JP2987759B2

JP2987759B2 - 射出成形機の計量方法

Info

Publication number: JP2987759B2
Application number: JP8109703A
Authority: JP
Inventors: 清登滝澤; 道宏龍野; 和豊小林
Original assignee: NITSUSEI JUSHI KOGYO KK
Current assignee: NITSUSEI JUSHI KOGYO KK
Priority date: 1996-04-30
Filing date: 1996-04-30
Publication date: 1999-12-06
Anticipated expiration: 2016-04-30
Also published as: JPH09295328A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は加熱筒内の射出スク
リュを回転させて樹脂の計量を行うとともに、射出スク
リュが計量終了位置に達したなら計量を終了させる射出
成形機の計量方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、射出成形機の成形サイクルに
は、加熱筒内の射出スクリュを回転させて樹脂の計量を
行うとともに、計量により後退する射出スクリュが予め
設定した計量終了位置に達したなら射出スクリュの回転
を停止させて計量を終了させる計量工程を有する。

【０００３】ところで、成形サイクル時間の短縮による
生産性の向上及び成形品質の高度化を目的として、計量
工程における射出スクリュの回転高速化と位置制御の高
精度化が要請されている。このため、これに伴う計量終
了時における射出スクリュのオーバランによる計量誤差
及びそのバラつきも無視できず、この問題を如何に解決
するかが重要な課題となっている。

【０００４】従来、この課題に応える射出成形機（計量
方法）としては、特公昭５２−４３８６９号公報で開示
される射出成形機が知られている。同公報では射出スク
リュが予め設定した計量終了位置の若干手前に達したな
ら、射出スクリュの回転数を減少させ、射出スクリュの
回転による慣性を小さくしてから射出スクリュの回転を
停止させる計量方法を開示する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の射出成形機による計量方法は、射出スクリュの慣性に
よるオーバランは相応に小さくできるものの、実際には
かなりの計量誤差が発生するとともに、その誤差の大き
さも成形サイクル毎にバラつく問題があった。この原因
の一つとして、射出スクリュが計量時に受ける背圧があ
る。即ち、加熱筒内の樹脂は射出スクリュに付与される
背圧により圧縮されるため、計量終了により樹脂が膨張
した際には、これが原因となる計量誤差を発生する。特
に、この計量誤差は樹脂の種類や量によっても変動し、
高品質で均質性に優れた成形品を得るための阻害要因と
なる。

【０００６】本発明はこのような従来の技術に存在する
課題を解決したものであり、計量誤差及びそのバラつき
を低減し、高品質で均質性に優れた成形品を得ることが
できる射出成形機の計量方法の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び実施の形態】本発明
は、加熱筒２内の射出スクリュ３を第一回転数Ｎ１によ
り回転させて樹脂の計量を行うとともに、計量により後
退する射出スクリュ３が予め設定した計量終了位置Ｘｍ
に達したなら当該射出スクリュ３の回転を停止させて計
量を終了させる射出成形機の計量方法において、特に、
射出スクリュ３が計量終了位置Ｘｍの手前に設定した回
転数切換位置Ｘｃに達したなら射出スクリュ３の回転
を、例えば、予め設定した設定時間Ｔｓだけ一時停止さ
せ、この後、射出スクリュ３を第一回転数Ｎ１よりも小
さい第二回転数Ｎ２により回転させるようにしたことを
特徴とする。

【０００８】これにより、射出スクリュ３の回転は計量
終了位置Ｘｍの手前で一時停止するため、スクリュ溝内
の樹脂の流動慣性及び圧縮状態が緩和される。そして、
この後に射出スクリュ３を第一回転数Ｎ１よりも小さい
第二回転数Ｎ２により回転させるため、射出スクリュ３
の回転を計量終了位置Ｘｍで停止させた際も、オーバラ
ンが小さくなり、計量誤差及びそのバラつきが低減され
る。

【０００９】

【実施例】次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図
面に基づき詳細に説明する。

【００１０】まず、本実施例に係る計量方法を実施でき
る射出成形機の構成について、図４を参照して説明す
る。

【００１１】同図中、Ｍは射出成形機の型締装置を除く
射出装置を示す。射出装置Ｍは前部に加熱筒２を備え、
この加熱筒２の前端には樹脂を射出する射出ノズル４を
有するとともに、後部に成形材料を加熱筒２の内部に供
給するホッパー５を有する。また、加熱筒２の内部には
射出スクリュ３を収容するとともに、加熱筒２の後端に
はスクリュ３を駆動するスクリュ駆動部６を結合する。
スクリュ駆動部６は射出シリンダ７を備え、この射出シ
リンダ７に内蔵するピストン８の前端は射出スクリュ３
の後端に結合する。他方、射出シリンダ７の後端にはオ
イルモータ９を結合し、このオイルモータ９の回転シャ
フト１０はピストン８の後端にスプライン嵌合する。こ
れにより、射出スクリュ３は射出シリンダ７により前後
方向に移動するとともに、オイルモータ９により回転す
る。

【００１２】一方、射出装置Ｍには、射出シリンダ７及
びオイルモータ９に圧油を供給して当該射出シリンダ７
及びオイルモータ９を駆動する油圧回路１１を備えると
ともに、この油圧回路１１を制御するコントローラ１２
を備える。また、オイルモータ９には射出スクリュ３の
回転数を検出する回転数センサ１３を付設し、この回転
数センサ１３はコントローラ１２に接続するとともに、
射出スクリュ３の後端には当該射出スクリュ３の位置を
検出する位置センサ１４を付設し、この位置センサ１４
はコントローラ１２に接続する。

【００１３】他方、コントローラ１２には各種設定部を
備える。特に、本発明に関係する設定部として、計量時
に射出スクリュ３を高速回転させる第一回転数Ｎ１を設
定する第一回転数設定部２１，計量終了付近で射出スク
リュ３を低速回転させる第二回転数Ｎ２を設定する第二
回転数設定部２２，計量終了位置Ｘｍの手前で第一回転
数Ｎ１から第二回転数Ｎ２に切換える回転数切換位置Ｘ
ｃを設定する回転数切換位置設定部２３及び射出スクリ
ュ３を一時停止させる時間（設定時間Ｔｓ）を設定する
一時停止時間設定部２４を備える。

【００１４】次に、このような射出成形機を用いた本実
施例に係る計量方法について、図１に示すフローチャー
ト及び図２〜図４を参照して説明する。

【００１５】最初に、各設定部２１〜２４による設定を
行う。まず、第一回転数設定部２１により、第一回転数
Ｎ１を設定する。第一回転数Ｎ１は、計量時に射出スク
リュ３を高速回転させるための回転数であり、実施例で
は、６００〔ｒｐｍ〕に設定した。また、第二回転数設
定部２２により、第二回転数Ｎ２を設定する。第二回転
数Ｎ２は計量終了付近で射出スクリュ３を低速回転させ
るための回転数であり、実施例では、第一回転数Ｎ１よ
りも十分に小さい６０〔ｒｐｍ〕に設定した。一方、回
転数切換位置設定部２３により、計量終了位置Ｘｍ（実
施例は２０〔ｍｍ〕）の手前で第一回転数Ｎ１から第二
回転数Ｎ２に切換える回転数切換位置Ｘｃ（実施例は１
８〔ｍｍ〕）を設定する。

【００１６】さらに、一時停止時間設定部２４により、
射出スクリュ３の一時停止時間（設定時間Ｔｓ）を設定
する。この設定時間Ｔｓは全体の計量時間に影響しない
僅かな時間を選択できる。図３には一時停止時間〔秒〕
に対するオーバラン量〔ｍｍ〕の関係を示す。同図に示
すように、従来方法による一時停止なしの場合、オーバ
ラン量は０．３５ｍｍ前後となるが、一時停止時間を
０．０５秒設定することにより、オーバラン量は０．２
２ｍｍ前後となる。オーバラン量の大きさは、一時停止
時間の長さによってはあまり大きく変化しないが、成形
サイクル毎のバラつきは、一時停止時間が長くなるほど
小さくなる。オーバラン量の大きさが一時停止時間の長
さにあまり影響を受けないのは、一時停止後、第二回転
数Ｎ２による射出スクリュ３の回転が、図２に示す回転
数変化特性Ａｎａ，Ａｎｂのように徐々に立ち上がるた
め、この変化特性も影響しているものと思われる。した
がって、本発明では一時停止させること自体が重要であ
り、一時停止時間の長さはさほど重要ではない。このた
め、設定時間Ｔｓは上述のように、全体の計量時間に影
響しない任意の時間でよく、基本的には射出工程中にお
ける任意の時間に第二回転数Ｎ２による回転を開始させ
ればよい。

【００１７】一方、実際の計量工程における計量方法は
次のように行う。なお、計量工程では射出スクリュ３に
対して所定の背圧は付与するも、背圧を一定にする制御
は行わない。

【００１８】まず、射出工程の終了後、射出スクリュ３
を第一回転数Ｎ１により高速回転させる（ステップＳ
１）。これにより、樹脂の可塑化及び計量が行われ、計
量された樹脂は射出スクリュ３の前方に蓄積される。計
量中は射出スクリュ３が後退するため、射出スクリュ３
が予め設定した回転数切換位置Ｘｃに達したなら、射出
スクリュ３の回転を一時停止させる（ステップＳ２，Ｓ
３）。この停止期間により、スクリュ溝内の樹脂の流動
慣性及び圧縮状態が緩和される。なお、この際、一時停
止の間だけ背圧を低下又は零にする制御を行ってもよ
く、これにより、樹脂に対する圧縮状態をより緩和させ
ることができる。

【００１９】そして、予め設定した設定時間Ｔｓが経過
したなら、射出スクリュ３を第二回転数Ｎ２により低速
回転させる（ステップＳ４，Ｓ５）。第二回転数Ｎ２に
よる回転により、射出スクリュ３が予め設定した計量終
了位置Ｘｍに達したなら、射出スクリュ３の回転を停止
させ、計量を終了させる（ステップＳ６，Ｓ７）。な
お、第二回転数Ｎ２による回転期間の背圧は、前記第一
回転数Ｎ１による回転期間の背圧と同に設定してもよい
し低く設定してもよい。

【００２０】図２中、Ａｎ，Ａｎａはこの際における射
出スクリュ３の回転数変化特性を示す。なお、Ａｎｂ
は、特に、設定時間Ｔｓを長く設定した場合の回転数変
化特性を示す。また、回転数変化特性Ａｎ，Ａｎａに対
応する射出スクリュ３の位置変化特性はＢｎとなり、こ
のときのオーバラン量はＥｎとなる。他方、Ａｒは一時
停止を行わない従来方法を用いた同一設定値による射出
スクリュ３の回転数変化特性を示す。この場合、射出ス
クリュ３の回転数は、第一回転数Ｎ１から、射出スクリ
ュ３の回転を停止させることなく直接第二回転数Ｎ２に
切換える。なお、回転数変化特性Ａｒに対応する射出ス
クリュ３の位置変化特性はＢｒ、このときのオーバラン
量はＥｒとなり、従来方法では本発明方法に比べ、オー
バラン量が１．５〜２倍になるとともに、成形サイクル
毎のバラつきも大きくなる（図３参照）。

【００２１】以上、実施例について詳細に説明したが、
本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
例えば、実施例では、射出スクリュ３を予め設定した設
定時間Ｔｓだけ一時停止させたが、他の方法として、停
止後における射出スクリュ３の変位量を検出し、この変
位量に基づいて一時停止を解除してもよい。即ち、射出
スクリュ３は一時停止により樹脂の圧縮状態が緩和さ
れ、次第に膨張する。したがって、射出スクリュ３の変
位量が設定量に達したことを検出したなら、樹脂の圧縮
状態が緩和されたものとして一時停止を解除する。な
お、この場合、同時に設定時間Ｔｓも監視し、設定時間
Ｔｓを経過したなら一時停止を解除する。また、実施例
はインラインスクリュ式射出成形機を例示したが、プリ
プラ式射出成形機でも同様に実施できる。その他、細部
の構成，手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で任意に変更できる。

【００２２】

【発明の効果】このように、本発明に係る射出成形機の
計量方法は、射出スクリュが計量終了位置の手前に設定
した回転数切換位置に達したなら射出スクリュの回転を
一時停止させ、この後、射出スクリュを第一回転数より
も小さい第二回転数により回転させるようにしたため、
射出スクリュの一時停止により、樹脂の流動慣性及び圧
縮状態を緩和することができる。この結果、計量終了位
置のオーバランが小さくなり、計量誤差及びそのバラつ
きが低減されることによって、高品質で均質性に優れた
成形品を得れるという顕著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る計量方法の手順を示すフローチャ
ート、

【図２】同計量方法を用いた場合の時間に対する射出ス
クリュの位置及び回転数を示す変化特性図、

【図３】同計量方法を用いた場合の射出スクリュの一時
停止時間に対するオーバラン量を示す関係図、

【図４】同計量方法を実施できる射出成形機の構成図、

【符号の説明】

２加熱筒３射出スクリュＮ１第一回転数Ｘｍ計量終了位置Ｘｃ回転数切換位置Ｔｓ設定時間Ｎ２第二回転数

フロントページの続き (56)参考文献特開平１−257020（ＪＰ，Ａ) 特公昭52−43869（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B29C 45/00 - 45/84

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】加熱筒内の射出スクリュを第一回転数に
より回転させて樹脂の計量を行うとともに、計量により
後退する前記射出スクリュが予め設定した計量終了位置
に達したなら当該射出スクリュの回転を停止させて計量
を終了させる射出成形機の計量方法において、前記射出
スクリュが前記計量終了位置の手前に設定した回転数切
換位置に達したなら前記射出スクリュの回転を一時停止
させ、この後、前記射出スクリュを前記第一回転数より
も小さい第二回転数により回転させることを特徴とする
射出成形機の計量方法。
【請求項２】前記射出スクリュは予め設定した設定時
間だけ一時停止させることを特徴とする請求項１記載の
射出成形機の計量方法。