JP3188729B2 - 精密スライド機構 - Google Patents

精密スライド機構

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JP3188729B2
JP3188729B2 JP15984191A JP15984191A JP3188729B2 JP 3188729 B2 JP3188729 B2 JP 3188729B2 JP 15984191 A JP15984191 A JP 15984191A JP 15984191 A JP15984191 A JP 15984191A JP 3188729 B2 JP3188729 B2 JP 3188729B2
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俊郎 森川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,リード加工用刃
物台装置等におけるスライダを高速で往復運動させる精
密スライド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,リード加工用刃物台装置のスライ
ド機構としては,例えば,特開平2−180503号公
報に開示されたものがある。該リード加工用刃物台装置
のスライド機構を図8及び図9を参照して概説する。図
8はリード加工用刃物台装置を示す断面図,及び図9は
図8のリード加工用刃物台装置の側面図である。
【0003】図8及び図9に示すように,リード加工刃
物台装置80は,刃物81即ちバイトを取り付けた刃物
取付用スライダ82に往復運動を与える機能を有し,テ
ーブル83に固定されたサーボモータ84,サーボモー
タ84の駆動軸と一体構造の回転軸86に形成した雄ね
じ861,雄ねじ861に螺合し且つ回転軸86の回転
運動に応じて往復運動可能なナット部材862,ナット
部材862に固定され且つ一端に刃物81を取り付けた
スライダ82,及びスライダ82を往復運動可能に支持
する軌道台としてのスライドベース85から構成されて
いる。
【0004】スライダ82は,スライドベース85との
間にエア軸受90を構成して支持されている。スライダ
82は,図9に示すように,断面形状が四角形に形成さ
れている。スライドベース85の支持面850は,スラ
イダ82の外周面820に対応するように,スライドベ
ース85も断面四角形状に形成されている。スライドベ
ース85は,4つのプレート,即ち,底面を形成するス
ライドベース部材851,上面を形成するスライドベー
ス852,両側面を形成するスライドベース部材85
3,854から構成されている。これらのスライドベー
ス部材851,852,853及び854には,スライ
ドベース85とスライダ82との間にエア軸受90を構
成するため,エア供給手段(図示せず)から圧縮エアが
供給されるエア導入通路91がそれぞれ形成されてい
る。スライドベース85の内周面,即ち,スライドベー
ス部材851,852,853及び854の内面には,
エア導入通路91に連通するエア溝が中央部に形成され
ると共に,両側部にはスライド方向(図8に示すZ方
向)に延びるエア逃げ溝92,93が形成されている。
リード加工用刃物台装置のスライド機構は,エア軸受9
0を採用した場合に,スライダ82とスライドベース8
5とのギャップは5〜8μm程度に保持されるので,摩
擦がなく,摩耗が発生することがなく,サーボモータ8
4の回転角度に対応して応答性が良く,高速往復運動が
可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記リード
加工用刃物台装置のスライド機構において,図8に示す
ように,スライダ82に取り付けたバイトホルダ87に
バイト81を固定して,バイト81によって工作物をリ
ード加工する場合に,両側面に配置されたスライドベー
ス部材853,854は,加工精度に影響する方向の面
となる。即ち,加工精度に影響する方向とは,工作物の
回転中心とバイト81の刃先とを結ぶ半径方向〔図9に
示す水平方向(X軸)又は上下方向(Y軸)〕であり,
加工精度を上げるにはこれらの方向のバイト81の支持
状態を堅固なものにしなければならない。ここで,直進
精度の必要な面の方向,即ち,上下方向及び水平方向を
必要直進精度方向と称することにする。
【0006】しかしながら,スライドベース部材85
1,852,853及び854の内面即ち軌道面の方向
は必要直進精度方向と同一方向であるため,軌道面の加
工精度がスライダ82の直進精度に直接影響する。スラ
イドベース85及びスライダ82の加工精度や摩耗は,
スライダ82の直進精度に直接影響する。また,従来の
リード加工用刃物台装置のように,スライド機構として
エア軸受90を採用した場合に,スライダ82は,軌道
台上を非接触で往復運動することになるので,スライダ
の支持機構の剛性や往復運動時に発生する振動の減衰性
が不足するという問題がある。また,スライダ82に滑
り軸受を採用した場合には,高速運動に対応できない
し,ボールを介在させた軸受を採用した場合にやはり剛
性,減衰性が不足する。或いは,スライダ82にエア軸
受90を用いた場合には,エア圧の低下等の原因で,ス
ライダ82とスライドベース85との摺動面が摩耗した
場合に,予圧抜けの問題が生じる。その場合には,軌道
台としてのスライドベース85は,非可動に構成されて
いるので,この問題に対処することができなくなる。
【0007】この発明の目的は,上記の課題を解決する
ことであり,リード加工用刃物台装置等のスライド機構
において,スライダの直進精度に対する軌道台の加工精
度の影響を少なくすることができ,高速運転時において
高い剛性及び減衰性を得ることができる精密スライド機
構を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は,対向して長
手方向に延びる一対の側板,該側板の両端部に位置する
一対の端板及び該端板と前記側板に固定された蓋部材か
ら形成されたハウジング,該ハウジングの前記側板の下
端に固定されて前記側板間の長手方向にわたって一定の
角度で傾斜する2つの平面から成るV形の固定側軌道
台,該固定側軌道台の上方に対向位置して前記側板間で
上下方向に浮動に支持され且つ前記側板間の前記長手方
向にわたって一定の角度で傾斜する2つの平面から成る
逆V形に形成されている浮動側軌道台,前記端板を貫通
して前記固定側軌道台と前記浮動側軌道台との間に配置
され且つ前記各平面に対向する各平面を有する前記長手
方向に沿って往復移動可能なスライダ,前記固定側軌道
台と前記スライダとの間及び前記浮動側軌道台と前記ス
ライダとの間に介在して前記固定側軌道台と前記浮動側
軌道台とに配置された転動体でなる複数のローラを有す
る軸受,並びに前記蓋部材に配設され且つ前記浮動側軌
道台を押圧して前記スライダを前記固定側軌道台側へ押
圧する押圧力調節可能な予圧機構を有することから成る
精密スライド機構に関する。
【0009】また,この発明は,一定の角度で傾斜する
2つの平面から成るV形の固定側軌道台,該固定側軌道
台の上方に対向位置し且つ一定の角度で傾斜する2つの
平面から成る逆V形の上下方向に浮動の浮動側軌道台,
前記固定側軌道台と前記浮動側軌道台との間に配置され
且つ前記各平面に対向する各平面を有する往復移動可能
なスライダ,前記固定側軌道台と前記スライダとの間及
び前記浮動側軌道台と前記スライダとの間に介在させた
転動体を有する軸受,及び前記浮動側軌道台を押圧して
前記スライダを前記固定側軌道台側へ押圧する押圧力調
節可能な予圧機構を有し,前記予圧機構は導入したエア
圧を油圧に変換して押圧力を調節する液圧式予圧機構で
あることから成る精密スライド機構に関する。
【0010】また,この精密スライド機構において,前
記軸受は,転動体循環形リニア軸受又は転動体非循環形
リニア軸受で構成されているものである。
【0011】この精密スライド機構は,上記のように構
成されているので,軌道面は必要直進精度方向に対して
所定の角度だけ傾斜している。このため,スライダの直
進精度に対する軌道面の加工精度の影響は,図8に示す
従来のものに比べて,単位面積当たり小さくすることが
できる。例えば,スライダの断面形状を正方形にした場
合,即ち,45°傾斜させた90°をなす2平面のV形
溝の場合,軌道面はスライド時の必要直進精度方向に対
して45°傾斜させたことになるので,2列の軌道面で
下向き荷重を受けることになり,静負荷容量は約1.4
14(21 / 2即ちルート2)倍になる。従って,この
精密スライド機構は,外力による軌道面即ちスライダ単
位の撓みも小さくなり,高い走行精度が得られる。この
精密スライド機構は,特に,許容荷重の大きな軸受を介
してスライダを支持している上に,浮動側軌道台を固定
側軌道台の方へ押圧する時の押圧力を調節する予圧機構
を設けているので,浮動側軌道台と固定側軌道台との取
付誤差を吸収し,スライダの支持機構としての剛性を十
分に高めることができ,スライダが往復運動する時に発
生する振動の減衰性を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による精密スライド機構の一実施例を説明する。図1は
この発明による精密スライド機構の一実施例を示す片側
断面を含む正面図,及び図2は図1におけるAーA断面
図である。
【0013】図1において,この精密スライド機構をリ
ード加工用刃物台装置に適用した一実施例が示されてい
る。図1には,リード加工用刃物台装置において使用さ
れる精密スライド機構1の一部断面の正面図が示されて
いる。この精密スライド機構1は,スライダ2,スライ
ダ2を往復運動可能に支持する固定側軌道台3,浮動側
軌道台4,スライダ2と固定側軌道台3及び浮動側軌道
台4との間にそれぞれ転動体である複数のローラ52
(図3参照)を介在させて構成した軸受5,及び予圧機
構10を有している。この精密スライド機構1は,図2
に示すように,スライダ2が挿通される貫通孔71を有
するハウジング即ち刃物台ハウジング7,刃物台ハウジ
ング7の下端に固着されたスライドベースである固定側
軌道台3,刃物台ハウジング7の上端に固着され且つ中
央部に貫通孔72を有する蓋部材73,及び蓋部材73
の上部に取付けられた増圧シリンダ9とを有している。
【0014】ハウジング7は,図1及び図2に示すよう
に,対向して長手方向に延びる一対の側板7A,側板7
Aの両端部に位置する一対の端板7B,及び端板7Bと
側板7Aに固定された蓋部材73から形成されている。
固定側軌道台3は,ハウジングの側板7Aの下端に固定
されて側板7A間の長手方向にわたって延びており,上
面は一定の角度で傾斜する2つの平面から成るV形に形
成されている。また,浮動側軌道台4は,固定側軌道台
3の上方に対向位置して側板7A間で上下方向に浮動に
支持され且つ下面は側板7A間の長手方向にわたって一
定の角度で傾斜する2つの平面から成る逆V形に構成さ
れている。スライダ2は,端板7Aを貫通して固定側軌
道台3と浮動側軌道台4との間に配置され且つ各平面に
対向する各平面を有する長手方向に沿って往復移動可能
に構成されている。即ち,スライダ2は,刃物台ハウジ
ング7,固定側軌道台3,蓋部材73,増圧シリンダ9
及び浮動側軌道台4によって囲まれる空間内に貫通収容
されている。
【0015】スライダ2の一方の端面には,図示してい
ないが,図8又は図9に示すものと同様に,刃物即ちバ
イトを取り付けられるようになっており,VTRシリン
ダのリード加工を行う。スライダ2の反対の端面には,
図示していないが,例えば,スライダ2を往復運動させ
る送り機構としてのサーボモータが配置され,スライダ
2を高速で往復運動させる。
【0016】スライダ2は,各平面は正方形の面を構成
しており,図1では断面形状が正方形に構成されてい
る。スライダ2を直線運動案内支持する各軌道台は,ス
ライドベースである固定側軌道台3とスライドブロック
である浮動側軌道台4とから構成されている。固定側軌
道台3は,一定の角度で傾斜し且つV形に開拡した2つ
の平面即ち軌道面,図1では上面が角度90°に開いた
V形溝31が形成されている。V形溝31には,V形溝
に多数の転動体であるローラ52を配置した軸受5であ
る転動体非循環形リニア軸受50(図3参照。具体的構
成については後述)が載置され,その上に,スライダ2
が摺動可能に載置されている。また,浮動側軌道台4
は,固定側軌道台3の上方に対向位置し且つ一定の角度
で傾斜する逆V形の2つの平面(図1では下面)に90
度に開いたV形溝41が形成され,上下方向に浮動の状
態で刃物台ハウジング7に支持され,浮動側軌道台4は
固定側軌道台3と共働してスライダ2を上から挟むよう
に配置されている。浮動側軌道台4とスライダ2との間
にも,V形溝41に上記と同様の軸受5である転動体非
循環形リニア軸受50が介在されている。
【0017】スライダ2の中心を通る上下方向及び横方
向の軸をそれぞれX軸,Y軸とすると,このX軸及びY
軸の方向が必要直進精度方向に当たる。両軌道台には,
図1に示すように,90°開いたV形溝31,41が形
成されているので,軌道面は必要直進精度方向に対して
45度傾斜した面となる。このため,スライダの直進精
度に対する軌道面の加工精度の影響は,図8に示す従来
のものに比べて,単位面積当たり小さくすることができ
る。例えば,スライダの断面形状をほぼ正方形にした場
合に,即ち,45°傾斜させた90°に開拡する2平面
からなるV形溝の場合,軌道面はスライド時の必要直進
精度方向に対して45°傾斜させたことになるので,2
列の軌道面で下向き荷重を受けることになり,静負荷容
量は約1.414(ルート2)倍になる。従って,外力
による軌道面即ちスライダ単位の撓みも小さくなり,高
い走行精度が得られる。
【0018】浮動側軌道台即ちスライドブロック4は,
予圧機構10によってスライダ2側へ押し付けられる。
予圧機構10は,圧縮エアを導入する加圧ポート11,
加圧ポート11から導入された圧縮エアが供給されるシ
リンダ9,シリンダ9内に摺動自在に嵌合されていて供
給された圧縮エアによって作動するピストン12,ピス
トン12と一体構造のピストンロッド13,ピストンロ
ッド13が嵌合された予圧ピストン14,及び予圧ピス
トン14に摺動自在に嵌合し且つスライドブロック4に
当接する予圧シリンダ15から構成されている。予圧機
構10は,導入したエア圧を液圧に変換してスライドブ
ロック4をスライドベース3側へ押圧する押圧力を調節
する液圧式予圧機構であって,刃物台ハウジング7内に
収容され,コンパクトな構造に構成されている。
【0019】更に,予圧機構10には,ピストン12の
作動限界を検出するため,ストロークエンドキャッチ用
センサー121が設けられている。また,予圧機構10
は,上記のような液圧式予圧機構10に換えて,例え
ば,予圧シリンダ15をスライドブロック4の方向にス
プリングで付勢すると共に,そのスプリングのばね力を
調節可能にした機械式予圧機構に構成してもよく,或い
は予圧シリンダ15を油圧源に直結するように構成する
こともできる。
【0020】図2に示すように,予圧機構10におい
て,予圧ピストン14は,小径部141と大径部142
から成る。小径部141の外径は蓋部材73に形成され
た貫通孔72に挿入できるように貫通孔72の内径にほ
ぼ等しくしてある。予圧ピストン14は小径部141を
貫通孔72に挿入し,小径部141の突出した先端部を
締付ナット16で締め付けることにより蓋部材73に固
着されている。予圧ピストン14の中心には,ピストン
ロッド13を嵌合するための貫通孔143が形成されて
おり,その貫通孔143内が予圧室144としての機能
を果たす。即ち,ピストンロッド13が下方に移動して
きた時に,予圧室144が圧縮され,その結果として,
予圧シリンダ15が下方へ押し下げられる。予圧室14
4へ供給される予圧液体は,外部に設置した予圧液タン
ク20に蓄えられていて,刃物台ハウジング7に形成し
た供給口74から導入され,蓋部材73に形成された液
体通路75を通って予圧室144へ供給される。予圧液
タンク20には油量の減少を検出するためのセンサ21
が設けられている。蓋部材73に形成された貫通孔72
の内周面にはOリング76,77が設けられていて,予
圧ピストン14と蓋部材73との境界面から予圧液体が
漏れるのを防止している。また,予圧ピストン14の貫
通孔143は,図2に二点鎖線145で示すように,下
方に向かって内径が大きくなるように形成する方がよ
い。その理由は,予圧液体内に発生した気泡を逃がし易
くするためである。気泡は予圧液タンク20から逃げて
いく。予圧ピストン14の貫通孔143の内周面には,
Oリング146及びリップシール147が設けられてお
り,ピストンロッド13と予圧ピストン14との境界面
から予圧液体が漏れるのを防止している。
【0021】浮動側軌道台4は浮動状態に設けられてい
て,予圧シリンダ15によってスライダ2側へ押し付け
られる。スライダ2の直進精度は,固定側軌道台3,転
動体非循環形軸受50,及びスライダ2の接触面の加工
精度で決定される。浮動側軌道台4は,スライダ2の軌
道面に追従して,加工誤差分だけ傾く。浮動側軌道台4
が傾く余裕は予圧シリンダ15にOリング151が設け
られていることによって生まれる。
【0022】図3は,精密スライド機構に組み込んだ軸
受5として,転動体が軌道部を循環しない転動体非循環
形リニア軸受50の構造を示す斜視図である。転動体非
循環形リニア軸受50は,耐摩耗性処理を施した軽量で
剛性のあるローラケージである保持器51,及び平面的
な負荷軌道部,該負荷軌道部でエンドレスに循環せずに
保持器51内で転動する転動体である多数の精密ローラ
52から構成されている。ローラ52は保持器51のポ
ケットに保持されて脱落しないような構造に構成されて
いる。ローラ52同士の相互摩擦がなく,スキュー(ロ
ーラ52の倒れ)が抑えられる構造になっているため,
摩擦係数はμ=0.001〜0.003と小さく,滑り
面で問題となるスティックスリップは全く生じない。多
数のローラ52が小さなピッチで保持器51に組み込ま
れているので許容荷重が大きく,軌道面の硬さが低い場
合でも,軌道面に傷をつけることなく円滑な運動が得ら
れる。保持器51は2つのローラ条列を90度に曲げて
形成されていて,図1の軌道台3,4のV形溝31,4
1の面に組み込めるようになっている。
【0023】次に,この精密スライド機構1の作動を説
明する。図2において,シリンダ9の上方に設けられた
加圧ポート11から圧縮エアをシリンダ9に導入する
と,ピストン12が下降を始める。増圧ピストン12が
下降すると,ピストン12に連結されているピストンロ
ッド13も下降する。ピストンロッド13の下降に伴っ
て,ピストンロッド13は予圧ピストン14の内部に形
成された予圧室144の空気及び予圧液体を排出しつつ
さらに下降する。ピストンロッド13の先端が予圧ピス
トン14の内部に設けられたリップシール147の位置
より下位部に達するとピストンロッド13の先端,予圧
ピストン14,予圧シリンダ15の三者で予圧室144
を形成する。予圧室144には外部に設けられた予圧液
タンク20から供給された予圧液が満たされている。更
に,加圧ポート11に圧力を供給すれば,予圧液体には
予圧が発生し,予圧シリンダ15が下方に押し下げられ
る。この結果,浮動側軌道台4としてのスライドブロッ
クと固定側軌道台3としてのスライドベースの間に,ス
ライダ2は軸受5を介して保持される。転動体非循環形
リニア軸受50の許容荷重は大きいので,スライダ2を
保持する力は十分大きなものにすることができる。
【0024】上記のように,この精密スライド機構1
は,加圧ポート11に供給された圧力に比例してスライ
ダ2を押圧することができるので,押圧力を任意に調節
することができる。従って,使用上必要な剛性をスライ
ダ2に対して十分に与えることができ,スライダ2を最
適な状態で支持することができる。図1及び図2に示す
実施例では,スライダ2の断面形状を正方形にしている
ので,左右方向に働く力と上下方向に働く力は等しくな
る。この精密スライド機構1をリード加工用刃物台に適
用すれば,スライダ2の上下,左右の直進精度が向上
し,30m/min以上の高速往復運動時であっても,
刃物による加工精度を安定に且つ向上させることができ
る。
【0025】転動体非循環形リニア軸受50は,スライ
ダ2の移動量の1/2だけ移動する。しかし,スライダ
2が高速往復運動を繰り返しているうちに,転動体非循
環形リニア軸受50は正規の位置からずれてくることが
ある。保持器ずれが大きくなると,刃物による加工精度
が悪化するため,保持器の位置ずれを修正する必要があ
る。ところで,予圧機構10を単に皿ばねで構成した場
合に,或いはねじで構成した場合に,保持器ずれを修正
するために予圧機構を分解調整する必要がある。しか
し,この精密スライド機構1は,浮動側軌道台4を固定
側軌道台3へ押圧する時の押圧力を調節可能とした予圧
機構10を備えているので,以下のようにしてその修正
が可能である。即ち,予圧シリンダ15に予圧をかけな
い状態でスライダ2を全ストローク移動させ,転動体非
循環形リニア軸受50を図示しないエンドカバーに当て
ることにより,転動体非循環形リニア軸受50をストロ
ーク中心(原点位置)に戻すことができる。勿論,この
修正を機械的に行うようにするために,修正用シリンダ
等を設けてもよい。
【0026】図4は,この発明による精密スライド機構
の別の実施例を示す部分断面図である。図から明らかな
ように,スライダ2の断面形状は菱形をしている。スラ
イダ2の上下の頂点の角度をα,左右の頂点の角度をβ
とする。図示のように,スライダ2はα>βの関係があ
る。この場合には,浮動側軌道台4に負荷Wがかかった
時に,スライダ2の軌道面に垂直方向に働く力は軌道面
方向に働く力より大きく,従って,面に対して上下方向
の負荷を大きくする場合にはこのように構成することも
できる。
【0027】次に,図5は,この発明による精密スライ
ド機構の更に別の実施例を示す部分断面図である。図5
から明らかなように,スライダ2の断面形状は菱形をし
ている。図5に示すように,スライダ2はα<βの関係
がある。この場合には,浮動側軌道台4に負荷Wがかか
った時に,スライダ2の軌道面方向に働く力は軌道面に
垂直方向に働く力より大きく,従って,図5の面に対し
て水平即ち左右方向の負荷を大きくする場合にはこのよ
うに構成することもできる。
【0028】更に,図6及び図7を参照して,この発明
による精密スライド機構の他の実施例を説明する。図6
はこの発明による精密スライド機構の他の実施例を示す
片側断面を含む正面図,及び図7は図6の線B−Bにお
ける断面図である。この実施例は,図1に示す実施例と
比較して,固定側軌道台とスライダとの間及び浮動側軌
道台とスライダとの間に介在させた転動体を有する軸受
の構成が相違する以外は,同一の構成であるので,同一
の部品には同一の符号を付して重複する説明は省略す
る。この実施例における各軸受5は,転動体であるロー
ラ52がエンドレスに循環する形式の軸受,言い換えれ
ば,転動体循環形リニア軸受58に構成されている。
【0029】転動体循環形リニア軸受58について,ス
ライダ2とスライドブロック4との間に配置される軸受
5は,スライダ2とスライドブロック4との間に形成さ
れた負荷軌道部56,スライドブロック4に組み込まれ
たガイド部材53で形成された転動体リターン路55及
びスライドブロック4の両端に取り付けたカバー部材5
4で形成された方向変換部材57によって構成されるエ
ンドレス軌道部を,ローラ52がエンドレスに循環する
ものであり,また,スライダ2とスライドベース3との
間に配置される軸受5は,スライダ2とスライドベース
3との間に形成された負荷軌道部56,スライドベース
3に組み込まれたガイド部材53で形成された転動体リ
ターン路55,及びスライドベース3の両端に取付けた
カバー部材54で形成された方向変換部材(図示せず)
によって構成されるエンドレス軌道部を,ローラ52が
エンドレスに循環するものである。この精密スライド機
構において,ローラ52がエンドレスに循環する形式の
軸受5は,負荷を受けるローラ52の数及び位置が安定
しており,スライダ2のストロークが大きい場合に用い
ることに特に適している。
【0030】
【発明の効果】この発明による精密スライド機構は,上
記のように構成されているので,直動方向に垂直な面に
関して軌道面が上下方向及び左右即ち横方向に形成した
従来のものに比べて,剛性が大であるため安定した案内
精度が得られる。しかも,エア軸受を介さずに転動体を
有する軸受を介してスライダを摺動可能に支持している
ので,摩耗による予圧抜けの問題が発生しないというだ
けでなく,予圧機構を制御して浮動側軌道台を固定側軌
道台の方へ常に一定の押圧力で押圧することができるの
で,スライダの支持機構は剛性に優れたものとなり,且
つ,スライダの往復運動時に発生する振動の減衰性を向
上させることができる。このため,この精密スライド機
構をリード加工用刃物台に適用すれば,スライダの直進
精度が向上し,高速往復運転時における加工精度を安定
且つ向上させることができる。
【0031】また,この精密スライド機構については,
左右即ち横方向と上下方向とのいずれの方向の負荷を大
きくするかによって,スライダの断面形状を適宜選択す
るだけで,簡単に対応することができる。
【0032】更に,この精密スライド機構は,スライダ
が高速往復運動を繰り返しているうちに,前記軸受が正
規の移動位置からずれてくることがあっても,予圧機構
を備えているので,簡単にそのずれを修正することがで
きる。
【0033】また,この精密スライド機構は,前記軸受
として転動体循環形リニア軸受又は転動体非循環形リニ
ア軸受のいずれでも使用することができる。特に,前記
軸受として前記転動体循環形リニア軸受を用いた場合に
は,負荷を受ける転動体の数及び位置が安定しており,
スライダのストロークが大きい場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による精密スライド機構の一実施例を
示す片側断面を含む正面図である。
【図2】図1におけるAーA断面図である。
【図3】この発明による精密スライド機構に使用される
転動体を有する軸受の構造の一例を示す斜視図である。
【図4】この発明による精密スライド機構の別の実施例
を示す部分断面図である。
【図5】この発明による精密スライド機構の更に別の実
施例を示す部分断面図である。
【図6】この発明による精密スライド機構の他の実施例
を示す片側断面を含む正面図である。
【図7】図6におけるB−B断面図である。
【図8】従来の精密スライド機構を使用したリード加工
用刃物台装置の一例を示す断面図である。
【図9】図8のリード加工用刃物台装置の側面図であ
る。
【符号の説明】
1 精密スライド機構 2 スライダ 3 固定側軌道台(スライドベース) 4 浮動側軌道台(スライドブロック) 5 軸受 7 ハウジング 7A 側板 7B 端板 10 予圧機構 31 V形溝 41 V形溝 50 転動体非循環形軸受 52 ローラ(転動体) 58 転動体循環形軸受 73 蓋部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−119315(JP,A) 特開 昭60−44253(JP,A) 実開 昭63−79129(JP,U) 実開 平2−9324(JP,U) 特公 平3−2616(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 1/00 - 1/76 F16C 29/00 - 29/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して長手方向に延びる一対の側板,
    該側板の両端部に位置する一対の端板及び該端板と前記
    側板に固定された蓋部材から形成されたハウジング,該
    ハウジングの前記側板の下端に固定されて前記側板間の
    長手方向にわたって一定の角度で傾斜する2つの平面か
    ら成るV形の固定側軌道台,該固定側軌道台の上方に対
    向位置して前記側板間で上下方向に浮動に支持され且つ
    前記側板間の前記長手方向にわたって一定の角度で傾斜
    する2つの平面から成る逆V形に形成されている浮動側
    軌道台,前記端板を貫通して前記固定側軌道台と前記浮
    動側軌道台との間に配置され且つ前記各平面に対向する
    各平面を有する前記長手方向に沿って往復移動可能なス
    ライダ,前記固定側軌道台と前記スライダとの間及び前
    記浮動側軌道台と前記スライダとの間に介在して前記固
    定側軌道台と前記浮動側軌道台とに配置された転動体
    なる複数のローラを有する軸受,並びに前記蓋部材に配
    設され且つ前記浮動側軌道台を押圧して前記スライダを
    前記固定側軌道台側へ押圧する押圧力調節可能な予圧機
    構を有することから成る精密スライド機構。
  2. 【請求項2】 一定の角度で傾斜する2つの平面から成
    るV形の固定側軌道台,該固定側軌道台の上方に対向位
    置し且つ一定の角度で傾斜する2つの平面から成る逆V
    形の上下方向に浮動の浮動側軌道台,前記固定側軌道台
    と前記浮動側軌道台との間に配置され且つ前記各平面に
    対向する各平面を有する往復移動可能なスライダ,前記
    固定側軌道台と前記スライダとの間及び前記浮動側軌道
    台と前記スライダとの間に介在させた転動体を有する軸
    受,及び前記浮動側軌道台を押圧して前記スライダを前
    記固定側軌道台側へ押圧する押圧力調節可能な予圧機構
    を有し,前記予圧機構は導入したエア圧を油圧に変換し
    て押圧力を調節する液圧式予圧機構であることから成る
    精密スライド機構。
  3. 【請求項3】 前記軸受は,転動体循環形リニア軸受又
    は転動体非循環形リニア軸受で構成されていることから
    成る請求項1又は2に記載の精密スライド機構。
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