH型弾性表面波の
    位相速度伝搬方向と結晶X軸との成す面内回転角ψが8
    1.6゜となるよう前記IDT電極を構成したことを特
    徴とする高安定弾性表面波素子。
  6. 【請求項6】前記SH型弾性表面波の群速度伝搬方向に
    沿って前記IDT電極を配置したことを特徴とする請求
    項1乃至請求項5記載の高安定弾性表面波素子。
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