JP3098097B2 - 積層体 - Google Patents

積層体

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JP3098097B2
JP3098097B2 JP04090932A JP9093292A JP3098097B2 JP 3098097 B2 JP3098097 B2 JP 3098097B2 JP 04090932 A JP04090932 A JP 04090932A JP 9093292 A JP9093292 A JP 9093292A JP 3098097 B2 JP3098097 B2 JP 3098097B2
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田 卓 時
垣 始 稲
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Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
Mitsui Chemicals Inc
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層体に関し、特に、耐
水性に優れ、かつ密着性にも優れる塗膜を有する積層体
に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−メタクリル酸共重合体が側鎖
に有するカルボキシル基の1部が金属陽イオンで中和さ
れてなる部分中和物等のアイオノマー樹脂が、各種の基
材、特に金属と良好な密着性を有することはよく知られ
ている。また、このアイオノマー樹脂からなる塗膜は、
耐水性に優れるため、このアイオノマー樹脂を金属基材
の防錆剤として使用することも知られている。さらに、
アイオノマー樹脂は、水に容易に分散することができる
ため、水分散体として使用できることが知られている。
そのため、このアイオノマー樹脂を含む水分散体を、金
属等の基材、例えば、鋼板に塗布してアイオノマー樹脂
からなる防錆層を形成し、防錆鋼板を製造することが行
われている。
【0003】ところで、近年、防錆鋼板の用途の多様化
および高級化に伴い、従来、基材の素地に防錆剤を塗布
しただけで使用に供していた防錆鋼板に、着色を目的と
して、さらに塗料等の硬化性樹脂からなる被膜を形成す
る要求が増加してきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アイオ
ノマー樹脂からなる防錆層は、塗料等の硬化性樹脂から
なる塗膜との密着性が悪く、このアイオノマー樹脂の塗
膜の上に塗料等を上塗り塗装しても、良好な塗装を形成
することができなかった。
【0005】そこで本発明の目的は、耐水性および金属
等との密着性に優れる防錆層を有するとともに、その防
錆層の上に形成された塗料等の硬化性樹脂層と防錆層の
密着性にも優れる積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、金属基材(A)と、アイオノマー樹脂と
エポキシ基含有化合物との反応物を主成分とする防錆層
(B)と、前記防錆層(B)を介して金属基材(A)上
に積層された硬化性樹脂層(C)とを有する積層体を提
供するものである。
【0007】前記アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化
合物との反応物(B)が、アイオノマー樹脂100重量
部と、水溶性多価エポキシ基含有化合物0.05〜50
重量部とを含む水性分散体組成物からなるものである
と、好ましい。
【0008】前記硬化性樹脂層(C)が、ウレタン樹
脂、メラミン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる少な
くとも1種からなるものであると、好ましい。
【0009】以下、本発明の積層体について詳細に説明
する。
【0010】本発明の積層体は、金属基材(A)と、防
錆層(B)と、防錆層(B)を介して金属基材(A)上
に積層された硬化性樹脂層(C)とを有するものであ
る。防錆層(B)と硬化性樹脂層(C)とは、金属基材
(A)の片面に積層されていてもよいし、金属基材
(A)の両面に積層されていてもよい。
【0011】本発明の積層体において、金属基材(A)
は特に制限されず、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ニ
ッケル、亜鉛等の金属元素からなる金属板、あるいは合
金板などが挙げられる。また、金属基材(A)は、表面
処理されているものでもよく、例えば、研磨処理、メッ
キ等が施されているいるものでもよい。
【0012】この金属基材(A)の形状、寸法、厚さ等
は、本発明の積層体の用途等に応じて適宜選択される。
【0013】また、防錆層(B)は、アイオノマー樹脂
とエポキシ基含有化合物との反応物を主成分とするもの
であり、通常、アイオノマー樹脂(b1)と水溶性多価
エポキシ化合物(b2)とを含む水性分散体組成物から
形成されるものである。
【0014】水性分散体組成物の(b1)成分であるア
イオノマー樹脂は、主として炭化水素から構成される高
分子主鎖からなり、側鎖にカルボキシル基を有し、該カ
ルボキシル基の少なくとも1部が金属陽イオンで中和さ
れた重合体である。このアイオノマー樹脂の具体例とし
て、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であっ
て、含有するカルボキシル基の少なくとも1部が金属陽
イオンで中和されてなる部分中和物が挙げられる。この
アイオノマー樹脂の主骨格を構成するエチレン−不飽和
カルボン酸共重合体は、ランダム共重合体でもよいし、
ポリエチレンへの不飽和カルボン酸のグラフト共重合体
でもよく、透明性の点でランダム共重合体が好ましい。
【0015】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の成
分である不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不
飽和カルボン酸等が挙げられる。この炭素数3〜8の不
飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロト
ン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、アリルコハク
酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸(エンドシ
ス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6
−ジカルボン酸)、メチルナジック酸、テトラヒドロフ
タール酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられ
る。これらの中でも、特に、メタクリル酸が好ましい。
【0016】また、このアイオノマー樹脂(b1)の主
骨格を構成するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
は、エチレンと不飽和カルボン酸に加えて第3成分を含
んでいてもよい。この第3成分としては、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢
酸ビニル等のビニルエステルが挙げられる。
【0017】このエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
におけるエチレンの含有量は、通常、95〜60重量%
であり、好ましくは92〜75重量%である。また、不
飽和カルボン酸の含有量は、通常、5〜40重量%であ
り、特に8〜25重量%の範囲にあることが好ましい。
また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が第3成分
を含む場合には、第3成分は40重量%以下の量で存在
することが好ましい。
【0018】本発明のアイオノマー樹脂(b1)におい
て、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有す
るカルボキシル基の少なくとも一部を中和している金属
陽イオンとしては、例えば、1〜3価の金属陽イオンが
挙げられ、良好な乳化性を有するアイオノマー樹脂が得
られる点で、1価の金属陽イオンが好ましい。この1価
の金属陽イオンの中でも、特に、ナトリウム、カリウム
が好ましい。
【0019】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側
鎖に有するカルボキシル基全部に対する、金属陽イオン
で中和されたカルボキシル基の割合、すなわち、中和度
は、塗膜の密着性に優れるとともに、良好な安定性を有
する水分散体が得られる点で、通常、20〜100%程
度であり、好ましくは30〜80%程度である。
【0020】このアイオノマー樹脂(b1)は、AST
M D 1238によるMFR(190℃)が、0.0
5〜100g/10minであるものが好ましく、特に
0.1〜50g/10minであるものが好ましい。
【0021】このアイオノマー樹脂(b1)の製造は、
例えば、エチレンと不飽和カルボン酸、および必要に応
じて前記第3成分を高圧ラジカル重合法により共重合さ
せ、得られるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカ
ルボキシル基を前記金属陽イオンを有する化合物で中和
処理する方法、ポリエチレンに不飽和カルボン酸をグラ
フト共重合し、得られる共重合体のカルボキシル基を前
記金属陽イオンを有する化合物で中和処理する方法等の
方法にしたがって行うことができる。また、この製造
は、押出機に所要の成分を供給して溶融混練して反応さ
せてもよいし、適当な溶液中で反応を行わせてもよい。
【0022】また、水性分散体組成物の(b2)成分で
あるエポキシ基含有化合物としては、カルボン酸と2,
3−エポキシプロパノール等の反応によって得られるグ
リシジルエステル類、およびエピクロルヒドリンと1価
または多価の金属アルコキシドとの反応等によって得ら
れるグリシジルエーテル類などを挙げることができる。
【0023】グリシジルエステル類を得るためのカルボ
ン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸等の飽和モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸;安息香
酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;アクリル酸、メタ
クリル酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シ
トラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン
酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕
ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸、メチルナジ
ック酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフ
タル酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらの
カルボン酸の1種単独または2種以上の組合せが、グリ
シジルエステル類中に含まれていてもよい。
【0024】エポキシ基含有化合物(b2)として用い
られるグリシジルエステル類の具体例としては、アジピ
ン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエス
テル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられ
る。
【0025】エポキシ基含有化合物(b2)として用い
られるグリシジルエーテル類を得るための1価または多
価の金属アルコキシドは、1価または多価のアルコール
と金属との反応によって得られる化合物である。1価の
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げ
られ、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリ
コール、レゾルシン、グリセリン等の多価アルコール等
が挙げられる。金属としては、例えば、リチウム、ナト
リウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属等が挙げられる。
【0026】この1価または多価の金属アルコキシドの
具体例として、ナトリウムアルコキシド等が挙げられ
る。これらの金属アルコキシドの1種単独または2種以
上の組合せが、グリシジルエーテル類中に含まれていて
もよい。
【0027】エポキシ基含有化合物(b2)として用い
られるグリシジルエーテル類の具体例としては、ソルビ
トールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシ
ジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジ
グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポ
リグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス
(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げ
られる。
【0028】また、水性分散体組成物は、エポキシ基含
有化合物(b2)として、前記グリシジルエステル類お
よびグリシジルエーテル類を1種単独または2種以上を
組み合わせて含んでいてもよい。
【0029】このエポキシ基含有化合物(b2)は、加
熱によりアイオノマー樹脂(b1)のカルボキシル基と
反応して、後記の硬化性樹脂層(C)との密着性に優れ
た塗膜を形成する点で、特に、エチレンおよびポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテル等のジグリシジル
エーテルの多価エポキシ基含有化合物が好ましい。
【0030】また、このエポキシ基含有化合物(b2)
は、水性分散体組成物の調製が容易となる点で、水溶性
またはディスパージョンを形成するものが好ましく、特
に、水溶率が25%以上の水溶性のものが好ましい。本
発明において、水溶率とは、25℃で水にエポキシ基含
有化合物(b2)を混合したとき、水に実際に溶解した
エポキシ基含有化合物(b2)の量の割合をいう。すな
わち、ある温度Tでエポキシ基有化合物(b2)A1
を水に溶解したとき、エポキシ基含有化合物(b2)の
不溶分がA2 g残ったときは、温度Tにおけるエポキシ
基含有化合物(b2)の水溶率は〔(A1 −A2 )/A
1 〕×100(%)となる。例えば、水90gにエポキ
シ基含有化合物(b2)10gを混合したとき、不溶の
エポキシ基含有化合物(b2)が3g残ったときは、水
溶率70%となる。
【0031】さらに、このエポキシ基含有化合物(b
2)の粘度は、25℃で5〜30000cps、特に、
10〜20000cpsの範囲にあることが好ましい。
【0032】本発明において、エポキシ基含有化合物
(b2)は、通常、エポキシ当量が80〜2500g、
特には120〜2000gの範囲にあるものが用いられ
る。本発明において、エポキシ当量とは、エポキシ基1
グラム当量あたりのエポキシ基含有化合物のグラム数を
言う。例えば、分子量100のエポキシ基含有化合物が
1分子内に1つのエポキシ基を有する場合には、このエ
ポキシ基含有化合物のエポキシ当量は100となる。ま
た、分子量100のエポキシ基含有化合物が1分子内に
2つのエポキシ基を有する場合には、このエポキシ基含
有化合物のエポキシ当量は50となる。
【0033】また、水性分散体組成物の調製は、例え
ば、アイオノマー樹脂(b1)の水分散体にエポキシ基
含有化合物(b2)を溶解する方法、アイオノマー樹脂
(b1)の水分散体にエポキシ基含有化合物(b2)の
水溶液を混合する方法、アイオノマー樹脂(b1)とエ
ポキシ基含有化合物(b2)、および水の混合物を加熱
溶融し一括乳化する方法等にしたがって行うことができ
る。
【0034】アイオノマー樹脂(b1)の水分散体は、
容易に調製することができ、通常、水に対して1〜60
重量%の固形分量のアイオノマー樹脂(b1)を混合し
て100〜270℃の温度で加熱溶融し、分散させる方
法によって調製することができる。
【0035】また、水性分散体組成物中のアイオノマー
樹脂(b1)とエポキシ基含有化合物(b2)の濃度
は、特に制限されず、塗装方法、塗装に使用する装置等
にしたがって適宜調整される。通常、アイオノマー樹脂
(b1)とエポキシ基含有化合物(b2)の合計量で、
5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であるの
が適当である。
【0036】さらに、水性分散体組成物において、アイ
オノマー樹脂(b1)とエポキシ基含有化合物(b2)
の含有割合は、使用するエポキシ基含有化合物(b2)
の分子量、エポキシ当量等によって異なるが、水性分散
体組成物を金属基材(A)に塗布して、耐水性に優れる
とともに、上塗り塗料との密着性に優れる防錆層(B)
が得られる点で、アイオノマー樹脂(b1)100重量
部に対して、エポキシ基含有化合物(b2)0.05〜
50重量部の割合が好ましく、さらに好ましくは0.1
〜30重量部、特に0.5〜10重量部の割合が好まし
い。
【0037】また、この水性分散体組成物は、前記アイ
オノマー樹脂(b1)およびエポキシ基含有化合物(b
2)以外に、必要に応じて、各種の樹脂、配合剤等の他
の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有していて
もよい。他の成分としては、例えば、水溶性メラミン樹
脂、水溶性ベンゾグアナミン樹脂等の塗膜の強度を向上
させるための水溶性アミノ樹脂;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポ
リアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の、水性分散
体組成物の安定性を向上させ、粘度を調整するための有
機増粘剤;二酸化ケイ素、活性白土、ベントナイト等の
無機増粘剤;ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活
性剤等の水性分散体組成物の安定性を向上させるための
界面活性剤;得られる防錆層(B)の防錆能力を向上さ
せるためのストロンチウムクロメート等の水溶性多価金
属塩類;その他防錆剤;防カビ剤;紫外線吸収剤;耐熱
安定剤;発泡剤;チタン白、ベンガラ、フタロシアニ
ン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等の顔
料;炭酸カルシウム、、炭酸マグネシウム、炭酸バリウ
ム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カ
オリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム
等の充填剤などが挙げられる。
【0038】この水性分散体組成物の粘度は、防錆層
(B)を形成するための塗装作業性の観点から、30〜
1000cps程度、好ましくは50〜800cpsで
あるのが適当である。
【0039】本発明の積層体において、防錆層(B)の
形成は、金属基材(A)上に前記水性分散体組成物を塗
布し、乾燥、硬化させて行なわれる。水性分散体組成物
の塗布は、スプレー、カーテン、フローコーター、ロー
ルコーター、刷毛塗り、浸漬等の方法により行なうこと
ができる。水性分散体組成物を塗布した後、自然乾燥さ
せても良いが焼付けを行なうのが好ましい。焼付け温度
は80〜250℃で、20秒〜10分間加熱することに
より、良好な防錆層(B)が形成される。この防錆層
(B)の形成工程において、水性分散体組成物はほとん
ど有機溶媒等を含有しないものであるため、その製造工
程における作業環境を良好に保つことができる利点があ
る。
【0040】防錆層(B)の厚さは、積層体の用途、使
用する水性分散体組成物、後記の硬化性樹脂層(C)を
形成するための硬化性樹脂の種類、硬化性樹脂層(C)
の厚さ等にしたがって適宜選択され、特に限定されな
い。通常、水性分散体組成物を塗布後、乾燥した際に塗
膜割れを生じることなく、かつ充分な防錆能を発揮する
ために、0.5〜20μm、特に1〜10μmの厚さが
好ましい。
【0041】本発明の積層体の硬化性樹脂層(C)は、
前記防錆層(B)の上に形成され、加熱硬化型または常
温硬化型の硬化性樹脂からなるものである。用いられる
硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル
変性アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メ
ラミン樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル
樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる塗料等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性樹脂層(C)として、ウレタン
樹脂、メラミン樹脂またはアクリル樹脂が、防錆層
(B)との密着性が特に優れるため、好ましい。
【0042】また、この硬化性樹脂は、チタンホワイ
ト、カーボンブラック等の着色顔料、タルク等の体質顔
料、アルミニウム粉、銅粉等の金属顔料、鉛丹、硫酸鉛
等の防錆顔料などを含有していてもよい。さらに、分散
剤、乾燥剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮張り
防止剤、かび防止剤、防腐剤、凍結防止剤等を含有して
いてもよい。
【0043】本発明の積層体において、硬化性樹脂層
(C)の厚さは、積層体の用途、使用する硬化性樹脂の
種類等によって適宜決定され、特に制限されない。通
常、5〜300μm程度、特に好ましくは10〜200
μm程度である。
【0044】本発明の積層体において、硬化性樹脂層
(C)の形成は、防錆層(B)の上に硬化性樹脂を塗布
し、加熱して乾燥、硬化させて行うことができる。乾燥
時間および温度は、塗布される硬化性樹脂の種類、硬化
性樹脂層(C)の厚さ等にしたがって適宜調整される。
通常、5〜120分、特に20〜80分程度であり、ま
た、常温硬化型の硬化性樹脂では、1週間程度で硬化が
完了する。乾燥温度は、通常、常温〜200℃の範囲で
あり、特に50〜150℃の範囲である。
【0045】本発明の積層体は、防錆層(B)により、
耐水性、防錆性に優れるため、自動車部品、家電、建材
等として好適に使用することができる。さらに、この積
層体の防錆層(B)と硬化性樹脂層(C)とからなる塗
膜は、絞り成形性、表面保護性、ヒートシール性にも優
れるため、本発明の積層体は、これらの特性を活かして
種々の目的に使用することも可能である。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限され
るものではない。なお、以下の実施例において、塗膜の
評価は以下の方法によって行なった。
【0047】初期塗膜密着性(碁盤目試験) JIS K5400に記載されている碁盤目試験の方法
に準じて、碁盤目をつけた試験片を作成し、粘着テープ
(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ)を試験片の
碁盤目上にはりつけた後、粘着テープを速やかに90゜
の方向に引っ張って剥離させ、碁盤目100の内で剥離
されなかった碁盤目の数を数え、(剥離されなかった碁
盤目の数)/100の値を密着性の指標とした。
【0048】耐水試験後の密着性:試験片を40℃の食
塩水(3重量%)に200時間浸漬した後、上記の碁盤
目試験を行なった。
【0049】発錆率:10cm角の試験片を上記耐水試
験に供した後、試験片の表面上に錆の発生した面積を%
で示した。
【0050】(実施例1) (水分散体の調製)部分的に中和されたエチレン−メタ
クリル酸共重合体(MFR(190℃)0.8g/10
min、メタクリル酸含有量15重量%、中和度50
%、中和剤:水酸化ナトリウム)100gを250℃で
溶融してアイオノマー樹脂溶融物を調製した。このアイ
オノマー樹脂溶融物を、水300gを装入して170℃
に加熱した内容積1lの耐圧ホモミキサーに、1000
rpmで撹拌しながら、約2時間かけて装入した。さら
に30分間撹拌しながら室温まで冷却し、アイオノマー
樹脂の水分散体を得た。得られたアイオノマー樹脂の水
分散体の樹脂濃度は25重量%、粘度は600cps
(25℃)、平均粒径は1μm以下であった。次に、テ
トラエチレングリコールジグリシジルエーテルの50重
量%の水溶液を調製し、この水溶液をアイオノマー樹脂
の水分散体100gに対して1.5g添加し、撹拌して
水性分散体組成物(以下、「水性分散体組成物A」とい
う)を得た。
【0051】(塗装)n−ヘキサンで洗浄したアルミ箔
(厚さ:200μm)の表面に、上記の水分散体Aを乾
燥膜厚で6μmになるようにバーコーターで塗布した
後、エアオーブン中で150℃で5分焼付け処理を行な
って防錆層を形成した。さらに、防錆層の上にウレタン
塗料(関西ペイント(株)製、レタンPG60)をスプ
レーで60μmの厚さになるように塗装し、エアオーブ
ン中、80℃で30分間焼付け処理を行なって硬化性樹
脂層を形成して、塗装試料を作製した。この塗装試料に
ついて、初期塗膜密着性(碁盤目試験)および耐水試験
後の密着性を評価し、ならびに発錆率を測定した。結果
を表1に示す。
【0052】(実施例2)塗料をメラミン塗料(日本ペ
イント(株)製、オルガセレクト)に代え、焼き付け条
件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様
にして塗装試料を作製し、初期塗膜密着性(碁盤目試
験)および耐水試験後の密着性を評価し、ならびに発錆
率を測定した。結果を表1に示す。
【0053】(実施例3)エポキシ基含有化合物を2,
2−ビス(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン
ジグリシジルエーテルに代えた以外は、実施例1と同様
にして塗装試料を作製し、初期塗膜密着性(碁盤目試
験)および耐水試験後の密着性を評価し、ならびに発錆
率を測定した。結果を表1に示す。
【0054】(実施例4)アイオノマー樹脂の水分散体
に、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテルの
50重量%の水溶液を、アイオノマー樹脂の水分散体1
00gに対して15g添加して水分散体を調製し、この
水分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして塗装
試料を作製し、初期塗膜密着性(碁盤目試験)および耐
水試験後の密着性を評価し、ならびに発錆率を測定し
た。結果を表1に示す。
【0055】(比較例1)実施例1で調整したアイオノ
マー樹脂の水分散体のみを用いて、実施例1と同様にし
て塗装試料を作製し、初期塗膜密着性(碁盤目試験)お
よび耐水試験後の密着性を評価した。結果を表1に示
す。
【0056】(比較例2)実施例1で調整したテトラエ
チレングリコールジグリシジルエーテルの50重量%の
水溶液のみを塗布して、実施例1と同様にして塗装試料
を作製し、初期塗膜密着性(碁盤目試験)および耐水試
験後の密着性を評価した。結果を表1に示す。
【0057】(実施例5)アルミ箔の代わりに冷間圧延
鋼板(ダル仕上げ、厚さ:1mm)を使用する以外は、
実施例1と同様にして塗装試料を作製し、初期塗膜密着
性(碁盤目試験)および耐水試験後の密着性を評価し、
ならびに発錆率を測定した。結果を表1に示す。
【0058】(比較例3)実施例1で調整したアイオノ
マー樹脂の水分散体のみを用い、アルミ箔の代わりに冷
間圧延鋼板(ダル仕上げ、厚さ:1mm)を使用する以
外は、実施例1と同様にして塗装試料を作製し、初期塗
膜密着性(碁盤目試験)および耐水試験後の密着性を評
価した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の積層体は、耐水性および金属等
との密着性に優れる防錆層を有するとともに、その防錆
層の上に形成された塗料等の硬化性樹脂層と防錆層の密
着性にも優れるものである。
フロントページの続き (72)発明者 平 沢 栄 作 千葉県市原市加茂543−4 (56)参考文献 特開 昭58−91778(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B05D 7/14 B05D 7/24 B32B 27/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基材(A)と、アイオノマー樹脂とエ
    ポキシ基含有化合物との反応物を主成分とする防錆層
    (B)と、前記防錆層(B)を介して金属基材(A)上
    に積層された硬化性樹脂層(C)とを有する積層体。
  2. 【請求項2】前記アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化
    合物との反応物(B)が、アイオノマー樹脂100重量
    部と、水溶性多価エポキシ基含有化合物0.05〜50
    重量部とを含む水性分散体組成物からなるものである請
    求項1に記載の積層体。
  3. 【請求項3】前記硬化性樹脂層(C)が、ウレタン樹
    脂、メラミン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる少な
    くとも1種からなるものである請求項1に記載の積層
    体。
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