JP3045052B2 - 連続鋳造機のロールセグメント装置 - Google Patents

連続鋳造機のロールセグメント装置

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JP3045052B2
JP3045052B2 JP7257628A JP25762895A JP3045052B2 JP 3045052 B2 JP3045052 B2 JP 3045052B2 JP 7257628 A JP7257628 A JP 7257628A JP 25762895 A JP25762895 A JP 25762895A JP 3045052 B2 JP3045052 B2 JP 3045052B2
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正志 河本
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、連続鋳造機の鋳
型直下から鋳片完全凝固点の後方まで引抜き方向に配列
されるガイドロールおよびピンチロールのロールセグメ
ント装置であり、特に連続鋳造鋳片の板厚中心部に発生
する中心偏析の軽減が可能なロールセグメント装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造は、一般に、鋳型内に鋳込まれ
た溶鋼を鋳型内の冷却水により一次冷却して外皮に凝固
シェルを形成し、続くガイドロール群内で二次冷却して
凝固を促進し、ガイドロール群およびピンチロール群で
鋳片を案内支持しつつ引き抜いて連続的に鋳片を製造す
る方法であり、ガイドロール群およびピンチロール群に
おいては、所定数のロール対をフレームに取付けてロー
ルセグメント装置としており、従来において、図5に示
すような構造のロールセグメント装置が使用されてい
る。
【0003】図5において、ロールセグメント装置は、
基準となる固定の下部セグメントフレーム50と可動の
上部セグメントフレーム51からなり、これら各フレー
ム50,51にそれぞれセグメントロール52,53を
複数個設けている。上部セグメントフレーム51は、四
隅に配設された連結コラム54により下部セグメントフ
レーム50に取付けられて鋳片厚み方向に移動可能に支
持されており、上部セグメントフレーム51に設置され
た鋳片幅方向に一対の油圧シリンダ55により上下のロ
ール間隔が設定され、かつ上部セグメントロール53を
鋳片2に押し付けるようにされている。
【0004】さらに、上部セグメントロール53のロー
ルチョックと上部セグメントフレーム51との間には、
ライナーまたは薄いシム板56を敷くことにより、上下
ロール一対当たりの軽圧下量(通常、0.3〜1.5m
m程度)を付け、軽圧下鋳造を可能としている。このよ
うな構造は、圧下量固定の軽圧下鋳造にのみ適用するこ
とができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来のロールセグメント装置の構造では、シム板等に
よる調整のため、鋳造途中で圧下量を変更することがで
きず、鋼種・鋳片幅・鋳込速度等の変化に伴って押付力
や圧下量などを変更する場合に対応することができない
問題点がある。
【0006】また、鋳片の中心偏析を防止する連続鋳造
に際し、凝固末期の鋳片横断面において、押付力は必要
引抜力を出せばよい鋳片両端凝固部と、大圧下力を必要
とする鋳片中央未凝固部の押付力・圧下量の適正化を図
ることができず、むしろ中央未凝固部はロールやフレー
ムの撓みにより、鋳片2がクラウン形状を示し(図5
(b)参照)、品質上は悪くなるような構造である。
【0007】さらに、詳述すると、連続鋳造においては
最終凝固部でC,S,P,Mnなどの溶鋼成分が正偏析
する中心偏析と呼ばれる内部欠陥が問題となる。この中
心偏析は厚板素材において特に深刻な問題であり、偏析
成分における靱性の低下や水素誘起割れの原因となるこ
とが知られている。このような中心偏析は、凝固末期に
おけるデンドライト(樹枝状晶)樹間の残溶鋼が、溶鋼
の凝固収縮あるいは凝固シェルのバルジング等の原因に
より、最終凝固部のクレータエンド部に向かってマクロ
的に移動すること、および濃化溶鋼が局部的に集積する
ために起こることが分かっている。
【0008】従って、中心偏析防止対策としては、クレ
ータエンド付近をロール,金型などを用いる何らかの方
法で圧下するなどして残溶鋼の移動や濃化溶鋼の集積を
阻止する方法があり、種々の思想に基づく方法が提案さ
れてきた。例えば、次に示すような方法がある。
【0009】 特開昭63−252655号公報(軽
圧下鋳造方法) 鋳片表面に噴射される二次冷却水量を増量することによ
り、鋳片最終凝固部の表面温度を700〜800°Cの
温度範囲とし、凝固シェル厚さを厚くすることによりロ
ール間バルジングを抑制し、さらに軽圧下ロール群で毎
分0.2〜0.4%の歪み速度の圧下力を鋳片に加える
ことにより濃化溶鋼の流動を阻止し、中心偏析を防止し
ている。
【0010】 特開昭61−42460号公報(連続
鋳造方法) 凝固完了点の上流側に設置した電磁攪拌装置あるいは超
音波印加装置を用いて溶鋼流動によりデンドライトを切
断し、クレータエンド付近に等軸晶域が形成されるよう
にした上で、凝固完了点直前の一箇所に配置した圧下ロ
ール対により3mm以上の大圧下を与えて強制的に凝固
完了点を形成し、内部割れを発生させることなく中心偏
析を解消している。
【0011】 特開平1−178355号公報(連続
鋳造法) 鋳型直下から引抜き方向に配列されたガイドロールの鋳
片厚み方向のロールギャップを段階的に増加させてバル
ジングを生ぜしめ、スラブ鋳片の厚みを鋳型短辺の2〜
3倍とし、クレーターエンド角度を大とすることにより
濃化溶鋼の浮上・拡散を図り、次いでクレーターエンド
付近において小径ロール群により軽圧下を行うことによ
り、濃化溶鋼の降下を阻止し、中心偏析を防止してい
る。
【0012】これらいずれの方法においても、従来のロ
ールセグメント装置の構造では、前述したように、軽圧
下鋳造において鋼種・鋳片幅・鋳込速度等の変化に対し
て押付力や圧下量を容易にかつ迅速に変更することがで
きず、また中心偏析を防止するための圧下に際し、ロー
ルやフレームの撓みにより、狙い通りの効果が得られな
いという問題がある。
【0013】この発明は、前述のような問題点を解消す
べくなされたもので、その目的は、軽圧下鋳造などに際
して鋳造鋼種・鋳造速度・鋳片サイズの変化に対して押
付力や圧下量を容易かつ迅速に変更することができると
共に、比較的小さい圧下荷重によるバルジング・ロール
圧下法において未凝固部のみを効率良く圧下でき、中心
偏析を効果的に軽減することのできる連続鋳造機のロー
ルセグメント装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は、連続鋳造に
おける鋳型直下から鋳片引抜き方向に多数配列されるロ
ール対をフレームに複数設けてなるロールセグメント装
であり、鋳型直下から引抜き方向に配列されたセグメ
ントロールの鋳片厚み方向の間隔を鋳片引抜き方向に段
階的に増加させて鋳片中心部を強制的にバルジングさ
せ、凝固点完了点直前で少なくとも1対のセグメントロ
ールにより前記バルジングを圧下するようにセグメント
ロールの圧下量を制御してなるロールセグメント装置
おいて、セグメントロールを鋳片幅方向に複数に分割し
(3分割が好ましい)、これら各分割ロールにそれぞれ
昇降機構(油圧シリンダ,あるいはモータ・スクリュー
機構など)を設け、各分割ロールを個別に昇降可能と
、これら各セグメントロールにおける各分割ロールが
鋳片幅方向中央部と鋳片幅方向両端とで異なる押付力ま
たは圧下量を付与できるように、各セグメントロールに
おける各分割ロールの昇降量を制御装置により自動制御
し、鋳片幅方向中央部の分割ロールでバルジング部分を
圧下するように構成されていることを特徴とする。この
ような分割・昇降ロール式のロールセグメント装置は、
鋳型直下から鋳片完全凝固点の後段まで、即ちガイドロ
ール群・圧下ロール群・ピンチロール群の全てに適用し
てもよいし、圧下ロール群にのみ適用してもよい。
【0015】また、本ロールセグメント装置には、各分
割ロールの昇降位置を検出し、この昇降位置検出信号に
基づいて各分割ロールの昇降機構を制御する制御システ
ムを設け、遠隔自動操作を可能とする。各分割ロールの
昇降位置を検出する位置検出器としては、ステッピング
シリンダ・作動トランス・磁気スケール(マグネスケー
ル)、あるいはパルスジェネレーター・パルスピックア
ップなどを使用することができる。
【0016】さらに、制御システムでは、各セグメント
ロール(ガイドロール群や圧下ロール群など)における
各分割ロールが鋳片幅方向中央部(鋳片未凝固部)と鋳
片幅方向両端(凝固部)とで異なる押付力または圧下量
を付与できるように、各セグメントロールにおける各分
割ロールの昇降量を自動制御する。
【0017】また、制御システムでは、鋳型直下から引
抜き方向に配列されたセグメントロールの鋳片厚み方向
の間隔を鋳片引抜き方向に段階的に増加させて鋳片中心
部を強制的にバルジングさせ、凝固点完了点直前で少な
くとも1対のセグメントロールにより前記バルジングを
圧下するようにセグメントロールの圧下量を制御する。
具体的には、ガイドロール群における鋳片厚み方向のロ
ール間隔を段階的に増加させて、鋳片中心部の固相率
(fs )が0.1以下の位置においてバルジングを発生
させ、鋳片の最大厚みを鋳型短辺の長さより5〜100
mm厚くし、凝固完了点直前にて1対または複数対の圧
下ロールによりその1対当たり5mm以上(5mm〜3
0mm)の大圧下を与える。
【0018】なお、連続鋳造におけるロールセグメント
装置は、通常、下部セグメントフレームが基礎に固定さ
れて基準側とされ、上部セグメントフレームが可動とさ
れており、上部セグメントロールのみを分割・昇降ロー
ルとするのが好ましい。下部セグメントロールは1本の
一体・固定ロールでも分割・昇降ロールでもよい。
【0019】
【作用】以上のような構成において、軽圧下鋳造に際
し、各ロールセグメント装置における分割ロールが昇降
機構と位置検出器により自動的に昇降し、所定の軽圧下
量が付与される。鋳造鋼種・鋳造速度・鋳片サイズが鋳
造途中で変更されても、押付力および圧下量を容易にか
つ迅速に変更することができる。
【0020】中心偏析を防止する連続鋳造に際しては、
各ロールセグメント装置の分割ロールがバルジングゾー
ンでロール間隔が段階的に増加するように自動的に設定
され、次の圧下ゾーンでバルジング部を漸次圧下するよ
うに自動的に設定され、比較的小さい圧下荷重で鋳片未
凝固部に大圧下が効果的に作用することにより、負偏析
帯を生じせしめることなく、中心偏析をセミミクロ偏析
までも著しく減少させることができる。これと同時に、
各分割ロールは鋳片幅方向中央部と鋳片幅方向両端部と
で異なった押付力および圧下量で自動的に押し付けら
れ、鋳片幅方向両端部の鋳片凝固部では、必要引抜き力
のみを付与することができ、鋳片幅方向中央部の鋳片未
凝固部では、大圧下に必要な適正な圧下量を付与するこ
とができ、従来のロールセグメント装置の構造のように
ロールやフレームの撓みも無く、比較的小型の装置で未
凝固バルジング部分のみを効率良く圧下でき、中心偏析
を効果的に解消することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示する一実施
例に基づいて詳細に説明する。これは鋼スラブの湾曲型
の連続鋳造機に適用した例であり、図1にこの発明に係
るロールセグメント装置の一例を示す。図2(a),
(b)は図1のロールセグメント装置により強制バルジ
ングを発生させた状態,凝固末期に前記バルジングを圧
下した状態を示す。図3はこの発明に係るロールセグメ
ント装置を用いた連続鋳造を実施するための連続鋳造機
の全体を示す。
【0022】図3において、レードル,タンディッシ
ュ,浸漬ノズルにより鋳型1内に注入された溶鋼は、水
冷されている鋳型1による一次冷却により鋳片2の表面
に凝固シェル2aが形成され、続くガイドロール群3で
のスプレー水等による二次冷却により凝固が促進され、
鋳片2はその内部に未凝固部2bを保持したまま、ガイ
ドロール群3・圧下ロール群4・ピンチロール群5によ
り案内支持されつつ引き抜かれる。
【0023】このような連続鋳造機において、本発明で
は、図3のガイドロール群3・圧下ロール群4・ピンチ
ロール群5における各ロールセグメント装置10を、図
1に示すような構造とする。また、必要に応じて、電磁
攪拌装置6をガイドロール群3における鋳片凝固完了点
の手前の適当な位置に設置する(図3参照)。
【0024】図3の湾曲型連続鋳造機においては、湾曲
外側の下部セグメントフレーム11が、基礎に固定配置
されて基準側とされ、湾曲内側の上部セグメントフレー
ム12がロール間隙を調整できるように鋳片厚み方向に
位置調整可能とされており、図1に示すように、上部セ
グメントフレーム12の下方に鋳片引抜き方向に所定数
配列された各上部セグメントロール14を鋳片幅方向に
3分割し、分割された中央部ロール14Aおよび両端の
端部ロール14B・14Cを昇降用油圧シリンダ15A
・15B・15Cによりそれぞれ独立して昇降可能とす
る。
【0025】昇降用油圧シリンダ15A・15B・15
Cには、シリンダ本体に取付けた検出子16aとピスト
ンロッドに取付けたスケール16bからなる磁気スケー
ル等の位置検出器16をそれぞれ取付け、その検出信号
を制御装置17に入力する。
【0026】制御装置17により油圧制御ユニット18
を制御して各昇降用シリンダ15A・15B・15Cを
個別に作動させ、中央ロール14Aおよび端部ロール1
4B・14Cにより鋳片幅方向中央部(未凝固部)と鋳
片幅方向両端部(凝固部)にそれぞれ異なった押付力お
よび圧下量が付与されるようにする。
【0027】なお、下部セグメントフレーム11と上部
セグメントフレーム12とは、その四隅部において連結
コラム(ポスト)19により連結され、上部セグメント
フレーム12の引抜き方向中央部において鋳片幅方向に
一対で設置されたフレーム昇降用油圧シリンダ20によ
り上部セグメントフレーム12が下部セグメントフレー
ム11に対して位置調整され、これにより、鋳片厚みに
応じて上下のロール間隔が初期設定される。各昇降用油
圧シリンダ15A・15B・15Cは、シリンダ本体を
取付部材21を介して上部セグメントフレーム12の上
面に固定し、ピストンロッドの先端に支持ブラケット2
2を取付け、この支持ブラケット22にロールチョック
23を介して各分割ロール15を取付ける。
【0028】また、制御装置17は、CPUや処理ソフ
トウェアなどを備え、プロセスコンピュータなどから入
力された鋳造鋼種・鋳造速度・鋳片サイズ(厚み・幅)
に基づいて各ロールセグメント装置10における各昇降
用シリンダ15A・15B・15Cによる昇降量を演算
し、この演算結果と各位置検出器16の検出値とを比較
してフィードバック制御を行うことにより、各ロールセ
グメント装置10における各昇降用シリンダ15A・1
5B・15Cによる押付力・圧下量を自動的に制御す
る。端部ロール14B・14Cにおいては、必要な引抜
力のみが得られるような押付力とし、中央部ロール14
Aにおいては、バルジングを適正に保持し、あるいは中
心偏析軽減のための後述する大圧下量が得られるような
押付力あるいは圧下量とする。
【0029】軽圧下鋳造を行う場合には、各ロールセグ
メント装置10において下部・上部ロール13・14の
一対当たりの軽圧下量が所定量となるように各昇降用シ
リンダ15A・15B・15Cを制御する。鋳造鋼種・
鋳造速度・鋳片サイズ(厚み・幅)が途中で変更されて
も、容易にかつ迅速に対応することができる。
【0030】中心偏析を軽減するためのバルジング・ロ
ール圧下による連続鋳造を行う場合には、次のように行
う。
【0031】(1) 鋳片厚みに応じて上部セグメントフレ
ーム11を位置調整することにより、全ての上部・下部
ロール13・14の間隔を初期設定した後、ガイドロー
ル群3の上部・下部ロール13・14の間隔を段階的に
増加させ、鋳片2の中心部の固相率(fs )が0.1の
範囲でバルジングゾーンZ1 を形成する。具体的には、
鋳型直下の鋳片厚み方向のロール間隔をαとした場合、
バルジングゾーンZ1 の終端におけるロール間隔βをα
+(20〜100)mmとする(図3参照)。
【0032】ここで、バルジングゾーンZ1 の範囲を鋳
片中心部の(fs )が固相率0.1以下の領域としたの
は、凝固末期のバルジングによる中心偏析悪化を防止す
るためである。即ち、鋳片中心部の固相率が0.1より
大きな位置でバルジングすると、濃化溶鋼を吸引し、局
所的に偏析の悪化するところやポロシティの悪化すると
ころができるという知見を実験により得たためである。
また、ロール間隔βがα+20mm未満では、後述する
圧下ロール群4で圧下すべき未凝固領域の現出が不十分
であり、α+100mmより大きい場合、バルジングゾ
ーンZ1 での内部割れ発生防止のためのロール間隔設定
が困難となる。
【0033】さらに、このような上部・下部ロール13
・14の間隔を鋳片引抜き方向に段階的に増加させるこ
とと同時に、図2(a)に示すように、上部ロール14
の中央部ロール14Aを両端の端部ロール14B・14
Cよりも上昇させる。これにより、鋳片の凝固部に押し
付けられる端部ロール14B・14Cにより必要な所定
の引抜力のみを鋳片2に付与でき、かつ鋳片の未凝固部
に押付けられる中央部ロール14Aによりバルジングを
容易にかつ適正に制御することができる。
【0034】(2) 次いで、鋳片2の凝固完了点の手前、
即ち圧下ゾーンZ2 において上下一対のロール当たり2
0mm以上の大圧下を与え、前記バルジングを圧下す
る。鋳片の凝固完了点の手前近傍で前述のバルジング分
を圧下ロール群3で圧下することにより、凝固界面が圧
縮応力場となるため凝固界面に割れが生じることがな
く、また中心部に悪性の負偏析帯を生成することもな
く、セミミクロ偏析も含めて中心偏析が比較的簡単な設
備で有効に改善される。
【0035】従来のロール圧下法においては、圧下量を
大きくすることで凝固界面に割れが発生することを恐れ
て圧下量はある値以上とれないと考えられ、いわゆるク
レータエンド部における凝固収縮量を圧下により補償す
る軽圧下に限られていたが、その圧下量をさらに大きく
してゆくと、凝固界面は伸び状態となるが、応力的には
鋳込み方向に拘束されているため、むしろ圧縮となり、
割れがほとんど発生しなくなる。
【0036】このとき、上下ロール一対当たりの所要圧
下量は20mm以上であり、必ずしも凝固完了点を強制
的に形成させる必要はないことが実験的に明らかになっ
た。
【0037】凝固完了点を強制的に形成するところまで
圧下するには相当の圧下力を必要とし、特にサイズの大
きなスラブにおいては、そのための圧下装置も工業的に
実用化不可能なほど大きなものが必要となるため、圧下
ロールの小径化や圧下装置の小型化のためむしろ凝固完
了点を強制的に形成させない程度に圧下するのが望まし
い。
【0038】本発明のバルジング・ロール圧下法によれ
ば、前述のバルジングゾーンにおけるバルジング分を圧
下するため、変形抵抗の大きい鋳片両端部の凝固部を圧
下により塑性変形する必要がなく、中心偏析防止の観点
から圧下する必要のある未凝固部の位置をバルジングに
より現出させ、その部分を効果的に圧下することがで
き、比較的小さい圧下荷重で未凝固部に大圧下を効果的
に作用させることができる。
【0039】さらに、本発明の分割・昇降ロールによれ
ば、圧下ロール群4において、上部ロール14の両端の
端部ロール14B・14Cを鋳片両端の凝固部に押し付
け、中央部ロール14Aを端部ロール14B・14Cよ
りも上昇させた状態から各中央部ロール14Aの圧下量
20mm以上となるように、鋳片引抜き方向に段階的に
下降させ、バルジング部分を漸次圧下していく。これに
より、鋳片の凝固部に押し付けられる端部ロール14B
・14Cにより必要な所定の引抜力のみを鋳片2に付与
でき、かつ中央部ロール14Aにより鋳片の未凝固部の
みを効率良く圧下することができる。
【0040】なお、このバルジングは、溶鋼静圧が働く
鋳片内に未凝固部が存在しているところでのみ起こる現
象であり、未凝固部の流動や二次冷却のばらつきによ
り、未凝固部、即ちバルジングが必ずしも鋳片幅方向中
央にない場合がある。この場合、鋳片の幅方向中央の未
凝固部を、キャメル・クラウン・ロール(大径ロール部
を中央に突起状に設けた段付きロール)で局部的に圧下
する方法(特開昭61−132247号公報)では、未
凝固位置と大径ロール部の位置が一致せず、圧下位置を
適正に保てないという問題が生じる。また、局部的な圧
下により鋳片表面に凹部が形成され、その後の圧延工程
において製品の表面疵の原因となる。これに対して、本
発明ではフラットロールであるため、未凝固領域のみを
効果的に圧下でき、また製品の表面疵を防止することが
できる。
【0041】(3) 鋳片2の中心部の凝固組織は、通常、
柱状晶組織となるが、凝固完了点より手前で電磁攪拌装
置6による電磁攪拌などを加えて中心部に等軸晶を発生
させてもよい。柱状晶組織の場合、ブリッジングにより
局所的に偏析改善効果が小さくなる場合があるのに対し
て、等軸晶組織の場合、圧下により溶鋼流動が起こりや
すく局所的な濃化溶鋼の集積が防止される。等軸晶を発
生させる方法としては、必ずしも電磁攪拌によらなくて
もよく、例えばロールを介して鋳片に超音波印加する方
式でもよいし、そのほか操業面における配慮として低温
鋳造や鋳型内への鋼線添加などであっても良い。
【0042】次に、具体的な数値例について説明する。
これは、図3の連続鋳造機において図1のロールセグメ
ント装置10を使用した例であり、表1に示す(A),
(B),(C)の3種類の条件で連続鋳造を行った。
件(A)は、バルジングさせることなく電磁攪拌により
鋳片中心部を等軸晶とした後、ロール大圧下を行う比較
条件(B)は、20mmバルジングさせ、電磁攪拌
により鋳片中心部を等軸晶とした後、ロール大圧下を行
う本発明条件(C)は、100mmバルジングさせ
た後、電磁攪拌を用いずに、ロール大圧下を行う本発明
例である
【0043】
【表1】
【0044】評価は、製造されたスラブを鋳込み方向に
直角な断面で切断し、スラブ厚み方向中心部より試験片
を採取し、このサンプルの表面を200μmメッシュの
粗さで分割し、各々のメッシュの中での〔P〕の平均濃
度をを調べ、母溶鋼の〔P〕濃度Po と比較して偏析度
を調査した。図4(a)はこの偏析度調査の結果の
〔P〕の最大偏析度(P/Po )max を示す。また、図
4(b)には、セミマクロ偏析粒径と偏析粒数の関係を
(P/Po )が3以上のものについて示した。
【0045】これら図4から明らかなように、本発明例
B,Cでは適正な位置で適正なバルジングを施し、未凝
固領域を現出させ、さらにロールにより圧下を加えるこ
とにより、鋳片未凝固領域における圧下を効果的に行う
ことができ、比較従来例Aと比べて中心偏析が大幅に改
善されている。
【0046】
【発明の効果】前述した通り、この発明に係るロールセ
グメント装置は、セグメントロールを鋳片幅方向に複数
に分割し、各分割ロールを昇降機構と位置検出器により
個別に自動昇降させ、鋳片幅方向中央部と両端部とで異
なった押付力および圧下量を付与できるようにしたた
め、次のような効果を奏する。
【0047】(1) 軽圧下鋳造などを行うに際し、鋳造鋼
種・鋳造速度・鋳片サイズが変更されても、押付力およ
び圧下量を容易にかつ迅速に変更することができ、作業
能率・生産性の大幅な向上、コストの低減を図ることが
できる。
【0048】(2) 中心偏析を軽減する連続鋳造に際し、
バルジング・ロール圧下法により比較的小さい圧下荷重
で未凝固部に大圧下を効果的に作用させることができ、
さらに分割ロールにより従来のようなロールやフレーム
の撓みも無く未凝固部のみを効率良く圧下することがで
き、負偏析帯を生じせしめることなく、中心偏析をセミ
ミクロ偏析までも著しく減少させることができる。
【0049】(3) 従来の大圧下ロール法に比べて装置を
小型化でき、また分割ロールで必要な部分のみを圧下す
るので、昇降機構を小型化でき、比較的安価な設備とす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る連続鋳造機のロールセグメント
装置の一例を示す正面図である。
【図2】(a)は図1のロールセグメント装置において
強制バルジングを発生させた状態を示す正面図、(b)
は凝固末期にバルジングを圧下した状態を示す正面図で
ある。
【図3】この発明に係るロールセグメントを用いた連続
鋳造を実施するための連続鋳造機の全体を示す縦断面図
である。
【図4】(a)はマクロ偏析を従来法と本発明で比較し
たグラフ、(b)はセミマクロ偏析を従来法と本発明と
で比較したグラフである。
【図5】従来の連続鋳造機のロールセグメントを示し、
(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1…鋳型 2…鋳片、2a…凝固シェル、2b…未凝固部 3…ガイドロール群 4…圧下ロール群 5…ピンチロール群 6…電磁攪拌装置 10…ロールセグメント装置 11…下部セグメントフレーム 12…上部セグメントフレーム 13…下部セグメントロール 14…上部セグメントロール 14A…中央部ロール、14B,14C…端部ロール 15…昇降用油圧シリンダ 16…位置検出器 17…制御装置 18…油圧制御ユニット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造における鋳型直下から鋳片引抜
    き方向に多数配列されるロール対をフレームに複数設け
    てなるロールセグメント装置であり、鋳型直下から引抜
    き方向に配列されたセグメントロールの鋳片厚み方向の
    間隔を鋳片引抜き方向に段階的に増加させて鋳片中心部
    を強制的にバルジングさせ、凝固点完了点直前で少なく
    とも1対のセグメントロールにより前記バルジングを圧
    下するようにセグメントロールの圧下量を制御してなる
    ロールセグメント装置において、少なくと前記バルジン
    グ圧下を行うセグメントロールを鋳片幅方向に複数に分
    割し、これら各分割ロールにそれぞれ昇降機構を設け、
    各分割ロールを個別に昇降可能とし、これら各セグメン
    トロールにおける各分割ロールが鋳片幅方向中央部と鋳
    片幅方向両端とで異なる押付力または圧下量を付与でき
    るように、各セグメントロールにおける各分割ロールの
    昇降量を制御装置により自動制御し、鋳片幅方向中央部
    の分割ロールでバルジング部分を圧下するように構成さ
    れていることを特徴とする連続鋳造機のロールセグメン
    ト装置。
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