この発明に係る眼科装置、及び眼科システムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
以下、被検眼を双眼で観察するための眼科装置として、被検眼としての被手術眼を双眼で観察可能な手術用顕微鏡を例に説明する。しかしながら、以下の実施形態は、手術用顕微鏡だけではなく、被検眼を双眼で観察可能な任意の眼科装置に適用可能である。
実施形態に係る眼科システムは、眼科分野における手術(又は診療)において手術用顕微鏡を用いて被検眼の拡大像を観察(撮影)するために使用される。観察対象部位は、被手術眼の前眼部又は後眼部における任意の部位であってよい。前眼部における観察対象部位として、例えば、角膜、隅角、硝子体、水晶体、毛様体などがある。後眼部における観察対象部位として、例えば、網膜(眼底)、脈絡膜、硝子体などがある。観察対象部位は、瞼や眼窩など眼の周辺部位であってもよい。
実施形態に係る手術用顕微鏡は、例えば、被手術眼と対物レンズとの間にレンズを挿入又は退避させることで、被手術眼の眼底及び前眼部を観察可能に構成することが可能である。
手術用顕微鏡は、被手術眼を拡大観察するための顕微鏡としての機能に加え、他の眼科装置としての機能を有してよい。例えば、他の眼科装置としての機能として、OCT機能、レーザ治療、眼軸長測定、屈折力測定、高次収差測定などの機能がある。他の眼科装置は、被手術眼の検査や測定や画像化を光学的手法で行うことが可能な任意の構成を備えるものであってよい。
<第1実施形態>
図1に、実施形態に係る眼科システムの構成例を示す。
実施形態に係る眼科システム1は、操作装置2と、表示装置3と、手術用顕微鏡10とを含む。いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、操作装置2及び表示装置3の少なくとも1つを含む。
(操作装置2)
操作装置2は、操作デバイス又は入力デバイスを含む。操作装置2には、ボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル、操作ノブ等)や、操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作装置2は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
(表示装置3)
表示装置3は、手術用顕微鏡10により取得された被手術眼の画像を表示させる。表示装置3は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスを含んで構成される。また、表示装置3は、タッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、操作装置2と表示装置3は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、操作機能と表示機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作装置2は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作装置2に対する操作内容は、電気信号として制御部(不図示)に入力される。また、表示装置3に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作装置2とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、操作装置2及び表示装置3の機能は、タッチスクリーンにより実現される。
(手術用顕微鏡10)
手術用顕微鏡10は、仰臥位の患者の被手術眼の拡大像を観察するために用いられる。いくつかの実施形態では、被手術眼の撮影画像を表示装置3に表示させることにより拡大像の観察が可能になる。いくつかの実施形態では、被手術眼からの戻り光を接眼レンズ(不図示)に導くことにより拡大像の観察が可能になる。
いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、操作装置2と電気信号を送受信するための通信部を含む。手術用顕微鏡10は、有線又は無線の信号路を経由して操作装置2から入力された電気信号に対応した操作内容に従って制御される。
いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、表示装置3と電気信号を送受信するための通信部を含む。手術用顕微鏡10は、有線又は無線の信号路を経由して表示装置3に出力した電気信号に対応した表示制御内容に従って、表示装置3の画面に画像を表示させる。
[光学系の構成]
以下では、説明の便宜上、対物レンズの光軸方向をz方向(手術時には垂直方向、鉛直方向)とし、z方向に直交する水平方向(手術時には水平方向)をx方向とし、z方向及びx方向の双方に直交する水平方向をy方向とする。
図2に、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の光学系の構成例を示す。図2は、光学系を上から見た模式的な上面図と光学系を側方から見た模式的な側面図とを対応付けて図示したものである。図示を簡略化するため、対物レンズ20の上方に配置される照明光学系30の図示が省略されている。
手術用顕微鏡10は、対物レンズ20と、ダイクロイックミラーDM1と、照明光学系30と、観察光学系40とを含む。観察光学系40は、ズームエキスパンダ50と、撮像カメラ60とを含む。いくつかの実施形態では、照明光学系30又は観察光学系40は、ダイクロイックミラーDM1を含む。
(対物レンズ20)
対物レンズ20は、被手術眼に対向するように配置される。対物レンズ20の光軸は、z方向にのびるものとする。いくつかの実施形態では、対物レンズ20は、被手術眼に対向するように配置されたレンズを含む2以上のレンズを含む。
(ダイクロイックミラーDM1)
ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを結合する。ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30と対物レンズ20との間に配置される。ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30からの照明光を透過して対物レンズ20に導くと共に、対物レンズ20からの照明光の戻り光を反射して観察光学系40の撮像カメラ60に導く。
ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを同軸に結合する。ダイクロイックミラーDM1は、左眼用照明光学系(第1照明光学系31L)の光路と左眼用観察光学系の光路とを同軸に結合し、且つ、右眼用照明光学系(第1照明光学系31R)の光路と右眼用観察光学系の光路とを同軸に結合する。
(照明光学系30)
照明光学系30は、対物レンズ20を介して被手術眼を照明するための光学系である。照明光学系30は、色温度が異なる2以上の照明光のいずれかで被手術眼を照明することが可能である。照明光学系30は、後述の制御部からの指示を受けて、指定された色温度を有する照明光で被手術眼を照明する。
実施形態に係る照明光学系30は、第1照明光学系31L、31Rと、第2照明光学系32とを含む。
第1照明光学系31L、31Rの光軸OL、ORのそれぞれは、対物レンズ20の光軸と略同軸になるように配置される。これにより、いわゆる「0度照明」で眼底を照明し、眼底上で拡散反射されることで発生する徹照像を取得することが可能である。この場合、被手術眼の徹照像を双眼で観察することが可能になる。
第2照明光学系32の光軸OSは、対物レンズ20の光軸に対して偏心するように配置される。対物レンズ20の光軸に対する光軸OSの変位が対物レンズ20の光軸に対する光軸OL、ORの変位より大きくなるように、第1照明光学系31L、31R、及び第2照明光学系32が配置される。これにより、いわゆる「角度付き照明(斜め照明)」で眼底又は前眼部を照明し、角膜等からの反射に基づくゴーストの影響を回避しつつ被手術眼(徹照像)を双眼で観察することが可能になる。また、被手術眼の所定部位の凹凸を詳細に観察することも可能になる。
第1照明光学系31Lは、光源31LAと、コンデンサーレンズ31LBとを含む。光源31LAは、例えば、3000K(ケルビン)の色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源31LAから出力された照明光は、コンデンサーレンズ31LBを通過し、ダイクロイックミラーDM1を透過し、対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
第1照明光学系31Rは、光源31RAと、コンデンサーレンズ31RBとを含む。光源31RAもまた、例えば、3000Kの色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源31RAから出力された照明光は、コンデンサーレンズ31RBを通過し、ダイクロイックミラーDM1を透過し、対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
第2照明光学系32は、光源32Aと、コンデンサーレンズ32Bとを含む。光源32Aは、例えば、4000K~6000Kの色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源32Aから出力された照明光は、コンデンサーレンズ32Bを通過し、ダイクロイックミラーDM1を経由することなく対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
すなわち、第1照明光学系31L、31Rからの照明光の色温度は、第2照明光学系32からの照明光の色温度より低い。それにより、第1照明光学系31L、31Rを用いて暖色系の色で被手術眼を観察することが可能になり、被手術眼の形態を詳細に把握することができるようになる。
いくつかの実施形態では、光軸OL、ORのそれぞれは、対物レンズ20の光軸に対して、対物レンズ20の光軸に交差する方向(x方向及びy方向の少なくとも一方)に移動可能である。いくつかの実施形態では、光軸OL、ORのそれぞれは独立に移動可能である。いくつかの実施形態では、光軸OL、ORは一体的に移動可能である。例えば、手術用顕微鏡10は、第1照明光学系31L、31Rを独立に又は一体的に移動する移動機構(31d)を備え、移動機構により第1照明光学系31L、31Rを独立に又は一体的に対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動する。それにより、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構が制御される。
いくつかの実施形態では、光軸OSは、対物レンズ20の光軸に対して、対物レンズ20の光軸に交差する方向(x方向及びy方向の少なくとも一方)に移動可能である。例えば、手術用顕微鏡10は、第2照明光学系32を移動する移動機構(32d)を備え、移動機構により第2照明光学系32を対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動する。それにより、被手術眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構が制御される。
以上のように、対物レンズ20の直上においてダイクロイックミラーDM1の透過方向に照明光学系30が配置され、且つ、ダイクロイックミラーDM1の反射方向に観察光学系40が配置される。例えば、観察光学系40の光軸と対物レンズ20の光軸に直交する平面(xy平面)とのなす角が±20度以下になるように、観察光学系40を配置することが可能である。
それにより、一般的に照明光学系30より光路長が長い観察光学系40がxy平面と略平行な方向に光路長が長くなるように配置される。従って、術者の正面に観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面(或いは、正面の状況)を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
(観察光学系40)
観察光学系40は、対物レンズ20を介して被手術眼から入射した照明光の戻り光により結像される像を観察するための光学系である。この実施形態では、観察光学系40は、撮像カメラ60の撮像素子の撮像面に戻り光を結像させる。
観察光学系40は、左眼用観察光学系40Lと、右眼用観察光学系40Rとを含む。左眼用観察光学系40Lの構成は、右眼用観察光学系40Rの構成と同様である。いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
ズームエキスパンダ50は、左眼用ズームエキスパンダ50Lと、右眼用ズームエキスパンダ50Rとを含む。左眼用ズームエキスパンダ50Lの構成は、右眼用ズームエキスパンダ50Rの構成と同様である。いくつかの実施形態では、左眼用ズームエキスパンダ50L及び右眼用ズームエキスパンダ50Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
左眼用ズームエキスパンダ50Lは、複数のズームレンズ51L、52L、53Lを含む。複数のズームレンズ51L、52L、53Lのそれぞれは、変倍機構(不図示)により光軸方向に移動可能である。
右眼用ズームエキスパンダ50Rは、複数のズームレンズ51R、52R、53Rを含む。複数のズームレンズ51R、52R、53Rのそれぞれは、変倍機構により光軸方向に移動可能である。
変倍機構は、左眼用ズームエキスパンダ50Lの各ズームレンズ及び右眼用ズームエキスパンダ50Rの各ズームレンズを独立に又は一体的に光軸方向に移動する。それにより、被手術眼を撮影する際の拡大倍率が変更される。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、変倍機構が制御される。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれにおける光学素子の配置は固定されている。光学素子の配置は、出荷工程又は検査工程において調整されたり、観察直前に調整されたりする。
(撮像カメラ60)
撮像カメラ60は、観察光学系40を導かれてきた照明光の戻り光により結像される像を撮影するための光学系である。
撮像カメラ60は、左眼用撮像カメラ60Lと、右眼用撮像カメラ60Rとを含む。左眼用撮像カメラ60Lの構成は、右眼用撮像カメラ60Rの構成とほぼ同様である。いくつかの実施形態では、左眼用撮像カメラ60L及び右眼用撮像カメラ60Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
左眼用撮像カメラ60Lは、結像レンズ61Lと、撮像素子62Lとを含む。結像レンズ61Lは、左眼用ズームエキスパンダ50Lを通過した戻り光を撮像素子62Lの撮像面に結像させる。撮像素子62Lは、2次元のエリアセンサである。撮像素子62Lは、後述の制御部から制御を受け、受光結果に対応した電気信号(検出信号)を出力する。
右眼用撮像カメラ60Rは、結像レンズ61Rと、撮像素子62Rとを含む。結像レンズ61Rは、右眼用ズームエキスパンダ50Rを通過した戻り光を撮像素子62Rの撮像面に結像させる。撮像素子62Rは、2次元のエリアセンサである。撮像素子62Rは、後述の制御部から制御を受け、受光結果に対応した電気信号を出力する。
観察光学系40は、被手術眼における左眼用の焦点位置と被手術眼における右眼用の焦点位置とを異ならせることが可能である。すなわち、左眼用観察光学系40Lは、被検眼の第1部位に焦点位置が配置され、被検眼から対物レンズを介して入射した照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能に構成される。右眼用観察光学系40Rは、第1部位と異なる被検眼の第2部位に焦点位置が配置され、被検眼から対物レンズを介して入射した照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能に構成される。
いくつかの実施形態では、第1部位及び第2部位の一方は、角膜又はその近傍であり、他方は、前嚢又はその近傍である。これにより、焦点深度を擬似的に深くすることが可能になる。
実施形態では、左眼用撮像カメラ60L及び右眼用撮像カメラ60Rのそれぞれの光学素子の配置が異なる。例えば、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係(光学的な距離)は、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係と異なる。図2では、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が短くなるように設定されている。しかしながら、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が長くなるように設定されていてもよい。
[制御系の構成]
図3に、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の制御系の構成例を示す。図3において、図1又は図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図3に示すように、手術用顕微鏡10の制御系は、制御部200を中心に構成される。すなわち、制御部200は、手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
(制御部200)
制御部200は、各種の制御を実行する。制御部200は、主制御部201と記憶部202とを含む。
(主制御部201)
主制御部201は、プロセッサを含み、手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部を制御する。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路(記憶部202)や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
例えば、主制御部201は、照明光学系30の光源31LA、31RA、32A、観察光学系40の撮像素子62L、62R、移動機構31d、32d、変倍機構50Ld、50Rd、操作装置2、表示装置3などを制御する。
光源31LAの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。光源31RAの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。主制御部201は、光源31LA、31RAに対する排他制御を行う。光源32Aの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。
照明光学系30が色温度を変更可能な光源を含む場合、主制御部201は、光源を制御することにより所望の色温度を有する照明光を出力させることが可能である。
撮像素子62Lの制御には、露光調整、ゲイン調整、撮影レート調整などがある。撮像素子62Rの制御には、露光調整、ゲイン調整、撮影レート調整などがある。また、主制御部201は、撮像素子62L、62Rの撮影タイミングが一致するように、又は両者の撮影タイミングの差が所定時間以内になるように、撮像素子62L、62Rを制御することが可能である。更に、主制御部201は、撮像素子62L、62Rにおける受光結果の読み出し制御を行うことが可能である。
移動機構31dは、対物レンズ20の光軸に交差する方向に光源31LA、31RAを独立に又は一体的に移動する。主制御部201は、移動機構31dを制御することにより、対物レンズ20の光軸に対して、光軸OL、ORを独立に又は一体的に移動することが可能である。
移動機構32dは、対物レンズ20の光軸に交差する方向に光源32Aを独立に又は一体的に移動する。主制御部201は、移動機構32dを制御することにより、対物レンズ20の光軸に対して、光軸OSを移動することが可能である。
いくつかの実施形態では、移動機構31d、32dは連動するように構成される。この場合、主制御部201は、移動機構31d、32dの一方を制御することにより他方を移動させることが可能である。
変倍機構50Ldは、左眼用ズームエキスパンダ50Lの複数のズームレンズ51L~53Lの少なくとも1つを光軸方向に移動する。主制御部201は、変倍機構50Ldを制御することにより、左眼用ズームエキスパンダ50Lの複数のズームレンズ51L~53Lの少なくとも1つを左眼用観察光学系40Lの光軸方向に移動することが可能である。
変倍機構50Rdは、右眼用ズームエキスパンダ50Rの複数のズームレンズ51R~53Rの少なくとも1つを光軸方向に移動する。主制御部201は、変倍機構50Rdを制御することにより、右眼用ズームエキスパンダ50Rの複数のズームレンズ51R~53Rの少なくとも1つを右眼用観察光学系40Rの光軸方向に移動することが可能である。
操作装置2に対する制御には、操作許可制御、操作禁止制御、操作装置2に対する操作内容の受信制御などがある。主制御部201は、操作装置2から受信した操作内容に対応した電気信号を受信することにより、操作装置2に対する操作内容に従って手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部を制御することが可能である。
表示装置3に対する制御には、各種の情報の表示制御などがある。主制御部201は、表示制御部として、撮像素子62L、62Rの受光結果を読み出して被手術眼の画像を形成し、形成された被手術眼の画像を表示装置3の画面に表示させることが可能である。
また、主制御部201は、表示制御部として、撮像素子62L、62Rの受光結果を読み出して被手術眼の左眼用画像と右眼用画像とを形成し、形成された被手術眼の左眼用画像及び右眼用画像を表示装置3の画面に立体視可能な態様で表示させることが可能である。例えば、被手術眼の左眼用画像及び右眼用画像から術者等の観察者の右眼用と左眼用の2つの視差画像を形成し、形成された2つの視差画像を観察者の左眼及び右眼のそれぞれに提示させる。
術者は、公知の手法で、裸眼で被手術眼の画像を観察したり、偏光眼鏡を通して被手術眼の画像を観察したりすることで、被手術眼を立体的に視認することが可能である。
ダイクロイックミラーDM1は、実施形態に係る「偏向部材」の一例である。制御部200又は主制御部201は、実施形態に係る「表示制御部」の一例である。結像レンズ61Lは、実施形態に係る「第1左眼用結像レンズ」の一例である。結像レンズ61Rは、実施形態に係る「第1右眼用結像レンズ」の一例である。表示装置3は、実施形態に係る「表示手段」の一例である。
以上説明したように、第1実施形態によれば、被手術眼における左眼用の焦点位置と被手術眼における右眼用の焦点位置とを異ならせるようにしたので、焦点深度を擬似的に深くすることができる。それにより、表示装置3に画像を表示させた場合でも、焦点深度の深い画像として認識することが可能になる。
更に、第1実施形態によれば、対物レンズ20の上方に位置するダイクロイックミラーDM1の透過方向に照明光学系30が配置され、ダイクロイックミラーDM1の反射方向に観察光学系40が配置される。一般的に照明光学系30の光路長より観察光学系40の光路長が長いため、術者の正面に観察光学系40が配置されることなく、被手術眼の上方の空間の空きスペースを増やすことができる。それにより、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
<第2実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、第1実施形態に係る構成に限定されるものではない。以下、第2実施形態に係る構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図4に、第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの光学系の構成例を示す。図4において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aを適用することが可能である。
第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの構成が第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の構成と異なる点は、結像レンズ61Lの位置と撮像素子62Lの位置である。第1実施形態では、結像レンズ61Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。これに対して、第2実施形態では、撮像素子62Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。
図4では、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が短くなるように設定されている。しかしながら、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が長くなるように設定されていてもよい。
第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの制御系は、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の制御系と同様である。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。第3実施形態では、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能に構成される。以下、第3実施形態に係る構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図5に、第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの光学系の構成例を示す。図5において、図2又は図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bを適用することが可能である。
第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの構成が第1実施形態に係る手術用顕微鏡10と異なる点は、結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成される点である。図5では、結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成されるが、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能であってよい。或いは、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能であってよい。
手術用顕微鏡10bは、移動機構61d、62dを更に含む。
移動機構61dは、結像レンズ61Lを光軸に沿って移動する。これにより、結像レンズ61Lの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構61dは、後述の制御部200bからの制御を受け、結像レンズ61Lを光軸に沿って移動する。
移動機構62dは、撮像素子62Rを光軸に沿って移動する。これにより、撮像素子62Rの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構62dは、後述の制御部200bからの制御を受け、撮像素子62Rを光軸に沿って移動する。
図6に、第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの制御系の構成例を示す。図6において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図6に示すように、手術用顕微鏡10bの制御系は、制御部200bを中心に構成される。すなわち、制御部200bは、手術用顕微鏡10b(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
制御部200bは、制御部200と同様に各種の制御を実行する。制御部200bは、主制御部201bと記憶部202bとを含む。
制御部200bにより実行される制御内容が制御部200により実行される制御内容と異なる点は、移動機構61d、62dの移動制御が追加された点である。
主制御部201bは、移動機構61dを制御することにより、左眼用観察光学系40Lにおける結像レンズ61Lの光軸上の位置を変更することが可能である。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構61dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、被手術眼の前眼部像の解析結果に基づいて移動機構61dを制御する。例えば、前眼部像の解析結果に基づいて所望の焦点深度を有する画像が取得されるように、主制御部201bは移動機構61dを制御し、結像レンズ61Lの光軸上の位置を変更することが可能である。
主制御部201bは、移動機構62dを制御することにより、右眼用観察光学系40Rにおける撮像素子62Rの光軸上の位置を変更することが可能である。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構62dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、被手術眼の前眼部像の解析結果に基づいて移動機構62dを制御する。例えば、前眼部像の解析結果に基づいて所望の焦点深度を有する画像が取得されるように、主制御部201bは移動機構62dを制御し、撮像素子62Rの光軸上の位置を変更することが可能である。
結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。いくつかの実施形態では、結像レンズ61L及び撮像素子62Rの一方の移動に連動して他方が移動する。
すなわち、結像レンズ61L及び撮像素子62Lのいずれかと、結像レンズ61R及び撮像素子62Rのいずれかとを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。いくつかの実施形態では、結像レンズ61L及び撮像素子62Lのいずれかの移動に連動して、結像レンズ61R及び撮像素子62Rのいずれかが移動する。
いくつかの実施形態では、主制御部201bは、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれの焦点位置が被手術眼の所定部位(例えば、眼底)になるように移動機構61d、62dを制御する。これにより、双眼で眼底等を詳細に観察することが可能になる。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、操作装置2に対する操作内容に従って、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれの焦点位置が被手術眼の同一部位になるように移動機構61d、62dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれの焦点位置が被手術眼の同一部位になるように移動機構61d、62dを制御した後、移動機構61d又は移動機構62dを制御して左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれの焦点位置を異ならせる。
移動機構61dは、実施形態に係る「第1移動機構」の一例である。移動機構62dは、実施形態に係る「第2移動機構」の一例である。
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、結像レンズ61L及び撮像素子62Lのいずれかと、結像レンズ61R及び撮像素子62Rのいずれかとを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。
<第4実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。第4実施形態では、対物レンズ20の上方に反射ミラーが配置され、反射ミラーにより偏向された光路において、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合及び分離が行われる。以下、第4実施形態に係る構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図7に、第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの光学系の構成例を示す。図7において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cを適用することが可能である。
第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの構成が第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の構成と異なる点は、ダイクロイックミラーDM1に代えて反射ミラーRM1が設けられている点と、反射ミラーRM1により偏向された光路にダイクロイックミラーDM2が配置されている点である。ダイクロイックミラーDM2は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合及び分離を行う。
反射ミラーRM1は、第1照明光学系31L、31Rからの照明光を対物レンズ20に向けて反射すると共に、被手術眼からの照明光の戻り光を観察光学系40に向けて反射する。反射ミラーRM1により偏向された光路には、ダイクロイックミラーDM2が配置されている。ダイクロイックミラーDM2は、反射ミラーRM1と観察光学系40のズームエキスパンダ50との間に配置されている。
ダイクロイックミラーDM2は、ダイクロイックミラーDM1と同様に、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを結合する。ダイクロイックミラーDM2は、第1照明光学系31L、31Rからの照明光を反射ミラーRM1(対物レンズ20)に向けて反射すると共に、被手術眼からの照明光の戻り光を透過してズームエキスパンダ50(観察光学系40)に導く。
ダイクロイックミラーDM2は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを同軸に結合する。ダイクロイックミラーDM2は、左眼用照明光学系(第1照明光学系31L)の光路と左眼用観察光学系40Lの光路とを同軸に結合し、且つ、右眼用照明光学系(第1照明光学系31R)の光路と右眼用観察光学系40Rの光路とを同軸に結合する。
第2照明光学系32からの照明光は、反射ミラーRM1を経由することなく対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの制御系は、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の制御系と同様である。
反射ミラーRM1は、実施形態に係る「偏向部材」の一例である。
以上説明したように、第4実施形態によれば、被手術眼における左眼用の焦点位置と被手術眼における右眼用の焦点位置とを異ならせるようにしたので、焦点深度が擬似的に深くなる。それにより、表示装置3に画像を表示させた場合でも、焦点深度の深い画像として認識することが可能になる。
更に、第4実施形態によれば、対物レンズ20の上方に反射ミラーRM1を配置し、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路を対物レンズ20に導くようにしたので、反射ミラーRM1の反射方向に照明光学系30及び観察光学系40が配置される。それにより、術者の正面に光路長が長い観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
<第5実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。以下、第5実施形態に係る構成について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
図8に、第5実施形態に係る手術用顕微鏡10dの光学系の構成例を示す。図8において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第5実施形態に係る手術用顕微鏡10dを適用することが可能である。
第5実施形態に係る手術用顕微鏡10dの構成が第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの構成と異なる点は、結像レンズ61Lの位置と撮像素子62Lの位置である。第4実施形態では、結像レンズ61Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。これに対して、第5実施形態では、撮像素子62Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。
図8では、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が短くなるように設定されている。しかしながら、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が長くなるように設定されていてもよい。
第5実施形態に係る手術用顕微鏡10dの制御系は、第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの制御系と同様である。
以上説明したように、第5実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第6実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。第6実施形態では、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能に構成される。以下、第6実施形態に係る構成について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
図9に、第6実施形態に係る手術用顕微鏡10eの光学系の構成例を示す。図9において、図7又は図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第6実施形態に係る手術用顕微鏡10eを適用することが可能である。
第6実施形態に係る手術用顕微鏡10eの構成が第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの構成と異なる点は、結像レンズ61R及び撮像素子62Lのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成される点である。図9では、結像レンズ61R及び撮像素子62Lのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成されるが、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能であってよい。或いは、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能であってよい。
この実施形態において、移動機構61dは、結像レンズ61Rを光軸に沿って移動する。これにより、結像レンズ61Rの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構61dは、制御部からの制御を受け、結像レンズ61Rを光軸に沿って移動する。
移動機構62dは、撮像素子62Lを光軸に沿って移動する。これにより、撮像素子62Lの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構62dは、制御部からの制御を受け、撮像素子62Lを光軸に沿って移動する。
第6実施形態に係る手術用顕微鏡10eの制御系は、第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの制御系と同様である。
結像レンズ61R及び撮像素子62Lのそれぞれを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。いくつかの実施形態では、結像レンズ61R及び撮像素子62Lの一方の移動に連動して他方が移動する。
以上説明したように、第6実施形態によれば、第4実施形態又は第5実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、結像レンズ61L及び撮像素子62Lのいずれかと、結像レンズ61R及び撮像素子62Rのいずれかとを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。
<第7実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。被手術眼が小瞳孔眼である場合、瞳孔を通じて左右の照明光を眼内に入射することが難しくなる。そのため、第7実施形態では、左右の光軸幅を変更するための光軸幅変更部材が照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路に対して挿脱可能に構成されている。以下、第7実施形態に係る構成について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
図10に、第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの光学系の構成例を示す。図10において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fを適用することが可能である。
第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの構成が第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの構成と異なる点は、光軸幅変更部材としてのステレオバリエータ70が光路に対して挿脱可能に設けられている点である。
ステレオバリエータ70は、例えば特許文献2に開示されているように、例えば、それぞれ平行な2面を有する第1光学部材と第2光学部材とが結合された光学素子である。ステレオバリエータ70が観察光学系40の光路に配置されたとき、第1光学部材の平行な2面は、左眼用観察光学系40Lの光軸OLに対して所定の角度だけ傾斜するように配置され、第2光学部材の平行な2面は、右眼用観察光学系40Rの光軸ORに対して所定の角度だけ傾斜するように配置される。それにより、光軸OL、ORの相対位置が変更され、小瞳孔用に光軸OL、ORの幅を狭くすることができる。
ステレオバリエータ70は、図示しない移動機構(70d)により観察光学系40の光軸に対して挿脱される。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、この移動機構が制御される。
図11に、第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの制御系の構成例を示す。図11において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図11に示すように、手術用顕微鏡10fの制御系は、制御部200fを中心に構成される。すなわち、制御部200fは、手術用顕微鏡10f(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
制御部200fは、制御部200と同様に各種の制御を実行する。制御部200fは、主制御部201fと記憶部202fとを含む。
制御部200fにより実行される制御内容が制御部200により実行される制御内容と異なる点は、移動機構70dの移動制御が追加された点である。
移動機構70dは、観察光学系40の光軸(OL、OR)に対してステレオバリエータ70を配置したり、観察光学系40の光軸からステレオバリエータ70を退避したりする。主制御部201fは、移動機構70dを制御することにより、観察光学系40の光軸に対してステレオバリエータ70を挿脱することが可能である。いくつかの実施形態では、主制御部201fは、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構70dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201fは、被手術眼の前眼部像の解析結果に基づいて移動機構70dを制御する。例えば、前眼部像の解析結果に基づいて被手術眼が小瞳孔眼であると判定されたとき、主制御部201fは移動機構70dを制御し、観察光学系40の光軸にステレオバリエータ70を配置することが可能である。
以上説明したように、第7実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、第7実施形態によれば、対物レンズ20の上方に反射ミラーRM1を配置し、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路を対物レンズ20に導くようにしたので、反射ミラーRM1の反射方向に照明光学系30及び観察光学系40が配置される。そして、反射ミラーRM1の反射方向に配置された観察光学系40の光路に対してステレオバリエータ70を挿脱させるようにしたので、被手術眼が小瞳孔眼である場合でも、術者の正面に光路長が長い観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。
<第8実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。以下、第8実施形態に係る構成について、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
図12に、第8実施形態に係る手術用顕微鏡10gの光学系の構成例を示す。図12において、図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第8実施形態に係る手術用顕微鏡10gを適用することが可能である。
第8実施形態に係る手術用顕微鏡10gの構成が第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの構成と異なる点は、結像レンズ61Lの位置と撮像素子62Lの位置である。第7実施形態では、結像レンズ61Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。これに対して、第8実施形態では、撮像素子62Lの光軸上の位置を変更することで、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせる。
図12では、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が短くなるように設定されている。しかしながら、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な距離が、撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な距離が長くなるように設定されていてもよい。
第8実施形態に係る手術用顕微鏡10gの制御系は、第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの制御系と同様である。
以上説明したように、第8実施形態によれば、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第9実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。第9実施形態では、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能に構成される。以下、第9実施形態に係る構成について、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
図13に、第9実施形態に係る手術用顕微鏡10hの光学系の構成例を示す。図13において、図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第9実施形態に係る手術用顕微鏡10hを適用することが可能である。
第9実施形態に係る手術用顕微鏡10hの構成が第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの構成と異なる点は、結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成される点である。図13では、結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成されるが、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能であってよい。或いは、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能であってよい。
この実施形態において、移動機構61dは、結像レンズ61Lを光軸に沿って移動する。これにより、結像レンズ61Lの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構61dは、後述の制御部200hからの制御を受け、結像レンズ61Lを光軸に沿って移動する。
移動機構62dは、撮像素子62Rを光軸に沿って移動する。これにより、撮像素子62Rの光軸上の位置が変更され、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構62dは、後述の制御部200hからの制御を受け、撮像素子62Rを光軸に沿って移動する。
図14に、第9実施形態に係る手術用顕微鏡10hの制御系の構成例を示す。図14において、図11と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示すように、手術用顕微鏡10hの制御系は、制御部200hを中心に構成される。すなわち、制御部200hは、手術用顕微鏡10h(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
制御部200hは、制御部200fと同様に各種の制御を実行する。制御部200hは、主制御部201hと記憶部202hとを含む。
制御部200hにより実行される制御内容が制御部200fにより実行される制御内容と異なる点は、移動機構61d、62dの移動制御が追加された点である。
結像レンズ61L及び撮像素子62Rのそれぞれを光軸に沿って同時に移動することで、所望の焦点深度を有する画像を取得するために必要な光学素子の移動量を短くすることができる。いくつかの実施形態では、結像レンズ61L及び撮像素子62Rの一方の移動に連動して他方が移動する。
以上説明したように、第9実施形態によれば、第7実施形態又は第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第10実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。結像レンズ及び撮像素子を移動させることなく、左眼用撮像カメラ60L及び右眼用撮像カメラ60Rの少なくとも一方に対し光路長を変更するための光学素子が挿脱可能に設けられていてもよい。以下、第10実施形態に係る構成について、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
図15に、第10実施形態に係る手術用顕微鏡10jの光学系の構成例を示す。図15において、図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第10実施形態に係る手術用顕微鏡10jを適用することが可能である。
第10実施形態に係る手術用顕微鏡10jの構成が第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの構成と異なる点は、結像レンズ61L、61R、及び撮像素子62L、62Rの光軸上の位置が固定され、結像レンズ61Rと撮像素子62Rとの間に平行平面板80が挿脱可能に設けられている点である。
図15では、結像レンズ61Rと撮像素子62Rとの間に平行平面板80が挿脱可能に設けられているが、結像レンズ61Lと撮像素子62Lとの間に平行平面板80が挿脱可能に設けられていてもよい。或いは、結像レンズ61Rと撮像素子62Rとの間、及び結像レンズ61Lと撮像素子62Lとの間のそれぞれに、光軸方向の厚み又は屈折率が互いに異なる平行平面板が挿脱可能に設けられていてもよい。
手術用顕微鏡10jは、図示しない移動機構(80d)を更に含む。この移動機構は、結像レンズ61Rと撮像素子62Rとの間の光路に対して平行平面板80を配置したり、当該光路から平行平面板80を退避させたりする。これにより、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、移動機構は、後述の制御部200jからの制御を受け、平行平面板80を当該光路に対して挿脱させる。
図16に、第10実施形態に係る手術用顕微鏡10jの制御系の構成例を示す。図16において、図11と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図16に示すように、手術用顕微鏡10jの制御系は、制御部200jを中心に構成される。すなわち、制御部200jは、手術用顕微鏡10j(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
制御部200jは、制御部200fと同様に各種の制御を実行する。制御部200jは、主制御部201jと記憶部202jとを含む。
制御部200jにより実行される制御内容が制御部200fにより実行される制御内容と異なる点は、移動機構80dの移動制御が追加された点である。
移動機構80dは、結像レンズ61Rと撮像素子62Rとの間の光路に対して平行平面板80を配置したり、当該光路から平行平面板80を退避させたりする。主制御部201jは、移動機構80dを制御することにより、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、主制御部201jは、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構61dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201jは、被手術眼の前眼部像の解析結果に基づいて移動機構80dを制御する。例えば、前眼部像の解析結果に基づいて所望の焦点深度を有する画像が取得されるように、主制御部201jは移動機構80dを制御し、撮像素子62Lに対する結像レンズ61Lの光学的な位置関係と撮像素子62Rに対する結像レンズ61Rの光学的な位置関係とを異ならせることができる。
以上説明したように、第10実施形態によれば、左眼用撮像カメラ60L及び右眼用撮像カメラ60Rの少なくとも一方に対して平行平面板80を挿脱させることにより、被手術眼における左眼用の焦点位置と被手術眼における右眼用の焦点位置とを異ならせることができる。それにより、表示装置3に画像を表示させた場合でも、焦点深度の深い画像として認識することが可能になる。
<第11実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。第11実施形態では、接眼レンズを通して、術者又は助手が裸眼で被手術眼の観察が可能に構成される。以下、第11実施形態に係る構成について、第7実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第11実施形態は、第1実施形態~第10実施形態に適用することが可能である。
図17に、第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kの光学系の構成例を示す。図17において、図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kを適用することが可能である。
第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kの構成が第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの構成と異なる点は、観察光学系40が接眼レンズ系63を含む点である。
接眼レンズ系63は、左眼用接眼レンズ系63Lと、右眼用接眼レンズ系63Rとを含む。左眼用接眼レンズ系63Lの構成は、右眼用接眼レンズ系63Rの構成と同様である。左眼用接眼レンズ系63Lの光路は、左眼用観察光学系40Lの光路と同軸に結合される。右眼用接眼レンズ系63Rの光路は、右眼用観察光学系40Rの光路と同軸に結合される。
左眼用ズームエキスパンダ50Lと左眼用撮像カメラ60Lとの間に、ビームスプリッタBSLが配置される。ビームスプリッタBSLの反射方向に、左眼用接眼レンズ系63Lが配置される。ビームスプリッタBSLの透過方向に、左眼用撮像カメラ60Lが配置される。ビームスプリッタBSLは、左眼用接眼レンズ系63Lの光路と左眼用撮像カメラ60Lの光路とを同軸に結合する。
左眼用接眼レンズ系63Lは、結像レンズ64Lと、接眼レンズ65Lとを含む。左眼用観察光学系40Lの光路を導かれてきた照明光の戻り光は、ビームスプリッタBSLによって左眼用撮像カメラ60Lと左眼用接眼レンズ系63Lとに導かれる。左眼用接眼レンズ系63Lに入射した戻り光は、結像レンズ64Lを通過し、接眼レンズ65Lに導かれる。
右眼用ズームエキスパンダ50Rと右眼用撮像カメラ60Rとの間に、ビームスプリッタBSRが配置される。ビームスプリッタBSRの反射方向に、右眼用接眼レンズ系63Rが配置される。ビームスプリッタBSRの透過方向に、右眼用撮像カメラ60Rが配置される。ビームスプリッタBSRは、右眼用接眼レンズ系63Rの光路と右眼用撮像カメラ60Rの光路とを同軸に結合する。
右眼用接眼レンズ系63Rは、結像レンズ64Rと、接眼レンズ65Rとを含む。右眼用観察光学系40Rの光路を導かれてきた照明光の戻り光は、ビームスプリッタBSRによって右眼用撮像カメラ60Rと右眼用接眼レンズ系63Rとに導かれる。右眼用接眼レンズ系63Rに入射した戻り光は、結像レンズ64Rを通過し、接眼レンズ65Rに導かれる。
実施形態では、左眼用接眼レンズ系63L及び右眼用接眼レンズ系63Rのそれぞれの光学素子の配置が異なる。例えば、接眼レンズ65Lに対する結像レンズ64Lの光学的な位置関係は、接眼レンズ65Lに対する結像レンズ64Rの光学的な位置関係と異なる。
図17では、接眼レンズ65Lに対する結像レンズ64Lの光学的な距離が、接眼レンズ65Rに対する結像レンズ64Rの光学的な距離が短くなるように設定されている。しかしながら、接眼レンズ65Lに対する結像レンズ64Lの光学的な距離が、接眼レンズ65Rに対する結像レンズ64Rの光学的な距離が長くなるように設定されていてもよい。
第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kの制御系は、第7実施形態に係る手術用顕微鏡10fの制御系と同様である。
平行平面板80は、実施形態に係る「光学素子」の一例である。
以上説明したように、第11実施形態によれば、術者又は助手は裸眼で被手術眼を確認しつつ、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第11実施形態において、結像レンズ64L、64R、接眼レンズ65L、65Rのそれぞれが光軸に沿って移動可能に構成されてもよい。或いは、結像レンズ64L、64R、接眼レンズ65L、65Rの少なくとも1つが光軸に沿って移動可能であってよい。この場合、手術用顕微鏡10kは、結像レンズ64L、64R、接眼レンズ65L、65Rの少なくとも1つを光軸に沿って移動する移動機構を含む。第11実施形態においても、制御部は、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rのそれぞれの焦点位置が被手術眼の所定部位(例えば、眼底)になるように移動機構を制御することが可能である。
<第12実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。接眼レンズ系においても、結像レンズ及び撮像素子を移動させることなく、左眼用接眼レンズ系63L及び右眼用接眼レンズ系63Rの少なくとも一方に光路長を変更するための光学素子が挿脱可能に設けられていてもよい。以下、第12実施形態に係る構成について、第11実施形態との相違点を中心に説明する。
図18に、第12実施形態に係る手術用顕微鏡10mの光学系の構成例を示す。図18において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第12実施形態に係る手術用顕微鏡10mを適用することが可能である。
第12実施形態に係る手術用顕微鏡10mの構成が第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kの構成と異なる点は、撮像カメラ60ではなく、接眼レンズ系63において平行平面板80が挿脱される点である。
図18では、右眼用接眼レンズ系63Rにおいて、結像レンズ64Rと接眼レンズ65Rとの間に平行平面板80が挿脱可能に設けられているが、結像レンズ64Lと接眼レンズ65Lとの間に平行平面板80が挿脱可能に設けられていてもよい。或いは、結像レンズ64Rと接眼レンズ65Rとの間、及び結像レンズ64Lと接眼レンズ65Lとの間のそれぞれに、光軸方向の厚み又は屈折率が互いに異なる平行平面板が挿脱可能に設けられていてもよい。
第12実施形態に係る手術用顕微鏡10mの制御系は、第11実施形態に係る手術用顕微鏡10kの制御系と同様である。
結像レンズ64Lは、実施形態に係る「第2左眼用結像レンズ」の一例である。結像レンズ64Rは、実施形態に係る「第2右眼用結像レンズ」の一例である。移動機構80dは、実施形態に係る「第1移動機構」の一例である。
以上説明したように、第12実施形態によれば、第11実施形態と同様の効果を得ることができる。
[効果]
実施形態に係る眼科装置、及び眼科システムの効果について説明する。
実施形態に係る眼科装置(手術用顕微鏡10、10a~10h、10j~10m)は、対物レンズ(20)と、第1照明光学系(30L、30R)と、左眼用観察光学系(40L)と、右眼用観察光学系(40R)とを含む。第1照明光学系は、対物レンズの光軸と略同軸に配置され、対物レンズを介して被検眼(被手術眼)に第1照明光を照射可能に構成される。左眼用観察光学系は、被検眼の第1部位に焦点位置が配置され、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ(65L)又は左眼用撮像素子(撮像素子62L)に導くことが可能に構成される。右眼用観察光学系は、第1部位と異なる被検眼の第2部位に焦点位置が配置され、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ(65R)又は右眼用撮像素子(撮像素子62R)に導くことが可能に構成される。
このような構成によれば、被検眼における左眼用の焦点位置と被検眼における右眼用の焦点位置とを異ならせるようにしたので、焦点深度を擬似的に深くすることができる。それにより、被検眼を立体的に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系及び右眼用観察光学系のそれぞれの焦点位置は、独立に変更可能に構成される。
このような構成によれば、所望の焦点深度で、被検眼を擬似的に立体観察することが可能になる。
いくつかの実施形態は、対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、対物レンズを介して被検眼に第1照明光と異なる色温度の第2照明光を照射可能な第2照明光学系を含む。左眼用観察光学系は、第2照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能に構成される。右眼用観察光学系は、第2照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能に構成される。
このような構成によれば、角膜等からの反射に基づくゴーストの影響を回避しつつ、検者又は術者は無理なく被検眼を観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系は、左眼用撮像素子に対し被検眼の側に配置された第1左眼用結像レンズ(結像レンズ61L)を含み、右眼用観察光学系は、右眼用撮像素子に対し被検眼の側に配置された第1右眼用結像レンズ(結像レンズ61R)を含む。眼科装置は、第1左眼用結像レンズ及び第1右眼用結像レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動する第1移動機構(移動機構61d)を含む。
このような構成によれば、左右の観察光学系のいずれかにおいて、撮像素子に対して結像レンズを移動するようにしたので、所望の焦点深度で、被検眼を擬似的に立体観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系は、左眼用接眼レンズに対し被検眼の側に配置された第2左眼用結像レンズ(結像レンズ64L)を含み、右眼用観察光学系は、右眼用接眼レンズに対し被検眼の側に配置された第2右眼用結像レンズ(結像レンズ64R)を含む。眼科装置は、第2左眼用結像レンズ及び第2右眼用結像レンズの少なくとも一方を光軸方向に移動する第1移動機構を含む。
このような構成によれば、左右の観察光学系のいずれかにおいて、接眼レンズに対して結像レンズを移動するようにしたので、所望の焦点深度で、被検眼を擬似的に立体観察することが可能になる。
いくつかの実施形態は、左眼用観察光学系及び右眼用観察光学系のそれぞれの焦点位置が被検眼の所定部位になるように第1移動機構を制御する制御部を含む。
このような構成によれば、眼底等の所定部位を双眼で詳細に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態は、左眼用撮像素子及び右眼用撮像素子の少なくとも一方を光軸方向に移動する第2移動機構(移動機構62d)を含む。
このような構成によれば、左右の観察光学系のいずれかにおいて、撮像素子に対して結像レンズを移動するようにしたので、所望の焦点深度で、被検眼を擬似的に立体観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系及び右眼用観察光学系のそれぞれの焦点位置が被検眼の所定部位になるように第2移動機構を制御する制御部を含む。
このような構成によれば、眼底等の所定部位を双眼で詳細に観察することが可能な画像を取得することができるようになる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系は、左眼用撮像素子に対し被検眼の側に配置された第1左眼用結像レンズ(結像レンズ61L)を含み、右眼用観察光学系は、右眼用撮像素子に対し被検眼の側に配置された第1右眼用結像レンズ(結像レンズ61R)を含む。眼科装置は、左眼用撮像素子と第1左眼用結像レンズとの間の光路、又は右眼用撮像素子と第1右眼用結像レンズとの間の光路に対して挿脱可能な光学素子(平行平面板80)を含む。
このような構成によれば、左右の観察光学系において、結像レンズ及び撮像素子を移動させることなく、焦点深度を擬似的に深くすることができる。それにより、被検眼を立体的に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系は、左眼用接眼レンズに対し被検眼の側に配置された第2左眼用結像レンズ(結像レンズ64L)を含み、右眼用観察光学系は、右眼用接眼レンズに対し被検眼の側に配置された第2右眼用結像レンズ(結像レンズ64R)を含む。眼科装置は、左眼用接眼レンズと第2左眼用結像レンズとの間の光路、又は右眼用接眼レンズと第2右眼用結像レンズとの間の光路に対して挿脱可能な光学素子(平行平面板80)を含む。
このような構成によれば、左右の観察光学系において、結像レンズ及び接眼レンズを移動させることなく、焦点深度を擬似的に深くすることができる。それにより、被検眼を立体的に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、光学素子は、平行平面板を含む。
このような構成によれば、低コストで、焦点深度を擬似的に深くすることができる。
いくつかの実施形態では、第1部位及び第2部位の一方は、角膜又はその近傍であり、第1部位及び第2部位の他方は、前嚢又はその近傍である。
このような構成によれば、被検眼の前眼部を擬似的に立体的に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態は、対物レンズを介して入射する照明光の戻り光を対物レンズの光軸に交差する方向に偏向して左眼用観察光学系及び右眼用観察光学系に導く偏向部材(ダイクロイックミラーDM1、反射ミラーRM1)を含む。
このような構成によれば、対物レンズの光軸に交差する方向に観察光学系が配置される。一般的に照明光学系の光路長より観察光学系の光路長が長いため、検者又は術者の正面に観察光学系が配置されることなく、被手術眼の上方の空間の空きスペースを増やすことができる。それにより、検者又は術者は、観察光学系に視界を遮られることなく、無理なく正面の状況を把握することができるようになる。また、検者又は術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、検者又は術者の負担を小さくすることができるようになる。
いくつかの実施形態は、左眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果と右眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果とに基づいて被検眼の画像を表示手段(表示装置3)に表示させる表示制御部(制御部200等)を含む。
このような構成によれば、検者又は術者の正面に光路長が長い観察光学系が配置されることなく、検者又は術者は無理なく正面の被検眼の画像を把握することができるようになる。
いくつかの実施形態では、表示制御部は、左眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果に基づいて生成された左眼用画像と、右眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果に基づいて生成された右目用画像とを表示手段に表示させる。
このような構成によれば、検者又は術者の正面に光路長が長い観察光学系が配置されることなく、検者又は術者は無理なく正面の被検眼の画像を立体視することができるようになる。
いくつかの実施形態に係る眼科システム(1)は、上記に記載の眼科装置と、表示手段と、を含む。
このような構成によれば、焦点深度を擬似的に深い画像を視認させることが可能になる。
また、このような構成によれば、検者又は術者は、観察光学系に視界を遮られることなく、無理なく正面の被手術眼の画像を把握することができるようになる。また、検者又は術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、検者又は術者の負担を小さくすることができるようになる。
上記の実施形態は、本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明を実施しようとする者は、本発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加、置換等を施すことが可能である。
例えば、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つは、光軸に沿って手動により移動可能に構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、結像レンズ61L、61R、撮像素子62L、62Rの少なくとも1つは、突き当てにより位置が固定される。