JP2986670B2 - Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法 - Google Patents
Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、Ｃｒを合金成分として
含有するＣｒ含有耐食性鋼帯の製造方法及び製造装置に
関する。
含有するＣｒ含有耐食性鋼帯の製造方法及び製造装置に
関する。
【０００２】
【従来の技術】冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯は従来から、
連続焼鈍・酸洗設備によって連続的な焼鈍酸洗処理が施
されている。冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯１０は、図３に
示されるように、予熱帯１２、加熱帯１４、冷却帯１６
を順次通過し、その後、水冷帯１８で水冷され、酸洗槽
２０で脱スケール処理と不動態化処理が施され、リンス
槽２２、ドライヤ２４を通過して製造される。尚、酸洗
槽２０の中の酸洗液は、酸洗液冷却装置２６で冷却され
る。
連続焼鈍・酸洗設備によって連続的な焼鈍酸洗処理が施
されている。冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯１０は、図３に
示されるように、予熱帯１２、加熱帯１４、冷却帯１６
を順次通過し、その後、水冷帯１８で水冷され、酸洗槽
２０で脱スケール処理と不動態化処理が施され、リンス
槽２２、ドライヤ２４を通過して製造される。尚、酸洗
槽２０の中の酸洗液は、酸洗液冷却装置２６で冷却され
る。
【０００３】焼鈍の際の加熱方法としては、直火式で加
熱する方法や、間接式で加熱する方法が知られている。
また、酸洗処理は、中性塩電解、硝酸電解、硝酸、硝塩
酸及び硝弗酸などを組合わせて行われており、この酸洗
処理によりＣｒ含有鋼帯に脱スケールと不動態化が行わ
れる。また、Ｃｒ含有鋼帯の焼鈍方法としては、特公平
２−９０９０号公報に開示されているように、露点−３
０℃〜０℃の還元性雰囲気で焼鈍して酸化膜の厚さを１
５０〜５００オングストロームに制御する方法が知られ
ている。
熱する方法や、間接式で加熱する方法が知られている。
また、酸洗処理は、中性塩電解、硝酸電解、硝酸、硝塩
酸及び硝弗酸などを組合わせて行われており、この酸洗
処理によりＣｒ含有鋼帯に脱スケールと不動態化が行わ
れる。また、Ｃｒ含有鋼帯の焼鈍方法としては、特公平
２−９０９０号公報に開示されているように、露点−３
０℃〜０℃の還元性雰囲気で焼鈍して酸化膜の厚さを１
５０〜５００オングストロームに制御する方法が知られ
ている。
【０００４】ここで、ステンレス鋼板の製造方法とし
て、特開昭５９−１８２８７６号公報に開示されている
ように、冷間圧延前に機械的研削をした後、酸洗液中に
て溶削し、その後に冷間圧延する方法が知られている。
しかし、この方法は、熱間圧延鋼板を脱スケールした後
に冷間圧延することを特徴とする表面疵防止方法であ
り、冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯の耐蝕性向上を目的とす
る本発明とは異なるものである。
て、特開昭５９−１８２８７６号公報に開示されている
ように、冷間圧延前に機械的研削をした後、酸洗液中に
て溶削し、その後に冷間圧延する方法が知られている。
しかし、この方法は、熱間圧延鋼板を脱スケールした後
に冷間圧延することを特徴とする表面疵防止方法であ
り、冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯の耐蝕性向上を目的とす
る本発明とは異なるものである。
【０００５】さらに、脱スケール方法として、特開昭５
８−２７６９８号公報に開示されているように、前処理
として酸洗を施し、機械的手段により脱スケールを行っ
た後に後処理として酸洗を施す方法が知られているが、
これは熱間圧延鋼板の脱スケール方法であり、冷間圧延
後のＣｒ含有鋼帯の耐触性向上を目的とする本発明とは
異なるものである。
８−２７６９８号公報に開示されているように、前処理
として酸洗を施し、機械的手段により脱スケールを行っ
た後に後処理として酸洗を施す方法が知られているが、
これは熱間圧延鋼板の脱スケール方法であり、冷間圧延
後のＣｒ含有鋼帯の耐触性向上を目的とする本発明とは
異なるものである。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】上述した冷間圧延後の
Ｃｒ含有鋼帯の従来の連続焼鈍・酸洗処理では、酸によ
る化学反応を利用して脱スケールと不動態化処理を行っ
ているので、処理ラインの生産能力が酸洗能力で決定さ
れるという問題がある。また、酸洗液中に鋼板の鉄分が
溶解して酸洗能力が変わるので、酸濃度管理が極めて厄
介である。さらに、酸液の化学反応による液温上昇を防
止するために酸液の冷却装置が必要である。さらにま
た、酸濃度や鉄濃度の管理外れによる酸洗不良が発生す
る場合があり、この場合は酸洗処理を再度行う必要があ
り、製造コストが上昇するばかりでなく製造工程に支障
をきたすという問題もある。
Ｃｒ含有鋼帯の従来の連続焼鈍・酸洗処理では、酸によ
る化学反応を利用して脱スケールと不動態化処理を行っ
ているので、処理ラインの生産能力が酸洗能力で決定さ
れるという問題がある。また、酸洗液中に鋼板の鉄分が
溶解して酸洗能力が変わるので、酸濃度管理が極めて厄
介である。さらに、酸液の化学反応による液温上昇を防
止するために酸液の冷却装置が必要である。さらにま
た、酸濃度や鉄濃度の管理外れによる酸洗不良が発生す
る場合があり、この場合は酸洗処理を再度行う必要があ
り、製造コストが上昇するばかりでなく製造工程に支障
をきたすという問題もある。
【０００７】また、上述の特公平２−９０９０号公報に
開示された方法では、酸化膜の厚さを制御するために露
点が−３０℃〜０℃の範囲内になるように制御している
が、この露点は、普通鋼板を連続焼鈍する際の焼鈍雰囲
気の露点−６０℃〜−４０℃よりもはるかに高い露点で
ある。このため、普通鋼帯の製造からＣｒ含有鋼帯の製
造に切り換える際に焼鈍炉内雰囲気の変更や露点調整が
必要なばかりでなく、鋼板を搬送するロールの表面にコ
ーティングされた溶射皮膜が焼鈍炉内の水蒸気により劣
化するのでロール交換周期が短くなる。この結果、製造
コストの増大を招き、さらにはＣｒ含有鋼帯の製造から
普通鋼鋼帯の製造に切替えると、美麗な表面性状を要求
される一般冷延鋼帯の表面にロール疵（劣化した溶射皮
膜が鋼帯表面に転写することによって発生するロールに
よる押疵）が発生するので製造規制が必要になるという
問題がある。
開示された方法では、酸化膜の厚さを制御するために露
点が−３０℃〜０℃の範囲内になるように制御している
が、この露点は、普通鋼板を連続焼鈍する際の焼鈍雰囲
気の露点−６０℃〜−４０℃よりもはるかに高い露点で
ある。このため、普通鋼帯の製造からＣｒ含有鋼帯の製
造に切り換える際に焼鈍炉内雰囲気の変更や露点調整が
必要なばかりでなく、鋼板を搬送するロールの表面にコ
ーティングされた溶射皮膜が焼鈍炉内の水蒸気により劣
化するのでロール交換周期が短くなる。この結果、製造
コストの増大を招き、さらにはＣｒ含有鋼帯の製造から
普通鋼鋼帯の製造に切替えると、美麗な表面性状を要求
される一般冷延鋼帯の表面にロール疵（劣化した溶射皮
膜が鋼帯表面に転写することによって発生するロールに
よる押疵）が発生するので製造規制が必要になるという
問題がある。
【０００８】本発明は、上記事情に鑑み、従来よりも耐
食性に優れたＣｒ含有耐食性鋼帯を効率良く製造できる
Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法を提供する
ことを目的とする。
食性に優れたＣｒ含有耐食性鋼帯を効率良く製造できる
Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法を提供する
ことを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造方法は、Ｃｒ含有
耐食性鋼帯の製造方法において、冷間圧延後のＣｒ含有
耐食性鋼帯を−７０〜−３０℃の範囲内の露点に調整し
て焼鈍し、焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機
械的研削によって除去し、前記機械的研削が終了したＣ
ｒ含有耐食性鋼帯に、酸洗による不動態化処理を施すこ
とを特徴とするものである。
の本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造方法は、Ｃｒ含有
耐食性鋼帯の製造方法において、冷間圧延後のＣｒ含有
耐食性鋼帯を−７０〜−３０℃の範囲内の露点に調整し
て焼鈍し、焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機
械的研削によって除去し、前記機械的研削が終了したＣ
ｒ含有耐食性鋼帯に、酸洗による不動態化処理を施すこ
とを特徴とするものである。
【００１０】また、上記目的を達成するための本発明の
Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置は、Ｃｒ含有耐食性鋼帯
の製造装置において、冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯
を焼鈍する焼鈍装置と、焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯
の酸化膜を機械的研削によって除去する機械的研削装置
と、前記機械的研削が終了したＣｒ含有耐食性鋼帯を不
動態化する酸洗装置とを備えたことを特徴とするもので
ある。
Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置は、Ｃｒ含有耐食性鋼帯
の製造装置において、冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯
を焼鈍する焼鈍装置と、焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯
の酸化膜を機械的研削によって除去する機械的研削装置
と、前記機械的研削が終了したＣｒ含有耐食性鋼帯を不
動態化する酸洗装置とを備えたことを特徴とするもので
ある。
【００１１】ここで、本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製
造方法及び製造装置は、Ｃｒを１〜１９ｗｔ％含有する
冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯に適用するのが好まし
く、例えば、ＳＵＳ４１０Ｌ（１１．００〜１３．５０
ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＳ４３０ＬＸ（１６．００〜１９．
００ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＳ４３６Ｌ（１６．００〜１
９．００ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＨ４０９ＬＸ（１０．５０
〜１１．７５ｗｔ％Ｃｒ）などがある。また、Ｃｒ含有
量が１ｗｔ％未満では酸洗する必要はない。１９ｗｔ％
を超えても耐食性はそれほど向上しないので実用上限は
１９％とする。
造方法及び製造装置は、Ｃｒを１〜１９ｗｔ％含有する
冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯に適用するのが好まし
く、例えば、ＳＵＳ４１０Ｌ（１１．００〜１３．５０
ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＳ４３０ＬＸ（１６．００〜１９．
００ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＳ４３６Ｌ（１６．００〜１
９．００ｗｔ％Ｃｒ）、ＳＵＨ４０９ＬＸ（１０．５０
〜１１．７５ｗｔ％Ｃｒ）などがある。また、Ｃｒ含有
量が１ｗｔ％未満では酸洗する必要はない。１９ｗｔ％
を超えても耐食性はそれほど向上しないので実用上限は
１９％とする。
【００１２】また、焼鈍処理のガス雰囲気は、Ｈ2 ガス
を１０％以下とし、残りを実質的にＮ2 ガスとすること
が好ましい。さらに、機械的研削には、研削ブラシロー
ルやショットブラストを用いることが好ましい。
を１０％以下とし、残りを実質的にＮ2 ガスとすること
が好ましい。さらに、機械的研削には、研削ブラシロー
ルやショットブラストを用いることが好ましい。
【００１３】
【作用】本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造方法では、
−７０〜−３０℃の範囲内の露点に調整して焼鈍処理を
施すので、普通鋼帯の製造からＣｒ含有鋼帯の製造に切
り換える際に焼鈍炉内雰囲気の変更や露点調整が不要で
あり、しかも、焼鈍炉内のロールの表面にコーティング
された溶射皮膜の寿命が長くなるのでロール交換周期が
長くなる。このため、製造コストの増大を防止でき効率
よく製造できる。また、Ｃｒ含有鋼帯の製造から普通鋼
帯の製造に切替えた後に、一般冷延鋼帯の表面にロール
疵が発生することを防止できる。また、焼鈍処理が施さ
れたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機械的研削によって
除去するので、脱スケール能力が向上して生産速度を向
上できる。さらに、酸化膜の除去において機械的研削に
て酸化膜を除去する（一部の研削残りは酸洗で不動態化
処理と同時に除去される）ので酸化膜の除去を容易に安
定して行え、再酸洗等の処理を無くすことができ操業コ
ストを低減できる。また、酸化膜を除去した後に酸洗に
よる不動態化処理を施すので、従来に比べ耐食性に優れ
たＣｒ含有耐食性冷延鋼帯を製造できる。しかも酸洗液
の温度上昇を低減できるので、酸洗液冷却装置を縮小あ
るいは省略できる。なお、機械的研削後のスケール残り
は次の酸洗により完全に除去される。
−７０〜−３０℃の範囲内の露点に調整して焼鈍処理を
施すので、普通鋼帯の製造からＣｒ含有鋼帯の製造に切
り換える際に焼鈍炉内雰囲気の変更や露点調整が不要で
あり、しかも、焼鈍炉内のロールの表面にコーティング
された溶射皮膜の寿命が長くなるのでロール交換周期が
長くなる。このため、製造コストの増大を防止でき効率
よく製造できる。また、Ｃｒ含有鋼帯の製造から普通鋼
帯の製造に切替えた後に、一般冷延鋼帯の表面にロール
疵が発生することを防止できる。また、焼鈍処理が施さ
れたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機械的研削によって
除去するので、脱スケール能力が向上して生産速度を向
上できる。さらに、酸化膜の除去において機械的研削に
て酸化膜を除去する（一部の研削残りは酸洗で不動態化
処理と同時に除去される）ので酸化膜の除去を容易に安
定して行え、再酸洗等の処理を無くすことができ操業コ
ストを低減できる。また、酸化膜を除去した後に酸洗に
よる不動態化処理を施すので、従来に比べ耐食性に優れ
たＣｒ含有耐食性冷延鋼帯を製造できる。しかも酸洗液
の温度上昇を低減できるので、酸洗液冷却装置を縮小あ
るいは省略できる。なお、機械的研削後のスケール残り
は次の酸洗により完全に除去される。
【００１４】また、本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造
装置によれば、焼鈍処理後にＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化
膜を機械的研削によって除去できるので、脱スケール能
力が向上し、しかも酸化膜の除去を容易に安定して行
え、再酸洗等の処理を無くすことができ操業コストを低
減できる。また、機械的研削により酸化膜を除去した後
に酸洗による不動態化処理を施せるので、従来に比べ耐
食性に優れたＣｒ含有耐食性冷延鋼帯を製造できる。
装置によれば、焼鈍処理後にＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化
膜を機械的研削によって除去できるので、脱スケール能
力が向上し、しかも酸化膜の除去を容易に安定して行
え、再酸洗等の処理を無くすことができ操業コストを低
減できる。また、機械的研削により酸化膜を除去した後
に酸洗による不動態化処理を施せるので、従来に比べ耐
食性に優れたＣｒ含有耐食性冷延鋼帯を製造できる。
【００１５】ここで、Ｃｒを１〜１９ｗｔ％含有する冷
間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯に適用した場合には、耐
食性が一層向上する。また、焼鈍処理のガス雰囲気を、
Ｈ2 ガスを１０％以下とし、残りを実質的にＮ2 ガスと
した場合は、普通鋼帯を製造する際の焼鈍雰囲気を変更
せずにＣｒ含有耐食性鋼帯の焼鈍処理を行える。
間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯に適用した場合には、耐
食性が一層向上する。また、焼鈍処理のガス雰囲気を、
Ｈ2 ガスを１０％以下とし、残りを実質的にＮ2 ガスと
した場合は、普通鋼帯を製造する際の焼鈍雰囲気を変更
せずにＣｒ含有耐食性鋼帯の焼鈍処理を行える。
【００１６】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は、Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置の一部を
示す概略構成図であり、図３に示すＣｒ含有耐食性鋼帯
の製造装置と同じ要素は同じ符号で示す。冷間圧延後の
Ｃｒ含有鋼帯１０は、予熱帯１２、加熱帯３０、冷却帯
３２を順次通過し、その後、水冷帯１８で水冷され、研
削ブラシ３４により酸化膜を除去され、酸洗槽３６で不
動態化処理が施され、リンス槽２２、ドライヤ２４を通
過して製造される。尚、酸洗槽３６の中の酸洗液は、酸
洗液冷却装置３８で冷却される。この酸洗液としては、
塩化物を添加した硝酸水溶液を使用しており、濃度は硝
酸濃度２０％、塩酸濃度５％である。
する。図１は、Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置の一部を
示す概略構成図であり、図３に示すＣｒ含有耐食性鋼帯
の製造装置と同じ要素は同じ符号で示す。冷間圧延後の
Ｃｒ含有鋼帯１０は、予熱帯１２、加熱帯３０、冷却帯
３２を順次通過し、その後、水冷帯１８で水冷され、研
削ブラシ３４により酸化膜を除去され、酸洗槽３６で不
動態化処理が施され、リンス槽２２、ドライヤ２４を通
過して製造される。尚、酸洗槽３６の中の酸洗液は、酸
洗液冷却装置３８で冷却される。この酸洗液としては、
塩化物を添加した硝酸水溶液を使用しており、濃度は硝
酸濃度２０％、塩酸濃度５％である。
【００１７】図１に示されたＣｒ含有耐食性鋼帯の製造
装置を使用して、Ｃｒ含有量の異なる２種類のＣｒ含有
鋼帯を冷間圧延後に、露点を変えて連続焼鈍し、研削ブ
ラシロールにより機械的研削を行い、酸洗による不動態
化処理を行い、耐食性試験を行った。この結果を表１に
示す。耐食性試験方法はＪＩＳ Ｚ ２３７１−１９５
５に規定された方法で行い、３５℃、４時間経過後に耐
食性を評価した。
装置を使用して、Ｃｒ含有量の異なる２種類のＣｒ含有
鋼帯を冷間圧延後に、露点を変えて連続焼鈍し、研削ブ
ラシロールにより機械的研削を行い、酸洗による不動態
化処理を行い、耐食性試験を行った。この結果を表１に
示す。耐食性試験方法はＪＩＳ Ｚ ２３７１−１９５
５に規定された方法で行い、３５℃、４時間経過後に耐
食性を評価した。
【００１８】
【表１】
【００１９】表１から明らかなように、焼鈍処理後のＣ
ｒ含有耐食性鋼帯に研削ブラシロールで機械的な研削を
加えることにより耐食性は向上し、露点が−３０℃以下
であれば製品合格レベルである３以下を達成できる。
尚、工業的に−７０℃未満の露点の焼鈍雰囲気を得るこ
とは操業費用の面から困難である。次に、連続焼鈍炉の
操業において炉内雰囲気の露点を変えて操業を行ったロ
ール表面劣化試験の結果を表２に示す。表２から露点が
低いほどロール劣化を防止することができ、通常操業に
おいてロール摩耗を原因とするロール交換頻度が約６月
であることから、露点は−３０℃以下が適当であること
がわかる。
ｒ含有耐食性鋼帯に研削ブラシロールで機械的な研削を
加えることにより耐食性は向上し、露点が−３０℃以下
であれば製品合格レベルである３以下を達成できる。
尚、工業的に−７０℃未満の露点の焼鈍雰囲気を得るこ
とは操業費用の面から困難である。次に、連続焼鈍炉の
操業において炉内雰囲気の露点を変えて操業を行ったロ
ール表面劣化試験の結果を表２に示す。表２から露点が
低いほどロール劣化を防止することができ、通常操業に
おいてロール摩耗を原因とするロール交換頻度が約６月
であることから、露点は−３０℃以下が適当であること
がわかる。
【００２０】
【表２】
【００２１】次に、焼鈍後に鋼帯表面酸化膜の機械的研
削を行わない従来技術による場合と機械的研削方法とし
てブラシ研削を行った場合とを比較するために、Ｃｒを
１１．３ｗｔ％含有するＣｒ含有耐食性鋼帯を生産速度
を変えて製造し、耐食性試験を行った結果を図２に示
す。製造条件は、露点−３０℃、焼鈍雰囲気ガス組成を
Ｈ2 ガス３％で残りは実質的にＮ2 ガスとし、均熱温度
８８０℃、均熱時間２５秒で焼鈍を行い、機械的研削有
りの条件では１本あたりのブラシロール電流８０Ａで鋼
帯片面２回の研削を実施した。触性試験方法はＪＩＳ
Ｚ ２３７１−１９５５に規定された方法で行い、３５
℃、４時間経過後に耐蝕性を評価した。
削を行わない従来技術による場合と機械的研削方法とし
てブラシ研削を行った場合とを比較するために、Ｃｒを
１１．３ｗｔ％含有するＣｒ含有耐食性鋼帯を生産速度
を変えて製造し、耐食性試験を行った結果を図２に示
す。製造条件は、露点−３０℃、焼鈍雰囲気ガス組成を
Ｈ2 ガス３％で残りは実質的にＮ2 ガスとし、均熱温度
８８０℃、均熱時間２５秒で焼鈍を行い、機械的研削有
りの条件では１本あたりのブラシロール電流８０Ａで鋼
帯片面２回の研削を実施した。触性試験方法はＪＩＳ
Ｚ ２３７１−１９５５に規定された方法で行い、３５
℃、４時間経過後に耐蝕性を評価した。
【００２２】図２から明らかなように、従来の方法では
生産速度７５ｍｐｍ以下でしか合格品を得ることができ
ず、しかも不合格品の発生を避けることができなかった
が、本発明により生産能率を向上できたのみならず、耐
食性試験結果のばらつきも低減することができ、酸洗不
良材の発生をも防止することができた。次に、図１に示
されたＣｒ含有耐食性鋼帯の製造装置を使用して、Ｃｒ
を１１．７ｗｔ％含有する板厚０．９８ｍｍの冷延鋼帯
を生産速度１５０ｍｐｍとし、焼鈍温度８８０℃、均熱
時間２５秒、焼鈍炉内雰囲気ガス組成Ｈ2 ガス３．２
％、Ｎ2 ガス９６．８％、露点−３８℃に調整して焼鈍
し、冷延鋼帯の表裏各２本（合計４本）の研削ブラシロ
ールで１本あたりのブラシロール電流を８１Ａとして機
械的研削を施し、その後、塩化物を添加した硝酸からな
る酸洗液で不動態化処理を実施した。製造された鋼帯の
耐食性試験結果は１．４であり、従来技術で製造した鋼
帯に比べ極めて耐食性に優れた鋼帯を製造できた。
生産速度７５ｍｐｍ以下でしか合格品を得ることができ
ず、しかも不合格品の発生を避けることができなかった
が、本発明により生産能率を向上できたのみならず、耐
食性試験結果のばらつきも低減することができ、酸洗不
良材の発生をも防止することができた。次に、図１に示
されたＣｒ含有耐食性鋼帯の製造装置を使用して、Ｃｒ
を１１．７ｗｔ％含有する板厚０．９８ｍｍの冷延鋼帯
を生産速度１５０ｍｐｍとし、焼鈍温度８８０℃、均熱
時間２５秒、焼鈍炉内雰囲気ガス組成Ｈ2 ガス３．２
％、Ｎ2 ガス９６．８％、露点−３８℃に調整して焼鈍
し、冷延鋼帯の表裏各２本（合計４本）の研削ブラシロ
ールで１本あたりのブラシロール電流を８１Ａとして機
械的研削を施し、その後、塩化物を添加した硝酸からな
る酸洗液で不動態化処理を実施した。製造された鋼帯の
耐食性試験結果は１．４であり、従来技術で製造した鋼
帯に比べ極めて耐食性に優れた鋼帯を製造できた。
【００２３】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、Ｃ
ｒ含有耐食性鋼帯を露点−７０〜−３０℃の雰囲気で焼
鈍し、酸化膜を機械的研削で除去し、その後酸洗による
不動態化処理を施したので、従来技術で製造したＣｒ含
有耐食性鋼帯に比べ耐食性に優れたＣｒ含有耐食性鋼帯
を製造できる。
ｒ含有耐食性鋼帯を露点−７０〜−３０℃の雰囲気で焼
鈍し、酸化膜を機械的研削で除去し、その後酸洗による
不動態化処理を施したので、従来技術で製造したＣｒ含
有耐食性鋼帯に比べ耐食性に優れたＣｒ含有耐食性鋼帯
を製造できる。
【００２４】また、焼鈍炉内雰囲気の露点を−７０〜−
３０℃の範囲内にしたので焼鈍炉内のロール表面溶射膜
の劣化を防止でき、この結果、ロール交換周期を延長で
きるので設備保全費用を低減できる。また、酸化膜を機
械的研削で除去するので、脱スケール能力が向上し、生
産速度を向上できるばかりでなく、耐食性試験結果のば
らつきを低減でき、耐食性試験不良材の再酸洗等の処理
を省略することができ、この結果、操業コストを低減で
きる。
３０℃の範囲内にしたので焼鈍炉内のロール表面溶射膜
の劣化を防止でき、この結果、ロール交換周期を延長で
きるので設備保全費用を低減できる。また、酸化膜を機
械的研削で除去するので、脱スケール能力が向上し、生
産速度を向上できるばかりでなく、耐食性試験結果のば
らつきを低減でき、耐食性試験不良材の再酸洗等の処理
を省略することができ、この結果、操業コストを低減で
きる。
【００２５】また、酸化膜を機械的研削で除去した後に
酸洗による不動態化処理を行うので、酸洗液の温度上昇
を低減でき、酸洗液冷却装置を縮小あるいは省略するこ
とができる。
酸洗による不動態化処理を行うので、酸洗液の温度上昇
を低減でき、酸洗液冷却装置を縮小あるいは省略するこ
とができる。
【図１】本発明のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造装置の一実
施例を示す概略構成図である。
施例を示す概略構成図である。
【図２】図１に示すＣｒ含有耐食性鋼帯の製造装置を使
用して製造したＣｒ含有耐食性鋼帯の耐食性試験結果
と、従来の方法で製造したＣｒ含有耐食性鋼帯の耐食性
試験結果とを比べて示すグラフである。
用して製造したＣｒ含有耐食性鋼帯の耐食性試験結果
と、従来の方法で製造したＣｒ含有耐食性鋼帯の耐食性
試験結果とを比べて示すグラフである。
【図３】従来のＣｒ含有耐食性鋼帯の製造装置を示す概
略構成図である。
略構成図である。
１０ 冷間圧延後のＣｒ含有鋼帯 １２ 予熱帯 ２２ リンス槽 ２４ ドライヤ ３０ 加熱帯 ３２ 冷却帯 ３４ 研削ブラシ ３６ 酸洗槽 ３８ 酸洗液冷却装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 ＦＩ Ｃ２３Ｃ 26/00 Ｃ２３Ｃ 26/00 Ｃ (72)発明者 上野 直人 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株 式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 笠井 聡 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株 式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 山科 正夫 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株 式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭58−185780（ＪＰ，Ａ) 特公 平４−40433（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C23G 1/08
Claims (2)
- 【請求項１】 Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造方法におい
て、 冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯を−７０〜−３０℃の
範囲内の露点に調整して焼鈍し、 焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機械的研削に
よって除去し、 前記機械的研削が終了したＣｒ含有耐食性鋼帯に、酸洗
による不動態化処理を施すことを特徴とするＣｒ含有耐
食性鋼帯の製造方法。 - 【請求項２】 Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置におい
て、 冷間圧延後のＣｒ含有耐食性鋼帯を焼鈍する焼鈍装置
と、 焼鈍されたＣｒ含有耐食性鋼帯の酸化膜を機械的研削に
よって除去する機械的研削装置と、 前記機械的研削が終了したＣｒ含有耐食性鋼帯を不動態
化する酸洗装置とを備えたことを特徴とするＣｒ含有耐
食性鋼帯の製造装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6009419A JP2986670B2 (ja) | 1994-01-31 | 1994-01-31 | Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6009419A JP2986670B2 (ja) | 1994-01-31 | 1994-01-31 | Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07216568A JPH07216568A (ja) | 1995-08-15 |
| JP2986670B2 true JP2986670B2 (ja) | 1999-12-06 |
Family
ID=11719853
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6009419A Expired - Fee Related JP2986670B2 (ja) | 1994-01-31 | 1994-01-31 | Ｃｒ含有耐食性鋼帯の製造装置及び製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2986670B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| TW504520B (en) * | 1997-03-27 | 2002-10-01 | Kawasaki Steel Co | Chromium-containing hot rolled steel strip and its production method |
| JP5283156B2 (ja) * | 2008-03-18 | 2013-09-04 | 日新製鋼株式会社 | ステンレス冷間圧延鋼帯の酸化スケール除去方法および酸化スケール除去装置 |
-
1994
- 1994-01-31 JP JP6009419A patent/JP2986670B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07216568A (ja) | 1995-08-15 |
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