JP3170762B2 - ブレーキディスクロータ - Google Patents

ブレーキディスクロータ

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JP3170762B2
JP3170762B2 JP17752792A JP17752792A JP3170762B2 JP 3170762 B2 JP3170762 B2 JP 3170762B2 JP 17752792 A JP17752792 A JP 17752792A JP 17752792 A JP17752792 A JP 17752792A JP 3170762 B2 JP3170762 B2 JP 3170762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両その他で使用され
るディスクブレーキ装置のブレーキディスクロータに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のブレーキディスクロータは、図1
0および図11に示すように円板状の摺動板OP、IP
間に単に放射状に複数の隔壁Fを形成し、各隔壁間に入
口開口I、出口開口Oおよび放射状の通路Hを形成する
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のブレーキデ
ィスクロータは、通路内の流れを解析するための油膜観
察からも明らかであるが、スチレン粒子トレーサ法によ
る処理データを示す図12、および上記に基づく流れの
スケッチを示す図13に示すように入口開口Iに入口開
口における周方向速度成分と半径方向速度成分の速度三
角形から約50度の角度で通路H内に流入した流れが、
フィンを構成する隔壁Fの負圧面側で隔壁Fの厚さ方向
に剥離が発生し、ベンチホールを構成する通路H内では
隔壁下部に広いよどみYが生ずる。そのために主流域M
Sが非常に狭くなるとともに、隔壁上面への衝突による
準二次流れSSが発生し、出口開口上部には外部からの
逆流RSが発生するという問題があった。
【0004】その結果、従来のブレーキディスクロータ
は、主流域MSが狭くなるため流れの圧力損失が大きい
ので、冷却風の通路面積における表面熱伝達率が低下し
てロータの送風、冷却効率が悪いとともに、冷却面積が
縮小化するため総放熱量が減少するという問題があっ
た。
【0005】そこで本発明者らは、従来のブレーキディ
スクロータについて、油膜観察写真やトレーサ法処理画
像を用いて種々流れの解析をした結果、フィンを構成す
る隔壁の配設角度を剥離の発生を抑制する角度に設定す
るとともに隔壁の圧力面および負圧面間の圧力差を利用
して流れを形成し入口部での剥離を防止してやれば主流
域MSを狭くしているよどみ領域Yが狭くなり主流域M
Sが広くなるのではないかという本発明の技術思想に着
眼した。
【0006】本発明者らは、さらに研究開発を重ねた結
果、隔壁を流れの流入角以下の角度で傾斜させて配設し
て、入口開口付近における剥離の発生を防止するととも
に、隔壁に圧力回復用の連通口を形成することによっ
て、負圧面側の圧力を回復することにより、上記従来の
入口開口の剥離を防ぎ、ベンチホールのよどみ領域Yを
減少させて、流れの圧力損失を小さくしたため、冷却風
の表面の熱伝達率の低下を少なくすることにより、ロー
タの送風、冷却効率を向上するとともに、冷却面積を拡
大するため総放熱量を増加させるという目的を達成する
本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載
の第1発明)のブレーキディスクロータは、車軸方向に
離間して左右に配設された円板状摺動板と、摺動板間に
放射状であって流れの流入角以下の角度で半径方向に対
して傾斜させて直線的に配設された複数の隔壁と、複数
の隔壁間に放射状に形成された複数の通路と、複数の通
路に連絡して半径方向内方および外方に開口した複数の
入口開口および出口開口と、複数の隔壁に配設方向にお
いて離間させて形成され内周側部分と外周側部分とに分
割して、隔壁を介して隣合う通路を連通させる複数の連
通口とから成前記連通口によって分割された前記隔
壁の内周側部分の半径方向に対する角度が、前記隔壁の
外周側部分の半径方向に対する角度より大きく形成さ
れ、 前記入口開口から流入した流れのうち前記隔壁の内
周側部分近くを流れる流れの一部を前記連通口を通過し
て前記隔壁の外周側部分の下部の負圧面側に流れ込ませ
て、流れを形成するように構成されているものである。
【0008】本発明(請求項2に記載の第2発明)のブ
レーキディスクロータは、第1発明において、前記隔壁
の外周側部分を回転後流側に傾けたものである。
【0009】本発明(請求項3に記載の第3発明)のブ
レーキディスクロータは、第1発明において、インナ側
の円板状摺動板の入口開口を構成する内壁先端部の肉厚
が先端に行くに従い徐々に減少する面取り部を形成する
とともに、アウタ側の円板状摺動板の入口開口を構成す
る先端部をインナ側の円板状摺動板より半径方向上内方
に突出させるとともに、先端に行くに従い徐々に厚さが
増加する突出部を形成したものである。
【0010】本発明(請求項4に記載の第4発明)のブ
レーキディスクロータは、第2発明において、アウタ側
およびインナ側の円板状摺動板の通路を構成する内壁の
少なくとも外周部において放射状であって隔壁に略平行
に幅および高さの小さな小突起で構成される放熱フィン
を形成したものである。
【0011】
【作用】上記構成より成る第1発明のブレーキディスク
ロータは、ある流入角で流入した流れと隔壁との角度が
従来に比べ相対的に小さいので、流れが隔壁に沿って流
れるため内周側部分の入口開口における剥離の発生を防
止するとともに、前記入口開口から流入した流れのうち
前記隔壁の内周側部分近くを流れる流れの一部を前記連
通口を通過して前記隔壁の外周側部分の下部の負圧面側
に流れ込ませて、流れを形成することにより、負圧面側
の剥離を防止してよどみの領域を狭くして、主流域を広
くするとともに、出口開口における逆流を抑制するとい
う作用を奏する。
【0012】上記構成より成る第2発明のブレーキディ
スクロータは、隔壁の外周側部分を回転後流側に傾けた
ので、連通口を通過した流れが外周側部分の隔壁に沿っ
て流れるので、隔壁の外周側部分においても、有効に負
圧面側の剥離を防止してよどみ領域を狭くすることによ
り、主流域を広くするという作用を奏する。
【0013】上記構成より成る第3発明のブレーキディ
スクロータは、インナ側の摺動板の内壁先端に面取り部
を形成するとともに、アウタ側の摺動板の内壁先端に突
出部を形成したので、入口開口部において流入する流れ
の向きを滑らかに変更するという作用を奏する。
【0014】上記構成より成る第4発明のブレーキディ
スクロータは、通路内の流れの速いところに流れに沿っ
て放熱フィンを構成する小突起を形成したので、放熱面
積を増大させるとともにフィン作用を奏する。
【0015】
【発明の効果】上記作用を奏する第1発明のブレーキデ
ィスクロータは、傾斜した隔壁の内周側部分および連通
口により、通路内の主流域を広くするとともに、出口開
口の逆流を抑制するので、流れの圧力損失を小さくし
て、冷却風の表面の熱伝達率の低下を少なくすることに
より、ロータの送風・冷却効率を向上するとともに、冷
却面積を拡大するため総放熱量を増加させるという効果
を奏する。
【0016】上記作用を奏する第2発明のブレーキディ
スクロータは、隔壁の外周側部分を回転後流側に傾けた
ので、剥離を防止して通路内の主流域を更に広くすると
ともに、出口開口の逆流を抑制することにより、第1発
明より更にロータの送風・冷却効率を向上するととも
に、有効な冷却面積を拡大するため総放熱量を増加させ
るという効果を奏する。
【0017】上記作用を奏する第3発明のブレーキディ
スクロータは、入口開口において面取り部と突出部によ
り流入する流れの向きを滑らかに半径方向に変更するの
で、隔壁の負圧面側における剥離の発生を抑制するとい
う効果を奏する。
【0018】上記作用を奏する第4発明のブレーキディ
スクロータは、放熱フィンを構成する流れに沿う小突起
により放熱面積を増大させるので、総放熱量を更に増加
させるという効果を奏する。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を用いて説
明する。
【0020】(第1実施例)第1実施例のブレーキディ
スクロータは、自動車用のディスクブレーキ装置に適用
したもので、図6および図7に示すように、各ホイール
WHの内側に配設したダストカバーDCの吸入口Sより
吸入した空気をロータのベンチホール内に導入するもの
であり、図1ないし図7を用いて詳細に説明する。
【0021】(第1実施例の構成)第1実施例のブレー
キディスクロータ1は、車軸WS(図7中)の軸方向に
離間して並設されたインナ側およびアウタ側の摺動板1
1および12と、摺動板11および12の間にディスク
の半径方向に傾斜して配設された隔壁を構成する複数の
フィン2と、摺動板11および12の間において半径方
向内方および外方に開口した複数の開口31および32
と、摺動板11および12と隣合う隔壁2とによって形
成される通路を構成する複数のベンチホール4と、各フ
ィン2に形成され隣合うベンチホールを連通させる連通
口5と、インナ側の摺動板の内壁先端部に面取り部を構
成するアール部61を形成するとともにアウタ側の摺動
板の先端部に突出部を構成する方向変換部62と、イン
ナ側およびアウタ側の摺動板の各ベンチホール4を構成
する内壁に放射状に配設した放熱フィン7とから成る。
【0022】アウタ側の摺動板12は、図2に示すよう
に上記インナ側の摺動板とともに段部13を介して固着
用の穴を有するボス部14と一体に形成されている。ア
ウタ側の摺動板12とインナ側の摺動板11は、半径方
向外方に行くに従い直線的に厚さが増加し、ベンチホー
ル4の高さを直線的に減少させている。
【0023】フィン2は、厚さ4.5mmでアウタ側およ
びインナ側の摺動板の間に半径165mmから半径275
mmの範囲に放射状に一体成形されている。すなわち、内
周側部分に相当する入口部分21は、図3に示すように
その先端21Eとディスクの中心(図示せず)とを結ぶ
直線Nに対し30度傾斜して形成されており、外周側部
分に相当する出口部分22は、入口部分の角度30度よ
り小さく、その先端21Gとディスクの中心とを結ぶ直
線に対し20度傾斜して形成して、出口部分22の圧力
面側のブレード作用を有効に確保するもので、いわゆる
2段フィン構造である。
【0024】すなわち、入口部分21および出口部分2
2の配設角度は、ロータ内への流れの流入角に応じて決
定されるもので、一般に30度から70度の範囲内で流
れが流入するので、それに準じて、等しいか、若干小さ
めの角度に設定することになる。フィン2の入口部分2
1および出口部分22の配設角度は、流れの流入角に沿
うのが流入損失も小さく最善であるが、流れの流入角に
対して一定の範囲内で小さい場合は一部流れとして望ま
しくない領域が存在するが、入口断面積が拡大するため
流入損失が比較的小さく、フィンの枚数が多い時(フィ
ン間隔が狭い時)には効果が有る。逆に流れの流入角に
対して一定の範囲内で大きい場合も一部流れとして望ま
しくない領域が存在するが、入口断面積が拡大するため
流入損失が上述の小さい場合に比べ若干増えるが比較的
小さい。以上の結果、流れの流入角に応じて一定の角度
範囲内にフィン2の配設角度を設定すれば良い。
【0025】ベンチホール4は、アウタ側およびインナ
側の摺動板12および11の厚みが半径方向外方に行く
に従い直線的に増加して、入口開口31における高さが
14mmで出口開口32における高さが9mmであり、フィ
ン2が放射状に形成されているので、その断面積がほぼ
一定に形成されている。
【0026】連通口5は、図3に示すように長さ6.6
mmで、フィン2を長さ15mmの入口部分21と長さ34
mmの出口部分22とに分割し、回転方向上1つ前のフィ
ンの入口部分21Fの先端21Eと連通口5の先端(フ
ィン2の入口部分21の後端21R)とを結ぶ線と入口
部分21の先端21Eとディスクの中心とを結ぶ直線N
(ディスクの半径方向)とのなす角が50度の位置に配
設され、すなわちフィン2の内周側先端から0.28L
の位置から0.39Lの位置(フィン2の先端から後端
までの全体の長さがLである)に形成されている。
【0027】連通口5の許容配設位置は、流れのベンチ
ホール4内への流入角に依存するが、0.1L(上記角
度で70度)から0.7L(30度)の範囲内である
が、入口開口31に近すぎる場合(0.1L以下)は、
内周側フィン長が短く、流入角40度〜50度で流入し
た流れが直接連通口を通過し、隣の下流側のベンチホー
ルの外周側のフィン22の負圧面において剥離およびよ
どみ領域Yが発生するため、入口部での流入損失が増加
し、流量が減少し、冷却性能の低下を招く。逆に出口開
口32に近すぎる場合(0.7L以上)は、外周側にお
ける剥離の発生を抑制し、よどみ領域を少なくするが、
ベンチホール4の広がり損失により圧力差が減少するた
め圧力回復効果が小さくなり、入口部に剥離が発生し、
内周フィン負圧面側によどみ領域が形成され、流量およ
び冷却性能の低下を招く。また0.5L以上において
は、外周側のフィンの長さが短くなることから、ベンチ
ホールの送風能力を決定するホール内外周エネルギー差
が小さくなり、通過流量が減少する傾向があり、連通口
5による圧力回復効果(流量増加効果)とのバランスか
ら0.7Lを限界とした。良好な冷却効果が必要な場合
は、フィンの配設間隔および回転数にも依存するが望ま
しい範囲である0.2L〜0.5Lを採用すると良い。
本第1実施例は0.28L〜0.39Lに設定したもの
である。
【0028】連通口5の許容長さは、2mm〜15mmであ
るが、短いと圧力回復口としての効果が低下し、長いと
フィンの有効長さが短くなるのでブレード(送風翼)と
しての効果が低下するので、最適な長さの範囲としては
4mm〜8mmとなる。本第1実施例では、製造上の観点も
加味して6.6mmに設定した。
【0029】インナ側の摺動板11の内壁先端のアール
部61は、図2に示すように角部が45度に面取りされ
ており、最小厚さの部分は強度の観点より5mmに設定さ
れている。
【0030】アウタ側の摺動板12の方向変換部62
は、図2に示すようにインナ側の摺動板11より半径方
向上内方に突出させるとともに内壁を内方に行くに従い
徐々に肉厚を増して凹円弧状に4mm盛り上げた形状にす
ることによって、アール部61との協働により、ロータ
1の軸方向の流れを半径方向外方への流れに変更し、入
口開口31を介してベンチホール4内に流入させる。
【0031】放熱フィン7は、図3および図4に示すよ
うに外周側のフィン22の圧力側に近い部分に長い放熱
フィン71をフィン2に沿って一体に形成し、ベンチホ
ール4の中央部分およびフィン22の負圧面側に近い部
分には短い放熱フィン72および73をフィン2に沿っ
て一体に形成してあり、ベンチホール4内の流れの抵抗
を増やさないで放熱効果を高める構成にしてある。
【0032】(第1実施例の作用)上記構成より成る第
1実施例のブレーキディスクロータは、図2に示すよう
に入口開口31におけるアール部61と方向変換部62
との協働により軸方向の流れを滑らかに半径方向の流れ
に変換して、図3に示すようにベンチホール4内に流入
角30度で流入するので、30度で傾斜したフィン2の
入口部分21の開口付近で剥離を発生させることなく圧
力面側の壁面に沿う滑らかな流れを形成し、その一部を
連通口5を通過させて次のベンチホール4内に流入させ
ることにより、入口側部分で剥離した流れの再付着を促
すとともにフィン2の出口部分22の負圧面側の剥離の
発生を抑制し、よどみ領域41を減らして広い主流域4
2を形成する。
【0033】このことは、図5に示す流れに追従して浮
遊するスチレン粒子を追跡し、流れの可視化を行うスチ
レン粒子トレーサ法によるトレーサ粒子処理データから
も明らかである。ここにおいてスチレン粒子トレーサ法
においては、連続的に取り込まれた浮遊粒子位置の対応
付けを行うことにより局所における速度ベクトルを求め
ることが可能であり、風速測定結果とも良く対応し、主
流の観察に適しており、図5において主流域42の流れ
の様子、よどみ領域41の範囲が明確に示される。
【0034】(第1実施例の効果)上記作用を奏する第
1実施例のブレーキディスクロータは、図3に示すよう
に傾斜させたフィン2の入口部分21および出口部分2
2、および連通口5により、フィン2に沿う滑らかな流
れを形成してフィン2の入口部分21および出口部分2
2の剥離によるよどみ領域41の発生を抑制するため、
従来の準二次流れの発生を抑制することにより最も望ま
しい形で広い主流域42を形成してベンチホール内の均
一な流れを形成するので、従来の出口開口における逆流
も抑制出来、流れの圧力損失を最小にして、冷却風の表
面の熱伝達率の低下を少なくすることにより、ロータ1
の送風・冷却効率を向上するとともに、有効な冷却面積
を拡大するため総放熱量を増加させるという効果を奏す
る。
【0035】すなわち放熱量である冷却能力は、放熱面
積と熱伝達率と温度差との積であり、強制対流熱伝達の
場合熱伝達率は流速の0.5〜0.8乗に比例するた
め、流速増加が冷却能力向上に重要であり、換言すれば
第1実施例は、剥離を防止してよどみ領域を抑制し主流
域42を広げることにより、通路抵抗を減らし流速を増
加させることができたので、放熱量、冷却能力を向上さ
せるものである。
【0036】また冷却能力は放熱面積に比例するので、
放熱面積を増加することが重要であり、第1実施例は、
限られた放熱面積の中で流速の高い領域を広げることに
より、有効に放熱面積を確保して放熱効率の高い領域を
広くとることができたので、冷却能力を格段に高めるこ
とができた。
【0037】また、第1実施例のブレーキディスクロー
タ1は、図2に示すように入口開口31においてアール
部61と方向変換部62との協働により、軸方向の流れ
を滑らかに半径方向の流れに変換するので、インナ側の
摺動板11の内壁先端付近に発生する流れの剥離を有効
に抑制するという効果を奏する。
【0038】さらに、第1実施例のブレーキディスクロ
ータ1は、図3および図4に示すようにインナ側および
アウタ側の摺動板の外周側の内壁に4個の小さな放熱フ
ィン71〜74を形成したので、ベンチホール4内の流
れの抵抗を増やすことなく、有効に放熱効果を高めると
いう効果を奏する。
【0039】また、第1実施例においては、連通口5の
長さを最適な6.6mmに設定したので、連通口5を通過
する流れによりフィン2の負圧面側の剥離によるよどみ
を最も効率良く抑制することができるという効果を奏す
る。
【0040】さらに、第1実施例においては、連通口5
を最適な位置である0.28L(上記角度で50度)〜
0.39L(フィン2の全長がLである)に配設したの
で、フィン2の両面の圧力差を利用した連通口5を介す
る流れの形成により、剥離によるよどみを最も効果的に
抑制することができるという効果を奏する。
【0041】(第2実施例)第2実施例のブレーキディ
スクロータは、ベンチホール4内の流れの改善に一層重
点を置く観点から、フィン2の負圧面側の流れの剥離を
防止してよどみ域の発生を一層有効に抑制するために、
特にフィンおよび連通口の形状を変更したものである。
【0042】図8に示すように、フィン2の入口部分2
1および出口部分22の負圧面側先端21Nおよび22
Nを徐々に厚さが増え、流れがフィン2の負圧面21N
および22Nに沿って流れるように流線形状に成すとと
もに、連通口5を構成するフィン2の入口部分21の後
端21Rの形状をS字状となし、後端21Rに沿う流れ
をフィン2の出口部分22の負圧面22Nに指向させ沿
わせる構成になっているとともに、連通口5の配設位置
は、フィン2の内周側先端より約0.3L〜0.5Lの
間で長さを約7mmにした。
【0043】上記構成より成る第2実施例のブレーキデ
ィスクロータは、図8に示すようにベンチホール4に流
入した流れは、流線形をしたフィン2の入口部21の負
圧面側先端21Nに沿って流れるため、流れの剥離およ
びよどみが第1実施例に比べ更に抑制されるとともに、
連通口5を通過した流れは、フィン2の入口部分の後端
21RのS字状の形状および出口部分22の負圧面22
Nの流線形状によりフィン2の出口部分22の負圧面2
2Nに滑らかに沿って流れるので、第1実施例に比べフ
ィン2の出口部分22の負圧面下部の剥離の発生を一層
有効に防止してよどみを抑制するという作用効果を奏す
る。
【0044】(第3実施例)第3実施例のブレーキディ
スクロータは、図9に示すように第1実施例のフィンの
入口部分21を配設角度を40度に増加させるとともに
薄肉で徐々に厚さが増加するフィンである入口部分21
Sに変更するとともに、出口部分22の配設角度を入口
部分21Sと同じ角度の40度にするもので、流れの剥
離を一層有効に防止してベンチホール内の流れを一層均
一にするとともに、入口開口31の面積を大きくすると
ともに入口部分21Sと出口部分22とのつながりを良
くして、流入抵抗を小さくすることにより、送風および
冷却効率を更に向上させるものである。
【0045】本第3実施例は、フローティングキャリパ
の場合外周の方が圧力が高いため強度的にはフィンの厚
肉の出口部分22で受け持つもので、フィンの枚数を増
やす場合に特に有効である。
【0046】上述の実施例は、説明のために例示したも
ので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無
く、特許請求の範囲の記載から当業者が認識することが
できる本発明の技術思想に反しない限り変更および付加
が可能である。
【0047】上記第1実施例では連通口の配設位置を
0.28L〜0.39L(Lはフィン2の先端から後端
までの長さ)、角度で表現すると回転方向上1つ前のフ
ィンの先端とフィンの入口部分の後端とを結ぶ線と半径
方向とのなす角が50度に設定した例について述べた
が、フィンの長さ、ベンチホールの幅、ロータの回転数
その他必要に応じて0.1Lから0.7Lの間の位置、
若しくは上記角度で30度から70度の範囲内で設定す
ることができる。
【0048】連通口の長さは、第1実施例のロータサイ
ズにおいては2mmないし15mmが許容範囲であり、望ま
しい範囲は4mmないし7mmであるが、ロータサイズが大
きくなればそれに応じて長く設定することが可能である
が、連通口の長さは、通過する流量、フィンのブレード
作用その他の観点から総合的に決まるもので、フィンの
長さLに対して0.1Lないし0.2Lの範囲の中で適
当な長さに設定すれば良い。
【0049】上記第1実施例において、入口開口の方向
変換部の肉盛高さは4mmの例について述べたが、流入抵
抗、製作不良その他の製造上の観点より第1実施例のロ
ータサイズにおいては5mm以内の適当な厚さが適用可能
であり、ロータサイズが大きくなれば5mm以上の高さに
設定しても良い。
【0050】上記第1実施例において放熱フィンの高さ
を1mmとしたが、ベンチホールの面積が第1実施例と同
様の面積であれば3mm以下の任意の高さにすることも可
能であり、ベンチホールの面積が大きくなればベンチホ
ールの高さの30%以下の適切な高さのものであっても
良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のブレーキディスクロータ
を示す図2のA−A線に沿う横断面図である。
【図2】第1実施例のブレーキディスクロータを示す縦
断面図である。
【図3】第1実施例のブレーキディスクロータ内の流れ
を示す横断面図である。
【図4】第1実施例のベンチホール内の放熱フィンを示
す断面図である。
【図5】第1実施例のブレーキディスクロータ内の流れ
をトレーサ粒子処理データにより示した断面図である。
【図6】第1実施例のブレーキディスクロータが車両に
搭載された状態を示す一部欠截斜視図である。
【図7】第1実施例のブレーキディスクロータがホイー
ルに取り付けられた状態を示す断面図である。
【図8】第2実施例のブレーキディスクロータおよび流
れを示す断面図である。
【図9】第3実施例のブレーキディスクロータおよび流
れを示す断面図である。
【図10】従来のブレーキディスクロータを示す図11
のB−B線に沿う横断面図である。
【図11】従来のブレーキディスクロータを示す縦断面
図である。
【図12】従来のブレーキディスクロータ内の流れをト
レーサ粒子処理データにより示した断面図である。
【図13】従来のブレーキディスクロータ内の流れを示
す断面図である。
【符号の説明】
1 ブレーキディスクロータ 2 フィン 4 ベンチホール 5 連通口 7 放熱フィン 11 インナ側摺動板 12 アウタ側摺動板 21 入口部分 22 出口部分 31 入口開口 32 出口開口 41 よどみ領域 42 主流域 61 アール部 62 方向変換部 71、72、73 放熱フィン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片桐 晴郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 坂本 繁 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 志水 英敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 稲富 昭夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 石原 雅史 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 篠田 徹 愛知県豊田市高丘新町天王1番地 アイ シン高丘株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−82829(JP,A) 特開 昭57−51033(JP,A) 実開 昭59−51224(JP,U) 実開 昭58−102840(JP,U) 実開 昭61−59933(JP,U) 実開 平4−56934(JP,U) 実開 昭53−106581(JP,U) 実開 昭63−146237(JP,U) 英国特許出願公開2024966(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 65/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車軸方向に離間して左右に配設された円
    板状摺動板と、 摺動板間に放射状であって流れの流入角以下の角度で
    径方向に対して傾斜させて直線的に配設された複数の隔
    壁と、 複数の隔壁間に放射状に形成された複数の通路と、 複数の通路に連絡して半径方向内方および外方に開口し
    た複数の入口開口および出口開口と、 複数の隔壁に配設方向において離間させて形成され内周
    側部分と外周側部分とに分割して、隔壁を介して隣合う
    通路を連通させる複数の連通口とから成前記連通口によって分割された前記隔壁の内周側部分の
    半径方向に対する角度が、前記隔壁の外周側部分の半径
    方向に対する角度より大きく形成され、 前記入口開口から流入した流れのうち前記隔壁の内周側
    部分近くを流れる流れの一部を前記連通口を通過して前
    記隔壁の外周側部分の下部の負圧面側に流れ込ませて、
    流れを形成するように構成されてい ることを特徴とする
    ブレーキディスクロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記隔壁の外周側部分を回転後流側に傾けたことを特徴
    とするブレーキディスクロータ。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 インナ側の円板状摺動板の入口開口を構成する内壁先端
    部の肉厚が先端に行くに従い徐々に減少する面取り部を
    形成するとともに、 アウタ側の円板状摺動板の入口開口を構成する先端部を
    インナ側の円板状摺動板より半径方向上内方に突出させ
    るとともに、先端に行くに従い徐々に厚さが増加する突
    出部を形成したことを特徴とするブレーキディスクロー
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 アウタ側およびインナ側の円板状摺動板の通路を構成す
    る内壁の少なくとも外周部において放射状であって隔壁
    に略平行に幅および高さの小さな小突起で構成される放
    熱フィンを形成したことを特徴とするブレーキディスク
    ロータ。
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