JP3052822B2 - 微小スパングル溶融Zn−Al系合金めっき鋼板とその製法 - Google Patents

微小スパングル溶融Zn−Al系合金めっき鋼板とその製法

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JP3052822B2
JP3052822B2 JP8022786A JP2278696A JP3052822B2 JP 3052822 B2 JP3052822 B2 JP 3052822B2 JP 8022786 A JP8022786 A JP 8022786A JP 2278696 A JP2278696 A JP 2278696A JP 3052822 B2 JP3052822 B2 JP 3052822B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、家電、自動
車等に使用するのに適した、微小スパングル模様の意匠
性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Zn−Al系合金めっきは、鋼板の耐食
性と耐候性を改善するために被覆されるものであるが、
近年その適用量が増大している。代表的なものに、溶融
亜鉛めっき (Al<0.2%) 、Zn−5%Al合金めっき、Zn−
55%Al合金めっき等がある。
【0003】中でも、Zn−55%Al合金めっき鋼板は、ア
ルミニウムのもつ耐久性、耐熱性、熱反射性と、亜鉛の
もつ犠牲防食性とを併せもった高性能のめっき鋼板とし
て、建材、家電、自動車部品などに広く使用されてい
る。このめっき鋼板は、代表的には、重量%でAl:55
%、Zn:43.4%、Si:1.6 %からなる溶融めっき浴を用
いて製造される。AlとZnの割合は耐食性を考慮して決定
され、Siは、めっき密着性を阻害する鋼素地との合金反
応を抑制するために添加される。
【0004】このZn−55%Al合金めっき鋼板は、Al含有
率が少ない他のZn−Al合金めっき鋼板とは異なり、めっ
き表面が特徴的な銀白色のスパングル模様を呈し、その
意匠性から生地のままで、商工業用および一般用建造物
の屋根・壁等、或いは器物などに広く利用されている。
【0005】Zn−55%Al合金めっき鋼板のめっき表面の
スパングルの粒径は、溶融めっき条件、特に溶融めっき
後の凝固速度に応じて変動するが、一般に平均で約0.8
mm以上であり、目視でスパングル模様を識別することが
できる。しかし、用途によっては、スパングル模様が目
視で識別できない、即ち、平均スパングル粒径が0.7mm
以下の微小スパングル(ミニマムスパングルまたはゼロ
スパングル) が好まれる場合がある。
【0006】一般に溶融めっき鋼板のスパングル粒径
は、溶融めっき後の強制冷却時の風量を増大させて、冷
却速度 (従って、めっき皮膜の凝固速度) を高めると小
さくなることが知られている。しかし、このようにめっ
き後に急冷しても、Zn−55%Al合金めっき鋼板の平均ス
パングル粒径を安定して0.8 mmより小さくすることは困
難であった。しかも、急冷により、めっき皮膜中の残留
応力が増加し、めっき皮膜が脆くなり、その加工性が低
下する上、母材鋼板自体にも、急冷により硬化や時効劣
化の増大などが起きて、成形性、加工性が悪影響を受け
る。
【0007】溶融めっき鋼板のスパングルに関しては、
めっき皮膜が凝固した後スキンパス圧下を行ってスパン
グル模様を消去することも行われてきたが、この方法だ
けでスパングルを消去しようとすると、スパングル残り
による外観劣化、塗装後の外観むらを生じ易い。また、
めっき皮膜がスキンパスロールにピックアップされるこ
とによる疵発生が起こり易い、ユーザーにおけるプレス
加工時にスパングル模様が浮き出やすい、といった問題
もある。
【0008】さらに、溶融めっき鋼板のめっき直後の未
凝固のめっき面に、固体または液体の微粒子を吹付け
て、多数の凝固核を均一に発生させると共に急冷するこ
とにより、スパングルを微細化する技術も種々提案され
ている (溶融アルミニウムめっき鋼板については、例え
ば、特開昭50−38638 号公報、特開昭63−143249号公
報、特開昭63−153255号公報などを参照) 。
【0009】この方法を採用すれば、Zn−55%Al合金め
っき鋼板のめっき表面の平均スパングル粒径を0.8 mmよ
り小さくすることは可能であるが、急冷に伴う前述した
めっき皮膜の脆化や母材自体の時効劣化等の問題は依然
として解決され得ない。また、この方法は慣用の溶融め
っき設備に微粒子の吹付け装置を付加する必要があり、
コスト高になる。
【0010】特開昭59−56570 号公報には、めっき浴中
にSi:3〜15wt%と共にMg:3〜20wt%を添加すること
からなる、スパングルが非常に微細で耐食性に優れた溶
融Zn−Al合金めっき鋼板が記載されている。しかし、比
較的多量のSiとMgがめっき皮膜中に共存するため、この
めっき鋼板には皮膜中のSiおよびMgの析出による加工性
の劣化という問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、めっ
き皮膜中にMgのような他元素を存在させずに、成形性や
加工性が良好で、微細なスパングルを持った意匠性に優
れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板を提供することである。
【0012】本発明の別の目的は、めっき皮膜や鋼板の
成形性や加工性を損ない、現状の溶融めっき設備の変更
が必要となる微粒子の吹付けを行わずに、Alキルド冷延
鋼板上に微細なスパングルを持った溶融Zn−Al合金めっ
き皮膜を形成することができる、溶融Zn−Al合金めっき
鋼板の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】溶融Zn−Al合金めっき鋼
板は、溶融亜鉛めっきに使用されるような慣用の連続溶
融めっき設備により一般に製造される。代表的な連続溶
融めっき設備では、連続焼鈍炉で焼鈍した母材鋼板 (冷
延鋼板または熱延鋼板) を、スナウトを経て大気に触れ
ることなく溶融めっき浴中に浸漬し、めっき浴から出た
直後にガスワイピングにて所望のめっき付着量に制御
し、冷却ゾーン (通常、空冷) で凝固が完了する温度
(Zn−55%Al合金めっきでは約370 ℃) 以下まで冷却し
た後、必要によりレベラーまたはスキンパスロールで軽
く圧下して巻き取る。
【0014】本発明者らは、このような従来のめっき設
備をそのまま利用して溶融Zn−Al合金めっき皮膜のスパ
ングルを微細化する手段について鋭意検討した結果、Al
キルド鋼を特定の条件下で熱間圧延および冷間圧延した
後、得られた冷延鋼板を母材として、特定条件下で連続
焼鈍し、次いでSi含有量を抑えたAl−Zn合金溶融浴中で
溶融めっきを行うことにより、平均スパングル粒径が0.
7 mm以下の微細なスパングルを持っためっき皮膜を形成
することができることを見出した。
【0015】ここに、本発明は、めっき後空冷により得
られた、Al:40〜70wt%およびSi:0.5〜1.5 wt%を含
有し、めっき表面の平均スパングル粒径が0.7 mm以下の
Zn−Al系合金めっき皮膜を有する、加工性、耐食性、そ
して意匠性にすぐれた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板であ
る。
【0016】上記の溶融Zn−Al合金めっき鋼板は、それ
ぞれ低炭素または極低炭素Alキルド鋼スラブから、下記
またはの方法により製造することができる。 C:0.02〜0.08wt%の低炭素Alキルド鋼スラブを、仕
上げ温度840 ℃以上、880 ℃以下で熱間圧延し、550 ℃
以下で巻取った後、70%以上の冷間圧延率で冷間圧延
し、連続焼鈍により650 ℃以上750 ℃以下で再結晶させ
た冷延鋼板を、Al:40〜70wt%およびSi: 0.5〜1.5 wt
%を含有するAl−Zn系合金溶融浴中でめっきを行うこと
を特徴とする、平均スパングル粒径が0.7 mm以下のめっ
き表面を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方
法。
【0017】C:0.006 wt%以下の極低炭素Alキルド
鋼スラブを、仕上げ温度860 ℃以上、900 ℃以下で熱間
圧延し、550 ℃以下で巻取った後、70%以上の冷間圧延
率で冷間圧延し、連続焼鈍により750 ℃以上850 ℃以下
で再結晶させた冷延鋼板を、Al:40〜70wt%およびSi:
0.5〜1.5 wt%を含有するAl−Zn系合金溶融浴中でめっ
きを行うことを特徴とする、平均スパングル粒径が0.7
mm以下のめっき表面を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼
板の製造方法。
【0018】上記Zn−Al系合金めっき皮膜およびZn−Al
合金溶融浴は、めっき皮膜の加工性の一層の向上を目的
として、Zr、Hf、Vの1種もしくは2種以上を各0.01〜
0.4wt%、および/またはTiを0.40wt%以下、さらに含
有していてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。なお、以下の説明においては、%は特に指定のな
い限りwt%である。
【0020】(めっき皮膜および浴組成)めっき浴組成を
Al:40〜70%およびSi: 0.5〜1.5 %とする。所望によ
り、めっき浴中にさらに、Zr、Hf、Vの1種もしくは2
種以上:合計で0.01〜0.4 %、および/またはTi:0.40
%以下を含有させてもよい。めっき浴の残部は、亜鉛お
よび不可避不純物である。めっき皮膜の組成は、めっき
浴組成と実質的に同一となる。
【0021】Al:Al含有率は40〜70%、好ましくは50〜
60%とする。Al含有率が40%未満では、浴の溶融温度が
低下し、めっき皮膜の凝固開始温度が500 ℃以下になる
ため、凝固完了までの時間が増大し、スパングル径が大
きくなり、平均で0.7 mm以下のスパングル径とすること
が困難となる。その上、相対的に皮膜中のZn含有率が増
加するため、スパングルを形成するAlデンドライト相が
減少し、スパングル自体が不明瞭になって、本発明で目
的とする微細なスパングルにより与えられる美麗な外
観、即ち、目的とする意匠性が得られなくなる。さら
に、めっき層中のZnリッチ相が増大し、粒界腐食の助長
や選択腐食の促進により、耐食性も劣化する。一方、Al
含有率が70%を超えると、Alリッチ相が増大するため、
Znの犠牲防食性が小さくなり、耐食性が再び低下する。
【0022】Si:Siは、めっき皮膜−母材界面に生成す
る脆いFe−Al合金層の発達を抑制するために従来よりZn
−Al合金めっき浴に添加されてきた。前述したように、
Zn−55%Al合金溶融めっきでは、この目的で1.6 %程度
のSiを含有させるのが普通であった。本発明では、次に
述べる理由により、Si含有率を 0.5〜1.5 %に抑える。
【0023】Al含有率が40〜70%のZn−Al合金層の結晶
形態は、等軸晶および柱状晶の混合状態であり、スパン
グル径はAlリッチの一次デンドライト結晶の成長度に関
係する。通常、Alデンドライト結晶は、板面に対して平
行に成長するが、合金層の成長度が増すと、合金層の影
響を受けて板面と垂直方向に成長するようになり、同時
にスパングルの核発生量も増大して、スパングルが微細
化することが判明した。即ち、板面と垂直方向のAlデン
ドライト結晶の成長と核発生量の増大が起こるように、
合金層をある程度成長させる方が、スパングルは微細化
するのである。このように合金層の厚みと形態を制御
し、スパングル径を小さくするために、本発明ではSi含
有率を 0.5〜1.5 %、好ましくは 0.7 〜1.2 %とす
る。
【0024】Si含有率が1.5 %を超えると、めっき時に
めっき皮膜−母材界面に形成されるFe−Al−Si合金層の
成長が抑制されすぎ、この合金層が薄く均一に成長する
ため、核発生が少なくなる上、めっき皮膜中のAlデンド
ライト結晶が板面と平行方向にのみ成長するようにな
り、スパングル径が増大する。一方、Si含有率が0.5 %
未満では、Fe−Al−Si合金層が不均一に生成し、さらに
この合金層が成長しすぎて非常に厚くなり、めっき皮膜
の加工性が著しく劣化する。
【0025】Zr、Hf、V:これらの元素は、めっき皮膜
の加工性をさらに向上させるために、必要に応じてZn−
Al合金めっき皮膜中に含有させてもよい。加工性の改善
は、添加元素がめっき皮膜中で均一に分散し、皮膜中に
析出するSiを球状化し、加工時のめっき皮膜中の応力集
中を緩和することで達成される。
【0026】これらの元素を添加する場合、それぞれ0.
01〜0.4 %、好ましくは0.05〜0.2%の範囲の量で含有
させる。その添加量が0.01%以下では、均一分散による
皮膜の均質化の効果が少なく、また0.4 %超を超える
と、皮膜均質化の効果が飽和するばかりでなく、操業時
のめっき浴からのドロス発生量が増大し、めっき品質と
コストの悪化を招く。
【0027】Ti:Tiはめっき皮膜表面の核発生増大の目
的で、必要に応じてZn−Al合金めっき皮膜中に0.40%以
下の量で含有させることができる。Tiの添加量が0.40%
を超えると、皮膜均質化の効果が飽和するばかりでな
く、操業時のめっき浴からのドロス発生量が増大し、め
っき品質とコストの悪化を招く。Tiを添加させる場合の
好ましい添加量は 0.001〜0.20%である。
【0028】(スパングル径)Al含有率が40〜70%のZn−
Al合金めっき皮膜の表面に現れるスパングルとは、図1
に示すように、核から伸びているAlリッチの一次デンド
ライト結晶 (Al一次デンドライト晶) に囲まれた領域で
ある。従って、この領域の径がスパングル径である。な
お、この一次デンドライト晶から伸びているのが、Al二
次デンドライト晶である。
【0029】本発明におけるスパングル径の測定は、め
っき鋼板の表面拡大写真 (例えば3倍拡大) を用いて、
一定距離 (例えば100 mm) 間のスパングル個数を測定す
ることにより行われ、 [測定距離/スパングル個数] に
より平均スパングル径が算出される。
【0030】平均スパングル径が0.7 mmより大きいと、
目視でスパングル模様が識別可能となり、本発明で目的
とする微細なスパングルによる意匠性を得ることができ
ない。一方、平均スパングル径が0.7 mm以下では、目視
でのスパングル模様の識別が困難となり、本発明で目的
とする微細なスパングルからなる美麗なめっき表面を持
った意匠性を得ることができる。
【0031】本発明の方法によれば、C:0.02〜0.08wt
%の低炭素Alキルド鋼スラブまたはC:0.006 wt%以下
の極低炭素Alキルド鋼スラブを素材として、これを特定
の条件下で熱間圧延および冷間圧延した後、得られた冷
延鋼板を母材とし、特定条件下で連続焼鈍し、次いで上
記組成のAl−Zn合金溶融浴中で溶融めっきを行うことに
より、平均スパングル粒径が0.7 mm以下の微細スパング
ルのめっき表面を持った溶融Zn−Al合金めっき鋼板が製
造される。
【0032】(熱間圧延の仕上げ温度)熱間圧延の仕上げ
温度が、低炭素Alキルド鋼で840 ℃未満、極低炭素Alキ
ルド鋼で860 ℃未満では、α域圧延になり、結晶粒が粗
大化する結果、細粒を得ることが困難である。また、こ
の仕上げ温度が低炭素Alキルド鋼で880 ℃超、極低炭素
Alキルド鋼で900 ℃超では、γ粒が大きくなり、やはり
結晶粒の細粒を得ることが困難である。
【0033】(熱間圧延後の巻取温度)熱間圧延した鋼板
の巻取温度が550 ℃を超えると、低炭素Alキルド鋼と極
低炭素Alキルド鋼のいずれにおいてもα粒が成長し、結
晶粒を細粒とすることが困難である。この巻取温度は好
ましくは 500℃以下とする。
【0034】(冷間圧延率)熱間圧延後に行う冷間圧延で
の圧延率が70%未満では、再結晶時の核発生量が少ない
ために再結晶粒が大きくなり、細粒を得ることが困難で
ある。好ましい冷間圧延率は75%以上である。
【0035】(連続焼鈍温度)冷間圧延により得られた冷
延鋼板を母材として、連続焼鈍を行った後、上記組成に
調整した溶融めっき浴に浸漬して溶融Zn−Al合金めっき
を施す。焼鈍雰囲気は、NH3 を熱分解して得られるN2
H2の混合ガス雰囲気が好ましい。
【0036】連続焼鈍温度が、低炭素Alキルド鋼で650
℃未満、極低炭素Alキルド鋼で750℃未満では、再結晶
が起こらない。一方で、連続焼鈍温度が低炭素Alキルド
鋼で750 ℃超、極低炭素Alキルド鋼で850 ℃超では、結
晶粒が粗大化し、細粒を得ることが困難となる。好まし
い連続焼鈍温度は、低炭素Alキルド鋼では 650〜720
℃、極低炭素Alキルド鋼では 750〜800 ℃である。
【0037】以上の条件下で熱間圧延、冷間圧延、およ
び溶融めっき前の連続焼鈍を行うと、鋼板の結晶粒が細
粒となり、この上に上記の溶融Zn−Al合金めっきを施し
た際に、母材−めっき界面の粒界が多くなり、さらに上
述のようにめっき浴中のSi濃度を抑制することによっ
て、Alデンドライト晶の板面と垂直方向への成長の促進
(板面と平行方向の成長の抑制)とスパングルの核発生
の促進を図ることにより、0.7 mm以下という小さい平均
スパングル径を確保することが可能となる。
【0038】溶融めっき自体は、常法により実施すれば
よく、特に制限されない。Alを40〜70%含有する溶融Zn
−Al合金めっき浴の浴温は普通 530〜600 ℃である。連
続焼鈍した冷延鋼板は、外気に触れないように不活性雰
囲気下に保持されたスナウトを通す間に、この浴温付近
まで冷却され、溶融めっき浴に浸漬される。浴から出た
直後、ガスワイピングノズル等の慣用の付着量制御手段
により、めっき付着量を制御する。付着量は特に制限さ
れないが、通常は片面当たり35〜100 g/m2、好ましくは
45〜90 g/m2 である。溶融めっきは、普通には両面めっ
きであるが、周知の方法を利用して片面めっきとするこ
ともできる。
【0039】付着量を制御した後、めっき鋼板を冷却し
て、めっき皮膜を凝固させる。この時の冷却は、通常の
空冷でよく、従来の微細スパングル技術で採用されたよ
うな急冷 (例、送風量の極端な増大、水冷、微粒子の吹
付け等) を行う必要はない。従って、従来の連続溶融め
っき設備を改造する必要がない。通常の空冷でも、熱間
圧延、冷間圧延、めっき前の連続焼鈍の各条件、および
めっき浴組成を上記のように制御すれば、平均スパング
ル径が0.7 mm以下という微細スパングル表面を持った溶
融Zn−Al合金めっき皮膜を得ることができる。
【0040】冷却後、必要であれば、前焼鈍や溶融めっ
き中に生じた歪みを除去するために、めっき鋼板をレベ
ラーまたはスキンパスロールで軽く圧下してから巻き取
る。スパングルが粗大であると、この圧下時にスパング
ルが不均一になって外観が劣化し、或いは塗装あとの外
観むらを生ずる原因となっていた。しかし、本発明では
スパングルが微細化されているため、スキンパス圧下を
行っても、このような外観劣化や塗装時の外観むらがほ
とんどみられない。
【0041】
【実施例】
(実施例1)C:0.04%の低炭素Alキルド鋼スラブを、表
1に示す仕上げ温度および巻取温度で熱間圧延した後、
同じく表1に示す冷間圧延率で冷間圧延することによ
り、0.8 mm厚の冷延鋼板を得た。
【0042】この0.8 mm厚の冷延鋼板を、アルカリ脱脂
により表面清浄化した後、N2+H2ガス雰囲気の焼鈍炉で
表1に示す焼鈍温度において60秒の連続焼鈍を施し、続
いて表1に示した浴組成 (残部:亜鉛および不可避不純
物) の溶融Zn−Al合金めっき浴を用いて両面溶融めっき
を施し、ワイピングノズルで片面当たり80 g/m2 のめっ
き付着量に制御し、通常の空冷(送風量500 Nm3/分)に
より冷却して、溶融Zn−Al合金めっき鋼板を得た。
【0043】得られた溶融Zn−Al合金めっき鋼板の平均
スパングル径、加工性および耐食性を次のようにして評
価した結果を、総合評価と共に、表1に併せて示す。平均スパングル径 めっき表面の2倍拡大写真を用いて、100 mm長さ当たり
のスパングル個数を測定し、[100/スパングル個数] に
より平均スパングル径 (mm) を算出した。
【0044】加工性 めっき鋼板の試験片の 180°2T曲げ試験において、曲
げ部のめっき皮膜の割れ幅および割れ数をSEM (走査
型電子顕微鏡) で観察し、下記基準により評価した。 ×:割れ大、一部剥離あり、 △:割れ中、剥離なし、 ○:割れ小、剥離なし、 ◎:割れ極少、剥離なし。
【0045】耐食性 めっき鋼板の試験片の塩水噴霧試験 (JIS Z2371)を2500
時間行った後、赤錆発生面積率を目視判定により求め、
下記基準により評価した。 ×:50%以上の赤錆発生、 △:5〜50%の赤錆発生、 ○:5%以下の赤錆発生、 ◎:赤錆全くなし。
【0046】総合評価 ×:2項目以上×のもの、 △:1項目×のもの、 ○:1または2項目が○で、残りが◎のもの、 ◎:すべて◎のもの、 (但し、平均スパングル径0.7 mm以下を◎、0.7 mm超を
×とする)。
【0047】
【表1】
【0048】(実施例2)熱間圧延の素材として、C:0.
004 %の極低炭素Alキルド鋼スラブを用いた以外は、実
施例1と同様にして熱間圧延、冷間圧延、めっき前の焼
鈍、および溶融Zn−Al合金めっきを行った。熱間圧延の
仕上げおよび巻取り温度、冷間圧延率、焼鈍温度、およ
びめっき浴組成を表2にまとめて示す。得られた溶融Zn
−Al合金めっき鋼板の平均スパングル径、加工性および
耐食性を上記のように評価した結果を総合評価と共に、
表1に併せて示す。
【0049】
【表2】
【0050】表1および表2からわかるように、本発明
に従って溶融Zn−Al合金めっき鋼板を製造すると、平均
スパングル径が0.7 mm以下で、加工性や耐食性も良好で
あった。これに対し、めっき浴 (めっき皮膜) 中のAl含
有率が40%未満であるか、Si含有率が1.5 %を超える
と、平均スパングル径は1.0 mmを超え、スパングルが著
しく粗大となった。Al含有率が30〜70%の範囲外、また
はSi含有率が0.5 %未満では、加工性や耐食性が著しく
劣化した。また、めっき皮膜中の任意添加元素の添加量
が上限を超えたり、或いは各工程の条件が本発明の範囲
外では、いずれも鋼板の細粒化が不十分で、平均スパン
グル径を0.7 mm以下まで微細化することができず、また
加工性や耐食性も著しく或いはやや劣化した。
【0051】
【発明の効果】本発明により、従来の連続溶融めっき設
備を改造せずにそのまま利用して、加工性や耐食性を劣
化させることなく、ミニマムスパングル化された、意匠
性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板を得ることが可能
となる。
【0052】このめっき鋼板は、Zn−55%Al合金めっき
鋼板で代表される優れた耐食性と、過酷な曲げ加工に耐
える良好な加工性とを有しており、しかも目視で判別で
きない微細スパングルからなる意匠性の高い外観を有す
るため、塗装せずに生地のまま、建材、家電製品、その
他の器物などに使用できる。また、スパングルが微細で
あるため、塗装を施した後の外観むらが少ないので、自
動車車体のように塗装用途にも使用でき、それにより従
来の亜鉛めっき鋼板に比べてさらに高い耐食性を自動車
車体に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融Zn−Al合金めっき鋼板のスパングル (Al一
次デンドライト晶) を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき後空冷により得られた、Al:40〜
    70wt%及びSi: 0.5〜1.5 wt%を含有し、めっき表面の
    平均スパングル粒径が0.7 mm以下のZn−Al系合金めっき
    皮膜を有する、加工性、耐食性、そして意匠性にすぐれ
    た溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記Zn−Al系合金めっき皮膜がさらに、
    Zr、Hf、Vの1種もしくは2種以上を各0.01〜0.4 wt
    %、および/またはTiを0.40wt%以下含有する、請求項
    1記載の溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 C:0.02〜0.08wt%の低炭素Alキルド鋼
    スラブを、仕上げ温度840 ℃以上880 ℃以下で熱間圧延
    し、550 ℃以下で巻取った後、70%以上の冷間圧延率で
    冷間圧延し、連続焼鈍により650 ℃以上750 ℃以下で再
    結晶させた冷延鋼板を、Al:40〜70wt%およびSi: 0.5
    〜1.5 wt%を含有するAl−Zn系合金溶融浴中でめっきを
    行うことを特徴とする、平均スパングル粒径が0.7 mm以
    下のめっき表面を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 C:0.006 wt%以下の極低炭素Alキルド
    鋼スラブを、仕上げ温度860 ℃以上900 ℃以下で熱間圧
    延し、550 ℃以下で巻取った後、70%以上の冷間圧延率
    で冷間圧延し、連続焼鈍により750 ℃以上850 ℃以下で
    再結晶させた冷延鋼板を、Al:40〜70wt%およびSi:
    0.5〜1.5 wt%を含有するAl−Zn系合金溶融浴中でめっ
    きを行うことを特徴とする、平均スパングル粒径が0.7
    mm以下のめっき表面を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記Zn−Al系合金溶融浴がさらに、Zr、
    Hf、Vの1種もしくは2種以上を各0.01〜0.4 wt%、お
    よび/またはTiを0.40wt%以下含有する、請求項3また
    は4記載の方法。
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