JP3060775B2 - フライホイール - Google Patents

フライホイール

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JP3060775B2
JP3060775B2 JP5074180A JP7418093A JP3060775B2 JP 3060775 B2 JP3060775 B2 JP 3060775B2 JP 5074180 A JP5074180 A JP 5074180A JP 7418093 A JP7418093 A JP 7418093A JP 3060775 B2 JP3060775 B2 JP 3060775B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車のエンジン等
の内燃機関で発生する定次数回転変動の低減を図る回転
変動低減用のフライホイールに関し、特に、転動しつつ
遠心振り子運動をするダンパマスを備えたフライホイー
ルにおいて、ダンパマスのスムーズな転動が確保される
ようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】定次数の回転変動の低減を図る従来のフ
ライホイールとしては、本出願人が先に提案した特願平
3−121037号明細書や特願平3−274108号
明細書等に記載されたものがある。これら従来のフライ
ホイールは、フライホイール本体に転動室を形成し、そ
の転動室内に転動自在にダンパマスを収容したものであ
って、内燃機関等で生じた定次数のトルク変動に伴うク
ランク軸等の回転変動を、そのダンパマスの振り子運動
に伴う重心位置の周期的な変動によって低減しようとす
るものである。
【0003】即ち、上記のようなフライホイールにあっ
ては、図15に示すように、転動室の転動面10に沿っ
て転動するダンパマス11の遠心振り子運動によってト
ルク変動を確実に低減できるように、具体的にはダンパ
マス11の振り子運動の周期をトルク変動の周期に正確
に同期させるために、フライホイール本体の回転中心O
1 からダンパマス11の振り子運動の支点O2 までの距
離Rと、その振り子運動の支点O2 からダンパマス11
の重心Gまでの距離Lとの比率を適宜選定する必要があ
る。
【0004】そして、上記従来のフライホイールにあっ
ては、ダンパマスが転動室内面に衝突する際に発生する
衝撃音を低減するために、そのダンパマスの厚みが転動
室の厚みよりも僅かだけ小さくなるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のフライホイールであっても、図16に示すようにダ
ンパマス11が蛇行しつつ転動してしまえば、衝撃音の
低減を図るためにダンパマスの厚みを転動室の厚みより
も僅かだけ小さくしてもやはり衝突時の衝撃音が発生し
てしまうし、さらに、ダンパマスが転動室内面に接触し
つつ転動する結果、それらダンパマス側面及び転動室内
側面間に振り子運動を妨げる方向に多大な摩擦力が発生
するので、ダンパマスの遠心振り子運動が妨げられ、上
記比率を適宜選定したとしても良好な回転変動低減効果
が得られない場合があった。
【0006】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、衝撃音
をさらに低減することができ、しかもダンパマスのスム
ーズな転動も確保できる回転変動低減用フライホイール
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、フライホイール本体に転動
室を形成し、その転動室にダンパマスを転動可能に収容
するフライホイールにおいて、前記転動室の転動面及び
前記ダンパマスの転動面に、互いに噛み合うように一方
が断面コ字状の凹形状で他方が断面四角形状の凸形状を
なし且つ前記ダンパマスの転動方向に連続する案内レー
ル構造を形成した。
【0008】また、請求項2記載の発明は、上記請求項
1記載の発明において、転動室には、ダンパマスが遠心
振り子運動をする際に転動面となる範囲にのみ案内レー
ル構造を形成する。そして、請求項3記載の発明は、上
記請求項1又は請求項2記載の発明において、転動室
を、フライホイール本体の周面を貫通する貫通孔と、凹
陥部を有し且つその凹陥部を内側に向けた状態で前記貫
通孔を両側から挟み込む一対のハウジング部材とで形成
するとともに、前記貫通孔の内周面と前記ハウジング部
材の凹陥部との段差によって前記転動室側の案内レール
構造を形成する。
【0009】さらに、請求項4記載の発明にあっては、
上記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明にお
いて、前記ダンパマスをコロ状のダンパマスとし、その
ダンパマスの両側面を、その周縁部を除いて凹陥させ
た。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明であれば、案内レール構造
は、ダンパマスの転動方向に連続しているのでそれ自体
はダンパマスの転動に対する妨げにはならないし、むし
ろ、案内レール構造によってダンパマスの蛇行が阻止さ
れるから、ダンパマス側面と転動室内面との接触面積が
小さくなり、ダンパマスの遠心振り子運動を阻止する方
向に発生する摩擦力も小さくなる(即ち、案内レール構
造において発生する摩擦力がほとんどとなる。)ので、
ダンパマスは目的通りの遠心振り子運動に近い挙動をす
るようになる。また、蛇行が阻止されれば、ダンパマス
が転動室内面に衝突することが防止されるから、衝撃音
の発生も防がれる。しかも、請求項1記載の発明では、
案内レール構造が、断面コ字状の凹形状と断面四角形状
の凸形状とを噛み合わせた構造であるため、フライホイ
ールの回転によってダンパマスに遠心力が加わっても、
凹形状の部分に凸形状の部分が食い込んでしまう可能性
が低い。
【0011】特に、請求項2記載の発明であれば、案内
レール構造において発生する摩擦力が極めて小さくなる
から、ダンパマスは目的通りの遠心振り子運動に極めて
近い挙動をするようになる。そして、請求項3記載の発
明であれば、フライホイール本体の周面に形成された貫
通孔を挟み込むようにハウジング部材を固定するだけ
で、転動室側の案内レール構造が形成される。
【0012】さらに、請求項4記載の発明であれば、ダ
ンパマス側面と転動室側面との間は、ダンパマス側面の
凹陥していない周縁部においてのみ接触するから、それ
らの接触部に発生する摩擦力は極めて小さくなり、ダン
パマスは目的通りの遠心振り子運動に近い挙動をする。
また、ダンパマス側面と転動室側面との間の接触部に発
生する摩擦力が小さければ、ダンパマス側面と転動室側
面との間の距離を狭くすることも可能であり、これによ
ってダンパマスの蛇行が防止されて衝撃音の発生も防が
れる。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1乃至図5は本発明の第1実施例を示す図で
あり、図1は本実施例におけるフライホイールの平面
図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2の要部拡
大図である。
【0014】即ち、円板状のフライホイール本体1は、
その中央部に回転駆動系への取り付けの際に利用される
取付けフランジ部1aを有するとともに、その周縁部表
面には、このフライホイール本体1と同軸のリング形状
をなす転動室構成体2がガスケット2aを介して固定さ
れている。転動室構成体2内には、周方向に等間隔に離
隔して同形状の複数(本実施例では12個)の転動室3
が形成されていて、これら転動室3は、フライホイール
本体1に対して平行に凹んだ凹陥部であって、その内周
面が転動面10となっている。また、転動室構成体2の
外周面には、リングギア2bが固定されている。
【0015】各転動室3内には、円板状のダンパマス1
1が転動自在に収容されていて、転動室3は、かかるダ
ンパマス11が転動しつつ遠心振り子運動をするように
径方向外側が膨らむとともに、径方向の幅はダンパマス
11の直径よりも若干大きい程度であるが、ダンパマス
11の転動方向の幅はダンパマス11が転動しても端部
に衝突しない程度の大きさとなっている。
【0016】そして、ダンパマス11の転動面としての
周面11aには、その厚さ方向中央部に周方向に連続し
断面四角形状の凸部11bが形成されていて、この凸
部11bと噛み合うように転動室3の転動面10に周方
向に連続して断面コ字状の凹部10aが形成されてい
る。ただし、凸部11b及び凹部10aは、ダンパマス
11の転動を妨げることのない程度に余裕をもって噛み
合っていて、且つ、図3に示すように凸部11bの高さ
Hが凹部10aの深さDよりも小さくなるように加工さ
れている。
【0017】ここで、このようなフライホイールによっ
て回転駆動系の回転変動を低減するためには、上述した
ようにダンパマス11の振り子運動の周期を、その回転
変動に同期させる必要がある。具体的には、図15にも
示したように、フライホイール本体1の回転中心からダ
ンパマス11の振り子運動の支点までの距離Rと、ダン
パマス11の振り子運動の支点からダンパマス11の重
心までの距離Lとの比率R/Lを、トルク変動次数nに
応じた所定の比率に設定する必要があり、ダンパマス1
1の半径をrd,質量をmd ,慣性能率をId とした場
合、比率R/Lは、下記の(1)式に基づいて設定す
る。なお、本実施例では、ダンパマス11を複数設けて
いるので、質量md 及び慣性能率Id は、いずれもそれ
ら複数のダンパマス11のトータルの値である。
【0018】 R/L=n2 {1+Id /(md ・rd 2 )} ……(1) 従って、このフライホイール本体1が取り付けられた回
転駆動系に、n次のトルク変動による回転変動が生じて
も、その回転変動に同期してダンパマス11が転動しつ
つ遠心振り子運動をするため、回転変動の低減が図られ
る。そして、本実施例にあっては、ダンパマス11の周
面に形成された凸部11bと、転動室3の転動面10に
形成された凹部10aとが常に噛み合った状態であるた
め、図16に示したようなダンパマス11が蛇行しつつ
転動するという不具合が解消される。従って、ダンパマ
ス11及び転動室3内面間で転動の妨げとなる摩擦抵抗
は、凸部11b側面及び凹部10a内側面間の僅かな摩
擦抵抗だけであるから、ダンパマス11はスムーズに転
動することができる。
【0019】このため、本実施例のフライホイールは、
エンジン回転速度及び回転変動レベルの関係を表す図4
に実線で示すように、破線で示す未対策フライホイール
(ダンパマスを有するのみのフライホイール)の回転変
動レベル及び一点鎖線で示す従来構造フライホイール
(ダンパマスをも有しないフライホイール)の回転変動
レベルに比較して、大幅な回転変動レベルの低減が達成
される。
【0020】また、凸部11bと凹部10aとが常に噛
み合った状態であれば、フライホイールの回転状態及び
静止状態のいずれにおいてもダンパマス11の横方向の
動きが規制されるから、ダンパマス11の転動室3内面
への衝突がほとんどなくなるので、周波数と騒音レベル
との関係を表す図5に実線で示すように、破線で示す未
対策フライホイールの騒音レベルに比較して、大幅な騒
音レベルの低減が達成される。さらに、本実施例では、
断面コ字状の凹部10aと断面四角形状の凸部11bと
を噛み合わせた構成を採用しているため、フライホイー
ルの回転によってダンパマス11に遠心力が加わって
も、凹部10aに凸部11bが食い込むこともないか
ら、ダンパマス11のスムーズな転動を妨げるようなこ
ともない。
【0021】ここで、本実施例にあっては、凹部10a
及び凸部11bによって、案内レール構造が構成され
る。図6は本発明の第2実施例を示す図であり、上記第
1実施例で説明した図3に対応するものである。なお、
上記第1実施例と同等の部材及び部位には、同じ符号を
付しその重複する説明は省略する。
【0022】即ち、本実施例では、ダンパマス11の周
面11aと接触する転動室3の転動面10全体を凹部1
0aとするとともに、転動室構成体2側の側面3aとフ
ライホイール本体1側の側面3bとを凹陥させてこれら
側面3a,3bをダンパマス11から遠ざけている。従
って、ダンパマス11の周面11a全体が凸部11bと
なる。
【0023】この結果、凹部10a及び凸部11bの噛
み合いによってダンパマス11の横方向への動きが規制
されることになるから、上記第1実施例と同等の作用効
果が得られる。さらに、本実施例にあっては、転動室3
内の転動面10全体を凹部10aとしているため、転動
室構成体2をフライホイール本体1から取り外した状態
では、転動室3の開口部の径が最も大きいため、転動室
3はプレス加工で成形することができる。つまり、上記
第1実施例の構成では凹部10aはNC機械によって加
工する必要があるため、これに比較して本実施例の構成
であればコストの低減が図られるという利点がある。
【0024】図7及び図8は本発明の第3実施例を示す
図であり、この実施例では、フライホイール本体1の周
面の凹陥部をリング形状の薄板でなるカバー4で封止す
ることにより、転動室3を形成している。そして、転動
室3の側面3a(即ち、カバー4の内面のうち転動室3
を画成する部分)及び側面3bには、転動室3の平面形
状を表す図8からも判るように、転動面10のうちダン
パマス11が遠心振り子運動をする際に転動面となる径
方向外側の部分に沿って三日月状の肉厚部15a,15
bが形成されていて、これら肉厚部15a,15bで挟
まれた部分が凹部10aとなっている。
【0025】なお、ダンパマス11が遠心振り子運動を
する際に転動面となる部分は、このフライホイール本体
1が取付けられる回転駆動系に生ずる回転変動の大きさ
によって異なるため一概には特定できないが、例えば、
転動面10表面の法線ベクトルが径方向内側を向く成分
を有する範囲をダンパマス11が遠心振り子運動をする
際に転動面となる部分と考えればほとんどの場合は十分
である。
【0026】一方、ダンパマス11は、上記第2実施例
と同様に、その周面11a全体が凸部11bとなり、凹
部10a及び凸部11bによって案内レール構造が構成
されている。このような構成であれば、凹部10a及び
凸部11bの噛み合いによってダンパマス11の横方向
への動きが規制されることになるから、上記第1実施例
と同等の作用効果が得られる。
【0027】しかも、本実施例の構成であれば、図8に
斜線で示すように、凹部10a及び凸部11bの側面間
で接触する部分は、ダンパマス11が転動する際の瞬間
回転中心Xの近傍の狭い領域のみとなるため、ダンパマ
ス11の転動を阻止する方向に発生する摩擦力が小さく
なり、ダンパマス11の遠心振り子運動に対して作用す
る減衰力が小さくなる。この結果、ダンパマス11は、
その目的とする遠心振り子運動にさらに近い挙動を示す
ようになるから、回転変動低減性能がさらに向上すると
いう利点がある。
【0028】図9及び図10は本発明の第4実施例を示
す図であり、この実施例でも上記第3実施例と同様にフ
ライホイール本体1の周面の凹陥部をリング形状の薄板
でなるカバー4で封止することにより、転動室3を形成
している。そして、本実施例では、上記第1実施例とは
逆に、転動室3の転動面10に凸部11bを形成し、こ
れに噛み合うようにダンパマス11の転動面11aに凹
部10aを形成し、これら凸部11b及び凹部10aに
よって案内レール構造が構成されている。凸部11b及
び凹部10aの噛み合い状態等は上記第1実施例と同様
である。
【0029】ただし、凸部11bは、転動室3の平面形
状を表す図10からも判るように、転動面10の周方向
全体に形成されているのではなく、転動面10のうちダ
ンパマス11が遠心振り子運動をする際に転動面となる
径方向外側の部分にのみ形成されている。このような構
成であれば、凸部11b及び凹部10aの噛み合いダン
パマス11の横方向への動きが規制されることになるか
ら、上記第1実施例と同等の作用効果が得られるし、図
10に斜線で示すように、凹部10a及び凸部11bの
側面間で接触する部分は、ダンパマス11が転動する際
の瞬間回転中心Xの近傍の上記第3実施例よりもさらに
狭い領域のみとなるため、ダンパマス11の転動を阻止
する方向に発生する摩擦力がさらに小さくなり、ダンパ
マス11の遠心振り子運動に対して作用する減衰力がさ
らに小さくなる。この結果、ダンパマス11は、その目
的とする遠心振り子運動に極めて近い挙動を示すように
なるから、回転変動低減性能がさらに向上するという利
点がある。
【0030】図11及び図12は本発明の第5実施例を
示す図である。なお、本実施例の基本的な構成は上記第
3実施例と同等であるため、上記第3実施例と同等の部
材及び部位には同じ符号を付しその重複する説明は省略
する。即ち、本実施例では、ダンパマス11の形状が上
記第3実施例のそれとは異なっており、具体的には、ダ
ンパマス11の両側面をその周縁部を除いて凹陥させる
ことにより、ダンパマス11の両側面の周縁部にリング
状の突出部16a,16bを形成している。なお、突出
部16a,16bはその上面(転動室3の側面3a,3
bに対向する面)に丸みを持たせることにより、その断
面形状が半円状になっている。
【0031】このような構成であると、凹部10aの側
面と凸部11bの側面との接触部分は、瞬間回転中心X
の近傍における突出部16a,16bの丸みを帯びた上
面だけとなるから、ダンパマス11の転動を阻止する方
向に発生する摩擦力は極めて小さくなり、ダンパマス1
1の遠心振り子運動に対して作用する減衰力は極めて小
さくなる。この結果、ダンパマス11は、その目的とす
る遠心振り子運動にさらに極めて近い挙動を示すように
なるから、回転変動低減性能がさらに向上するという利
点がある。
【0032】なお、本実施例のようなダンパマス11を
用いる場合、転動室3の両側面3a,3bに肉厚部15
a,15bを設けることなく、例えばダンパマス11の
幅方向の寸法を大きくして転動室3の両側面3a,3b
とダンパマス11の側面との間の距離を狭くしてもよ
い。これは、本実施例ではダンパマス11側面の面積が
極めて小さくなっていることと等価であるため、ダンパ
マス11側面が転動室3の側面3a,3bに直接接触す
るようにしても、ダンパマス11の遠心振り子運動を極
端に妨げるような大きな摩擦力は発生しないからであ
り、転動室3の両側面3a,3bとダンパマス11の側
面との間の距離が短ければ、ダンパマス11は大きく蛇
行することはできないから、大きな衝撃音は発生せず騒
音レベルの低減も図られるからである。しかも、肉厚部
15a,15bの形成が不要であれば、その分製造コス
トの低減も図られる。
【0033】図13は本発明の第6実施例を示す図であ
り、この実施例の特徴は、転動室3の構造にある。即
ち、図13はフライホイール本体1に形成された転動室
3の構造を示す一部破断斜視図であって、このフライホ
イール本体1の肉厚の薄い周縁部1Aには、転動室3が
形成される位置に対応して周面を貫通する貫通孔18が
形成されている。
【0034】また、周縁部1Aの両面には、薄いリング
状の板からなる薄板部材20a,20bが固定されてお
り、これら薄板部材20a,20bには、貫通孔18を
両側から挟み込むように略円柱状に外側に突出するよう
にハウジング部材21a,21bが一体に形成されてい
る。ハウジング部材21a,21bのそれぞれの周縁部
1A側の面には、転動室3の平面形状(図8参照)に凹
んだ凹陥部22a,22bが形成されている。よって、
貫通孔18を両側からハウジング部材21a,21bで
挟み込むと、貫通孔18及び凹陥部22a,22bに囲
まれた閉空間が形成され、ここに転動室3が形成され
る。
【0035】そして、本実施例では、貫通孔18の中心
を凹陥部22a,22bの中心よりも若干径方向内側に
ずらすことにより、貫通孔18内周面のうち径方向外側
の部分が凹陥部22a,22bよりも径方向内側に突出
する段差を積極的に形成していて、その段差を転動室3
側の案内レール構造となる凸部11bとしている。従っ
て、凸部11bは転動室3の転動面10のうちダンパマ
スが遠心振り子運動をする際に転動面となる部分にのみ
形成され、また、この転動室3に収容されるダンパマス
は上記第4実施例で説明したような形状となる。
【0036】つまり、本実施例の構成であれば、案内レ
ール構造としての凸部11bを、貫通孔18aと凹陥部
22a,22bとの位置関係を適宜選定することにより
容易に形成することができるのであり、NC加工等の複
雑でコストもかかる加工技術を用いる必要がなくなり、
製造コストの削減に貢献できる。そして、ダンパマスの
重心位置を取り囲むようにその転動面にダンパマス側の
案内レール構造としての凹部を形成するとともに、ハウ
ジング部材21a,21bを含む薄板部材20a及び2
0bを同規格の部材とすると、フライホイール本体1の
両面間で質量が均等となるから、フライホイール本体1
の回転中にダンパマス及び薄板部材20a,20bに発
生する遠心力はフライホイール本体1をフライホイール
本体1の面内方向に引っ張るように作用するようになる
ため、フライホイール本体1に曲げモーメントが作用し
ないという利点がある。
【0037】従って、フライホイール本体1の全体の肉
厚を薄くする等してその軽量化を図ることができ、重量
に略比例する慣性能率を小さくできるという利点があ
る。図14は本発明の第7実施例を示す図であり、この
実施例も上記第6実施例と同様に、転動室3の構造に特
徴がある。即ち、本実施例の構造は上記第6実施例と略
同様であるが、貫通孔18の中心と凹陥部22a,22
bの中心とをずらすのではなく、貫通孔18を凹陥部2
2a,22bよりも大きくすることにより段差を形成し
ている。つまり、貫通孔18をハウジング部材21a,
21bで挟み込むと、貫通孔18と凹陥部22a,22
bとの間には貫通孔18側が凹むような段差が形成され
るのであり、この段差を転動室3側の案内レール構造と
なる凹部10aとしている。従って、この転動室3に収
容されるダンパマスは上記第1実施例で説明したような
形状となる。本実施例の効果は上記第6実施例と同じで
ある。
【0038】なお、貫通孔18と凹陥部22a,22b
との間に段差を形成する方法は上記第6実施例又は第7
実施例で説明した方法に限定されるものではなく、例え
ば、貫通孔18の形状自体を凹陥部22a,22bの形
状と異ならせることによっても可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
転動室の転動面及びダンパマスの転動面に、ダンパマス
の転動を妨げないようにダンパマスの横方向への動きを
規制する断面コ字状の凹形状と断面四角形状の凸形状と
を噛み合わせた案内レール構造を形成したため、ダンパ
マスのスムーズな転動が確保され良好な回転変動低減効
果が発揮されるとともに、騒音レベルの低減も図られる
し、しかも凹形状の部分に凸形状の部分が食い込んでダ
ンパマスのスムーズな転動を妨げるようなこともない
いう効果がある。
【0040】特に、請求項2記載の発明であれば、ダン
パマスの転動を阻止する摩擦力を小さくすることができ
るので、ダンパマスは、その目的とする遠心振り子運動
により近い挙動を示すようになり、より高い回転変動低
減効果を得ることができるという効果がある。また、請
求項3記載の発明であれば、転動室側の案内レール構造
を複雑で高価な技術を用いることなく実現できるから、
製造コストの削減に貢献できるという効果がある。
【0041】さらに、請求項4記載の発明であれば、ダ
ンパマス側面と転動室側面との間の接触面積が小さくな
るため、それらの間の接触部で発生する摩擦力が小さく
なり、ダンパマスのスムーズな転動が確保され良好な回
転変動低減効果が発揮されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるフライホイールの
平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】エンジン回転速度と回転変動レベルとの関係を
表すグラフである。
【図5】騒音レベルの周波数特性図である。
【図6】本発明の第2実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図7】本発明の第3実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図8】第3実施例の転動室の形状を示す平面図であ
る。
【図9】本発明の第4実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図10】第4実施例の転動室の形状を示す平面図であ
る。
【図11】本発明の第5実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図12】第5実施例の転動室の形状を示す平面図であ
る。
【図13】本発明の第6実施例の構成を示す一部判断斜
視図である。
【図14】本発明の第7実施例の構成を示す一部判断斜
視図である。
【図15】ダンパマスの振り子運動によってトルク変動
を低減するための条件を説明する図である。
【図16】ダンパマスの実際の転動状況を説明する図で
ある。
【符号の説明】
1 フライホイール本体 2 転動室構成体 3 転動室 10 転動面 10a 凹部 11 ダンパマス 11a 周面(転動面) 11b 凸部 15a,15b 肉厚部 16a,16b 突出部 18 貫通孔 20a,20b 薄板部材 21a,21b ハウジング部材 22a,22b 凹陥部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 一郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−351346(JP,A) 特開 平5−118383(JP,A) 特開 平6−58373(JP,A) 実開 昭59−196752(JP,U) 実開 昭57−145847(JP,U) 実開 昭59−128943(JP,U) 実開 昭61−96033(JP,U) 実開 昭60−65449(JP,U) 実開 平2−19951(JP,U) 特公 昭28−2057(JP,B1) 特公 昭49−12753(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フライホイール本体に転動室を形成し、
    その転動室にダンパマスを転動可能に収容するフライホ
    イールにおいて、前記転動室の転動面及び前記ダンパマ
    スの転動面に、互いに噛み合うように一方が断面コ字状
    の凹形状で他方が断面四角形状の凸形状をなし且つ前記
    ダンパマスの転動方向に連続する案内レール構造を形成
    したことを特徴とするフライホイール。
  2. 【請求項2】 転動室には、ダンパマスが遠心振り子運
    動をする際に転動面となる範囲にのみ案内レール構造を
    形成する請求項1記載のフライホイール。
  3. 【請求項3】 転動室を、フライホイール本体の周面を
    貫通する貫通孔と、凹陥部を有し且つその凹陥部を内側
    に向けた状態で前記貫通孔を両側から挟み込む一対のハ
    ウジング部材とで形成するとともに、前記貫通孔の内周
    面と前記ハウジング部材の凹陥部との段差によって前記
    転動室側の案内レール構造を形成する請求項1又は請求
    項2記載のフライホイール。
  4. 【請求項4】 前記ダンパマスをコロ状のダンパマスと
    し、そのダンパマスの両側面を、その周縁部を除いて凹
    陥させた請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフラ
    イホイール。
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