JP3186344B2 - 過給機付エンジンの制御方法 - Google Patents

過給機付エンジンの制御方法

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JP3186344B2 JP14470093A JP14470093A JP3186344B2 JP 3186344 B2 JP3186344 B2 JP 3186344B2 JP 14470093 A JP14470093 A JP 14470093A JP 14470093 A JP14470093 A JP 14470093A JP 3186344 B2 JP3186344 B2 JP 3186344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの吸,排気系
にプライマリターボ過給機とセカンダリターボ過給機と
を並列に配置し、運転状態に基づきターボ過給機の作動
個数を切換える過給機付エンジンの制御方法に関し、詳
しくは、シングルターボ状態からツインターボ状態への
切換えに際して、プライマリターボ過給機の信頼性を向
上する過給機付エンジンの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの吸,排気系にプライマ
リターボ過給機とセカンダリターボ過給機とを並列に配
置し、セカンダリターボ過給機に接続される吸,排気系
に吸気制御弁と排気制御弁をそれぞれ配設し、両制御弁
を開閉することで、過給機の作動個数をエンジン運転領
域に応じて適宜切換える過給機付エンジンが提案されて
いる。
【0003】そして、この過給機付エンジンでは、エン
ジン運転領域を低速域のシングルターボ領域と高速域の
ツインターボ領域とに区分し、運転領域がシングルター
ボ領域にあるとき、吸気制御弁を閉弁すると共に排気制
御弁を閉弁或いは小開(セカンダリターボ過給機を予備
回転させるため)してプライマリターボ過給機のみを過
給動作させ、運転領域がツインターボ領域にあるときに
は、両制御弁を共に全開して両ターボ過給機を過給動作
させ、低速域から高速域に亘り出力性能の向上を可能と
している。
【0004】また、図13に示すように、この種の過給
機付エンジンは、軸トルクとエンジン回転数との関係
(但し、エンジン負荷は一定)で見ると、プライマリタ
ーボ過給機のみ過給作動のシングルターボ時のトルク曲
線TQ1に対し、ある回転数以上では両ターボ過給機を
過給動作するツインターボ時のトルク曲線TQ2の方が
高くなり、高い軸トルクを得ることができるが、その回
転数よりも低い領域では、セカンダリターボ過給機の動
作によりツインターボ時の軸トルクが却って低下する。
従って、図における両トルク曲線が一致する点Cで、シ
ングルターボ状態からツインターボ状態に切換えるよう
にしている。もっとも、両トルク曲線の一致する回転数
はエンジン負荷によって異なるため、予め実験等により
エンジン負荷及びエンジン回転数に対応して両トルク曲
線の一致点を求め、図8に示すようにシングル→ツイン
切換判定ラインL2を設定し、このシングル→ツイン切
換判定ラインL2を境としてエンジン運転領域が低速側
のシングルターボ領域から高速側のツインターボ領域に
移行したときに、排気制御弁を小開させ、或いは小開維
持し、セカンダリターボ過給機の回転数を上昇させ、設
定時間経過後に排気制御弁を全開し、セカンダリターボ
過給機によるコンプレッサ圧を高め、その後、吸気制御
弁を開弁させプライマリターボ過給機のみ過給動作のシ
ングルターボ状態から両ターボ過給機過給動作のツイン
ターボ状態に切換え、シングルターボ状態からツインタ
ーボ状態への切換え時のトルク変動を防止してトルクシ
ョックの発生を防止するようにしている(例えば、特開
平3−260326号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行例では、エンジン運転領域がシングル→ツイン切換判
定ラインL2を境にシングルターボ領域からツインター
ボ領域に移行した後、設定時間経過しない限り排気制御
弁が全開されないため、上記設定時間内にエンジン負荷
及びエンジン回転数が急増しても、排気制御弁は小開状
態に保持される。このため、エンジン負荷及びエンジン
回転数の急増で上昇した高い排気圧の排気流の殆ど全て
がプライマリターボ過給機にのみ導入して、プライマリ
ターボ過給機は、臨界回転数に達してサージングを生じ
たり、熱負荷が急増して損傷する虞れがある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、シングルターボ状態からツインターボ状態への切換
えに際し、エンジン高負荷高回転状態と判断されるとき
には直ちに排気制御弁を全開して排気流を分散させ、プ
ライマリターボ過給機の信頼性の向上を図ることが可能
な過給機付エンジンの制御方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、エンジンの吸,排気系にプライ
マリターボ過給機とセカンダリターボ過給機とを並列に
配置し、セカンダリターボ過給機に接続される吸,排気
系にそれぞれ吸気制御弁、排気制御弁を配設し、高速域
で上記両制御弁を共に全開して上記両ターボ過給機を共
に過給動作させるツインターボ領域と低速域で吸気制御
弁を閉弁すると共に排気制御弁を閉弁或いは小開して上
記プライマリターボ過給機のみを過給動作させるシング
ルターボ領域とにエンジン運転領域を区分し、エンジン
運転領域に基づき設定されたシングル→ツイン切換判定
値により設定されるシングル→ツイン切換判定ラインを
境に上記運転領域がシングルターボ領域からツインター
ボ領域に移行してから設定時間を経過した後に排気制御
弁を全開させ、その後、吸気制御弁を開弁させてプライ
マリターボ過給機のみ過給動作のシングルターボ状態か
ら両ターボ過給機過給動作によるツインターボ状態に切
換える過給機付エンジンの制御方法において、シングル
ターボ状態からツインターボ状態への切換えに際し、上
記運転領域がシングルターボ領域からツインターボ領域
に移行してから上記設定時間に達するまでの間、エンジ
ン高負荷高回転域に移行したかを判断し、エンジン運転
領域がシングルターボ領域からツインターボ領域に移行
してからの時間が上記設定時間を経過していなくても、
エンジン運転領域がエンジン高負荷高回転域に移行した
ときは、直ちに排気制御弁を全開することを特徴とす
る。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明におい
て、上記高負荷高回転域の判断は、エンジン回転数に基
づいてエンジン回転数の上昇に対して減少する高負荷判
定値を設定し、エンジン負荷と上記高負荷判定値とを比
較して、エンジン負荷が上記高負荷判定値を越えたと
き、エンジン運転領域がエンジン高負荷高回転域に移行
したと判断することを特徴とする。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明は、シングルターボ状態か
らツインターボ状態への切換えに際し、エンジン運転領
域がシングルターボ領域からツインターボ領域に移行し
てから設定時間に達するまでの間、エンジン高負荷高回
転域に移行したかを判断する。そして、エンジン運転領
域がシングルターボ領域からツインターボ領域に移行し
てからの時間が設定時間を経過していなくても、エンジ
ン運転領域がエンジン高負荷高回転域に移行したとき
は、直ちに排気制御弁全開することで、プライマリタ
ーボ過給機に導入される排気流がセカンダリターボ過給
機に直ちに分散される。請求項2記載の発明は、エンジ
ン高負荷高回転域かを判断するに際し、エンジン回転数
に基づいてエンジン回転数の上昇に対して減少する高負
荷判定値を設定する。そして、エンジン負荷と高負荷判
定値とを比較して、エンジン負荷が高負荷判定値を越え
たとき、エンジン運転領域がエンジン高負荷高回転域に
移行したと判断する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1において、本発明が適用される過給機付エ
ンジンの全体構成について説明する。符号1は水平対向
式エンジン(本実施例においては4気筒エンジン)のエ
ンジン本体であり、クランクケース2の左右のバンク
3,4に、燃焼室5、吸気ポート6、排気ポート7、点
火プラグ8、動弁機構9等が設けられている。そして左
バンク3側に#2,#4気筒を、右バンク4側に#1,
#3気筒を備える。またこのエンジン短縮形状により左
右バンク3,4の直後に、プライマリターボ過給機40
とセカンダリターボ過給機50がそれぞれ配設されてい
る。排気系として、左右バンク3,4からの共通の排気
管10が両ターボ過給機40,50のタービン40a,
50aに連通され、タービン40a,50aからの排気
管11が1つの排気管12に合流して触媒コンバータ1
3、マフラ14に連通される。
【0010】プライマリターボ過給機40は、低中速域
で過給能力の大きい小容量の低速型であり、これに対し
てセカンダリターボ過給機50は、中高速域で過給能力
の大きい大容量の高速型である。このためプライマリタ
ーボ過給機40の方が容量が小さいことで、排気抵抗が
大きくなる。
【0011】吸気系として、エアクリーナ15の下流か
ら2つに分岐した吸気管16,17がそれぞれ両ターボ
過給機40,50のブロワ40b,50bに連通され、
このブロワ40b,50bからの吸気管18,19がイ
ンタークーラ20に連通される。そしてインタークーラ
20からスロットル弁21を有するスロットルボデー2
7を介してチャンバ22に連通され、チャンバ22から
吸気マニホールド23を介して左右バンク3,4の各気
筒に連通されている。またアイドル制御系として、エア
クリーナ15の直下流と吸気マニホールド23の間のバ
イパス通路24に、アイドル制御弁(ISCV)25と
負圧で開く逆止弁26が、アイドル時や減速時に吸入空
気量を制御するように設けられる。
【0012】燃料系として、吸気マニホールド23のポ
ート近傍にインジェクタ30が配設され、燃料ポンプ3
1を有する燃料タンク32からの燃料通路33が、フィ
ルタ34、燃料圧レギュレータ35を備えてインジェク
タ30に連通される。燃料圧レギュレータ35は、吸気
圧力に応じて調整作用するものであり、これによりイン
ジェクタ30に供給する燃料圧力を吸気圧力に対して常
に一定の高さに保ち、噴射信号のパルス幅により燃料噴
射制御することが可能になっている。点火系として、各
点火プラグ8毎に連設する各点火コイル8a毎にイグナ
イタ36からの点火信号が入力するように接続されてい
る。
【0013】プライマリターボ過給機40の作動系につ
いて説明する。プライマリターボ過給機40は、タービ
ン40aに導入する排気エネルギによりブロワ40bを
回転駆動し、空気を吸入,加圧して常に過給するように
作動する。タービン側にはダイアフラム式アクチュエー
タ42を備えたプライマリウエストゲート弁41が設け
られる。アクチュエータ42の圧力室にはブロワ40b
の直下流からの制御圧通路44がオリフィス48を有し
て連通し、過給圧が設定値以上に上昇すると応答良くウ
エストゲート弁41を開くように連通される。またこの
制御圧通路44は更に過給圧をブロワ40bの上流側に
リークするデューティソレノイド弁43に連通し、この
デューティソレノイド弁43により所定の制御圧を生じ
てアクチュエータ42に作用し、ウエストゲート弁41
の開度を変化して過給圧制御する。ここでデューティソ
レノイド弁43は、後述する電子制御装置100からの
デューティ信号により作動し、デューティ信号のデュー
ティ比が小さい場合は高い制御圧でウエストゲート弁4
1の開度を増して過給圧を低下し、デューティ比が大き
くなるほどリーク量の増大により制御圧を低下し、ウエ
ストゲート弁41の開度を減じて過給圧を上昇する。
【0014】一方、スロットル弁急閉時のブロワ回転の
低下や吸気騒音の発生を防止するため、ブロワ40bの
下流としてスロットル弁21の近くのインタークーラ2
0の出口側と、ブロワ40bの上流との間にバイパス通
路46が連通される。そしてこのバイパス通路46にエ
アバイパス弁45が、スロットル弁急閉時に通路47に
よりマニホールド負圧を導入して開き、ブロワ下流に封
じ込められる加圧空気を迅速にリークするように設けら
れる。
【0015】セカンダリターボ過給機50の作動系につ
いて説明する。セカンダリターボ過給機50は同様に排
気によりタービン50aとブロワ50bが回転駆動して
過給するものであり、タービン側にアクチュエータ52
を備えたセカンダリウエストゲート弁51が設けられて
いる。またタービン50aの上流の排気管10には、ダ
イアフラム式アクチュエータ54を備えた下流開き式の
排気制御弁53が設けられ、ブロワ50bの下流には同
様のアクチュエータ56を備えたバタフライ式の吸気制
御弁55が設けられ、ブロワ50bの上、下流の間のリ
リーフ通路58に過給圧リリーフ弁57が設けられる。
【0016】これら各弁の圧力動作系について説明す
る。先ず、負圧源のサージタンク60がチェック弁62
を有する通路61により吸気マニホールド23に連通し
て、スロットル弁全閉時に負圧を貯え且つ脈動圧を緩衝
する。また過給圧リリーフ弁57を開閉する過給圧リリ
ーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1、吸気制御弁55
を開閉する吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2、
排気制御弁53を開閉する第1と第2の排気制御弁用切
換ソレノイド弁SOL.3,SOL.4、排気制御弁5
3を小開制御するデューティソレノイド弁75、及びセ
カンダリウエストゲート弁51を開閉するセカンダリウ
エストゲート切換ソレノイド弁70を有する。各切換ソ
レノイド弁70,SOL.1〜4は、電子制御装置10
0からのON・OFF信号によりサージタンク60から
の負圧通路63の負圧、吸気制御弁下流に連通する正圧
通路64a,64bからの正圧、大気圧等を選択し、各
制御圧通路70a〜74aによりアクチュエータ側に導
いて各制御弁,セカンダリウエストゲート弁51を作動
する。またデューティソレノイド弁75は、電子制御装
置100からのデューティ信号によりアクチュエータ5
4の正圧室54aに作用する正圧を可変制御し、排気制
御弁53を小開制御する。
【0017】上記過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁
SOL.1は、通電がOFFされると、正圧通路64a
側を閉じて負圧通路63側を開き、制御圧通路71aを
介して過給圧リリーフ弁57のスプリングが内装された
圧力室に負圧を導くことでスプリングの付勢力に抗して
過給圧リリーフ弁57を開く。また、ONされると、逆
に負圧通路63側を閉じて正圧通路64a側を開き過給
圧リリーフ弁57の圧力室に正圧を導くことで過給圧リ
リーフ弁57を閉じる。
【0018】吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2
は、OFFされると、大気ポートを閉じて負圧通路63
側を開き、制御圧通路72aを介してアクチュエータ5
6のスプリングが内装された圧力室に負圧を導くことで
スプリングの付勢力に抗して吸気制御弁55を閉じ、O
Nされると、負圧通路63側を閉じ大気ポートを開きア
クチュエータ56の圧力室に大気圧を導くことで圧力室
内のスプリングの付勢力により吸気制御弁55を開く。
【0019】セカンダリウエストゲート切換ソレノイド
弁70は、電子制御装置100により点火進角量等に基
づきハイオクガソリン使用と判断されたときのみOFF
され、レギュラーガソリン使用と判断されたときにはO
Nされる。そしてセカンダリウエストゲート切換ソレノ
イド弁70は、OFFされると、吸気制御弁55の上流
に連通する通路65を閉じて大気ポートを開き大気圧を
制御圧通路70aを介してアクチュエータ52に導入す
ることでアクチュエータ52内に配設されたスプリング
の付勢力によりセカンダリウエストゲート弁51を閉じ
る。また、ONで大気ポートを閉じて通路65側を開
き、両ターボ過給機40,50作動時のセカンダリター
ボ過給機50下流の過給圧がアクチュエータ52に導か
れ、この過給圧に応じてセカンダリウエストゲート弁5
1を開き、レギュラーガソリン使用時にはハイオクガソ
リン使用時に比べて相対的に過給圧が低下される。
【0020】また、第1の排気制御弁用切換ソレノイド
弁SOL.3からの制御圧通路73aが排気制御弁53
を作動するアクチュエータ54の正圧室54aに、第2
の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4からの制御
圧通路74aがアクチュエータ54のスプリングを内装
した負圧室54bにそれぞれ連通されている。そして両
切換ソレノイド弁SOL.3,4が共にOFFのとき、
第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3は正圧
通路64b側を閉じ大気ポートを開き、第2の排気制御
弁用切換ソレノイド弁SOL.4は負圧通路63側を閉
じて大気ポートを開くことで、アクチュエータ54の両
室54a,54bが大気開放され、負圧室54bに内装
されたスプリングの付勢力により排気制御弁53が全閉
する。また、両切換ソレノイド弁SOL.3,4が共に
ONのとき、それぞれ大気ポートを閉じ、第1の排気制
御弁用切換ソレノイド弁SOL.3は正圧通路64b側
を開き、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.
4は負圧通路63側を開くことで、アクチュエータ54
の正圧室54aに正圧を、負圧室54bに負圧を導き、
スプリングの付勢力に抗して排気制御弁53を全開す
る。
【0021】第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SO
L.3からの制御圧通路73aにはオリフィス67が設
けられ、このオリフィス67の下流側と吸気管16にリ
ーク通路66が連通され、このリーク通路66に電子制
御装置100からのデューティ信号により作動する排気
制御弁小開制御用のデューティソレノイド弁75が設け
られる。そして第1の切換ソレノイド弁SOL.3のみ
がONで正圧をアクチュエータ54の正圧室54aに供
給し負圧室54bを大気開放する状態で、デューティソ
レノイド弁75によりその正圧をリークして排気制御弁
53を小開する。ここでデューティソレノイド弁75は
デューティ信号におけるデューティ比が大きいと、リー
ク量の増大により正圧室54aに作用する正圧を低下し
て排気制御弁53の開度を減じ、デューティ比が小さく
なるほど正圧を高くして排気制御弁53の開度を増すよ
うに動作する。そしてシングルターボモード下でエンジ
ン運転状態が所定の排気制御弁小開制御モード領域内に
あるとき、デューティソレノイド弁75による排気制御
弁53の開度で過給圧をフィードバック制御し、この過
給圧制御に伴い排気制御弁53を小開するように構成さ
れる。
【0022】各種のセンサについて説明する。差圧セン
サ80は吸気制御弁55の上,下流の差圧を検出するよ
うに設けられ、絶対圧センサ81が切換ソレノイド弁7
6により吸気管圧力と大気圧を選択して検出するように
設けられる。またエンジン本体1にノックセンサ82が
取付けられると共に、左右両バンク3,4を連通する冷
却水通路に水温センサ83が臨まされ、排気管10にO
2 センサ84が臨まされている。さらに、スロットル弁
21にスロットル開度センサとスロットル全閉を検出す
るアイドルスイッチとを内蔵したスロットルセンサ85
が連設され、エアクリーナ15の直下流に吸入空気量セ
ンサ86が配設されている。
【0023】また、エンジン本体1に支承されたクラン
クシャフト1aにクランクロータ90が軸着され、この
クランクロータ90の外周に、電磁ピックアップ等から
なるクランク角センサ87が対設されている。さらに、
動弁機構9におけるカムシャフトに連設するカムロータ
91に、電磁ピックアップ等からなる気筒判別用のカム
角センサ88が対設されている。
【0024】上記クランク角センサ87,カム角センサ
88では、それぞれ上記クランクロータ90,カムロー
タ91に所定間隔毎に形成された突起(或いはスリッ
ト)をエンジン運転に伴い検出し、クランクパルス,カ
ムパルスを電子制御装置100に出力する。そして電子
制御装置100において、クランクパルス(検出した突
起)の間隔時間からエンジン回転数を算出すると共に、
点火時期及び燃料噴射開始時期等を演算し、さらに、ク
ランクパルス及びカムパルスの入力パターンから気筒判
別を行う。
【0025】次に、図2に基づき電子制御系の構成につ
いて説明する。電子制御装置(ECU)100は、CP
U101,ROM102,RAM103,バックアップ
RAM104,及びI/Oインターフェイス105をバ
スラインを介して接続したマイクロコンピュータを中心
として構成され、各部に所定の安定化電源を供給する定
電圧回路106や駆動回路107が組込まれている。
【0026】上記定電圧回路106は、ECUリレー9
5のリレー接点を介してバッテリ96に接続され、この
バッテリ96に、上記ECUリレー95のリレーコイル
がイグニッションスイッチ97を介して接続されてい
る。また、上記バッテリ96には、上記定電圧回路10
6が直接接続され、さらに、燃料ポンプリレー98のリ
レー接点を介して燃料ポンプ31が接続されている。す
なわち、上記定電圧回路106は、上記イグニッション
スイッチ97がONされ、上記ECUリレー95のリレ
ー接点が閉となったとき、制御用電源を各部に供給し、
また、イグニッションスイッチ97がOFFされたと
き、バックアップ用の電源をバックアップRAM104
に供給する。
【0027】また、上記I/Oインターフェイス105
の入力ポートに、各種センサ80〜88,車速センサ8
9,及びバッテリ96が接続されている。また、I/O
インターフェイス105の出力ポートには、イグナイタ
36が接続され、さらに、駆動回路107を介してIS
CV25、インジェクタ30、各切換ソレノイド弁7
0,76,SOL.1〜4、デューティソレノイド弁4
3,75、及び燃料ポンプリレー98のリレーコイルが
接続されている。
【0028】そして、イグニッションスイッチ97がO
Nされると、ECUリレー95がONし、定電圧回路1
06を介して各部に定電圧が供給され、ECU100は
各種制御を実行する。すなわち、ECU100において
CPU101が、ROM102に格納されている演算プ
ログラムに基づき、I/Oインターフェイス105を介
して各種センサ80〜89からの検出信号を入力処理
し、RAM103及びバックアップRAM104に記憶
されている各種データ,ROM102に格納されている
固定データに基づき、各種制御量を演算する。そして、
駆動回路107により燃料ポンプリレー98をONし燃
料ポンプ31を通電して駆動させると共に、駆動回路1
07を介して各切換ソレノイド弁70,76,SOL.
1〜4にON・OFF信号を、デューティソレノイド弁
43,75にデューティ信号を出力してターボ過給機作
動個数切換制御及び過給圧制御を行い、演算した燃料噴
射量に相応する駆動パルス幅信号を所定のタイミングで
該当気筒のインジェクタ30に出力して燃料噴射制御を
行い、また、所定のタイミングでイグナイタ36に点火
信号を出力して点火時期制御を実行し、ISCV25に
制御信号を出力してアイドル回転数制御等を実行する。
【0029】次に、上記ECU100による過給機作動
個数切換制御を図3〜図6のターボ切換制御ルーチンに
示すフローチャートに従って説明する。このターボ切換
制御ルーチンはイグニッションスイッチ97をONした
後、設定時間(例えば10msec)毎に実行されるも
のである。
【0030】イグニッションスイッチ97のONにより
ECU100に電源が投入されると、システムがイニシ
ャライズ(各フラグ,各カウント値をクリア)され、先
ず、ステップS1でツインターボモード判別フラグF1
の値を参照する。そして、このツインターボモード判別
フラグF1がクリアされていればステップS2へ進み、
またセットされていればステップS60へ進む。このツ
インターボモード判別フラグF1は、現制御状態がプラ
イマリターボ過給機40のみを過給動作させるシングル
ターボモードのときクリアされ、両ターボ過給機40,
50を過給動作させるツインターボモードのときにセッ
トされる。
【0031】以下の説明では、先ずシングルターボモー
ドについて説明し、次いでシングル→ツイン切換制御、
最後にツインターボモードについて説明する。イグニッ
ションスイッチ97をONした直後、及び現制御状態が
シングルターボモードの場合、F1=0であるため、ス
テップS2へ進む。
【0032】ステップS2ではエンジン回転数Nに基づ
きターボ切換判定値テーブルを補間計算付で参照してシ
ングル→ツイン切換判定値Tp2を設定する。図8に示
すように、上記ターボ切換判定値テーブルには、エンジ
ン回転数Nとエンジン負荷(本実施例では、基本燃料噴
射パルス幅)Tpとの関係からシングルターボモードか
らツインターボモードへ切換えるシングル→ツイン切換
判定ラインL2と、その逆にツインターボモードからシ
ングルターボモードへ切換えるツイン→シングル切換判
定ラインL1を予め実験などから求め、シングルターボ
領域とツインターボ領域とが設定されている。そして、
各ラインL2,L1に対応してそれぞれシングル→ツイ
ン切換判定値Tp2,及びツイン→シングル切換判定値
Tp1がエンジン回転数Nをパラメータとしたテーブル
として予めROM102の一連のアドレスに格納されて
いる。なお、シングル→ツイン切換判定ラインL2は、
切換時のトルク変動を防止するため図13の出力特性の
シングルターボ時のトルク曲線TQ1とツインターボ時
のトルク曲線TQ2とが一致する点Cに設定する必要が
あり、このため図8に示すように、低,中回転数域での
高負荷からエンジン回転数Nの上昇に応じて低負荷側に
設定される。また、図に示すようにターボ過給機作動個
数の切換時の制御ハンチングを防止するため、ツイン→
シングル切換判定ラインL1は、シングル→ツイン切換
判定ラインL2に対して低回転数側に比較的広い幅のヒ
ステリシスHを有して設定される。
【0033】そして、ステップS3で上記シングル→ツ
イン切換判定値Tp2と現在の基本燃料噴射パルス幅
(以下「エンジン負荷」)Tpとを比較し、Tp<Tp
2の場合、ステップS4へ進み、シングルターボモード
制御を行う。また、Tp≧Tp2の場合、ステップS3
0へ進み、シングル→ツイン切換制御を行う。
【0034】ステップS3からステップS4へ進むと、
過給圧制御モード判別フラグF2の値を参照する。この
過給圧制御モード判別フラグF2は、現運転領域が排気
制御弁53の小開により過給圧制御を行うと共にセカン
ダリターボ過給機50を予備回転させる排気制御弁小開
制御モード領域内のときセットされ、領域外のときクリ
アされる。
【0035】従って、イグニッションスイッチ97をO
Nした直後はイニシャルセットにより、また前回ルーチ
ン実行時に運転領域が排気制御弁小開制御モード領域外
のときは、F2=0であるため、ステップS5へ進み、
ステップS5ないしステップS7の条件判断により現在
の運転領域が排気制御弁小開制御モード領域内に移行し
たかを判断する。
【0036】この排気制御弁小開制御モード領域への移
行判定は、図9に示すようにエンジン回転数Nと吸気管
圧力(過給圧)Pとの関係で、シングル→ツイン切換判
定ラインL2よりも低回転低負荷側,すなわちシングル
ターボモード下において、設定値N1(例えば、265
0rpm),P1(例えば、1120mmHg)で囲ま
れた領域で、且つスロットル開度THが設定値TH1
(例えば、30deg)以上のとき、領域内に移行した
と判定する。
【0037】すなわち、ステップS5でエンジン回転数
Nと設定値N1とを比較し、ステップS6で吸気管圧力
Pと設定値P1とを比較し、ステップS7でスロットル
開度THと設定値TH1とを比較する。そして、N<N
1,或いはP<P1,或いはTH<TH1の場合、ステ
ップS8へ進み、現運転領域が排気制御弁小開制御モー
ド領域外にあると判断して過給圧制御モード判別フラグ
F2をクリアし、また、N≧N1且つP≧P1且つTH
≧TH1の場合にはステップS9へ進み、現運転領域が
排気制御弁小開制御モード領域に移行したと判断して過
給圧制御モード判別フラグF2をセットする。
【0038】そして、ステップS10へ進んで、過給圧
リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1をOFFし、
ステップS11で吸気制御弁用切換ソレノイド弁SO
L.2をOFFする。次いでステップS12へ進むと、
過給圧制御モード判別フラグF2の値を参照し、F2=
0の場合、ステップS13へ進み、第1の排気制御弁用
切換ソレノイド弁SOL.3をOFFし、ステップS1
4で第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4を
OFFする。
【0039】その後、ステップS15〜S17で上記ツ
インターボモード判別フラグF1,後述する差圧検索フ
ラグF3,制御弁切換時間カウント値C1をそれぞれク
リアした後ルーチンを抜ける。
【0040】従って、シングルターボモード下で、且つ
排気制御弁小開制御モード領域外の低回転,低負荷の運
転領域では、各切換ソレノイド弁SOL.1〜4がいず
れもOFFする。そこで過給圧リリーフ弁57は、過給
圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1のOFFに
よりサージタンク60からの負圧が圧力室に導入される
ことでスプリングの付勢力に抗して開弁し、吸気制御弁
55は、吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2のO
FFによりアクチュエータ56の圧力室に負圧が導入さ
れることでスプリングの付勢力に抗して逆に閉弁する。
また、排気制御弁53は、両排気制御弁用切換ソレノイ
ド弁SOL.3,4のOFFによりアクチュエータ54
の両室54a,54bに大気圧が導入されることでスプ
リングの付勢力により閉弁する。
【0041】そして、排気制御弁53の閉弁によりセカ
ンダリターボ過給機50への排気の導入が遮断され、セ
カンダリターボ過給機50が不作動となり、プライマリ
ターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態とな
る。また、吸気制御弁55の閉弁により、プライマリタ
ーボ過給機40からの過給圧の吸気制御弁55を介して
のセカンダリターボ過給機50側へのリークが防止さ
れ、過給圧の低下が防止される。
【0042】なお、シングルターボモード下で且つ排気
制御弁小開制御モード領域外の場合、或いはツインター
ボモード下の場合には、過給圧フィードバック制御は、
ここでは詳述しないがプライマリウエストゲート弁41
のみを用いて行われる。
【0043】一方、上記ステップS9で、現運転領域が
排気制御弁小開制御モード領域内と判断されて過給圧制
御モード判別フラグF2がセットされた場合には、ステ
ップS10〜S12を介してステップS18へ進み、第
1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3のみをO
Nする。そこで第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁S
OL.3のONによりアクチュエータ54の正圧室54
aに正圧が導入され、排気制御弁53が開かれる。な
お、この排気制御弁小開制御モード下では、図7に示す
排気制御弁小開制御ルーチンが設定時間(例えば、48
0msec)毎に実行されることで、排気制御弁53を
用いて過給圧フィードバック制御が行われ、これに伴い
排気制御弁53が小開される。すなわち、図7におい
て、ステップS100で過給圧制御モード判別フラグF
2の値を参照し、F2=0のときにはルーチンを抜け、
F2=1で排気制御弁小開制御モードの場合、ステップ
S101へ進み、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁
SOL.1に対する通電状態を判断し、SOL.1=O
Nの場合にはルーチンを抜け、SOL.1=OFFのと
き、ステップS102へ進み、目標過給圧と絶対圧セン
サ81により検出される実過給圧とを比較し、その比較
結果に応じて例えばPI制御により排気制御弁小開制御
用デューティソレノイド弁75に対するONデューティ
(デューティ比)を演算し、このONデューティのデュ
ーティ信号をデューティソレノイド弁75に出力し、過
給圧フィードバック制御を実行する。このため、デュー
ティソレノイド弁75によりアクチュエータ54の正圧
室54aに作用する正圧が調圧され、図11に示すよう
に、排気制御弁53が小開して排気制御弁53のみを用
いて過給圧フィードバック制御が行われる。そして、排
気制御弁53の小開により排気の一部がセカンダリター
ボ過給機50のタービン50aに供給され、セカンダリ
ターボ過給機50が予備回転され、ツインターボ移行に
備えられる。
【0044】この状態下では、吸気制御弁55が閉弁さ
れているため、セカンダリターボ過給機50のブロワ5
0b下流と吸気制御弁55との間に過給圧が封じ込めら
れるが、このとき過給圧リリーフ弁57の開弁により、
この過給圧をリークさせ、予備回転の円滑化を図ってい
る。
【0045】また、シングルターボモード下で排気制御
弁小開制御モード領域で過給圧制御モード判別フラグF
2がセット(F2=1)された場合には、前記ステップ
S4からステップS19へ進み、ステップS19ないし
ステップS21の条件判断により現在の運転領域が排気
制御弁小開制御モード領域外に移行したかの判断がなさ
れる。
【0046】この領域外への移行判定は、過給圧制御モ
ード切換時の制御ハンチングを防止するため、図9に示
すように、前記設定値N1,P1,TH1よりも低い値
の設定値N2(例えば、2600rpm),P2(例え
ば、1070mmHg),TH2(例えば、25de
g)により行う。そして、ステップS19でエンジン回
転数Nと設定値N2とを比較し、ステップS20で吸気
管圧力(過給圧)Pと設定値P2とを比較し、ステップ
S21でスロットル開度THと設定値TH2とを比較
し、N<N2,或いはP<P2,或いはTH<TH2の
場合、現運転領域が排気制御弁小開制御モード領域外に
移行したと判断して前述のステップS8へ進み、過給圧
制御モード判別フラグF2をクリアする。これにより、
排気制御弁小開制御が解除される。また、N≧N2且つ
P≧P2且つTH≧TH2の場合には、現運転領域が領
域内のままであると判断して前記ステップS9へ進み、
過給圧制御モード判別フラグF2をF2=1の状態に保
持し、排気制御弁小開制御を継続する。
【0047】以上のように、シングルターボモード下で
は、エンジン本体1からの排気のほとんどが、プライマ
リターボ過給機40に導入されてタービン40aにより
ブロワ40bを回転駆動する。そこでブロワ40bによ
り空気を吸入圧縮し、この圧縮空気がインタークーラ2
0で冷却され、スロットル弁21の開度で流量調整され
チャンバ22,吸気マニホールド23を介して各気筒に
高い充填効率で供給されて過給作用する。そして、この
シングルターボモードによるプライマリターボ過給機4
0のみ作動のシングルターボ状態では、図13の出力特
性に示すように、低,中回転数域で高い軸トルクのシン
グルターボ時のトルク曲線TQ1が得られる。
【0048】次に、シングル→ツイン切換制御について
説明する。前記ステップS3で、Tp≧Tp2,すなわ
ち現在の運転領域がシングルターボ領域からツインター
ボ領域(図8参照)に移行したと判断されると、ステッ
プS30へ分岐してプライマリターボ過給機40のみ作
動のシングルターボ状態から両ターボ過給機40,50
作動のツインターボ状態へ切換えるためのシングル→ツ
イン切換制御を実行する。
【0049】すると、先ずステップS30で、過給圧リ
リーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1に対する通電状
態を判断し、ステップS32で第1の排気制御弁用切換
ソレノイド弁SOL.3に対する通電状態を判断し、両
切換ソレノイド弁SOL.1,3が共にONの場合は、
そのままステップS34へ進む。また、上記各切換ソレ
ノイド弁SOL.1,3がOFFの場合、ステップS3
1,S33でそれぞれONにした後、ステップS34へ
進む。
【0050】そこで過給圧リリーフ弁57は、過給圧リ
リーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1のONにより正
圧通路64aからの正圧が圧力室に導入されることで、
この正圧及びスプリングの付勢力により直ちに閉弁す
る。また、排気制御弁53は、第1の排気制御弁用切換
ソレノイド弁SOL.3のONによりアクチュエータ5
4の正圧室54aに正圧が導入されることで開弁する。
なお、シングルターボモード下の排気制御弁小開制御モ
ードからシングル→ツイン切換制御に移行した場合に
は、上記過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.
1のONにより、図7の排気制御弁小開制御ルーチンに
おいて、過給圧フィードバック制御を行うことなくステ
ップS101を介してルーチンを抜けることで、排気制
御弁53による過給圧フィードバック制御が中止され、
排気制御弁小開制御用デューティソレノイド弁75が全
閉され、正圧通路64bを介しての正圧がデューティソ
レノイド弁75によりリークされることなく直接アクチ
ュエータ54の正圧室54aに導入されるので、排気制
御弁53の開度が増大される。
【0051】そして、過給圧リリーフ弁57の閉弁によ
りリリーフ通路58が遮断され、且つ排気制御弁53の
開弁,及びその開度増大によりセカンダリターボ過給機
50の回転数が上昇されると共に、セカンダリターボ過
給機50のブロワ50b下流と吸気制御弁55との間の
過給圧が次第に上昇され、ツインターボモードへの移行
に備えられる。
【0052】ステップS34では、差圧検索フラグF3
の値を参照し、F3=0の場合、ステップS35へ進
み、F3=1の場合、ステップS39へジャンプする。
【0053】シングル→ツイン切換制御に移行後、初回
のルーチン実行時にはF3=0であるためステップS3
5へ進み、まず、車速Vに基づき排気制御弁開ディレー
時間設定テーブルを補間計算付で参照してシングル→ツ
イン切換制御移行後の排気制御弁53の全開制御(第2
の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4をOFFか
らONにする)時期を定める排気制御弁開ディレー時間
T1を設定し、ステップS36で車速Vに基づき吸気制
御弁開ディレー時間設定テーブルを補間計算付で参照し
て上記排気制御弁53の全開制御後に吸気制御弁55の
開弁制御(吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2を
OFFからONにする)開始時期の条件を定めるための
吸気制御弁開ディレー時間T2を設定する。さらに、ス
テップS37で吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧P
Dとの差圧(差圧センサ80の読込み値)DPS(=P
U−PD)に基づき、吸気制御弁55の開弁制御開始時
期を定めるための吸気制御弁開差圧DPSSTを設定す
る。
【0054】図10(a)に排気制御弁開ディレー時間
設定テーブルの概念図を、同図(b)に吸気制御弁開デ
ィレー時間設定テーブルの概念図をそれぞれ示す。図に
示すように、車速Vが高い程、排気制御弁開ディレー時
間T1及び吸気制御弁開ディレー時間T2を短くして、
排気制御弁53を全開させるタイミング及び吸気制御弁
55を開けるタイミング、すなわち、ツインターボモー
ドに切換わるタイミングを早め、車速に拘わらず加速応
答性を均一化させ、ドライバビリティの向上を図るよう
にしている。
【0055】また、図10(c)に吸気制御弁開差圧設
定テーブルの概念図を示す。同図に示すようにエンジン
運転状態がシングルターボ領域から前記シングル→ツイ
ン切換判定ラインL2(シングル→ツイン切換判定値T
p2)を境としてツインターボ領域(図8参照)に移行
した直後の差圧DPSがマイナス側にある程、すなわ
ち、吸気制御弁55の上流圧PUに対し下流圧PDが高
く、高過給状態である程、吸気制御弁開差圧DPSST
をマイナス側とし、吸気制御弁55を開けるタイミング
を早め、加速応答性を向上させている。
【0056】そして、これらディレー時間T1,T2及
び吸気制御弁開差圧DPSSTを設定した後は、ステッ
プS38に進んで差圧検索フラグF3をセットしてステ
ップS39へ進む。ステップS39では、第2の排気制
御弁用切換ソレノイド弁SOL.4に対する通電状態を
判断することで、既に排気制御弁53に対する全開制御
が開始されているかを判断し、SOL.4=ONであ
り、既に排気制御弁全開制御が開始されている場合に
は、ステップS47へジャンプして第2の排気制御弁用
切換ソレノイド弁SOL.4をONに保持し、SOL.
4=OFFの場合には排気制御弁全開制御実行前である
ため、ステップS40へ進み、制御弁切換時間カウント
値C1と上記排気制御弁開ディレー時間T1とを比較
し、シングル→ツイン切換制御移行後、排気制御弁開デ
ィレー時間T1が経過したかを判断する。
【0057】そして、C1≧T1の場合には、ステップ
S45へジャンプして第2の排気制御弁用切換ソレノイ
ド弁SOL.4をONさせ、排気制御弁53を全開させ
る。また、C1<T1のディレー時間経過前のときに
は、ステップS41へ進み、エンジン負荷Tpと前記ス
テップS2で設定したシングル→ツイン切換判定値Tp
2から設定値WGSを減算した値とを比較し、Tp<T
p2−WGSの場合には、ステップS8へ戻り、シング
ル→ツイン切換制御を中止して直ちにシングルターボモ
ードに切換える。これは、エンジン負荷Tpが落ちた場
合、シングルターボモードへ戻ることで、運転の違和感
を無くすためである。
【0058】さらに詳述すれば、図8に示すように、エ
ンジン運転状態がシングルターボ領域からシングル→ツ
イン切換判定ラインL2(Tp2)をツインターボ領域
側へ一旦越えると、ツイン→シングル切換判定ラインL
1(Tp1)をシングルターボ領域側に越えない限り、
ディレー時間T1経過後に排気制御弁53が全開となり
(ステップS45)、さらに、ディレー時間T2経過後
に差圧DPSが吸気制御弁開差圧DPSSTに達すれば
吸気制御弁55が開き(ステップS49)、ツインター
ボ状態に切換わる。従って、一旦、シングル→ツイン切
換判定ラインL2を越えた後、ツイン→シングル切換判
定ラインL1とシングル→ツイン切換判定ラインL2と
で囲まれた領域に運転状態が留まっていた場合、ディレ
ー時間経過後にツインターボ状態に切換わってしまう。
しかし、この領域では、図13に示すように、トルク曲
線TQ1で与えられるシングルターボ時の軸トルクに対
して、セカンダリターボ過給機50作動によるツインタ
ーボ時のトルク曲線TQ2の軸トルクが却って低くな
り、シングルターボ状態からツインターボ状態へ切換わ
るとトルクの急減によりトルクショックを生じると共
に、運転者に違和感を与えてしまう。
【0059】これに対処するため、ツイン→シングル切
換判定ラインL1をシングル→ツイン切換判定ラインL
2に近づけて両切換ラインの幅(ヒステリシス)を狭め
ればよいが、両切換ラインL1,L2間の幅を狭める
と、シングルターボとツインターボとの切換わり頻度が
増し、各制御弁を作動させる負圧源としてのサージタン
ク60の負圧容量が不足するためにサージタンク60を
大容量としなければならず、且つ、上記幅を狭めすぎる
と、運転状態がシングル→ツイン切換判定ラインL2付
近に留まった場合、ターボ過給機作動個数切換えのパラ
メータであるエンジン負荷Tpの変動により、切換ディ
レー時間の設定の無い過給圧リリーフ弁57がチャタリ
ングを起してしまう不都合がある。
【0060】これらを防ぐため、運転状態がシングル→
ツイン切換判定ラインL2をツインターボ領域側に越え
た後、ディレー時間T1経過以前に、シングル→ツイン
切換判定ラインL2に対し、間隔が狭くシングルターボ
領域側に設定値WGSだけ減算した図8に破線で示すシ
ングル→ツイン切換判定中止ラインL3(=Tp2−W
GS)をシングルターボ領域側に越えた場合は、ツイン
ターボ状態へ切換えるシングル→ツイン切換制御を中止
して直ちにシングルターボモードに移行させ、プライマ
リターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態を維
持させることで、ツインターボ状態でのトルクの低い領
域での運転を無くし、運転性の向上を図る。
【0061】一方、ステップS41でTp≧Tp2−W
GSのときにはステップS42へ進み、シングル→ツイ
ン切換制御移行後、ディレー時間T1経過以前にエンジ
ン運転状態が高負荷高回転数域に移行したかを判断する
ための高負荷判定値TpH を、エンジン回転数Nに基づ
き高負荷判定値テーブルを補間計算付で参照して設定す
る。
【0062】図10(d)に高負荷判定値テーブルの概
念図を示す。燃料噴射パルス幅(エンジン負荷)Tp
は、 Tp=K×Q/N K:定数,Q:吸入空気量 で求められ、高負荷時、吸入空気量Qを一定とした場
合、燃料噴射パルス幅(エンジン負荷)Tpはエンジン
回転数Nに反比例する。従って、図に示すように高負荷
判定値TpH は、エンジン回転数Nが高いほど低い値に
設定される。
【0063】次いで、ステップS43でエンジン負荷T
pと上記高負荷判定値TpH とを比較し、Tp≦TpH
の場合には、ステップS44へ進み、制御弁切換時間カ
ウント値C1をカウントアップしてルーチンを抜ける。
一方、Tp>TpH であり、ディレー時間T1経過以前
にエンジン運転状態が高負荷高回転数域に移行した(例
えば、急加速,レーシング等の場合に相当する)と判断
される場合には、ステップS45へ進み、第2の排気制
御弁用切換ソレノイド弁SOL.4を直ちにONし、排
気制御弁53を全開させ、セカンダリターボ過給機50
側へも排気を流す。
【0064】そこで、エンジン負荷及びエンジン回転数
の急増で上昇した高い排気圧の排気流が、直ちにプライ
マリターボ過給機40とセカンダリターボ過給機50と
に略等分に分散して導入される。これにより、プライマ
リターボ過給機40は、排気圧及び排気流量の急上昇に
より臨界回転数に達することによるサージングの発生が
防止され、且つ熱負荷が軽減して、損傷が確実に防止さ
れる。
【0065】また、エンジン回転数Nに基づき高負荷判
定値TpH を設定し、エンジン負荷Tpと高負荷判定値
TpH とを比較してエンジン高負荷高回転状態を判断し
ているので、エンジン回転数及びエンジン負荷の全域で
正確に排気圧及び排気流量の急増を判定し得る。
【0066】シングル→ツイン切換制御に移行後、排気
制御弁開ディレー時間T1が経過してステップS40か
ら、或いはステップS43からステップS45へ進む
と、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4が
ONされて、排気制御弁53が全開され、セカンダリタ
ーボ過給機50の回転数がより上昇されブロワ50bと
吸気制御弁55との間のセカンダリターボ過給機50に
よるコンプレッサ圧(過給圧)も上昇し、図11に示す
ように、吸気制御弁55の上流と下流との差圧DPSが
上昇する。その後、ステップS46へ進み、排気制御弁
全開制御後の時間を計時するため制御弁切換時間カウン
ト値C1をクリアし、ステップS47へ進む。
【0067】そして、前記ステップS39或いはステッ
プS46からステップS47へ進むと、排気制御弁全開
制御(SOL.4OFF→ON)後の時間を表すカウン
ト値C1と吸気制御弁開ディレー時間T2とを比較し、
C1<T2の場合には、吸気制御弁55開弁条件が成立
していないと判断してステップS44でカウント値C1
をカウントアップしてルーチンを抜ける。また、C1≧
T2の場合には、開弁条件成立と判断してステップS4
8へ進み、現在の差圧DPSと吸気制御弁開差圧DPS
STとを比較し、吸気制御弁55の開弁開始時期に達し
たかを判断する。
【0068】そして、DPS<DPSSTの時には開弁
開始時期に達していないと判断してルーチンを抜け、D
PS≧DPSSTの時には、吸気制御弁55の上流圧P
Uと下流圧PDとが略等しくなり、すなわち、セカンダ
リターボ過給機50のブロワ50bと吸気制御弁55と
の間のセカンダリターボ過給機50による過給圧が上昇
してプライマリターボ過給機40による過給圧と略等し
くなり、吸気制御弁開弁開始時期に達したと判断して、
ステップS49へ進み、吸気制御弁用切換ソレノイド弁
SOL.2をONさせ、吸気制御弁55を開弁させる。
【0069】その結果、セカンダリターボ過給機50か
らの過給が開始され、ツインターボ状態となる。そし
て、ステップS50へ進み、シングル→ツイン切換制御
の終了により次回、ツインターボモードへ移行させるべ
くツインターボモード判別フラグF1をセットしてルー
チンを抜ける。なお、以上のシングル→ツイン切換制御
によるシングルターボモードからツインターボモードへ
の切換わり状態を図11のタイムチャートに実線で示
す。
【0070】上述のように、シングル→ツイン切換制御
においては、先ず、過給圧リリーフ弁57を閉弁すると
共に、排気制御弁53を開弁し、セカンダリターボ過給
機50の予備回転数を上昇させると共に、その後、セカ
ンダリターボ過給機50の予備回転数を上昇させるに必
要な設定時間を排気制御弁開ディレー時間T1により与
え、このディレー時間T1経過後に排気制御弁53を全
開にする。そして、セカンダリターボ過給機50のブロ
ワ50bと吸気制御弁55間のセカンダリターボ過給機
50による過給圧が上昇して差圧DPSが上昇し、排気
制御弁全開制御後、吸気制御弁開ディレー時間T2によ
り排気制御弁53が全開されるまでの作動遅れ時間を補
償し、ディレー時間T2経過後、吸気制御弁55の上流
と下流との差圧DPSが吸気制御弁開差圧DPSSTに
達した時点で吸気制御弁55を開弁する。これによっ
て、プライマリターボ過給機40のみ作動のシングルタ
ーボ状態から両ターボ過給機40,50作動によるツイ
ンターボ状態への切換わりがスムーズに行われ、さら
に、吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧PDとが略等
しくなった時点で吸気制御弁55を開弁してセカンダリ
ターボ過給機50からの過給を開始させるので、ツイン
ターボ状態への切換え時に発生する過給圧の一時的な低
下によるトルクショックの発生が有効かつ確実に防止さ
れる。
【0071】また、図11に破線で示すように、排気制
御弁ディレー時間(設定時間)T1を経過する前にエン
ジン高負荷高回転状態と判断されるときには(Tp>T
pH)、直ちに第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SO
L.4がONされ排気制御弁53が全開されて、排気圧
及び排気流量の急増によるプライマリターボ過給機40
の損傷が防止される。そして、このとき排気制御弁53
の全開時期が早められることで、これに対応して吸気制
御弁55の開弁開始時期も早められ、エンジン高負荷高
回転状態のときには早めにツインターボ状態に切換わ
り、図13のトルク曲線TQ2で示すツインターボ時の
出力特性により迅速に出力アップされて加速性,加速応
答性等が向上される。
【0072】次に、ツインターボモードについて説明す
る。シングル→ツイン切換制御の終了によりツインター
ボモード判別フラグF1がセットされると、或いは前回
ルーチン実行時にツインターボモードであった場合、今
回ルーチン実行時、F1=1によりステップS1からス
テップS60に分岐する。
【0073】そして、ステップS60でエンジン回転数
Nに基づきターボ切換判定値テーブルを補間計算付で参
照してツイン→シングル切換判定値Tp1を設定し(図
8参照)、ステップS61へ進んで、エンジン負荷Tp
と上記ツイン→シングル切換判定値Tp1とを比較し、
Tp≧Tp1の場合、現在の運転状態がツインターボ領
域であるため、ステップS62で判定値検索フラグF4
をクリアし、ステップS63でシングルターボ領域に移
行後のシングルターボ領域継続時間をカウントするため
のシングルターボ領域継続時間カウント値C2をクリア
した後、ステップS72へジャンプし、ステップS72
ないしステップS75で過給圧リリーフ弁用切換ソレノ
イド弁SOL.1、吸気制御弁用切換ソレノイド弁SO
L.2、第1,第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁S
OL.3,4をそれぞれONさせ、過給圧リリーフ弁5
7を閉弁に、吸気制御弁55及び排気制御弁53を共に
全開に維持し、ステップS76でツインターボモード判
別フラグF1をセットして、ステップS17へ戻り、制
御弁切換時間カウント値C1をクリアした後、ルーチン
を抜ける。
【0074】このツインターボモード下では、過給圧リ
リーフ弁57の閉弁,吸気制御弁55の開弁,排気制御
弁53の全開により、プライマリターボ過給機40に加
えてセカンダリターボ過給機50が本格作動し、両ター
ボ過給機40,50の過給動作によるツインターボ状態
となり、両ターボ過給機40,50の過給による圧縮空
気が吸気系に供給され、図13の出力特性に示すように
高回転数域で高い軸トルクのツインターボ時のトルク曲
線TQ2が得られる。
【0075】一方、上記ステップS61でTp<Tp
1、すなわち、現在の運転状態がシングルターボ領域
(図8参照)に移行したと判断されると、ステップS6
4へ進み、判定値検索フラグF4の値を参照し、F4=
0の場合にはステップS65へ進み、また、F4=1の
場合にはステップS67へジャンプする。
【0076】上記判定値検索フラグF4は、ツインター
ボモードで、且つエンジン負荷Tpがツイン→シングル
切換判定ラインL1(Tp1)を境にエンジン運転状態
がツインターボ領域内のときにクリアされる(ステップ
S62)。従って、Tp<Tp1後、初回のルーチン実
行に際してはステップS65へ進み、エンジン負荷Tp
に基づきシングルターボ領域継続時間判定値テーブルを
補間計算付で参照してシングルターボ領域継続時間判定
値T4を設定する。この設定値T4は、エンジン運転状
態がツインターボ領域からシングルターボ領域へ移行し
た後、所定時間経過後にプライマリターボ過給機40の
み作動のシングルターボモードに切換えるための基準値
である。
【0077】図10(e)にシングルターボ領域継続時
間判定値テーブルの概念図を示す。エンジン負荷Tpに
応じて設定されるシングルターボ領域継続時間判定値T
4は、例えば、最大2.3sec,最小0.6secに
設定され、エンジン負荷Tpの値が大きく高負荷である
程、小さい値に設定される。これにより、エンジン運転
状態がツインターボ領域からシングルターボ領域に移行
後、ツインターボモードからシングルターボモードに切
換わるまでの時間がエンジン負荷が高いほど早められ、
ツインターボ状態での軸トルクの低い部分での運転が防
止され、再加速性が向上する。
【0078】次いで、ステップS66で判定値検索フラ
グF4をセットした後、ステップS67へ進む。そして
ステップS67でシングルターボ領域継続時間カウント
値C2をカウントアップした後、ステップS68で上記
判定値T4とカウント値C2とを比較し、C2≧T4の
場合、ステップS71へ進み、カウント値C2をクリア
した後、ステップS8へ戻り、ツインターボモードから
シングルターボモードに切換わる。これにより、各切換
ソレノイド弁SOL.1〜4がOFFとなり、過給圧リ
リーフ弁57が開弁され、吸気制御弁55及び排気制御
弁53が共に閉弁されることで、両ターボ過給機40,
50作動のツインターボ状態からプライマリターボ過給
機40のみ作動のシングルターボ状態に切換わる。
【0079】この時の切換わり状態をタイムチャートで
示すと、図12の実線の通りとなる。このように、ツイ
ンターボモードからシングルターボモードへの切換わり
は、エンジン運転領域がツインターボ領域からシングル
ターボ領域へ移行後(Tp<Tp1)、その状態が設定
時間継続した時(C2≧T4)行われることになり、シ
フトチェンジ等に伴いエンジン回転数Nが一時的に低下
することによる不要な過給機の切換わりが未然に防止さ
れる。
【0080】一方、C2<T4の場合は、ステップS6
9へ進み、スロットル開度THと設定値TH3(例え
ば、30deg)とを比較し、TH>TH3の場合、上
記ステップS71を経てステップS8へ戻り、エンジン
運転領域がシングルターボ領域に移行後、その状態が設
定時間継続する以前であっても、図12の破線で示すよ
うに、直ちにシングルターボモードに切換わり、過給圧
リリーフ弁57が開弁されると共に、排気制御弁53及
び吸気制御弁55が共に閉弁されてセカンダリターボ過
給機50の過給動作が停止し、プライマリターボ過給機
40のみ過給動作のシングルターボ状態に切換えられ
る。
【0081】上記設定値TH3は、加速要求を判断する
ためのものである。すなわち、シングルターボ領域にお
いては(Tp<Tp1)、図13の出力特性に示すよう
にツイン→シングル切換判定ラインL1の低回転側にあ
り、ツインターボ時のトルク曲線TQ2の軸トルクの低
い領域であり、この状態でツインターボモードを維持し
ツインターボ状態を保持すると、アクセルペダルを踏込
んでも充分な加速性能を得ることができない。そのた
め、この領域で運転されているときに、加速要求と判断
されるとき(TH>TH3)には、直ちにシングルター
ボモードへ移行させ、シングルターボ状態とし、シング
ルターボ時の高い軸トルクのトルク曲線TQ1を得るこ
とで、加速応答性の向上を図る。
【0082】また、上記ステップS69でTH≦TH3
の場合には、ステップS70へ進み、車速Vと設定値V
2(例えば、2Km/h)とを比較し、V>V2で車両
走行状態と判断される場合には、前記ステップS72へ
進み、ツインターボモードを維持し、V≦V2で停車状
態と判断される場合には、上述と同様にステップS71
を経てステップS8へ戻り、直ちにシングルターボモー
ドに移行する。
【0083】上記設定値V2は、車両の停車状態を判断
するためのもので、停車中の、例えばアイドル回転数の
状態で、アクセルを踏込みエンジンを空吹しすると、エ
ンジン負荷Tpの上昇と共にエンジン回転数Nが上昇し
て、エンジン運転領域がシングルターボ領域からツイン
ターボ領域に移行してツインターボ状態となり、アクセ
ル開放の空吹し後、エンジン負荷Tp及びエンジン回転
数Nが直ちに低下し、エンジン運転領域がツイン→シン
グル切換判定ラインL1(図8参照)を境として再びシ
ングルターボ領域に移行した場合、シングルターボ領域
移行後、設定時間を経過しないと(C2≧T4)シング
ルターボモードに切換わらず、この間、エンジン回転数
Nが低下し、アイドル回転数近く(例えば、700rp
m近辺)に下がってから各切換ソレノイド弁SOL.1
〜4の切換わりが行われて、過給圧リリーフ弁57及び
各制御弁53,55が切換わる。このとき、エンジン回
転数Nが低いためエンジン回転による暗騒音が低く、各
弁の切換わりの際の発生音が運転者に聞こえ、運転者に
不快感を与えてしまう。このため、車両停車状態と判断
される時には(V≦V2)、シングルターボ領域に移行
後、設定時間を経過していなくても(C2<T4)、直
ちにシングルターボモードに切換えることで、エンジン
回転数が低下して暗騒音が低くなる前に各弁の切換わり
を完了させ、弁作動の騒音による不快感を解消する。な
お、このときのツインターボモードからシングルターボ
モードへの切換わり状態を図12に一点鎖線で示す。
【0084】以上、本発明の一実施例について説明した
が、これに限定されず、水平対向エンジン以外のエンジ
ンにも適用することができる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、シングルターボ状態からツインターボ状態へ
の切換えに際して、エンジン運転領域シングルターボ
領域からツインターボ領域に移行後ツインターボ領域
に移行後の時間が設定時間を経過していなくても、エン
ジン運転領域がエンジン高負荷高回転域に移行したと判
断されるときには、直ちに排気制御弁が全開されて、プ
ライマリターボ過給機に導入される排気流がセカンダリ
ターボ過給機に直ちに分散されるので、エンジン運転領
域がエンジン高負荷高回転域に移行せずに排気圧及び排
気流量が急上昇しない領域において直ちに排気制御弁が
全開されるのを防止しつつ、シングルターボ状態からツ
インターボ状態への切換えに際し、急加速やレーシング
等によりエンジン運転領域がエンジン高負荷高回転域に
移行した場合には、直ちに排気制御弁を全開して排気流
をセカンダリターボ過給機に分散させ、排気圧及び排気
流量の急上昇によりプライマリターボ過給機が臨界回転
数に達することによるサージングの発生が防止されると
共にプライマリターボ過給機の熱負荷が軽減して、損傷
が防止され、信頼性向上することができる。
【0086】また、シングルターボ状態からツインター
ボ状態への切換えに際し、エンジン運転領域がシングル
ターボ領域からツインターボ領域に移行してから設定時
間に達するまでの間、エンジン高負荷高回転域に移行し
たかを判断し、設定時間に達していなくても、エンジン
運転領域がエンジン高負荷高回転域に移行したときは、
直ちに排気制御弁を全開するので、直接的にエンジン高
負荷高回転域に移行することによる排気圧及び排気流量
の急上昇を正確に判定することができ、これに応じて直
ちに排気制御弁の全開によりプライマリターボ過給機へ
の排気流がセカンダリターボ過給機に分散されるため、
排気圧及び排気流量の急上昇によるプライマリターボ過
給機のサージングの発生や損傷を的確且つ確実に防止す
ることができて信頼性を著しく向上できる。 さらに、
ンジン高負荷高回転域に移行したときには、直ちにツイ
ンターボ状態に切換わるので、ツインターボ時の出力特
性により迅速に出力アップされて、加速性等が向上され
る。
【0087】請求項2記載の発明によれば、エンジン高
負荷高回転域の判断は、エンジン回転数に基づいてエン
ジン回転数の上昇に対して減少する高負荷判定値を設定
し、エンジン負荷と高負荷判定値とを比較して、エンジ
ン負荷が高負荷判定値を越えたとき、エンジン運転領域
がエンジン高負荷高回転域に移行したと判断するので、
上記請求項1記載の発明の効果に加え、シングルターボ
状態からツインターボ状態へ切換えに際して、エンジ
ン回転数及びエンジン負荷の全域排気圧及び排気流量
の急増を、正確に判定することができ、更なる制御性の
向上及び信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】過給機付エンジンの全体構成図
【図2】制御装置の回路図
【図3】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
【図4】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
【図5】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
【図6】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
【図7】排気制御弁小開制御ルーチンを示すフローチャ
ート
【図8】各切換判定値、及びシングルターボ領域とツイ
ンターボ領域との関係を示す説明図
【図9】排気制御弁小開制御モード領域の説明図
【図10】(a)は排気制御弁開ディレー時間設定テー
ブル,(b)は吸気制御弁開ディレー時間設定テーブ
ル,(c)は吸気制御弁開差圧設定テーブル,(d)は
高負荷判定値テーブル,(e)はシングルターボ領域継
続時間判定値テーブルをそれぞれ示す概念図
【図11】シングルターボモードからツインターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャート
【図12】ツインターボモードからシングルターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャート
【図13】シングルターボ時とツインターボ時との出力
特性を示す説明図
【符号の説明】
40 プライマリターボ過給機 50 セカンダリターボ過給機 53 排気制御弁 55 吸気制御弁 57 過給圧リリーフ弁 100 電子制御装置(ECU) N エンジン回転数 Tp エンジン負荷 Tp2 シングル→ツイン切換判定値 L2 シングル→ツイン切換判定ライン T1 排気制御弁開ディレー時間(設定時間)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの吸,排気系にプライマリターボ
    過給機(40)とセカンダリターボ過給機(50)とを
    並列に配置し、セカンダリターボ過給機(50)に接続
    される吸,排気系にそれぞれ吸気制御弁(55)、排気
    制御弁(53)を配設し、高速域で上記両制御弁(5
    5,53)を共に全開して上記両ターボ過給機(40,
    50)を共に過給動作させるツインターボ領域と低速域
    で吸気制御弁(55)を閉弁すると共に排気制御弁(5
    3)を閉弁或いは小開して上記プライマリターボ過給機
    (40)のみを過給動作させるシングルターボ領域とに
    エンジン運転領域を区分し、エンジン運転領域に基づき
    設定されたシングル→ツイン切換判定値(Tp2)によ
    り設定されるシングル→ツイン切換判定ライン(L2)
    を境に上記運転領域がシングルターボ領域からツインタ
    ーボ領域に移行してから設定時間(T1)を経過した後
    排気制御弁(53)を全開させ、その後、吸気制御弁
    (55)を開弁させてプライマリターボ過給機(40)
    のみ過給動作のシングルターボ状態から両ターボ過給機
    (40,50)過給動作によるツインターボ状態に切換
    える過給機付エンジンの制御方法において、シングルターボ状態からツインターボ状態への切換えに
    際し、上記運転領域がシングルターボ領域からツインタ
    ーボ領域に移行してから上記設定時間(T1)に達する
    までの間、エンジン高負荷高回転域に移行したかを判断
    し、 エンジン運転領域がシングルターボ領域からツインター
    ボ領域に移行してからの時間が上記設定時間(T1)を
    経過していなくても、エンジン運転領域が エンジン高負
    荷高回転域に移行したときは、直ちに排気制御弁(5
    3)を全開することを特徴とする過給機付エンジンの制
    御方法。
  2. 【請求項2】上記高負荷高回転域の判断は、エンジン回
    転数に基づいてエンジン回転数の上昇に対して減少する
    高負荷判定値(TpH)を設定し、 エンジン負荷(Tp)と上記高負荷判定値(TpH)と
    を比較して、エンジン負荷(Tp)が上記高負荷判定値
    (TpH)を越えたとき、エンジン運転領域がエンジン
    高負荷高回転域に移行したと判断 することを特徴とする
    請求項1記載の過給機付エンジンの制御方法。
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