JP3023659B2

JP3023659B2 - 建築用板の製造方法

Info

Publication number: JP3023659B2
Application number: JP8221633A
Authority: JP
Inventors: 毅山本
Original assignee: 株式会社ノダ
Priority date: 1996-07-22
Filing date: 1996-07-22
Publication date: 2000-03-21
Anticipated expiration: 2016-07-22
Also published as: JPH1034603A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、構造材料を始め建
築の表装、内装および家具等に使用される建築用板の製
造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来積層板としては、木質単板をその繊
維方向を互いに直交にさせて積層接着した合板、木質単
板の繊維方向を同一方向に積層接着した平行合板（Ｌ．
Ｖ．Ｌ．）が知られており、挽材では得られない大きな
寸法の板を多量に安定して供給することができ、しかも
寸法安定性にも優れているなど、現在の建築材料の一材
料としてなくてはならないものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この合板は、
天然木材を薄く剥ぎ取った木質単板を積層接着し製造す
るため、天然資源の枯渇問題が世界的に大きく取り上げ
られ、原材料である原木を伐採することが困難になると
共に、原木の質が低下することによって、木質単板に使
用する良質の木質単板を多量に得ることが難しくなり、
品質の良い合板を多量に市場に供給することが困難とな
る。

【０００４】この問題は今後ますます深刻化することが
予測され、合板に代わる代替え品の提供が熱望されてい
る。さらに、これらの合板を基板として表面に化粧単板
を貼着した床材が多く提供されているが、この床材を施
工した上にホットカーペット等の暖房器具を載置して使
用する場所において、暖房器具のスイッチの入り・切り
の繰り返しに伴い床材中の含水率が大きく変化するた
め、合板基板の最表面の木質単板の収縮膨張が繰り返さ
れ、この木質単板と表面に貼着した化粧木質単板の膨張
収縮が異なるため、化粧単板に干割れが発生する等の問
題が生ずるものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような合
板の代替え品として使用できる新規な建築用板を提供す
ることを目的として鋭意研究の結果完成されたものであ
る。すなわち本発明は、複数枚の木質単板を、厚さ方向
に隣り合うそれぞれの木質単板の繊維方向が直交するよ
うに、接着剤を介して積層し圧締して中層積層体を得た
後、該中層積層体の表面側に木質繊維板を、裏面側に木
質単板を、中層積層体の最下層の木質単板の繊維方向と
直交するように、それぞれ接着剤を介して積層したのち
圧締することを特徴とする建築用板の製造方法である。

【０００６】

【作用】繊維方向が直交するように積層した複数枚の木
質単板の表面に木質繊維板が積層された積層板の表面の
木質繊維板の厚さが他の木質単板の積層体の厚さよりも
薄いという構成により、木質単板の積層体が有する優れ
た曲げ強度を持ち、表面に木質繊維板を配することによ
り、その上に化粧単板を貼着した場合において、長期間
の含水率変化を経ても化粧単板に割れが発生しにくい。

【０００７】さらに、木質繊維板の平滑性が優れている
ため、その表面に貼着する化粧材の木目が美しく現れる
ものである。また、木質単板と木質繊維板という性状の
異なる材を積層一体化する際に、まず中層積層体となる
木質単板を加熱圧締により得た後、その表裏に木質繊維
板と木質単板をそれぞれ積層一体化することにより製造
時に建築用板に反りが生ずるのを防止することができ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明方法による建築用板
の断面図の一例を示すものであり、木質繊維板１の裏面
には木質単板２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄの４枚が隣り合う
それぞれの木質単板との間で互いに繊維方向が直交する
ように積層され一体化されている。さらに、該木質単板
２ａから２ｄの合計の厚さより木質繊維板１の厚さの方
が薄く形成されている。

【０００９】一般に曲げ強度は木質単板をその繊維方向
が直交するように積層した積層体の方が同一厚さの木質
繊維板よりも優れるため、表面の木質繊維板１の厚さよ
りも厚く形成された木質単板２ａから２ｄにより建築用
板としての、曲げ強度が確保されるものである。また、
木質単板の中で最下層に位置する木質単板２ｄの繊維方
向が、建築用板の長手方向と平行となるように設けるこ
とにより、特に床材のように長手方向の曲げ強度の要求
される建築用板にも十分使用が可能となる。

【００１０】また、本発明方法に用いる木質繊維板１と
して使用できるものは、例えば、厚み０．７〜５ｍｍ程
度の厚さのもので、松、杉、檜等の針葉樹材または、ラ
ワン、カポール、栗、ポプラ等の広葉樹材の原木、また
は廃材を切削した木材チップを常法により解繊して得ら
れる木質繊維を乾式法によって圧締成形して得られるミ
ディアムデンシティファイバーボードおよびハードファ
イバーボードが挙げられる。

【００１１】中でも表裏に硬質層を有する比重０．４５
〜０．９５の範囲の木質繊維板が好，ましい。このよう
な木質繊維板は単独で含水率１％当たりの寸法変化率が
長手方向と短手方向が均等で０．０３〜０．０４％と優
れた安定性を有し、表面平滑性にも優れたものである。

【００１２】さらに、その加熱圧締の際の水分の移動お
よび木質繊維に塗布された接着剤の塗布量等により表裏
近傍に他の部分に比べ著しく比重の高い硬質層（黒色岩
盤層）を有する木質繊維板を該硬質層が表裏面に露出す
るようサンディングして使用することが好ましい。

【００１３】この硬質層が木質繊維板１の曲げヤング率
を高めるとともに、建築用板表面の硬度を高めるため、
建築用板表面への落球試験、ハイヒールおよびキャスタ
ー等による局所的に荷重が加わっても凹みにくい特性を
有するものである。

【００１４】また、木質単板としては、例えば厚み０．
５〜５ｍｍ程度の厚さのもので、従来合板に広く使用さ
れている広葉樹単板、針葉樹単板を用いることができ
る。また、全ての木質単板を針葉樹単板のみまたは広葉
樹単板のみで構成することもできるが、針葉樹単板と広
葉樹単板とを混合して使用することもできる。

【００１５】これらの木質単板は４枚、５枚、６枚、７
枚と偶数枚または奇数枚を各々の隣り合うそれぞれの木
質単板との間で互いに繊維方向が直交するように積層さ
れ一体化されている。

【００１６】また、本発明方法による建築用板の木質繊
維板１表面には必要に応じ化粧シートを貼着することも
できる。化粧シートとしては天然木材を切削して得られ
る天然突板、人工突板、および不織布、紙、合成樹脂シ
ートを裏打ちした突板シートまたは、２０−４０ｇ／ｍ
^２の化粧紙、３２−５００ｇ／ｍ^２の不織布、５０ｇ／
ｍ^２のパーチメント紙等の柄模様印刷や単色の塗装が施
されたもの、あるいは、化粧シート接着後、上塗り工程
を設けることもできる。

【００１７】これら化粧シートの接着は、熱可塑性接着
剤例えば酢酸ビニル樹脂等に耐水性向上のために熱硬化
性樹脂または尿素粉末等を混入したものを用いることが
できる。また、本発明による建築用板は、化粧単板を貼
着した場合でも、建築用板表面の表層木質繊維板１の平
滑性に優れ吸放湿による収縮膨張が小さいという性質に
より化粧単板に割れが生ずることがない。

【００１８】本発明の建築用板の製造方法を、図１に示
す建築用板について説明すると、まず木質単板２ａ，２
ｂ，２ｃの３枚をそれぞれの繊維方向が直交するように
接着剤を介して積層した後、圧締することにより接着一
体化する。

【００１９】この際に用いる接着剤としては一般に木質
材の接着に使用する接着剤を使用することができるが、
好ましくは、フェノール樹脂系、尿素樹脂系、メラミン
樹脂系、ポリアミド樹脂系、アルキド樹脂系、エポキシ
樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の熱硬化性樹脂接着剤を
使用し、加熱圧締することにより３枚の木質単板を短時
間に強力に接着し中層積層体２を形成する。

【００２０】次いで得られた中層積層体２の表面側に木
質繊維板１を、裏面側に木質単板２ｄを中層積層体の最
下層の木質単板２ｃの繊維方向と直交するようにそれぞ
れ接着剤を介して積層した後、圧締することにより本発
明による建築用板が得られる。

【００２１】この際使用する接着剤は一般に木質材の接
着に使用する接着剤であれば使用することができる。こ
のように、建築用板を構成する各板材を一度に積層一体
化するのではなく、まず中層積層体２を形成し、次いで
表裏に積層一体化することにより製造時に建築用板へ反
りが生ずるのを防止することができる。

【００２２】また、中層積層体２を形成する木質単板の
枚数は、各木質単板の繊維方向を直交方向に積層一体化
することから、奇数枚を積層する方が中層積層体２とし
てのバランスが取れ、後に木質繊維板１および木質単板
２ｄを貼着した際の反りの発生を防止することができ好
ましい。

【００２３】さらに、中層積層体２の表面に積層する木
質繊維板１の含水率を積層前に６．４％以下に乾燥させ
たものを使用することにより、建築用板を積層一体化す
る際に反りが生じにくい。また、積層一体化した後の単
板および各木質単板の含水率変化に伴う収縮膨張が、表
面の木質繊維板１が膨張する方向が強く、仮に反りが発
生するとしても、表面側の木質繊維板１の膨張により表
面側を凸とする反りであって、本発明による建築用板を
例えば床材として使用するような場合においても、問題
なく使用することができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明による建築用板は、従来の合板に
使用する木質単板に木質繊維板１を組み合わせたもので
あり、この木質繊維板１は木質単板として使用できない
欠点のある原木を小さく破砕あるいは解繊したものを用
いて得られるものであるため、資源の有効利用となり自
然破壊の防止に役立つことができる。

【００２５】また、本発明による建築用板は木質単板の
積層体が有する優れた曲げ強度を持ち、表面に化粧単板
を貼着した場合においても、長期間の含水率変化を経て
も化粧単板に割れが発生しにくい。さらに、その表面に
貼着する化粧材の木目が美しく現れるものである。ま
た、本発明の製造方法によれば、製造時に建築用板に反
りが生ずるのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法による建築用板の断面図、

【符号の説明】

１：木質繊維板、２：中層積層体、２ａ，２ｂ，２ｃ，
２ｄ：木質単板。

フロントページの続き (56)参考文献特開平６−293007（ＪＰ，Ａ) 特開平５−147002（ＪＰ，Ａ) 特開平７−314406（ＪＰ，Ａ) 特開平８−127001（ＪＰ，Ａ) 実開昭４−13302（ＪＰ，Ｕ) 実開平５−76702（ＪＰ，Ｕ) 特公昭52−2963（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B27D 1/04

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】複数枚の木質単板を、厚さ方向に隣り合
うそれぞれの木質単板の繊維方向が直交するように、熱
硬化性樹脂接着剤を介して積層し加熱圧締して中層積層
体を得た後、該中層積層体の表面側に木質繊維板を、裏
面側に木質単板を、中層積層体の最下層の木質単板の繊
維方向と直交するように、それぞれ接着剤を介して積層
したのち圧締することを特徴とする建築用板の製造方
法。
【請求項２】中層積層体を構成する木質単板を熱硬化
性樹脂接着剤を介して積層した後、加熱圧締することを
特徴とする請求項２記載の建築用板の製造方法。
【請求項３】中層積層体の表面に積層する木質繊維板
の含水率が６．４％以下であることを特徴とする請求項
２あるいは３記載の建築用板の製造方法。