JP3059376B2 - 光沢性および耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

光沢性および耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法

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JP3059376B2 JP8066584A JP6658496A JP3059376B2 JP 3059376 B2 JP3059376 B2 JP 3059376B2 JP 8066584 A JP8066584 A JP 8066584A JP 6658496 A JP6658496 A JP 6658496A JP 3059376 B2 JP3059376 B2 JP 3059376B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光沢性および耐食
性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板(鋼帯を含
む。)およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SUS304を代表とするオーステナイ
ト系ステンレス鋼板は、耐熱性、耐食性、加工性等の特
性が優れており、その使途は広範囲にわたっている。こ
のオーステナイト系ステンレスの冷延鋼板は、スラブ加
熱についで熱間圧延、熱延板焼鈍、脱スケール(前処理
−酸洗)そして冷間圧延からなる一連の工程を経た後、
仕上げ焼鈍を行い、所定の材質に調整される。焼鈍の方
法には、強還元性雰囲気で処理する方法と燃焼雰囲気中
で処理する方法とがある。前者の方法は、光輝焼鈍(B
A)と呼ばれ、生成する酸化皮膜(スケール)は、極め
て薄く、ほとんど圧延ままの光沢が得られるが、焼鈍雰
囲気に強還元性ガス(H2 、H2 +N2 など)を用いる
ため設備が複雑になり、コスト高になるという難点があ
る。一方、後者の方法は、焼鈍ガスとしてはプロパン、
ブタン等の燃焼ガスを用いるので、焼鈍の操業が行いや
すという点では好ましい方法と言えるが、焼鈍時に、鋼
板表面に一定厚さ以上のスケールが生じるため、このま
までは耐食性や成形・加工時のダイス寿命などに悪影響
をもたらし使用できない。このため、燃焼雰囲気中で焼
鈍を行う場合には、通常、焼鈍した後に脱スケールのた
めの酸洗処理を行っている。
【0003】ところで、従来、燃焼雰囲気中で焼鈍した
後に施される脱スケール処理としては、溶融アルカリ塩
に浸漬するソルト処理もしくは、硫酸ナトリウム、硝酸
ナトリウム等の中性塩溶液中における電解処理などの前
処理を行った後、硫酸、硝酸、硝弗酸等の酸溶液に浸漬
または電解処理する工程を組み合わせる方法が用いられ
ていた。これらの技術については、特公昭38-12162号公
報、特開昭59-59900号公報あるいはステンレス鋼便覧
(長谷川正義監修、日刊工業新聞社、1973、1973、P839
)などに開示されてる。また、この前処理の後の酸処理
としては、従来から、硝酸と弗酸からなる混酸を用いる
酸洗工程を取り入れるのが一般的であった。しかし、こ
のような混酸による脱スケール処理を行った場合に、ス
ケール層は除去されるものの、酸洗後の鋼板表面は、粒
界あるいはさらに粒内が混酸により浸食された状況とな
る。一旦このような表面状態になると、その後に鋼板を
軽圧下による調質圧延を施しても、その光沢は、圧延時
の光沢に比べ著しく劣るものとなる。したがって、この
ような酸洗を行った後でも十分な光沢を得るためには、
酸洗後に研磨処理を行うことが必要不可欠となってい
た。
【0004】そこで、燃焼雰囲気中焼鈍材の酸洗後にお
ける研磨工程の負荷を小さく、また光沢を向上させるた
めに、これまでにもいくつかの提案がなされてきた。例
えば、特公昭62-60164号公報では、ステンレス鋼を冷間
圧延後、クロスベルトで表面を研磨後、焼鈍と酸洗を行
い、必要に応じて調質圧延を施して製品とする技術が提
案されているが、クロスベルトでの表面研磨という大が
かりな装置が必要なため、大幅なコストアップをきたす
という欠点があった。また、特公平3-60920 号公報で
は、研磨性を向上させることを目的として、熱延焼鈍板
を、特定濃度の硝酸と弗酸の混酸中で脱スケールするこ
とによって、粒界浸食性を低減させることを提案してい
る。しかし、この技術では、表面を多量に溶解するため
に、溶解ムラが出やすく、また粒内にも凹凸がでやす
く、酸洗後の光沢は必ずしも良好なものとはならないと
いう問題があった。さらに、特開平6-17271 号公報、特
開平6-280064号公報、特開平7-113187号公報では、焼鈍
条件および硝酸・弗酸濃度を規定して粒界浸食をできる
だけおさえ、研磨性をよくしようとするものである。し
かし、これらの従来技術でも、調質圧延後に十分な光沢
を得るためには、研磨が必要不可欠であり、また、酸濃
度を規定したことにより、表面の脱クロム層を十分除去
しきれず、酸洗後の耐食性が従来方法に比べて劣るとい
う問題点があった。一方、耐食性の向上に関しては、特
開平6-88297 号公報、特開平6-88300 号公報に、混酸処
理前に行なわれる中性塩電解処理のpHや、混酸処理後に
行なわれる硝酸電解ぬいおける電解方法を規定して、Si
濃化金属層を除去する方法が開示されている。しかし、
この技術では、鋼板の表面が多量に溶解され、特に粒界
が過剰に浸食され、十分な光沢が得られないという問題
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、燃焼
雰囲気中での焼鈍工程により、オーステナイト系ステン
レス鋼板を製造する際における上記既知技術は、いずれ
も、光沢を得るためには酸洗後に研磨が必要なこと、得
られた光沢も必ずしも十分ではないこと、また酸洗後の
耐食性も十分ではないことなどといった問題を抱えてい
た。そこで、本発明の目的は、上記既知技術が抱えてい
る問題点を惹起することのないステンレス鋼板およびそ
の製造方法を提供することにあり、仕上げ焼鈍−酸洗後
における、光沢性と耐食性が優れたオーステナイト系ス
テンレス鋼板およびその製造方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、酸洗後の研磨を行わなくて
も、良好な光沢性と耐食性とを備えた、安価なオーステ
ナイト系ステンレス鋼板の製造技術を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、本発明者らは、上
掲の目的の実現に向けて、先ず、オーステナイト系ステ
ンレス鋼の成分特にSi、Al、Oの含有量、スラブ加熱温
度、硝酸−弗酸による混酸酸洗などの諸条件について詳
細な実験を行い、得られた冷延鋼板の表面性状を観察
し、これらが光沢性や耐食性に及ぼす影響について検討
考察した。その結果、地鉄とスケール界面における、Si
系, Al系のアモルファス系の酸化物(以下、それぞれ単
に「アモルファスSi酸化物」「アモルファスAl酸化物」
と略記する。)の生成を抑制できれば、酸洗後の鋼板表
面の粒界溝(「粒界浸食溝」と同義)が少なくなり、深
さも浅くなること、また鋼板表面に残留するSi系,Al系
のアモルファス酸化物を低下させれば、Cr欠乏層残りを
なくすことができ耐食性を向上できること、Si系, Al系
のアモルファス酸化物の生成量や残留量を低減させるた
めには、鋼中のSi, Al, O成分の制限することが必要で
あることを見い出した。また、Si, Al, Oの成分を制限
し、スラブ加熱温度を特定の温度範囲で行なうことによ
り、熱延−脱スケール後の熱延板の粒界溝や表面欠陥を
抑制でき、さらに、仕上げ焼鈍酸洗時の酸洗を特定条件
で行なうことにより、Cr濃度に関係なく鋼板表面を均一
に溶解することができることを見い出した。
【0007】本発明は、以上の知見に基づいて完成され
たものであり、その要旨構成は次のとおりである。 1)鋼のSi量が0.2 wt%以下、かつ、鋼板の表面から板
厚方向に10μm までの表層部におけるアモルファスSi酸
化物量が1.0 wt%以下であり、鋼板表面における粒界浸
食溝の深さが0.1 〜0.5 μm であることを特徴とする光
沢性および耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス
鋼板。
【0008】2)鋼のSi量が0.2 wt%以下、Al量が0.00
5 wt%以下、O量が0.006 wt%以下、かつ、鋼板の表面
から板厚方向に10μm までの表層部におけるアモルファ
スSi酸化物量が1.0 wt%以下、アモルファスAl酸化物量
が0.1 wt%以下であり、鋼板表面における粒界浸食溝の
深さが0.1 〜0.5 μm であることを特徴とする光沢性お
よび耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板。
【0009】3)Si量が0.2 wt%以下のオーステナイト
系ステンレス鋼スラブを1100〜1200℃の温度範囲に加熱
し、常法による熱間圧延、熱延板焼鈍、脱スケール、冷
間圧延および仕上げ焼鈍を行い、硝酸と弗酸よりなる混
酸を用い、下記の条件で酸洗することを特徴とする上記
1)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方
法。 記 溶存Feイオン濃度:50 g/l 以下 硝酸濃度:10〜60 g/l または 100 〜150 g/l 弗酸濃度:(0.67C+2)g/l 〜(0.67C+12)g/l ただしC:溶存Feイオン濃度( g/l)
【0010】4)Si量が0.2 wt%以下、Al量が0.005 wt
%以下、O量が0.006 wt%以下のオーステナイト系ステ
ンレス鋼スラブを1100〜1200℃の温度範囲に加熱し、常
法による熱間圧延、熱延板焼鈍、脱スケール、冷間圧延
および仕上げ焼鈍を行い、硝酸と弗酸よりなる混酸を用
い、下記の条件で酸洗することを特徴とする上記2)に
記載のオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。 記 溶存Feイオン濃度:50 g/l 以下 硝酸濃度:10〜60 g/l または 100 〜150 g/l 弗酸濃度:(0.67C+2)g/l 〜(0.67C+12)g/l ただしC:溶存Feイオン濃度( g/l)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、オーステナイト系ステンレス鋼中のSi量を
0.2 wt%以下とする必要がある。これは、本発明者ら
が、鋼中のSi成分と地鉄とスケール界面のSi濃化層を検
討した結果、Si量が0.2 wt%を超えると、鋼板表面に多
量のアモルファスSi酸化物が生成することを突き止めた
ことによる。このアモルファスSi酸化物は、結晶粒成長
の防げとなり、その結果、地鉄表層の粒界溝の面積が多
くなり、また酸洗後の粒界溝の深さも深くなって、光沢
性に悪影響をもたらす。また、このアモルファスSi酸化
物は後述の理由により耐食性をも低下させる。
【0012】言い換えれば、Si≦0.2 %に制限すること
によって、結晶粒の成長を防げるアモルファスSi酸化物
の、スケールと地鉄界面における、生成が抑制され、粒
界溝の面積も少なくなり、粒界浸食溝の深さも低減し、
優れた光沢が得られる。また、アモルファスSi酸化物の
低減により耐食性も改善される。したがってオーステナ
イト系ステンレス鋼中のSi量は0.2 wt%以下に制限する
必要がある。このSi量は上記観点から少なければ少ない
ほどよいので、特に下限を定める必要はないが、溶接性
等に悪影響を及ぼすことが考えられるので、0.02〜0.15
%とするのが好ましい。
【0013】オーステナイト鋼中の成分として、上述し
たSi量の制限に加えて、鋼中のAl量を0.005 wt%以下、
O量を0.006 wt%以下に制限することにより、一層優れ
た光沢と耐食性改善効果が得られる。この理由は、Alが
0.005 wt%を超えかつOが0.006 wt%を超えると、アモ
ルファスAl酸化物を形成する。この酸化物は、地鉄とス
ケール界面に濃化して、結晶粒の成長を防げ、粒界溝の
面積を増加させ、また酸洗後の粒界溝の深さも増大さ
せ、光沢を劣化させる。すなわち、Al≦0.005 wt%、O
≦0.006 wt%に制限することにより、アモルファスAl酸
化物の生成を抑制することができ、光沢性を向上させる
ことができる。また、アモルファスAl酸化物の低減によ
り耐食性も改善可能になる。Al量, O量は、品質の上か
らは低ければ低いほどよいが、あまりに低いと製鋼時の
精錬時間等の増大を必要として、コストアップにつなが
るのでAl量は0.005wt%以下、好ましくは 0.001〜0.004
wt%、O量は0.006 wt%以下、好ましくは0.002〜0.00
5 wt%とする。
【0014】次に、アモルファスSi酸化物およびアモル
ファスAl酸化物について説明する。まず、仕上げ焼鈍・
酸洗後の表面1μm 厚さの成分中のアモルファスSi酸化
物を1.0 wt%以下にする必要がある。アモルファスSi酸
化物は、前述したように、結晶粒成長を防げ、地鉄表層
の粒界溝の面積を増し、また酸洗後の粒界溝の深さを大
きくするので、光沢性の上で悪影響を及ぼす。さらに、
このアモルファスSi酸化物は、発錆に起点になりやす
く、またアモルファスSi酸化物が残留するとその下層の
脱Cr層も残留し、いずれも耐食性に悪影響を与える。こ
れらの影響は、表面1μm 厚さのアモルファスSi酸化物
量を1.0 wt%以下の範囲に制御することにより顕著に抑
制できるので、上記厚み範囲におけるアモルファスSi酸
化物量を1.0 wt%以下とする。鋼板表面に残存するアモ
ルファスSi酸化物はこの範囲で低ければ低いほどよい。
ただし、酸洗溶解のみでアモルファスSi酸化物量を過度
に低下させることは、鋼板表面での多量の溶解を伴うの
で、表面の粒界溝の深さを増して、光沢の劣化を招く。
しかし、このような障害は鋼中のSi量を上述のように低
減することにより避けることができる。
【0015】また、アモルファスAl酸化物も、前述した
ように、結晶粒成長を防げ、地鉄表層の粒界溝の面積を
増し、また酸洗後の粒界溝の深さを深くするので、光沢
性の上で悪影響を及ぼす。さらに、アモルファスAl酸化
物は、発錆の起点になりやすく、またアモルファスAl酸
化物が残留するとその下層の脱Cr層も残留し、いずれも
耐食性に悪影響を与える。これらの影響は、表面1μm
厚さのアモルファスAl酸化物量を0.1 wt%以下の範囲に
制御することにより顕著に抑制できるので、上記厚み範
囲におけるアモルファスAl酸化物量を0.1 wt%以下とす
る。鋼板表面に残存するアモルファスAl酸化物はこの範
囲で低ければ低いほどよい。ただし、酸洗溶解のみでア
モルファスAl酸化物量を過度に低下させることは、鋼板
表面での多量の溶解を伴うので、表面の粒界溝の深さを
増して、光沢の劣化を招く。しかし、このような障害は
鋼中のAl量を上述したように制限することにより避ける
ことができる。
【0016】また、仕上げ焼鈍−酸洗した、本発明に従
う鋼板表面における粒界溝(粒界浸食溝)の深さは、0.
1 〜0.5 μm とする。冷延−焼鈍後のステンレス鋼板の
粒界付近には、拡散速度の関係から、脱クロム層が生成
する。この脱クロム層を酸洗により溶解しないと耐食性
が劣るので、本発明成分の鋼板では、表面における粒界
溝の深さが少なくとも0.1 μm になるように、脱クロム
層を酸洗除去する必要がある。一方、粒界溝の深さが余
りに大きくなり過ぎると光沢性が低下してしまう。した
がって、光沢性と耐食性を両立させるためには、粒界溝
の深さを0.1 〜0.5 μm に調整する必要がある。
【0017】次に、製造条件について説明する。熱間圧
延時のスラブ加熱温度は1100〜1200℃の温度範囲とす
る。というのは、このスラブ加熱温度が1200℃を超えた
場合には、Si系の酸化物やAl系の酸化物が、スラブ鋼片
表面に厚く生成する。このSi系、Al系のアモルファス
化物は、粗圧延、仕上げ圧延の際に鋼板に押しこまれ、
鋼板表面に傷やかみこみスケールの原因となる。これら
の傷は、熱延−酸洗後や冷間圧延後にも残りやすく、仕
上げ焼鈍−酸洗板の表面に大きな傷として残存し、光沢
性を劣化させる。このため、スラブ加熱温度を1200℃以
下にすることにより、鋼片表面に生成する上記酸化物は
薄くなり、熱延鋼板における傷やかみこみスケール等を
抑制でき、冷延鋼板の光沢を向上させることができる。
一方、熱間圧延時のスラブ加熱温度があまりに低過ぎる
と、スラブが軟化せず、圧延時に多大な荷重が必要とな
り、操業が困難となる。従って、熱間圧延時のスラブ加
熱温度は、1100〜1200℃の温度範囲とする必要がある。
【0018】上記加熱に続く、熱間圧延、熱延板焼鈍、
脱スケール、冷間圧延、仕上げ焼鈍の各工程の操業条件
については、特に定めないが、仕上げ焼鈍に関しては、
1025〜1100℃で 5〜50 secの範囲で行うのが好ましい。
【0019】上記冷延、仕上げ焼鈍に続いて、硝酸と弗
酸よりなる混酸を用い、次の条件を満足する酸洗を行
う。溶存Feイオン濃度:50 g/l以下、硝酸濃度:10〜60
g/lまたは100 〜150 g/l、弗酸濃度:(0.67C+2)g
/l 〜(0.67C+12)g/l 、ただし、C:溶存Feイオン
濃度( g/l)
【0020】このうち、硝酸濃度が10 g/lより低いと、
溶解力が不足し、脱スケールに多大な時間が必要にな
る。また60〜100 g/l では硝酸の地鉄へのアタック性が
強く、また粒界のみならず粒内にもピット状の浸食を生
じ、光沢性を劣化させる。また150 g/l を高濃度ではNO
X 等の発生が激しくなり環境上好ましくないばかり
か、、コストの増大をまねく。従って硝酸濃度は、10〜
60 g/lまたは100 〜150 g/lの範囲とする。
【0021】また、弗酸濃度は、溶存Feイオン濃度に依
存する。(0.67C+2)g/l より小さい濃度では、溶解
力が不足し、脱スケールに多大な時間がかかる。また、
(0.67C+12)g/l より高い濃度になると、粒界浸食が
顕著となり、粒内にもピット状の浸食が生じ光沢性を劣
化させる。したがって、弗酸濃度は(0.67C+2)g/l
〜(0.67C+12)g/l の範囲とする。
【0022】さらに、溶存Feイオン濃度が、50 g/lを超
えると脱スケールの制御が困難となり、また多量の沈澱
を生じ、酸洗廃液の処理の上からも操業が困難となる。
したがって、溶存Feイオン濃度は50 g/l以下、好ましく
は35 g/l以下とする。
【0023】なお、本発明においては、上記混酸による
酸洗処理の前処理として、従来から適用されている、前
述のアルカリ溶融塩処理や、Na2SO4水溶液を用いる中性
塩電解処理技術を適用しても何ら問題はない。また、仕
上げ焼鈍に次ぐ混酸による酸洗の後に、硝酸電解や調質
圧延等の処理を付加できることはいうまでもない。さら
に、前述した鋼中成分以外の他の成分については、特に
定める必要がなく、従来のオーステナイト系ステンレス
鋼の成分がそのまま適用できる。
【0024】
【実施例】実施例1 表1に示す成分組成のオーステナイト系ステンレス鋼を
実験室的に溶製し、1190℃にスラブを加熱し、熱間圧延
(粗圧延−仕上げ圧延、以下同じ)で4mm厚の熱延板
とし、熱延板焼鈍(1150℃で30sec)、H2SO4 200 g/l, 8
0 ℃, 40 sec→HNO3 150 g/l,HF 25 g/l, 55℃, 40 sec
の浸漬で脱スケールの後、冷間圧延し、板厚1.0mm の冷
延鋼板とした。その後、1100℃×30sec 保持の仕上げ焼
鈍に続き、中性塩電解処理(Na2SO4 200g/l、温度80℃、
電気量120c/dm2) を行い、硝酸50g/l 、弗酸25g/l 、溶
存Feイオン濃度30g/l 、温度60℃の条件の混酸に10〜40
秒浸漬して酸洗した。得られた鋼板について、光沢性お
よび耐食性を評価した。光沢性は光沢度 (JIS Z 8741)
により、また耐食性の判定はキャス試験(JIS D 0201)
による72時間後の発錆面積率により評価した。表1か
ら、Si量が多い比較例は、光沢性、耐食性とも劣ってい
る。また、表層10μm 中のアモルファスSi酸化物が1.0
wt%を超えると耐食性は劣り、粒界浸食深さが0.5 μm
を超えると光沢は劣り、0.1 μm より浅いと耐食性が劣
っている。これに対し、発明例は、光沢性、耐食性とも
に従来例と比較して極めて優れていることがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 実施例2 表2に示す成分組成のオーステナイト系ステンレス鋼を
実験室的に溶製し、1180℃にスラブを加熱し、熱間圧延
で4mm厚の熱延板とし、熱延板焼鈍(1150℃で30se
c)、H2SO4 200 g/l,80℃,40 sec → HNO3 150 g/l,HF 2
5 g/l, 55 ℃, 40sec の浸漬で脱スケールの後、冷間圧
延し、板厚1.0mm の冷延鋼板とした。次いで、1100℃×
25sec 保持の仕上げ焼鈍、中性塩電解処理(Na2SO4 180g
/l、温度75℃、電気量120c/dm2) を行い、硝酸55 g/l、
弗酸20 g/l、溶存Feイオン濃度25 g/l、温度55℃の条件
の混酸に10〜40秒浸漬して酸洗した。No.45,49,51 につ
いては混酸の酸洗条件を緩和することにより、Al酸化物
を残したものも実験した。得られた鋼板について、光沢
性および耐食性を評価した。光沢性は光沢度 (JIS Z 87
41) により、また耐食性の判定はキャス試験(JIS D 02
01) による72時間後の発錆面積率により評価した。
【0027】表2から、Alが0.005 %超え、Oが0.006
%超えの比較例でも、従来例に比較すれば、光沢性、耐
食性とも良好である。Al:0.005 %以下、O:0.006 %
以下の発明例はこの比較例よりさらに良好であり、発明
例がこれらの特性に極めて優れていることがわかる。ま
た、表層10μm の成分中のAl酸化物が0.1 wt%を超える
と耐食性は劣ることがわかる。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3 表3に示す成分組成のオーステナイト系ステンレス鋼を
実験室的に溶製し、表4に示す温度にスラブを加熱し、
熱間圧延で4mm厚の熱延板とし、熱延板焼鈍(1150℃
で30sec)、H2SO4 200 g/l,80℃,40 sec → HNO3 150 g/
l,HF 25 g/l, 55 ℃, 40sec の浸漬で脱スケール (酸
洗) の後、冷間圧延し、板厚1.0 mmの冷延鋼板とした。
次いで、中性塩電解処理(Na2SO4 180g/l、温度75℃、電
気量120c/dm2) を行い、表4に示す条件の混酸で、酸洗
後の表面が表4の条件になるまで酸洗を行った。表4か
ら、スラブ加熱温度が1200℃超えもしくは混酸組成が不
適正な比較例は、従来例に比べて耐食性、光沢性とも良
好であるものの、発明例に比較すると劣っており、発明
例がこれらの特性に極めて優れていることがわかる。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】以上の各実施例から明らかなように、オー
ステナイト系ステンレス鋼のSi量、表層10μm 厚さのア
モルファスSi酸化物量および粒界浸食溝の深さが、本発
明範囲を満たしたとき、また、これに加えて、鋼中のAl
量, O量、表層10μm 厚さのアモルファスAl酸化物量
が、本発明範囲を満たしたとき、初めて、優れた光沢性
および耐食性を有するステンレス鋼板を得ることができ
る。また、これらの優れた特性は、鋼板のSi量、あるい
はさらにAl量およびO量を上記所定量に調整した上、熱
間圧延時のスラブ加熱温度、仕上げ焼鈍後の酸洗条件を
適正に制御した場合に達成できることがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、Si
量、あるいはさらにAl量、O量を制限した鋼を、比較的
低温の適正温度範囲で加熱し、さらに仕上げ焼鈍後の酸
洗条件を制御することにより、鋼板表面において、適正
な粒界浸食深さおよび表面10μm 厚さのアモルファスSi
酸化物量、あるいはさらに適正なアモルファスAl酸化物
量に調整でき、これによって極めて良好な光沢および耐
食性を備えたオーステナイト系ステンレス鋼板を得るこ
とが可能になる。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−222558(JP,A) 特開 平6−17271(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/08 C21D 8/02 C22C 38/00 C25F 1/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼のSi量が0.2 wt%以下、かつ、鋼板の表
    面から板厚方向に10μm までの表層部におけるアモルフ
    ァスSi酸化物量が1.0 wt%以下であり、鋼板表面におけ
    る粒界浸食溝の深さが0.1 〜0.5 μm であることを特徴
    とする光沢性および耐食性に優れるオーステナイト系ス
    テンレス鋼板。
  2. 【請求項2】鋼のSi量が0.2 wt%以下、Al量が0.005 wt
    %以下、O量が0.006 wt%以下、かつ、鋼板の表面から
    板厚方向に10μm までの表層部におけるアモルファスSi
    酸化物量が1.0 wt%以下、アモルファスAl酸化物量が0.
    1 wt%以下であり、鋼板表面における粒界浸食溝の深さ
    が0.1 〜0.5 μm であることを特徴とする光沢性および
    耐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板。
  3. 【請求項3】Si量が0.2 wt%以下のオーステナイト系ス
    テンレス鋼スラブを1100〜1200℃の温度範囲に加熱し、
    常法による熱間圧延、熱延板焼鈍、脱スケール、冷間圧
    延および仕上げ焼鈍を行い、硝酸と弗酸よりなる混酸を
    用い、下記の条件で酸洗することを特徴とする請求項1
    に記載のオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。 記 溶存Feイオン濃度:50 g/l以下 硝酸濃度:10〜60 g/l または 100 〜150 g/l 弗酸濃度:(0.67C+2)g/l 〜(0.67C+12)g/l ただしC:溶存Feイオン濃度( g/l)
  4. 【請求項4】Si量が0.2 wt%以下、Al量が0.005 wt%以
    下、O量が0.006 wt%以下のオーステナイト系ステンレ
    ス鋼スラブを1100〜1200℃の温度範囲に加熱し、常法に
    よる熱間圧延、熱延板焼鈍、脱スケール、冷間圧延およ
    び仕上げ焼鈍を行い、硝酸と弗酸よりなる混酸を用い、
    下記の条件で酸洗することを特徴とする請求項2に記載
    のオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。 記 溶存Feイオン濃度:50 g/l 以下 硝酸濃度:10〜60 g/l または 100 〜150 g/l 弗酸濃度:(0.67C+2)g/l 〜(0.67C+12)g/l ただしC:溶存Feイオン濃度( g/l)
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