JP3123497B2 - 原子間力顕微鏡による液晶配向膜の配向性評価法 - Google Patents

原子間力顕微鏡による液晶配向膜の配向性評価法

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JP3123497B2
JP3123497B2 JP4969898A JP4969898A JP3123497B2 JP 3123497 B2 JP3123497 B2 JP 3123497B2 JP 4969898 A JP4969898 A JP 4969898A JP 4969898 A JP4969898 A JP 4969898A JP 3123497 B2 JP3123497 B2 JP 3123497B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子間力顕微鏡
(以下、AFMと略記する)により液晶配向膜表面を観
測・評価する液晶配向膜配向性評価法、および該評価法
に好適な走査プローブ顕微鏡用探針、ならびに該探針を
用いてなる走査プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶素子における液晶の配向性評価は、
液晶セルの作製後に偏光顕微鏡等により観察する簡便法
で行なうことができるが、該簡便法は工業的には、いわ
ば最終段階での検査となるので効率的であるとは到底い
いがたい。液晶の配向性は、配向膜との相互作用により
決定されるので、セル組以前に配向膜表面の状態評価を
実施すれば極めて効果的であり、また、各画素内の状態
分布の評価も可能となる。
【0003】特開平4-12547号公報には、AFM
(原子間力顕微鏡)の応用装置を利用し、導電性基板上
の絶縁膜の膜厚分布を一定の空間分解能で測定可能な、
膜厚分布測定装置が示されている。また、特開平7-1
81150号公報には、AFM用の探針付きカンチレバ
ーを用い、絶縁試料の表面凹凸像の計測が同時に可能
な、一定の空間分解能で光電子を検出できる光電子検出
装置(表面凹凸像同時計測型光電子検出装置)が示され
ている。しかしながら、上記のような液晶配向膜表面を
観測・評価する液晶配向膜配向性評価法、該評価法に好
適な走査プローブ顕微鏡用探針、該探針を用いてなる走
査プローブ顕微鏡等に関する記載は見られない。
【0004】現在、主流であるTN(ツイステッドネマ
ティック)モードや、新しいIPS(In-Plane Switchin
g)モードの液晶パネルにおいて、高品位表示を行うため
には液晶の初期配向を均一にしなくてはならない。工業
的に利用されている初期配向を得る手段としては、布を
巻いたローラでポリイミド等を材質とする高分子薄膜表
面を擦るラビング処理が主流で、これによりラビング方
向への液晶配向が得られる。
【0005】このようなラビング処理による液晶分子の
配向メカニズムの詳細は明らかでないが、種々の研究か
ら、ラビング処理により配向膜表面の高分子がラビング
方向を軸として配向することが明らかにされ、配向膜高
分子の配向が液晶の初期配向に大きく影響を与える重要
なパラメータであることがわかってきた。
【0006】この配向膜高分子の配向状態を評価する方
法として、赤外分光法や透過エリプソメトリ、反射エリ
プソメトリなどの方法があるが、実際の製品ではガラス
基板が用いられるため、ガラスの吸収に妨害される赤外
分光法とガラス基板の歪みの影響を大きく受ける透過エ
リプソメトリは適用性がない。
【0007】一方、反射エリプソメトリの中で最も製品
への適用性のある反射光異方性測定は、直径数10マイ
クロメート(μm)のレーザービームをプローブとして
偏光を斜入射させ、その反射光の偏光状態を解析するこ
とにより詳細な膜構造情報を得るものであるが、空間分
解能が低いために製品パネルの画素1ピクセル内の面内
分布を測定することは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来技
術での問題点は、低空間分解能のために画素1ピクセル
内の配向膜表面の状態を観測・評価するのが困難なこと
である。本発明は、上記に鑑みなされたものであって、
その目的とするところは、空間分解能を高めて画素1ピ
クセル内の配向膜と液晶の相互作用の強さの面内分布を
観測・評価することのできる液晶配向膜配向性評価法、
および該評価法に好適な走査プローブ顕微鏡用探針、な
らびに該探針を用いてなる走査プローブ顕微鏡を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題・目的は、以
下に示す本発明によって解決・達成される。すなわち本
発明は、走査プローブ顕微鏡用の探針において、該探針
の先端部に高分子液晶の単分子膜が形成されてなること
を特徴とする走査プローブ顕微鏡用探針、ならびに該探
針の先端部に液晶性のキレート剤が結合されてなること
を特徴とする、走査プローブ顕微鏡用探針を開示するも
のである。また本発明は、探針を有する走査プローブ顕
微鏡において、該探針が前記本発明の探針であることを
特徴とする走査プローブ顕微鏡を開示するものである。
【0010】さらに本発明は、液晶配向膜の配向性を評
価する方法において、前記本発明の探針を用いて液晶配
向膜表面を走査させ、該探針先端部の高分子液晶の液晶
性部分と配向膜表面との原子間力強度の面内分布を観測
・評価することを特徴とする液晶配向膜配向性評価法、
ならびに前記本発明の探針を用いて液晶配向膜表面を走
査させ、該探針先端部の高分子液晶の液晶性部分と配向
膜表面との間に働く摩擦力の面内分布を観測・評価する
ことを特徴とする液晶配向膜配向性評価法を開示するも
のである。
【0011】また本発明は、液晶配向膜の配向性を評価
する方法において、前記本発明の探針を用いて液晶配向
膜表面を走査させ、該探針先端部のキレート剤の液晶性
部分と配向膜表面との原子間力強度の面内分布を観測・
評価することを特徴とする液晶配向膜配向性評価法、な
らびに前記本発明の探針を用いて液晶配向膜表面を走査
させ該探針先端部のキレート剤の液晶性部分と配向膜表
面との間に働く摩擦力の面内分布を観測・評価すること
を特徴とする液晶配向膜配向性評価法を開示するもので
ある。
【0012】本発明においては、AFMの探針先端部に
液晶性物質を結合させて配向膜表面を走査させ、探針の
液晶性物質と配向膜表面分子の間に働く分子間力を直接
測定し、1μm×1μm以下の空間分解能で、液晶と配
向膜との相互作用強度を評価する。
【0013】(作用)図2に示すように探針22を配向
膜表面21に接触させてから、徐々に離していくと探針
先端の液晶性部分24と配向膜表面との間に働く引力に
よりカンチレバー23が歪む。さらに遠ざけていくとカ
ンチレバーの歪み応力が探針先端部の液晶性物質とポリ
イミド間に働いている引力を上回り、カンチレバーの歪
みが緩和される。
【0014】このカンチレバーの歪みが緩和され始めた
ときのカンチレバーの位置と歪み量から接触時の引力が
求まる。カンチレバーの位置と歪み量は、レーザーによ
りモニターされている。この操作をある間隔をおいて繰
り返すので、一般にタッピングモードと呼ばれている。
これにより、1μm×1μm以下という高空間分解で配
向膜表面と液晶の間に働く引力の強度分布を測定するこ
とができる。
【0015】また、探針をポリイミド表面に接触させた
まま連続的に走査させ、試料表面と探針との間に働く摩
擦力を測定するモードもある。この場合に本発明の探針
を適用すると、配向膜表面と探針先端部の液晶性部分の
摩擦力を測定することができる。
【0016】上記のように探針先端部の液晶性分子とポ
リイミド配向膜の間に働く引力を直接測定することは、
液晶が配向する1つの原因である配向膜界面を評価する
ことに相当する。したがって従来、セル組を終了しなけ
れば評価できなかった液晶の配向性を、セル組途中の配
向膜ラビング処理後に評価できることとなり、工業的に
歩留まりの向上がもたらされ、さらにはコストの削減が
可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様につき図
面に基づいて具体的に説明する。図1を参照すると、本
発明の実施の形態は、カンチレバー10を有するAFM
の探針11先端部に、液晶性物質13を塗布、或いはキ
レート配位子14を結合させた特徴を有する。
【0018】探針としてよく用いられる電解研磨により
作製した、タングステン針11の先端部に高分子液晶1
3のポリ(1-エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテー
ト)を塗布(図3参照)し、これを配向膜表面12上を
通常の操作通りに走査する。探針先端部に塗布する液晶
性物質は、側鎖型高分子液晶でも或いは主鎖型高分子液
晶でもよく、また液晶分子と類似構造を有するキレート
配位子でもよい。
【0019】図2に示すように、探針22を配向膜表面
21に接触させてから、徐々に離していくと探針先端の
液晶性部分24と配向膜表面との間に働く引力により、
カンチレバー23が歪む。さらに遠ざけていくと、カン
チレバーの歪み応力が探針先端部の液晶性物質とポリイ
ミド間に働いている引力を上回り、カンチレバーの歪み
が緩和される。
【0020】このカンチレバーの歪みが緩和され始めた
ときのカンチレバーの位置と歪み量から接触時の引力が
求まる。カンチレバーの位置と歪み量はレーザーにより
モニターされている。この操作をある間隔をおいて繰り
返すので一般にタッピングモードと呼ばれている。
【0021】AFMの探針の面内移動は数ナノメートル
(nm)間隔で実施できるので、探針先端部に結合させ
た液晶性分子の大きさ程度の面分解能で液晶分子とポリ
イミド表面が接触しているときの引力の面内分布を測定
することができる。これにより1μm×1μm以下とい
う高空間分解で、配向膜表面と液晶の間に働く引力の強
度分布を測定することができる。
【0022】またこの他、探針をポリイミド表面に接触
させたまま連続的に走査させ、試料表面と探針との間に
働く摩擦力を測定するモードがある。この場合に、本発
明の探針を適用すると配向膜表面と探針先端部の液晶性
部分の摩擦力を測定することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明の詳細を説明する
が、本発明はこれらによってなんら限定されるものでは
ない。第1の実施例では、ラビング処理の有無による配
向膜表面と液晶の相互作用強度の分布を測定・評価し
た。また第2の実施例では、複数回のラビング処理によ
り配向膜表面と液晶の相互作用強度の面内分布変化を測
定・評価した。さらに第3の実施例では、ラビング処理
を2回施した配向膜に紫外線を照射したときの液晶との
相互作用強度変化を測定・評価した。
【0024】[実施例1]ガラス基板上にスピンコート
したポリアミック酸を焼成してポリイミド薄膜を作製
し、図4に示すように、マスクを用いてラビングを行っ
た部分と行っていない部分を形成し、ラビング処理によ
る液晶分子とポリイミド配向膜表面との相互作用強度を
比較した。
【0025】ガラス基板は、3センチメートル(cm)
×4センチメートル(cm)のコーニング7059を用
いた。ポリアミック酸には、ポリ(4,4'-オキシジフ
ェニレンピロメリットアミック酸)を用いた。ポリアミ
ック酸をスピンコーターでガラス基板上に塗布して、9
0℃で30分間の仮焼成を行った後、200℃で1時間
の本焼成を行った。
【0026】反射エリプソメータで測定した膜厚は、8
20オングストローム(A)であった。ラビングマスク
には、厚さ100μmのポリスチレンフィルムを用い
た。ラビングは、レーヨンのロールを用いて回転数80
0回転/毎分、押し込み0.6ミリメートル(mm)、
ステージ速度20mm/毎秒の条件で1回行った。
【0027】AFMの探針には、先端部に、ポリ(1-
エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテート)を塗布
(図3参照)したタングステン針を用いた。ポリ(1-
エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテート)の塗布
は、水面上に1-エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテ
ートの単分子膜を展開し、150℃に熱した探針の先端
部を1秒間浸漬させ、探針表面で1-エトキシ-1'-シア
ノビフェニルアセテートを熱重合させた。
【0028】このタングステン針をAFMに取り付け、
上記ラビング処理境界付近の相互作用強度の面内分布を
測定した。探針はカンチレバーの先端に設置し、カンチ
レバーの位置と歪みによる変位をレーザーを用いて検出
した。探針をポリイミド表面に接触させてから、10A
離したときのカンチレバーの歪みによる変位を測定し
た。この測定をラビング方向と垂直に5nm間隔で行い
ラビング方向と垂直に5nm間隔で、タッピングモード
で1μmの距離を走査(図5に示すタッピングモードで
の走査線)させた。
【0029】これを1回目の走査とし、次に、1回目の
走査線からラビング方向に0.5μm離れたところを、
1回目と同様にタッピングモードで走査した。以上の走
査を数回繰り返した。
【0030】上記の測定から得られたラビング処理有無
の界面付近のプロファイルを図6に示す。横軸は、ラビ
ング方向と垂直方向の位置でラビング境界面を約0.4
μmとした。横軸の値が0.4μmよりも小さい位置
が、ラビング処理を行っていない部分で、また大きい位
置が、ラビング処理を行ってある部分である。縦軸は、
引力の強さで、単位はニュートン(N)/平方メートル
(m2)である。
【0031】表示したデータは0.5μmおきに5回走
査させた結果である。各走査のデータは、グラフの横軸
方向に0.03μm、縦軸方向に0.5×10-5N/m2
ずらせて表示しているが、スケールは共通である。
【0032】ラビングを行っていない部分の、ポリイミ
ド表面と探針先端部の液晶性物質との間に働く引力は、
平均で約4.9×10-5N/m2であり、また面内分布も
滑らかであった。また、1回のラビング処理を行った部
分の平均引力は、ラビング処理を行っていない部分より
も、約1×10-5N/m2強い値の5.8×10-5N/m
2であったが、面内の分布は滑らかでなく引力のムラが
大きいものであった。
【0033】ポリイミド表面全面を1回だけラビングを
行ったガラス基板でアンチパラレルセルを作製し、この
セルをホットプレート上で50℃に加熱し、ネマチック
液晶5CBを等方層で注入した。冷却後、このセルを偏
光顕微鏡で観察したところ多数の配向ドメインが観察さ
れた。
【0034】[実施例2]実施例1と同様に、ガラス基
板上にスピンコートしたポリアミック酸を焼成してポリ
イミド薄膜を作製し、図4に示すように、マスクを用い
てラビングを行った部分と、行っていない部分を形成し
た。ラビングは連続して2回行い、液晶分子とポリイミ
ド配向膜表面の相互作用強度の面内分布を、1回だけラ
ビングした実施例1と比較した。
【0035】実施例1と同様に、ガラス基板は、3cm
×4cmのコーニング7059を用いた。ポリアミック
酸には、ポリ(4,4'-オキシジフェニレンピロメリッ
トアミック酸)を用いた。ポリアミック酸をスピンコー
ターでガラス基板上に塗布して、90℃で30分間の仮
焼成を行った後、200℃で1時間本焼成を行った。反
射エリプソメータで測定した膜厚は、790Aであっ
た。ラビングマスクには、厚さ100μmのポリスチレ
ンフィルムを用いた。ラビングは、レーヨンのロールを
用いて回転数800回転/毎分、押し込み0.6mm、
ステージ速度20mm/毎秒の条件で2回行った。
【0036】AFMの探針には、実施例1と同様に、先
端部にポリ(1-エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテ
ート)を塗布したタングステン針を用いた。ポリ(1-
エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテート)の塗布
は、水面上に1-エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテ
ートの単分子膜を展開し、150℃に熱した探針の先端
部を1秒間浸漬させて、探針表面で1-エトキシ-1'-シ
アノビフェニルアセテートを熱重合させた。
【0037】このタングステン針をAFMに取り付け、
実施例1と同様に、上記ラビング処理境界付近の相互作
用強度の面内分布を測定した。探針はカンチレバーの先
端に設置し、カンチレバーの位置と歪みによる変位をレ
ーザーを用いて検出した。探針をポリイミド表面に接触
させてから、10A離したときのカンチレバーの歪みに
よる変位を測定した。この測定をラビング方向と垂直に
5nm間隔で行い、ラビング方向と垂直に5nm間隔
で、タッピングモードで1μmの距離を走査(図5に示
すタッピングモードでの走査線)させた。
【0038】これを1回目の走査とし、次に、1回目の
走査線からラビング方向に0.5μm離れたところを、
1回目と同様にタッピングモードで走査した。以上の走
査を数回繰り返した。
【0039】上記の測定から得られたラビング処理有無
の界面付近のプロファイルを図7に示す。横軸は、ラビ
ング方向と垂直方向の位置でラビング境界面を約0.4
5μmとした。横軸の値が0.45μmよりも小さい位
置が、ラビング処理を行っていない部分で、大きい位置
が、ラビング処理を2回行ってある部分である。縦軸
は、引力の強さで、単位はN/m2である。表示したデ
ータは0.5μmおきに5回走査させた結果である。各
走査のデータは、グラフの横軸方向に0.03μm、縦
軸方向に0.5×10-5N/m2ずらせて表示している
が、スケールは共通である。
【0040】ラビングを行っていない部分のポリイミド
表面と、探針先端部の液晶性物質との間に働く引力は、
実施例1とほぼ同様に平均で、約4.8×10-5N/m2
であり、面内分布も滑らかであった。2回のラビング処
理を行った部分の平均引力は、ラビング処理を行ってい
ない部分よりも、約1.3×10-5N/m2強い値の約
6.1×10-5N/m2で、一回だけラビングを行った実
施例1の図6と比較すると、平均的な引力は若干強くな
っているとともに、強度の面内の分布は非常に滑らかに
なっていた。
【0041】実施例1と同様に液晶の配向性を評価し
た。ポリイミド表面全面を2回ラビングを行ったガラス
基板でアンチパラレルセルを作製し、このセルをホット
プレート上で50℃に加熱しネマチック液晶5CBを等
方層で注入した。冷却後、このセルを偏光顕微鏡で観察
したところ、異なる配向ドメインはなく単一ドメインの
みが観察された。
【0042】[実施例3]実施例1と同様に、ガラス基
板上にスピンコートしたポリアミック酸を焼成してポリ
イミド薄膜を作製し、配向膜表面を2回ラビングして、
図8に示すようにマスクを用いて紫外線を照射し、紫外
線照射による液晶分子とポリイミド配向膜表面の相互作
用強度を比較した。
【0043】実施例1と同様に、ガラス基板は、3cm
×4cmのコーニング7059を用いた。ポリアミック
酸には、ポリ(4,4'-オキシジフェニレンピロメリッ
トアミック酸)を用いた。ポリアミック酸を、スピンコ
ーターでガラス基板上に塗布して、90℃で30分間の
仮焼成を行った後、200℃で1時間の本焼成を行っ
た。反射エリプソメータで測定した膜厚は、860Aで
あった。ラビングは、レーヨンのロールを用いて回転数
800回転/毎分、押し込み0.6mm、ステージ速度
20mm/毎秒の条件で2回行った。
【0044】上記の条件で試料の全面をラビングした
後、マスクを用いて図8に示すように紫外線を照射し
た。紫外線照射は、低圧水銀ランプを用いてフィルター
なしで、10ミリワット(mW)/cm2の照射エネル
ギーで2時間行った。マスクにはアルミ箔を用いた。
【0045】AFMの探針には、実施例1と同様に、先
端部にポリ(1-エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテ
ート)を塗布したタングステン針を用いた。ポリ(1-
エトキシ-1'-シアノビフェニルアセテート)の塗布
は、水面上に1-エトキシ1'-シアノビフェニルアセテ
ートの単分子膜を展開し、150℃に熱した探針の先端
部を1秒間浸漬させ探針表面で1-エトキシ-1'-シアノ
ビフェニルアセテートを熱重合させた。
【0046】このタングステン針をAFMに取り付け、
実施例1と同様に、上記ラビング処理境界付近の相互作
用強度の面内分布を測定した。探針はカンチレバーの先
端に設置し、カンチレバーの位置と歪みによる変位をレ
ーザーを用いて検出した。探針をポリイミド表面に接触
させてから、10A離したときのカンチレバーの歪みに
よる変位を測定した。この測定をラビング方向と垂直に
5nm間隔で行い、ラビング方向と垂直に5nm間隔
で、タッピングモードで1μmの距離を走査(図9に示
すタッピングモードでの走査線)させた。
【0047】これを1回目の走査とし、次に、1回目の
走査線からラビング方向に0.5μm離れたところを1
回目と同様にタッピングモードで走査した。以上の走査
を数回繰り返した。
【0048】上記の測定から得られたラビング処理有無
の界面付近のプロファイルを図10に示す。横軸はラビ
ング方向と垂直方向の位置でラビング境界面を約0.5
5μmとした。横軸の値が0.55μmよりも小さい位
置が紫外線照射を行っていない部分で、大きい位置が紫
外線照射を行ってある部分である。縦軸は引力の強さで
単位はN/m2である。
【0049】表示したデータは0.5μmおきに5回走
査させた結果である。各走査のデータは、グラフの横軸
方向に0.03μm、縦軸方向に0.5×10-5N/m2
ずらせて表示しているが、スケールは共通である。
【0050】2回ラビングを行った部分の、ポリイミド
表面と探針先端部の液晶性物質との間に働く引力は、平
均で約5.9×10-5N/m2であり、面内分布も滑らか
であった。紫外線を照射した部分の平均的な引力は、約
5.1×10-5N/m2で、ほぼラビングしていないポリ
イミド表面の引力と同等であった。
【0051】しかし、面内の強度分布は図10に示すよ
うに非常にムラがある。強いところでは、紫外線を照射
していない部分と同等の約5.8×10-5N/m2の引力
が生じる場所もある。また弱いところでは、何も処理を
行っていないポリイミド表面の引力(実施例1および2
参照)よりも小さい値の、4.2×10-5N/m2の引力
しか生じない部分もある。上述の引力の強度と面内分布
変化は、紫外線照射によりポリイミド表面が変性して、
液晶との引力相互作用が低下したためであると考えられ
る。
【0052】実施例1〜2と同様に液晶の配向性を評価
した。ポリイミド表面全面を2回ラビングを行った後、
紫外線照射を行った。紫外線照射は、低圧水銀ランプを
用いてフィルターなしに10mW/cm2の照射エネル
ギーで2時間行った。このガラス基板でアンチパラレル
セルを作製し、このセルをホットプレート上で50℃に
加熱しネマチック液晶5CBを等方層で注入した。冷却
後、このセルを偏光顕微鏡で観察したところ、多数の配
向ドメインが観察された。
【0053】
【発明の効果】本発明により、配向膜と液晶の相互作用
の面内分布を1μm×1μm以下の狭い領域で測定する
ことが可能となり、従来不可能であった微小な配向膜の
異常を工業的にも効率的なセル組以前の段階で検出する
ことができ、しかも各画素内の状態分布の評価も可能と
なる等、顕著な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を表す模式説明図。
【図2】本発明の原理を説明する模式図。
【図3】本発明の実施例における高分子液晶の分子構造
図。
【図4】実施例1のラビングを説明する補助的な模式
図。
【図5】実施例1のタッピングを説明する補助的な模式
図。
【図6】実施例1の測定結果を示すグラフ図。
【図7】実施例2の測定結果を示すグラフ図。
【図8】実施例3のラビングおよびUV照射を補助的に
説明する模式図。
【図9】実施例3のタッピングを補助的に説明する模式
図。
【図10】実施例3の測定結果を示すグラフ図。
【符号の説明】
10,23 カンチレバー 11,22 探針 12,21 配向膜表面 13,24 液晶性物質 14 キレート配位子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−157552(JP,A) 特開 平5−93623(JP,A) 特開 平9−54103(JP,A) D.S.SEO、H.MATSUD A、T.OH−IDE、S.KOBAY ASHI,“Alignment of Nematic Liquid Cr ystal(5CB)on the T reated Substrates: Characterization o f Orientation Film s,Generation of Pr etilt Angles,and S urface Anchoring S trength”,MOLECULAR CRYSTALS AND LIQU ID CRYSTALS,US,Gor don and Breach Sci ence Publishers,1993 年,Vol.224,pp.13−31 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 21/30 H01J 37/28 G02F 1/1337 JICSTファイル(JOIS)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査プローブ顕微鏡用の探針において、
    該探針の先端部に高分子液晶の単分子膜が形成されてな
    ることを特徴とする、走査プローブ顕微鏡用探針。
  2. 【請求項2】 走査プローブ顕微鏡用の探針において、
    該探針の先端部に液晶性のキレート剤が結合されてなる
    ことを特徴とする、走査プローブ顕微鏡用探針。
  3. 【請求項3】 探針を有する走査プローブ顕微鏡におい
    て、該探針が請求項1記載の探針であることを特徴とす
    る、走査プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 探針を有する走査プローブ顕微鏡におい
    て、該探針が請求項2記載の探針であることを特徴とす
    る、走査プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 液晶配向膜の配向性を評価する方法にお
    いて、請求項1記載の探針を用いて液晶配向膜表面を走
    査させ、該探針先端部の高分子液晶の液晶性部分と配向
    膜表面との原子間力強度の面内分布を観測・評価するこ
    とを特徴とする、液晶配向膜配向性評価法。
  6. 【請求項6】 液晶配向膜の配向性を評価する方法にお
    いて、請求項1記載の探針を用いて液晶配向膜表面を走
    査させ、該探針先端部の高分子液晶の液晶性部分と配向
    膜表面との間に働く摩擦力の面内分布を観測・評価する
    ことを特徴とする、液晶配向膜配向性評価法。
  7. 【請求項7】 液晶配向膜の配向性を評価する方法にお
    いて、請求項2記載の探針を用いて液晶配向膜表面を走
    査させ、該探針先端部のキレート剤の液晶性部分と配向
    膜表面との原子間力強度の面内分布を観測・評価するこ
    とを特徴とする、液晶配向膜配向性評価法。
  8. 【請求項8】 液晶配向膜の配向性を評価する方法にお
    いて、請求項2記載の探針を用いて液晶配向膜表面を走
    査させ、該探針先端部のキレート剤の液晶性部分と配向
    膜表面のと間に働く摩擦力の面内分布を観測・評価する
    ことを特徴とする、液晶配向膜配向性評価法。
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