JP3090743B2 - 転写材およびそれを用いた転写物 - Google Patents

転写材およびそれを用いた転写物

Info

Publication number
JP3090743B2
JP3090743B2 JP03328036A JP32803691A JP3090743B2 JP 3090743 B2 JP3090743 B2 JP 3090743B2 JP 03328036 A JP03328036 A JP 03328036A JP 32803691 A JP32803691 A JP 32803691A JP 3090743 B2 JP3090743 B2 JP 3090743B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
layer
weight
metal oxide
transfer material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03328036A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05139093A (ja
Inventor
功一朗 嶋本
清美 松岡
尚男 北野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissha Printing Co Ltd
Original Assignee
Nissha Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissha Printing Co Ltd filed Critical Nissha Printing Co Ltd
Priority to JP03328036A priority Critical patent/JP3090743B2/ja
Publication of JPH05139093A publication Critical patent/JPH05139093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3090743B2 publication Critical patent/JP3090743B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)
  • Printing Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック製品、木
工製品、ガラス製品、金属製品、陶磁器製品などの表面
に美麗にして強固で耐久性のある絵付を行い商業価値を
大いに高め得る転写材とそれを用いた転写物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から転写法は、種々の基材表面に図
柄を形成する方法として汎用されている印刷技術の一種
である。一般に転写材は、離型性を有する基体シート上
に剥離層、図柄層、接着層を設けて構成されている。こ
の転写材を成形物に転写して基体シートを剥離すると、
剥離層が成形物の最上層になるように設計されており、
絵付けを簡単に行なう方法として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】剥離層に熱可塑性樹脂
を用いると、転写物の耐磨耗性、耐衝撃性などの外部作
用に対する抵抗力が弱いため、長時間の使用中に転写物
の表面に傷がはいりやすい。また、紫外線あるいは電子
線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの硬化型樹脂を用いる
と、外部作用に対する抵抗力が向上して傷はつきにくい
が、被転写物の角となる部分など転写材が伸ばされる場
所にあっては、転写に際し転写物表面に亀裂が発生す
る。また転写を失敗した際などに、その上からもう一度
転写しても(2度押しという)密着しないため、被転写
物が無駄になる。また、金属酸化物のゾルを用いてセラ
ミックス被膜を形成すると、その表面は硬く傷も入りに
くく汚れもつきにくいが転写材を巻き取る際や転写時に
亀裂が発生したりする。また、長時間の使用において、
上記のいずれもが紫外線を透過するので、その下の図柄
層が変色または退色する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
欠点を解決するために、転写材を、離型性を有する基体
シート上に設けられた層のうち基体シート面に近い少な
くとも一層が、平均粒径が0.01〜15μmの金属酸
化物球粒体を10〜90重量%含む熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂からなる硬質膜層で、その次の層が透光性
樹脂からなる透明化層で構成されるように構成した。
【0005】この転写材において、金属酸化物球粒体の
金属が、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、マグネシ
ウム、ジルコニウム、インジウム、スズおよび亜鉛から
なる群より選ばれた少なくとも一つの元素であるように
構成してもよい。
【0006】また上記の転写材において、金属酸化物球
粒体の表面が、アルミニウムキレート剤、チタニウムキ
レート剤、シランカップリング剤およびチタネート系カ
ップリング剤からなる群より選ばれた少なくとも一つの
表面処理剤で処理されているように構成してもよい。
【0007】あるいは、本発明は、以上のような欠点を
解決するために、転写物を、離型性を有する基体シート
上に設けられた層のうち、基体シート面に近い少なくと
も一層が、平均粒径が0.01〜15μmの金属酸化物
球粒体を10〜90重量%含む熱可塑性樹脂または熱硬
化性樹脂からなる硬質膜層で、その次の層が透光性樹脂
からなる透明化層で構成された転写材を成形物に転写し
て得られるように構成した。
【0008】この転写物において、金属酸化物球粒体の
金属が、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、マグネシ
ウム、ジルコニウム、インジウム、スズおよび亜鉛から
なる群より選ばれた少なくとも一つの元素であるように
構成してもよい。
【0009】また上記の転写物において、金属酸化物球
粒体の表面が、アルミニウムキレート剤、チタニウムキ
レート剤、シランカップリング剤およびチタネート系カ
ップリング剤からなる群より選ばれた少なくとも一つの
表面処理剤で処理されているように構成してもよい。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】離型性を有する基体シートとしては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリアミド、セロハン、ポリイミド、ポリエーテル
エーテルケトンなどのプラスチックスフィルム、あるい
はこれらと紙もしくは金属箔との複合フィルムなど通常
の転写材の基体シートとして用いられる物が用いられ
る。
【0012】また、基体シートに離型性を付与するため
に、基体シート表面に離型処理を施してもよい。離型処
理としては、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、
エポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂、またはアクリル系フ
ッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリ(パーフルオ
ロ)オレフィンなどのフッ素化合物樹脂、シリコンオリ
ゴマー、ワックス系オリゴマーなどを基体シートにコー
ティングし、必要に応じて熱処理を施したり、さらにワ
ックスなどをコーティングしたり、あるいは、配向性オ
レフィンや液晶オリゴマー、液晶ポリマーなどの離型性
に優れたフィルムを基体シートにラミネートしてもよ
い。また、場合により基体シート表面に離型しやすいよ
うな形の凹凸加工が施された基体シートを用いてもよ
い。
【0013】硬質膜層は、金属酸化物球粒体を10〜9
0重量%含有している。すなわち、10重量%以下で
は、本発明の目的とする強度・耐久性向上に寄与し難
く、90重量%以上では塗膜形成が大変困難になる。本
発明では、硬質膜層部分のみの乾燥固形物重量の10〜
90重量%、特に30〜80重量%の金属酸化物球粒体
を含ませることが強度向上、印刷適性から優れている。
この硬質膜層は、基体シートに接して、あるいはそれに
近い部分に設けられるのが特に有利であり、たとえば、
剥離層や剥離に次ぐ層、またはその次の層などに設けら
れるのが効果的である。
【0014】一般に金属酸化物球粒体の金属としては、
ケイ素、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ジ
ルコニウム、インジウム、スズ、亜鉛、鉛、クロム、鉄
および銀などから選ぶことができるが、特に球粒体の透
光性や無着色性から、本発明では、ケイ素、アルミニウ
ム、チタニウム、マグネシウム、ジルコニウム、インジ
ウム、スズおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくと
も一つの元素からなっている球粒体が優れている。
【0015】これらの金属酸化物球粒体の平均粒径とし
ては、0.01〜15μmが適している。すなわち、
0.01μmより小さい球粒体は、強度・耐久性向上に
寄与し難く、15μmを越えると印刷適性またはコーテ
ィング適性上よくなく、塗膜も肌荒れが甚だしくなる。
これらのうち、特に0.1〜8μmが印刷適性またはコ
ーティング適性、塗膜適性上優れていることが多くの実
験から認められた。ただし、平均粒径には、一次粒子の
みではなく二次粒子などの粒子の凝縮・会合した粒子も
含む。
【0016】本発明の硬質膜層に用いられる樹脂として
は、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂などがある。特に、熱
可塑性樹脂を主成分とする樹脂の場合、省エネルギー、
省設備、熱可撓性に優れているという長所もある。
【0017】熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル
酸エステル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹
脂、塩素化ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッ
ド系樹脂、ポリアミド系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリビ
ニルアセタール系樹脂などがあり、熱硬化型樹脂として
は、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フ
ェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ホスファゼン系硬化
樹脂などがある。また、分散剤、レベリング剤、滑剤な
どの添加剤を塗料またはインキ作製時に加えてもよい。
【0018】金属酸化物球粒体の表面を、アルミニウム
キレート剤、チタニウムキレート剤、シランカップリン
グ剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カ
ップリング剤、アルミニウムアルコラート、チタニウム
アルコラートなどの金属アルコキシドなどの表面処理剤
で処理すると、インキ、印刷、コーティング適性および
塗膜形成適性などが向上する。特に、アルミニウムキレ
ート剤、チタニウムキレート剤、シランカップリング
剤、チタネート系カップリング剤などからなる群から選
ばれた少なくとも一つの表面処理剤で処理すると、イン
キ、印刷、コーティング適性および塗膜形成適性などの
向上に最もすぐれている。アルミニウムキレート剤とし
ては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテー
ト)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプ
ロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビ
ス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス
(アセチルアセトネート)などがある。チタニウムキレ
ート剤としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセ
トナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノー
ルアミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チ
タンなどがある。シランカップリング剤としては、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ンなどがある。チタネート系カップリング剤としては、
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプ
ロピルトリ(N−アミノエチル、アミノエチルチタネー
ト、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイ
ト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジ
トリデシルホスファイト)チタネートなどがある。アル
ミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキア
ルミニウムジイソプロピレートなどがある。
【0019】これらの表面処理は、硬質膜層塗料あるい
はインキを作製する前に金属酸化物球粒体について行な
うのが普通であるが、塗料またはインキの作製時に表面
処理剤を加えて攪拌または練肉などにより処理を行なっ
てもよい。なお、塗料またはインキを作製する前にたと
えば金属酸化物球粒体を溶剤に分散させ、その中へ表面
処理剤を加え攪拌、加熱などを行ない処理するのが、均
一にしかも予期した作用を発揮できる点から特によいの
はもちろんである。
【0020】金属酸化物球粒体の球形は、場合によって
は楕円球でも、凹凸のある球などが混入していても構わ
ないが、その大部分が真球に近くまたその表面が平滑な
方がその効果が、顕著である。もちろん、全球粒体が同
一の粒径を有する真球状であれば申し分ない。金属酸化
物球粒体の比表面積(BET測定法による)は、特に限
定されないが、1〜70m/gのものがインキ適性上
好ましく、特に1〜20m/gがよい。
【0021】透明化層に用いられる樹脂としては、透光
性を有している樹脂であれば特に限定されないが、たと
えば前記した熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線また
は電子線硬化型樹脂およびこれらの混合樹脂がある。透
明化層は、硬質膜層のつぎに設けられ、含有する金属酸
化物球粒体により凹凸になった硬質膜層面の凹凸の減少
または表面を平滑にすることにより透明性および次の層
の印刷適性を向上させる。特に、硬質膜層に熱硬化型樹
脂を用いると、次にくるたとえば図柄層などが密着しに
くいが透明化層の樹脂として熱可塑性樹脂を用いて透明
化層を設けた後、熱処理して溶融させて密着させること
によりいっそうの透明化向上と次の層の密着性向上とを
得ることができる。もちろん、透明化層は着色されてい
ても構わないし、分散剤、レベリング剤などが混合され
ていてもよい。また、硬質膜層は金属酸化物球粒体対樹
脂の比が高いので、被膜適性が悪くなっているが透明化
層により凸部の金属酸化物球粒体が樹脂で覆われるの
で、本来の機能を損なうことなく被膜適性が改善され
る。もちろん、硬質膜層および透明化層は全面にまたは
部分的に設けられていても構わない。
【0022】一般に、転写材は、離型性を有する基体シ
ート上に剥離層、図柄層、接着層を設けて構成されてい
るが、硬質膜層または透明化層がこれらの層を兼ねても
よく、また独立して用いられてもよく、単層でも多層で
もよい。硬質膜層が剥離層を兼ねる場合、あるいは剥離
層の近くの層に用いられる場合には、その効果は顕著で
ある
【0023】図柄層は、適切な色の染顔料とインキバイ
ンダーを用いて形成される。インキバインダーとして
は、一般に熱可塑性樹脂が適し、塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、熱可塑ウレタ
ン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、塩化ゴム系樹
脂、塩化ポリエチレン系樹脂、塩化ポリプロピレン系樹
脂、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂などの単独も
しくは二種類以上の混合物が用いられるが、図柄層を強
化するためには一部熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂を
併用してもよい。
【0024】図柄層の一つとして、金属蒸着図柄層を使
用してもよく、この場合は、蒸着しやすいようにまた密
着強度を向上させるために、蒸着アンカ一層を金属蒸着
図柄層の前あるいは金属蒸着図柄層の後に形成してもよ
い。蒸着アンカー層は、上記した熱可塑性樹脂、熱硬化
型樹脂など、あるいはこれらの樹脂を混合したものを主
成分として、必要に応じて染顔料を混合してもよい。金
属の蒸着は真空蒸着法、イオンプレーティング法あるい
はスパッターリング法などが適用され、金属としては特
に限定されないが、アルミニウム、ニッケル、クロム、
銅、金などがよく用いられる。
【0025】接着層は、被転写体によって異なり、被転
写体表面となじみのよいものを用いるのが得策である。
被転写体がポリスチレン成形物の場合には、塩化ビニル
酢酸ビニル共重合体樹脂またはスチレン共重合体樹脂を
主体としたものを用いることができる。また、被転写体
がアクリル成形物の場合には、(メタ)アクリル酸エス
テル樹脂を主体としたものを用いることができる。
【0026】上記した各層は、グラビア印刷法、スクリ
ーン印刷法、オフセット印刷法、グラビアコーター法、
ロールコーター法、リバースコーター法、コンマコータ
ー法スプレー法、刷け塗り法などを用いて離型性を有す
る基体シート上に順次積層形成される。本転写材を用い
た転写物を得るには、本転写材を成形物に重ね合わせ、
加熱加圧を行い、次いで離型性を有する基体シートを剥
離する。転写条件は特に限定されてないが、多くの場合
100〜250℃で、0.1秒〜5分くらいが適当であ
る。または、樹脂の成形品を作製する際に同時に転写
(成形同時転写法)して離型性を有する基体シートを剥
離して転写物を得るようにしてもよい。
【0027】成形品の形状および材質などは特に限定さ
れないが、たとえば成形品の材質としては、プラスチッ
クス、ガラス、セラミックス、金属(鉄、銅、アルミニ
ウム、ステンレススチール、その他合金など)、木材、
パーティクルボードなどがある。
【0028】
【作用】金属酸化物球粒体は、樹脂に比べると比較にな
らないほど硬い。たとえば、樹脂では、硬い樹脂でも鉛
筆硬度2H〜8Hであるが、金属酸化物球粒体では、モ
ース硬度3以上、硬いものではモース硬度4〜8であ
る。したがって、金属酸化物球粒体を10〜90重量%
含む硬質膜層は、非常に硬い層になる。また、それらは
平均粒径0.01〜15μmの球粒体なので、可撓性に
も優れ、成形物の表面と側面とを連続で転写する際に成
形物の角となる部分で転写材が伸ばされる場合でも亀裂
を生じない。硬質膜層に用いる樹脂が硬化型の樹脂でも
金属酸化物球粒体を10〜90重量%含有しているの
で、2度押しが可能である。また、形状が球粒体で平均
粒径0.01〜15μmで10〜90重量%も存在する
ので、可視光に比べて波長の短い紫外線は球表面で反射
または吸収されるので、下層の図柄層への影響を減少す
ることができる。硬質膜層の次に透明化層を設けること
により、硬質膜層の凹凸を減少または平滑にし、透明性
および次の層の印刷適性を向上させることができ、また
硬質膜層はその硬化を発揮しやすいように金属酸化物の
球粒体の比率を高くしているので、被膜適性が悪くなっ
ているが金属酸化物の球粒体により凸部になっていると
ころを樹脂で平滑化するので被膜適性は改善される。当
然のことながら、転写物では硬質膜層の下に透明化層が
あるので、硬質膜層の効果は損なわれることはない。ま
た、金属酸化物球粒体表面での複屈折などによりオパー
ルのような光沢または色の深みを増加させたりすること
もできる。
【0029】
【実施例】(実施例1)メラミン樹脂をコーティングし
て熱処理したポリエチレンテレフタレートの基体シート
上に、平均粒径0.7μmのシリカ球粒体30重量%、
ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン
0.5重量%、ポリアクリルポリオール樹脂15重量
%、ポリイソシアネート3重量%、キシレン51.5重
量%からなるインキをグラビアコーティングして160
℃で1分間の熱処理して硬質膜層を設けた。
【0030】次に、メチルメタアクリル酸エステル樹脂
をグラビアコーティングして140℃で45秒間の熱処
理して透明化層を設けた。青色有機顔料10重量%、ア
ルキッド樹脂90重量%とからなる図柄層をグラビア印
刷して設け、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂50重
量%、ブチルメタアクリル酸エステル樹脂50重量%か
らなる接着層をグラビア印刷して設けて転写材を得た。
【0031】本転写材をポリスチレン樹脂成形品にロー
ル転写機で210℃、3秒間で加熱加圧して転写し、美
麗な表面が硬く耐久性に優れた転写物を得た。
【0032】(比較例1〜4)比較例として実施例1の
硬質膜層の代わりに従来の熱可塑性樹脂、紫外線硬化型
樹脂、熱硬化型樹脂、金属酸化物のゾルを用いて転写材
および転写物を作製して、転写材の巻取時の亀裂、表面
強度、表面および側面を連続的に転写する際にその角で
の亀裂の発生度合い、2度押し性、およびカーボンアー
クフェードメーターでの耐光性を実施例1と比較した。
【0033】比較例1として、実施例1の硬質膜層の代
わりに、メチルメタアクリル酸エステル樹脂からなる層
を設けたものを作製した。同様に比較例2として、エポ
キシアクリレート樹脂からなり、紫外線を照射してなる
層を設けたものを作製した。同様に比較例3として、ポ
リアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートとから
なり、熱処理してなる層を設けたものを作製した。比較
例4として、金属アルコキシド系シリカゾルからなり熱
処理してなる層を設けたものを作製した。
【0034】転写材の巻取での亀裂および転写物のスチ
ールウール#4(#0000)および#3(#000)
での表面強度、半径3mmの角での亀裂の発生度合い、
2度押し性、耐光性を比較したところ、表1のとおりで
あった。
【0035】
【表1】 (実施例2)厚さ38μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの基体シートに薄くメチルメタアクリル酸エ
ステル樹脂を設けた後、平均粒径0.01μmの酸化マ
グネシウム球粒体2重量%、平均粒径0.15μmの酸
化チタン球粒体3重量%、平均粒径0.5μmのアルミ
ナ球粒体3重量%、ウレタンアクリレート樹脂10重量
%、メチルメタアクリル酸エステル樹脂5重量%、チタ
ネート系カップリング剤1重量%、メチルエチルケトン
49重量%からなるインキをロールコーティングしたの
ち、紫外線照射を行なって硬質膜層を設けた。
【0036】次に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂
30重量%、青色染料0.5重量%、メチルエチルケト
ン69.5重量%からなるインキをバーコーティングし
た後、熱処理して透明化層を設けた。次に、赤色顔料1
0重量%、塩素化ゴム樹脂90重量%からなる図柄層を
設け、ウレタン樹脂からなる蒸着前アンカー層を設けた
後、アルミニウム蒸着して、さらに塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合体樹脂からなる蒸着後アンカー層を設け、塩化
ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着層を設けて
転写材を得た。
【0037】本転写材を用いて、成形同時転写法でメチ
ルメタアクリル酸エステル樹脂成形品に転写して、美麗
な表面強度の強い、耐光性の強い転写物を得た。
【0038】(実施例3)厚さ50μmのポリアミドフ
ィルムの基体シートにワックスをコーティングした後、
平均粒径15μmのシリカ球粒体5重量%、ウレタン樹
脂45重量%、メチルエチルケトン50重量%からなる
インキをスプレーでコーティングしたのち、乾燥して硬
質膜層を設けた。
【0039】次に、ウレタン樹脂をスプレーでコーティ
ングして透明化層を設けた後、黄色有機染料10重量
%、アルキッド樹脂90重量%からなる図柄層を刷毛塗
りして設け、塩素化ポリプロピレン樹脂からなる接着層
を設けて転写材を得た。
【0040】本転写材をポリプロピレンシートにアップ
ダウン転写機で180℃で15秒間加熱加圧して転写し
て、美麗な表面強度の強い、耐光性の強い転写物を得
た。
【0041】(実施例4)厚さ38μmのポリエステル
フィルムに配向性ポリプロピレンをラミネートした基体
シートに、平均粒径0.6μm・比表面積13m/g
のシリカ球粒体10重量%、平均粒径0.2μm・比表
面積20m/gのアルミナ球粒体5重量%、メチルメ
タアクリル酸エステル樹脂10重量%、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン0.2重量%、トル
エン74.8重量%からなるインキをグラビア印刷した
のち、乾燥して硬質膜層を設けた。
【0042】次に、メチルメタアクリル酸エステル樹脂
をグラビア印刷したのち、乾燥して透明化層を設けた。
さらにその上に、硬質膜層・透明化層を同様にして設け
た。次に、黒色顔料10重量%、アルキッド樹脂90重
量%からなる図柄層を設け、エチレン酢酸ビニル共重合
体樹脂からなる接着層を設けて転写材を得た。
【0043】本転写材を木の板にロール転写機で転写し
て、美麗な表面強度の強い、耐光性の強い転写物を得
た。
【0044】(実施例5)平均粒径0.2μmのジルコ
ニア球粒体30重量%、アルミニウムモノアセチルアセ
トネートビス(エチルアセトアセテート)1重量%、ト
ルエン69重量%の混合液を80℃で3時間処理したの
ち、空冷して、遠心分離、乾燥して、処理したジルコニ
ア球粒体を得た。同様にして、平均粒径0.05μmの
酸化亜鉛球粒体、平均粒径0.1μmの酸化インジウム
−酸化スズ球粒体および平均粒径0.8μmのアルミナ
球粒体を処理して、処理されたそれぞれの球粒体を得
た。厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ムに配向性ポリプロピレンをラミネートした基体シート
に、前記の処理された球粒体4種をそれぞれ6重量%、
エポキシ樹脂12重量%、硬化剤0.5重量%、トルエ
ン30重量%、メチルエチルケトン33.5重量%から
なるインキをロールコーティングして、乾燥して硬質膜
層を設けた。
【0045】次に、アルキッド樹脂をロールコーティン
グして、熱処理して透明化層を設けた。次に、赤色顔料
10重量%、アルキッド樹脂90重量%からなる図柄層
を設け、青色顔料10重量%、アルキッド樹脂90重量
%からなる図柄層を設け、黄色顔料10重量%、アルキ
ッド樹脂90重量%からなる図柄層を設けた後、アクリ
ルポリオールとポリイソシアネート樹脂からなる蒸着前
アンカー層を熱処理して設けた後、アルミニウム蒸着し
て、さらに塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂からなる
蒸着後アンカー層を設け、エポキシ樹脂と硬化剤からな
る接着層を設けて転写材を得た。
【0046】本転写材をγ−アミノプロピルトリエトキ
シシランで前処理したガラス板にロール転写機で転写し
て、美麗な表面強度の強い、耐光性の強い転写物を得
た。
【0047】
【発明の効果】転写物の表面層の透明性が高いので図柄
層に悪影響を及ぼさず、表面強度が強いので長時間の使
用に際しても損傷することなく、紫外線による変色ある
いは退色も少ない。また、被転写物の角などで転写材が
転写時に伸ばされても亀裂が入らない美麗な転写物がで
きる。また、転写を失敗した際にも、もう一度その上か
ら転写することができるので、非常に経済的である。こ
のような転写材、転写物が容易に作業性よく、経済的に
作製できるので、その産業的効果は絶大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−293099(JP,A) 特開 昭59−115767(JP,A) 特開 平1−180400(JP,A) 特開 平3−76698(JP,A) 特開 平5−69698(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 1/165 B41M 3/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離型性を有する基体シート上に設けられ
    た層のうち基体シート面に近い少なくとも一層が、平均
    粒径が0.01〜15μmの金属酸化物球粒体を10〜
    90重量%含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からな
    る硬質膜層で、その次の層が透光性樹脂からなる透明化
    層で構成されたことを特徴とする転写材。
  2. 【請求項2】 金属酸化物球粒体の金属が、ケイ素、ア
    ルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ジルコニウ
    ム、インジウム、スズおよび亜鉛からなる群より選ばれ
    た少なくとも一つの元素である請求項1記載の転写材。
  3. 【請求項3】 金属酸化物球粒体の表面が、アルミニウ
    ムキレート剤、チタニウムキレート剤、シランカップリ
    ング剤およびチタネート系カップリング剤からなる群よ
    り選ばれた少なくとも一つの表面処理剤で処理されてい
    る請求項1記載の転写材。
  4. 【請求項4】 離型性を有する基体シート上に設けられ
    た層のうち、基体シート面に近い少なくとも一層が、平
    均粒径が0.01〜15μmの金属酸化物球粒体を10
    〜90重量%含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂から
    なる硬質膜層で、その次の層が透光性樹脂からなる透明
    化層で構成された転写材を成形物に転写して得られるこ
    とを特徴とする転写物。
  5. 【請求項5】 金属酸化物球粒体の金属が、ケイ素、ア
    ルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ジルコニウ
    ム、インジウム、スズおよび亜鉛からなる群より選ばれ
    た少なくとも一つの元素である請求項4記載の転写物。
  6. 【請求項6】 金属酸化物球粒体の表面が、アルミニウ
    ムキレート剤、チタニウムキレート剤、シランカップリ
    ング剤およびチタネート系カップリング剤からなる群よ
    り選ばれた少なくとも一つの表面処理剤で処理されてい
    る請求項4記載の転写物。
JP03328036A 1991-11-15 1991-11-15 転写材およびそれを用いた転写物 Expired - Fee Related JP3090743B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03328036A JP3090743B2 (ja) 1991-11-15 1991-11-15 転写材およびそれを用いた転写物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03328036A JP3090743B2 (ja) 1991-11-15 1991-11-15 転写材およびそれを用いた転写物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05139093A JPH05139093A (ja) 1993-06-08
JP3090743B2 true JP3090743B2 (ja) 2000-09-25

Family

ID=18205801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03328036A Expired - Fee Related JP3090743B2 (ja) 1991-11-15 1991-11-15 転写材およびそれを用いた転写物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3090743B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10130576A (ja) * 1996-10-24 1998-05-19 Nof Corp 塗料組成物
JP4538893B2 (ja) * 2000-05-11 2010-09-08 凸版印刷株式会社 化粧材
ES2359228T3 (es) * 2000-10-21 2011-05-19 Evonik Degussa Gmbh Sistemas de barnices curables por radiación.
JP4695403B2 (ja) * 2005-02-01 2011-06-08 大日本印刷株式会社 転写加飾シート、表面保護加飾シート及び加飾成形品の製造方法
JP5155645B2 (ja) 2007-12-10 2013-03-06 日本写真印刷株式会社 耐箔バリ性に優れた転写材の製造方法と転写材
JP2014210353A (ja) * 2013-04-17 2014-11-13 日本写真印刷株式会社 転写シート
JP6476694B2 (ja) * 2014-09-29 2019-03-06 大日本印刷株式会社 転写シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05139093A (ja) 1993-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4659752B2 (ja) 化粧材
EP1870236B1 (en) High-gloss decorative sheet
EP2067616A1 (en) Decorated sheet
JPH08142494A (ja) 熱転写フイルムおよびそれを用いたチック模様の形成方法
JPH08108695A (ja) 転写シート
JP3090743B2 (ja) 転写材およびそれを用いた転写物
JP5454057B2 (ja) 化粧シート
JP2007268942A (ja) 樹脂化粧板
JP4725017B2 (ja) 化粧材
KR20090026862A (ko) 전사 필름 및 그 제조방법
JP2004299384A (ja) 保護シート付き加飾シートおよび加飾成形品の製造方法
JP2015214031A (ja) 転写フィルムおよび装飾成形品
JP7384156B2 (ja) 金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体
JP4853852B2 (ja) 転写箔
JPH0569698A (ja) 転写材およびそれを用いた転写物
JP2018126949A (ja) 化粧シート及び化粧材
JPH05139092A (ja) 転写材およびそれを用いた転写物
JP2002086658A (ja) 化粧材
JP2015214029A (ja) 転写フィルムおよび装飾成形品
JP3885980B2 (ja) 転写シート
JP6467784B2 (ja) 転写フィルムおよび加飾成形品
JP7119594B2 (ja) 金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体
JP7139696B2 (ja) 金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体
WO2023048283A1 (ja) 化粧材
JP2001232717A (ja) 意匠鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000627

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080721

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080721

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees