JP3208499B2 - 手術用顕微鏡の検眼鏡検査用アダプタ - Google Patents

手術用顕微鏡の検眼鏡検査用アダプタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、眼底又は眼の水晶体領
域を観察する手術用顕微鏡のための検眼鏡検査用アダプ
タに関する。
【０００２】
【従来の技術】人間の眼の眼底又は眼底付近の水晶体領
域を顕微鏡で観察できるようにするために、まず、検眼
鏡検査用レンズにより観察する眼の一部分の中間像を形
成し、その像を手術用顕微鏡によって観察する。そのよ
うにして観察するこの像は上下左右が逆であり、偽立体
像である。すなわち、奥行き知覚上、前後が逆になって
いるのである。ところが、顕微外科作業を可能にするた
めには、アライメントされ、立体感覚でも正しい像が必
要である。従って、手術用顕微鏡においては、要求され
る像アライメントと同時に、立体観察時に発生する偽立
体効果を回避するための２つの観察光路の交換（ひとみ
交換）を行わなければならない。
【０００３】手術用顕微鏡の双眼鏡胴と倍率切換え装置
との間に付加的に配置されるプリズム系により、この像
アライメントとひとみ交換を行うことができる。そのよ
うなプリズム系は、たとえば、ドイツ公開特許公報第３
５０７４５８号に記載されている。この追加構成要素に
よって、患者の眼と観察者のひとみとの間の動作距離は
長くなる。ところが、人間工学的観点及び医療実施面か
らいえば、そのように動作距離が伸びることは望ましく
ない。さらに、第２の人物がもう１つの双眼鏡胴を使用
して観察すべき場合には、そのようなプリズム系は特に
負担を大きくしてしまう。それは、共同観察のために、
対応する第２の同様なプリズム系が必要になると思われ
るからである。
【０００４】別の解決策はドイツ公開特許公報第３５３
９００９号及びドイツ実用新案公報第８９２０３５．９
号に提案されている。この場合、手術用顕微鏡に装着さ
れるアダプタの中に、検眼鏡検査用レンズと、形成され
る中間像を像反転させる装置とを取付ける。そこで、対
応するプリズム系は手術用顕微鏡の主対物レンズのすぐ
前に配置される。眼の関心部分への焦点合わせはそれぞ
れ本来の手術用顕微鏡で行われる。顕微鏡は２つの部分
から成る主対物レンズを有し、その一方のレンズ群は他
方のレンズ群に対して摺動自在である。そのため、この
アダプタを着脱する際には、その都度、手術用顕微鏡の
設定を変更しなければならず、手術中にはそのような作
業は非常にわずらわしい。反転プリズム系を主対物レン
ズの直前に配置する構成のもう１つの欠点は、この場所
で、まだ一部は重複している発散光路が２つの別々の反
転プリズム系により空間的に完全に分離される。そのと
きに、それら２つの光路の一部はフェードアウトされて
しまう。すなわち、手術用顕微鏡に像誤差（口径食）を
引起こす結果になる。さらに、このような構成では、使
用する手術用顕微鏡の主対物レンズが２つの部分から形
成しているために、装置の全長が長くなってしまい、そ
れは、外科医の作業領域をできる限り広くとらなければ
ならないという条件とは相反するものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、検眼鏡検査用レンズにより形成された中間像の像ア
ライメントを行い、観察光路を交換すると共に、手術用
顕微鏡を変形する必要なく、手術用顕微鏡を従来通りに
使用できるようにするのみならず、選択的に検眼鏡とし
ても使用できるようにする手術用顕微鏡の検眼鏡検査用
アダプタを提供することである。そこで、この検眼鏡検
査用アダプタは手術用顕微鏡により中間像を像誤差なく
観察できるようにするものでなければならない。さら
に、このアダプタを使用して共同観察者も立体観察を行
うことが可能でなければならず、その際には、双眼鏡胴
を１つ追加するだけで良い。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の手
段により解決される。本発明による検眼鏡検査用アダプ
タの中には、検眼鏡検査用レンズ又は検眼鏡検査用対物
レンズにより第１の中間像平面に形成される中間像の所
望の像アライメントを行う光学系がある。さらに、この
光学系は観察光路の交換（ひとみ交換）も行う。像アラ
イメントとひとみ交換は第１の中間像平面のすぐ後の、
立体観察光路がまだ完全には分離せずに進んでいるが、
互いに関与はしていない場所で行われる。そこで、続い
て直立して左右も正しい像を従来の手術用顕微鏡により
立体的に正確に観察することができ、それに伴って、手
術用顕微鏡にさらに手を加える必要はない。さらに、ア
ダプタの中の、それぞれの光学系とアダプタの対物レン
ズ側端部との間には集束レンズがある。集束レンズは光
軸に沿って摺動自在である。このレンズによって、眼の
関心部分への焦点合わせを行うのである。従って、本発
明によるアダプタでは、本来の手術用顕微鏡で何らかの
変更を行う必要なく、焦点合わせができる。そのため、
使用に際しては、手術用顕微鏡を使用する観察方式と、
検眼鏡検査用アダプタを装着した手術用顕微鏡を使用す
る観察方式とを迅速に切換えることができ、観察方式を
切換えるたびに手術用顕微鏡で時間のかかる焦点合わせ
をし直す必要もない。本発明によるアダプタに適切な旋
回装置を設ければ、観察方式の迅速な切換えを実現する
ことができる。また、本発明によるアダプタを装着した
ときも、患者の眼と観察者のひとみとの間の動作距離は
一定である。従って、このアダプタは従来のそれぞれの
手術用顕微鏡に多様に使用することができる。そのた
め、別の人物が共同観察するときには、同様のアダプタ
を１つ使用するだけで良い。その場合、共同観察者は追
加の双眼鏡胴と、共通の主対物レンズとを経て観察を行
う。像アライメントとひとみ交換は、２つの視野レンズ
と、トリプレットとから構成される光学構造、もしくは
本発明によるアダプタの中に対応して配置されている直
視反転プリズムにより行われる。
【０００７】
【実施例】添付の図面の図１から図４を参照して本発明
の２つの実施例をさらに詳細に説明する。図１には、手
術用顕微鏡１３が示されており、その主対物レンズ５
ａ，５ｂの前には本発明による検眼鏡検査用アダプタ１
が配置されている。このアダプタの内部には、像のアラ
イメントとひとみ交換のための光学系１４が取付けられ
ている。検眼鏡検査用アダプタ１は、眼２に向いた側
に、第１の中間像平面ＺＥ１に観察すべき眼底３の上下
左右反転像を形成する検眼鏡検査用レンズ８を有する。
この像は、後続する光学系１４、図１の実施例ではレン
ズ構造を経てアライメントされ、上下左右を元に戻した
形で第２の中間像平面ＺＥ２に結像される。中間像平面
ＺＥ２の像は本来の手術用顕微鏡１３により観察され
る。この手術用顕微鏡１３は従来通りの構成である。す
なわち、共通の主対物レンズ５ａ，５ｂの背後には、倍
率切換え装置６ａ，６ｂと、２本の別個の光路に対応す
る鏡胴レンズ１６ａ，１６ｂ及び反転プリズム７ａ，７
ｂが配置されている。双眼鏡胴４ａ，４ｂによって立体
的観察が可能になる。２つの観察光路に対して１つの共
通の主対物レンズ５ａ，５ｂを使用することは、本発明
に特有のものではない。２つの観察光路のそれぞれにつ
いて別々の対物レンズを設けることも可能であろう。
【０００８】さらに、図１に示すレンズ１５は光学系１
４とアダプタ１の対物レンズ側端部との間に、光軸に沿
って摺動自在に配置されている。このレンズ１５を使用
すると、本来の手術用顕微鏡１３を何らかの形で変形す
る必要なく眼２の関心ある一部分に焦点合わせすること
が可能になる。従って、適切な旋回手段（図１には図示
せず）を利用すれば、手術用顕微鏡を従来通りの方法の
みならず、眼の外科手術の場合にも使用できるのであ
る。
【０００９】図２には、像のアライメント及びひとみ交
換のための光学系を含む本発明による検眼鏡検査用アダ
プタ１を示す。この実施例では、光学系は複数個のレン
ズ９ａ，１０，１１，１２，９ｂを有する光学構造とし
て構成されている。アダプタ１の患者の眼に向いた側に
位置する検眼鏡検査用レンズ８は、観察している眼の一
部分の上下左右反転像を中間像平面ＺＥ１に形成する。
この像は後続する５つのレンズ９ａ，１０，１１，１
２，９ｂを経てアライメントされ且つ左右を元通りに直
した状態で実物大で中間像平面ＺＥ２に結像される。実
質的な結像は、正の屈折力を有する２個のレンズＬ３：
１０，Ｌ１：１２と、それらのレンズの間に配置されて
いる、負の屈折力を有するレンズＬ２：１１とから構成
されるトリプレットにより行われる。残る２つのレンズ
Ａ１：９ａ；Ａ２：９ｂは視野レンズとして作用する。
光軸に沿って摺動自在であるレンズ１５により、アダプ
タ１の内部で、眼の関心ある部分への焦点合わせが行わ
れる。中間像平面ＺＥ２に形成された像は手術用顕微鏡
１３により観察される。この光学構造を対応するアダプ
タの中にアダプタの全長をさほど伸ばさずに取付けるこ
とができるように、光学構造の個々の要素を直線上に相
前後して並べるのではなく、結像光路が方向転換する状
態で要素をアダプタの内部に配列させることが可能であ
る。
【００１０】トリプレットＬ１：ｆ1 ；Ｌ２：ｆ2 ；Ｌ
３：ｆ3 と、２つの視野レンズＡ１：９ａ；Ａ２：９ｂ
とから構成され、４３６ｎｍ，４８０ｎｍ，５４６ｎｍ
及び６４４ｎｍの可視スペクトル範囲の波長について色
誤差修正されているレンズ系の場合、主対物レンズの焦
点距離が２００ｍｍであるときに実現可能な焦点距離比
は、 ｆ3 ：ｆ1 ＝〔０．９・・・２．０〕 −ｆ2 ：ｆ1 ＝〔０．４・・・０．６〕 の範囲内にある。
【００１１】この範囲内で、手術用顕微鏡の下方で可能
な限り大きな動作視野を与える検眼鏡検査用アダプタの
許容長さが得られる。その上に、相応して高い光学構造
の結像画質も保証される。
【００１２】表１〜表３には、実施例を付随する数値と
共に示す。それらの数値の個々のパラメータを変更して
も、それに匹敵するほど良い結像効果が得られる。
【００１３】
【表１】
【００１４】
【表２】
【００１５】
【表３】
【００１６】図３は、図２の光学構造の断面図を示す。
尚、表１〜表３の数値例で使用されている符号に対応し
て、ｒi はレンズ半径，ｄi はレンズの厚さ、ｄi はレ
ンズ間隔をそれぞれ表している。
【００１７】図４は、第２の実施例として、直視反転プ
リズム系１７の形態をとって構成されている像アライメ
ント及びひとみ交換のための光学系を含む本発明による
アダプタ１を示す。検眼鏡検査用レンズ８により形成さ
れた眼底又は眼底の付近の眼の水晶体領域の中間像は、
屋根形縁部をもつ直視シュミット−ペッヒャンプリズム
１７を経て第１の中間像平面ＺＥ１のすぐ背後にアライ
メントされ、観察光路は交換される。反転プリズム１７
を、立体観察光路がまだ関与していないこの場所に配置
すると、総光路はこの箇所では最も狭い広がりしかもた
ないので、反転プリズム１７、すなわち、本発明による
アダプタ１を非常にコンパクトに構成することができる
のである。さらに、本発明によるアダプタ１おいては、
反転プリズム１７とアダプタの対物レンズ側端部との間
に集束レンズ１５が配置されている。この集束レンズ１
５は光軸に沿って摺動自在であり、眼の関心部分への集
束のために利用される。
【図面の簡単な説明】
【図１】像アライメント及びひとみ交換のための光学系
がレンズ構造として構成されている本発明による検眼鏡
検査用アダプタを含む手術用顕微鏡を示す図。
【図２】対応するレンズ構造を伴う図１の本発明による
検眼鏡検査用アダプタを示す図。
【図３】付随するレンズ半径、レンズ厚さ及びレンズ間
隔を記入した図２のレンズ構造の断面図。
【図４】像アライメント及びひとみ交換のための直視反
転プリズムを含む本発明による検眼鏡検査用アダプタを
示す図。
【符号の説明】
１ 検眼鏡検査用アダプタ ４ａ、４ｂ 双眼鏡胴 ５ａ，５ｂ 主対物レンズ ８ 検眼用レンズ ９ａ，９ｂ，１０，１１，１２ レンズ １３ 手術用顕微鏡 １４ 光学系 １５ レンズ １７ 直視反転レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ユルゲン・リーゲル ドイツ連邦共和国 7082 オーベルコヒ ェン・ジルヒャヴェーク・12 (56)参考文献 特開 平２−230210（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−160209（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−269108（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−84038（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−62691（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−110532（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−320051（ＪＰ，Ａ) 独国特許出願公開3539009（ＤＥ，Ａ １) 米国特許4786161（ＵＳ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61B 3/00 - 3/16 G02B 21/00 - 21/36 ＥＰＡＴ（ＱＵＥＳＴＥＬ) ＷＰＩ／Ｌ（ＱＵＥＳＴＥＬ)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 眼底又は眼の水晶体領域を観察する手術
    用顕微鏡のための検眼鏡アダプタであって、前記顕微鏡
    は主対物レンズとこの主対物レンズの背後で空間的に分
    離する少なくとも１対の立体観察光路を有し、前記アダ
    プタは、 アイフェース端から前記顕微鏡側レンズ端まで延びる光
    軸と、 前記アイフェース端に近接して配置され、眼の前記領域
    に関して上下左右に反転された中間像を中間像平面に生
    成するための、少なくとも１個の検眼鏡検査用レンズ
    と、 前記立体観察光路が未だ空間的に分離していない前記中
    間像平面の直後に配置され、前記中間像を上下左右に再
    反転して正常な画像に戻す光学手段と、 前記光軸に沿って、前記光学手段と前記レンズ端の間で
    移動可能に配置され、観察される眼の領域の焦点を調整
    するレンズ手段と、 を有した検眼鏡検査用アダプタ。
  2. 【請求項２】 眼底又は眼の水晶体領域を観察する手術
    用顕微鏡のための検眼鏡アダプタであって、前記顕微鏡
    は主対物レンズとこの主対物レンズの背後で空間的に分
    離する少なくとも１対の立体観察光路を有し、前記アダ
    プタは、 アイフェース端から前記顕微鏡側レンズ端まで延びる光
    軸と、 前記アイフェース端に近接して配置され、眼の前記領域
    に関して上下左右に反転された中間像を第１の中間像平
    面に生成するための、少なくとも１個の検眼鏡検査用レ
    ンズと、 前記立体観察光路が未だ空間的に分離していない前記第
    １の中間像平面の直後に配置され、前記中間像を上下左
    右に反転し、この上下左右の反転が修正された画像を前
    記顕微鏡により観察される第２画像平面に投影する光学
    手段と、 前記光軸に沿って、前記光学手段と前記レンズ端の間で
    移動可能に配置され、観察される眼の領域の焦点を調整
    するレンズ手段と、 を有した検眼鏡検査用アダプタ。
  3. 【請求項３】 前記光学手段は、直視反転プリズムシス
    テムを有しているこ とを特徴とする請求項１または請求
    項２記載のアダプタ。
  4. 【請求項４】 前記光学手段は、正の屈折力を示す２つ
    のレンズに挟まれた負の屈折力を示す一つのレンズを含
    むトリプレットであることを特徴とする請求項１または
    請求項２記載のアダプタ。
  5. 【請求項５】 前記光学手段は、複数の反射面を有し直
    視反転作用を成すことを特徴とする請求項１または請求
    項２記載のアダプタ。
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