JP3052181B2

JP3052181B2 - 建築用板

Info

Publication number: JP3052181B2
Application number: JP6282375A
Authority: JP
Inventors: 毅山本
Original assignee: 株式会社ノダ
Priority date: 1994-10-12
Filing date: 1994-10-12
Publication date: 2000-06-12
Anticipated expiration: 2015-06-12
Also published as: JPH08108503A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は階段用踏み板などに適し
た曲げ強度に優れた建築用板に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、階段用の踏み板などに使用される
建築用板は人が昇降する際の荷重に十分耐えられる強度
が要求されるため、その素材としては十分な強度を有す
るものを選択する必要があり、天然木の挽き材またはＬ
ＶＬ（ＬａｍｉｎａｔｅｄＶｅｎｅｅｒＬｕｍｂｅ
ｒ）などの曲げヤング率の優れた基板を芯材としてそ
の表裏面および側面に化粧単板を貼着したものが使用さ
れていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらの踏み板は、曲
げヤング率などの機械的強度においては優れた特性を有
するものの、含水率の変化に伴う反りなどの問題が生じ
やすいものであった。また、ＬＶＬを芯材とし表面に化
粧単板を貼着したものは、踏み板の長手方向における曲
げ強度が高くなるようにするため、ＬＶＬの単板の繊維
方向が踏み板の長手方向と平行となるように使用され、
その表裏面および側面に貼着する化粧単板も一般的には
長手方向と繊維方向が平行となるように貼着される。

【０００４】こうして得られた踏み板は芯材として使用
するＬＶＬの水分吸放出に伴う膨張収縮が大きく、その
表層部分では表面単板の導管溝、裏割れなどに起因して
干割れ現象が発生し、その干割れ現象が表面の化粧単板
に無数の干割れを起こし、品質の低下および意匠性の低
下などの問題を有していた。さらに木材の枯渇問題が深
刻となり自然保護の呼びかけが盛んになった現在、踏み
板として使用可能な挽き材を得ることはもとより、ＬＶ
Ｌなどの材料として使用する良質な単板を得ることも困
難となりつつある。

【０００５】このため、従来の挽き材またはＬＶＬなど
の芯材に変わる基材により同等の機械的強度を有し、加
えて寸法安定性および単板の干割れなどの問題の生じな
い建築用板が要求されていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者はこのような問
題点を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明に
到達したものである。すなわち本発明は、複数層からな
る配向性パーティクルボードの表裏面に繊維板が貼着さ
れて長方形状の積層板を形成し、該積層板の少な〈とも
表面に任意化粧が施され、前記配向性パーティクルボー
ドの表裏層の木材小片を積層板の長手方向と平行になる
ように配向するとともに、内部の少なくとも１層の木材
小片を積層板の長手方向と直交するように配向した建築
用に関する。

【０００７】図１は、本発明の建築用板の断面図の一例
を示すものであり、複数層からなる配向性パーティクル
ボード１の表裏面に繊維板２および３が貼着されてお
り、繊維板２の表面には化粧材４が貼着されている。図
１の配向性パーティクルボード１は表面側１ａと裏面側
１ｂの層の木材小片が積層板の長手方向と平行に配向さ
れ、これに対し中心層１ｃの木材小片が直交に配向され
た３層からなる配向性パーティクルボードを示してい
る。

【０００８】本発明の建築用板を形成する配向性パーテ
ィクルボ−ドは、ストランド、ウェーハーまたはスティ
ックなどの木材小片を原料として接着剤をもって成形執
圧した密度０．５〜０．９ｇ／ｃｍ^３のものであり、木
材小片をフォーミングする際に一定の配向となるよう
に、しかも一定の配向性をもった木材小片の層を複数層
設けた配向性パーティクルボードであり、少なくとも一
方の方向の曲げヤング率が４８０００Ｋｇ／ｃｍ^２以上
の曲げ強度を有するものを使用する。このような配向性
パーティクルボードとしては具体的にはオリエンテッド
・ストランド・ボード（ＯｒｉｅｎｔｅｄＳｔｒａｎ
ｄｂｏａｒｄ）、オリエンテッド・ウェファー・ボード
（ＯｒｉｅｎｔｅｄＷａｆｅｒｂｏａｒｄ）、オリエ
ンテッド・スティック・ボード（ＯｒｉｅｎｔｅｄＳ
ｔｉｃｋｂｏａｒｄ）などが挙げられる。

【０００９】また、これらの配向性パーティクルボード
を形成する複数層の配向の例としては、３層から形成さ
れるものであれば図１に示すように表裏の２層１ａ，１
ｂを平行配向とし、これに対し中心層１ｃを直交配向と
したもの、４層から形成されるものであれば、表面側か
ら第１層と第４層とを平行配向とし、第２層と第３層と
を直交配向したもの、また５層から形成されるものであ
ればこれに対し、表面側から第１層、第３層、第５層と
を平行配向としこれに対し第２層と第４層とを直交配向
としたものなど、または前記配向において直交配向とし
た層の木材小片をランダムにしたものを使用することが
できる。

【００１０】本発明においてはこのような複数層からな
る配向性パーティクルボードの少なくとも表裏層の木材
小片の配向が長方形状の積層板の長手方向と平行となる
ように使用することにより、特に長手方向の曲げヤング
率の優れた建築用板が得られる。また、その間に直交配
向の層を設けることにより、長手方向に対し直交する方
向における曲げヤング率も優れ、さらに、得られる建築
用板の寸法安定性においても優れたものとなり好まし
い。

【００１１】また、本発明の繊維板として使用できるも
のは、松、杉、桧などの針葉樹材または、ラワン、カポ
ール、栗、ポプラなどの広葉樹材の原木、または廃材を
切削した木材チップを常法により解繊して得られる木質
繊維を圧締成形して得られるミディアムデンシティファ
イバーボードおよびハードファイバーボードが挙げられ
る。中でも表裏に硬質層を有する比重０．４５〜０．９
５の範囲の繊維板が好ましい。

【００１２】このような繊維板は単独で含水率１％当た
りの寸法変化率が長手方向と短手方向が均等で０．０３
〜０．０４％と優れた安定性を有し、表面平滑性にも優
れたものである。さらに、湿式法により得た繊維板で、
その加熱圧締の際の水分の移動および木質繊維に塗布さ
れた接着剤の塗布量などにより表裏近傍に他の部分に比
べ著しく比重の高い硬質層（黒色岩盤層）を有する繊維
板を該硬質層が表裏面に露出するようサンディングして
使用することが好ましい。

【００１３】このような繊維板を前記配向性パーティク
ルボードの表裏面に貼着することにより、配向性パーテ
ィクルボード単独では、表裏面における木材小片の含水
率変化に伴う膨張収縮の動きが、配向方向（木材小片が
有する繊維方向）に対して平行方向の寸法変化量に対し
直交方向への寸法変化が非常に大きなものとなるが寸法
安定性に優れた繊維板によりこの動きが抑制・吸収され
ることとなる。このため本発明の建築用板の表面に化粧
単板などを貼着しても化粧単板に干割れなどが生ずるこ
とがない。

【００１４】また、配向性パーティクルボードはその表
面に、原料となる木材小片の寸法に対応した凹凸がある
ため、この上に直接化粧単板、化粧紙、樹脂含浸紙、不
織布、紙、合成樹脂シートなどの化粧材を貼着すると、
前記凹凸が化粧表面にまで現れてしまうが、繊維板を貼
着することにより、繊維板が凹凸を吸収ししかもその表
面が平滑性に優れているため、優れた仕上がりが得られ
る。さらに表裏面に硬質層を有する繊維板を使用するこ
とにより表面硬度が高い建築用板となり、表面への鉄球
の落下試験、ハイヒールあるいはキャスターなどにより
局所的に荷重が加わっても凹みにくい特製を有するもの
となる。

【００１５】また、積層板の表面に形成する任意化粧と
しては、天然木材を切削して得られる天然突板、人工突
板およびそれら突板に不織布、紙、合成樹脂シートを裏
打ちした突板シートなどの化粧単板、あるいは化粧紙、
樹脂含浸化粧紙、合成樹脂製化粧シートなどの化粧材を
接着剤により貼着するものが挙げられる。またこれらの
化粧材は必要に応じ表面だけではなく裏面および側面に
貼着することもできる。例えば階段用踏み板として使用
する場合は、図２に示すように表面、裏面および踏み板
として使用する際の前面となる側面に化粧単板４ａ，４
ｂ，４ｃを貼着して使用する。

【００１６】さらに、裏面側の化粧が必要ない場合にお
いても表面側と裏面側のバランスを取るために表面側と
同一のシートを裏面側に裏打ちシートとして貼着するの
が好ましい。特に表面側に含水率により膨張収縮が生じ
やすい化粧単板を貼着した場合は、裏面側にも同一厚さ
の単板（以下裏打ち単板と称する。）を貼着することに
より、表裏面での単板の膨張収縮の動きが同様に起こ
り、例えば表面側で化粧単板が収縮する場合は裏面側で
も裏打ち単板が収縮し、しかもこの収縮力が等しいため
積層板に反りが生ずるのを防止することができる。

【００１７】また、仮に異なるシートを使用する場合、
そのシートのもつ物性（吸水性、吸湿性、吸水湿に伴う
膨張・収縮、乾燥に伴う収縮、引っ張り強度など）が同
じかあるいは近似したシートを用いることが好ましい。
また、一定の繊維方向を有する前記化粧単板を使用する
場合、単板の繊維方向に対して平行方向と直交方向の含
水率変化に伴う収縮膨張の量が大きく異なるという性質
を有する。

【００１８】このため、裏面に貼着する裏打ち単板も、
表面側の化粧単板と、同一構成、同一の厚さの裏打ち単
板を使用し、表面側の化粧単板の繊維方向と裏打ち単板
の繊維方向が平行となるように貼着することにより、表
面側の化粧単板と裏面側の裏打ち単板の含水率変化に伴
う収縮膨張の量および方向が等しくなり、建築用板とし
ての反りを防止することができる。

【００１９】また、本発明の建築用板において、配向性
パーティクルボード１と繊維板２，３との厚さの割合
は、配向性パーティクルボードの厚さが建築用板の５０
％以上、９０％未満の割合となるように形成する。この
ような割合とすることにより、図２に示すようにその表
裏面および側面に化粧単板４ａ，４ｂ，４ｃを貼着し、
階段用の踏み板として使用しても従来の挽き材またはＬ
ＶＬなどを使用したものと同等以上の曲げ強度を有する
ものとなる。

【００２０】また、前記割合の範囲内で繊維板の厚さは
１．８ｍｍ以上のものを使用する。この厚さを下回ると
建築用板の表面に配向性パーティクルボードの表面の凹
凸が現れやすく、化粧材を貼着した際の表面仕上げが良
好に行なうことができず好ましくない。

【００２１】また、これまでの説明は本発明の建築用板
を階段用の踏み板として使用する場合を例にあげ説明し
たが、本発明の建築用板は、その表面に任意化粧を施す
ことにより床板、棚板、野地板、カウンターなど十分な
曲げ強度が要求されしかも表面の意匠性においても優れ
た仕上げ状態が要求される場面において使用することが
できるものである。

【００２２】

【発明の効果】本発明の建築用板は、複数層からなる配
向性パーティクルボードの表裏に繊維板を貼着した長方
形状の積層板の、配向性パーティクルボードの表裏層の
木材小片の配向が積層板の長手方向と平行となるように
したため、長手方向の曲げ強度が特に優れ、階段用踏み
板などの非常に強い曲げ強度を要求される場面にも十分
使用が可能なものである。

【００２３】また、表裏面に繊維板を貼着しその表面に
化粧単板などの化粧材を貼着するため、配向性パーティ
クルボード表面における木材小片の膨張収縮の動きを繊
維板が吸収し表面に伝わるのを抑制するため、表面の化
粧単板に干割れが生ずることを防止することができるも
のである。しかも、繊維板は表面強度が高く平滑性に優
れているため、優れた化粧表面の仕上がりが得られると
ともに、局所的に荷重が掛かっても凹みにくい特性を有
する化粧表面が得られるものである。

【００２４】さらに、本発明において使用する配向性パ
ーティクルボードおよび繊維板は挽基材あるいは単板な
どとして使用することのできない欠点のある原木あるい
は廃材を利用して得られるものであるため、資源の有効
利用となり自然破壊の防止に役立つものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明建築用板の断面図、

【図２】表裏面および側面に化粧単板を貼着した場合
の断面図、

【符号の説明】

１：配向パーティクルボード、２，３：繊維板、４ａ，
４ｂ，４ｃ：化粧単板。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】複数層からなる配向性パーティクルボー
ドの表裏面に繊維板が貼着されて長方形状の積層板を形
成し、該積層板の少な〈とも表面に任意化粧が施され、
前記配向性パーティクルボードの表裏層の木材小片を積
層板の長手方向と平行になるように配向するとともに、
内部の少なくとも１層の木材小片を積層板の長手方向と
直交するように配向したことを特徴とする建築用板。
【請求項２】配向性パーティクルボードの厚さが、積
層板の５０％以上９０％未満の割合となるように形成す
る請求項１記載の建築用板。
【請求項３】繊維板として少なくとも厚さが１．８ｍ
ｍ以上のものを使用する請求項１記載の建築用板。
【請求項４】任意化粧として同一厚さの化粧単板が表
裏面に貼着された請求項１記載の建築用板。