JP3049862B2 - 情報記録ディスクの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光ディスク等例えばコ
ンパクトオーディオディスク、ビデオディスク、光磁気
ディスク等の情報記録ディスク、特にディスク基板に樹
脂、例えばフォトポリマーを塗布し、これにスタンパー
上の記録情報の信号面の凹凸を転写させて情報記録面を
形成するいわゆる２Ｐ法（フォトポリマーライズ法）等
の情報記録ディスクの製造方法に係わる。

【０００２】

【従来の技術】光ディスク等の情報記録ディスクを製造
する場合、図９に示すように、記録情報に応じた凹凸面
が形成された信号面３を有するスタンパ２が用意され、
一方情報記録ディスクを構成する一般には光透過性のガ
ラス、ＰＭＭＡ（ポリメチルメタクリレート）、ＰＣ
（ポリカーボネート）、ＡＰＯ（アモルファスポリオレ
フィン樹脂）等より成るディスク基板１の情報記録面を
形成する側の主面１ａに、基板１と同心の円形パターン
１３に液状のフォトポリマー樹脂をスクリーン印刷によ
って塗布し、これをスタンパ２に、その樹脂塗布面をス
タンパ２の信号面３側にして重ね合わせ、肉厚の加圧板
１０をもって押圧し、樹脂を主面１ａに展延させると共
に、スタンパ２の信号面３の形状即ち凹凸情報を転写さ
せる。その後樹脂に対する紫外線露光を行なって樹脂の
硬化をなし、スタンパ２から基板１を剥離して、樹脂面
によって情報記録面が形成された目的とする情報記録デ
ィスク例えば光ディスクを得る。

【０００３】ところがこのような方法によって得たディ
スクには、その樹脂膜内に多数の微細気泡が生じ易く、
ノイズの発生、更には不良品の発生率を高める。

【０００４】また、この方法による場合、作業性の問題
から樹脂の展延を或る程度早めたいなどの理由からその
程度は、例えば６００ｃｐｓ以下に選定されるため、ス
タンパ２との押圧に際し、樹脂材がディスク基板１外に
漏出してこのディスク基板１からはみ出して樹脂を削り
とる作業が必要となり、著しく量産性を阻害する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うに、光ディスク例えばコンパクトオーディオディス
ク、ビデオディスク、光磁気ディスク等の情報記録ディ
スクの作製において、スタンパによって樹脂膜より成る
情報記録面を形成する情報記録ディスクの製造に当たっ
て、樹脂面に気泡等の発生がなく、また樹脂のディスク
基板外への漏出がなく、一様に樹脂の展延とスタンパの
信号面の転写による情報記録面の形成を確実に行なうこ
とができるようにする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１にその平
面図を示すように、ディスク基板１または図２にその斜
視図を示すスタンパ２の信号面３のいずれか一方、図示
の例ではディスク基板１に、その外周縁にほぼ沿い、一
部が開放する大径円弧状の第１のパターン１１の液状樹
脂の塗布部と、第１のパターン１１より内側で、かつ第
１のパターン１１の開放部とは反対向きに開放する開放
部を有し、この開放部の両端にほぼ半径方向に延びる縁
部１２Ａ及び１２Ｂを有する小径円弧状の第２のパター
ン１２の液状樹脂の塗布部とを形成する。

【０００７】そして、図３にその斜視図を示すように、
ディスク基板１を、スタンパ２の信号面３にその第１及
び第２のパターン１１及び１２による液状樹脂の塗布部
を介して重ね合わせ、第１のパターン１１の円弧部の背
部側から加圧ローラ５を基板１上に転動させて、ディス
ク基板１をスタンパ２の信号面３に押圧して、基板１に
液状樹脂を情報記録面の形成面全域に展延させると共
に、この展延樹脂面にスタンパ２の信号面３の形状を転
写させてこの展延樹脂を硬化させて情報記録面が形成さ
れた情報記録ディスクを得る。

【０００８】

【作用】上述の本発明によれば、ディスク基板１の情報
記録を形成すべき面に亘って一様に樹脂の展延を行い、
かつこの樹脂がディスク基板１からその外周にはみ出す
ことなく、また気泡を発生することなく展延でき、スタ
ンパ２の信号面３を良好、確実に転写できた。

【０００９】即ち、本発明者等は、鋭意、研究考察を行
った結果、図６Ａに示すように、ディスク基板１の情報
記録面を形成する面１ａにその外周縁よりは内側で、こ
れに近接してこの外周縁に沿って一部が開放した大径円
弧状の第１のパターン１１をもって液状樹脂を塗布し、
これをスタンパ２に、加圧ローラ５によってその第１の
パターン１１の円弧の背部即ち開放端とは反対側から転
動押圧すると、図６Ｂに斜線を付して示すように三日月
状の塗布領域１３１が生じ得ることを確認した。

【００１０】また、図７Ａに示すように、ディスク基板
１の中心部側にほぼ半円弧状のパターン、即ち上述の第
２のパターン１２の円弧パターン１２Ｃのみのパターン
によって、液状樹脂を塗布し、スタンパ２に、パターン
１２Ｃの開放端側から加圧ローラ５を転動すると、図７
Ｂに斜線を付して示すように、基板１の中心部から、円
弧パターン１２の形成部側に、ほぼ半径方向に沿って帯
状の塗布領域３２が生じることを確認した。

【００１１】更に、図８Ａに示すように、ディスク基板
１の、上述の円弧パターン１２Ｃの両端に対応する位置
にディスク基板１の半径方向に沿う２本の直線線分状の
上記第２のパターン１２の縁部パターン１２Ａ及び１２
Ｂをもって液状樹脂を塗布して上述したと同様にスタン
パ２に重ね、同様の加圧ローラ５の転動による押圧を行
なうときは、図８Ｂに斜線を付して示すように、縁部パ
ターン１２Ａ及び１２Ｂより、加圧ローラ５の転動方向
に２本の帯状の塗布領域１３３Ａ及び１３３Ｂが生じる
ことを確認した。

【００１２】本発明では、これら塗布領域１３１，１３
２，１３３Ａ及び１３３Ｂの広がり態様の究明に基づい
てなされたものであり、これらの塗布態様を合わせるこ
とによって、ディスク基板１の面１ａの全域に亘って、
一様に、かつディスク基板１外にはみ出すことなく液状
樹脂の塗布を行なうことができるものである。

【００１３】

【実施例】本発発明製造方法を、実施例に基づいて詳細
に説明する。本発明では、例えば図１に示すように、光
透過性の例えばガラス円板、ＰＭＭＡ円板、ＰＣ円板、
ＡＰＯ円板によるディスク基板１を用意し、その情報記
録面を形成すべき一方の主面１ａ上に第１及び第２のパ
ターン１１及び１２をもって液状樹脂例えば紫外線硬化
型樹脂の例えばＶＤＮ１−１０３（大日精化（株）：製
品名、粘度２５℃で３．０±０．３ポイズ）を塗布す
る。

【００１４】第１のパターンはディスク基板１の中心よ
りやや偏心した位置を中心に、例えばディスク基板１の
半径より９割強の半径をもって円弧状にその開放端が偏
心方向とは逆の方向に存するようなパターンとする。

【００１５】第２のパターン１２は、第１のパターンよ
り内側で、例えばディスク基板１の中心とほぼ同心的に
ディスク基板１の半径の４割弱程度の半径を有し、第１
のパターン１１の開放端側とは反対側に開放する半円よ
り少し大の小径円弧パターン１２Ｃと、その両端に、そ
れぞれの長さが、ディスク基板１の半径の３割５分強の
長さの線分を有し、ディスク基板１の半径方向とほぼ平
行に形成された縁部１２Ａ及び１２Ｂとより成る。

【００１６】この樹脂のパターン塗布は、この液状樹脂
を吐出するノズルをロボットによって所定の軌跡によっ
て基板１上に移動させる自動塗布手段によって行なうこ
とが出来るものである。

【００１７】そして、この方法によるときは、この塗布
手段の動作プログラムを変更するのみで、各種サイズの
ディスク形成に適用できる。

【００１８】このようにして液状樹脂が塗布されたディ
スク基板１を、図２に示すように、その液状樹脂が塗布
された側の主面１ａを、スタンパー２の信号面３、即ち
記録情報に応じた凹凸パターンが形成された面に合わせ
るように、図３に示すように重ね合わせる。

【００１９】そして、同図３に示すように、ディスク基
板１の、主面１ａとは反対側の面から、第１のパターン
１１の円弧パターンの背部即ち円弧状の膨出側から例え
ば直径１００ｍｍの加圧ローラ５を、２〜１０ｋｇ／ｃ
ｍ² 、例えば３ｋｇ／ｃｍ² の圧力で押圧転動させる。
このようにすると、基板１の主面１ａのスタンパー２３
の信号面３のリング状パターン即ち記録情報形成面の全
域に亘って樹脂の一様な展延とをなし、かつこのリング
部に記録情報に応じた凹凸の転写がなされる。

【００２０】その後、図４に示すように、例えばスタン
パー２を、これの上にディスク基板１を載置した状態
で、樹脂硬化のための露光光源６、例えば紫外線ランプ
下に持ち来し、樹脂の硬化を行なう。

【００２１】その後、図５に示すように、スタンパー２
からディスク基板１を剥離する。このようにすると、デ
ィスク基板１の１主面１ａに、樹脂膜が形成され、これ
に情報記録面が形成された目的とする情報記録ディスク
２１を得ることができる。

【００２２】そして、このようにして形成した情報記録
ディスク２１は例えば１０μの厚さの樹脂膜が、スタン
パー２のリング状の信号面との共働によってディスク基
板１からはみ出すことなく形成され、微細気泡の発生も
みられなかった。

【００２３】尚、上述した例では、紫外線硬化樹脂を用
いた場合であるが、この紫外線以外の光硬化樹脂、更に
熱硬化性樹脂等を用いることもできるなど種々の変形変
更を採り得る。

【００２４】

【発明の効果】本発明は、上述したように、ディスク基
板１に、情報記録面を形成する樹脂を、ディスク基板１
より、はみ出すことなく形成できるので、はみ出し部の
排除のための作業の省略ないしは、減少をはかることが
できることから量産性の向上がはかられる。

【００２５】また、樹脂面に気泡の発生を回避できるこ
とから歩留りの向上、ノイズの低減化をはかることがで
きる。

【００２６】また、樹脂の塗布を、樹脂を吐出するノズ
ル機構とそのロボットによることによって塗布の自動化
がはかられるので、スタンパによる情報記録面の成型と
共に、情報記録ディスクの製造の自動化が容易にはから
れるなど多くの利点を有する。

【００２７】即ち、冒頭に述べた従来方法による場合の
スクリーン印刷によるときは、各サイズのディスクに対
し、個々に装置を変える必要があるものであるが本発明
では各サイズを同一手段で達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による情報記録ディスクの製造方法にお
ける樹脂塗布パターンを示すディスク基板の一例の平面
図である。

【図２】本発明による情報記録ディスクの製造方法の一
例の一製造工程における斜視図（その１）である。

【図３】本発明による情報記録ディスクの製造方法の一
例の一製造工程における斜視図（その２）である。

【図４】本発明による情報記録ディスクの製造方法の一
例の一製造工程における斜視図（その３）である。

【図５】本発明による情報記録ディスクの製造方法の一
例の一製造工程における斜視図（その４）である。

【図６】樹脂塗布パターンとその展延との関係を示す図
である。

【図７】樹脂塗布パターンとその展延との関係を示す図
である。

【図８】樹脂塗布パターンとその展延との関係を示す図
である。

【図９】従来の情報記録ディスクの製造方法の説明図で
ある。

【符号の説明】

１ ディスク基板 ２ スタンパ ３ 信号面 ５ 加圧ローラ ６ 露光光源 １１ 第１のパターン １２ 第２のパターン １２Ｃ 円弧パターン １２Ａ 縁部 １２Ｂ 縁部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 7/26

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ディスク基板またはスタンパの信号面の
   いずれか一方に、 その外周縁にほぼ沿い、一部が開放する大径円弧状の第
   １のパターンの液状樹脂の塗布部と、 上記第１のパターンより内側で、かつ該第１のパターン
   の開放部とは反対向きに開放する開放部を有し、該開放
   部の両端にほぼ半径方向に延びる縁部を有する小径円弧
   状の第２のパターンの液状樹脂の塗布部とを形成し、 上記ディスク基板を、上記スタンパの信号面に上記液状
   樹脂の塗布部を介して重ね合わせ、上記第１のパターン
   の円弧部の背部側から加圧ローラを転動させて、上記デ
   ィスク基板を上記スタンパの信号面に押圧して、上記液
   状樹脂を展延させると共に、該展延樹脂面に上記スタン
   パの信号面形状を転写させて該展延樹脂を硬化させて情
   報記録面が形成された情報記録ディスクを得ることを特
   徴とする情報記録ディスクの製造方法。