JP3089334B2 - 写真フィルム用容器 - Google Patents

写真フィルム用容器

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JP3089334B2
JP3089334B2 JP21493092A JP21493092A JP3089334B2 JP 3089334 B2 JP3089334 B2 JP 3089334B2 JP 21493092 A JP21493092 A JP 21493092A JP 21493092 A JP21493092 A JP 21493092A JP 3089334 B2 JP3089334 B2 JP 3089334B2
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  • Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
  • Packages (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真フィルムを収容す
るプラスチック容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真フィルムパトローネ用容器は、写真
フィルムに悪影響を与えない、防湿・ガスバリヤ性に優
れた金属薄葉素材で形成されていたが、この金属薄葉素
材からなる容器はコストが高いために、大量使用される
ようになると熱可塑性樹脂で形成されるようになった。
この熱可塑性樹脂としては、当初、金属に代わるものと
の考えから、メルトフローレート(以後、MFRと表示
する。)の低い剛性の高いポリスチレン樹脂やホモポリ
プロピレン樹脂が用いられていた。
【0003】しかし、現在は衝撃強度と透明性の必要性
とから、低MFRのプロピレン・エチレンランダム共重
合体樹脂が用いられるようになった。本発明者も成形サ
イクルを短縮でき、かつ成形故障を少なくすることがで
きるようにした高剛性、高MFRのプロピレン樹脂を主
体とするフィルムパトローネ用容器本体(特開昭60−16
3045号公報)及び成形直後の空送性、射出成形性等を改
良した脂肪酸アミド系滑剤を0.05〜1重量%含む容器本
体(特開昭61−73947号公報)を提案した。その他、特
開昭63−223640号公報、実開平1−88940号公報、特公
平4−118645号公報等で各種形態の写真フィルム用容器
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、写真フィル
ムは防湿性が確保されていても高温度環境で長期間保存
されると写真性(感度、階調、カブリ、ステイン、色調
バランス等)が悪化するので、冷暗所で保存されてお
り、一般家庭では、プラスチック容器に密封した状態で
透明又は不透明のポリ袋に複数個収納し、この状態で冷
蔵庫に保存している。
【0005】しかしながら、従来の透明な写真フィルム
用容器では、使用時に冷蔵庫から取り出してカメラに装
填しようとした際、容器が水滴で曇って品種の見わけが
できにくかった。また、写真フィルムを収納した状態で
太陽光下に10分以上放置(特に、夏の高温度の自動車内
放置が問題)すると、写真フィルムや遮光テレンプに含
まれている水分がプラスチック容器本体内壁に付着し、
容器本体を曇らせて写真フィルムパトローネに印刷され
ている文字、CIマーク等を見えにくくし、使用適性や
商品価値を低下させていた。
【0006】一方、遮光性物質の添加や印刷を施した容
器内の品種や写真フィルムパトローネに印刷されている
文字を見る目的を持たない着色した容器の場合でも、容
器の表面に水滴がつきユーザーの触感を悪化させたり、
写真フィルムの感光層に水滴が付着して写真フィルムが
接着する故障も発生することがあった。
【0007】以下、本発明では透明又は半透明な写真フ
ィルム用容器に、水滴が付着して曇るのを防止する作用
を防曇作用と表現し、この防曇作用を有する物質を防滴
物質と表現する。又、曇りが発生したかどうかがわかり
にくい半透明又は不透明又は着色した写真フィルム用容
器に、水滴が付着するのを防止する作用を防滴作用と表
現し、この防滴作用を有する物質を防滴物質と表現す
る。外観から防曇作用と防滴作用と区別しているが、両
作用とも水滴となるのを防止する作用で実質的には同一
作用と考えれらる。
【0008】本発明は、上記問題点を解決し、水滴が可
及的に付着しないような防滴性を有する写真フィルム用
容器、特に商品価値の高い写真フィルムパトローネ用容
器を提供することを目的とする。さらに、必要に応じて
リサイクルが可能な写真フィルム用容器を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するためになされたもので、防滴剤0.01〜3.0重
量%と、ステアリン酸金属塩0.01〜3.0重量%と、
酸化防止剤としてフェノール系及び/又は燐系酸化防止
剤0.01〜0.5重量%と、メルトフローレートが5〜
80g/10分、密度が0.935g/cm3以上、X線
による結晶化度が40〜98%、分子量分布が1.5〜
25、オルゼン剛性度が3500kg/cm2以上、ビ
カット軟化温度が95℃以上のエチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体樹脂及び/又はホモポリエチレン樹
脂50重量%以上とを含み、かつハロゲン化合物を含有
したポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、180℃以
上の樹脂温度で射出成形法により形成したことを特徴と
して構成されている。
【0010】ポリオレフィン樹脂は、低密度、中密度、
高密度のホモポリエチレン樹脂、エチレン・αオレフィ
ン共重合体樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン
・αオレフィン共重合体樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポ
リオレフィンエラストマー等である。
【0011】このポリオレフィン樹脂は180℃以上、好
ましくは190℃以上、特に200℃以上の熱履歴を経たもの
であることが各種添加剤の均一混練の点で好ましい。特
に、有機造核剤を含むポリオレフィン樹脂では190℃以
上の熱履歴を経たペレットを用いることが好ましい。ま
た、上記ポリオレフィン樹脂の中では、写真フィルム用
容器として必要な耐衝撃強度、耐摩耗性、防湿性、滑
性、剛性、ガスバリヤ性、成形適性等を確保するために
プロピレン・αオレフィン共重合体樹脂、高密度ポリエ
チレン樹脂、ポリオレフィンエラストマー、エチレン・
αオレフィン共重合体樹脂の1種以上を50重量%以上含
む樹脂が好ましい。
【0012】特に透明性、剛性、衝撃強度、光沢度、防
湿性、耐衝撃白化、射出成形性等、写真フィルム用容器
に必要な特性を確保できるMFRが5〜80g/10分、密度
が0.935g/cm3以上のホモポリエチレン樹脂とエチレン・
αオレフィン共重合体樹脂及びMFRが5〜80g/10分の
プロピレン・αオレフィンランダム共重合体樹脂が好ま
しい。上記樹脂に防滴物質と滑剤と酸化防止剤と造核剤
を必要量添加後、190℃以上の温度で混練・押出したペ
レットからなる190℃以上の熱履歴を経たポリオレフィ
ン系樹脂組成物が最も好ましい。
【0013】αオレフィンとしては、炭素数が3〜10の
ものが重合しやすく、比較的安価である点から好まし
い。エチレン・αオレフィン共重合体樹脂の好ましい代
表例としては、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体
樹脂、エチレン・4メチルペンテン−1ランダム共重合
体樹脂、エチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体樹
脂、エチレン・オクテン−1ランダム共重合体樹脂等で
ある。αオレフィンの含有量はエチレン・αオレフィン
共重合体樹脂中に0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モ
ル%である。ホモポリエチレン樹脂、エチレン・αオレ
フィン共重合体樹脂共、射出成形適性、写真フィルム用
容器本体として必要な特性を確保するために、MFR(A
STM D 1238,190℃測定)は5〜80g/10分、好ましくは
8〜60g/10分、特に好ましくは10〜50g/10分であり、最
も好ましいのは11〜35g/10分である。密度(ASTM D 150
5)は0.925g/cm3以上、好ましくは0.935g/cm3以上、特
に好ましくは0.940g/cm3以上であり、最も好ましいのは
0.941〜0.965g/cm3である。本発明では底部の平均肉厚
を大きくすること、蓋との一体化等により剛性が小さく
ても実用化可能であるが耐圧縮性確保、変形防止等の点
からオルゼン剛性度(ホモポリエチレン樹脂とエチレン
・αオレフィン共重合体樹脂(ASTM D 747))は3500kg
/cm2以上、好ましくは4500kg/cm2以上、特に好ましくは
5000kg/cm2以上であり、最も好ましいのは6000kg/cm2
上である。太陽光下での熱変形防止等の点からビカット
軟化温度(ASTM D 1525)は95℃以上、好ましくは100℃
以上、特に好ましくは110℃以上である。X線による結
晶化度は剛性確保の点からは大きいことが好ましいが透
明度を確保する点からは小さいことが好ましいが、本発
明ではこれらのバランスの点から40〜98%、好ましくは
50〜95%、特に好ましくは60〜93%である。
【0014】剛度、衝撃強度確保と有機造核剤添加効果
(透明度向上、剛度向上等)を大きく発揮させるため
に、数平均分子量は10,000〜1,000,000、好ましくは20,
000〜800,000、特に好ましくは25,000〜600,000であ
る。
【0015】剛性、寸法精度確保と有機造核剤添加効果
(透明度向上、剛度向上等)を大きく発揮させるため
に、分子量分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーを用いて分子量分布曲線を求め、分子量既知の単分
散ポリスチレンをスタンダードとしてユニバーサルキャ
リブレーション法による重量平均分子量と数平均分子量
から求める)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量,Mn:数平
均分子量)が1.5〜25、好ましくは2〜20、射出成形適
性を考慮に入れた場合、特に好ましくは2.5〜15であ
る。ASTM D 785で測定した容器底部の硬度(ロックウェ
ルR)は45R以上、好ましくは50R以上、特に好ましく
は55R以上にすることにより、耐摩耗性が優れ、スリ傷
を発生しにくくすることができる。
【0016】容器内の写真フィルムパトローネ等を容器
外から観察可能にするためには、ASTM D 1003で測定し
たくもり度(%)は50%以下、好ましくは30%以下、特
に好ましくは10%以下である。くもり度は有機造核剤、
特に後述のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物を
0.01〜2.0重量%添加することにより15%以上低下でき
透明性が向上できる。
【0017】これらの特性を有するホモポリエチレン樹
脂及び/又はエチレン・αオレフィン共重合体樹脂の1
種以上を本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中に50重
量%以上、好ましくは70重量%以上、特に85重量%以上
含むことが好ましい。
【0018】上記のことは蓋と容器本体がヒンジ等で一
体となっている特開昭63−223640号公報、実開平1−88
940号公報、特開平4−118645号公報、図3〜図6、図
9等の写真フィルム用容器に用いる樹脂についても適用
できる。この場合は、リサイクル適性は蓋と容器本体が
同一なので特に優れている。また、蓋と容器本体が一体
になっているので、剛性が特開昭60−163045号公報の半
分以下の各種ポリオレフィン樹脂を使用できるメリット
もある。
【0019】耐熱性、射出成形性の優れたポリプロピレ
ン樹脂については、衝撃強度の点でホモポリプロピレン
樹脂単独では実用化困難であり、衝撃白化の点でプロピ
レン・αオレフィンブロック共重合体樹脂も単独では実
用化困難であり、他の樹脂や熱可塑性エラストマーとの
混合樹脂又は各種フィラーや補強材との混合樹脂として
実用化される。
【0020】従って、ポリプロピレン樹脂としては単独
使用も可能な容器本体として好ましいのは、プロピレン
・αオレフィンランダム共重合体樹脂で具体的には、プ
ロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン
・ブテン−1ランダム共重合体樹脂等である。αオレフ
ィンの含有量は、プロピレン・αオレフィンランダム共
重合体樹脂中に0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル
%である。
【0021】物理特性としては、MFR(ASTM D 1238,
230℃測定)は5〜80g/10分、好ましくは8〜60g/10
分、特に好ましくは10〜50g/10分であり、曲げ初期弾性
率(ASTM D 790)は5000kg/cm2以上、好ましくは7000kg
/cm2以上、特に好ましくは9000kg/cm2以上である。本発
明の写真フィルム用容器(容器本体、蓋のいずれも含
む。)は、ポリオレフィン樹脂にさらに防曇作用又は防
滴作用を有する防滴物質と滑剤と酸化防止剤を含むこと
が必須である。特に、ASTM D 1003のくもり度が50%以
下の透明容器本体において、これらの添加効果を大きく
発揮する。容器本体としては上記のホモポリエチレン樹
脂とエチレン・αオレフィンランダム共重合体樹脂とプ
ロピレン・αオレフィンランダム共重合体樹脂は造核
剤、特に後述のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成
物を添加すると剛度、透明度の向上効果が大きく、成形
故障が大幅に減少し、成形サイクルを大幅に短縮する効
果がある。
【0022】また、光反射性及び/又は光吸収性、遮光
性物質や着色物質を添加した場合も、表面光沢(表面の
艶)が優れ、色が冴え外観が美しいので、商品価値の高
い着色写真フィルム用容器を提供できる。
【0023】ポリオレフィン樹脂として密度が0.935g/c
m3以上のホモポリエチレン樹脂及び/又は密度が0.935g
/cm3のエチレン・αオレフィンランダム共重合体樹脂を
用いた場合の好ましい実施態様を以下に示す。 (1) MFRが8〜60g/10分、オルゼン剛性度(ASTM D 7
47)が4500kg/cm2以上のエチレン・αオレフィン(ブテ
ン−1が特に好ましい)ランダム共重合体樹脂及び/又
はホモポリエチレン樹脂が70重量%以上と、防曇作用又
は防滴作用を有する防滴物質が0.01〜5.0重量%、滑剤
が0.01〜5.0重量%、酸化防止剤が0.01〜2.0重量%を少
なくとも含むポリオレフィン系樹脂組成物を用いた写真
フィルム用容器は射出成形性が良好で成形故障が少な
く、透明性、防滴性を向上できる。 (2) さらに好ましいのは、上記(1)のポリオレフィン系
樹脂組成物に、さらに造核剤を0.01〜2.0重量%含むポ
リオレフィン系樹脂組成物を用いた写真フィルム用容器
は剛度、透明度が大きく向上し、成形サイクルが短縮で
き成形故障を大巾に減少できる。 (3) 上記(1)又は(2)のポリオレフィン系樹脂組成物に、
さらに光反射性及び/又は光吸収性遮光性物質(光反射
性遮光性物質が好ましい)及び/又は着色物質(着色染
料等)を含むポリオレフィン系樹脂組成物を用いた写真
フィルム用容器は衝撃強度が向上し、リサイクル適性が
向上する。
【0024】プロピレン・αオレフィンランダム共重合
体樹脂を用いた場合の好ましい実施態様を以下に示す。 (1) MFRが8〜60g/10分、曲げ初期弾性率(ASTM D 7
90)が7000kg/cm2以上のプロピレン・αオレフィン(エ
チレンが好ましい)ランダム共重合体樹脂85重量%以
上、防滴物質0.01〜3.0重量%、滑剤0.01〜5.0重量%、
酸化防止剤0.01〜2.0重量%を少なくとも含むポリオレ
フィン系樹脂組成物を用いた写真フィルム用容器であ
る。 (2) さらに好ましいのは、上記(1)のポリオレフィン系
樹脂組成物に、さらに造核剤を0.01〜2.0重量%含むポ
リオレフィン系樹脂組成物を用いた写真フィルム用容器
である。 (3) 上記(1)又は(2)のポリオレフィン系樹脂組成物に、
さらに遮光性物質(光反射性遮光性物質が好ましい)及
び/又は着色物質(着色染料等)を含むポリオレフィン
系樹脂組成物を用いた写真フィルム用容器である。
【0025】以上のようなポリオレフィン樹脂は、50重
量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは85
重量%以上含まれる。ポリオレフィン樹脂が50重量%未
満であると、防湿性、写真フィルムに悪影響を及ぼす亜
硫酸ガス、ホルマリンガス、塩素ガス、酸素ガス等のガ
スバリヤー性等が不十分であり、さらに耐衝撃強度、耐
摩耗性、圧縮強度等を確保することが困難である。低温
衝撃強度向上等の目的で各種熱可塑性エラストマーや合
成ゴムを本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中に含有
させることは好ましい。特に、エチレン・プロピレンゴ
ムやエチレン・プロピレン・ジェンターポリマーが写真
フィルムに悪影響を与えず、衝撃強度を向上させるので
好ましい。
【0026】防曇作用又は防滴作用を有する防滴物質に
は、吸水性又は吸湿性物質(ポリビニルアルコール、デ
ンプン、表面処理デンプン又は変性デンプン、ポリマー
鎖あるいは側鎖に水酸基、カルボニル基、カルボキシル
基、アミノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基等の
極性基またはイオン性基等からなる親水性基を含有する
親水性ポリマー又は吸水性ポリマー等、具体的にはデン
プン−アクリロニト加水分解物、酢酸ビニル−アクリル
酸メチル共重合体の酸化物、架橋ポリアクリルアミド、
ポリアクリルアミド−アクリル酸共重合体、ポリアクリ
ル酸−ジアクリレート共重合体、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールの架
橋物、ポリエチレングリコール等)と防滴剤がある。こ
れらのなかでデンプンは生分解性も有するので、廃棄物
処理適性の点でも好ましい。
【0027】本発明で防滴剤とは、写真フィルム用容器
に0.01〜3.0重量%ブレンドした時に、この容器に対す
る純水の接触角が50度以下、好ましくは45度以下、特に
好ましくは35度以下にさせる物質はすべて含むものであ
る。特に好ましい代表的防滴剤を以下に示すが、本発明
はこれらに限定されるものではない。また吸水性物質、
吸湿性物質、防滴剤のいずれか2種以上をミックスして
用いることもできる。さらに、また防滴物質を含む写真
フィルム用容器にコロナ放電処理、オゾン接触処理、プ
ラズマ処理等の表面活性化処理を施すと防曇作用、防滴
作用がさらに効果的に発揮されるので好ましい。
【0028】〔特に好ましい防滴剤の代表例〕ジグリセ
リンモノステアリン酸エステル、ポリグリセリンモノパ
ルミチン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステ
ル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタン
モノオレイン酸エステル、ソルビタンモノエルカ酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリ
セライド、オレイン酸モノグリセライド、ラウリン酸モ
ノグリセライド、ポリオキシエチレンノニルフェノール
エーテル、ソルビタンセスキパルミテート、ジグリセリ
ンセスキオレエート、ソルビトール脂肪酸エステル、ソ
ルビトール脂肪酸・二塩基酸エステル、ジグリセリン脂
肪酸・二塩基酸エステル、グリセリン脂肪酸・二塩基酸
エステル、ソルビタン脂肪酸・二塩基酸エステル、ソル
ビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビ
タンパルミテート・プロピオレンオキサイド3モル付加
物、ソルビタンパルミテート・プロピオレンオキサイド
2モル付加物、ソルビトールステアレート、ソルビトー
ルステアレート・エチレンオキサイド3モル付加物、ジ
グリセリンパルミテート、グリセリンパルミテート、グ
リセリンパルミテート・エチレンオキサイド2モル付加
物等。
【0029】以上のような防滴物質の添加量は、0.01〜
3.0重量%が好ましい。特に0.1〜2.0重量%が好まし
い。添加量が0.01重量%未満であれば、防曇効果がほと
んど発揮されず、混練経費増になるだけである。また、
滑剤や酸化防止剤等のブリードアウトしやすい添加剤が
白色粉末状に析出するのをおさえる効果が発揮されな
い。
【0030】また、添加量が3.0重量%を越えると、防
曇効果は充分発揮されるが増量した効果はほとんどなく
なり、コストアップになるだけである。問題なのは容器
表面がベトツキ、ほこりや塵が付着しやすくなり、写真
フィルムに付着した場合は現像速度ムラを発生させる。
【0031】滑剤は、滑性の向上、射出成形性の向上、
写真フィルムの容器への出し入れをしやすくし、空送時
の滑性を向上し、スリ傷の発生を防止し、加工包装適性
を向上させる。さらに、金型からの離型性、静電気の発
生防止、ブロッキング(ペレット及び容器とも)の発生
を防止させる。さらに、また本発明に必須の酸化防止剤
の分散、混練性を向上させる。また、必要により添加さ
れる造核剤や遮光性物質の分散、混練性を向上させるた
めのもので、本発明で好ましい滑剤の代表例としては、
例えば、シリコン、脂肪酸アミド、ワックス、脂肪酸金
属塩等がある。
【0032】市販の代表的滑剤名と製造メーカー名を以
下に記載する。 (1) 脂肪酸アミド系滑剤 飽和脂肪酸アミド系滑剤 ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本化
成)等 ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライオ
ン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸アマ
イドS(花王)、ダイヤミッド200(日本化成)、ダイ
ヤミッドAP−1(日本化成)、アマイドS・アマイド
T(日東化学)、ニュートロン−2(日本精化)等 パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18(日
本精化)、アマイドP(日東化学)等 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン・
アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等 不飽和脂肪酸アミド系滑剤 エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油
脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)等 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ライ
オン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュート
ロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、ダ
イヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本化
成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマイド
O(花王)等 ビス脂肪酸アミド系滑剤 メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッド
NKビス(日本化成)等 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミッ
ド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン・
アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等 メチレンビオオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO
(日本化成)等 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモスリ
ップEBS(ライオン・アクゾ)等 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アマ
イド65(川研ファインケミカル)等 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマイ
ド60(川研ファインケミカル)等 (2) シリコーン系滑剤 各種グレードのジメチルポリシロキサン及びその変性物
及びその他シリコン(代表例:シロキサン)の各種変性
物。代表例としては、カルボキシル変性シリコン、αメ
チルスチレン変性シリコン、αオレフィン変性シリコ
ン、ポリエーテル変性シリコン、フッ素変性シリコン、
親水性特殊変性シリコン、オレフィンポリエーテル変性
シリコン、エポキシ変性シリコン、アミド変性シリコ
ン、アルコール変性シリコン、アルキル変性シリコン、
アルキルアリール変性シリコン、アミノ変性シリコン、
アルキルハイドロジエン変性シリコン(信越シリコー
ン、東レシリコーン)等 特に各種シリコンが樹脂流動性向上、滑性向上等の効果
を発揮させるだけでなく、遮光性物質や着色物質と併用
すると遮光性物質や着色物質の分散性向上、着色力向上
等予想外の効果を発揮するので好ましい。 (3) 非イオン界面活性剤系滑剤 エレクトロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッ
パ−TS−3(花王石鹸)等 (4) 炭化水素系滑剤 流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、
合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボン等 (5) 脂肪酸系滑剤 高級脂肪酸(C12以上が好ましい)、オキシ脂肪酸等 (6) エステル系滑剤 脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコ
ールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪
酸の脂肪アルコールエステル等 (7) アルコール系滑剤 多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等 (8) 金属石けん ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ナフテン
酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とLi、Mg、Ca、Sr、
Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属との化合物 これらの滑剤は単独で用いてもよいし、必要によっては
2種以上を併用してもよい。
【0033】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中に
は、ハロゲン化合物が重合触媒の残渣の形でまたは添加
剤中の不純物として含まれる。ハロゲン化合物を中和し
たり、種々の目的で本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物中には脂肪酸金属塩を添加することが好ましい。脂肪
酸金属塩の添加により、ブリードアウトの減少、有機造
核剤の飛散防止、有機造核剤の分散性の向上などを図る
ことができる。また、この脂肪酸金属塩は、遮光性物質
の分散性及び成形性を向上させ、さらに、樹脂中に含ま
れる写真感光材料の写真性に悪作用するハロゲン化合物
を中和して無害化するので写真性も良化するものであ
る。この脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ステアリ
ン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、エルカ
酸等の高級脂肪酸とLi、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、C
d、Al、Sn、Pb等の金属との化合物がある。
【0034】脂肪酸金属塩の添加量は、ポリオレフィン
樹脂100重量部に対して、0.01〜10.0重量部が好まし
く、0.1〜5.0重量部がより好ましい。また、ポリオレフ
ィン系樹脂組成物から成る容器に対する添加量として
は、好ましくは0.01〜8.0重量%、より好ましくは0.03
〜5.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0035】上記滑剤の中では、写真フィルムにカブリ
や感度異常等の悪影響を与えることがなく、人体にも無
害であり、帯電防止効果も発揮するので非イオン界面活
性剤系滑剤が好ましい。
【0036】以上のような滑剤の添加量は、0.01〜5.0
重量%が好ましい。添加量が0.01重量%未満では添加効
果がほとんどなく、混練費アップになるだけであり、5.
0重量%を越えるとブリードアウトが発生したり、スク
リューのスリップが発生し、吐出量が不安定になり成形
故障が多発するだけでなく、ポリオレフィン系樹脂との
混練性が悪化する。安価で写真フィルムにカブリや感度
異常発生等の悪影響を与えない、滑性向上効果、射出成
形サイクル短縮効果の大きい脂肪酸アミド系滑剤の場合
には0.01〜3.0重量%が好ましく、特に0.02〜1.0重量%
にすることが成形故障大幅減少、ブリードアウト防止等
の点から好ましい。また、滑性向上効果は小さいが各種
添加剤の分散性を向上させ、ポリオレフィン樹脂の流動
性を良化させる炭化水素系滑剤や脂肪酸系滑剤及び金属
石けん等は20重量%以下で問題が発生しない量まで使用
可能である。
【0037】本発明の写真フィルム用容器には、酸化防
止剤が使用される。樹脂の酸化分解はCH3の分岐の多
いポリオレフィン樹脂ほど多い。それは酸素吸収量が多
いからであり、従って酸化分解の程度は、ポリプロピレ
ン樹脂>ホモポリエチレン樹脂>エチレン・αオレフィ
ン共重合体樹脂となる。結晶性樹脂の代表的な熱可塑性
樹脂である各種ポリエチレン樹脂(エチレン・αオレフ
ィン共重合体樹脂も含む)や各種ポリプロピレン樹脂
(プロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂も含む)
等は炭化水素であり、炭化水素の自動酸化は酸素の存在
下で脱水して一旦遊離基が生成すると連鎖的に次のよう
に進行すると考えられている。
【0038】 RH→R・ R・+O2→ROO・ ROO・+RH→ROOH+R・ ROOH→RO・+・OH RO・+RH→ROH+R・ ・OH+RH→HOH+R・ このようにして、炭化水素の酸化が加速的にはやめられ
て多量のアルコールや写真フィルムに悪影響を及ぼすア
ルデヒド、ケトン、酸などを生じ、さらにこれらが相互
に反応して重合物を作る。
【0039】炭化水素の酸化を防止するには、上記連鎖
反応をたちきることが必要で、そのために各種の酸化防
止剤が用いられる。すなわち酸化防止剤には、連鎖伝播
体である遊離基(主としてROO・)と反応して、これ
を不活性化する遊離基連鎖停止剤と遊離基の主要な発生
源であるヒドロペルオキシドROOHを分解して、これ
を安定化する過酸化物分解剤とがある。前者としては、
フェノール系酸化防止剤と芳香族アミン系酸化防止剤が
ある。後者としては、硫黄系酸化防止剤とリン系酸化防
止剤がある。これらの理由からフェノール系酸化防止剤
とリン系酸化防止剤を混合使用することが好ましい。各
種酸化防止剤は、写真感光材料に悪影響を与える還元剤
でもあるので、添加量は慎重に検討しないと写真感光材
料の品質劣化を大きくして問題になる。
【0040】本発明では酸化防止剤は、ポリオレフィン
樹脂の熱劣化防止だけでなく、防滴物質及び滑剤の酸化
防止等のためのものでもある。酸化防止剤の例を以下に
記載する。 (イ) フェノール系酸化防止剤 6−t−ブチル−3−メチルフェニール誘導体、2・6
−ジ−t−ブチル−Pクレゾール、2・2'−メチレン
ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4
・4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾ
ール)、4・4'−チオビス(6−t−ブチル−m−ク
レゾール)、4・4−ジヒドロキシジフェニルシクロヘ
キサン、アルキル化ビスフェノールスチレン化フェノー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
n−オクタデシル−3−(3'・5'−ジ−t−ブチル−
4'−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2'−メ
チレンビン(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェニール)、4・4'−ブチリデンビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β(3
・5−ジ−4−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート、1・1・3−トリス(2−メチル−4ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1・3・5
トリメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ−t−ブ
チル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス
〔メチレン−3(3'・5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等 (ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体等 (ハ) アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N'−ジフェニル−P−フ
ェニレンジアミン、N・N'−ジ−β−ナフチル−P−
フェニレンジアミン、N−(3'−ヒドロキシブチリデ
ン)−1−ナフチルアミン等 (ニ) イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール等 (ホ) ホスファイト系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイト、ジフェニルイソデシル
フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、亜リン酸ソーダ、トリノニルフェニルフォスファイ
ト、トリフェニルフォスファイト等 (ヘ) チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素等(ト) その他空気酸化に有用な酸化
防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル等 (チ) 硫黄系酸化防止剤 ジラウリルチオジプロピオネート、シミリスチルチオジ
プロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネ
ート、ジステアリルチオジプロピオネート等
【0041】次に、代表的な市販の酸化防止剤商品名を
以下に記載する。 (1) フェノール系酸化防止剤;SUMILIZER BHT(住友)、
IRGANOX 1076(チバガイギー)、MARK AO-50(アデカ・
アーガス)、SUMILIZER BP-76(住友)、TOMINOX SS(吉
富)、IRGANOX 565(チバガイギー)、NONOX WSP(IC
I)、SANTONOX(Monsanto)、SUMILIZER WX R(住
友)、ANTAGECRYSTAL(川口)、IRGANOX 1035(チバガイ
ギー)、ANTAGE W-400(川口)、NOCLIZER NS-6(大内新
興)、IRGANOX 1425 WL(チバガイギー)、MARKAO-80
(アデカ・アーガス)、SUMILIZER GA-80(住友)、TOPA
NOL CA(ICI)、MARK AO-30(アデカ・アーガス)、
MARKAO-20(アデカ・アーガス)、IRGANOX3114(チバガ
イギー)、MARK AO-330(アデカ・アーガス)、IRGANOX
1330(チバガイギー)、CYANOX 1790(ACC)、IRGANO
X 1010(チバガイギー)、MARK AO-60(アデカ・アー
ガス)、SUMILIZER BP-101(住友)、TOMINOX TT(吉
富)等 (2) 燐系酸化防止剤;IRGAFOS 168(チバガイギー)、MA
RK 2112(アデカ・アーガス)、WESTON 618(ボルグワー
ナー)、MARK PEP-8(アデカ・アーガス)、ULTRANOX 6
26(ボルグ・ワーナー)、MARK PEP-24G(アデカ・アー
ガス)、MARK PEP-36(アデカ・アーガス)、HCA(三光)
等 (3) チオエーテル系酸化防止剤;DLTDP "YOSHITOMI"(吉
富)、SUMILIZER TPL(住友)、ANTIOX L(日油)、DMT
D"YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER TPM(住友)、ANTIOX
M(日油)、DSTP "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER TP
S(住友)、ANTIOX S(日油)、SEENOX 412S(シプロ)、
MARK AO-412S(アデカ・アーガス)、SUMILIZER TP-D
(住友)、MARK AO-23(アデカ・アーガス)、SANDSTAB
P-EPQ(サンド)、IRGAFOS P-EPQ FF(チバガイギ
ー)、IRGANOX 1222(チバガイギー)、MARK 329K(アデ
カ・アーガス)、WES TON399(ボルグ・ワーナー)、MA
RK 260(アデカ・アーガス)、MARK 522A(アデカ・アー
ガス)等 (4) 金属不活性化剤 NAUGARD XL-1(ユニロイヤル)、NARK CDA-1(アデカ・
アーガス)、MARK CDA-6(アデカ・アーガス)、LRGANO
X MD-1024(チバガイギー)、CUNOX(三井東圧)等
【0042】また、上記酸化防止剤の中では写真フィル
ムにカブリや感度異常発生等の悪影響を与えることが少
ないのでフェノール系及び燐系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、特にヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤が好ましい。特にヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤及び/又は燐系酸化防止剤の2種以上
を組み合わせて用いることが好ましい。
【0043】本発明に用いられるヒンダードフェノール
系酸化防止剤としては、通常市販されている酸化防止剤
であって、写真フィルム用容器の樹脂組成物に適用した
場合に写真フィルムにカブリの発生や増減感等の障害の
ないものであればいずれも使用可能であるが、特に下記
のヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適である。例
えば、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベン
ゼン、テトラキス〔メチレン(3.5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート)〕メタン、
オクタデシル−3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−ヒドロシンナメート、2.2'.2''−トリス〔3.
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオニルオキシ〕エチルイソシアヌレート、1.3.5−
トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2.6−
ジ−メチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス
(2.4−ジ−tert−ブチルフェニル)4.4'−ビフェ
ニレンジ亜リン酸エステル、4.4'−チオビス(6−te
rt−ブチル−0−クレゾール)、2.2'−チオビス−
(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、トリス
−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフ
ェニル)ブタン、2.2'−メチレン−ビス−(4−メチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4'−メチレン
−ビス−(2.6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4.
4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール、4−ヒドロキシ・メチル−2.6−ジ−t
ert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4
−n−ブチルフェノール、2.6−ビス(2'−ハイドロ
キシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルベンジル)−4
−メチルフェノール、4.4'−メチレン−ビス−(6−
tert−ブチル−0−クレゾール)、4.4'ブチリデン−
ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)等。ブリー
ドアウトや熱分解が少なく、写真感光材料に対する悪影
響も小さい点等から融点(Melting point)が100℃以
上のものが好ましく、特に120℃以上のものが好まし
い。本発明のポリオレフィン樹脂の酸化分解防止には、
特にフェノール系及び燐系酸化防止剤をミックスして用
いることが好ましい。
【0044】以上のような酸化防止剤の添加量は0.001
〜2.0重量%、特に0.01〜0.5重量%が好ましく、最も0.
03〜0.3重量%が好ましい。添加量が0.001重量%未満で
あると添加効果がほとんどなく、混練経費増になるだけ
である。また、添加量が2.0重量%を越えると酸化、還
元作用を利用している写真フィルムにカブリや感度異常
発生等の悪影響を及ぼす。
【0045】造核剤は、結晶化速度向上、成形サイクル
短縮、剛性向上、透明度向上及び変形防止、物理強度向
上等のためのものである。造核剤としては、有機造核剤
と無機造核剤がある。これらの代表例を以下に示す。
【0046】有機造核剤は、カルボン酸、ジカルボン
酸、これらの塩及び無水物、芳香族スルホン酸の塩及び
エステル、芳香族ホスフィン酸、芳香族ホスホン酸、芳
香族カルボン酸、そのアルミニウム塩、芳香族リン酸金
属塩、炭素数8〜30のアルキルアルコール、多価アルコ
ールとアルデヒドの縮合物ならびにアルキルアミンなど
であり、例えばp−t−ブチル安息香酸アルミニウム、
1,3・2,4−ジベンジリデンソルビトール、次式で表
されるジ置換ベンジリデンソルビトール化合物
【0047】
【化1】
【0048】(式中、R1及びR2は炭素数1〜8のアル
キル、アルコキシ又はハロゲンであり、m及びnはいず
れも0〜3であってかつm+n≧1である。)、ステアリ
ル乳酸のカルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−
(2−ヒドロキシエチル)−ステアリルアミン等の次式
で表される化合物
【0049】
【化2】
【0050】(式中、R3は炭素数が8〜30のアルキル
基であり、k及びlはいずれも0〜10であってk+l≧
1である。)、1,2−ヒドロキシステアリン酸のリチ
ウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マ
グネシウム塩等の金属塩、ステアリルアルコール、ラウ
リルアルコール等のアルキルアルコール、安息香酸ソー
ダ、安息香酸、セパチン酸などを含む。
【0051】無機造核剤は、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
酸化ナトリウム等のアルカリ金属酸化物、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等の
アルカリ土類金属水酸化物、炭酸カルシウム、酸化カル
シウム等のアルカリ土類金属酸化物などである。造核剤
は、これらに限定されるものではなく、その他の公知の
造核剤を用いることもできる。また、造核剤は単独の場
合に限らず、二種以上を併用することもできることはい
うまでもない。
【0052】写真フィルムに悪影響を与えず、造核剤と
して樹脂の結晶化促進効果が大きく、成形故障を減少さ
せ、成形サイクルを短縮し、剛性や透明度向上等、添加
効果の大きい有機造核剤として特に好ましい例を以下に
記載する。 di-(o-methylbenzylidene)sorbitol o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidene sorbitol di-(m-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidene sorbitol di-(p-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidene sorbitol 1・3-heptanylidenesorbitol 1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol 1・3,2・4-di(3-nonyl-3-pentenylidene)sorbitol 1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)sorbitol 1・3-benzylidenesorbitol 1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol 1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol 1・3・2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-bis(methylbenzylidene)sorbitol aluminumbenzoate、等。
【0053】特に、ジベンジリデンソルビトール化合物
が好ましい。特に、本発明の結晶性樹脂であるポリオレ
フィン樹脂(好ましくはプロピレン・αオレフィンラン
ダム共重合体樹脂、密度が0.935g/cm3以上のホモポリエ
チレン樹脂及び密度が0.935g/cm3以上のエチレン・αオ
レフィン共重合体樹脂)の透明性向上、剛性向上、成形
サイクルの短縮、成形故障の減少及び従来の有機造核剤
の欠点であった異臭とブリードアウトを改善するために
下記のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物が特に
好ましい。このジ−置換ベンジリデンソルビトール組成
物の必須成分として、一般式(I)
【0054】
【化3】
【0055】〔式中、R及びR'は、それぞれ独立し
て、塩素原子、メチル基及びエチル基よりなる群より選
ばれる原子または基を表す〕のジベンジリデンソルビト
ール誘導体の固体粉末と式(II)
【0056】
【化4】
【0057】〔式中、nは14〜30、好ましくは18〜27、
最も好ましくは20〜25の数を表す〕の高級脂肪酸を含有
してなり、該高級脂肪酸が該ジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の固体粉末の表面を被覆して含有されているジ
ベンジリデンソルビトール誘導体組成物が提供される。
【0058】本発明で好ましく用いられる一般式(II)
のジベンジリデンソルビトール誘導体としては、1,3
−、2,4・ジpメチルベンジリデンソルビトール、1,
3−、2,4−ジpエチルベンジリデンソルビトール、
1,3−pメチルベンジリデン−2,4−pクロルベンジ
リデンソルビトール、1,3−pメチルベンジリデン・
2,4−pエチルベンジリデンソルビトール及び1,3−
pクロルベンジリデン−2,4pメチルベンジリデンソ
ルビトール等を例示することができる。
【0059】本発明の有機造核剤の好ましい態様におい
ては、上記一般式(I)において、R及びR'は、それ
ぞれ独立してメチル基または塩素原子を表す、ジベンジ
リデンソルビトール誘導体が用いられる。殊に好適なジ
ベンジリデンソルビトール誘導体は、1,3−2,4−ジ
pメチルベンジリデンソルビトール、1,3−pメチル
ベンジリデン−2,4−pクロルベンジリデンソルビト
ール及び1,3−pクロルベンジリデン・2,4−pメチ
ルベンジリデンソルビトール、である。
【0060】本発明で有機造核剤として好ましく用いら
れる式(II)の高級脂肪酸の好ましい例は、ベヘン酸、
ステアリン酸およびパルミチン酸であり、なかでもベヘ
ン酸が最も好ましく、ステアリン酸がこれに次ぐ。
【0061】本発明の有機造核剤組成物において使用さ
れるジベンジリデン誘導体の固体粉末の粒径は、格別な
制限は必要でなく、粒度分布30〜100メッシュのものが
好適に用いられる。本発明の好ましい有機造核剤組成物
は、ジベンジリデン誘導体の95〜50重量部、好ましくは
90〜50重量部に対し高級脂肪酸を5〜50重量部、好まし
くは10〜50重量部の範囲において、両成分の合計が100
重量部になる割合で含有する。
【0062】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、上
記割合の高級脂肪酸を含有する水性エマルジョンに上記
割合のジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粉末を
添加攪拌して、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末の表面上に高級脂肪酸の被覆層を形成させ、高級
脂肪酸被覆を有するジベンジリデンソルビトール誘導体
粉末を濾別後、洗浄及び乾燥を行うことによって作るこ
とができる。
【0063】上記方法において使用する高級脂肪酸の水
性エマルジョンは、例えば、高級脂肪酸の濃度5〜50重
量%、好ましくは10〜50重量%の有機溶媒溶液に、界面
活性剤を少量、例えば高級脂肪酸100重量部に対して1
〜10重量部、好ましくは2〜5重量部、を用いて水中に
分散させることによって容易に得ることができる。ま
た、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粉末の表
面上に形成された高級脂肪酸の被覆の存在は、後記の実
施例で詳述するように、該被覆を染料で染色して観察す
ることによって確認することができる。
【0064】本発明の好ましい有機造核剤の組成物が、
透明性、非ブリードアウト性及び無臭性の改善のために
添加剤として使用される対策のポリオレフィン樹脂の例
は、炭素数が2〜6の脂肪族モノオレフィンの数平均分
子量約10,000〜200,000、好ましくは20,000〜150,000の
高分子量の重合体または共重合体、例えばホモポリプロ
ピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直
鎖状ポリエチレン(=エチレン・αオレフィン共重合
体)およびエチレン・プロピレン共重合体等である。
【0065】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ジベン
ジリデンソルビトール誘導体成分として0.01〜2重量
部、好ましくは、0.05〜1重量部に相当する高級脂肪酸
で被覆されたジベンジリデンソルビトール誘導体が好適
に使用される。
【0066】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、ポ
リオレフィン樹脂に任意公知の混合手段で混合すること
によって配合することができる。また、本発明の好まし
い有機造核剤組成物は、必要に応じて、該組成物を濃厚
量で含有するポリオレフィン樹脂中のマスターバッチと
しても用いることができる。
【0067】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粒子の
表面が高級脂肪酸で被覆されていることが重要で、ポリ
オレフィン樹脂にジベンジリデンソルビトール誘導体及
び高級脂肪酸を単に添加混合しても上記記載の効果は達
成されない。また、180℃以上、好ましくは190℃以上、
特に好ましくは200℃以上の熱履歴を経ないと上記記載
の効果は達成されない。
【0068】この熱履歴は1回経ればよく、例えば本発
明のポリオレフィン系樹脂組成物中に本発明の好ましい
有機造核剤の組成物として詳述した上記ジ−置換ベンジ
リデンソルビトール組成物を0.01〜2.0重量%添加後、2
00℃以上に加熱してペレット化したものを用いて写真フ
ィルム用容器を射出成形すればよく、この時の樹脂温度
は180℃以下であっても上記記載の効果は達成される
が、この射出成形時も180℃以上の樹脂温度にする(180
℃以上の熱履歴を2回経たと本発明では表現する。)こ
とにより、透明性、剛性が非常に優れ、容器表面の光沢
の高い、ウェルドラインがほとんど観察されない写真フ
ィルム用容器を射出成形することができる。
【0069】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、従
来技術に較べ、ポリオレフィン系樹脂組成物に配合した
場合、透明性、耐ブリードアウト性、剛性等の諸特性を
何ら損なわないばかりか、場合によってはこれ等諸特性
を更に向上させ、同時に優れた無臭性を有し、併せて成
形品内部に白点が出にくくなり、かつ射出成形性が向上
し成形サイクルが短縮でき、成形故障が減少するといっ
た優れた効果を奏するものである。即ち、本発明のポリ
オレフィン系樹脂組成物に、上述のジ−置換ベンジリデ
ンソルビトール組成物を含ませることにより、透明性、
剛性、耐ブリードアウト性、無臭性、射出成形性、耐摩
耗性の優れた写真フィルム用容器を提供することが出来
る。
【0070】本発明の好ましい有機造核剤組成物が上記
の優れた効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、
従来のジベンジリデンソルビトールの製造原料であるベ
ンズアルデヒド及び本発明のジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の製造原料であるp置換ベンズアルデヒド等の
ベンズアルデヒド誘導体には臭気があって、共に精製後
も不可避的にジベンジリデンソルビトール(誘導体)に
微量残留してポリオレフィン系樹脂成形品である写真フ
ィルム用容器の異臭の原因となりがちなこと及びジベン
ジリデンソルビトール(誘導体)がポリオレフィン系樹
脂組成物を用いた写真フィルム用容器の射出成形時にも
若干分解を起こして異臭の原因となることが考え得る。
本発明の好ましい有機造核剤組成物においては、(1) 一
般式(I)の特定のジベンジリデンソルビトール誘導体
の固体粒子を用い、(2) 該粒子を一般式(II)の特定の
高級脂肪酸で被覆する、といった(1)及び(2)の要件を同
時に満足することによって、原料ベンズアルデヒド類あ
るいは分解生成したベンズアルデヒド類に基づくと推定
される異臭が、ポリオレフィン系樹脂組成物を用いた写
真フィルム用容器において顕著に減少され、かつ剛性、
透明性等の上記諸物性も同時に優れているといった効果
が奏される。
【0071】各種の有機造核剤は、単独で用いても各種
の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用す
ることもできる。また、有機造核剤の表面を各種の脂肪
酸、脂肪酸化合物やシリコン等の滑剤、カップリング
剤、可塑剤、界面活性剤等の分散剤や湿潤剤等で被覆す
ることができる。
【0072】造核剤の添加量は、0.01〜2.0重量%、好
ましくは0.05〜1.0重量%、特に0.07〜0.5重量%が好ま
しい。添加量が0.01重量%未満ではほとんど効果を発揮
せずブレンド経費がかかるだけであり、2.0重量%を越
えても増量効果がなくコストアップになるだけであり、
かつ造核剤の種類によっては写真フィルムに悪影響を与
えたり、悪臭を発生させたり、金型に付着したり、ブリ
ードアウトしたり、落下強度を低下させたりするので好
ましくない。
【0073】造核剤をブレンドする方法としては、コン
パウンド方式やドライブレンド方式やマスターバッチ方
式等があるが、マスターバッチ方式が好ましい。カサが
高く、飛散しやすいのでそのまま配合することは困難で
あり、少量の分散剤か湿潤剤を入れて配合すると良い。
分散剤として効果があるものとしては各種滑剤、各種ワ
ックス、無水カルボン酸、高級脂肪酸等があり、各種脂
肪酸金属塩、各種シリコーン、オレイン酸アミド等の滑
剤は特に好ましい。湿潤剤としてはDOP、DHP等の
可塑剤が使用できる。
【0074】また高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金
属塩等の脂肪酸や脂肪酸化合物の純品を有機造核剤の表
面にコーティングしたり、ブレンドして分散効果を高
め、ブリードアウトを防ぐことも好ましい。さらにまた
ポリオレフィン樹脂と180℃以上、好ましくは190℃以
上、特に200℃以上の熱履歴で混練したペレットととし
て使用することが造核剤の効果発揮の点で好ましい。す
なわち、これらの添加剤を添加することにより、透明性
を向上させ、剛性が大きくなり摩耗による白粉の発生を
減少させるとともに、有機造核剤の結晶化またはブリー
ドアウトによる白粉の発生を減少させる。さらに、有機
造核剤の悪臭を防止でき、かつ金型からの離型性、静電
気の発生防止及びブロッキング防止性を向上させること
ができる。
【0075】造核剤の添加量は、0.01〜2.0重量%が好
ましい。添加量が0.01重量%未満であると、ほとんど添
加効果を発揮せずブレンド経費がかかるだけである。ま
た、2.0重量%を越えても増量効果がなく、コストアッ
プになるだけであり、かつ造核剤の種類によっては写真
フィルムに悪影響を与えたり、金型に付着したり、ブリ
ードアウトしたり、落下衝撃強度を低下させたりする。
【0076】光反射性遮光性物質は、印刷適性向上、外
観向上、太陽光下での熱変形防止、容器内の温度変化防
止に効果があり、アルミニウム粉末、アルミニウムペー
スト、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ステン
レス粉末、スターチ、錫粉末、パール顔料、酸化亜鉛、
チタン酸カリウム、ガラスビーズ等がある。これらの光
反射性遮光性物質は上記物質の単独使用でも2種以上の
併用でも又は染料等との併用でもよい。上記、光反射性
遮光性物質は各種の表面処理を施したものであってもよ
い。以上のような光反射性遮光性物質の添加量は、0.01
〜30重量%が好ましい。添加量が0.01重量%未満である
と、添加効果がほとんどなく混練経費がかかるだけであ
る。
【0077】また、30重量%を越えても増量効果がほと
んどなく、コストアップになるだけである。また、樹脂
の流動性が悪化し、ショートショットやウェルドライン
の発生が多くなる。外観も悪くなり、落下衝撃強度も低
下する。また、必要によりカーボンブラックやグラファ
イト等の光吸収性遮光性物質を本発明のポリオレフィン
系樹脂組成物に含ませてもよい。
【0078】本発明の写真フィルム用容器に用いる光吸
収性遮光性物質の代表例として、使用する上で写真フィ
ルムに対しカブリの発生がなく、感光度の増減の発生が
少なく、遮光能力が大きく、本発明のポリオレフィン系
樹脂組成物中に添加した場合でもカーボンブラックの固
り(ブツ)の発生やフィッシュアイ、ウェルドライン、
ピンホール等が発生しにくい点で、カーボンブラックの
中でもpH(JIS K 6221で測定)が6.0〜9.0、好ましくは
6.5〜8.5、平均粒子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜12
0mμ、好ましくは12〜100mμ、特に15〜70mμのもの
が好ましく、これらの中でも特に揮発成分(JIS K 6221
で測定)が3.5%以下、最も好ましくは1.5%以下、DB
P吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測定)が50ml/100
g以上、最も好ましくは70ml/100g以上のファーネスカ
ーボンブラックである。チャンネルカーボンブラックは
高価な上に、揮発成分が5.0%をこえるものがほとんど
で写真フィルムにカブリを発生させるものが多く好まし
くない。ランプブラックもpHが5.0以下のものがほとん
どで写真性に悪影響を及ぼすので、どうしても使用する
必要がある場合でも写真性に及ぼす影響を調査して選択
すべきである。また、ASTM D 1619の測定方法による硫
黄成分は0.9%以下、好ましくは0.7%以下、特に0.5%
以下にしないと写真性に悪影響を及ぼす。特に、写真フ
ィルムの写真性に悪影響を及ぼす遊離硫黄成分は0.1%
以下、最も好ましくは0.05%以下のものを選択すること
が好ましい。
【0079】好ましいカーボンブラックの実際の製品と
しては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#20
(B),#30(B),#33(B),#40(B),#44(B),#45(B),
#50,#55,#100,#600,#2200(B),#2400(B),M
A8,MA11,MA100等が挙げられる。海外の製品と
しては、例えばキャボット社のBlack Pearls 2,46,7
0,71,74,80,81,607等、Regal 300, 330, 400, 66
0, 991, SRF−S等、Vulcan 3,6等、Sterling
10, SO,V,S,FT−FF,MT−FF等が挙げら
れる。さらに、アシュランドケミカル社のUnited R,
BB,15,102, 3001, 3004, 3006, 3007, 3008, 3009,
3011, 3012, XC−3016,XC−3017,3020等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0080】光吸収性遮光性物質の添加量は、容器の平
均厚さが0.5〜2.0mmの場合は、好ましくは0.01〜30重量
%、より好ましくは0.05〜20重量%、最も好ましくは0.
1〜10重量%の範囲である。ビタミンE、ビタミンEカ
ルボン酸エステル、感光性樹脂等のように光により着色
する物質と併用すると、着色効果(着色濃度向上、物理
強度低下度合を減少、成形性向上、樹脂流動性向上)が
大きく発揮される。特に、容器の平均厚さが0.5〜1.5mm
の場合は、着色と物理強度確保の点から光吸収性遮光性
物質の添加量は0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15重
量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の範囲である。
【0081】一方、廃棄物として埋立て処理する場合を
考えると、現在、研究が進められている、または一部市
場に導入されているような分解性ポリマーを利用すれば
よい。例えば、生分解性を有するポリマーとしてICI
社製の「BIOPOL」、UCC社製の「ポリカプロラ
クトン」等を利用するとか、あるいは生分解を受けやす
い天然、あるいは合成高分子を添加剤として配合するこ
とによって間接的に崩壊させるポリマー、またはデンプ
ン配合ポリオレフィン樹脂等を利用することもできる。
【0082】特に最近安価で、微生物の働きで二酸化炭
素と水に分解する化学合成の生分解性ポリマーとして発
売された、昭和高分子(株)製の「ビオノール」(ジカル
ボン酸等から化学合成した特殊なポリエステル系樹脂)
やイタリアのノバモント社製の「マタービー」(トウモ
ロコシのでんぷんと生分解性を持つ変性ポリビニルアル
コールのポリマーアロイ)を本発明の成形品用樹脂組成
物中に10重量%以上添加することも産業廃棄物処理性向
上の点で好ましい。また、多層構成の成形品では写真フ
ィルムに直接接触しない層は、上記生分解性ポリマーを
50重量%以上とすることが、産業廃棄物処理性向上の点
で特に好ましい。
【0083】また、光分解性のポリマーを利用すること
も可能である。例えば、ポリエチレン重合時に主鎖に光
増感基としてカルボニル基を導入したエチレンと一酸化
炭素との共重合によるECOコポリマーを利用すると
か、あるいは添加剤として遷移金属塩、酸化促進剤、光
増感材等をベースポリマーに加え、光分解性を付与した
ものを利用することができる。さらにまた生分解性を有
するポリマー、光分解性ポリマー、水に可溶なポリマー
等の分解性ポリマーの1種以上を併用して用いてもよい
(特開平3−129341号参照)。
【0084】ポリオレフィン系樹脂組成物に含ませるこ
とができる生分解性添加物としては、デンプン、変性デ
ンプン、表面被覆デンプン、皮粉、微細化セルロース、
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等があ
る。ポリオレフィン系樹脂組成物に含ませることができ
る光分解性添加物としては、ステアリン酸セリウム、カ
プリル酸セリウム、ステアリン酸鉄と4−クロロベンゾ
フェノンの組合せ、鉄化合物、ニッケル化合物等があ
る。
【0085】X線不透過性機能を付与する場合には、バ
リウム化合物、亜鉛又は亜鉛化合物、錫又は錫化合物、
鉛又は鉛化合物のうちの少なくとも一種を本発明のポリ
オレフィン系樹脂組成物中に10〜50重量%含ませた樹脂
を射出成形して写真フィルム用容器とすることにより目
的を達成することが出来る。しかし、外観や落下衝撃強
度は厚肉にしないと低下する。
【0086】本発明の写真フィルム用容器は、例えば、
図1から図8に示す写真フィルム用容器に適用すること
ができる。図1に示す写真フィルム用容器は、蓋1が容
器本体2に嵌合する型式のものである。図2に示す写真
フィルム用容器は、蓋1が容器本体2に被嵌する型式の
ものである。図3に示す写真フィルム用容器は、蓋1と
容器本体2とがヒンジ部3で一体に連結されているもの
である(特開昭63−223640号公報等)。図4に示す写真
フィルム用容器も、蓋1と容器本体2とがヒンジ部3
(図示せず)で一体に連結されているもので、さらに印
刷付シュリンクフィルム4で密封されているものである
(実開平1−88940号公報等)。図5に示す写真フィル
ム用容器も、蓋1と容器本体2とがヒンジ部3で一体に
連結されているものである。図6に示す写真フィルム用
容器も、蓋1と容器本体2とがヒンジ部3(図示せず)
で一体に連結されているマイクロフィルム用のものであ
る。図7に示す写真フィルム用容器は、蓋1と容器本体
2とがロック嵌合型式のものである。図8に示す写真フ
ィルム用容器は、容器本体2が外面が四角形で内面が円
形に形成されているものである。図9に示す写真フィル
ム用容器は、内面は写真フィルムの先端がプラスチック
パトローネ本体内に巻き込まれた写真フィルムパトロー
ネ形状に、外面が矩形に形成されているものである。図
10に示す写真フィルム用容器は、蓋1と容器本体2とが
ヒンジ部3で一体に連結されているもので、蓋1から容
器本体2にかけて封印ラベル5が貼付されている。
【0087】その他、各種磁気材料用成形品(VTR用
ブックケース、フロッピーディスク用ケース、カセット
収納容器、カートリッジ等)、各種感光材料用成形品
(明室装填用マガジン、コア、スプール、カートリッ
ジ、プラスチックパトローネ、ディスクフィルム及びマ
イクロフィルム用身蓋ヒンジ結合一体化遮光ケース、フ
ィルムパック、ブッシュ等)、各種用途の成形品(食
品、電気製品、自動車部品、住宅部品等)等にも適用す
ることができる。
【0088】前記各容器に収納する写真フィルムは、現
在最も大量に市販されている金属製のパトローネから写
真フィルムの先端が露出しているタイプの35mmネガフィ
ルム、特開平2−272538号公報、特開平3−37645号公
報、特開平3−126029号公報、米国特許第4,634,306号
明細書等に記載されている、未使用状態では写真フィル
ムの先端までもプラスチックパトローネ本体内に巻き込
んでおくようにし、使用時にはスプールを回転させるこ
とにより写真フィルムの送り出しを行うようにした、写
真フィルムの先端がプラスチックパトローネ内に未露光
遮光状態で収納されたタイプの35mmネガフィルム、マイ
クロフィルム(ネガ及びポジ)、映画用フィルム(ネガ
及びポジ)等がある。
【0089】本発明の写真フィルム用容器は、容器の平
均厚さが1.0mm以下の場合は、曲げ初期弾性率(ASTM D
790)が5000kg/cm2以上であることが好ましい。曲げ弾
性率が5000kg/cm2未満であると、射出成形時に変形の発
生が多く、成形サイクルが非常に長くなり生産性が非常
に低下する。特に、滑剤なしでは射出成形が困難であ
る。滑剤も脂肪酸アミド系滑剤以外を使用した場合は、
0.2重量%以上添加しないと多数ヶ取り射出成形は不可
能であり、この場合でも変形が多く実用化は困難であ
る。しかし、図3〜図6及び図9のように身蓋がヒンジ
で一体化されている写真フィルム用容器又は容器の平均
厚さが1.0mm以上又は容器の底部の平均厚さが1.0mm以上
の場合は、オルゼン曲げ弾性率(ASTM D 747)が3500kg
/cm2以上、好ましくは4500kg/cm2以上であって、上限は
ヒンジ特性及び嵌合密封性から考えると17,000kg/cm2
下、好ましくは15,000kg/cm2以下である。
【0090】
【作用】本発明の写真フィルム用容器は、防滴剤が容器
に水滴が発生するのを可及的に防止する。
【0091】
【実施例】
実施例1 MFR(ASTM D 1238)が35g/10分、密度(ASTM D 1505)
が0.90g/cm3、曲げ初期弾性率(ASTM D 790)が11,300k
g/cm2、23℃のノッチ付アイゾット衝撃強度(ASTM D 25
6)が3.6kg・cm/cm2、ロックウェル硬度(ASTM D 785)
が88Rのエチレン含有率が2.7重量%のプロピレン・エ
チレンランダム共重合体樹脂99.27重量%、ビス脂肪酸
アミド0.05重量%、グリセリンモノステアレートとグリ
セリンジステアレートの混合物0.33重量%、N,N'−ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン0.15重量
%、1・3,2・4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビ
トール0.1重量%、テトラキス〔メチレン−3−(3',
5'−ジ−ターシャル−ブチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.1重量%から成るポリプ
ロピレン系樹脂組成物を用いた。
【0092】そして、成形機として住友重機製クローズ
ドシステムタイプのネスタール(商品名)を用い(型締
圧150t)、キャビティー数24ヶ、ホットランナー形式
の金型を用いて図1に示す身蓋嵌合形式の写真フィルム
パトローネ用容器の容器本体を射出成形法により樹脂温
度210℃で作成した。
【0093】この写真フィルムパトローネ用容器本体
は、透明度が優れており容器の外からでも写真フィルム
パトローネが美しい色で観察でき、太陽光下に長時間放
置されても、15℃以下の条件下に長期間放置後(写真フ
ィルム性能確保のための低温倉庫、低温コンテナ、一般
家庭用冷蔵庫等)20℃以上の外気に取り出された場合で
も、水滴が発生することなく透明性を失うことがなかっ
た。さらに物理強度、剛性、耐摩耗性も優れ、射出成形
サイクルが大巾に短縮でき、帯電防止性も有するもので
あった。
【0094】実施例2 MFRが10g/10分、密度が0.90g/cm3、曲げ弾性率が15,
200kg/cm2、23℃のノッチ付アイゾット衝撃強度が1.9kg
・cm/cm2、ロックウェル硬度が95Rのホモポリプロピレ
ン樹脂82.6重量%、オレイン酸アミド0.1重量%、グリ
セリンモノステアレート0.2重量%、シリコン表面処理
スターチ5重量%、MFRが25g/10分、密度が0.91g/cm
3、曲げ弾性率が8900kg/cm2、23℃のノッチ付アイゾッ
ト衝撃強度6.2kg・cm/cm2のプロピレン・ブロック共重
合体樹脂10重量%、テトラキス〔メチレン−3−(3',
5'−ジ−ターシャル−ブチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.1重量%、酸化チタン2
重量%から成る白色のポリプロピレン系樹脂組成物を用
いた。そして、実施例1と同一の成形機、金型を用いて
同一形状(図1)の写真フィルムパトローネ用容器本体
を作成した。
【0095】この容器本体は、太陽光下に放置されて
も、容器本体内面に水滴が発生することがなく、また、
長期間15℃以下の条件下で保存後、20℃以上の大気に取
り出された時も水滴が発生することがなかった。
【0096】さらに、この容器本体は、写真フィルムに
カブリや感度の増減を発生させることがなく、物理強
度、剛性、白色度、耐摩耗性、低温衝撃強度等が優れて
おり、成形サイクルが短く、成形故障が少ないものであ
った。また、白色であるので印刷適性(転写も含む)、
外観に優れ、使用後は長期間自然放置すれば自然崩壊で
きる廃棄適性も有するものであった。
【0097】実施例3 実施例2のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて図9に
示す身蓋一体型式の写真フィルム用容器を作成し、この
容器に、未使用状態では写真フィルムの先端までもプラ
スチックパトローネ本体内に巻き込んでおくようにし、
使用時にはスプールを回転させることにより写真フィル
ムの送り出しを行うようにした写真フィルムパトローネ
入35mmネガフィルムを密封した。そして、図4に示すよ
うに、品種、CIマーク、取扱い説明文、バーコード等
を多色印刷したポリプロピレン樹脂製シュリンクフィル
ムで、オリジナルシール性、美観、商品価値、ガスバリ
ヤ性、防湿性、密封性等を確保できるように被覆した。
【0098】この包装体は、太陽光下に放置されても変
形せず、容器表面に水滴が発生することがなく、また、
10℃前後の低温倉庫に長期間保存後取り出しても水滴が
発生することがなかった。従って、この包装体は従来の
包装体のように化粧小箱を必要としないので安価であ
り、廃棄物を大巾に減少できるものであった。
【0099】さらに、この包装体は、シュリンクフィル
ムとブレンドしてリサイクルが可能であり、かつ使用後
は長期間自然放置すれば自然崩壊できる廃棄適性も有す
るものであった。
【0100】比較例1 実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂
99.85重量%、ビス脂肪酸アミド0.05重量%、1・3,2
・4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール0.1重量
%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用い、実施例
1と同一の成形機、金型を使用し樹脂温度190℃条件で
実施例1と同一形状の写真フィルムパトローネ用容器本
体を作成した。
【0101】この写真フィルムパトローネ用容器本体
は、15℃以下の条件から20℃以上の外気に取り出すと内
面が水滴で曇り、中の写真フィルムパトローネの表示が
見にくくなった。また、着色、樹脂焼け、静電気等が発
生しやすかった。
【0102】実施例4 MFRが45g/10分、密度が0.90g/cm3、曲げ弾性率が890
0kg/cm2のエチレン含有率が3.2重量%のプロピレン・エ
チレンランダム共重合体樹脂60重量%、MFRが20g/10
分、密度が0.90g/cm3、曲げ弾性率が13,200kg/cm2のエ
チレン含有率が2.1重量%のプロピレン・エチレンブロ
ック共重合体樹脂38.9重量%、滑剤としてオレイン酸ア
ミド0.10重量%、防滴剤としてステアリン酸モノグリセ
ライド0.2重量%、有機造核剤として1・3,2・4−ジ
(メチルベンジリデン)ソルビトール0.1重量%、無機
造核剤兼光反射性遮光性物質として微粒子炭酸カルシム
ウ0.2重量%、光反射性遮光性物質として酸化チタン0.3
重量%、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(チ
バガイギー社製:商品名 IRGANOX 1010)0.10重
量%、燐系酸化防止剤(チバガイギー社製:商品名 I
RGANOX 168)0.10重量%を含むプロピレン・エチ
レン共重合体樹脂組成物を用いた。
【0103】そして、実施例1と同一の成形機を用いて
図3に示す身蓋一体型式の写真フィルム用容器を樹脂温
度200℃で作成し、この容器に現在最も大量に市販され
ている金属製のパトローネから写真フィルムの先端が露
出しているタイプの写真フィルムパトローネ入35mmネガ
フィルムを密封した。そして、図4に示すように品種、
CIマーク、取扱い説明文、バーコード等を多色印刷し
たポリエステル樹脂製シュリンクフィルムでオリジナル
シール性、美観、商品価値、ガスバリヤ性、防湿性、密
封性等を確保できるように被覆した。
【0104】この包装体は、太陽光下に放置されても変
形せず、容器表面に水滴が発生することなく、また10℃
前後の低温倉庫に長期間保存後取り出しても容器表面に
水滴が発生することがなかった。上記、いずれの条件下
でも写真フィルムの品質劣化が少なく、従ってこの包装
体は従来の包装体のように、化粧小箱に写真フィルム用
容器を入れる必要がなく、安価で産業廃棄物を大幅に減
少できるものであった。さらに、この写真フィルム用容
器は、容器本体と蓋が同一樹脂組成からなるもので、リ
サイクルが可能であった。
【0105】さらに、またこの写真フィルム用容器は、
−5℃の条件下で5mの高所からコンクリートの床に写
真フィルムパトローネを密封した状態で落下しても破損
することがなかった。白化も目立たないので実用上問題
なかった。
【0106】射出成形性も優れ、成形サイクルは本発明
に必須の添加物を含まない比較例2に比べ1/5に短縮で
き、変形、ショートショット等の成形故障は比較例2の
1/100以下に大幅に減少できた。
【0107】比較例2 実施例4のプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂
60重量%とプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂
40重量%のみからなる本発明に必要とする添加剤を含ま
ないプロピレン・エチレン共重合体樹脂組成物を用い
た。そして、実施例4と同一の成形機、金型を用いて図
3に示す身蓋一体型式の写真フィルム用容器を樹脂温度
200℃で作成し、同一タイプの写真フィルムパトローネ
入35mmネガフィルムを密封した。そして、図4に示すよ
うに多色印刷したポリエステル樹脂製シュリンクフィル
ムで被覆した。
【0108】この包装体は太陽光下に長時間放置されて
も変形しなかったが、容器内の写真フィルムパトローネ
が加熱され容器内面に水滴が発生し、写真フィルムの品
質低下が発生した。また、10℃前後の低温倉庫に長期間
保存後取り出すと容器の内外両表面に水滴が発生した。
【0109】さらに、この写真フィルム用容器は、−5
℃の条件下で5mの高所からコンクリートの床に写真フ
ィルムパトローネを密封した状態で落下すると3%前後
の破損があり、強度の落下衝撃部の白化が100%発生し
商品価値を確保できないものであった。射出成形も問題
があり、樹脂ペレット同志のブロッキングや容器同志の
ブロッキングが発生し、成形サイクルは実施例4の5倍
になり変形、ショートショット等の成形故障は実施例4
の100倍も発生し、実用化不可のものであった。
【0110】実施例5 実施例1のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に、
ファーネスカーボンブラック40重量%、不飽和カルボン
酸をグラフト重合した変性エチレン・ブテン-1共重合体
樹脂60重量%から成るカーボンマスターバッチ樹脂10重
量部をブレンドした黒色ポリプロピレン系樹脂組成物を
用いた。そして、実施例1と同一の成形機、金型を用い
樹脂温度210℃で写真フィルムパトローネ用容器の容器
本体を作成した。
【0111】この写真フィルムパトローネ用容器本体
は、実施例1と同様防滴性が優れたものであり、5℃の
条件下で5mの高所からコンクリートの床に落下させて
も破損が5%(実施例1は25%)と実施例1の1/5に
減少し、耐摩耗性も向上しブリードアウトしやすい滑剤
や酸化防止剤、造核剤をカーボンブラックが吸着するの
でこれらの添加剤のブリードアウトによる白粉の発生も
観察できない程度に減少した。射出成形サイクルを大巾
に短縮でき、帯電防止性、遮光性も優れた高感度写真フ
ィルム用として最適の写真フィルムパトローネ用容器本
体であった。
【0112】比較例3 実施例1とは樹脂組成物、成形機、金型共に同一のもの
を使用した。但し、樹脂温度だけを170℃にして実施例
1と同一形状の図1に示す身蓋嵌合形式の写真フィルム
パトローネ用容器本体を射出成形法により作成した。
【0113】然し、樹脂組成物が180℃以上の熱履歴を
経ていないため、有機造核剤の1・3,2・4−ジ(メ
チルベンジリデン)ソルビトールの造核効果が発揮され
ず、溶融樹脂の流動性も悪化した。その結果、結晶化速
度が遅くなり、透明度が低下し、剛性が小さくなり、射
出圧力を20%アップしないと良品成形が不可能になり、
成形サイクルは実施例1の1.5倍となり変形、ショート
ショット、ゲート残り等の成形故障は実施例1の10倍以
上に増加した。5mの高所からの落下強度もウェルドラ
インが強く発生したため、大巾に低下し破損が42%も発
生した。ロックウェル硬度も低下し、添加剤のブリード
アウトが多くなり、白粉が発生し写真フィルム用容器と
しては好ましいものでなかった。
【0114】次に、密度が0.935g/cm3以上のホモポリエ
チレン樹脂を用いた写真フィルム用容器の実施例の代表
例を記す。
【0115】実施例6 MFR(ASTM D 1238,190℃測定)が15g/10分、密度(AS
TM D 1505)が0.960g/cm3、オルゼン剛性度(ASTM D 74
7)が11,000kg/cm2、アイゾット衝撃強度が3.5kg・cm/c
m、ロックウェル硬度(ASTM D 785)が60R、ビカット
軟化点(ASTM D 1525)が120℃のホモポリエチレン樹脂9
9.5重量%、オレイン酸アミド0.05重量%、グリセリン
ジステアレート0.2重量%、ヒンダードフェノール系酸
化防止剤のテトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ
−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン0.05重量%、ベヘン酸で固体粉末の表面
を被覆した1・3,2・4・ジPメチルベンジリデンソ
ルビトール0.2重量%をミキサーでよく混合後、樹脂温
度220℃で二軸押出し機を用いてストランド状に押し出
し水冷後、カッターで直径2mm、長さ3mmの円柱状ペレ
ットに造粒後乾燥したものを成形機として住友重機製ク
ローズドシステムタイプのネスタール(商品名)を用い
(型締圧150t)、キャビティー数24ヶ、ホットランナ
ー型式の金型を用いて図1に示す身蓋嵌合形式の底部の
平均厚さが1.0mmの写真フィルムパトローネ用容器の容
器本体を射出成形法により樹脂温度190℃で作成した。
この写真フィルムパトローネ用容器本体は、上記ホモポ
リエチレン樹脂のみを用いた写真フィルムパトローネ用
容器本体に比較して底部のロックウェル硬度が60R→67
Rに向上し、ビカット軟化点が120℃→124℃に向上し、
透明度が向上(ヘイズが9%低下)し、容器本体の外か
らでも写真フィルムパトローネの印刷色や印刷文字がは
っきり観察でき、太陽光下に長時間放置されたり、15℃
以下の条件下で長期間貯蔵された後、20℃以上の外気に
取り出しても、水滴を発生することも透明性を失うこと
もなかった。さらに、物理強度、剛性、耐摩耗性、帯電
防止性、滑性も優れ、成形サイクルが30%短縮できた。
異臭や経時のブリードアウトによる白粉の発生もほとん
ど観察されなかった。
【0116】実施例7 MFRが10g/10分、密度が0.957g/cm3、オルゼン剛性度
が8200kg/cm2、アイゾット衝撃強度が4.3kg・cm/cm、ロ
ックウェル硬度が58R、ビカット軟化点が117℃のホモ
ポリエチレン樹脂98.63重量%、平均粒子径が21mμ、
揮発分が0.8%、pHが7.7、吸油量が112ml/100g、灰分
が0.2%、硫黄の含有量が0.51%のファーネスカーボン
ブラック0.3重量%、ジメチルポリシロキサン0.2重量
%、ビタミンEカルボン酸エステル0.1重量%、ヒンダ
ードフェノール系酸化防止剤のオクタデシル−3−
(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネートを0.05重量%、ステアリン酸カルシ
ウム0.3重量%とオレイン酸モノグリセライド0.3重量%
とステアリン酸で固体粉末の表面をあらかじめ被覆した
1・3−Pメチルベンジリデン−2・4−Pクロルベン
ジリデンソルビトール0.3重量%をミキサーでよく混合
後、樹脂温度220℃で二軸押出し機を用いてストランド
状に押出し、水冷後カッターで直径2mm、長さ3mmの円
柱状ペレットに造粒後乾燥したペレットを用い、実施例
6と同一の射出成形機とホットランナー型式の金型を用
いて図1に示す身蓋嵌合形式の底部の平均厚さが1.0mm
の写真フィルムパトローネ用容器本体を射出成形法によ
り樹脂温度185℃で作成した。上記ホモポリエチレン樹
脂のみのものに比較して、この写真フィルムパトローネ
用容器本体は外観が黒色で遮光性を有するもので、写真
フィルムパトローネの遮光テレンプの性能やポート口へ
の貼り付け不良が発生しても光カブリを防止でき、0℃
温度下で5mの高さから36枚撮りの35mmフィルムを巻き
つけた写真パトローネを密封した状態でコンクリートの
床に落下してもワレの発生が0%であった。容器本体の
外からでは、写真フィルムパトローネの品種等が観察で
きないので、容器本体の外側側壁に品種や注意書き等や
CIマークを印刷したラベルを貼りつけてもハガレが発
生しにくいものであった。底部のロックウェル硬度は58
R→65Rに向上し、オルゼン剛性度は8200kg/cm2→9500
kg/cm2に向上していた。太陽光下に長時間放置された
り、15℃以下の条件下で長期間貯蔵された後、20℃以上
の外気に取り出しても水滴を発生しなかった。さらに、
物理強度、耐摩耗性、帯電防止性、滑性も優れ、成形サ
イクルは35%短縮できた。従来の有機造核剤を用いた写
真フィルムパトローネ用容器本体のように、異臭も経時
のブリードアウトによる白粉発生のないものであった。
【0117】エチレン・αオレフィン共重合体樹脂を用
いた実施例を以下に示す。
【0118】実施例8 MFR(ASTM D 1238,190℃測定)が30g/10分、密度(AS
TM D 1505)が0.952g/cm3、オルゼン剛性度(ASTM D 74
7)が7100kg/cm2、アイゾット衝撃強度(ASTMD 256)が
3.1kg・cm/cm、ショア硬度(ASTM D 2240)が62D、ビカ
ット軟化点が112℃のエチレン・ブテン−1共重合体樹
脂が99.35重量%、エルカ酸アミド0.05重量%、ソルビ
タンモノエルカ酸エステル0.3重量%、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤のテトラキス〔メチレン−3−
(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.05重量%、ステアリン酸
カルシウム0.1重量%で表面を被覆したジ−(P−メチ
ルベンジリデン)ソルビトール95%とO−メチルベンジ
リデン−O−メチルベンジリデンソルビトール5%を混
合したジベンジリデンソルビトール0.25重量%をミキサ
ーでよく混合後、樹脂温度220℃で二軸押出機を用いて
ストランド状に押し出し水冷後、カッターで直径2mm、
長さ3mmの円柱状ペレットに造粒後乾燥したペレットを
用い、実施例6と同一の射出成形機とホットランナー型
式の金型を用いて図1に示す身蓋嵌合型式の底部の平均
厚さが1.0mmの写真フィルムパトローネ用容器本体を射
出成形法により、樹脂温度190℃で作成した。上記エチ
レン・ブテン−1共重合体樹脂のみを用いたものに比較
し、底部のショア硬度が62D→68Dに向上し、オルゼン
剛性度が7100kg/cm2→9200kg/cm2に向上し、ビカット軟
化点が112℃→120℃に向上した。さらに、透明度は実施
例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂を用
いたものに近づき(ヘイズが20%低下)、容器本体の外
からでも写真フィルムパトローネの印刷色が美しい色で
観察でき、細かい説明文やCIマーク、品種表示等をハ
ッキリ読みとれるものであった。
【0119】また、太陽光下に長時間放置されたり、15
℃以下の条件下で長期間貯蔵された後、20℃以上の外気
に取り出しても水滴を発生することも、透明性を失うこ
ともなかった。さらに、物理強度、耐摩耗性、帯電防止
性、滑性も優れ、成形サイクルも25%短縮できた。
【0120】さらにまた従来の有機造核剤や酸化防止剤
を含む写真フィルムパトローネ用容器本体に比較して異
臭や経時のブリードアウトによる白粉の発生も大巾に減
少した。光沢、透明性は実施例6のホモポリエチレン樹
脂製のものより大幅に優れている。
【0121】実施例9 MFRが15g/10分、密度が0.945g/cm3、オルゼン剛性度
が6500kg/cm2、アイゾット衝撃強度が4kg・cm/cm、シ
ョア硬度が60D、ビカット軟化点が112℃のエチレン・
ブテン−1共重合体樹脂が91.1重量%、ジメチルポリシ
ロキサン0.3重量%、ビタミンEカルボン酸エステル0.0
5重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のオクタ
デシル−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート0.05重量%、シリコン
表面処理デンプン3重量%、光反射性遮光性物質として
二価アルコールで表面被覆した酸化チタン5重量%、ス
テアリン酸モノグリセライド0.3重量%、ステアリン酸
マグネシウムで固体粉末の表面をあらかじめ被覆した
1,3・2,4−ジPエチルベンジリデンソルビトール0.
2重量%をミキサーでよく混合後、樹脂温度220℃で二軸
押出し機を用いてストランド状に押出し、水冷後カッタ
ーで直径2mm、長さ3mmの円柱状ペレットに造粒後、乾
燥したペレットを用い、実施例4と同一の射出成形機と
ホットランナー型式の金型を用いて図3に示す身蓋一体
型式の写真フィルムパトローネ用容器を樹脂温度200℃
で作成し、この容器に現在最も大量に市販されている金
属製のパトローネから写真フィルムの先端が露出してい
るタイプの写真フィルムパトローネ入35mmネガフィルム
を密封した。この容器に紫外線硬化型インキを用いて品
種、CIマーク、取扱い説明文、バーコード等、従来化
粧小箱に印刷していたものを容器本体を60℃に加熱した
状態で印刷し、紫外線照射により強制固着させた。オリ
ジナルシール性を確保するために封印ラベル5を図10の
ように貼りつけた。エチレン・ブテン−1共重合体樹脂
のみのものに比較して、この包装体は太陽光下に放置さ
れても変形せず、遮光性もあり、光反射遮光性物質の酸
化チタンを含むもので容器内の温度上昇がほとんどなく
写真フィルムの性能確保に優れていた。また、容器表面
に水滴が発生することもなかった。また、底部の硬度が
向上し、剛性、耐摩耗性、帯電防止性、滑性が優れ、成
形サイクルも25%短縮できた。この容器は異臭も、経時
のブリードアウトによる白粉の発生もなく、従来の容器
のように化粧小箱に写真フィルム用容器を入れる必要が
なく、安価で産業廃棄物を大幅に減少できるものであっ
た。また、容器本体と蓋が同一樹脂組成物なのでリサイ
クル適性も優れている。
【0122】実施例10 MFRが7g/10分、密度が0.944g/cm3、オルゼン剛性度
が6100kg/cm2、アイゾット衝撃強度が7kg・cm/cm、シ
ョア硬度が60D、ビカット軟化点が115℃のエチレン・
4メチルペンテン−1共重合体樹脂86.1重量%、滑剤、
酸化防止剤、防滴物質、造核剤の種類と添加量は実施例
9と同一で光反射遮光性物質として二価アルコールで表
面被覆した酸化チタン5重量%の代わりに、ステアリン
酸カルシウムで表面被覆したタルク10重量%を含むポリ
オレフィン系樹脂組成物をミキサーでよく混合後、樹脂
温度220℃で二軸押出し機を用いてストランド状に押出
し水冷後、カッターで直径2mm、長さ3mmの円柱状ペレ
ットに造粒後、乾燥したペレットを用いて図1に示す写
真フィルムパトローネ用容器本体を実施例6と同一の射
出成形機とホットランナー型式の金型を用いて樹脂温度
200℃で作成した。エチレン・4メチルペンテン−1共
重合体樹脂のみのものに比較して、この容器本体のロッ
クウェル硬度は68Rであり、オルゼン剛性度は6100kg/c
m2→9500kg/cm2であり、ビカット軟化点は115℃→122℃
に向上したものであった。また、太陽光下に長時間放置
されたり、15℃以下の条件下で長期限貯蔵された後、20
℃以上の外気に取り出しても水滴を発生しなかった。さ
らにまた物理強度、耐摩耗性、滑性も優れ、成形サイク
ルは30%短縮できた。特に、ユーザー適性としては白色
で外観が優れ、剛性を確保しながら衝撃強度が非常に優
れており、異臭も添加剤のブリードアウトの発生も少な
いものであった。
【0123】以上の実施例の中で身(容器本体)蓋嵌合
形式の実施例1、2、5、6、7、8又は10に用いた蓋
(キャップ)は図1の構造の、MFR(ASTM D 1238,19
0℃測定)が35g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.920g/cm
3のホモポリエチレン樹脂にオレイン酸アミド系滑剤0.0
5重量%とフェノール系酸化防止剤を0.05重量%添加し
た低密度ホモポリエチレン樹脂組成物を用いて成形機と
して住友重機製のネスタール(商品名)を用い(型締圧
150t)、キャビティー数24ヶ、ホットランナー型式の
金型を用いて射出成形方法により作成したものである。
【0124】好ましい実施態様の具体例としては特許請
求範囲を満たし、且つ最近産業廃棄物の量の減少又は再
利用が重要な課題になっている。この観点から本発明の
写真フィルム用容器の容器本体と蓋の樹脂組成について
は、 a)同一樹脂組成にする。 b)ポリオレフィン樹脂(ホモポリプロピレン樹脂、プ
ロピレン・エチレンランダム又はブロック共重合体樹
脂、プロピレン・αオレフィン(C4〜C12)共重合体
樹脂、ホモポリエチレン樹脂(低・中・高密度各種ポリ
エチレン樹脂)、エチレン・αオレフィン(C3
12)共重合体樹脂、ポリオレフィンエラストマー、ポ
リαオレフィン(C4〜C12)樹脂、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体樹脂、エチレン・アルキルエステル共重合体
樹脂の単独又は2種以上のブレンド樹脂)が50重量%以
上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%
以上に必要添加剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物に
する。 c)a)又はb)を満足し、且つ着色を無着色又は白色
又は銀色又は黄色又は緑色又は黒色等に統一する。 d)容器本体と蓋の樹脂組成を異なるようにする時は、
写真フィルムパトローネ保護、密封性向上の点から容器
本体の剛度≧蓋の剛度とする。好ましくは、容器本体の
剛性を蓋の剛性の1.5倍以上、特に好ましくは2.0倍以上
とする。 e)廃棄処理された時に、微生物分解又は熱分解又は紫
外線分解しやすくするための公知の添加剤を添加する。
【0125】容器の外観形状については、 1)有底筒状の容器本体とこれに嵌合して容器本体を密
封する蓋からなる。 2)有四角柱状の容器本体とこれに嵌合して容器本体を
密封する蓋からなる。 3)有多角柱状の容器本体とこれに嵌合して容器本体を
密封する蓋からなる。
【0126】この1)、2)、3)の形状の容器のみに
して従来の化粧小箱を廃止するために、 イ)シュリンクフィルムで容器本体と蓋を被覆する(オ
リジナルシール確保又は防湿、ガスバリヤ性向上又は紫
外線遮断又は遮光又は透過光線量を減少する等の目的を
達成する為に着色又は印刷又は上記作用を有する物質を
塗布又は蒸着等を施す)。 ロ)容器本体に感度、撮影枚数、CIマーク、バーコー
ド、説明書き、メモ用白地等、現在化粧小箱に印刷され
ている文字、デザイン等を印刷したレーベル、ラベル等
の裏面に容器本体に貼りつける為の粘着ノリ(紙ラベル
のように容器本体から剥離する必要がある場合)又は感
熱ノリ{前記、a)〜b)に準ずるポリオレフィン系樹
脂組成物から成るシート製ラベル(無発泡シートでも発
泡シートでも不織布又は合成紙でも可)のように容器本
体と一緒にブレンドして再生できる場合}等を塗布した
印刷ラベル又は前記a)〜b)に準ずる樹脂組成の中で
容器本体に熱接着可能なポリオレフィン系樹脂製ラベル
(多層構造でも可)をラベル自動修正装置を有するラベ
リングマシン等で貼りつける。 ハ)ラベルの代わりに容器本体に直接印刷又は転写印刷
する。 ニ)紙、プラスチック、合成紙、不織布、発泡シートに
粘着ノリ又は感熱ノリ等を塗布したラベル又は加熱によ
り粘着性を発揮するラベルを容器本体と蓋の両方にまた
がって貼りつける(印刷ラベルに前記ロ以外にオリジナ
ルシール性、防湿性、防水性、ガスバリヤ性等の働きを
させる)。
【0127】シュリンクフィルム(シュリンク単層フィ
ルム、シュリンク多層フィルム、シュリンク積層フィル
ム、シュリンク発泡シート、シュリンク金属蒸着フィル
ム等)、ラベルには、剥がし易くするために公知の各種
の加工(シュリンクフィルムの場合、ミシン目、ノッ
チ、つまみ等、ラベルの場合、ノリ無塗布、つまみ等)
を施してもよい。
【0128】
【発明の効果】本発明は、低温環境から常温環境へ急激
に変化させたり、太陽光下に放置したりしても、容器表
面に水滴が発生することがない。したがって、収納した
写真フィルムの種類等を確実に認識するこができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
嵌合型式の写真フィルムパトローネ用容器の断面図。
【図2】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
嵌合型式の写真フィルムパトローネ用容器の断面図。
【図3】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
がヒンジで一体化されている写真フィルムパトローネ用
容器の断面図。
【図4】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
がヒンジで一体化されている写真フィルムパトローネ用
容器の断面図。
【図5】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
がヒンジで一体化されている写真フィルムパトローネ用
容器の断面図。
【図6】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
がヒンジで一体化されているマイクロフィルム用遮光容
器の断面図。
【図7】本発明の写真フィルム用容器が適用される身蓋
ロック嵌合式遮光容器の斜視図。
【図8】本発明の写真フィルム用容器が適用される写真
フィルムパトローネ用容器本体の斜視図。
【図9】本発明の写真フィルム用容器が適用される写真
フィルムの先端がプラスチック製パトローネ本体内に巻
き込まれたタイプの写真フィルムパトローネ用容器の斜
視図。
【図10】本発明の写真フィルム用容器が適用される写真
フィルムパトローネ用容器の斜視図。
【符号の説明】
1…蓋 2…容器本体 3…ヒンジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−74724(JP,A) 特開 昭62−179939(JP,A) 特開 平3−17141(JP,A) 特開 昭63−42861(JP,A) 特開 昭62−7047(JP,A) 特開 平3−81766(JP,A) 特開 平3−81765(JP,A) 特開 平3−65949(JP,A) 特開 平3−212439(JP,A) 特開 平3−119349(JP,A) 特開 平2−193140(JP,A) 特開 平2−190845(JP,A) 特開 平2−183247(JP,A) 特開 平1−270535(JP,A) 特開 平1−209134(JP,A) 特開 平2−64537(JP,A) 特開 平1−152145(JP,A) 実開 平3−11240(JP,U) 実開 平2−123339(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防滴剤0.01〜3.0重量%と、ステ
    アリン酸金属塩0.01〜3.0重量%と、酸化防止剤
    としてフェノール系及び/又は燐系酸化防止剤0.01
    〜0.5重量%と、メルトフローレートが5〜80g/
    10分、密度が0.935g/cm 3 以上、X線による結
    晶化度が40〜98%、分子量分布が1.5〜25、オ
    ルゼン剛性度が3500kg/cm 2 以上、ビカット軟
    化温度が95℃以上のエチレン・α−オレフィンランダ
    ム共重合体樹脂及び/又はホモポリエチレン樹脂50重
    量%以上とを含み、かつハロゲン化合物を含有したポリ
    オレフィン系樹脂組成物を用いて、180℃以上の樹脂
    温度で射出成形法により形成したことを特徴とする写真
    フィルム用容器
  2. 【請求項2】 前記防滴剤が少なくともステアリン酸金
    属塩と同量含まれている請求項1に記載の写真フィルム
    用容器
  3. 【請求項3】 180℃以上の熱履歴を2回以上経た、
    高級脂肪酸で表面が被覆されたジベンジリデンソルビト
    ール誘導体の粒度分布が30〜100メッシュの固体粒
    子からなる有機造核剤が0.01〜2.0重量%含まれ
    ている請求項1に記載の写真フィルム用容器
  4. 【請求項4】 バリウム化合物、亜鉛又は亜鉛化合物、
    錫又は錫化合物、鉛又は鉛化合物のうち少なくとも一種
    が10〜50重量%含まれている請求項1に記載の写真
    フィルム用容器
  5. 【請求項5】 前記ポリオレフィン系樹脂組成物は、A
    STM D 1619の測定方法による硫黄成分が0.9
    %以下のカーボンブラックを0.05〜20重量%含む
    請求項1に記載の写真フィルム用容器
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂組成物は生分解性
    添加物、光分解性添加物、生分解性ポリマー又は光分解
    性ポリマーを含む請求項1に記載の写真フィルム用容器
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