JP3189532U - 建物の遮熱および断熱システム - Google Patents

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Abstract

【課題】建物内の断熱を必要とする部屋全体を遮熱シートと断熱材で囲み、熱の大部分が輻射熱として移動することに着目して、この輻射熱を遮断して飛躍的に暖冷房効率の高い高気密、高断熱の内部空間を構築する断熱システムを提供する。
【解決手段】遮熱シート28は、建物内部の複数の室内空間10や通路空間1
1等の建物内の空調を必要とする部屋全体を囲むように覆っている。天井の屋根裏空間14には、桟状の下地取付材が取り付けられ、この下地取付材には遮熱シート28が取り付けられ、一方、柱等の構造材には断熱材29が屋根裏の天井裏全体を覆うように設けられている。天井面36の下地材と仕上材と断熱材29との間には、熱の遮蔽空間をなす静止空気層が設けられている。この静止空気層の中間位置で、天井の下地取付材に遮熱シート28が天井裏空間15の全体を覆うように取り付けられている。
【選択図】図1

Description

本考案の遮熱および断熱システムは、建物の内や外から発生する熱、特に体感温度の75%を占めるといわれる輻射によって伝わる熱から建物内の部屋全体を遮断することで、建物内の室内温度を一年中ほぼ一定に保つことができるシステムに関する。太陽や外部からの輻射熱の侵入を防ぎ、また室内に設けられた暖冷房装置等から供給される熱や冷気が外部へ輻射熱や伝導熱として逃げることを極力抑えることにより、建物内の暖冷房効率を高めて省エネルギーに大きく寄与できる建物の遮熱および断熱システムに関する。
従来の建物の断熱構造は、建物の外側に面した外壁の裏側と部屋の内壁や仕切り用の壁との間にグラスウールや断熱パネル等の断熱材を使用して、熱の伝導を阻止する構造が主体であった。しかし最近の知見では、外からの建物への熱の移動は、太陽光が直接降り注ぐ屋根からは90%以上、外壁等の側面からは65%以上、そして基礎を介して床下からも50%以上が輻射熱の移動によって伝わり、伝導による熱の移動は僅か5〜7%程度といわれている。従来の断熱材を主体にした断熱構造では、室外や室内からの熱の移動は断熱材により伝わり難いが、一旦断熱材に熱が伝わると、その熱は断熱材内で長時間保持され、夏は暖かい状態が長く維持される欠点があった。
最近、樹脂性のシートの表面をアルミやアルミ箔等で被覆したシートの内部に、断熱材として空気や断熱素材を充填した遮熱材(以下、単に「遮熱シート」という。)が使用されてきた。この遮熱シートを用いたこれまでの家の断熱構造は、家の内外を仕切る仕切構造、すなわち屋根や壁また床の構造内において、室内側に近い壁等の構造体の側面に遮熱シートを設置している。また、屋根裏直下に遮熱シートを設けた構造では、温度調節のための断熱を必要とする室内空間の他に、温調が不要な天井と屋根裏との空間をも含めて大きな空間を遮熱していた。(特許文献1および2参照)
また遮熱シートの両表面に空隙層を設けた構造の場合で、遮熱シートと接触する空隙層の空気が流動する場合は、部屋の内装材と遮熱シートに挟まれた空隙層の中を空気が移動することになる。このように空気が流動する構造では、アルミ等の金属膜は熱を伝え易いことから、遮熱シートに熱が伝わり断熱および遮熱効果が劣る欠点があった。(特許文献3参照)
一方、断熱材に遮熱シートを直接貼り付けた構造の場合は、熱伝導率が高い金属表面のアルミニューム等に断熱材の熱が伝わる。そのために遮熱シートの反射面の温度が高くなり、伝導熱の影響が大きい欠点があった。
また、個々の部屋ごとに断熱材で囲む構造では、部屋ごとに断熱施工を行う煩わしさと費用がかかり、建物全体の温度を均一に保持することが困難であった。
特開2004−100428号公報 特開2007−107360号公報 特開2012−112207号公報
以上の従来例によれば、遮熱シートで覆われた内部空間には、空調が不要な屋根裏空間や使用しない部屋等が含まれるため、暖冷房する建物の内部容積は大きくなり、室内空間の暖冷房に要するエネルギー消費量は大きくなる。すなわち建物の使用目的に応じて遮熱および断熱空間を調整できる構造ではない。
さらに、内外壁の中の空隙層において、遮熱シートと接触する空気が流動する構造の場合は、遮熱シートは、部屋や建築構造体の熱が遮熱シートに伝導により伝わる。従って建物内部や内壁裏の空気が流動する間に、部屋を暖め、または冷やす為の空調の熱が遮熱シートに伝導されて逃げることになる。
また断熱材と遮熱シートを接触して設けた場合は、太陽熱等によって外装材は暖められ、その熱は接している断熱材と透湿・防水シートそして遮熱シートを通じて壁体の構造材に伝導で熱が伝わって侵入する。暖められた断熱材および遮熱シートは、全体が暖められて輻射熱を発生する。そして家の構造体内の空気層を通って、室側の壁体構造材に輻射熱として伝わる。一方、熱は断熱材の内部に長時間滞留するため、その多くが部屋の内部に伝わる。すなわち断熱材と遮熱シートを接触して設けたことにより、建物の外部や内部で発生する熱の移動量が大きくなる欠点があった。
そこで、本考案の遮熱および断熱システムは、室内空間に設けたエアコンディショナ等の暖冷房装置から発生する熱や冷気で直接暖め、または冷却された周囲の床や壁、天井の仕上材と下地材から発生する輻射熱を、遮熱シートで遮断して内部空間に閉じこめ、飛躍的に暖冷房効率の高い高気密、高断熱なシステムを提供することを目的とする。
さらに建物の内部空間内の使用頻度の高い空間(室内空間と室内に接する通路空間等)の空気を循環させて、天井が高い室内空間でも上下の温度差を解消できる。また室内の使用状況に応じて、空調が必要のない部屋への供給を抑え、限定された部屋の空気のみを循環供給するシステムであり、低コストで暖冷房効率の高い建物の遮熱および断熱システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、第一の考案として、建物の遮熱および断熱を必要とする部屋全体の天井裏面および外壁に面した内壁裏面並びに一階床下の裏面を、静止空気層を挟んで遮熱シートで全体を覆い、さらに前記遮熱シートの外側に静止空気層を挟んで断熱材で前記遮熱シート全体を覆ったことを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
また第二の考案として、前記遮熱シートの両表面は光沢のある金属または金属箔で被覆されており、前記遮熱シートの内部は空気または/および断熱材が充填されていることを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
また第三の考案として、前記遮熱シートで覆われた部屋の空気を循環させる分配装置と、前記分配装置と連結して前記部屋の上方の位置で空気を吸込口から吸い込むファン装置と、前記分配装置と連結して吸込んだ前記空気を前記各部屋に送るダクトと、前記ダクトと連結して前記部屋内に空気を送出する吹出口からなることを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
また第四の考案として、前記吹出口において、前記部屋内に送出す空気の量を調整可能な構造としたことを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
また第五の考案として、前記分配装置には、空気の浄化フィルタを設けたことを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
また第六の考案として、前記ダクトと前記吹出口の間にチャンバを設けて連結し、前記外壁に面して設置するチャンバまたは/およびダクトを遮熱シートで被覆することを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
さらに第七の考案として、前記建物の外壁および屋根の外装材に接した建物内の裏側に通気層と、前記外壁の下方の位置で前記通気層に繋がる空気導入口を設け、外気を前記通気層を通して屋根に設けた排気口から排出することを特徴とする建物の遮熱および断熱システムである。
本考案によれば、室内空間に設けたエアーコンディショナー等の暖冷房装置の熱、特に建物の熱移動の75%程度を占める輻射熱を室内に留めることができと共に、太陽光や基礎地面等の建物外からの輻射熱の建物内への侵入を遮断することができる。遮熱シートで覆われた内部空間は、屋根裏空間や床下空間等の空調を必要としない空間を除いた限定された容積となるために、暖冷房効率の高い高気密・高断熱の内部空間を構築することができる。遮熱シートを室内空間に面した構造材(外壁等)の内側に設置するために、床、壁、天井の入隅で切目無く連続して繋がり、遮熱シートで全体を覆った内部空間は、あたかも魔法瓶の内部の如く、外部に逃げる熱を最小限に留めるため、省エネ効率の高い建物の遮熱および断熱システムを構築することができる。
また本考案によれば、使用頻度の高い空間(室内空間と室内空間に接する通路等)の空気を循環させて各空間に空気を吹込むことにより、天井面と床面付近での空気の温度差が解消でき、建物内の温度が均一化される建物の遮熱および断熱システムである。
また本考案によれば、空気は浄化フィルタを通して循循するため、微細な塵、埃、花粉、カビ等は、常に除去されて、清浄な空気を循環できる建物の遮熱および断熱システムである。
また本考案によれば、部屋に設置した吹出口は手動または自動で簡単に操作出来るため、特定の部屋を使用しない時は、そこに設置された吹出口を閉めて余分な空気を供給させなくて済む。また部屋の使用目的に合わせて吹き出す空気の量が調整できる建物の遮熱および断熱システムである。
さらに本考案によれば、外壁の外装材等の建物内裏側に設けた通気層の下端に導入口を設け、この導入口から入った外気は、外壁と屋根の外装材又は下地材等の熱を奪って通気層の中を上昇し、屋根に設けた排気口から建物内の熱や湿気が排出され、熱の建物内の侵入を防ぐ、建物の遮熱および断熱システムである。
本考案に係る遮熱および断熱システムにおいて、空気の分配装置を二階天井裏空間に設置した第1実施例を示す断面図である。 本考案に係る遮熱および断熱システムにおいて、空気の分配装置を床下空間に設置した第2実施例を示す断面図である。 本考案に係る遮熱シートの構造例を示した要部拡大断面図である。 天井の遮熱および断熱構造を示す図1,2のA-A矢視の拡大断面図である。 外壁の遮熱および断熱構造を示す図1,2のB-B矢視の拡大断面図である。 床の遮熱および断熱構造を示す図1,2のC-C矢視の拡大断面図である。 本考案に係る空気の分配装置の平図面である。 本考案に係る一階室内用チャンバと吹出口を示した断面図である。 本考案に係る二階室内用チャンバと吹出口を示した断面図である。 本考案に係る吹出口の蓋の位置を示した断面図で、(A)は蓋を閉めた状態、(B)は蓋を半開にした状態、(C)は蓋を全開にした状態を示す。 遮熱シートを設けないで、外壁の内側を断熱材のみで囲んだ8畳部屋内部の温度変化を示したもので、エアコンで冷房自動運転した状態の数日間の温度変化グラフである。 本考案の遮熱シートと断熱材とで囲んだ建物内部の8畳部屋内の温度変化を示したもので、エアコンで冷房自動運転した状態の数日間の温度変化グラフである。
以下、本考案の実施の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本考案の建物における遮熱および断熱システムの第1実施例を示した断面図である。図1の破線で示す遮熱シート28は、建物内部の複数の室内空間10や通路空間11等の建物内の空調を必要とする部屋全体を囲むように覆っている。
図4は、図1のA−A矢視図で、天井の屋根裏空間14には、桟状の下地取付材45が取り付けられ、この下地取付材45には遮熱シート28が取り付けられ、一方、柱等の構造材46には断熱材29が屋根裏の天井裏全体を覆うように設けられている。
天井面36の下地材44と仕上材43と断熱材29との間には、熱の遮蔽空間をなす静止空気層47が設けられている。この静止空気層47の中間位置で、天井の下地取付材45に遮熱シート28が天井裏空間15の全体を覆うように取り付けられている。
図3は遮熱シート28の構造を示した断面図である。遮熱シート表面41には、樹脂等の断熱性の高いアルミやアルミ箔、または光沢のある他の金属箔が被覆されており、太陽からの輻射熱49や暖冷房装置ACで暖められた部材等から発生する輻射熱48の大部分、例えば97%以上を反射できる構造となっている。
この遮熱シート表面41の内部には、気泡緩衝材42の空気層または他の断熱材29が充填され、断熱層としての機能を有している。被覆された片方の金属表面の熱は、反対表面に伝導熱として伝わり難い構造となっている。このような構造を有するので、遮熱シート28は、太陽熱や室内の暖冷房装置ACから発生する輻射熱48,49の大部分を反射することができる。また内部の断熱層により、断熱効果も高い構造である。
次に図1のB−B矢視図で、図5に示す外壁26、空気の通気層39、透湿・防水シート38および構造材46に取り付けられた断熱材29からなる外壁構造と、室内下地材44と仕上材43の内壁構造との間には静止空気層47が設けられている。
そして前記静止空気層47の内部の中間位置に、室内側の下地取付材45に遮熱シート28が、空調を必要とする部屋全体の側面を覆い囲むように設けられている。
次に図1のC−C矢視図で,図6に示す床下空間12側には、柱等の構造材46に取り付けられた断熱材29が設けられている。室内空間10側には、断熱材29と床の下地材44および仕上材43との間に静止空気層47が設けられている。桟状の下地取付材45には、床下全体に遮蔽シート28が床下全体を覆うように取り付けられている。
従って、建物の内部は、断熱材29と下地材44の間の静止空気層47に覆われ、その静止空気層47の中間位置には、遮熱シート28が空調を必要とする部屋の床下全体を囲むように覆っている。一方、配管や配線等が必要な箇所は、図示しない断熱中空パイプ等を介して管や線の通過が可能となっている。
以上の構成により、本考案の遮熱および断熱システムは、コンクリート基礎31からの輻射熱48を遮断し、極めて密閉性が高く遮熱および断熱効果が高い建物の内部空間を構築している。
次に、本考案の遮熱および断熱システムの作用を、図を用いて説明する。図3に示すように、 遮熱シート28の構造は、空気の気泡緩衝材42等を充填し、両面には放射される輻射熱48、49を効率よく反射する金属箔等を被覆したシートである。
よって室内に設けられた暖冷房装置AC等から発生する熱を起因とした輻射熱48は、静止空気層47を挟んで遮熱シート表面41に到達し、その輻射熱48の大部分が反射される。太陽からの輻射熱49の大部分も、遮熱シート28によって反射される。人が感ずる熱の75%程度は輻射熱48,49からの放射によるものとされているので、部屋全体を被覆した遮熱シート28によって、部屋内外からの熱の移動は阻止される。
また太陽からの輻射熱49により熱を受ける外壁26や屋根27は、その下地材44と透湿・防水シートまたは防水シート38に伝わって温まり、断熱材29に熱が遅れて伝わる。しかし断熱材29と遮熱シート28の間には、静止空気層47があるために、断熱材29に伝わった輻射熱49は、その多くが反射される。
また遮熱シート28の内部には、気泡緩衝材42等の断熱層があるために、伝導による熱の移動も阻止される。
建物の外壁からの熱の移動に関して、断熱材29、透湿・防水シート38と外壁26に囲まれた空間の空気は、太陽等で温められる。
図1で示すように、外壁26の下方に設けられた空気導入口37から入った外気は、通気層39の中を上方へと移動して屋根27に設けられた排気口40から排出される。このときに外壁26の内部を覆う部材の熱や湿気は、上昇する空気に奪われて建物の外に排出されて、室内空間10への熱の影響は少ない。
天井裏空間15の空気は、図4に示すように、室内の暖冷房装置ACから放出される熱や冷気を受けた仕上材43と下地材44等は、温められまたは冷却されて、その表面からは輻射熱48が発生する。この輻射熱48は、静止空気層47を挟んで遮熱シート28に届くが、その大部分は反射される。
また遮熱シート28の内部には、気泡緩衝材42等があるために、伝導熱は伝わり難くい。すなわち室内空間10側に発生した熱は室内に留まる。室内は暖冷房装置ACで暖められまたは冷却されるが、輻射や伝導による熱の移動は阻止されて、暖冷房効率を高める機能を備えた遮熱および断熱構造である。
同様に、室内空間10の遮熱および断熱構造も、図5に示すように、室内の暖冷房装置ACから発生する熱や冷気を受けた仕上材43と下地材44は温まりまたは冷やされる。それらの部材表面から発生する輻射熱48は、静止空気層47を挟んで遮熱シート28に届くが、その多くは反射される。
また、遮熱シート28の内部には、断熱効果が高い気泡緩衝材42等があるため、伝導熱としても伝わり難く、室内空間10に熱や冷気は留まり、暖冷房効率を高める機能を備えた遮熱および断熱構造である。
一方、太陽からの輻射熱49は外壁26、通気層39を挟んで断熱材29を遅れて温める。温まった断熱材29の熱は、静止空気層47を挟んで遮熱シート28に輻射熱49として届くが、その多くは遮熱シート28によって反射される。
同様に、一階の床構造内の空間17の遮熱および断熱構造も、図6に示すように、室内の暖冷房装置ACから発生する熱を受けた仕上材43と下地材44は温まるが、それらの表面から発生する輻射熱48は、静止空気層47を挟んで遮熱シート28に届くが、その多くは反射される。
また、遮熱シート28の内部には、断熱効果が高い気泡緩衝材42等があるため、伝導熱として伝わり難く、室内空間10側に熱は留まり、暖冷房効率を高める機能を備えた遮熱および断熱構造である。
次に、図1に示す本考案の実施例1の場合は、屋根裏空間14の内部で二階の室内空間10の上方に位置する二階天井空間14aには、図7で示す室内空気の分配装置19と、これに連結して空気を吸い込んで送り出すファン装置18が設けられている。
分配装置19の内部には、空気の浄化フィルタ20が設置されている。浄化フィルタ20を通過した空気は、粉塵やダニの死骸等の汚染物質が取り除かれて浄化される。
ファン装置18の吸入力で吸込口25から吸い込まれた空気は、吸入用ダクト30を通り浄化フィルタ20を通過して空気の分配装置19へと導かれる。
次に、分配装置19の空気の一部は、一階の室内空間10へ空気送出用のダクト22へ、同じく二階の室内空間10へ空気を送り出す別のダクト22へ分配される。なお、空気の分配装置19と連結されるダクト22の一方または両方には、各階の空気送出量の分配割合を調整する図示しない流量調整弁が設けられている。なお、二階天井空間14aの構造は、上述の天井と同様の遮熱および断熱構造(A−A断面)を有している。
分配装置19の一方のダクト22を通って送り出された浄化された空気は、内壁構造内の空間16aと外壁構造内の空間16に配置されたダクト22を通り一階の室内空間10に送られる。他方のダクト22を通って送り出された浄化された空気は、内壁構造内の空間16aと外壁構造内の空間16に配置されたダクト22を通って二階の室内空間10へ分配される。
図8で示すように、一階室内用に配管されたダクト22は、一階室内空間10の内壁裏面に設けられた一階室内用チャンバ23aで、その上部に設けられたダクト取付部材33と連結される。一階室内用チャンバ23aの下部に位置し、室内空間10の内部に通じる取付部24には吹出口50が取り付けられ、分配装置19からの空気を一階の室内空間10へ送り出す。
この吹出口50は、室内空間10への空気の吹出量を手動または自動で調節可能となっている。この吹出口50は、図10で示すように、先端に設けられた蓋51の出入り量を調節することで、一階室内用チャンバ23aから吹き出す空気の開閉や空気の吹き出し量が調節できる。
二階室内用ダクト22は、図9で示すように、二階室内空間10の内壁裏面に設けられた二階室内用チャンバ23bで、その下部に設けられたダクト取付部材33と連結される。二階室内用チャンバ23bの上部に位置し、室内空間10の内部に通じる取付部24には、吹出口50が取り付けられ、分配装置19からの空気を二階の室内空間10へ送り出す。
この吹出口50は、室内空間10への空気の吹出量を手動等で調節可能となっている。個の吹出口50は、上記と同様に先端に設けられた蓋51の出入り量を調節することで、二階室内用チャンバ23bから吹き出す空気の開閉や吹き出し量が調節できる。
以上、分配装置19から各ダクト22を通して室内空間10へ送られる空気は、チャンバ23aまたは23bを通って吹出口50から送り出される。建物の構造によっては、ダクト22と吹出口50の間に上記チャンバ23(一階室内用チャンバ23aと二階室内用チャンバ23b)を介さないで、ダクト22と吹出口50を直接連結して送り出す構造でもよい。
本考案によるダクト22は、例えば蛇腹形状を有し,建物の内部全体を覆った遮熱シート28より室外側に面する天井裏空間15と、同じく室外側の外壁構造内の空間16と、内壁構造内の空間16aと一階天井裏空間13と、床構造内の空間17に設置される。
この場合に、ダクト22と、これに連結するチャンバ23を遮熱シート28よりも外壁側に位置して設置する場合は、チャンバ23または/およびダクト22を遮熱シート28で被覆して、輻射熱による熱の移動を防いでさらに暖冷房効果を高めてもよい。
次に本考案の建物における遮熱および断熱システムの第2実施例を述べる。第1実施例と同じ部材の詳細な説明は省略する。
図2は、本考案の第2実施例を示した断面図である。実施例2では、床下空間12の位置で、室内空間10の下方に位置する床下空間12aには、実施例1と同様の機能を有する室内空気の分配装置19と、空気を吸入し送り出すファン装置18が配置してある。
空気は、分配装置19内に設けられた浄化フィルタ20を通過し、浄化された後、浄化空気の状態で床構造内の空間17、内壁構造内の空間16a、外壁構造内の空間16、一階天井裏空間13および二階天井空間14aに配置した一階室内用のダクト22と二階室内用のダクト22を通して運ばれ、各室内空間10の壁に設けられた吹出口50から送り出される。
ダクト22と空気の室内側出口に設けられた吹出口50との間に設けられたチャンバ23bは、外壁26と部屋側の内壁との間の空間に設けられている。図9で示すように、ダクト22は、チャンバ23bのダクト取付部材33により連結される。
チャンバ23bの上方に位置した取付部24には、室内空間10への空気の送出量が調節可能な吹出口50が接続されている。この吹出口50は、実施例1と同様に空気の開閉や吹き出し量を手動等で調節可能になっている。
空気が送り出された各室内空間10のドアの隙間や他の空間から通路空間11等の室外に押出された空気は、建物内を上昇し、建物の上方に設置された吸込口25から吸入される。
本考案の第2実施例では、前記ファン装置18によって二階から一階の下方へと空気を吸入する吸入用ダクト30を通して吸入し、床下空間12aに設けられた分配装置19と浄化フィルタ20を通って、ダクト22を通して建物内部の各室内空間10へ浄化された空気が分配される。実施例2においても、遮熱シール28、静止空気層47と断熱材29で覆われた構造により、室内空間10の内や外からの輻射や伝導による熱の移動が阻止され、熱損失が極めて少なく、かつ浄化された空気の循環が行われる。
次に、本考案の遮熱および断熱システムの効果の実証実験を行った結果を、図11と図12を用いて説明する。
ともに、夏日の数日間連続して測定した室内における24時間の温度変化を示したものである。グラフの横軸は時刻、縦軸は室内温度を表している。測定した室内は、共に8畳間(天井高さ2.4m)で、部屋の内部は窓を含めて同じ構造と容積で、仕上材43等も同一の部材で造ってあり、太陽への向きも同一である。
図11で示す従来工法の断熱構造である部屋の外壁は、断熱材29のみ施した部屋である。外壁と内壁の間に断熱材29を設けた構造であり、遮熱シートは使用していない。温度測定は床上0.6mの位置で測定した。
これに対して図12の実験を行った部屋は、図11と同一の建物内の同一階の部屋で、床、壁、天井の裏側全体を遮熱シートで覆った本考案の遮熱・断熱構造を用いた8畳の部屋(天井高さ2.4m)である。温度測定は、人が生活する高さに近い床上1.4mの位置で測ったデータである。(測定高さによる温度変化は、下方より上方の位置で測定したほうが大きな値となる。)
図11は、従来の断熱工法で作った建物内の部屋における温度変化を示した実験データのグラフである。冷房は、朝6時から夜の7時前後までエアコンディショナーの冷房自動運転を稼動し、室温の変化を自動測定した結果である。図11に示すように、冷房自動運転が稼動している日中は、設定温度(摂氏27度〜29度)近くまで冷えるが、運転を停止すると室温はたちまち上昇する。例えば35度前後まで上昇し、以降は外気が冷えてくるとともに室内温度も下がる。
この実験からは、外壁・内壁間の断熱材29のみの構造では、室温は建物の外部の温度に大きく左右され、熱の室内外への移動が大きいことがわかる。
これに対して、本考案の遮熱シート28および断熱材29で建物内の部屋全体を覆い、図11と同様の実験を行った結果が図12のグラフである。これから明らかなように、室内の温度変化は極めて少なく、24時間中において摂氏26度〜29度のわずか3度程度の温度変化に留まっている。高温になる日中においても、太陽光や外気の影響を大きく受けることなく、室温をほぼ設定温度に保っている。エアコンディショナーの冷気の逃げも極めて少ない。
本考案の遮熱シート28および断熱材29で建物内の部屋を覆うことにより、熱の移動が少なく室温をほぼ一定に保持できることが分かる。このことから、暖冷房装置ACのエネルギー消費量が少なくても室内の温度を一定に保つことが可能となる。
さらに、空調が必要な部屋への選択的な空気の供給や、浄化フィルタ20を通して空気を浄化させて循環させることで、粉塵やダニの死骸等の汚染物質が取り除かれ、快適な住環境が実現可能となる。
AC 暖冷房装置
10 室内空間
11 通路空間
12 床下空間、12a 床下空間
13 一階天井裏空間
14 屋根裏空間、14a 二階天井空間
15 天井裏空間
16 外壁構造内の空間、16a 内壁構造内の空間
17 床構造内の空間
18 ファン装置
19 分配装置
20 浄化フィルタ
22 ダクト
23 チャンバ、23a 一階室内用チャンバ,23b 二階室内用チャンバ
24 取付部
25 吸込口
26 外壁
27 屋根
28 遮熱シート
29 断熱材
30 吸入用ダクト
31 コンクリート基礎
33 ダクト取付部材
36 天井面
37 空気導入口
38 透湿・防水シート(壁)、防水シート(屋根)
39 通気層
40 排気口
41 遮熱シート表面
42 気泡緩衝材、断熱材
43 仕上材
44 下地材
45 下地取付材
46 構造材
47 静止空気層
48 輻射熱
49 太陽からの輻射熱
50 吹出口
51 蓋

Claims (7)

  1. 建物の遮熱および断熱を必要とする部屋全体の天井裏面と外壁に面した内壁裏面並びに一階床下の裏面を、静止空気層を挟んで遮熱シートで全体を覆い、さらに前記遮熱シートの外側に静止空気層を挟んで断熱材で前記遮熱シート全体を覆ったことを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
  2. 請求項1において、前記遮熱シートの表面は光沢のある金属または金属箔で被覆されており、前記遮熱シートの内部は空気または/および断熱材が充填されていることを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
  3. 請求項1または2において、前記遮熱シートで覆われた部屋の空気を循環させる分配装置と、前記分配装置と連結して前記部屋の上方の位置で空気を吸込口から吸い込むファン装置と、前記分配装置と連結して吸込んだ前記空気を前記各部屋に送るダクトと、前記ダクトと連結して前記部屋内に空気を送出する吹出口からなることを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
  4. 請求項3において、前記吹出口は、前記部屋内に送出す空気の量を調整可能な構造としたことを特徴とする記載の建物の遮熱および断熱システム。
  5. 請求項3または4において、前記分配装置には、空気の浄化フィルタを設けたことを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
  6. 前記請求項3ないし5のいずれかにおいて、前記ダクトと前記吹出口の間にチャンバを設けて連結し、前記外壁に面して設置するチャンバまたは/およびダクトを遮熱シートで被覆することを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
  7. 前記請求項3ないし6のいずれかにおいて、前記建物の外壁および屋根の外装材に接した建物内の裏側に通気層と、前記外壁の下方の位置で前記通気層に繋がる空気導入口を設け、外気を前記通気層を通して屋根に設けた排気口から排出することを特徴とする建物の遮熱および断熱システム。
JP2013006520U 2013-11-15 建物の遮熱および断熱システム Expired - Lifetime JP3189532U (ja)

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US20220018560A1 (en) * 2020-07-16 2022-01-20 Kimura Kohki Co., Ltd. Air conditioning system

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