JP3052400B2 - 反射防止膜被覆イットリア光学部品 - Google Patents
反射防止膜被覆イットリア光学部品Info
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Description
反射防止膜を有する可視及び赤外透過用のイットリア光
学部品に関する。
て結晶型が立方晶であるため、単結晶は言うに及ばず、
多結晶体においても結晶粒界での散乱がなく、複屈折を
示さないので、焼結体でも高密度に焼結すれば非常に高
い透光性を示すことが知られている。
率は可視光領域の0.3μm付近から高くなり、赤外光領域
である2〜6μm付近で最高になり、吸収係数で言えば上
記の広い波長領域で通常0.2cm-1以下である。又、機械
的強度、耐湿性、耐薬品性にも優れ、500℃以上の高温
においても機械的・光学的特性の低下が少ない。従っ
て、イットリアの焼結体は可視から赤外にわたる領域で
の透過型光学部品、例えば窓やレンズ等として非常に適
している。
1.80〜1.90であるから、表面での反射損失が多く、実際
の直線透過率はせいぜい82%程度である。そこで、光学
部品として用いるため更に直線透過率を高める場合に
は、透明な誘電体からなる反射防止膜を表面に形成する
のが通例である。
論によれば、反射防止膜の最適な膜構成は次式に基づい
て定められる: 単層の場合 振幅条件 n1 2=ns 位相条件 n1d1=λc/4 2層の場合 振幅条件 n1 2=n2 2ns 位相条件 n1d1=n2d2=λc/4 3層の場合 振幅条件 n1n3=n2 2=ns 位相条件 n1d1=n2d2=n3d3=λc
/4 但し、ni(i=1、2、3)は基材側からi番目の膜の屈
折率 nsは基材の屈折率 λcは目的とする光の中心波長 d(i=1、2、3)は基材側からi番目の膜の膜厚
も、可視光と赤外光の異なる2つの波長領域で高い直線
透過率を得ることは出来なかった。即ち、設計波長を赤
外光領域に設定すると可視光領域での直線透過率が高低
に振動し、可視光領域の大部分で90%以上の直線透過率
を達成することは到底出来なかった。一方、設計波長を
可視光領域に設定すると赤外光領域では反射防止膜の効
果が得られず、赤外光領域での直線透過率を90%以上に
向上させることは困難であった。
メラレンズ等で用いられている広帯域の反射防止膜はあ
るが可視領域だけであり、可視及び赤外の異なる2つの
波長領域で共に直線透過率が90%以上という反射防止膜
は殆ど知られていない。
事情に鑑み、可視光領域及び赤外光領域の異なる2つの
波長領域において、極めて高い直線透過率を示す反射防
止膜被覆イットリア光学部品を提供することを目的とす
る。
め、本発明における反射防止膜被覆イットリア光学部品
は、透光性イットリア基材の表面上に、該基材側から順
に屈折率1.55〜1.63の透明誘電体からなる第1反射防止
膜と、屈折率1.35〜1.40の透明誘電体からなる第2反射
防止膜とを備え、波長0.45〜0.80μmの可視光領域及び
波長3〜5μmの赤外光領域に対する直線透過率がいずれ
も90%以上であることを特徴とする。
折率×膜厚)は、目的とする可視光領域の中心波長をλ
CとするとλC/4のNi倍(Ni=1、2、3、…、8)とな
り得るが、可視光領域と同時に赤外光領域における透過
率も優れた値となるように光学的膜厚の範囲、並びに第
1及び第2反射防止膜の光学的膜厚の組み合わせを決定
する必要がある。そこで実際に、第1反射防止膜の屈折
率n1=1.63及び第2反射防止膜の屈折率n2=1.35の場
合について、上記Niの8通りの光学的膜厚の組み合わせ
を検討したところ、表1に◎で示した組み合わせのみが
可視光及び赤外光の両領域で90%以上の直線透過率を達
成することが判った。又、光学的膜厚は上記λC/4の
Ni倍に限らず、その値の前後数%の範囲(表1の註に
示す)においても同様の直線透過率が得られることが判
った。尚、屈折率n1とn2の他の組み合わせの場合も表
1と同じ結果が得られる。
おいては、基材側に屈折率1.55〜1.63の第1反射防止膜
及び表面側に屈折率1.35〜1.40の第2反射防止膜の合計
2層の反射防止膜を有し、各反射防止膜の光学的膜厚が
前記した通常の光学理論の位相条件だけでは説明できな
い組み合わせであっても、適切な組み合わせを選択する
ことによって、波長0.45〜0.80μmの可視光領域及び波
長3〜5μmの赤外光領域に対する直線透過率がいずれも9
0%以上という優れた透光性が得られる。
して、屈折率1.55〜1.63の第1反射防止膜については弗
化ランタン、弗化イットリウム、弗化セリウム、酸化ア
ルミニウム等があり、屈折率1.35〜1.40の第2反射防止
膜については弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カ
ルシウム等が好ましい。これらの誘電体材料は、通常の
真空蒸着法やスパッタリング法等により緻密で常に屈折
率の安定した膜として形成でき、又直径150mm以上の基
材に対しても均一な厚さに形成できるので、大口径の光
学部品としても適している。
成する第2反射防止膜は、直接外部と接触することにな
るので、特に耐湿性並びに外部からの保護作用に優れた
弗化マグネシウム又は弗化カルシウムが好ましい。
リア、即ち可視光領域の0.4μm付近から赤外光領域の5
μm付近までの広い波長領域にわたり、吸収係数が0.2cm
-1以下である単結晶又は多結晶であれば良い。又、イッ
トリア基材の形状については何等制限はなく、平板状の
ほか、ドーム或はレンズ等の様々な用途に対応した特殊
な形状であつてもよい。
に順番に、第1反射防止膜として弗化セリウム(光学的
膜厚0.156μm)、及び第2反射防止膜として弗化マグネ
シウム(光学的膜厚0.625μm)を成膜した。得られた反
射防止膜被覆イットリア光学部品の直線透過率を分光光
度計で測定したところ図1が得られ、波長0.45〜0.8μm
の可視光領域及び波長3〜5μmの赤外光領域で共に90%
以上であつた。
が、反射防止膜各層に剥離は生じなかつた。更に、試験
規格MIL-STD-810Cに基き、恒温恒湿槽を用いて温度71℃
及び相対湿度95%の条件で10日間の湿度サイクル試験を
行なつた。その後も直線透過率の低下は認められず、上
記剥離試験によつても層剥離は生じなかつた。
に順番に、第1反射防止膜として弗化セリウム(光学的
膜厚0.156μm)、及び第2反射防止膜として弗化カルシ
ウム(光学的膜厚0.625μm)を成膜した。得られた反射
防止膜被覆イットリア光学部品の直線透過率は図2の通
りであり、波長0.45〜0.8μmの可視光領域及び波長3〜5
μmの赤外光領域で共に90%以上であつた。
層剥離はなく、実施例1と同様の湿度サイクル試験後に
おいても直線透過率の低下は認められず、再度同じ剥離
試験を行っても層剥離は生じなかつた。
に順番に、第1反射防止膜として弗化ランタン(光学的
膜厚0.156μm)、及び第2反射防止膜として弗化マグネ
シウム(光学的膜厚0.625μm)を成膜した。得られた反
射防止膜被覆イットリア光学部品の直線透過率は図3の
通りであり、波長0.45〜0.8μmの可視光領域及び波長3
〜5μmの赤外光領域で共に90%以上であつた。
層剥離はなく、実施例1と同様の湿度サイクル試験後に
おいても直線透過率の低下は認められず、再度同じ剥離
試験を行っても層剥離は生じなかつた。
に反射防止膜として弗化マグネシウム(光学的膜厚1.00
μm)を1層のみ成膜し、得られた反射防止膜被覆イッ
トリア光学部品の直線透過率を測定したところ図4の通
りであり、波長3〜5μmの赤外光領域では90%以上であ
るが、波長0.45〜0.8μmの可視光領域では一部で90%に
達しなかつた。
に反射防止膜として弗化マグネシウム(光学的膜厚0.15
μm)を1層のみ成膜し、得られた反射防止膜被覆イッ
トリア光学部品の直線透過率を測定したところ図5の通
りであり、波長0.45〜0.8μmの可視光領域では90%以上
であるが、波長3〜5μmの赤外光領域では約82%に低下
した。
領域の異なる2つの波長領域において90%以上の極めて
高い直線透過率を示す反射防止膜被覆イットリア光学部
品を提供することが出来る。
可視・赤外透過用として有用であつて、最外層の第2反
射防止膜として弗化マグネシウム等の耐湿性及び保護作
用に優れた材料を使用すれば、悪環境下における使用に
耐え得る耐久性の可視・赤外透過用窓等として好適であ
る。
の直線透過率を示すグラフである。
の直線透過率を示すグラフである。
の直線透過率を示すグラフである。
の直線透過率を示すグラフである。
の直線透過率を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 透光性イットリア基材の表面上に、該基
材側から順に屈折率1.55〜1.63の透明誘電体からなる第
1反射防止膜と、屈折率1.35〜1.40の透明誘電体からな
る第2反射防止膜とを備え、波長0.45〜0.80μmの可視
光領域及び波長3〜5μmの赤外光領域に対する直線透過
率がいずれも90%以上であることを特徴とする反射防止
膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項2】 第1反射防止膜の光学的膜厚が0.14〜0.
16μmであり、第2反射防止膜の光学的膜厚が0.54〜1.1
4μmであることを特徴とする、請求項1記載の反射防止
膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項3】 第1反射防止膜の光学的膜厚が0.41〜0.
49μmであり、第2反射防止膜の光学的膜厚が0.54〜0.6
7μm又は0.82〜0.98μmであることを特徴とする、請求
項1記載の反射防止膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項4】 第1反射防止膜の光学的膜厚が0.54〜0.
67μmであり、第2反射防止膜の光学的膜厚が0.41〜0.4
9μmであることを特徴とする、請求項1記載の反射防止
膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項5】 第1反射防止膜の光学的膜厚が0.68〜0.
82μmであり、第2反射防止膜の光学的膜厚が0.14〜0.1
6μmであることを特徴とする、請求項1記載の反射防止
膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項6】 第1反射防止膜の光学的膜厚が0.82〜0.
98μmであり、第2反射防止膜の光学的膜厚が0.14〜0.1
6μm又は0.41〜0.49μmであることを特徴とする、請求
項1記載の反射防止膜被覆イットリア光学部品。 - 【請求項7】 第2反射防止膜が弗化マグネシウム又
は弗化カルシウムであることを特徴とする、請求項1記
載の反射防止膜被覆イットリア光学部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3049198A JP3052400B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | 反射防止膜被覆イットリア光学部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3049198A JP3052400B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | 反射防止膜被覆イットリア光学部品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04270189A JPH04270189A (ja) | 1992-09-25 |
JP3052400B2 true JP3052400B2 (ja) | 2000-06-12 |
Family
ID=12824307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3049198A Expired - Lifetime JP3052400B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | 反射防止膜被覆イットリア光学部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3052400B2 (ja) |
-
1991
- 1991-02-21 JP JP3049198A patent/JP3052400B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04270189A (ja) | 1992-09-25 |
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