JP3223629B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JP3223629B2
JP3223629B2 JP05086393A JP5086393A JP3223629B2 JP 3223629 B2 JP3223629 B2 JP 3223629B2 JP 05086393 A JP05086393 A JP 05086393A JP 5086393 A JP5086393 A JP 5086393A JP 3223629 B2 JP3223629 B2 JP 3223629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の制動力制御装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】制動力制御装置として、例えば、特開昭
56─53944号公報に記載されているものがある。
これは、車両の制動時に車輪減速度が所定減速度に達し
たときにアンチスキッド制御を開始するようにしたもの
である。アンチスキッド制御は、例えば氷結路等の低μ
路での制動時、車輪ロック防止に効果を発揮する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
制御において、次のような点を考えると、改善すること
のできる余地はある。即ち、車両が悪路、不整路等を走
行しているときに、車輪減速度が所定減速度に達するこ
とにより、アンチスキッド制御が開始し、制動液圧系が
制御されることになる。その結果、ブレ−キペダルを踏
んでも、マスターシリンダ側からホイールシリンダ液圧
が伝達されず、ブレ−キ力不足状態になってしまう場合
がある。
【0004】本発明は、このような点から、車輪速検出
信号を基にホイールシリンダの流体圧を少なくとも減
圧、保持及び増圧のいずれかに制御する制動力制御に改
良を加え、たとえ車両の悪路等の走行時でも、ブレ−キ
力不足気味状態の要因となるような不所望の制御の早期
作動を適切に抑制し得、制動力制御の実効性を高めるこ
とのできる制動力制御装置を提供しようというものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
制動力制御装置が提供される(図1)。ドライバの操作
によりブレーキ液圧を発生するマスターシリンダと、各
輪に配設され、ブレ−キ液圧の供給により制動力を発生
させるホイールシリンダと、車輪の回転速度を検出する
車輪速検出手段と、該車輪速検出手段の検出信号に基づ
き、ホイールシリンダの流体圧を少なくとも減圧、保持
及び増圧のいずれかに制御する制御手段とを備える制動
力制御装置において、前記マスターシリンダの液圧を検
出するマスターシリンダ圧検出手段と、前記制御手段が
作動開始する際の閾値を設定する閾値設定手段とを設
け、該閾値設定手段により設定される閾値として、前記
制御手段が作動開始する第一の閾値と、マスターシリン
ダ圧が零及び極低圧において前記制御手段が作動開始し
にくいように設定された第二の閾値と、マスターシリン
ダ圧の変化に伴い第一の閾値から第二の閾値に向かって
変化する第三の閾値とを設けてなることを特徴とする制
動力制御装置である。
【0006】
【作用】本発明では、制御手段は、車輪の回転速度を検
出する車輪速検出手段の検出信号に基づき、各輪に配設
されてブレ−キ液圧の供給により制動力を発生させるホ
イールシリンダの流体圧を少なくとも減圧、保持及び増
圧のいずれかに制御するが、更に、ドライバの操作によ
りブレーキ液圧を発生するマスターシリンダの液圧を検
出するマスターシリンダ圧検出手段、及び前記制御手段
が作動開始する際の閾値を設定する閾値設定手段を設
け、かつ、閾値設定手段により設定される閾値として、
前記制御手段が作動開始する第一の閾値と、マスターシ
リンダ圧が零及び極低圧において前記制御手段が作動開
始しにくいように設定された第二の閾値と、マスターシ
リンダ圧の変化に伴い第一の閾値から第二の閾値に向か
って変化する第三の閾値とを設ける。
【0007】これにより、制御手段でホイールシリンダ
圧を減圧、保持、増圧するよう制御する場合の閾値をマ
スターシリンダ圧により設定し、極低圧では制御が入り
にくい方向へ閾値切換えが可能で、従って、たとえ車両
の悪路走行時でもアンチスキッド制御を開始する閾値
を、マスターシリンダ圧に基づき、マスターシリンダ圧
が零あるいは極低圧であるときには、制御が開始しにく
い方向に変更することができ、車両が悪路走行によるア
ンチスキッド制御の早期作動を防止し、ブレ−キ力不足
気味状態に到るのを未然に回避するのに加えて、閾値
が、マスターシリンダ圧の変化に伴い第一の閾値から第
二の閾値に向かって変化する第三の閾値をとるよう設定
される場合はマスターシリンダ圧が変化しても制御状態
は急変せず、適切な制御が実現できる。ここに、図5は
後記でも参照される図であるが、これを参照していえ
ば、ドライバがブレーキぺダルをゆっくりと踏み込みマ
スターシリンダ圧(PM )がゆっくりと増加し前記第三
の閾値の領域(領域)を通過する際、かかる領域の作
用により、アンチスキッド制御が入りにくい状態から入
り易い状態へ徐々に移るため、前記第二の閾値(α0
をとる場合(領域)よりもアンチスキッド制御に入り
易くなり氷結路等において車輪ロックを防止でき、また
同時に前記第一の閾値(α1 )をとる領域(領域)ほ
ど頻繁にアンチスキッド制御に入らないため悪路におい
てもブレーキ力不足気味になることも防止でき、マスタ
ーシリンダ圧(PM )が変化しても、制御状態は急変せ
ず、適切な制御が実現できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図2は本発明装置の一実施例の構成を示す。
適用する車両は、本実施例では、前後輪とも左右の制動
液圧を制御できる4チャンネルのものとする。
【0009】図中1L,1Rは左右前輪、2L,2Rは
左右後輪、3はブレーキペダル、4はタンデムマスター
シリンダ(M/C)を夫々示す。なお、3aはブレーキ
の倍力装置としてのブースタであり、4aはリザーバで
ある。各車輪1L,1R,2L,2Rは液圧供給により
ブレーキディスクを摩擦挾持して各輪毎にブレーキ力を
与えるホイールシリンダ5L,5R,6L,6Rを備
え、これら各輪に配設のホイールシリンダ(W/C)に
マスターシリンダ4からの液圧を供給される時、各車輪
は個々に制動されるものとする。
【0010】制動装置のブレーキ液圧(制動液圧)系
は、本実施例では、マスターシリンダ4からの前輪ブレ
ーキ系7Fは、管路8F,9F,10F、液圧制御弁1
1F,12Fを経て左右前輪ホイールシリンダ5L,5
Rに至らしめ、マスターシリンダ4からの後輪ブレーキ
系7Rは、管路8R,9R,10R、液圧制御弁11
R,12Rを経て左右後輪ホイールシリンダ6L,6R
に至らしめる。
【0011】液圧制御弁11F,12F,11R,12
Rは、夫々対応する車輪のホイールシリンダ5L,5
R,6L,6Rへ向うブレーキ液圧を個々に制御して、
アンチスキッド(ABS)制御の用に供するもので、O
FF時図示の増圧位置にあってブレーキ液圧を元圧に向
けて増圧し、第1段ON時ブレーキ液圧を増減しない保
持(保圧)位置となり、第2段ON時ブレーキ液圧を一
部リザーバ13F,13R(リザーバタンク)へ逃がし
て低下させる減圧位置になるものとする。
【0012】これら液圧制御弁の制御は、後述するコン
トローラ(コントロールユニット)からの該当する弁の
ソレノイドへの電流(制御弁駆動電流)I1 〜I4 によ
って行われ、電流I1 〜I4 が0A(増圧制御信号)の
時は上記増圧位置、電流I1〜I4 が2A(保持制御信
号)の時には上記保圧位置、電流I1 〜I4 が5A(減
圧制御信号)の時は上記減圧位置になるものとする。
【0013】なお、リザーバ13F,13R内のブレー
キ液は上記の保圧時及び減圧時駆動されるポンプ14
F,14Rにより管路8F,8Rに戻し、これら管路の
アキュムレータ15F,15Rに戻して再利用に供す
る。こうして、上記ブレーキ液圧系では、ドライバーの
ブレーキペダル3の踏み込み操作によりブレーキ液圧を
発生するマスターシリンダ4と、該マスターシリンダか
らの液圧の供給により制動力を発生するホイールシリン
ダ5L,5R,6L,6R間に、液圧制御弁11F,1
2F,11R,12Rを介挿し、これら制御弁により各
ホイールシリンダの流体圧を減圧、保持、増圧の3つの
状態に切り換え制御可能な構成とする。
【0014】液圧制御弁11F,12F,11R,12
Rはコントローラ16により、ON,OFF制御し、こ
のコントローラ16にはブレーキペダル3の踏込み時O
Nするブレーキスイッチ18からの信号、車輪1L,1
R,2L,2Rの回転周速(車輪速)Vw1〜Vw4を検出
する車輪速センサ19〜22からの信号等を夫々入力す
る。
【0015】また、コントローラ16にはマスターシリ
ンダ4の液圧PM (前輪系液圧PM1、後輪系液圧PM2)
を検出する液圧センサ331 ,332 からの信号が入力
される。マスターシリンダ液圧検出については、例えば
前輪系だけで検出して代表させるようにしてもよい。車
輪速センサからの信号は、コントローラ16によりなさ
れるアンチスキッド制御に用いられ、マスターシリンダ
液圧センサの出力は、後述の如くにその制御での可変制
御閾値を設定する入力値として用いられる。
【0016】上記コントローラ16は、入力検出回路
と、演算処理回路と、該演算処理回路で実行される各種
制御プログラム及び演算結果等を格納する記憶回路と、
液圧制御弁に制御信号を供給する出力回路等とを含むマ
イクロコンピュータで構成される。演算処理回路では、
上記センサ類より入力される所定入力情報に基づき、後
述するアンチスッキド制御の制御プログラムに従って、
増圧、減圧、保持のモードを決定し、及びそれに相当す
る制御信号を液圧制御弁へ出力する。
【0017】アンチスキッド制御では、基本的に、本例
の如き4チャンネル、4センサ方式によるものでは、各
輪毎の車輪速検出値を得、該当車輪のスリップ量を所定
範囲とするよう減圧、保持、増圧モード(スキッドサイ
クル)によるホイ−ルシリンダ圧制御を行うことで、車
輪個々をアンチスキッド制御することができ、これによ
り各輪につき最大制動効率が達成されるようになされ、
車輪ロックを回避する。
【0018】コントローラ16は、このようにして車輪
速センサからの検出信号に基づきホイ−ルシリンダ圧を
増圧、保持、減圧状態に制御するが、更に、コントロー
ラ16は上記アンチスキッド制御に関し、マスターシリ
ンダ圧を監視し、先にも触れ、かつまた後述もする如
く、コントローラ16によりなされるアンチスキッド制
御での可変制御閾値を設定するにあたり、マスターシリ
ンダ液圧センサの出力(マスターシリンダ液圧センサの
検出信号)を入力値として用い、アンチスキッド制御を
開始する閾値をマスターシリンダ圧に応じたものとして
設定し、かつその設定される閾値は、検出マスターシリ
ンダ圧に基づき、これを、マスターシリンダ圧PM が零
を含む極低圧では制御が入りにくい方向へと変化せし
め、液圧の上昇(マスターシリンダ圧PM の増加)に応
じて徐々に通常の閾値(α1 )に戻すよう、かような特
性をもって、マスターシリンダ圧PM に応じて変える。
ここに、通常の閾値としては、これも後述で触れるよう
に、低μ路でのアンチスキッド制御(ABS制御)によ
る効果を重視して設定しておくようにすることができ
る。コントローラ16は、このようにマスターシリンダ
圧に応じて変える閾値変更制御も実行する。
【0019】コントローラ16の記憶回路には、上記ア
ンチスキッド制御プログラムのほか、当該プログラムで
適用するかかる閾値変更処理のための例えば閾値設定マ
ップ(図5参照)、並びにモード決定用のABS制御マ
ップ(図6参照)なども予め格納させておくことができ
る。
【0020】図3,4は、コントローラ16により実行
される上記閾値変更処理を含む制動力制御プログラムの
一例を示すフローチャートであり、本プログラムは一定
時間毎に実行される。図3において、まず、ステップ1
00では、車輪速センサ、マスターシリンダ液圧センサ
の出力を基に、各車輪1L,1R,2L,2Rの車輪速
wj(Vw1〜Vw4)、マスターシリンダ液圧PM をそれ
ぞれ読み込む。続くステップ101,102では、当該
ステップ実行毎、記憶回路に予め記憶させてある閾値設
定マップをみて、その時点での上記読込みマスターシリ
ンダ液圧値PM に応じた制御閾値の検索、決定処理を実
行する。
【0021】図5は、かかる処理に適用できる閾値設定
マップの一例を示し、ここでは、制御閾値α(m/s
2 )は、具体的には、図6に示す液圧制御弁の制御マッ
プ(ABS制御表)の制御パラメータとしての車輪加速
度及びスリップ量のうちの車輪加速度の基準値に関する
ものとされている。上記処理を設けるのは、液圧制御閾
値をマスターシリンダ圧に応じたものとして設定し、零
を含む極低圧では閾値を制御が入りにくい方向へと変化
せしめ、液圧の上昇に応じて徐々に通常の閾値に戻すよ
うにするためであり、図示例では、制御閾値αは、それ
ぞれ所定値として通常の制御閾値α1 (第一の閾値)と
これを下回る値のα0 (第二の閾値)が定められ、マス
ターシリンダ圧PM (Kgf/cm2 ) の低い領域で
は値α0 をとるよう、またそれを越える圧の領域では
値α0 から値α1 の間の範囲の値(第三の閾値)をとる
よう、更に領域では値α1 をとるように、図示のよう
な傾向の特性をもって、αデータが設定されている。
【0022】しかして、マスターシリンダ圧PM に応じ
てαを求めた後、ステップ103実行毎、検索された値
αを基準車輪加速度値として適用して図4に示すような
ステップ110から113を含む液圧制御ルーチンを実
行していく。液圧制御ルーチンでは、スリップ量及び車
輪加速度をパラメータとする既知のアンチスッド制御の
手法の如くに、読み込んだ車輪速Vwjを基にして、各輪
毎に車輪加速度(値Vwjの微分値)、スリップ量を算出
し、かく算出されたスリップ量と車輪加速度をABS制
御表にあてはめて(ステップ110)、各輪毎にホイ−
ルシリンダ圧の増圧、保持、減圧を決定し(ステップ1
11,112,113)制動力を調整するが、この場合
において、算出車輪加速度が比較されるべき基準値とし
て、上記検索値αが用いられ、これにより車輪加速度基
準値が変更される。
【0023】図6にみるように、車輪加速度に関し、基
準値α2 と負側のもうひとつの基準値がそれぞれ設定さ
れて図示のようなモードパターンが定められ、算出スリ
ップ量λと車輪加速度を基準値と比較することにより、
かかる制御表の制御パターンに従ってアンチスッド制御
が実行されることとなるが、本制御では、その場合に、
該当するときは、車輪加速度についてその負側の基準値
がマスターシリンダ圧に対応してα0 〜α1 の範囲で可
変となるものであり、このような態様で液圧制御弁の制
御がなされる。例えば、算出車輪加速度がその可変の基
準車輪加速度を下回ればロック傾向とみてホイ−ルシリ
ンダ圧を保持し、なおもロックしそうなら減圧し、車輪
回転数が回復すれば増圧するよう、液圧制御弁が制御さ
れるのである。
【0024】以上のような制御によると、マスターシリ
ンダ液圧により制御閾値を適切に変更することができ、
ドライバーがブレ−キペダル3を踏んでいる認識がない
足乗せや、僅かに踏んでいるようなときの悪路等による
液圧制御弁の早期作動の防止と、十分に踏んでいるとき
の正常な液圧制御との両立を図ることが可能である。図
5及び図6により、更に具体的に述べると、図5に示す
ように、緩ブレ−キ時の領域(既述のような足乗せ
や、ちょい踏み状態)においては、たとえ悪路による車
輪速の減圧が入っても、閾値αがα=α0 と低い状態、
即ち液圧制御の保持、減圧に入りにくい状態(図6の破
線状態のα0 参照)にあり、従って、このときは通常の
ブレ−キ( 図6で、制御弁のモードは、増圧モードに決
定される)が行われることとなる。
【0025】一方、ドライバーがブレ−キペダル3をも
っと踏んだ領域、更には領域の場合では、次のよう
になる。即ち、領域では、マスターシリンダ圧PM
応じて、閾値αに関し、悪路での制御弁早期作動はこれ
を抑えるよう、かつその一方で、氷結路等での緩ブレ−
キ時ロックはこれを防ぐように、α0 〜α〜α1 の範囲
でその値を徐々にを上げ、領域に至っては、通常の閾
値αで液圧制御を行うようα=α1(所定値) とするもの
である。ここに、α1 値自体としては、低μ路でのAB
S制御による効果を重視して設定しておくようにするこ
とができる。
【0026】このようにすると、図6のABS制御表に
示されるように、図5の領域では、閾値である基準車
輪加速度は値α0 (第二の閾値)となり、結果、増圧モ
ードゾーンが広がり、保持モードゾーンは狭くなる。こ
のことは、ABS制御が作動しにくい方向になっている
ことを意味する。これに対し、領域では、マスターシ
リンダ圧PM に応じて、α0 (第二の閾値)からα1
(第一の閾値)へと徐々に変化し、保持モードゾーンを
広げ、領域では、閾値としての車輪速加速度の基準値
は値α1 (第一の閾値)の上記した通常の状態に戻るこ
とになる。
【0027】こうして本実施例においては、アンチスキ
ッド制御を開始する閾値αを、マスターシリンダ圧PM
に基づき、マスターシリンダ圧PM が零あるいは極低圧
であるときには、制御が開始しにくい方向に変更する制
御を実現することができ、従って、車両が悪路や不正路
等を走行中、その悪路等走行によるアンチスキッド制御
の不所望の早期作動は防止され、かかるケースで、ドラ
イバーが例えば足乗せ状態からブレーキングを必要とし
て、ブレーキペダルを踏み込んだのにもかかわらずマス
ターシリンダ側からホイールシリンダ液圧が伝達されず
に液圧不足が生ずるといった状態も解消し得る。
【0028】図7は、車輪速センサと、ブレ−キスイッ
チ(S/W)と、これらからの信号を入力として液圧制
御信号を出力するマイクロコンピュータよるコントロー
ラと、その出力制御信号により作動する液圧制御弁とを
備える制動力制御装置であって、図8のようなプログラ
ムを組んだ場合の装置における制御タイムチャートを示
してある。このものは、上記したような制御を有してい
ない。即ち、図7(a)は車輪速度の推移、(b)はそ
の微分変化率の推移をそれぞれ示すが、同(b)中の比
較値α1 は、図示のようにマスターシリンダ圧によらず
に固定の所定値であり、また、図7(c)及び(d)
は、このような場合での液圧制御弁減圧、保持、増圧の
各モードの切り換えのタイミングの様子と、マスターシ
リンダ圧並びにホイールシリンダ圧の変化の推移をそれ
ぞれ示すものである。
【0029】これと上記の本実施例による制御との対比
でいえば、次のようになる。図8のプログラムに示され
るように、この場合は、ブレ−キのスイッチ信号によ
り、液圧制御の判断を行い、ブレ−キスイッチがOFF
であれば液圧制御を行わない。ブレ−キスイッチ信号の
ON/OFFみて、OFFと判断されたとき、制動液圧
制御ルーチンはパスされ、ブレ−キスイッチOFFのこ
の状態では、仮に、悪路等での図7(a),(b)のよ
うな車輪速の急激な落ち込みが事実上あったとしても、
もし制動液圧制御ルーチンが実行されたなら生ずるであ
ろう図7(c)のような、増圧位置からの保持位置、減
圧位置への液圧制御弁の切換わりの早期作動も起こらな
い。
【0030】一方、ドライバーがブレ−キングを予測
し、それに備えるべくブレ−キペダルに足を乗せただけ
というような場面は、車両走行中まま生ずるところ、そ
のようにマスターシリンダ圧が0(図7(d)参照)で
もブレ−キスイッチがONの場合や、極低圧(例えば、
ちょっと踏んだ状態で0〜5Kgf/cm2 程度の圧の
状態)時に、もし、図7(a),(b)でみるような悪
路での急減速が起こると、図8の制動液圧制御ルーチン
において図7(c)のように所定値α1 を下回るタイミ
ングで、常態の増圧位置にあった液圧制御弁の保持位置
への切換え、更には減圧位置への切換えが行われ、この
ように液圧制御弁を作動させてしまう。しかして、この
場合において、更に、もし、同図(d)の如くのタイミ
ングで、ブレ−キペダルに足を乗せていたドライバーが
制動を意図してブレ−キペダルを踏み込むというケース
であったとしたなら、踏み込み始めても、それによるマ
スターシリンダ圧の上昇に対し図に示すようにしてホイ
ールシリンダ圧は推移し、結果、かような場面では、斜
線部分に示すような分だけ、ドライバーが意図した十分
な制動力は得にくいこととなる。これに対し、本実施例
では、たとえ上述のような場面でも対応でき、マスター
シリンダ側からホイールシリンダ液圧が伝達されずに液
圧不足が生ずるといった状態も回避可能であることは既
に述べた通りである。
【0031】車輪速を検出するセンサと、スリップ状態
に応じて液圧制御弁を作動させるコントローラとを備
え、マスターシリンダの液圧を検出するセンサを用い
て、路面状態により液圧制御弁を作動させる閾値を変化
させることのできる本制御は、上記の方式以外にも利用
でき、例えば、実施例では、基準車輪加速度についての
閾値αを変更するようにしたが、図6のABS制御表に
おけるスリップ率λに関し閾値を設定し、その閾値λを
変える方式で実施することも妨げない。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、車輪速検出信号を基に
ホイールシリンダの流体圧を少なくとも減圧、保持及び
増圧のいずれかに制御する制動力制御において、制御を
開始する閾値をマスターシリンダ圧に基づき当該マスタ
ーシリンダ圧が零あるいは極低圧であるときには、制御
が開始しにくい方向へと適切に変更することができ、た
とえ車両の悪路等の走行時でも、これによる不所望の制
御の早期作動を防止し、ブレ−キ力不足気味状態に到る
のを未然に回避することができる。しかも、本発明に従
えば、車輪ロック防止をするいわゆるアンチスキッド制
御を行う制御手段が制御を開始するときの閾値として、
マスターシリンダ圧の増加に伴い、アンチスキッド制御
が入りにくいように設定された第二の閾値から低μ路で
アンチスキッド制御が入るよう通常の値のものとして設
定可能な第一の閾値に向かって変化する第三の閾値を設
けることができ、よって、ドライバがブレーキぺダルを
ゆっくりと踏み込みマスターシリンダ圧がゆっくりと増
加し第三の閾値の領域を通過する際、かかる領域の作用
により、アンチスキッド制御が入りにくい状態から入り
易い状態へ徐々に移るため、第二の閾値をとる場合より
もアンチスキッド制御に入り易くなり氷結路等において
車輪ロックを防止でき、また同時に第一の閾値をとる領
域ほど頻繁にアンチスキッド制御に入らないため悪路に
おいてもブレーキ力不足気味になることも防止でき、マ
スターシリンダ圧が変化しても、制御状態は急変せず、
適切な制御が実現できる。悪路等による制御の早期作動
を防止することと、必要時の十分な制御性との両立が図
れることは、かかる制動力制御の実効性をより高める。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明制動力制御装置の概念図である。
【図2】本発明の一実施例の制動力制御装置のシステム
図である。
【図3】コントローラにより実行される制動力制御プロ
グラムの一例を示すもので、その一部のフローチャート
である。
【図4】同じく、他の一部のフローチャートである。
【図5】同プログラムに適用できる閾値設定マップの一
例を示す図である。
【図6】同じく、液圧制御マップの一例を示す図であ
る。
【図7】本実施例と対比して示す比較例による場合のタ
イムチャートの一例である。
【図8】同比較例の制御フローチャートである。
【符号の説明】
1L,1R 左右前輪 2L,2R 左右後輪 3 ブレーキペダル 4 マスターシリンダ 5L,5R,6L,6R ホイールシリンダ 11F,11R,12F,12R 液圧制御弁 16 コントローラ 18 ブレーキスイッチ 19〜22 車輪速センサ
フロントページの続き (72)発明者 松本 真次 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−184557(JP,A) 特開 平2−141356(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライバの操作によりブレーキ液圧を発
    生するマスターシリンダと、 各輪に配設され、ブレ−キ液圧の供給により制動力を発
    生させるホイールシリンダと、 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手段と、 該車輪速検出手段の検出信号に基づき、ホイールシリン
    ダの流体圧を少なくとも減圧、保持及び増圧のいずれか
    に制御する制御手段と を備える制動力制御装置において、 前記マスターシリンダの液圧を検出するマスターシリン
    ダ圧検出手段と、 記制御手段が作動開始する際の閾値を設定する閾値設
    定手段とを設け、 該閾値設定手段により設定される閾値として前記制御手段が作動開始する第一の閾値と、 マスターシリンダ圧が零及び極低圧において前記制御手
    段が作動開始しにくいように設定された第二の閾値と、 マスターシリンダ圧の変化に伴い第一の閾値から第二の
    閾値に向かって変化する第三の閾値 とを設けてなること
    を特徴とする制動力制御装置。
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