JP3233538B2 - 軟磁性合金、軟磁性薄膜および多層膜 - Google Patents

軟磁性合金、軟磁性薄膜および多層膜

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JP3233538B2 JP26321694A JP26321694A JP3233538B2 JP 3233538 B2 JP3233538 B2 JP 3233538B2 JP 26321694 A JP26321694 A JP 26321694A JP 26321694 A JP26321694 A JP 26321694A JP 3233538 B2 JP3233538 B2 JP 3233538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性合金と、軟磁性
薄膜と、多層膜とに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野では高記録密度化に伴な
い高保磁力を有する磁気記録媒体が用いられるようにな
っている。この場合、良好な磁気記録を行なうために
は、磁気ヘッドから密度の高い磁束を発生させる必要が
あるので、飽和磁束密度(Bs )の高い軟磁性薄膜や軟
磁性多層膜を利用したメタル・イン・ギャップ(MI
G)型磁気ヘッド、積層型磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド
などが用いられるようになってきている。これらの磁気
ヘッドに用いられる軟磁性薄膜や軟磁性多層膜には、高
いBs の他、保磁力(Hc )が低く透磁率(μ)が高い
ことも要求される。特に高密度記録媒体用の磁気ヘッド
では、高周波(例えば10MHz 程度)での透磁率が大き
いことが重要である。
【0003】Bs が15kG以上と高い軟磁性材料はいく
つか提案されているが、他の特性が十分とはいえない。
【0004】例えば、高いBs を示す系としてはFeま
たはFe−Co合金を基本成分とする系が知られてい
る。しかし、Fe−Co合金系の材料は磁歪が大きい。
このため、スパッタ法により形成する際に基板温度や熱
処理温度を最適化したとしてもHc が高くなり、十分な
軟磁気特性が得られない。
【0005】Fe系材料の軟磁気特性を改善するための
技術としては、FeにNとOとを数パーセント以下添加
することが提案されている(特開平2−57665号公
報)。このものは、Bs が15kG以上、Hc が1.5 O
e 以下であって良好な軟磁気特性を示すが、耐食性が低
く、常温で通常の湿度の環境で容易に酸化が進み、磁気
特性が大幅に劣化するという問題がある。また、耐熱性
にも問題があり、素子作製の際に必然的に加わる熱によ
り、特性の劣化が生じてしまう。
【0006】第16回日本応用磁気学会学術講演概要集
の7pF−15には、Co=50〜60wt% 、Fe=2
0〜30wt% 、Ni=20〜30wt% を含有するめっき
膜で、19kG以上の高Bs と良好な耐食性とが得られる
ことが報告されている。しかし、このめっき膜は透磁率
(μ)が600〜700程度であり、パーマロイに比べ
て低い。また、同文献には、透磁率の測定周波数は記載
されていない。
【0007】特公昭63−53277号公報の第1図の
3元組成図には、Fe−Co−Niめっき膜におけるλ
s =0線が示されているが、同公報では高周波における
透磁率は測定しない。なお、前述した第16回日本応用
磁気学会学術講演概要集に記載されている高Bs のFe
−Co−Niめっき膜では、λs の絶対値が大きいため
に透磁率が低くなっていると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Fe
−Co−Ni系軟磁性合金、特に薄膜について、高Bs
を実現すると共に、高周波における高透磁率を実現する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)のいずれかの構成により達成される。 (1) Fe、CoおよびNiに、Tiおよび/または
Hfを添加し、各元素の原子比が、 式 (Fex Coy Niz100-a-b Tia Hfb において 0.10≦x≦0.55、 0.20≦y≦0.85、 0.05≦z≦0.28、 3x−5z≦0.60、 x+y+z=1、 0≦a≦5、 0≦b≦3、 0.1≦a+b≦5 で表わされ、実質的に面心立方晶単相から構成され、飽
和磁歪値をλs とし、面心立方晶の(111)面間隔を
d(111)とし、TiおよびHfのいずれも含まない
ときの面心立方晶の(111)面間隔をd0(111)
とし、 Δd(111)=d(111)−d0 (111) としたとき、 1.0×10-8 ≦λs ・Δd(111)/d0 (111) ≦3.0×10-8 である軟磁性合金。 (2) 上記(1)の軟磁性合金から構成されている軟
磁性薄膜。 (3) 少なくとも1層が上記(2)の軟磁性薄膜であ
る多層膜。
【0010】
【作用および効果】本発明では、Fe−Co−Ni系軟
磁性合金、特に薄膜において、主組成であるFe、Co
およびNiの組成範囲を限定すると共にTiおよび/ま
たはHfを添加し、λs ・Δd(111)/d0 (11
1)が所定範囲に存在するようにする。TiやHfの添
加により結晶粒は微細になり、また、磁歪および格子面
間隔は変化する。本発明では、TiやHfを所定量添加
すると共に、Fe、CoおよびNiの組成比を所定範囲
とすることにより、結晶粒の微細化と磁気弾性効果とが
相乗的に作用し、優れた軟磁気特性、特に10MHz 程度
の高周波において高透磁率が得られる。なお、磁気弾性
効果は、格子が歪むことによる磁歪と内部応力とに起因
する。また、優れた軟磁気特性に加え、500℃の熱処
理にも耐える耐熱性が得られ、15kG以上の高い飽和磁
化を得ることが可能となる。
【0011】従来、Fe−Co−Ni系合金において、
高Bs と高透磁率とを両立させることは難しく、特に高
周波において高透磁率を実現する提案はなされていなか
ったが、本発明により、高いBs が得られる組成範囲に
おいても高周波での高透磁率が得られるようになった。
【0012】特開平2−68906号公報の表1には、
スパッタ蒸着法により形成されたFe42Co18Ni35
4 およびFe43Co19Ni35Hf3 が記載されてい
る。これらの組成は、Fe−Co−Ni合金にTiまた
はHfを添加する点では本発明と類似するが、Fe、C
o、Niの比率が本発明で限定する範囲から大きく外れ
ているため、λs ・Δd(111)/d0 (111)が
本発明で限定する範囲内とはならず、当然、本発明と同
等の効果は実現しない。同公報には初透磁率の記載があ
るだけで、10MHz 程度の高周波での透磁率については
全く注目していない。
【0013】また、特開昭64−8605号公報には、
Fe29Co40Ni29Ti2 薄膜とFe86Si14薄膜とを
交互に積層した軟磁性薄膜が記載されている。Fe29
40Ni29Ti2 薄膜は、Fe−Co−Ni合金にTi
を添加する点では本発明と類似するが、Fe、Co、N
iの比率が本発明で限定する範囲から外れているため、
本発明と同等の効果は実現しない。同公報では、10MH
z 程度の高周波での透磁率については全く注目していな
い。
【0014】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0015】本発明の軟磁性合金は、Fe、Coおよび
Niを主成分とし、添加物としてTiおよび/またはH
fを含む。これらの各元素の原子比は、 式 (Fex Coy Niz100-a-b Tia Hfb において 0.10≦x≦0.55、 0.20≦y≦0.85、 0.05≦z≦0.28、 3x−5z≦0.60、 x+y+z=1、 0≦a≦5、 0≦b≦3、 0.1≦a+b≦5 で表わされ、好ましくは 0.10≦x≦0.45、 0.40≦y≦0.85、 0.05≦z≦0.15、 3x−5z≦0.60、 x+y+z=1、 0.5≦a≦2、 0.5≦b≦1、 0.5≦a+b≦3 である。Fe、CoおよびNiそれぞれの原子比を表わ
すx、yおよびzの限定範囲を、図1に示す。具体的に
は、3x−5z>0.60となると、体心立方晶が析出
しやすくなる。また、zが小さすぎると、体心立方晶が
析出しやすくなる。また、zが大きすぎると、高いBs
が得られなくなる。xが小さすぎると、六方最密晶が析
出し、面心立方構造が得られなくなる。また、a+bが
小さすぎると、TiやHfの添加による効果が不十分と
なり、高周波において高透磁率が得られない。a、bお
よびa+bの少なくとも一つが大きすぎると、体心立方
晶の析出やHf−Co等の化合物相の析出などにより、
高周波において高透磁率が得られなくなる。
【0016】なお、耐食性向上や耐摩耗性向上のため
に、Feの一部をCr、Cu、Sn、Rh、Pd、M
n、P、B、Zn、Sn、Pt等から選択される少なく
とも1種の元素で置換してもよい。Bs の低下を抑える
ためには、これらの元素の含有率を3重量%以下とする
ことが好ましい。
【0017】本発明の軟磁性合金は、実質的に面心立方
晶単相から構成される。体心立方晶単相となったり、面
心立方晶と体心立方晶相との混晶となったりすると、本
発明の効果が得られなくなる。ただし、本発明における
主成分の組成範囲は、体心立方晶相が共析する組成範囲
と隣接しているので、極めて微量の体心立方晶が局部的
に偏析して特殊構造が形成され、これにより高特性が得
られている可能性も考えられる。従って、本発明におけ
る「実質的に面心立方晶単相」とは、汎用のX線回折装
置を用いた場合の評価結果とし、上記したような特殊構
造を含む概念とする。なお、結晶構造はX線回折により
確認することができる。
【0018】本発明の軟磁性合金の平均結晶粒径は、2
0〜350A であることが好ましい。TiやHfの添加
によりこのように結晶粒が微細化されるので、良好な軟
磁気特性が得られる。
【0019】本発明の軟磁性合金では、飽和磁歪値をλ
s とし、面心立方晶の(111)面間隔をd(111)
とし、 Δd(111)=d(111)−d0 (111) としたとき、 1.0×10-8≦λs ・Δd(111)/d0 (11
1)≦3.0×10-8 であり、好ましくは 1.0×10-8≦λs ・Δd(111)/d0 (11
1)≦2.0×10-8 である。ただし、d0 (111)は、Fe、Coおよび
Niの比率が同じでTiおよびHfのいずれも含まない
ときの面心立方晶の(111)面間隔である。本発明の
軟磁性合金は実質的に面心立方晶から構成され、(11
1)面が優先配向している。軟磁気特性には磁気弾性効
果が寄与するので、本発明では、磁気弾性効果による寄
与を見積もる指標としてλs ・Δd(111)/d0
(111)を規定し、軟磁気特性、特に高周波での透磁
率との相関を調べた。そして、上記範囲において高周波
で高透磁率、例えば10MHz で500以上の透磁率が得
られることを見いだした。なお、d(111)は、Cu
Kα1 線を用いたX線回折において、面心立方晶の(1
11)面の回折角2θから算出することができる。
【0020】本発明の軟磁性合金は、X線回折における
(200)面のピーク強度および(111)面のピーク
強度をそれぞれI(200)およびI(111)とした
とき、通常、 I(200)/I(111)≦0.4 である。面心立方晶の場合、(111)面が優先配向す
る。磁歪は結晶配向に依存するため、例えば特願平5−
166406号では、I(200)/I(111)が所
定範囲となるように組成および作製条件を最適化してい
る。これに対し本発明では、λs ・Δd(111)/d
0 (111)を制御することにより高透磁率を得るの
で、単にλs のみを低減する必要はない。したがって、
λs の低減を目的としてI(200)/I(111)を
厳密に制御する必要がなく、生産性が良好となる。
【0021】次に、本発明の軟磁性合金の製造方法につ
いて説明する。
【0022】本発明の軟磁性合金は、用途に応じて薄膜
状、薄帯状、板状等の各種形状に形成される。
【0023】薄膜状の軟磁性合金の製造には、スパッタ
法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの
ように気相中で薄膜を形成する方法や、電気めっき法な
どのように液相中で薄膜を形成する方法を用いることが
できるが、一般には気相中で薄膜を形成する方法を用い
ることが好ましい。
【0024】スパッタ法を用いる場合、ターゲットには
合金の鋳造体や焼結体を用いればよく、複合ターゲット
を用いてもよい。また、結晶配向制御のためにバイアス
スパッタ法を用いてもよい。バイアス電圧は−30〜−
200V とすることが好ましい。
【0025】蒸着法を用いる場合には、基板温度を40
0℃以下とすることが好ましい。
【0026】スパッタ法や蒸着法により形成された薄膜
には内部応力が存在し、このために良好な軟磁気特性が
得られにくいので、膜形成後に応力緩和のための熱処理
を施すことが好ましい。この熱処理は、真空中または不
活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましく、保持温度は
300〜700℃とすることが好ましく、処理時間は1
〜2時間とすることが好ましい。
【0027】電気めっき法を用いる場合には、スパッタ
法や蒸着法などにより導電性膜を形成して下地膜とし、
この上に軟磁性合金の薄膜を形成する。下地膜には、パ
ーマロイやFeを用いることが好ましい。これにより、
目的とする結晶配向が得やすくなる。
【0028】軟磁性合金の薄膜には、目的とする方向に
一軸異方性を付与することが好ましい。一軸異方性付与
の方法としては、磁界中成膜や成膜後の磁界中アニール
を用いることができる。
【0029】なお、磁界中成膜や磁界中アニールは、前
述した各方法のいずれを用いる場合にも適用できる。そ
して、スパッタ法または蒸着法を用いた場合には、磁界
中アニールを前述した応力緩和のための熱処理に代える
ことができる。
【0030】上述した各方法により形成される軟磁性薄
膜の厚さは、目的に応じて適宜決定すればよく、特に限
定されないが、低い保磁力を得るためには、通常、0.
5〜10μm 程度とすることが好ましく、また、薄膜磁
気ヘッドに適用する場合は0.5〜4.5μm 程度、薄
膜トランスに適用する場合は3〜10μm 程度とするこ
とが好ましい。
【0031】本発明の軟磁性薄膜は、多層膜に適用する
こともできる。多層膜の他の層には、SiO2 、Si3
4 等の非磁性絶縁薄膜や、他の軟磁性薄膜を用いれば
よい。多層膜とすることにより良好な軟磁気特性が得ら
れ、損失の少ない磁気ヘッドが実現する。
【0032】薄帯状の軟磁性合金の製造には、液体急冷
法を用いることが好ましい。液体急冷法では、溶融合金
を射出して冷却ロール等の冷却基体表面に接触させて急
速に冷却し、薄帯状の軟磁性合金を製造する。液体急冷
法には、溶融合金を一方向から冷却する単ロール法や、
対向する二方向から冷却する双ロール法などがあるが、
本発明では単ロール法を用いることが好ましい。前述し
た結晶配向の軟磁性合金を製造するためには、溶融合金
の冷却速度や薄帯の厚さなどの各種条件を適宜選択すれ
ばよい。これら各条件の好ましい範囲は合金組成によっ
ても異なるが、例えば、冷却速度は一般に1×103
1×106 K/s 、特に1×104 〜1×106 K/s とす
ることが好ましく、薄帯の厚さは一般に3〜100μm
、特に10〜70μm とすることが好ましい。
【0033】これらの方法の他、鋳造法などで所定形状
の軟磁性合金を製造してもよい。
【0034】薄膜状の軟磁性合金は、例えば、MIG
型、積層型、薄膜型の誘導型磁気ヘッド、磁気抵抗効果
型磁気ヘッドの磁気シールド膜や磁気抵抗効果膜、薄膜
トランスなどに適用され、薄帯状の軟磁性合金は、例え
ば、チョークコイル、トランスなどに適用され、鋳造法
により板状などに形成された軟磁性合金は、例えば、磁
気シールド板などに適用されるが、本発明の軟磁性合金
は、これら以外の各種磁気デバイスへの適用も可能であ
る。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0036】スライドガラス(MATSUNAMI社
製)基板上にRFマグネトロンスパッタ法により軟磁性
薄膜を形成し、測定用サンプルとした。
【0037】ターゲットには、直径90mmのFe−Co
合金ターゲット上にNiのチップを円環状に配置した複
合ターゲットを用い、TiやHfを添加する場合には、
同様にTiチップやHfチップを円環状に配置した。ス
パッタはArガス中で行なった。到達圧力は5×10-7
Torr以下、成膜中の圧力は10×10-3Torr、RFパワ
ーは200〜400W、膜形成速度は40〜150A/s
、膜厚は約5000 Aとした。スパッタ時の基板の冷
却は特に行なわなかった。
【0038】膜形成後、膜中の応力を緩和するために、
1×10-5Torr以下の圧力下で500℃に1時間保持し
た。
【0039】各サンプルについて、以下に示す測定を行
なった。結果を各表に示す。
【0040】膜組成 蛍光X線分析により測定した。
【0041】飽和磁束密度(Bs )、保磁力(Hc ) VSM(試料振動式磁力計)を用い、最大印加磁界10
kOe で測定した。
【0042】飽和磁歪値(λs ) サンプルをその膜面内で回転する100 Oe の磁界中に
配置し、レーザー光線を使用してサンプルの磁歪による
伸縮を反りとして同期整流方式で検出し、λsを算出し
た。なお、飽和磁歪値測定用のサンプルには、厚さ0.
15mmのガラス板を基板として使用した。
【0043】Δd(111)/d0 (111) 面心立方構造の(111)面間隔d(111)は、Cu
Kα1 線を用いたX線回折により、面心立方構造の(1
11)面の回折角2θを求め、これから算出した。そし
て、主成分の組成比が同じでTiおよびHfのいずれも
含まないサンプルの(111)面間隔d0 (111)を
用いて、 Δd(111)=d(111)−d0 (111) によりΔd(111)を求め、算出した。
【0044】平均結晶粒径 CuKα1 線を用いたX線回折により、面心立方構造の
(111)面のピークの半値幅から求めた。
【0045】結晶配向 CuKα1 線を用いたX線回折により、面心立方構造の
ピーク強度比I(200)/I(111)を求めた。
【0046】交流透磁率(μ) ネットワークアナライザーを用い、Sパラメーター法に
より磁化困難軸方向で測定した。測定周波数は10MHz
とした。
【0047】なお、各表において、fccは面心立方
晶、bccは体心立方晶、Hf−CoはCo23Hf6
ある。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】各表に示されるように、所定の組成を有
し、かつλs ・Δd(111)/d0(111)が所定
の範囲内に存在する本発明の軟磁性合金では、高Bs が
得られると共に高周波において高透磁率が得られること
がわかり、λs の低さが高周波での透磁率の高さに直結
しないこともわかる。
【0052】これに対し、表1および表2に示されるよ
うに、Ti、HfまたはTi+Hfの添加量が限定範囲
を超えるサンプルでは、高周波での透磁率が低く、Bs
も低くなっている。
【0053】表3の比較サンプルNo. 301〜305
は、前述した特開昭64−8605号公報記載のFe29
Co40Ni29Ti2 薄膜と主成分(Fe、Co、Ni)
中の元素比率がほぼ同じサンプルである。これらの比較
サンプルでは、主成分組成が本発明における限定範囲か
ら外れているため、TiやHfの添加によりかえって透
磁率が低くなってしまっている。
【0054】表3の比較サンプルNo. 306〜310
は、前述した特開平2−68906号公報記載のFe42
Co18Ni35Ti4 およびFe43Co19Ni35Hf3
主成分の元素比率がほぼ同じサンプルである。これらの
比較サンプルでは、主成分組成が本発明における限定範
囲から外れているため、TiやHfの添加によりかえっ
て透磁率が低くなってしまっている。
【0055】表3の比較サンプルNo. 311〜314
も、主組成が本発明における限定範囲を外れているた
め、TiやHfの添加によりかえって透磁率が低くなっ
てしまっている。
【0056】表3のサンプルNo. 316および318
は、Ni量を表わすzが好ましい範囲を外れているが、
サンプルNo. 315および317とそれぞれ比較する
と、Ti添加による特性改善は認められる。
【0057】なお、厚さ500 Aの軟磁性薄膜と厚さ5
0 Aの非磁性絶縁薄膜(Si34)とを交互に20層
づつ積層した多層膜において、軟磁性薄膜を上記各サン
プルと同様にして形成したところ、上記各サンプルと同
様にTiおよび/またはHf添加の効果が明らかであっ
た。
【0058】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軟磁性合金の主成分の比率を示す3成
分組成図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 潔 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 大池 太郎 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 篠浦 治 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−68906(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 C22C 19/07 C22C 38/14 H01F 1/14 H01F 10/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、CoおよびNiに、Tiおよび/
    またはHfを添加し、各元素の原子比が、 式 (Fex Coy Niz100-a-b Tia Hfb において 0.10≦x≦0.55、 0.20≦y≦0.85、 0.05≦z≦0.28、 3x−5z≦0.60、 x+y+z=1、 0≦a≦5、 0≦b≦3、 0.1≦a+b≦5 で表わされ、 実質的に面心立方晶単相から構成され、 飽和磁歪値をλs とし、面心立方晶の(111)面間隔
    をd(111)とし、TiおよびHfのいずれも含まな
    いときの面心立方晶の(111)面間隔をd0(11
    1)とし、 Δd(111)=d(111)−d0 (111) としたとき、 1.0×10-8 ≦λs ・Δd(111)/d0 (111) ≦3.0×10-8 である軟磁性合金。
  2. 【請求項2】 請求項1の軟磁性合金から構成されてい
    る軟磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 少なくとも1層が請求項2の軟磁性薄膜
    である多層膜。
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