JP3160249U - 繊維クッション材 - Google Patents

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【課題】弾力性とクッション性に優れ、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能であり、しかも水洗濯後に乾燥しやすい繊維クッション材を提供する。【解決手段】非弾性捲縮短繊維と、非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または熱接着性複合短繊維と非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在し、かつ少なくとも1表面にV字型溝が形成されている繊維構造体を用いて繊維クッション材を得る。【選択図】図1

Description

本考案は、弾力性とクッション性に優れ、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能な、しかも水洗濯後に乾燥しやすい繊維クッション材に関する。
従来、寝具用マット、各種乗物用座席、家具クッションなどに使用される繊維クッション材としては、熱接着性短繊維を含有する短繊維をウエブ化した後、熱接着性短繊維の熱融着により固着点を形成した繊維クッション材が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、従来のものでは、弾力性とクッション性に優れるものの、多量の発汗により蒸れが発生するという問題や、繊維クッション材裏面で温度変化により結露が発生するという問題があった。
特開平8−318066号公報 特開2007−308831号公報
本考案は、上記の背景に鑑みなされたものであり、弾力性とクッション性に優れ、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能であり、しかも水洗濯後に乾燥しやすい繊維クッション材を提供することにある。
本考案者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成された繊維構造体を用いてクッション材を得る際、繊維構造体にV字溝を形成すると、多量の発汗による蒸れを軽減することができ、また、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能であることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本考案に想到した。
かくして、本考案によれば「非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体を含み、かつ該繊維構造体の少なくとも1表面にV字型溝が形成されていることを特徴とする繊維クッション材。
」が提供される。
その際、前記繊維構造体の少なくとも1表面に、V字型溝が格子状に形成されていることが好ましい。また、前記V字型溝において、深さが20〜30mmであり、かつ巾が30〜50mmであり、かつ隣りあうV字型溝の間隔がV字型溝の中心線間隔で50〜100mmの範囲内であることが好ましい。また、前記非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維が、繊維構造体の厚さ方向に配列していることが好ましい。また、前記非弾性捲縮短繊維がポリエステル系繊維であることが好ましい。また、前記熱接着性複合短繊維を構成する熱融着成分がポリエステル系エラストマーであることが好ましい。また、前記繊維構造体の厚さが50〜300mmであり、かつ密度が20〜50kg/mの範囲内であることが好ましい。また、前記繊維構造体において、V字型溝が形成されている表面とは反対側の表面に立体編物が積層されていることが好ましい。また、繊維クッション材が寝具用または家具用または乗物座席用であることが好ましい。
本考案によれば、弾力性とクッション性に優れ、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能であり、しかも水洗濯後に乾燥しやすい繊維クッション材が得られる。
本考案に係る繊維クッション材を模式的に示す図である。 V字型溝が格子状に形成されている様子を模式的に示す図である。 T/Hの測定方法を説明するための模式図である。
以下、本考案の実施の形態について詳細に説明する。本考案における非弾性捲縮短繊維としては、綿、ウール等の天然繊維やカーボン繊維等の無機繊維、セルロース系繊維、アラミド系、ポリオレフィン系、ポリエステル系の合成繊維等、さらには雑綿又は反毛とよばれるリサイクル繊維等も使用できる。なかでも、取扱性及びリサイクル性の点より合成繊維が好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリピバロラクトン、ポリ乳酸(PLA)、ステレオコンプレックスポリ乳酸、などのポリエステル、またはこれらの共重合体からなる短繊維ないしそれら短繊維の混綿体、または上記ポリマー成分のうちの2種類以上からなる複合短繊維等を挙げることができる。また、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−01694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートや、さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルなどからなる短繊維でもよい。これらの短繊維のうち、繊維形成性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなる短繊維が特に好ましい。
前記の非弾性捲縮短繊維において、単繊維の断面形状は通常の丸、扁平、四つ山扁平などのくびれ付き扁平、三角や四角の多角形、丸中空や三角中空等の中空などいずれでもよい。
また、前記の非弾性捲縮短繊維において、単糸繊度としては、2〜700dtex(より好ましくは4〜200dtex、特に好ましくは5〜10dtex)であることが好ましい。単糸繊度が2dtexよりも小さいと、嵩高性が不十分となりクッション性や反発性が乏しくなるおそれがある。逆に、単糸繊度が700dtexよりも大きいとウエブ化が難しく、また、同一目付けであれば、繊維クッション材を構成する繊維の本数が少なくなるため十分なクッション性が得られないおそれがある。また、非弾性捲縮短繊維の繊維長としては、繊維長が3〜100mmに裁断されていることが好ましい。
前記の非弾性捲縮短繊維において、捲縮数は4〜25個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)であることが好ましく、捲縮率としては20〜35%であることが好ましい。かかる捲縮数や捲縮率がこれらの範囲よりも小さいとウエブの嵩が出にくく、ウエブ化が困難となるおそれがある。また同時に、クッション材の反発性が乏しく、耐久性の低いものしか得られないおそれがある。逆に、かかる捲縮数や捲縮率がこれらの範囲よりも大きいとウエブの嵩高性が低く、高密度のクッション材しか得られなかったり、ウエブ化の際に繊維の絡みが強くなり筋状のムラ等が発生しやすくなるおそれがある。
なお、捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に張り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与、異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与など、種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
一方、熱接着性短繊維は、前記非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーの融点よりも25℃以上(より好ましくは25〜150℃)低い融点を有する低融点ポリマーが少なくとも熱融着成分としてその表面に配された短繊維である。加熱により熱融着成分が溶融し、該熱接着性短繊維同士の交差点や該熱接着性短繊維と前記非弾性捲縮短繊維との交差点が融着する。その際、前記融点差が25℃未満では、加工温度が非弾性捲縮短繊維の融点温度に近くなるため、非弾性捲縮短繊維の物性や捲縮特性、または繊維クッション材のクッション性が低下するおそれがあり、また、成型時の収縮率も大きくなるおそれがあり好ましくない。
かかる熱接着性短繊維を構成する繊維としては、共重合ポリエステル系繊維、熱可塑性エラストマー繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、熱融着成分と芯成分とで形成される複合形態を有する複合繊維などが例示される。特に、熱融着成分を有する複合繊維は形態保持安定性や、成形性が優れているので好ましい。繰返し圧縮変形を受け、圧縮量すなわち変形量が大きいクッション用途では、固着点(融着点)に変形応力が加わったとき変形が容易で、変形応力が除かれたときは歪みを残さずに復元することが好ましい。繊維クッション材に大きな変形量が加わるときは、かかる繊維クッション材に含まれる固着点には、さらに大きな角度変化や伸張、ねじれ等の力が加わる。このため、熱融着成分を形成する低融点ポリマーが熱可塑性エラストマーであることが好ましい。特に、後記のように繊維クッション材に圧縮処理を施す際、伸度および伸長弾性回復率の低い低融点ポリマーでは、固着点が過度に破壊されてしまい圧縮硬さが著しく低下し、また所望の厚さが得られないおそれがある。これに対し、熱可塑性エラストマーでは、伸度および伸長弾性回復率が高いので、繊維クッション材に圧縮処理を施す際、仮融着した弱い固着点のみが外れ剥離し、適度な圧縮硬さ(ソフト性)が得られる。
かかる熱可塑性エラストマーとしては、耐熱性があり、高温熱成型可能なポリエステル系エラストマーが特に好ましい。ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、非弾性捲縮短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
また、熱接着性短繊維が複合繊維である場合、芯成分を形成するポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合体エステル等を使用できる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
また、熱接着性短繊維が複合繊維である場合、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と芯成分が、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。複合形態としては、少なくとも熱融着成分が表面に露出している限り特に限定されず、サイドバイサイド型、芯鞘型、偏心芯鞘型などが例示される。
前記の熱接着性短繊維において、単糸繊度としては2〜170dtex(より好ましくは1〜15dtex、特に好ましくは2〜10dtex)が好ましく、繊維長は38〜255mm、捲縮数は4〜70個/2.54cmの範囲が好ましい。この範囲から外れると、混綿、ウエブ化などの工程安定性が悪くなるおそれがある。また、繊維クッション材のクッション性能や圧縮耐久性が低下するおそれがある。
本考案において、繊維構造体は、上記の非弾性捲縮短繊維と熱接着性短繊維とが混綿され、加熱処理することにより、該熱接着性短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および該熱接着性短繊維と非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなるものである。その際、非弾性捲縮短繊維と熱接着短繊維との重量比率は90/10〜10/90であることが肝要である。熱接着性短繊維の比率がこの範囲より小さい場合は、固着点が少なくなり、圧縮反発性、圧縮耐久性が低下するおそれがる。逆に、熱接着性短繊維の比率がこの範囲よりも大きい場合は、熱接着性短繊維の収縮のため、所望の成型物形状が得られにくくなるとともに、生産での品質管理が難しくなり好ましくない。
ここで、前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが繊維構造体の厚さ方向に配列していることが好ましい。ここで、「厚さ方向に配列している」とは、図3に示すように繊維構造体の厚さ方向に対して平行に配列されている繊維の総本数を(T)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維の総本数を(W)とするとき、T/Wが1.5以上であることである。
また、前記繊維構造体において、少なくとも1表面(好ましくは1表面にのみ)にV字型溝が形成されていることが肝要である。繊維構造体の少なくとも1表面にV字型溝が形成されていると、V字型溝が形成された表面が、人体側とは反対側となるように(すなわち、クッション材裏面となるように)繊維クッション材を使用すると、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能となる。
なお、V字型溝とは、図1に示すように、繊維構造体表面形成された、溝巾が深さにともない狭くなる溝のことであり、V字型溝の巾は最も広い箇所の巾を測定し、V字型溝の深さは最も深い箇所の深さを測定するものとする。
ここで、図2に示すように前記V字型溝が格子状に形成されていると、蒸れを軽減する効果や結露発生の抑制効果がさらに向上し好ましい。
また、前記V字型溝において、深さが20〜30mmであり、かつ巾が30〜50mmであり、かつ隣りあうV字型溝の間隔がV字型溝の中心線間隔(W)で50〜100mmの範囲内であると、蒸れを軽減する効果や結露発生の抑制効果がさらに向上し好ましい。
また、前記繊維構造体において、密度は20〜50kg/m3の範囲が好ましい。繊維構造体の密度が該範囲よりも小さいと、反発性や圧縮耐久性が低下するおそれがある。逆に、繊維構造体の密度が該範囲よりも大きいと、硬くなるおそれがある。
また、繊維構造体の厚さとしては50〜300mmであることが好ましい。繊維構造体の厚さが50mmより小さいとクッション性が十分発現されないおそれがある。逆に、繊維構造体の厚さが300mmよりも大きいと、取扱い性が損なわれるおそれがある。
本考案において、前記の繊維構造体単独で繊維クッション材を構成してもよいが、織物、編物、不織布などの布帛を積層することは好ましいことである。その際、かかる布帛としては、立体編物が好ましい。特に、V字型溝が形成されている表面とは反対側の表面に立体編物が積層されていると、優れた通気性、クッション性、高外観が得られ好ましい。なお、かかる立体編物としては、表裏二層の編物(好ましくはメッシュ)と該二層の編物を連結するモノフィラメントによる連結糸とから構成された、厚さ2〜50mm立体編物が好ましい。市販のものでは、例えば、旭化成社製のフュージョン(登録商標)などが好ましい。
前記の繊維構造体は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、前記のような非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを重量比率で90/10〜10/90となるように混綿したウエブを用意する。
次いで、該ウエブを必要に応じて遠赤外線や熱風ヒータ等で仮融着し、所定の密度および厚さに応じて積層した後、ウエブに接する面に山形の凸部を設けた金型に入れ、次いで、蒸気釜を用いて50Torr以下に減圧した後に一定時間湿熱処理し、その後冷却乾燥する方法が好ましい。また、前記ウエブを、どちらか1枚のプレートに山形の凸部を設けた、上下2枚のプレート間に圧縮保持させ、加熱する方法が好ましい。
ここで、ウエブをそのまま積層しても加熱してもよいし、繊維構造体を構成する繊維を繊維の厚さ方向に配列させるため、特開2007−308831号公報の図2に示すような熱処理機(市販のものでは、Struto社製Struto設備など)を用いて、駆動ローラにより加熱ローラが低融点ポリマーの融点以上に設定された熱風サクション式熱処理機内に押し込むことでアコーデオン式に折りたたんだ後加熱してもよい。
また、前記のように、繊維構造体に他の布帛を積層する場合は、接着剤により布帛を繊維構造体に貼り合わせてもよいが、ウエブと布帛とを同時に金型に入れて湿熱処理するか、または、ウエブと布帛とを積層した状態で上下2枚のプレート間に圧縮保持させ、加熱することにより熱接着させることが好ましい。
本考案の繊維クッション材において、布帛以外の付属品を付加してもよい。また、繊維クッション材の形状についても平板状に限定されず任意の形状でもよい。さらには、通常の撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
本考案の繊維クッション材において、繊維構造体の少なくとも1表面にV字型溝が形成されているので、空気が対流しやすくなって、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生やカビの発生を抑制することが可能となる。また、かかる繊維構造体は前記のような非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とで構成されるので、弾力性とクッション性に優れ、しかも水洗濯後に乾燥しやすい、さらには、使用後にメルトして再び新たな繊維や成型プラスチック等にリサイクル可能であり、燃焼する際、有毒ガスの発生が少ないという優れた効果を有する。
本考案の繊維クッション材は、寝具用マット材、三次元曲面形状や厚みを持った家具クッション、乗物座席クッションとして特に好適に使用できるが、これら以外の用途に用いてもさしつかえない。その際、V字型溝が形成された表面がクッション材裏面(すなわち、人体側とは反対側表面)となるように用いることが好ましいが、表裏を逆にして用いてもよい。
以下、本考案を実施例により詳しく説明するが、本考案はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)融点
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(2)固有粘度
オルトクロルフェノールを溶媒として35℃で測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(3)捲縮数、捲縮率
JIS L 1015に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(4)クッション性
熟練者10名が、クッション材用繊維成型体の上に座り、クッション性、座り心地について下記判定基準に基いて官能評価を行った。
4級:極めて良好(弾力性がある)、3級:やや良好(やや弾力性がある)、2級:やや不良(やや硬い)、1級:不良(硬い)
(5)蒸れ防止性
温度25℃、湿度65%RHの部屋の中で熟練者10名が10分間歩行運動をしたのち、クッション材用繊維成型体の上に座り、下記判定基準に基づいて官能評価を行った。
4級:極めて良好(蒸れない)、3級:やや良好(蒸れにくい)、2級:やや不良(やや蒸れる)、1級:不良(蒸れる)
(6)結露抑制性
温度15℃、湿度65%RHの部屋の中で金属板の上にタテ50cm、ヨコ50cmの繊維クッション材を設置した。次いで、この繊維クッション材の上に水を10重量%染み込ませたタテ30cm、ヨコ30cmの綿布の金巾3号を置き、その上から33℃に温度制御された熱板を被せ、1時間後に金属板表面の結露状態を評価した。
(7)乾燥性
温度20℃、湿度65%の環境に24時間放置したクッション材用繊維成型体をタテ10cm、ヨコ10cmの大きさに切り重量を測定(A)。この繊維クッション材を1分間水中に浸漬後、遠心脱水機に1分間いれて水を切った後に重量を測定(B)。さらに温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下に放置して1時間後の重量を測定(C)。以上の測定した重量を用いて以下の計算式により乾燥率を求めた。
乾燥率(%)=(1−(C−A)/(B−A))×100
(8)T/H
繊維クッション材を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている繊維(図3において0°≦θ≦45°)の総本数を(T)とし、繊維クッシ
ョン材の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維(図3において45°<θ≦90°
)の総本数を(H)としてT/Hを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所につ
いて各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。T/Wが1.5以上の場合、「繊維が厚さ方向に配列している。」とした。
[実施例1]
テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38重量%を更にポリテトラメチレングリコール(分子量2000)62重量%と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの融点は155℃であった。この熱可塑性エラストマーを鞘(シース)に、ポリブチレンテレフタレート(融点224℃)を芯(コア)に、シース/コアの重量比で70/70なるように紡糸して偏心シース・コア型複合繊維を得た。得られた複合繊維を2.0倍に延伸したのち、80℃で乾燥し捲縮を発現させたのち、油剤を付与し、51mmに切断することにより、熱接着性短繊維を得た。該熱接着性短繊維において、単糸繊度は7.3dtex、捲縮数は13個/2.54cm、捲縮率は30%であった。
次いで、該熱接着性短繊維30重量%と、非弾性捲縮短繊維として常法にて得られたポリエチレンテレフタレート短繊維(単糸繊度7.3dtex、繊維長64mm、捲縮数9個/2.54cm、捲縮率34%、断面形状は丸中空、融点256℃)70重量%とを混綿し、通常のカード機でウエブを作製し、Struto社製Struto設備を用いて、ローラ表面速度2.5m/分の駆動ローラにより、熱風サクション式熱処理機(熱処理ゾーンの長さ5m、移動速度1m/分)内へ押し込むことでアコーデオン式に折り畳み、190℃×5分間処理し厚み30mm、目付け460g/m2の、非弾性捲縮短繊維および熱接着性短繊維が繊維構造体の厚さ方向に配列している繊維構造体を得た。
この繊維構造体を4枚と最上層にポリエステル系繊維立体編物(商品名フュージョン(登録商標)、品番AKE65710、目付け430g/m2)1枚を積層した繊維構造体を上下2枚のプレート間60mmの間に圧縮保持させ、加熱成形した。また、下のプレートにはその繊維構造体が当設する面に70mm間隔に断面が底辺30mm、高さ30mmの三角形の凸部を格子状に設けておくことにより、図1に示すような、繊維成型体の1表面にのみV字型溝(深さ30mm、巾30mm)が格子状(隣り合うV字型溝の間隔は経緯ともに70mm)に設けられ、当該表面とは反対側の表面に、布帛(ポリエステル系繊維立体編物)が積層された繊維クッション材を作製した。
得られた繊維クッション材はクッション性に優れ、蒸れにくく、結露抑制性があり、乾燥しやすいものであった。評価結果を表1に示す。
次いで、該繊維クッション材を、V字型溝が形成された表面がクッション材裏面(すなわち、人体側とは反対側表面)となるように用いて、寝具用マット材、三次元曲面形状を有する家具クッション、および乗物座席クッションを得て使用したところ、弾力性とクッション性に優れ、多量の発汗による蒸れを軽減し、クッション材裏面での温度変化による結露の発生が抑制可能であり、しかも水洗濯後に乾燥しやすいものであった。
[実施例2]
実施例1において積層する4枚の繊維構造体のうち2層目、3層目を実施例1と同じ熱接着性短繊維30重量%と、実施例1と同じ非弾性捲縮短繊維70重量%とを混綿し、通常のカード機でウエブを作製し通常のクロスレアーでウエブを重ね合わせた後、厚みを規定しながら、温度が200℃に設定された熱風サクション式熱処理機内に押し込み目付け460g/m2の繊維構造体に変更すること以外は実施例1と同様に繊維クッション材を作製した。
得られた繊維クッション材はクッション性が実施例1よりもやや劣るものの、蒸れにくく、結露抑制性があり、乾燥しやすいものであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において繊維構造体を積層し加熱成型する際の下のプレートの繊維構造体が当設する面に100mm間隔に深さ15mmの刃を設けておいた。この刃により繊維構造体表面に切り込みが設けられた以外は実施例1と同様にクッション材用繊維成型体を作成した。
得られたクッション材用繊維成型体は実施例1、2よりもクッション性、結露抑制性、乾燥性で劣るものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1においてポリエステル系繊維立体編物(商品名フュージョン(R)、品番AKE65710、目付け430g/m2)を積層しなかったこと以外は実施例1と同様に繊維クッション材を作製した。
得られた繊維クッション材は実施例1、2よりもクッション性、蒸れ防止性で劣るものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において積層する繊維構造体の中間層1枚を、生理食塩水に対する吸水倍率が自重の45倍、20℃、相対湿度80%の条件下での吸湿率が85重量%である吸湿吸水繊維(商品名ベルオアシス(登録商標)、単繊維繊度10dtex、繊維長51mm)40重量%と通常のポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度4.4dtex、繊維長51mm)60重量%を混綿し、カーディング、クロスレイ、ニードルパンチによる通常の処理を施して得た、目付け500g/m2、厚さ4mmの吸水及び/又は吸湿性不織布の両面に、目付け100g/mの表皮用ポリエステル織布を置いてキルティング加工により一体化して得た吸水吸湿性繊維構造体に変更したこと以外は実施例1と同様にして繊維クッション材を作製した。
得られた繊維クッション材は実施例1、2よりもクッション性、乾燥性で劣るものであった。評価結果を表1に示す。
Figure 0003160249
1:繊維構造体
2:布帛
3:V字型溝
4:V字型溝

Claims (9)

  1. 非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも25℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜10/90となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体を含み、かつ該繊維構造体の少なくとも1表面にV字型溝が形成されていることを特徴とする繊維クッション材。
  2. 前記繊維構造体の少なくとも1表面に、V字型溝が格子状に形成されている、請求項1に記載の繊維クッション材。
  3. 前記V字型溝において、深さが20〜30mmであり、かつ巾が30〜50mmであり、かつ隣りあうV字型溝の間隔がV字型溝の中心線間隔で50〜100mmの範囲内である、請求項2に記載の繊維クッション材。
  4. 前記非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維が、繊維構造体の厚さ方向に配列している、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維クッション材。
  5. 前記非弾性捲縮短繊維がポリエステル系繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維クッション材。
  6. 前記熱接着性複合短繊維を構成する熱融着成分がポリエステル系エラストマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維クッション材。
  7. 前記繊維構造体の厚さが50〜300mmであり、かつ密度が20〜50kg/mの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維クッション材。
  8. 前記繊維構造体において、V字型溝が形成されている表面とは反対側の表面に立体編物が積層されている、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維クッション材。
  9. 繊維クッション材が寝具用または家具用または乗物座席用である、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維クッション材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114592280A (zh) * 2020-12-31 2022-06-07 苏州爱美纤维科技有限公司 一种非织造材料及其应用

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