JP3144717B2 - 4輪駆動車のトルク配分制御方法 - Google Patents

4輪駆動車のトルク配分制御方法

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JP3144717B2
JP3144717B2 JP27380892A JP27380892A JP3144717B2 JP 3144717 B2 JP3144717 B2 JP 3144717B2 JP 27380892 A JP27380892 A JP 27380892A JP 27380892 A JP27380892 A JP 27380892A JP 3144717 B2 JP3144717 B2 JP 3144717B2
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4輪駆動車の差動制限
装置により、前後輪や左右後輪のトルク配分を走行、路
面状態に応じて可変制御するトルク配分制御方法に関
し、詳しくは、旋回加速時のオーバステア化防止に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、4輪駆動車においては、センター
ディファレンシャルやリヤディファレンシャルにそれそ
れ差動制限装置を設け、センター差動制限トルクにより
前後トルク配分を、リヤ差動制限トルクにより左右後輪
トルク配分をそれぞれアクティブに可変制御することが
提案されている。一方、駆動力が車両の運動性能に及ぼ
す影響としては、旋回中にアクセルONした場合のアン
ダステアの急増(ドリフトアウト)またはオーバステア
化(車両のスピン)、逆にアクセルOFFした場合のタ
ックイン等の挙動が知られている。ここで、前者に対し
ては前後トルク配分制御(VTD)の影響が大きく、後
者の場合は左右後輪トルク配分制御(CRD)の効果が
大きいことから、これらのステア特性の変化に対して個
別に制御して、運動性能を向上している。しかし、かか
る個別制御は重複して行われることがあり、この場合に
は相互に影響して他の運動性能の悪化をもたらすおそれ
があり、このため悪影響を生じないように総合制御する
ことが望まれる。
【0003】従来、上記4輪駆動車のトルク配分制御に
関しては、例えば特願平3−123039号の出願があ
る。ここで旋回加速時の前後輪トルク配分制御におい
て、前後加速度と横加速度が共に小さい領域では、低μ
路とみなして前後輪の接地荷重配分に近いトルク配分に
制御し、スリップ等を防止する。また両加速度が大きく
なるにつれて高μ路とみなし、後輪寄りのトルク配分に
制御して、アンダステアの増大を抑える。一方、左右後
輪トルク配分制御では、横加速度の増大に応じてリヤ差
動制限トルクを大きく制御し、空転する内輪から外輪に
トルク移動して、空転防止することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術のもにあっては、横加速度の大きい旋回時には旋回内
輪の接地荷重が極度に減少するが、このとき後輪寄りに
トルク配分されることと相まって、リヤ内輪の空転が激
しくなる。またこの条件では、リヤ差動制限トルクが大
きく制御されて、リヤ外輪の駆動力が必要以上に大きく
なるため、車両にはオーバステア方向のヨーモメントが
加わり、これによりオーバステア化するという不具合を
生じる。
【0005】本発明は、この点に鑑みてなされたもの
で、前後輪と左右後輪のトルク配分を個別制御すること
を前提にして更に総合制御し、旋回加速等の場合のオー
バステア化を有効に防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、センタディファレンシャルおよびリヤデ
ィファレンシャルに付設された差動制限装置を車両の走
行状態に応じて前後輪のトルク配分制御するとともに左
右後輪のトルク配分制御する4輪駆動車のトルク配分制
御方法であって、前後加速度に応じて設定される目標ス
タビリティファクタに基づいて、前記センタディファレ
ンシャルに付設されたセンタ差動制限装置のセンタ差動
制限トルクを少なくとも旋回加速時には後輪寄りにトル
ク配分制御する第1の過程と、リヤ内輪の空転が発生し
た際に、前記リヤディファレンシャルに付設されたリヤ
差動制限装置のリヤ差動制限トルクを旋回外輪寄りにト
ルク配分制御するとともに、前記リヤ差動制限トルクに
応じて前記目標スタビリティファクタを補正し、後輪へ
の駆動力を減少するように前記センタ差動制限装置のセ
ンタ差動制限トルクをトルク配分制御する第2の過程と
を備えることを特徴とする。
【0007】
【作用】上記方法により、例えば旋回加速時には、セン
ター差動制限トルクにより後輪寄りにトルク配分制御し
て良好に旋回走行され、この場合にリヤ内輪が大きい駆
動力と接地荷重の減少により空転すると、各別にリヤ差
動制限トルクを生じてリヤ外輪にトルク移動し、こうし
てその空転が防止される。このとき更にリヤ差動制限ト
ルクに応じて後輪の駆動力を減少するように補正される
ことで、リヤ外輪の駆動力が必要以上増大しないように
抑えられ、これにより車両のオーバステア化が有効に防
止されるようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2において、センターディファレンシャルを備
えたフルタイム式4輪駆動車の駆動系の概略について説
明すると、符合1はエンジン、2はクラッチ、3は変速
機であり、変速機出力軸4がセンターディファレンシャ
ル20に入力している。センターディファレンシャル2
0から前方にフロント駆動軸5が、後方にリヤ駆動軸6
が出力し、フロント駆動軸5はフロントディファレンシ
ャル7、車軸8を介して左右の前輪9L,9Rに、リヤ
駆動軸6はプロペラ軸10、リヤディファレンシャル1
1、車軸12を介して左右の後輪13L,13Rにそれ
ぞれ連結して伝動構成される。
【0009】リヤディファレンシャル11はベベルギヤ
式であり、このリヤディファレンシャル11の例えばデ
フケース11aと一方のサイドギヤ11bとの間に、差
動制限装置として油圧多板式リヤクラッチ28がバイパ
スして付設されている。そしてリヤクラッチ28のリヤ
差動制限トルクTdが零の場合は、左右後輪13L,1
3Rに等しくトルク配分し、所定のリヤ差動制限トルク
Trを生じるとこのトルクTrの分だけ高速輪から低速
輪にトルク移動し、最も大きいリヤ差動制限トルクTr
でデフロックする場合は左右後輪13L,13Rにかか
る車重Wと路面摩擦係数μとの積W・μに応じてトルク
配分するようになっている。
【0010】センターディファレンシャル20は複合プ
ラネタリギヤ式であり、変速機出力軸4と一体の第1サ
ンギヤ21,リヤ駆動軸6と一体の第2サンギヤ22,
及びこれらのサンギヤ21,22の周囲に複数個配置さ
れるピニオン23を有し、ピニオン23の第1ピニオン
ギヤ23aが第1サンギヤ21に、第2ピニオンギヤ2
3bが第2サンギヤ22にそれぞれ噛合っている。また
変速機出力軸4には、ドライブギヤ25が回転自在に設
けられ、このドライブギヤ25と一体のキャリヤ24に
ピニオン23が軸支され、ドライブギヤ25はフロント
駆動軸5と一体のドリブンギヤ26に噛合って構成され
る。一方、上記センターディファレンシャル20には、
差動制限装置として油圧多板式センタークラッチ27が
付設されている。このセンタークラッチ27は、例えば
センターディファレンシャル20の直後方でドラム27
aをキャリヤ24に、ハブ27bをリヤ駆動軸6にそれ
ぞれ結合して同軸上に配置される。
【0011】このセンターディファレンシャル20の構
成により、第1のサンギヤ21に入力する変速動力を、
キャリヤ24と第2のサンギヤ22とに所定の基準トル
ク配分で分けて伝達する。また旋回時の前後輪の回転差
を、ピニオン23の遊星回転により吸収するようにな
る。ここで基準トルク配分は2つのサンギヤ21,22
と2つのピニオンギヤ23a,23bとの4つのギヤ噛
合いピッチ円半径で自由に設定されることから、前後輪
の基準トルク配分を充分に後輪偏重に設定することが可
能になる。またフロントエンジンの搭載の場合は、車両
の前輪重量と後輪重量の静的重量配分が前輪偏重であ
り、油圧クラッチ27の差動制限による直結の場合は、
この重量配分に応じて前輪偏重にトルク配分される。従
って、油圧クラッチ27の差動制限トルクTcを制御す
ることで前後輪のトルク配分を、後輪偏重の基準トルク
配分から前輪偏重の重量配分に及ぶ広い範囲で制御する
ことが可能になる。
【0012】次に、センタークラッチ27とリヤクラッ
チ28の油圧制御系について説明する。先ず、変速機が
自動変速機の場合は、その油圧制御系のオイルポンプ3
0の油圧をレギュレータ弁31で調圧したライン圧を利
用して構成される。そこでセンタークラッチ油圧制御手
段32はライン圧油路33と連通するクラッチ制御弁3
4を有し、このクラッチ制御弁34が油路35を介して
センタークラッチ27に連通する。またライン圧油路3
3はパイロット弁36及びオリフィス37を有する油路
38によりソレノイド弁40に連通し、ソレノイド弁4
0によるデューティ圧が油路39を介してクラッチ制御
弁34の制御側に作用する。ソレノイド弁40は制御ユ
ニット50からの各走行条件に応じたデューティ信号が
入力すると、それにより油圧をドレンしてデューティ圧
を生じるものであり、このデューティ圧に応じてクラッ
チ制御弁34を動作し、センタークラッチ27のセンタ
ー差動制限トルクTcを可変制御する。またリヤクラッ
チ油圧制御手段32’は同様に油路33,39’と連通
したクラッチ制御弁34’、油路35’、ソレノイド弁
40’を有し、ソレノイド弁40’のデューティ圧によ
りリヤクラッチ28のリヤ差動制限トルクTrを可変制
御するように構成されている。
【0013】図1において、前後輪トルク配分と左右後
輪トルク配分の全体の電子制御系について説明する。先
ず、制御則について説明すると、走行や路面の状態によ
り前後トルク配分制御され、更に左右後輪のスリップ、
旋回や運転状態により各別に左右後輪トルク配分制御さ
れる。そして両制御が重複して行われてオーバステア化
するのは、前後トルク配分が後輪偏重になることに起因
するため、このオーバステア化を防ぐには、リヤ差動制
限トルクに応じて後輪への駆動力を減らす方向に補正す
れば良い。
【0014】ここで前後輪と左右後輪のトルク配分制御
の制御対象として、ステア特性を表すスタビリティファ
クタを用いた場合について説明する。先ず、タイヤの非
線形性を数式化し、図5(a)に示す前後2輪モデルに
よる車両のステア特性解析を取入れる。これにより旋回
時の加減速を伴う準定常状態でのステア特性と前後輪ト
ルク配分の関係を解析的に扱うことができ、タイヤの非
線形性を考慮した等価スタビリティファクタA* は、次
式で示される。
【0015】
【数1】
【0016】但し、Kf* ,Kr* ;非線形性を考慮し
たコーナリングパワ、Lf,Lr;重心から前後輪まで
の距離、m;車体質量、L;ホイールベースである。
【0017】一方、左右後輪トルク配分制御により左右
後輪の駆動力Xi,Xoに差を生じると、車体には図5
(b)に示すヨーモーメントMrが加わる。そこでこの
ヨーモーメントMrの影響をスタビリティファクタの変
化として表すと、左右後輪トルク配分制御による等価ス
タビリティファクタの変化量ΔA* は、次式で示され
る。
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】Mr=(2Tr/rt)dr 但し、Gy;横加速度、Tr;リヤ差動制限トルク、d
r;トレッド、rt;タイヤ径である。
【0020】また、ステア特性では、目標スタビリティ
ファクタAoが図3の実線のように設定され、前後加速
度が正の加速時には旋回性を重視してアンダステアの弱
い方向に定め、減速時には安定性を重視してアンダステ
アの強い方向に定める。そして旋回中に車両がドリフト
アウト等の挙動をしてステア特性が変化する場合に、目
標スタビリティファクタAoに基づいて前後トルク配分
制御し、常に良好なステア特性を得るようになってい
る。そこでこの場合の目標スタビリティファクタAo
と、上述の左右後輪トルク配分制御による等価スタビリ
ティファクタの変化量ΔA* とにより、新たな目標スタ
ビリティファクタAo’を、
【数4】Ao′=Ao−ΔA* のように、減算して求める。こうして左右後輪トルク配
分制御の影響に対して、前後トルク配分制御によるステ
ア特性をアンダステアの強い方向に補正して、オーバス
テア化を防ぐものである。
【0021】そこで上記制御則に基づき、入力情報とし
て、車両の前後加速度Gxを検出する前後Gxセンサ4
3,横加速度Gyを検出する横Gyセンサ44を有す
る。またセンターディファレンシャル20の入力トルク
を推定するため、エンジン回転数センサ45,アクセル
開度センサ46,ギヤ位置センサ47を有する。一方、
左右後輪トルク配分制御系で、例えばスリップ制御する
場合として、左右後輪の回転数センサ41,42を有
し、これらのセンサ信号とABS制御ユニット48の信
号が制御ユニット50に入力する。
【0022】制御ユニット50において、前後トルク配
分制御系は、前後加速度Gxと横加速度Gyが入力する
仮想路面μ設定部51を有し、前後加速度Gxと横加速
度Gyに基づいて仮想路面μを定める。また、前後加速
度Gxが入力する目標ステア特性設定部52を有し、前
後加速度Gxに対して目標スタビリティファクタAo
を、図3の実線のように設定する。更に、エンジン回転
数N,アクセル開度φ,ギヤ位置Pが入力する入力トル
ク推定部53を有し、エンジン出力特性を参照してエン
ジン回転数Nとアクセル開度φによりエンジン出力Te
を推定し、このエンジン出力Teにギヤ位置Pのギヤ比
gを乗算することで、センターディファレンシャル入力
トルクTiを算出する。
【0023】上記前後加速度Gx,横加速度Gy,目標
スタビリティファクタAo,仮想路面μは目標前後トル
ク配分比算出部54に入力し、前後トルク配分比αを算
出する。即ち、上述のようにタイヤの非線形性を数式化
して車両のステア特性を解析し、非線形性を考慮したコ
ーナリングパワ,車両諸元によりタイヤの非線形性を考
慮した等価スタビリティファクタを算出する。そしてこ
の等価スタビリティファクタが常に目標スタビリティフ
ァクタAoと一致するように前後トルク配分比αを求め
る。この前後トルク配分比αと、センターディファレン
シャル入力トルクTiはセンター差動制限トルク算出部
55に入力し、センター差動制限トルクTcをセンター
ディファレンシャル20の基準トルク配分を考慮して算
出する。そしてこのトルク信号はデューティ比変換部5
6に入力して所定のデューティ比Dに変換され、このデ
ューティ信号をソレノイド弁40に出力する。
【0024】左右後輪トルク配分制御系は、左右後輪回
転数NL,NRが入力する左右輪回転数差算出部57を
有して左右輪回転数差ΔNを算出し、この回転数差ΔN
がリヤ差動制限トルク算出部58に入力する。そして回
転数差ΔNによりスリップ状態を判断してリヤ差動制限
トルクTrを増大関数的に設定し、このトルク信号も同
様にデューティ比変換部59に入力して変換され、所定
のデューティ信号をソレノイド弁40’に出力する。
【0025】またオーバステア化を防止する総合制御系
として、リヤ差動制限トルクTrが目標ステア特性設定
部52に入力する。ここで上述のように、リヤ差動制限
トルクTrに基づいて車両のヨーモーメントMrを求
め、このヨーモーメントMr等により等価スタビリティ
ファクタの変化量ΔA* を算出する。そして目標スタビ
リティファクタAoを、この変化量ΔA* に応じて補正
する。
【0026】更に、ABS制御ユニット48からの信号
は各差動制限トルク算出部55,58に入力し、ABS
制御信号が入力すると各差動制限トルクTc,Trを強
制的に0にするように構成される。
【0027】次に、この実施例の作用を説明する。先ず
車両走行時にエンジン1の動力がクラッチ2を介して変
速機3に入力し、変速動力がセンターディファレンシャ
ル20の第1サンギヤ21に入力する。ここでセンター
ディファレンシャル20の各歯車諸元により基準トルク
配分が後輪偏重に設定されているため、このトルク配分
でキャリヤ24と第2サンギヤ22に分配して動力が出
力される。このときセンタークラッチ27が解放されて
いると、上記基準トルク配分で更に前後輪側に動力伝達
して、4輪駆動でありながらFR的な動力性能になる。
またセンターディファレンシャル20がフリーのため、
前後輪の回転差を吸収しながら自由に旋回することが可
能になる。
【0028】一方、上記4輪駆動での走行時には、各セ
ンサ信号が制御ユニット50に入力し、前後加速度Gx
と横加速度Gyにより仮想路面μが、前後加速度Gxに
応じて目標スタビリティファクタAoが設定され、これ
らの前後加速度Gx,横加速度Gy,仮想路面μ,目標
スタビリティファクタAoが目標前後トルク配分比算出
部54に入力する。そこで前後加速度Gxの比較的大き
い高μ路の加速時に、横加速度Gyが小さい直進走行で
は前輪寄りのトルク配分比αになる。そしてこのトルク
配分比αによりセンター差動制限トルクTcが大きく算
出され、このデューティ信号が油圧制御手段32に出力
して、センタークラッチ27に同一のトルクを生じるよ
うに制御される。そこでセンター差動制限トルクTcに
応じて第2サンギヤ22とキャリヤ24の間で更にバイ
パスしてトルク移動し、図4のように後輪偏重から前輪
寄りにトルク配分される。このためアンダステアの強い
ステア特性になって、安定性が向上する。
【0029】また、旋回時に横加速度Gyが大きくなる
と、後輪寄りのトルク配分比αになり、この場合はセン
ター差動制限トルクTcが小さくなって、図4のように
後輪寄りのトルク配分に制御される。このためオーバス
テア気味のステア特性になって、旋回性能が向上する。
【0030】上記センターディファレンシャル20とセ
ンタークラッチ27によりトルク配分して後輪側に伝達
する動力はリヤディファレンシャル11に入力し、この
リヤディファレンシャル11とリヤクラッチ28により
更に左右後輪13L,13Rにトルク配分制御して伝達
される。即ち、リヤクラッチ28が解放すると、リヤデ
ィファレンシャル11がフリーになり、且つその歯車諸
元により等トルク配分される。
【0031】このとき左右後輪回転数NL,NRの回転
数差ΔNが算出され、この回転数差ΔNが制御ユニット
50のリヤ差動制限トルク算出部57に入力して、スリ
ップ状態に応じてリヤ差動制限トルクTrが設定され
る。そこで特に上述の旋回加速時に後輪寄りにトルク配
分されている状態で、更にリヤ内輪が接地荷重の減少で
空転するような場合には、リヤ差動制限トルクTrが大
きく設定され、このデューティ信号が油圧制御手段3
2’に出力してリヤクラッチ28に差動制限トルクTr
を生じる。このため空転する内輪からリヤ差動制限トル
クTrに応じてグリップする外輪にトルク移動して、内
輪の空転が防止されるのであり、こうしてトラクション
性能が向上する。
【0032】またこの場合には、更にリヤ差動制限トル
クTrに応じた等価スタビリティファクタの変化量ΔA
* を算出して、目標スタビリティファクタAoが図3の
一点鎖線のように、アンダステアの強い方向に補正され
る。このためセンター差動制限トルクTcがこの分だけ
増して、後輪寄りの状態で図4の一点鎖線のように、後
輪への駆動力が減少される。そこで、上述のグリップす
る外輪の駆動力が必要以上増大することが抑えられて、
オーバステア方向のヨーモーメントが少なくなる。これ
により車両は、リヤ内輪に空転を生じない4輪駆動の状
態でスムースに旋回するように挙動して、左右後輪トル
ク配分制御の影響によるオーバステア化も適確に防止さ
れる。
【0033】一方、旋回時に後輪寄りトルク配分で横加
速度が益々大きくなった限界付近では、更に大きいリヤ
差動制限トルクTrでリヤデフロック方向に制御され
る。するとこの場合の大きいリヤ差動制限トルクTrに
より後輪駆動力が比較的大きく減少されることになり、
これにより限界付近のリヤ2輪同時スリップ、及びこれ
による車両スピンも回避される。
【0034】以上、本発明の実施例について説明した
が、トルク配分制御の駆動系が他の方式の場合にも同様
に適応でき、制御系もこれのみに限定されない。また目
標ステア特性の制御対象として、スタビリティファクタ
以外の要素を用いる場合にも適応できる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
4輪駆動車において前後輪と左右後輪のトルク配分を、
種々のステア特性の変化に対して個別に制御する制御系
において、低μ路や旋回の加速時に後輪寄りにトルク配
分される場合にリヤ差動制限トルクを生じると、そのリ
ヤ差動制限トルクに応じて後輪の駆動力を減じるように
総合制御されるので、リヤ外輪の駆動力の増大によるオ
ーバステア化を有効に防止することができる。またこの
ような総合制御により、左右後輪トルク配分制御の影響
を前後トルク配分制御に適確に反映することができて、
限界付近でのリヤ2輪同時スリップ、車両スピン等も防
止することができ、車両の運動性能が一層向上する。
【0036】ステア特性の適正な目標スタビリティファ
クタを用いて前後トルク配分制御する制御系において、
リヤ差動制限トルクに応じた等価スタビリティファクタ
の変化量を求め、この等価スタビリティファクタの変化
量により目標スタビリティファクタを増加補正する方法
であるから、オーバステア化の状態に応じて適切に後輪
駆動力を減少することができる。また前後トルク配分制
御による適正なステア特性を、ほとんど損わないで済
む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の4輪駆動車のトルク配分制御方法の実
施例を示すブロック図である。
【図2】本発明が適応される4輪駆動車の駆動系と油圧
制御系の構成を示す構成図である。
【図3】ステア特性の目標スタビリティファクタの補正
状態を示す線図である。
【図4】加速時の前後トルク配分の特性を示す線図であ
る。
【図5】旋回運動の2輪モデルと、リヤ差動制限トルク
によるヨーモーメントの発生状態を示す図である。
【符号の説明】 11 リヤディファレンシャル 20 センターディファレンシャル 27 センタークラッチ 28 リヤクラッチ 50 制御ユニット 52 目標ステア特性設定部 54 目標前後トルク配分比算出部 55 センター差動制限トルク算出部 58 リヤ差動制限トルク算出部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センタディファレンシャルおよびリヤデ
    ィファレンシャルに付設された差動制限装置を車両の走
    行状態に応じて前後輪のトルク配分制御するとともに左
    右後輪のトルク配分制御する4輪駆動車のトルク配分制
    御方法であって、 前後加速度に応じて設定される目標スタビリティファク
    タに基づいて、前記センタディファレンシャルに付設さ
    れたセンタ差動制限装置のセンタ差動制限トルクを少な
    くとも旋回加速時には後輪寄りにトルク配分制御する第
    1の過程と、 リヤ内輪の空転が発生した際に、前記リヤディファレン
    シャルに付設されたリヤ差動制限装置のリヤ差動制限ト
    ルクを旋回外輪寄りにトルク配分制御するとともに、前
    記リヤ差動制限トルクに応じて前記目標スタビリティフ
    ァクタを補正し、後輪への駆動力を減少するように前記
    センタ差動制限装置のセンタ差動制限トルクをトルク配
    分制御する第2の過程とを備える ことを特徴とする4輪
    駆動車のトルク配分制御方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の過程において、前記目標スタ
    ビリティファクタは、前後加速度が正の加速時には、ア
    ンダステアの弱い方向に定められ、減速時には、アンダ
    ステアの強い方向に定められていることを特徴とする請
    求項1に記載の4輪駆動車のトルク配分制御方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の過程において、前後加速度に
    応じて設定される目標スタビリティファクタから左右後
    輪トルク配分制御による等価スタビリティファクタの変
    化量を減算して求められた新たな目標スタビリティファ
    クタに基づいて前記センタ差動制限装置のトルク配分制
    御がなされることを特徴とする請求項1または2に記載
    の4輪駆動車のトルク配分制御方法。
  4. 【請求項4】 前記新たな目標スタビリティファクタ
    は、前記目標スタビリティファクタよりもアンダステア
    の強い方向に定められていることを特徴とする請求項3
    に記載の4輪駆動車のトルク配分制御方法。
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