JP3598981B2 - フェライト系ステンレス鋼板及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷間圧延後の表面光沢の均一性に優れ、更には優れた加工性をも有する冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板に関し、またその製造方法にも関するものである。
なお、本発明においては、特に断らない限り「鋼板」は鋼帯をも含めた呼称とする。
【0002】
一般に、フェライト系ステンレス鋼板は、その優れた外観,耐食性の故に各種の厨房用品,家庭用品,建材,自動車用部材等といった様々な用途で使用されている。
しかし、近年、フェライト系ステンレス鋼板に対する特性要求は一段と高度化してきており、優れた加工性や耐食性は元より、意匠性の観点から表面光沢に関する要求も年々厳しくなりつつある。特に、建築用部材あるいはエレベ−タやエスカレ−タの側板等といった外装材については、単なる「光沢がある」との要求のみに止まらず、表面光沢のムラや色調差が少ない所謂“表面光沢の均一性”といった非常に厳しい要求がなされるようになってきた。
【0003】
【従来の技術】
現在、工業的に製造されるフェライト系ステンレス鋼板は、連続鋳造で得られた鋳片を熱間圧延して熱間圧延鋼帯となし、得られた熱間圧延鋼帯に焼鈍・酸洗を施してから冷間圧延にて所定の製品板厚まで圧延し、次いでこれに再結晶焼鈍を施し、その後、光沢を得るために調質圧延を施して製品とされるのが一般的である。
ただ、この場合における製品単重は通常6〜15ton というオ−ダ−であるので、必要量の鋼板を製造するために繰り返される一連の製造工程においては例え同一ロットであっても製造条件にバラツキ(実生産で許容される範囲内のバラツキ)が生じるのを否めず、最終製品において鋼板の幅方向及び長手方向で表面光沢等に若干の差異が生じるのを回避しがたかった。
そのため、表面光沢の均一性が厳しく要求される用途においては、現在、熱間圧延鋼帯を冷間圧延する前に該熱間圧延鋼帯の表面をグラインダ−で手入れすることが常套的に行われており、生産性の面で少なからぬ障害となっていた。
【0004】
一方、最近の研究により、ステンレス鋼板の表面性状に及ぼす新たな影響因子が存在することが明らかになってきた。それは、冷間圧延時にロ−ル表面に生成する“ロ−ルコ−ティング”と称されるものである。
即ち、ステンレス鋼板では一般に冷間圧延後の製品表面を高光沢に仕上げるべく冷間圧延においてゼンジマ−圧延機等を用い直径200mm以下の所謂“小径ワ−クロ−ル”で圧延がなされる。このワ−クロ−ルは各ロットの圧延を行う度に交換されるが、圧延完了後のワ−クロ−ルの表面に黒褐色の付着物が生成するのが観察され、この黒褐色の付着物を“ロ−ルコ−ティング”と称している。
【0005】
ロ−ルコ−ティングが圧延後のステンレス鋼板表面に及ぼす影響については、例えば「第46回塑性加工連合講演会論文集,1995年,第139〜140頁」や「第47回塑性加工連合講演会論文集,1996年,第281〜282頁」にも報告がなされている。
これらによると、ロ−ルコ−ティングはFeあるいはCrの酸化物を主体とした組成を有しており、圧延中に生成する鋼板表面の摩耗粉あるいは酸化膜の微細粒子が剥離してロ−ル表面に付着するものと推定されている。そして、ロ−ルコ−ティングが生成すると、これがワ−クロ−ルの表面研磨によって生じる“ロ−ル表面の微細な凹凸”を埋めて平滑化してしまうため、圧延材の表面光沢が向上するものと考えられている。
【0006】
従って、冷間圧延時にロ−ルコ−ティングをワ−クロ−ル表面に均一かつ安定して生成させることができるならば、高光沢で均一な表面性状を有した圧延板を得ることができると予想される。
【0007】
しかしながら、冷間圧延時におけるロ−ルコ−ティングの生成挙動は必ずしも明らかになっておらず、特にフェライト系ステンレス鋼板の圧延では、ワ−クロ−ル表面にロ−ルコ−ティングが生成しないで面光沢不良をもたらしたり、ワ−クロ−ル表面に生成するロ−ルコ−ティングが幅方向で不均一となって表面光沢ムラを生じるといった問題を完全に克服することができなかった。
なお、このようなロ−ルコ−ティングの生成不良に起因した表面光沢不良は、SUS430に代表される一般的なフェライト系ステンレス鋼板に比べ、成形性や耐食性を向上させるために安定化元素としてTi,Nb,Al,V等を添加した所謂“高純度フェライト系ステンレス鋼板”において発生する傾向が強い。
【0008】
冷間圧延に使用するワ−クロ−ルの表面にロ−ルコ−ティングを安定生成させる手法として、例えば特開平8−117804号公報には、圧延油のみを希釈せずにワ−クロ−ル表面に供給してステンレス鋼板を予備圧延する方法が提案されている。そして、当該特開平8−117804号公報では、このようにして表面にロ−ルコ−ティング皮膜を生成させたワ−クロ−ルをステンレス鋼板の冷間圧延に供することによってヒ−トストリ−クスを抑制できるとしている。
【0009】
また、特開平8−215712号公報を見ると、圧延油にアルキルアミン及びアルカノ−ルアミンのうち1種以上を添加することにより圧延油のpHを 8.0〜10の範囲に制御すると共に、使用する圧延油のpHに応じて圧延ロ−ルの電位E (V) を〔−(pH×0.1)〕から〔1−(pH×0.1)〕の範囲内に制御することによって圧延ロ−ルに安定したロ−ルコ−ティングを生成させ、焼付き疵及びオイルピットを発生させることなく高速の冷間圧延を可能とするステンレス鋼の冷間圧延方法が開示されている。
【0010】
更に、特開平8−225794号公報には、40℃での粘度が7〜150cSt の合成エステルを基油とすると共にエマルジョンの平均粒径を5μm未満とした水溶性圧延油を用いた冷間圧延方法が開示されており、これによりワ−クロ−ル表面にコ−ティング皮膜が早期にムラなく生成して優れた光沢のステンレス鋼板を得ることができるとしている。
【0011】
しかしながら、前記特開平8−215712号公報や特開平8−225794号公報に開示されている手法では、現行の圧延油を排して特殊なものを用いる必要があり、場合によっては特別な圧延油循環供給装置も必要になるなど、少なからずコスト増を余儀なくされるものであった。また、上記特開平8−215712号公報に開示されている手法によると、圧延ロ−ルへ電位を付与し管理するための設備投資も必要となる。
一方、前記特開平8−117804号公報に開示されている手法ではステンレス鋼板の冷間圧延に先立ってステンレス鋼を用いた予備圧延を施す必要があり、工程増を招くので好ましい方法とは言えなかった。
【0012】
上述のように、ワ−クロ−ル表面にロ−ルコ−ティングが生成すると、ロ−ル研磨痕の影響が抑えられ、また冷間圧延時に生じがちなオイルピットや焼付き疵等の欠陥が抑制されて製品表面光沢が著しく向上することが知られており、圧延油の工夫によるロ−ルコ−ティング生成手法も幾つか提案されてはいたが、それでもロ−ルコ−ティングの生成機構が必ずしも明らかになっているとは言いがたく、そのため冷間圧延時に簡易かつ安定にワ−クロ−ル表面にロ−ルコ−ティングを生成させて表面光沢の均一性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を安価に提供する手段を見出せないでいるのが現状であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明が目的としたのは、従来の圧延設備,圧延手法に格別な変更を加えることなく冷間圧延時にロ−ルコ−ティングを均一かつ安定して生成させ得る簡易な手法を見出し、これにより“表面光沢の均一性”等に優れたフェライト系ステンレス鋼板を安価に提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく、特にこれまではそれほど着目されることのなかった“冷間圧延に供される母材の表面状態”に留意し、母材の表面状態が冷間圧延時のロ−ルコ−ティング生成に及ぼす影響を各種のフェライト系ステンレス鋼について鋭意研究を行った。その結果、
a) ワ−クロ−ル表面におけるロ−ルコ−ティング生成の有無には、冷間圧延に供される母材の表面酸化皮膜の組成が大きく影響しており、母材の酸化皮膜組成がある一定の条件を満足する場合は母材鋼の組成によらずほぼ安定してロ−
ルコ−ティングを生成させることができる,
b) ロ−ルコ−ティングの生成に好ましいこのような母材の表面状態は、熱間圧延鋼帯の酸洗工程で使用する酸液の種類を極く一般的なものの中から選択すると共に、その濃度,温度,浸漬時間を工夫するだけで得ることができ、適正条件の酸洗を施した後は、通常の酸洗工程で一般的に行われる酸洗槽間でのブラシ研削や酸洗工程後のコイルグラインダ−を用いての表面研削等といった鋼帯表面の機械的研削を行わずに冷間圧延に供することが、均一なロ−ルコ−ティ
ングを生成させる上での重要な要件となる,
という新しい知見を得ることができた。
【0015】
即ち、フェライト系ステンレス鋼板の冷間圧延時におけるロ−ルコ−ティング生成の有無は、当該フェライト系ステンレス鋼板の鋼組成によらず、冷間圧延に供される母材の表面酸化皮膜中のCr,Feの組成比で整理すると比較的良く相関することが分かった。そして、表面酸化皮膜のうちのある酸素(O)濃度部位における「Cr/Fe比」がある特定の値以上となる領域において非常に安定してロ−ルコ−ティングが生成することを確認した。
これは、母材の表面酸化皮膜がCr組成比の高いCrリッチな皮膜組成になると、冷間圧延時において摩耗粉が生成しやすくなったり、酸化皮膜の微細粒子がワ−クロ−ルに付着しやすくなったりするためではないかと考えられた。
【0016】
また、このようなロ−ルコ−ティングの生成に有利な母材酸化皮膜組成を得るためには、熱間圧延フェライト系ステンレス鋼帯を酸洗する工程で、酸洗液として“硝酸”あるいは“弗硝酸のような硝酸混合液”を用い、このような酸液中で熱間圧延鋼帯の表面を一定時間以上処理すれば良いことも明らかとなった。
ここで、硝酸あるいは硝酸混合液は表面酸化皮膜の成長を促進させ、かつ皮膜中のCr組成比を上げる働きがあると考えられる。
【0017】
ただ、このような酸洗を行う場合、酸洗槽間(酸洗は複数の酸洗槽によって行われるのが通常である)に設置したブラシで鋼帯の表面研削を行ったり、酸洗後にコイルグラインダ−等で鋼帯表面を機械的に研削したりすると、酸洗によって生成したCr比の高い酸化皮膜が失われてロ−ルコ−ティングの生成に悪影響を及ぼすので、これら機械的研削は厳に慎まなければならない。酸洗槽間ブラシ研削や酸洗後の機械的研削を実施しないことにより、硝酸あるいは硝酸混合液で酸洗処理された熱間圧延フェライト系ステンレス鋼帯はCr比の高い酸化皮膜が生成した状態のまま冷間圧延に供されることとなって、ワ−クロ−ル表面にロ−ルコ−ティングを容易かつ安定に生成させることができる。
【0018】
本発明は、上記知見事項等に基づいてなされたものであり、次の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板並びにその製造方法を提供するものである。
▲1▼ “皮膜表層から酸素濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲における皮膜中のCr,Fe組成比(Cr/Fe原子比)の最大値が0.28以上である酸化皮膜”を表面に有して成ることを特徴とする、冷間圧延後の表面光沢の均一性に優れる冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
▲2▼ 母材が、質量%にて、C:0.10%以下,Si:1.5 %以下,Mn:1.5%以下,P:0.040 %以下,S:0.030 %以下,N:0.050 %以下,Cr:14.0〜25.0%を含み、残部がFe及び不可避的不純物である組成を有して成る、前記▲1▼記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
▲3▼ 母材が、質量%にて、C:0.10%以下,Si:1.5 %以下,Mn:1.5%以下,P:0.040 %以下,S:0.030 %以下,N:0.050 %以下,Cr:14.0〜25.0%を含むと共に、更にCu:1.5 %以下,Nb:0.1 〜1.0 %,Ti:0.03〜0.15%,Al:0.2 %以下及びV:1.0 %以下のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成を有して成る、前記▲1▼記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
▲4▼ 熱間圧延鋼板を酸洗処理するに際して、酸洗槽のうちの少なくとも1つの槽を硝酸あるいは硝酸混合液による酸洗槽となし、少なくともこの酸洗槽にて熱間圧延鋼板を濃度20〜200g/L(リットル) ,温度30〜70℃の硝酸あるいは硝酸混合液から成る酸洗液に15秒以上浸漬すると共に、この硝酸あるいは硝酸混合液への浸漬後は機械的表面研削を行うことなく処理製品とすることを特徴とする、前記▲1▼乃至▲3▼の何れかに記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0019】
なお、 本発明では、鋼の化学成分割合を表す%は断りがない限り質量%とし、 また表面酸化皮膜中の原子比率を表す%は断りがない限り原子%とする。
以下、本発明において冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板の表面酸化皮膜組成,母材の化学組成,鋼板の製造条件を前記の如くに限定した理由を、必要により本発明の実施の形態をも紹介しながら説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
[A] 表面酸化皮膜組成の限定理由
先にも述べたように、一般にフェライト系ステンレス鋼板は連続鋳造鋳片を熱間圧延して熱間圧延鋼帯となし、得られた熱間圧延鋼帯に焼鈍・酸洗を施してから冷間圧延にて所定の製品板厚まで圧延し、更に再結晶焼鈍を施してから光沢を得るための調質圧延を行って製品とされている。
本発明では、冷間圧延に供される酸洗後の熱間圧延フェライト系ステンレス鋼板を、“皮膜表層から酸素濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲における皮膜中のCr,Fe組成比(Cr/Fe原子比)の最大値が0.28以上である酸化皮膜”を表面に有して成る構成とする。
これは、冷間圧延時におけるワ−クロ−ル表面へのロ−ルコ−ティングの生成に関し、表面酸化皮膜中のCr/Fe値が高いものの方が(Crリッチな皮膜組成の方が)有利となるためである。
【0021】
酸化皮膜中の原子比は、ESCA (Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)やXPS (X−ray Photoelectron Spectroscopy)のような物理分析機器を用いて鋼板表面を深さ方向にスパッタリングし、各原子のX線強度から原子比率を求めることにより容易に測定することができる。
酸化皮膜中の原子比を確認する手法は特に規定されるものではないが、具体的な測定手順例を以下に示す。
1) 酸洗後の熱間圧延鋼板から「板厚×5mm角」の大きさに測定サンプルを切り出す。ここで、鋼板幅方向における測定サンプルの切り出し箇所は任意で良いが、鋼板の代表的な情報を得るためには幅中央部から切り出すのが好ましい。
2) 酸化皮膜中のFe,Cr,Oの原子比率を測定するため、ESCAにて表面酸化皮膜の分析を行う。スパッタリングガスは例えばArガスを用いることができる。また、スパッタリングは、例えば3秒ピッチで合計60秒まで行うことによって目的を達成することができる。各々のスパッタリング深さにおいてMgKαを表面に照射すると、各原子において固有X線が発生し、その発生したX線のカウント数から原子%で組成比を求めることができる。
図1,図2及び図3に、焼鈍に続いて酸洗処理を行った後の熱間圧延フェライト系ステンレス鋼板から測定サンプルを切り出し、その酸化皮膜中Fe, Cr,Oについて各スパッタリング深さでの原子%の組成比を求め、深さ方向における原子比の変化状態を調べた結果例を示す。なお、図1は後述する実施例の試験番号2の例、図2は試験番号8の例、図3は試験番号12の例(比較例) である。
3) 上記のように測定した各深さでのFe,Cr,Oの原子比率からCr/Fe比を算出する。
【0022】
なお、スパッタリングは少なくとも“酸化皮膜表層から酸素(O)濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲”について行えば良い。なぜなら、ワ−クロ−ルへのロ−ルコ−ティングの生成に影響を及ぼすのは酸化皮膜層のこの範囲の部位だからである。
一般的なArガスを用いたスパッタリングであれば、最低60秒までスパッタを行えば上記皮膜層範囲の組成比は十分に測定が可能である。
【0023】
ところで、単に酸化皮膜層の深さ方向に原子比率を求めるだけではロ−ルコ−ティング生成に有利な皮膜組成は明らかでないが、図4で示すように、Cr/Fe原子比をO濃度(原子%)との関係で整理すると、ロ−ルコ−ティングの生成に有利な皮膜組成を明らかに把握することができる。
即ち、ESCAを用いてFe,Cr,Oの深さ方向の原子比を求めると「ワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングが生成するもの」と「ワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングが生成しないもの」とでその表面酸化皮膜に明確な差異は認められないが、O濃度とCr/Fe原子比で測定結果を整理し、これと冷間圧延の結果とを照らし合わせると、ワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングの生成しやすい皮膜組成が明らかに浮かび上がる。
【0024】
つまり、“皮膜表層から酸素濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲における酸化皮膜中Cr/Fe原子比の最大値が0.28に満たないと、母材表面の活性度が低下して冷間圧延時にロ−ルコ−ティングの生成に有効な摩耗粉や酸化皮膜の微細粒子が生成しにくくなり、ロ−ルコ−ティングの生成がロ−ルの幅方向で不均一となったりロ−ルコ−ティングが全く生成しなくなったりするために好ましくない。
【0025】
なお、冷間圧延時のワ−クロ−ル表面に安定してロ−ルコ−ティングを生成させるためには、表層からO濃度が30原子%となる範囲の表面酸化皮膜中Cr/Fe比の最大値は0.30以上であることが好ましい。
【0026】
[B] 鋼板化学組成の限定理由
冷間圧延によるフェライト系ステンレス鋼冷延板の製造性や冷間圧延後のフェライト系ステンレス鋼冷延板の加工性,耐食性の観点からは、本発明に係る冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板は前記▲2▼項又は▲3▼項で示した化学組成とするのが良い。
鋼板の化学組成をこのように限定する理由は次の通りである。
【0027】
C:
Cは鋼を硬質化させて加工性を低下させるほか、耐食性を劣化させる元素でもあるので、その含有量をできるだけ少なくする方が良い。そして、優れた加工性を確保するためにはC含有量を0.10%以下にまで低減するのが好ましい。
【0028】
Si:
Siは鋼の脱酸剤として有効な成分であり、また鋼の耐酸化性を向上させる作用を有している。しかし、その含有量が 1.5%を超えると含有量の増加と共に鋼の硬質化が顕著となって加工性が劣化することから、Si含有量は 1.5%以下とするのが良い。
Mn:
Mnにも鋼の脱酸作用があり、また高温でのスケ−ル剥離を抑制する元素でもあるので 1.5%以下の範囲で含有させるのが良い。なお、Mn含有量が 1.5%を超えると発錆や孔食の起点となって耐食性が低下するだけでなく、鋼のコストが高くなり経済面で不利となる。
【0029】
P:
Pは鋼の耐食性,靭性を低下させる不純物元素であり、その含有量をできるだけ低くする方が望ましい。そして、P含有量が0.04%を超えると鋼の加工性劣化が顕著化することから、その含有量を0.04%以下とするのが良い。
S:
Sは鋼の発錆や孔食の起点となり耐食性を劣化させる不純物元素であり、やはりその含有量をできるだけ低くする方が好ましい。そして、S含有量が0.03%を超えると耐食性の劣化が顕著化することから、その含有量の上限を0.03%とするのが良い。
【0030】
N:
NはCと同様に鋼の強度を上昇させる元素であるため、その含有量をできるだけ低減することが望まれる。そして、鋼の加工性劣化,耐食性劣化を顕著化させないという観点からN含有量の上限は 0.050%とするのが良い。
【0031】
Cr:
Crは、鋼に表面酸化皮膜を形成させて耐食性を向上させるための主要成分である。ロ−ルコ−ティングの生成に有効なCrリッチな表面酸化皮膜を得るためにはCrを14%以上含有させることが望まれるが、25%を超えて含有させると製造性が劣化し、コスト上昇を招く。
【0032】
Cu:
Cuには鋼の耐食性や加工性を向上させる効果があるため、必要により含有させるのが好ましい元素である。しかしながら、 1.5%を超えてCuを含有させても、前記効果が飽和するだけでなく熱間加工性の劣化を招く。
【0033】
Ti:
TiにはC,Nを析出物として固定し鋼の耐食性や加工性を向上させる効果があるため、必要により含有させるのが好ましい元素であり、それらの効果を安定して得るためにはその含有量を0.03%以上とするのが望ましい。しかし、0.15%を超えてTiを含有させるとTi系の大型介在物が起因となって表面品質を劣化させるおそれがあるため好ましくない。
【0034】
Nb:
NbにもTiと同様にC,Nを析出物として固定し鋼の耐食性や加工性を向上させる効果があるため、必要により含有させるのが好ましい元素である。そして、これらの効果が顕著化するのはNb含有量が 0.1%からであるが、 1.0%を超えて含有させると鋼が硬質化するので望ましくない。
【0035】
Al:
Alは固溶Nを低減し降伏点を下げて加工性を改善する効果と鋼の靭性を改善する効果を発揮する元素であるので、必要により含有させるのが好ましい元素である。しかし、Al含有量が 0.2%を超えると固溶Alが靭性を低下させ、製造性が劣化するという弊害が現れる。
【0036】
V:
VはCを析出物として固定し鋼の加工性を向上させる効果のほか、鋼の焼入れ性を向上させる効果を発揮する元素であるので、必要により含有させるのが好ましい元素である。しかしながら、V含有量が 1.0%を超えると鋼の強度が上昇しすぎるので好ましくない。
【0037】
[C] 酸洗条件の限定理由
冷間圧延に供するフェライト系ステンレス鋼板の表面に“皮膜表層から酸素濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲における皮膜中のCr/Fe比の最大値が0.28以上である酸化皮膜”を安定かつ均一に生成させるためには、熱間圧延後の鋼帯の酸洗処理工程において、通常は複数の酸洗槽のうちの少なくとも1槽で硝酸あるいは硝酸混合液での酸洗を行う必要がある(勿論、 酸洗槽が1槽のみの場合はその酸洗槽で硝酸あるいは硝酸混合液を用いた酸洗を行う必要がある)。
【0038】
ここで、「硝酸混合液」とは、脱スケ−ルを促進させる目的で硝酸にその他の酸洗液を混合したものを言う。
このような硝酸混合液としては硝酸に弗酸あるいは塩酸を加えた弗硝酸,塩硝酸が挙げられ、弗酸あるいは塩酸のそれぞれ好ましい濃度としては弗酸の場合は5〜150g/L ,塩酸の場合は10〜200g/L である。
【0039】
さて、硝酸は、その他の酸洗液に比較するとステンレス鋼の表面酸化皮膜の成長を促進させ、かつCrリッチな皮膜を形成させる働きがある。その作用により、フェライト系ステンレス鋼熱間圧延板に硝酸あるいは硝酸混合液での酸洗を行うと冷間圧延時のワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングの生成に有利な組成の表面酸化皮膜が安定生成するものと考えられる。
【0040】
また、複数ある酸洗槽のうち、硝酸あるいは硝酸混合液による酸洗を行う酸洗槽以外の槽で用いられる酸洗液としては、一般的に使用される硫酸,塩酸等が挙げられる。
本発明においては、酸洗槽の少なくとも1槽に硝酸あるいは硝酸混合液を収容し、熱間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板を少なくともこの酸洗槽に通して酸洗を行う限りにおいては、その他の酸洗槽における酸洗は上記の硫酸,塩酸等といった任意の酸洗液を適宜用いることができる。
【0041】
なお、本発明において、酸洗液として用いられる硝酸(硝酸混合液の場合も含む)の濃度,温度、並びにそれへの被処理鋼板の浸漬時間を、それぞれ「20〜200g/L 」,「30〜70℃」並びに「15秒以上」と定めたのは、次の理由による。
【0042】
酸洗液の硝酸濃度:
酸洗に用いられる硝酸濃度(硝酸混合液中の硝酸濃度も含む)が20g/L に満たないと、硝酸浸漬による酸化皮膜形成の効果が十分得られず、フェライト系ステンレス鋼板母材表面に形成される酸化皮膜が“安定して冷間圧延時のワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングが生成する皮膜組成”とはならない。一方、酸洗液の硝酸濃度を200g/L を超える高濃度としても酸化皮膜形成の効果が飽和するばかりか、酸洗液のコストが嵩むこととなる。従って、酸洗液の硝酸濃度は20〜200g/L と定めた。
【0043】
酸洗液の温度:
酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液の温度が30℃に満たないと、フェライト系ステンレス鋼板母材表面の反応が不十分となり、形成される酸化皮膜が“安定して冷間圧延時のワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングが生成する皮膜組成”とはならない。一方、酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液の温度が70℃を超えている場合には、鋼板の浸漬によって有害ガスであるNOの発生が著しくなり、そのためNO除去装置等の新たな設備投資が必要となるので好ましくない。従って、酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液の温度は30〜70℃と定めた。
【0044】
浸漬時間:
酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液への浸漬時間が15秒に満たないと、やはりフェライト系ステンレス鋼板母材表面に形成される酸化皮膜が“安定して冷間圧延時のワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングが生成する皮膜組成”とはならない。従って、フェライト系ステンレス鋼板を酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液へ浸漬する時間は15秒以上と定めた。
【0045】
ところで、本発明においては、酸洗液として用いる硝酸あるいは硝酸混合液への浸漬後は、酸洗時に脱スケ−ルを補助する目的で一般に行われている酸洗槽間での鋼板表面のブラシ研削や酸洗後に鋼板表面の欠陥を除去するためあるいは表面の均一化を確保するために行われているコイルグラインダ−による手入れ等は省略しなければならない。
これは、鋼板表面を機械的に研削すると、折角硝酸あるいは硝酸混合液による酸洗で得られた表面の酸化皮膜の組成が変化してしまい、冷間圧延時にロ−ルコ−ティングが生成しにくくなるためである。
また、ブラシやコイルグラインダ−の研削目が製品表面にスジ状の欠陥として残存する可能性もあり、この点からも酸洗槽間でのブラシ研削や酸洗後のコイルグラインダ−による手入れは避けるべきである。
【0046】
しかしながら、表面欠陥を除去するためにコイルグラインダ−による表面研削が回避できない場合は、コイルグラインダ−にて鋼板表面を研削した後に、更に本発明に係る酸洗処理(特定硝酸濃度,温度の硝酸あるいは硝酸混合液に特定時間以上浸漬して酸洗する処理)を行えば良い。このような再度の酸洗処理を行うことにより、ロ−ルコ−ティング生成に有利な表面酸化皮膜を回復させることができる。
【0047】
続いて、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【実施例】
〔実施例1〕
表1に示す鋼組成を有するフェライト系ステンレス鋼を80ton の電気炉で溶製し、連続鋳造法にて鋳片とし、1200℃×3時間の加熱を行い、熱間厚により厚さ 3.0mm,幅1000mmの熱間圧延鋼帯とした。
【0048】
【表1】
Figure 0003598981
【0049】
この熱間圧延鋼帯にバッチ型焼鈍炉にて850℃で14時間の焼鈍を施し、次いで連続焼鈍・酸洗ラインにて焼鈍することなくショットブラストと酸洗により酸化スケ−ルの除去を行った。
酸洗ラインの酸洗槽は3槽からなり、第1槽及び第2槽は20%HSO,80℃の同一条件とし、第3槽の酸洗条件を表2に示す通りに変化させた。
【0050】
【表2】
Figure 0003598981
【0051】
このようにして得られた各フェライト系ステンレス鋼帯の表面酸化皮膜の組成を確認するために、各鋼帯の長手方向の中央部から切り板片を採取し、更にその幅中央の位置からESCAに供試するサンプルを採取した。サンプルの寸法は厚さ 3.0mm×幅,長さとも5mmである。
これらのサンプルについて、ESCAにてArガスで3秒ピッチで合計60秒のスパッタリングを行い、各ピッチでのFe,Cr,Oの原子%での組成比を求めた。そして、各深さでのFe,Crの原子%からCr/Feの最大値を求めた。
【0052】
また、上記の酸洗処理を施したステンレス鋼帯を冷間圧延した際におけるロ−ルコ−ティングの生成状況を確認すべく、各鋼帯を冷間圧延に供試した。
冷間圧延は、20段のゼンジマ−圧延機を用い、ワ−クロ−ル径90mm,圧延速度200mpm の条件で母材厚さ 3.0mmから製品厚さ 0.6mmまで圧延した。
圧延ワ−クロ−ルは、各ステンレス鋼帯の圧延が完了する度に新ロ−ルと交換し、圧延完了後のワ−クロ−ル交換時にロ−ルコ−ティングの生成状況を目視にて確認した。
【0053】
冷延圧延により製品厚まで圧延された各鋼帯は、その後連続焼鈍酸洗ラインにて再結晶焼鈍を施した後、酸洗処理にてスケ−ルを除去し、その後調質圧延を施すことにより冷延製品となした。
このようにして製造されたステンレス冷延鋼帯の表面光沢及び均一性を評価するために、鋼帯の幅方向及び長手方向の外観を目視で観察すると共に、先後端より切り板サンプルを採取し圧延90°方向の光沢度の測定を行った。
これらの結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003598981
【0055】
表3に示される結果からも明らかなように、本発明に係る熱間圧延ステンレス鋼帯は表面酸化皮膜中のCr/Fe組成比の最大値が0.28以上となりロ−ルコ−ティングが生成しやすい皮膜構造となっている。そのため、冷間圧延においてロ−ルコ−ティングが均一に生成し、高光沢で均一性に優れる冷延製品表面を得ることができる。
また、光沢度測定結果を見ても、先端部及び後端部とも安定して光沢度500以上の高光沢の表面となっており、先後端の光沢度の差も15以下と非常に小さくて表面光沢の均一性にも優れていることが分かる。
【0056】
これに対して、酸化皮膜中のCr/Fe組成比の最大値が0.28に満たない試験番号11〜17は、冷間圧延時にロ−ルコ−ティングが生成しなかったり、生成しても幅方向で不均一となり、そのため製品表面で光沢が不均一となっている。
光沢度で比較しても、光沢度500以上の高い光沢を安定して得ることができず、先後端での光沢度の差も20以上で本発明例よりも表面の均一性に劣るものである。
【0057】
また、酸洗液温の高い試験番号18及び酸洗液の硝酸濃度が高い試験番号19は、共に冷延製品表面の光沢度,均一性に優れるものの、酸洗時のNO発生量が多くて作業環境を著しく汚染したり酸の原単位が上昇してコスト高を招くため、これらの観点から好ましいとは言えなかった。
【0058】
〔実施例2〕
表4に示す化学組成のフェライト系ステンレス鋼を、実施例1と同じ方法で熱間圧延鋼帯とした。
【0059】
【表4】
Figure 0003598981
【0060】
次に、各熱間圧延鋼帯について、バッチ型焼鈍炉あるいは連続焼鈍酸洗ラインにて表5に示す熱処理を行った後、表6に示す酸洗条件で酸洗処理を行った。
【0061】
【表5】
Figure 0003598981
【0062】
【表6】
Figure 0003598981
【0063】
このようにして得られたフェライト系ステンレス鋼帯について、実施例1と同じ手法にて表面酸化皮膜の組成比を調査し、冷間圧延時のワ−クロ−ルコ−ティングの生成状況及び冷延製品の表面評価を行った。
【0064】
また、得られた冷延製品の加工性を評価するため、各フェライト系ステンレス冷延鋼帯の圧延直角方向からそれぞれJIS Z 2201に規定されるJIS13B号試験片を採取し、JIS Z 2241に規定される方法で常温の引張試験を行ってその伸びを測定した。
【0065】
更に、冷延製品の耐食性を評価するため、JIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験を連続7日間行い、7日後の試験片表面を光学顕微鏡の50倍視野にて観察して発銹の有無を評価した。
【0066】
加えて、各製造工程毎に鋼帯の外観観察を行い、鋼帯の破断,幅部の割れ(以下“耳割れ”と称する)の発生の有無を観察し、製造性の評価とした。
これらの結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
Figure 0003598981
【0068】
表7に示される結果からも明らかな通り、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼帯は、冷延圧延時にロ−ルコ−ティングが安定して生成し高光沢で均一性に優れる冷延製品表面を得ることができ、また製造性も良好であるほか、冷延製品とした際の加工性,耐食性にも優れていることが分かる。
【0069】
これに対して、鋼板の化学組成が請求項2及び3に係る発明の規定範囲から外れている試験番号33〜42では、高光沢かつ均一性に優れる表面性状の冷延製品を得ることができるものの、製造性並びに冷延製品の加工性,耐食性を同時に良好な範囲で満足することができない。
また、酸洗条件が不適切で所要の表面酸化皮膜を確保できない試験番号43,44は、冷間圧延時にロ−ルコ−ティングが生成しなかったり、生成しても幅方向で不均一となり、そのため製品表面で光沢が不均一となっている。
【0070】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明によれば、酸洗条件の簡易な調整によるだけで冷間圧延時のワ−クロ−ルにロ−ルコ−ティングを均一に生成させて高光沢で光沢の均一性に優れた冷延製品を安定製造できるようにした冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板を提供することができ、また鋼板組成の調整をも加味することにより、高光沢でかつ光沢の均一性に優れるだけではなく、同時に優れた加工性,耐食性をも兼備した冷延製品が得られる冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板の提供も可能にするなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板(実施例1の試験番号2) の表面のESCA分析結果を示したグラフである。
【図2】本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板(実施例1の試験番号8) の表面のESCA分析結果を示したグラフである。
【図3】比較例に係るフェライト系ステンレス鋼板(実施例1の試験番号12)の表面のESCA分析結果を示したグラフである。
【図4】図1乃至3の結果をCr/Fe原子比とO濃度(原子%)との関係で整理したグラフである。

Claims (4)

  1. “皮膜表層から酸素濃度が30原子%に減少するに至るまでの範囲における皮膜中のCr,Fe組成比(Cr/Fe原子比)の最大値が0.28以上である酸化皮膜”を表面に有して成ることを特徴とする、冷間圧延後の表面光沢の均一性に優れる冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
  2. 母材が、質量%にて、C:0.10%以下,Si:1.5 %以下,Mn:1.5 %以下,P:0.040 %以下,S:0.030 %以下,N:0.050 %以下,Cr:14.0〜25.0%を含み、残部がFe及び不可避的不純物である組成を有して成る、請求項1記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
  3. 母材が、質量%にて、C:0.10%以下,Si:1.5 %以下,Mn:1.5 %以下,P:0.040 %以下,S:0.030 %以下,N:0.050 %以下,Cr:14.0〜25.0%を含むと共に、更にCu:1.5 %以下,Nb:0.1 〜1.0 %,Ti:0.03〜0.15%,Al:0.2 %以下及びV:1.0 %以下のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成を有して成る、請求項1記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板。
  4. 熱間圧延鋼板を酸洗処理するに際して、酸洗槽のうちの少なくとも1つの槽を硝酸あるいは硝酸混合液による酸洗槽となし、少なくともこの酸洗槽にて熱間圧延鋼板を濃度20〜200g/L ,温度30〜70℃の硝酸あるいは硝酸混合液から成る酸洗液に15秒以上浸漬すると共に、この硝酸あるいは硝酸混合液への浸漬後は機械的表面研削を行うことなく処理製品とすることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の冷間圧延用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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