JP3061501B2 - エレベータの制動力点検装置 - Google Patents

エレベータの制動力点検装置

Info

Publication number
JP3061501B2
JP3061501B2 JP5052317A JP5231793A JP3061501B2 JP 3061501 B2 JP3061501 B2 JP 3061501B2 JP 5052317 A JP5052317 A JP 5052317A JP 5231793 A JP5231793 A JP 5231793A JP 3061501 B2 JP3061501 B2 JP 3061501B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
braking force
car
elevator
mass
brake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5052317A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06263353A (ja
Inventor
武喜 安藤
礼 石田
哲 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Building Systems Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Building Systems Co Ltd filed Critical Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority to JP5052317A priority Critical patent/JP3061501B2/ja
Publication of JPH06263353A publication Critical patent/JPH06263353A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3061501B2 publication Critical patent/JP3061501B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Maintenance And Inspection Apparatuses For Elevators (AREA)
  • Elevator Control (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレベータの制動力点
検装置に係り、特に、制動機の作動に伴って乗かごが減
速する際に制動力を点検するエレベータの制動力点検装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】図12はエレベータの全体構成を示す縦
断面図、図13は図12のエレベータに備えられる制動
機の部分を拡大して示す正面図である。
【0003】一般にエレベータでは、図12に示すよう
に、上部の機械室1に、巻上機2、制御盤3および調速
機4などが設けられ、前記の機械室1下方に形成される
昇降路1a内を乗かご5、つり合いおもり6が昇降する
ようになっている。これらの乗かご5、つり合いおもり
6を懸垂する主ロープ7は、前記の巻上機2のシーブ
(図示せず)に巻掛けられ、これらの乗かご5、つり合
いおもり6より補償ロープ7aが垂下されている。前記
の乗かご5に両端が連結される調速用ロープ8は、ルー
プ状に形成されて、このループ状の上部が前記の調速機
4に巻掛けられる。前記の制御盤3は、電話回線9aを
介して監視センタ9と接続可能である。
【0004】前述した巻上機2には、この巻上機2に対
して制動力を付与する制動機10が一体に設けられてい
る。この制動機10は、図13に示すように、巻上機2
の回転軸(図示せず)と一体的に回転する回転ドラム1
1と、この回転ドラム11の両側にそれぞれ設けられ、
各一端を中心として回動する一対のレバー12と、これ
らのレバー12に装着され、前記の回転ドラム11に当
接可能な一対の制動シュー13と、前記のレバー12を
閉じる方向に弾性力を付与する制動ばね14と、この制
動ばね14の弾性力に抗して前記のレバー12を押し開
く電磁装置15とを有している。この電磁装置15は、
電磁コイル16と、この電磁コイル16の励磁により図
13の下方に駆動されるプランジャ17と、このプラン
ジャ17の駆動により回動して前記のレバー12の各他
端を外側へ押圧する一対のプランジャレバー18とを備
えている。
【0005】この制動機10にあっては、次のように回
転ドラム11の制動と、この制動状態の解除とを交互に
行なうようになっている。すなわち、通常時に制動ばね
14によりレバー12を閉じる方向に弾性力が付与され
ることから、各レバー12を介して制動シュー13が回
転ドラム11に当接し、その結果、この回転ドラム11
が制動される。そして、電磁コイル16に電流が流れる
とき、この電磁コイル16の部分で電磁力が発生してプ
ランジャ17が図13の下方に駆動されるので、プラン
ジャレバー18が回動してレバー12を外側へ押圧し、
これらのレバー12が開かれる。これに伴い、制動シュ
ー13がそれぞれ回転ドラム11から離隔するので、こ
の回転ドラム11の制動状態が解除される。その後、電
磁コイル16に流れる電流を遮断するとき、前述したよ
うに再び回転ドラム11が制動される。
【0006】従来、この制動機10の制動力を点検する
際、まず制動ばね14を緩めて設定長さを調整し、すな
わち制動機10の制動力を通常時より小さく調整した状
態で巻上機2を駆動し、この巻上機2が滑り出すときの
駆動力を測定した後、前記の制動ばね14をさらに緩め
て前記の測定を再び行ない、このように制動ばね14を
調整して巻上機2が滑り出すときの駆動力の測定を数回
繰り返すことにより複数の測定データを得て、次いで、
この複数の測定データに基づいて通常の使用状態での制
動機10の制動力を推測するようになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで前述した従来
技術では、制動ばね14を通常の使用状態から緩めた状
態であっても巻上機2にかなりの制動力が付与されるこ
とから、この状態で巻上機2を駆動する際に大きな駆動
力を要し、すなわち、巻上機2を駆動する電動機に過大
な負担が掛かるという問題があった。また、前記の電動
機に特殊な回路を付加する必要があるので、この作業に
も労力を要するという問題もあった。
【0008】さらに、制動ばね14を調整する作業を要
するので、乗かご5が停止する時間が長くなってエレベ
ータ利用者に迷惑を及ぼすとともに、制動ばね14を通
常状態に復旧する際に作業ミスが生じる懸念もあった。
また、制動ばね14を緩めた状態で得た測定データに基
づいて通常の使用状態での制動力を推測するようになっ
ているので、この制動力を正確に点検するのが困難であ
った。
【0009】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、制動機の制動ば
ねを調整する作業を要せずに、迅速に、かつ正確に制動
機の制動力を点検することのできるエレベータの制動力
点検装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、乗かごおよびつり合いおもりを懸垂する主
ロープが巻掛けられる巻上機と、この巻上機に対して制
動力を付与する制動機とを含むエレベータに備えられ、
前記制動力を点検するエレベータの制動力点検装置にお
いて、前記乗かごの速度を検出する速度検出器と、この
速度検出器により出力される前記乗かごの速度データを
記憶する記憶部と、前記乗かごを停止させる際の減速度
および前記制動機の制動力を演算する演算部とを備えた
構成にしてある。
【0011】
【作用】本発明は前記のように構成したので、作動中の
巻上機に対して制動機により制動力を付与し、乗かごを
停止させる際、速度検出器により乗かご速度を検出する
とともに、この速度検出器から出力される速度データを
記憶部で記憶し、次いで、この記憶部で記憶した速度デ
ータなどに基づいて、前記の乗かごを停止させる際の減
速度および前記の制動機の制動力を演算部により演算す
る。これによって、制動機の制動力を点検する際に、制
動ばねを調整する必要がないことから、この制動力の点
検を迅速に行なうことができる。また、通常の使用状態
での制動力を直接的に点検することから、この制動力を
推測する必要がなく、したがって、前記の制動力の点検
を正確に行なうことができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明のエレベータの制動力点検装置
の実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明のエレ
ベータの制動力点検装置の第1の実施例を示すブロック
図、図2は図1の制動力点検装置の処理手順の一部を示
すフローチャート、図3は図1の制動力点検装置の処理
手順の他の部分を示すフローチャート、図4は図1のエ
レベータの乗かごを運転する際の速度と加速度および減
速度との相関関係を示すタイミングチャート、図5は図
1の制動力点検装置に備えられる演算部で用いられる方
程式を示す図である。なお、図1において前述した図1
2、図13と同等のものには同一符号を付してある。さ
らに、図2および図3に示す作業手順S1〜S12は
部分で連結しており、すなわち、図2の作業手順S9は
図3の作業手順S10に続いている。
【0013】図1に示すエレベータでは、図4の(a)
および(b)に示すように乗かご5の起動、停止を行な
うようになっている。すなわち、まず起動時刻T1で制
御盤3から起動指令が出力されると、制動機10の制動
状態が解除されるとともに、巻上機2が起動することか
ら、図4の(b)に示すように乗かご5の加速度が大き
くなって所定の加速度Aで定常状態となり、加速終了時
刻T2で加速状態が終了する。これに伴い、乗かご5の
速度は図4の(a)に示すように一定の割合で大きくな
った後、前記の加速終了時刻T2から乗かご5の速度が
定常速度V1となる。次いで、減速開始時刻T3で制御盤
3から出力される停止指令に応じて乗かご5の強制停止
を行なう場合、図4の(b)に示すように減速度が大き
くなって所定の減速度B1で定常状態となり、停止時刻
4で減速状態が終了する。これに伴い、前記の減速開
始時刻T3から乗かご5の速度が一定の割合で小さくな
り、前記の停止時刻T4で停止する。
【0014】そして、本実施例の制動力点検装置は、図
1に示すように、巻上機2に設けられ、乗かご5の速度
を検出する速度検出器21と、この速度検出器21から
出力される乗かご5の速度データを処理するデータ処理
装置22とからなっている。このデータ処理装置22
は、前記の速度検出器21に接続されるインタフェース
回路23と、このインタフェース回路23を介して入力
される乗かご5の速度データを記憶する記憶部24と、
この記憶部24で記憶される乗かご5の速度データに基
づいて乗かご5の減速度および制動機10の制動力を演
算する演算部、例えばマイクロコンピュータ25と、こ
のマイクロコンピュータ25から出力される処理結果を
表示する表示部26とからなっている。このデータ処理
装置22は、機械室1に設けられる制御盤3に接続され
ており、この制御盤3から出力される指令に応じてマイ
クロコンピュータ25の制御により制動機10の制動力
を自動的に演算するようになっている。なお、前記のマ
イクロコンピュータ25により、乗かご5の減速度、エ
レベータ機構系の諸定数より求められる巻上機軸(図示
せず)の等価慣性能率、および不平衡質量に基づいて制
動機10の制動力を演算する演算手段と、この演算手段
の演算により求められた演算結果をあらかじめ定められ
る基準値と比較して制動機10の制動力が良好であるか
どうかを判定する判定回路とが構成され、前記のインタ
フェース回路23により、前記の判定回路より出力され
る判定結果を制御盤3、電話回線9aを介して監視セン
タ9へ伝送する伝送部が構成されている。
【0015】この第1の実施例にあっては、図2および
図3に示す処理手順S1〜S12にしたがって制動機1
0の制動力を点検するようになっている。すなわち、ま
ず手順S1として乗かご5の質量、つり合いおもり6の
質量、主ロープ7の質量、補償ロープ7aの質量、巻上
機2の慣性能率、巻上機2のシーブ径などのエレベータ
機構系の諸定数を記憶部24により記憶しておき、手順
S2として前記の記憶部24で記憶されるエレベータ機
構系の諸定数に基づいて、マイクロコンピュータ25に
より巻上機軸の等価慣性能率および不平衡トルクを図5
の(1)式および(2)式に沿って演算する。これらの
(1)式および(2)式において、Jは巻上機軸の等価
慣性能率、Dsは巻上機2のシーブ直径、Mは巻上機軸
の等価質量、Mcwはつり合いおもり側質量、Tubは不
平衡トルク、Mcは乗かご側質量をそれぞれ示してい
る。
【0016】次いで、手順S3として乗かご5内で保守
運転の表示とアナウンスを行ない、手順S4として乗か
ご5内に乗客がいるかどうかを確認し、乗かご5内に乗
客がいる場合、次の手順S5の開始を保留するととも
に、再び乗かご5内で保守運転の表示とアナウンスを行
ない、乗かご5内から乗客が降りるよう促す。一方、乗
かご5内に乗客がいない場合、手順S5として図4の起
動時刻T1で乗かご5の下降運転を開始する。これに伴
い、乗かご5は図4の(b)に示すように加速度Aで加
速して、その後、図4の(a)に示すように加速終了時
刻T2で乗かご5の速度が定常速度V1に到達する。手順
S6として速度検出器21により乗かご5の速度を検出
して速度データを記憶部24で記憶するとともに、手順
S7として図4の減速開始時刻T3で制動機10を作動
させて乗かご5の強制停止を行なう。このとき、乗かご
5は加速度(−B)すなわち減速度Bで減速して、図4
の停止時刻T4で乗かご5が停止する。そして、手順S
8として記憶部24で記憶する速度データに基づいてマ
イクロコンピュータ25により乗かご5の減速度Bを演
算するとともに、手順S9として、前述した手順S2で
求めた巻上機軸の等価慣性能率J、および不平衡トルク
Tubと、手順S8で求めた乗かご5の加速度(−B)
すなわち減速度Bとに基づいて図5の(3)式に沿って
制動機10の制動力(すなわち制動トルク)を演算す
る。この(3)式において、Tbは制動機10の制動
力、ωは巻上機2の回転角速度をそれぞれ示している。
【0017】次いで、図3に示す手順S10としてマイ
クロコンピュータ25は、手順S9で得た演算結果を記
憶部24で記憶する基準値と比較して制動機10の制動
力が良好であるかどうかを判定し、手順S11として判
定結果を表示部26により表示して、手順S12として
インタフェース回路23により処理結果を制御盤3、電
話回線9aを介して監視センタ9へ伝送する。
【0018】このように構成した第1の実施例では、制
動機10の制動ばねを調整する必要がないことから、制
動機10の制動力点検を迅速に行なえるとともに、乗か
ご5の停止に伴ってエレベータ利用者に迷惑を及ぼすこ
とや、制動ばね14を通常状態に復旧する際の作業ミス
を生じることを防止できる。
【0019】また、制動ばね14を緩めた状態での測定
データに基づいて通常の使用状態での制動力を推測する
ことなく、すなわち通常の使用状態での制動力を直接的
に点検することから、この制動力点検を正確に行なうこ
とができる。このとき、制動機10が作動する状態で巻
上機2を駆動する必要がないので、巻上機2を駆動する
電動機に過大な負担を掛けなくて済む。
【0020】また、制動機10の制動力が良好であるか
どうかを判定した判定結果をインタフェース回路23よ
り監視センタ9へ伝送するので、この監視センタ9で制
動機10の制動力を監視することができ、したがって、
当該エレベータの安全性の向上を図ることができる。
【0021】なお、この第1の実施例では速度検出器2
1を巻上機2に設けたが、この巻上機2の代わりに、調
速機4あるいはそらせ車4aに速度検出器21を設ける
こともできる。さらに、この第1の実施例ではデータ処
理装置22を制御盤3の外部に設けたが、この制御盤3
内にデータ処理装置22を設けることもできる。
【0022】図6は本発明のエレベータの制動力点検装
置の第2の実施例を示すブロック図、図7は図6の制動
力点検装置の処理手順の一部を示すフローチャート、図
8は図6の制動力点検装置の処理手順の他の部分を示す
フローチャート、図9は図6のエレベータの乗かごを運
転する際の速度、加速度、減速度、電動機の電機子電流
および界磁電流の相関関係を示すタイミングチャート、
図10は図6のエレベータに備えられる電動機の界磁電
流および界磁磁束の相関関係を示す特性図、図11は図
6の制動力点検装置に設けられる演算部で用いられる方
程式を示す図である。なお、図6において前述した図1
2、図13と同等のものには同一符号を付してある。さ
らに、さらに、図7および図8に示す手業手順S21〜
S36は部分で連結しており、すなわち、図7の作業
手順S28は図8の作業手順S29に続いている。
【0023】図6に示す直流エレベータの巻上機31
は、三相電源32に接続される三相誘導電動機33によ
り駆動される。この電動機33は電機子33aと、電源
34に接続される界磁巻線33bとを有している。前記
の電源34、界磁巻線33b間では界磁電流Ifが流れ
て界磁磁束ζφが形成される。また、前記の電機子33
aは、電源35に接続される界磁巻線36aを有する直
流発電機36と接続され、これらの電機子33a、直流
発電機36間で電機子電流Iaが流れるようになってい
る。
【0024】この直流エレベータでは、図9の(a)お
よび(b)に示すように乗かご5の起動、停止を行なう
ようになっている。すなわち、まず起動時刻T1で制御
盤3から起動指令が出力されると、制動機10の制動状
態が解除されるとともに、巻上機31が起動することか
ら、図9の(b)に示すように乗かご5の加速度が大き
くなって所定の加速度Aで定常状態となり、加速終了時
刻T2で加速状態が終了する。これに伴い、乗かご5の
速度は図9の(a)に示すように一定の割合で大きくな
った後、前記の加速終了時刻T2から乗かご5の速度が
定常速度V1となる。次いで、減速開始時刻T3で制御盤
3から出力される停止指令に応じて乗かご5の強制停止
を行なう場合、図9の(b)に示すように減速度が大き
くなって所定の減速度B1で定常状態となり、停止時刻
4で減速状態が終了する。これに伴い、前記の減速開
始時刻T3から乗かご5の速度が一定の割合で小さくな
り、前記の停止時刻T4で停止する。
【0025】本実施例の制動力点検装置は、図6に示す
ように、前記の巻上機31に設けられ、乗かご5の速度
を検出する速度検出器41と、前記の電機子33a、直
流発電機36間に介設され、電機子電流Iaを検出する
電機子電流検出器42と、電源34、界磁巻線33b間
に設けられ、界磁電流Ifを検出する界磁電流検出器4
3と、これらの電流検出器42、43により出力される
電流データ、および前記の速度検出器41から出力され
る乗かご5の速度データを処理するデータ処理装置44
とからなっている。このデータ処理装置44は、速度検
出器41に接続されるインタフェース回路45と、当該
データ処理装置22の制御プログラムや、乗かご5の質
量、つり合いおもり6の質量、主ロープ7の質量、補償
ロープ7aの質量、巻上機31の慣性能率、巻上機31
のシーブ径などのエレベータ機構系の諸定数をあらかじ
め記憶するROM46と、前記のインタフェース回路4
5を介して入力されるデータを記憶する記憶部、例えば
RAM47と、このRAM47で記憶されるデータに基
づいて乗かご5を停止させる際の減速度および制動機1
0の制動力を演算する演算部、例えばマイクロコンピュ
ータ48と、このマイクロコンピュータ48から出力さ
れる処理結果を表示する表示部49とからなっている。
このデータ処理装置44は、図1の機械室1に設けられ
る制御盤3に接続されており、この制御盤3から出力さ
れる指令に応じてマイクロコンピュータ48により演算
を行なうようになっている。なお、前記のマイクロコン
ピュータ48により、乗かご5の減速度、エレベータ機
構系の諸定数より求められる巻上機軸(図示せず)の等
価慣性能率、および不平衡質量に基づいて制動機10の
制動力を演算する演算手段と、演算結果をあらかじめ定
められる基準値と比較して制動機10の制動力が正常で
あるかどうかを判定する判定回路とが構成され、前記の
インタフェース回路45により、処理結果を制御盤3、
電話回線9aを介して監視センタ9へ伝送する伝送部が
構成されている。
【0026】この第2の実施例にあっては、図7および
図8に示す処理手順S21〜S34にしたがって制動機
10の制動力を点検するようになっている。すなわち、
まず手順S21として乗かご5の質量、つり合いおもり
6の質量、主ロープ7の質量、補償ロープ7aの質量、
巻上機31の慣性能率、巻上機31のシーブ径などのエ
レベータ機構系の諸定数をROM46で記憶し、手順S
22として界磁電流Ifと界磁磁束ζφとの関係で定め
られる無負荷飽和特性もROM46で記憶する。次い
で、手順S23としてマイクロコンピュータ25により
巻上機軸の等価慣性能率Jおよび不平衡トルクTubを
前述した図5の(1)式および(2)式に沿って演算す
る。
【0027】次いで手順S24として乗かご5内で保守
運転の表示とアナウンスを行ない、手順S25として乗
かご5内に乗客がいるかどうかを確認し、乗客がいる場
合、次の手順S26の開始を保留する。一方、乗かご5
内に乗客がいない場合、手順S26として、図9の起動
時刻T1で乗かご5の無負荷下降運転を保守運転速度で
開始する。この起動時刻T1で発電機36の界磁巻線3
6aに電流を流すとき、この発電機36で電圧が発生し
て図9の(c)に示すように、電機子電流Iaが電機子
33aに流れる。乗かご5は図9の(b)に示すように
加速度Aで加速し、図9の(a)に示すように、加速終
了時刻T2で乗かご5の速度が定常速度V1に到達する。
その後、図9の減速開始時刻T3で制動機10を作動さ
せて乗かご5の強制停止を行なう。このとき、乗かご5
は加速度(−B)すなわち減速度Bで減速して、図9の
停止時刻T4で乗かご5が停止する。この乗かご5の減
速時に、手順S27として速度検出器41により乗かご
5の速度を検出して、この速度データをインタフェース
回路45を介してRAM47に入力して記憶し、電流検
出器42、43により電機子電流Ia、界磁電流Ifを
それぞれ検出して、この電流データをRAM47に入力
して記憶する。
【0028】次いで図8の手順S28として、RAM4
7に記憶される乗かご5の速度データに基づいてマイク
ロコンピュータ48により乗かご5の加速度(−B)す
なわち減速度Bを演算してRAM47に入力して記憶す
る。手順S29として、RAM47に記憶される界磁電
流Ifの電流データに基づいて、図10に示す界磁電流
Ifおよび界磁磁束ζφの相関関係から界磁磁束ζφを
算出し、この界磁磁束ζφと、RAM47に記憶される
電機子電流Iaの電流データに基づいて図11の(4)
式に沿って電動機33に発生した電気的制動力を算出す
る。この(4)式において、Tdyは電動機33に発生
した電気的制動力(すなわち制動トルク)、ζφは電動
機33の界磁磁束(すなわち電動機33のトルク発生係
数)、Iaは電機子電流をそれぞれ示している。
【0029】次いで手順S30として、前述した手順S
23で求めた巻上機軸の等価慣性能率Jおよび不平衡ト
ルクTubと、手順S28で求めた乗かご5の減速度B
と、手順S29で求めた電気的制動力Tdyとに基づい
て図11の(5)式に沿って制動機10の機械的制動力
(すなわち制動トルク)を演算する。この(5)式にお
いて、Tbは制動機10の機械的制動力、Jは巻上機軸
の等価慣性能率、Tdyは電動機33に発生した電気的
制動力、Tubは不平衡トルク、ωは巻上機2の回転角
速度をそれぞれ示している。
【0030】次いで手順S31としてマイクロコンピュ
ータ48は、前記の手順S30で得た演算結果をRAM
47で記憶される基準値と比較して制動機10の制動力
が正常であるかどうかを判定し、手順S32として比較
判定結果を表示部49により表示して、手順S33とし
てインタフェース回路45より処理結果を図1の制御盤
3、電話回線9aを介して監視センタ9へ伝送する。
【0031】このように構成した第2の実施例でも、前
述した第1の実施例の場合と同様の効果を得ることがで
きる。なお、この第2の実施例では速度検出器41を巻
上機31に設けたが、この巻上機31の代わりに、調速
機4あるいはそらせ車4aに速度検出器41を設けるこ
ともできる。さらに、この第2の実施例ではデータ処理
装置44を制御盤3の外部に設けたが、この制御盤3内
にデータ処理装置44を設けることもできる。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、制
動機の制動ばねを調整する作業を要せずに、迅速に制動
機の制動力を点検でき、したがって、エレベータの保守
作業の効率向上を図れるとともに、エレベータ利用者へ
の迷惑が及ぶことを防止できる。また、正確に制動機の
制動力を点検できることから、確実に制動機の作動状態
を把握して乗かごの安全性を高めることができる。さら
に、前述した制動力を点検する際、巻上機を駆動する電
動機に過大な負担を掛けなくて済むので、この電動機の
故障や寿命の低下等を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレベータの制動力点検装置の第1の
実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の制動力点検装置の処理手順の一部を示す
フローチャートである。
【図3】図1の制動力点検装置の処理手順の他の部分を
示すフローチャートである。
【図4】図1のエレベータの乗かごを運転する際の速度
と加速度および減速度との相関関係を示すタイミングチ
ャートである。
【図5】図1の制動力点検装置に備えられる演算部で用
いられる方程式を示す図である。
【図6】本発明のエレベータの制動力点検装置の第2の
実施例を示すブロック図である。
【図7】図6の制動力点検装置の処理手順の一部を示す
フローチャートである。
【図8】図6の制動力点検装置の処理手順の他の部分を
示すフローチャートである。
【図9】図6のエレベータの乗かごを運転する際の速
度、加速度、減速度、電動機の電機子電流および界磁電
流の相関関係を示すタイミングチャートである。
【図10】図6のエレベータに備えられる電動機の界磁
電流および界磁磁束の相関関係を示す特性図である。
【図11】図6の制動力点検装置に設けられる演算部で
用いられる方程式を示す図である。
【図12】一般的なエレベータの全体構成を示す縦断面
図である。
【図13】図12のエレベータに備えられる制動機の部
分を拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
1 機械室 1a 昇降路 2 巻上機 3 制御盤 4 調速機 4a そらせ車 5 乗かご 6 つり合いおもり 7 主ロープ 7a 補償ロープ 9 監視センタ 10 制動機 21 速度検出器 22 データ処理装置 23 インタフェース回路(伝送部) 24 記憶部 25 マイクロコンピュータ(演算部、判定回路) 26 表示部 31 巻上機 41 速度検出器 42 電機子電流検出器 43 界磁電流検出器 44 データ処理装置 45 インタフェース回路(伝送部) 46 ROM 47 RAM(記憶部) 48 マイクロコンピュータ(演算部、判定回路) 49 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−104881(JP,A) 特開 平4−169485(JP,A) 特開 平3−67880(JP,A) 特開 平4−313582(JP,A) 特開 平4−201957(JP,A) 特開 平4−66483(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 1/00 - 5/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗かごおよびつり合いおもりを懸垂する
    主ロープが巻掛けられる巻上機と、この巻上機に対して
    制動力を付与する制動機とを含むエレベータに備えら
    れ、前記制動力を点検するエレベータの制動力点検装置
    において、前記乗かごの速度を検出する速度検出器と、
    この速度検出器により出力される前記乗かごの速度デー
    タを記憶する記憶部と、前記乗かごを停止させる際の減
    速度および前記制動機の制動力を演算する演算部とを備
    えたことを特徴とするエレベータの制動力点検装置。
  2. 【請求項2】 前記乗かごの減速度と、この乗かごの質
    量、前記つり合いおもりの質量、前記主ロープの質量を
    含むエレベータ機構系の諸定数より求められる巻上機軸
    の等価慣性能率と、前記乗かごの質量と前記つり合いお
    もりの質量との差に伴う不平衡質量とに基づいて制動機
    の制動力を演算する演算手段を前記演算部に備えたこと
    を特徴とする請求項1記載のエレベータの制動力点検装
    置。
  3. 【請求項3】 前記巻上機を駆動する電動機に、電機子
    電流を検出する電機子電流検出器、および界磁電流を検
    出する界磁電流検出器を設けるとともに、前記乗かごの
    減速度と、この乗かごの質量、前記つり合いおもりの質
    量、前記主ロープの質量を含むエレベータ機構系の諸定
    数より求められる巻上機軸の等価慣性能率と、前記乗か
    ごの質量と前記つり合いおもりの質量との差による不平
    衡質量と、前記電機子電流および界磁電流とに基づいて
    制動機の制動力を演算する演算手段を前記演算部に備え
    たことを特徴とする請求項1記載のエレベータの制動力
    点検装置。
  4. 【請求項4】 前記速度検出器を、前記巻上機、または
    乗かご速度を制御する調速機、または前記主ロープが巻
    掛けられるそらせ車に備えたことを特徴とする請求項1
    記載のエレベータの制動力点検装置。
  5. 【請求項5】 機械室に設けられる制御盤から出力され
    る指令に応じて前記演算部が前記制動機の制動力を自動
    的に演算するようにしたことを特徴とする請求項1およ
    び請求項4記載のエレベータの制動力点検装置。
  6. 【請求項6】 前記演算部の演算により求められる演算
    結果を、遠隔監視を行なう監視センタへ伝送する伝送部
    を設けたことを特徴とする請求項1記載のエレベータの
    制動力点検装置。
  7. 【請求項7】 前記演算部の演算により求められる演算
    結果をあらかじめ定められる基準値と比較して前記制動
    機の制動力が良好であるかどうかを判定する判定回路
    と、この判定回路から出力される比較結果を表示する表
    示部とを設けたことを特徴とする請求項1記載のエレベ
    ータの制動力点検装置。
JP5052317A 1993-03-12 1993-03-12 エレベータの制動力点検装置 Expired - Fee Related JP3061501B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052317A JP3061501B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 エレベータの制動力点検装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052317A JP3061501B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 エレベータの制動力点検装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06263353A JPH06263353A (ja) 1994-09-20
JP3061501B2 true JP3061501B2 (ja) 2000-07-10

Family

ID=12911413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5052317A Expired - Fee Related JP3061501B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 エレベータの制動力点検装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3061501B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001171936A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd エレベーターのブレーキトルク調整装置
JP5264290B2 (ja) * 2008-05-27 2013-08-14 三菱電機株式会社 エレベータ装置及びその制動機能検査方法
JP5532676B2 (ja) * 2009-05-18 2014-06-25 三菱電機株式会社 エレベータの制御装置
JP5538751B2 (ja) * 2009-06-05 2014-07-02 三菱電機株式会社 エレベーターの制御装置
JP2011042480A (ja) * 2009-08-24 2011-03-03 Mitsubishi Electric Corp エレベータ装置
EP2537790B1 (en) 2010-02-19 2019-03-27 Mitsubishi Electric Corporation Elevator device
CN113401759B (zh) * 2021-06-29 2023-06-23 日立楼宇技术(广州)有限公司 一种电梯轿厢的制动方法及装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06263353A (ja) 1994-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3817218B2 (ja) エレベータのブレーキトルク測定装置および測定方法
JP3936578B2 (ja) エレベータ巻上機・制御システム
EP2537790A1 (en) Elevator device
KR20100022520A (ko) 엘리베이터 장치
JPH01242375A (ja) エレベーターの制御装置
JPH0111659Y2 (ja)
WO2021166144A1 (ja) エレベータ装置
KR920004309B1 (ko) 엘리베이터 제어장치
JP2008207898A (ja) エレベータの制御装置
JP3061501B2 (ja) エレベータの制動力点検装置
JPWO2007108069A1 (ja) エレベータ装置
JP4298418B2 (ja) エレベータのブレーキ装置
JPH08310759A (ja) エレベータ用ブレーキの特性評価装置
KR960003012B1 (ko) 엘리베이터의 조정 장치
JPH07215622A (ja) エレベータの制御機構
JP3366144B2 (ja) エレベータの制動力測定装置
JP2008222358A (ja) エレベーターの制御装置
JP3061503B2 (ja) エレベータの制動力点検装置
JPS6246474B2 (ja)
JP3221795B2 (ja) エレベータの制動性監視装置
JPH0930750A (ja) エレベーターのブレーキ特性評価装置
JP2003182945A (ja) エレベータの制動力測定装置および測定方法
JP3061502B2 (ja) エレベータの制動力点検装置
JP3233585B2 (ja) エレベータの制動力測定装置
JPH1017246A (ja) エレベータ巻上機の電磁ブレーキの制動力設定方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees