JP2986057B2 - メモリセル - Google Patents

メモリセル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は静的なメモリセルの構
造に係わる。より詳しくは、本願発明は自由電子の量子
力学的性質を用いて情報を記憶するための新規な構造に
係わるものである。
【0002】
【従来技術】静的メモリセル(static memory cell)は
DRAMと比べてリフレッシュ動作が不要であるため消
費電力が低いのが特徴である。リフレッシュ動作とはD
RAMにおいて情報である”0”または”1”を記憶す
るためのキャパシタンスを充電する動作である。かかる
動作はDRAMのキャパシタンスが蓄積した電荷をその
接合部分、絶縁膜ならびに空乏層から常にリークしてい
ることに起因して必要とされる。
【0003】図1にDRAMの構造を示す。ここでデー
タが蓄積されるのはキャパシタンス1であり、このキャ
パシタンスは図2に示されるような構造をなす。つま
り、電極2の間に絶縁膜3が介在する。近年、メモリの
小型化が要求されるようになるとこの電極間の距離dを
小さくしなければならない。すると、絶縁膜3の厚さが
減少し、その分電極間のリーク電流iが流れやすくな
る。このような、リーク電流の増大は頻繁にリフレッシ
ュ動作を行わなければならないということにつながるか
ら、メモリが小型化すればするほど、DRAMはリフレ
ッシュの煩雑さという点で問題を生じる。
【0004】最初に述べたとおり、静的メモリセルにお
いてはリフレッシュ動作は不要である。これは図3に示
すような静的メモリセルの構造及びその動作原理に起因
する。この動作原理の概略を示す。この静的メモリセル
は二つのインバータ回路がクロスカップルされた構造と
なっている。例えば、CL端子が高電位にあればトラン
ジスタTNとTPが導通し、CLB端子が接地と同
じ低電位になるから、トランジスタTNとTPが非
導通となる。この結果、CL端子の電位は高に保持され
るから、この状態が情報として記録される。このような
静的メモリはこの状態が帰還のラッチによって保持され
ているから、情報は電源が切れない限り失われない。従
って、DRAMのようなリフレッシュ動作を必要とせ
ず、このための制御クロック等の付加的な回路も不要と
なる。
【0005】しかし、このような静的メモリは以上の利
点を有しつつも回路の使用面積が大きいという欠点を有
する。つまり、回路端子のレベルを保持するための帰還
回路が必要であり、このために多数の素子を用いる必要
があるからチップ面積の増大を招く。具体的に言うと、
DRAMにおいてはメモリはキャパシタと選択用トラン
ジスタそれぞれ1個づつから構成されるが、静的メモリ
においてはCMOS技術を利用する限り帰還回路用に4
つのFETと選択用に2つのFETとを必要とするから
セルの面積が著しく大きい。この欠点は、素子の微細化
が望まれている今日において致命的ですらある。
【0006】近年、量子素子と呼ばれる素子が開発され
つつある。量子素子とは自由電子の量子力学的性質を利
用して情報処理記憶を行うものをいう。従来開発されて
きた量子素子の多くはは図4のようなI−V特性を有す
るが、この量子素子の負性抵抗(Vの増大に対してIが
減少するという特性)を用いれば、図5のような簡略な
構成によって正帰還回路が構成可能である。
【0007】図4と図5の関係を以下に説明する。図5
は量子素子を用いた正帰還回路の一例であり、抵抗7に
量子素子8が直列に接続されているという簡単な構成の
ものである。この接続点Aの電位は抵抗7の量子素子と
反対側にある点Bの電位をVとしたときに、V−i
Rで表すことができる。この電位と電流iとの関係を図
4上で表せば示された直線6のようになる。この直線は
一般的には負荷ライン(load line)と呼ばれる。ここ
で、図4においては横軸が電位V、縦軸が電流iであ
り、負荷ライン6と横軸との交点がVとなる。一方、
量子素子8の電位−電流挙動は図4上の曲線9で示され
る。図4上では、負荷ライン6と曲線9との交点P
,Pが示されているが、これらの交点が示す電位
及び電流において抵抗中に流れる電流iと量子素子の電
位−電流挙動が整合し、図5に示す正帰還回路は一つの
系として安定する。
【0008】つまり、図4の点Pに係わる(i,V
)、点Pに係わる(i、V)の二つを考える
と、この二つの電位−電流条件で系が安定し、正帰還回
路特性を示す。従って、図5の点Aがこの二つの点に係
わる電位V,Vに対応して、ビット”0”または”
1”を表すことができる。
【0009】かかる従来の量子素子を用いた正帰還回路
はある電位V,Vにおいて安定するので、安定状態
においても常にその電位に対応する電流i,iが流
れている。このように、安定状態において定常的に流れ
る電流をスタンバイ電流という。スタンバイ電流による
発熱が生じると、回路の集積度が制限されるという点で
大きな欠点を有する。つまり、従来の量子素子を用いた
メモリセルは回路が相補的ではないために、スタンバイ
電流を生じるという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本願発明はかかる従来
技術の抱える問題点に鑑みてこれを解決すべく、全く新
しい静的メモリの記憶方式及びその構造を提案するもの
である。つまり、本願発明の目的は、(1)現在用いら
れている静的メモリよりも簡略な構造を有し、かつ、正
帰還を有するメモリセルの構造を示すこと、(2)DR
AMのセル面積と同等の面積を有し、かつ、リフレッシ
ュ動作の不要なメモリセルの構造を示すこと、(3)量
子素子を用いてメモリセルを形成すること、(4)その
回路を相補的に構成し、スタンバイ電流を著しく減少さ
せること、にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明の上記目的は以
下に述べるような構成によって達成される。即ち、本願
発明は「絶縁層によって互いに隔てられた少なくとも3
つの伝導層と、これらの伝導層のうち直接相互にトンネ
リング電流が流れることのない第一の伝導層と第三の伝
導層との間に所定の電位差を付与する第一の電位付与手
段と、第一の伝導層及び第三の伝導層との間でトンネリ
ング電流が流れることのできる第二の伝導層に接続され
た第二の電位付与手段と、を有するメモリセルであっ
て、これらの伝導層に自由電子の量子力学的な閉じ込め
がなされている」メモリセルに係わるものである。
【0012】
【実施例】本願発明のメモリセルとしての実施例を図6
に示す。つまり、本願発明の要部は3つの伝導層20
a,20b,20cを絶縁層10で離隔した構造をな
す。この3つの伝導層20a,20b,20c内では、
自由電子の量子力学的な閉じ込めがなされている。ここ
で、自由電子の量子力学的な閉じ込めとは「自由電子が
ある微少な領域に運動を制限されるため、連続的ではな
く離散的なエネルギー準位を持つ状態になること」をい
う。伝導層は便宜上VDD20a,CL20b,GND
20cと呼ぶ。そして、VDD20aとGND20cの
間は一定電位が電源24によって付与されている。ま
た、CL20bには別の電位がビットラインBL25に
よって選択用のトランジスタ28を介して付与される。
このトランジスタ28はワードラインWL26によって
付勢される。
【0013】本願発明は最近本願発明者らによって発見
された、(a)自由電子が一次元方向に量子力学的に閉
じ込められている2つの伝導層が薄い絶縁層を介して離
隔されているときに、(b)この2つの伝導層の量子準
位が近接すると、この2つの伝導層間に絶縁層を介して
流れるトンネリング電流が飛躍的に増大する、という現
象を利用するものである(Y.Katayama、Ph.D.Thesis, P
rinceton University, June 1994)。なお、ここでいう
「伝導層」とは正確には「フェルミ準位に自由電子が存
在する状態の層であって、このために電気伝導度が高い
状態にある層」をいい、また、「絶縁層」とは「フェル
ミ準位がバンドギャップに位置するために自由電子がフ
ェルミ準位に存在せず電気伝導度が低い状態にある層」
をいう。これらの層は擬似的にはその有する抵抗率で評
価することができる。例えば、伝導層は1ohm・cm
以下の抵抗率を有し、絶縁層は100ohm・cm以上
の抵抗率を有すると定義できる。しかし、抵抗率による
判断はあくまでも便法であり、物理的には上述した定義
によって区別すべきものである。上の定義に該当すれば
通常「半導体」と呼ばれるものも本願発明においては伝
導層足り得る。
【0014】本願発明は上述した(a),(b)に係わ
る現象を利用するものであるが、この現象は未だ周知で
はなく、かつ、この理解は本願発明の理解にとって極め
て重要である。そこで、実施例の詳しい説明の前に本願
発明の基礎となっている現象について説明する。
【0015】この現象は二次元電子ガス(two-dimensio
n electron gas=2DEG)間のトンネリングの物理現
象を利用するものである。2DEGは自由電子がある一
次元方向に量子力学的に閉じこめられることによって形
成される。そして、この量子力学的な閉じこめが強いと
きに自由電子の運動はあたかも2次元運動によって擬似
的に記述できることとなる。具体的な例としてはMOS
トランジスタにおいて、チャネル領域に反転層を形成す
る自由電子はこの状態になっている。
【0016】この現象は二つの2DEGを呈する伝導層
をGaAs−AlAs量子井戸構造において伝導層間に
流れるトンネリング電流を4極端子法によって測定する
ことによって確認された。以下この発見の概要を記載す
る。
【0017】2DEGは例えば極めて薄い伝導層を極め
て薄い絶縁層間に形成するときに発現する。発明者らは
図7に示すように、伝導層として厚さ約150オングス
トローム(以下”A”と略す)のGaAs層(30a、
30b)を2層用い、絶縁層として厚さ約70AのAl
As層31を3層用い、これらを交互に積層した。
【0018】この伝導層中の自由電子は2DEGとなっ
ており、例えば図7に示すような量子井戸を形成する。
ここで、量子井戸は伝導層30a、30bに形成され、
そのもっとも低い2つの量子準位は仮にE(エネルギ
ー大)とE(エネルギー小)とする。このように、2
DEGを呈するためには電子が一次元方向に閉じこめら
れることによって、量子準位どうしに断絶が生じること
が必要である。そして、このためには伝導層の厚さd
が十分に薄いことが必要である。2DEGを呈する伝導
層の厚さdは以下のような理論式によって求められ
る。まず、伝導層の厚さdと二つのもっとも低い量子
準位E,Eとの関係は下式で示される。
【数4】 ここで、hはプランク定数hを2πで除したもの(h
=h/2π)、mは自由電子の有効質量を表す。
【0019】また、2DEGが形成されて自由電子の量
子力学的な閉じこめがなされるための条件として二つの
量子準位の差であるE−Eが、
【数5】 を満足する必要がある。つまり、二つの量子準位間のエ
ネルギー差(E−E)が散乱による量子準位のぼけ
Γ=h/τ(τは自由電子の平均散乱時間)よりも十
分に大きくなければならない。なぜならば、散乱による
量子準位のぼけがこのエネルギー差に比べて大きくなる
と二つのエネルギー準位が連続してしまい、量子井戸の
形成がされないからである。
【0020】この両式をdに関して展開すると、結
局、
【数6】 を得る。従って、dの上限値はm、τをパラメータ
として決められる。
【0021】ここで、mおよびτは伝導層物質による
固有のパラメータであり、τは系の温度、伝導層と絶縁
層の界面の平滑度、伝導層中の不純物の濃度によっても
左右される。このような伝導層の厚さdが伝導層中の
自由電子が一次元方向に閉じ込められるという本願発明
を実施するための前提となるから、本願発明においては
これに従って伝導層の厚さを定めるべきである。
【0022】次に、本願発明が利用するこの現象が発現
する条件として伝導層間30a、30bに十分なトンネ
リング電流が流れることが必要である。このトンネリン
グ電流の大きさ、つまり2DEGの物理現象を呈してい
る自由電子がトンネル現象によって隣接する伝導層に移
動する程度は伝導層を画している絶縁層の厚さdに依
存する。単位面積当たりのトンネリング電流I
【数7】 で表される。
【0023】ここで、eは電子の電荷、ΔVは隣接する
伝導層中の2DEGのフェルミ準位の差、E −E
は隣り合う伝導層のもっとも低い2つの量子準位のエ
ネルギー差、tはトンネル遷移の発生する確率を決定す
るパラメータを示す。また、ρは2次元電子ガスの状態
密度を表し、実際はρ=m/πh で示される。こ
の式から、隣り合う伝導層の量子準位のエネルギー差E
−E が小さくなると、単位面積当たりのトンネ
リング電流Iが極めて大きくなることがわかる。
【0024】また、絶縁層の厚さdは上式のtと次式
のような関係にある。
【数8】 ここで、x,xは図7に示されるように、絶縁層の
一つの界面と他の界面の界面に垂直な方向のx座標値で
あり、実際はd=x−xの関係にある。また、ρ
は自由電子の量子力学的閉じこめ方向の状態密度、Δ
ψは自由電子の感じるトンネル障壁である。このうち、
絶縁層物質の種類、厚さ等に依存するものはm
ρ、Δψである。この式はtを求めるために座標x
からxに向かって積分をしているために、直接d
関して展開することはできない。しかし、この式を用い
れば当業者であるならば本願発明の作用を達成し得る適
正な絶縁層厚さを容易に計算することが可能である。
【0025】発明者らはこの積層構造を図8に模式的に
示すように接続し、伝導層間に流れるトンネリング電流
をΔVをパラメータとして測定した。ΔVは伝
導層30a,30bにおいて量子準位がそろった状態に
おける場合を0として、その状態からのゲート電位の差
分を示す。なお、図8において伝導層30a,30bは
それぞれ示されているが、絶縁層31については図示を
省略した。そして、伝導層30aに端子33、35を設
け、伝導層30bに端子34、36を設け、端子33と
端子34の間に電圧Vdsを印加する。端子35は接地
を行い、端子36は電流測定装置37に接続して、伝導
層間に流れる電流を測定する。金属電極32は二つの伝
導層30a,30bの量子準位の差を調整するために設
ける。つまり、金属電極32に可変電圧Vを印加する
ことによって、伝導層30bの量子準位が変化するた
め、伝導層30aとの量子準位の差を可変とすることが
できる。このように、電子が量子力学的に閉じ込められ
た系においては量子準位と自由電子のフェルミ準位は自
由電子の密度を変化させることによって独立に変化させ
ることができる。図8において、伝導層30a,30b
に接続されている電位Vdsは伝導層30a,30b間
のフェルミ準位の差の電位を表し、また、外部金属ゲー
ト32に付加された電位Vは量子準位を制御する。測
定においてはΔVを変化させ、その時の電流値i
変化を求めた。
【0026】図9はこの結果を示す。ここで、x軸はΔ
、y軸は測定された電流iを示す。量子準位の差
が一致したときに(つまりΔV=0のときに)、極大
の電流が流れる顕著な傾向を示す。そして、この電流の
ピーク値における伝導度は通常のトンネル現象で観察さ
れる伝導度よりも2桁以上も大きいものである。この実
験から、本願発明者は(1)2DEGの物理現象が生じ
電子が量子力学的に一方向に閉じこめられた層が絶縁層
を介して隣接している場合に、(2)この隣接する伝導
層の量子準位が近接すると通常のトンネリング電流に比
べて非常に大きな電流が流れる現象、あるいは、通常の
トンネリング抵抗に比べて抵抗値が極めて小さくなる現
象を発見したものである。
【0027】なお、発明者らがこの現象を確認したGa
As−AlAs系においては極めて低温でこの現象が確
認された。しかし、これはAlAsが絶縁層としてバン
ドギャップが小さいために、量子井戸の障壁の高さが不
十分であるためであり本質的な問題ではない。つまり、
量子井戸の障壁の高さが不十分であるときは、量子閉じ
こめによる電子の量子準位の差E−Eの値が十分に
大きなものではないので、温度が高くなるとそれぞれの
量子準位に幅が生じ両準位が連続してしまい、量子の一
次元方向の閉じ込めがこわれてしまうからである。従っ
て、たとえばSiOのようにバンドギャップが大きな
絶縁物によればより高い温度、例えば常温においてもか
かる現象が確認できる。
【0028】本願発明によるメモリセルを図6に再度示
す。示されるように、本願発明によるメモリセルの構造
は薄い絶縁層10によって隔てられた3層からなる薄い
伝導層VDD20a,CL20b,GND20cよりな
る。そして、両端の伝導層に電位差Vを加え、第一の量
子井戸にかかわる伝導層VDD20aと第三の量子井戸
にかかわる伝導層GND20cとの電位差をVに保ち、
かつ、第2の量子井戸に係わる伝導層CL20bにビッ
トライン25を通じて電位を付与する構造によってメモ
リセルとしての作用が実現される。ここで、量子井戸の
並列数は3つであることが最も好ましいが、4つ以上で
もメモリセルとして実現は可能である。かかる構造を採
用することによって図6に示すように、3つの量子井戸
(クオンタムウエル)が形成され、それぞれの量子井戸
の中に自由電子が量子的に閉じこめられることによって
量子準位ができる。
【0029】各々の絶縁層及び伝導層の厚さは好ましく
は50〜200オングストローム程度である。しかし、
本願発明の原理に立ち返ればかかる厚さに限定されるも
のではなく、上述したように伝導層については式
(1)、(2)、(3)、絶縁層については式(4)、
(5)を満たす範囲であればよい。
【0030】この構造の動作原理を図10から図12に
よって説明する。図10では、両端の量子井戸に係わる
伝導層VDD20a,GND20cに電位がかかってい
ない状態を示す。この状態では両端の伝導層に電位差が
生じていない。今ここで伝導層中には十分に自由電子が
存在し、フェルミ準位Eが最低の量子準位Eより上
にあり、次の量子準位Eより下にあると仮定する。こ
の状態では、伝導層を隔てる絶縁層は十分に薄いからト
ンネリング現象が各伝導層間で生じ、各伝導層間にはト
ンネリング現象によってトンネリング電流が流れる。
【0031】次に、この系の両端の伝導層VDD20
a,GND20c間に電位差Vを与えたのが図11の状
態である。通常の系であれば第二の量子井戸に係わる伝
導層CL20bの量子準位はEとE0’の中間に保た
れるはずである。しかし、本願に係わる構造において
は、2DEG現象によって自由電子の自由度が減少して
いるために第二の量子井戸に係わる伝導層CL20bの
量子準位はEまたはE0’のいずれかの電位にロック
される。図11ではCL20bの量子準位の電位がGN
D20cの量子準位の電位と等しEにロックされてい
るが、これは二進状態における”0”に相当する。この
ように、第二の量子井戸に係わる伝導層CL20bの量
子準位の電位がEにロックされる理由は、伝導層CL
20bと伝導層GND20cの量子準位の電位が相互に
近接しているから第二の量子井戸に係わる伝導層CL2
0bと第三の量子井戸に係わる伝導層GND20c間の
トンネリング電流が増大し、一方、伝導層CL20bと
伝導層VDD20aの量子準位の電位が離れるから第一
の量子井戸に係わる伝導層VDD20aと第二の量子井
戸に係わる伝導層CL20bとの間のトンネリング電流
が減少するからである。なお、トンネリング電流と量子
準位の電位差については図9に述べたとおりである。こ
の結果、さらに伝導層CL20bの電位が伝導層GND
20cに近づく方向に遷移し、CLの電位はGNDの電
位にロックされる。
【0032】次に、伝導層CL20bが伝導層VDD2
0aの電位の側に少し遷移したときは、伝導層CL20
bの電位と伝導層GND20cの電位が離れることによ
って、伝導層CL20bと伝導層GND20cのトンネ
リング電流が急激に減少し、その代わり、伝導層CL2
0bの電位が伝導層VDD20aの電位に近づくから伝
導層CL20bと伝導層VDD20aのトンネリング電
流が増大する。これによって、伝導層CL20bと伝導
層VDD20aはその電位がより相互に近づくように遷
移する。この状態を図12にしめす。そして、この状態
は二進状態における”1”に対応する。
【0033】本願発明においてメモリセルとしての作用
を担う伝導層CLの電位とその安定度の関係を図13に
模式的に示す。CLの電位がVDDの電位とGNDの電
位の中間にある初期状態(図10)ではCLの電位は極
めて不安定であり、これがどちらかの電位に近づくこと
によって加速的に安定する状態にあるといえる。つま
り、初期状態においては第二の量子井戸に係わる伝導層
の電位状態は極めて不安定な状態にあり、GNDの電位
より、または、VDDの電位よりの電位が付与されるの
を待っている状態にある。そして、ひとたびこれが付与
されると、安定状態(GND電位、または、VDD電
位)に向かって加速的に遷移していくのである。本願発
明に係わるメモリセルが正帰還を有しているのはかかる
特性のためである。
【0034】次にこのメモリセルを用いて情報の読み書
きを行うときの操作を示す。図6を参照して、情報をこ
のメモリセルから読み出すときはFET28をonにし
て、メモリセルの正帰還を利用し、ビットライン25を
駆動することによって行われる。また、情報の書込はビ
ットライン25より電位CLを強制的に変化させること
によって行うことができる。FET28がoffになる
と、メモリセルは外部回路から遮断されて、外部電圧が
印加されている限り正帰還により情報が保持される。
【0035】この3層構造を実際に用いた構造について
のいくつかの例を示す。図14は基板として単結晶シリ
コン100を用い、その上にSiとSiOからなる層
を積層した構造を示す。ここで、伝導層GND102、
CL104,VDD106はそれぞれSiから形成さ
れ、自由電子の散乱確率を低くすることを考えると単結
晶であることが望ましい。また、図示されていないが、
これらの伝導層GND102,CL104、VDD10
6の周囲は絶縁層であるSiO層よりなる。また、選
択用トランジスタのための電極WL108は任意の導電
材料で良い。製造工程上は伝導層と同一の材料を使用す
ることが最も有利であろう。
【0036】本願発明の構造において重要なのはSi−
SiO間の界面である。この界面が十分に平滑でない
と自由電子の散乱確率が高くなり、自由電子の閉じ込め
を達成することができない。このような平滑な界面を得
るために考えられる製造方法として、CVD技術が第一
に考えられる。ただし、CVD技術によれば薄膜形成時
に多結晶またはアモルファス状態になるために、伝導層
内での電子の散乱確率が大きくなるという欠点が考えら
れる。
【0037】次に考えられる方法は、単結晶シリコン中
に酸素イオンを打ち込み、その後高温でアニールするこ
とによって単結晶状態を維持するとともに酸素イオンを
局在化し、Si層とSiO層を交互に形成する方法で
ある。この方法はSOI(silicon on insulater)基板に
用いられる方法であり、非常に平滑なSi−SiO
面を得ることが可能と考えられる(S.Nakajima,presente
d in JEIDA meeting on Silicon-On-Insulator,Oct 199
4)。
【0038】平滑なSi−SiO界面を得ることの困
難性を少しでも解消するための構造を図15に示す。こ
の構造は伝導層VDD116とGND112を伝導層C
L114の下層に形成し、2層でもって3層のものと等
価な構造としたものである。単結晶シリコン基板100
と選択用トランジスタのための電極WL108の配置に
ついての変更はない。
【0039】さらに図16に示すように平面的にメモリ
セルを形成することも可能である。ここで、伝導層はそ
れぞれGND122,CL124,VDD126であ
り、選択用トランジスタの電極WL128はこれらの伝
導層の上部または下部に絶縁層を挟んで形成される。ま
た、各伝導層間には絶縁層120が形成されている。こ
のような構造はエレクトロンビームリソグラフィー等の
超微細加工技術を用いて形成することができる。
【0040】Si−SiO系を用いたときに伝導層と
絶縁層の厚さは前者については式(1)、(2)、
(3),後者については式(4),(5)を用いて計算
することができる。例えば伝導層であるSi層の厚さd
は式(1)、(2)、(3)によって計算することが
できるが、ここで重要なパラメータは自由電子の平均散
乱時間τである。τは伝導層物質の種類のみならず伝導
層と絶縁層の界面の平滑性によって大きな影響を受け
る。現在MOSFETで得られるS−SiO界面での
電子の移動度からこれを推測するとτ=7.4x10
−14s程度となる。これによる散乱による電子のぼけ
Γは0.08eV程度であり、これは伝導層の二つの量
子準位の差E−E=0.1eVと仮定すれば式
(2)を満足する。これらを前提とすると、自由電子の
有効質量m=0.26mを代入して式(3)を計算す
ると、dc=<60A程度となる。しかし、この値はS
i−SiO界面の平滑性に影響を受けるτに大きく影
響されるのでより平滑性を向上することができればもう
少し厚くても構わないであろう。実際にGaAs−Al
As系においてはこの界面の平滑性を十分なものとする
ことができるので、特に低温ではさらに厚い層でも(例
えば、100〜200A)自由電子の量子力学的な閉じ
込めが可能である。しかし、厚くなるに従って自由電子
の一次元的な閉じ込めを達成するために界面の平滑性等
を向上する必要があり、また、構造自体が大きくなりメ
モリセルを微細化するという本願発明の要請を満たし得
ないことから1000A以下が望ましいと考えられる。
【0041】また、絶縁層であるSiO層の厚さは式
(4)、(5)からも計算することができるが、GaA
s等他の材料の実験結果から外挿法などによって推測す
ることも可能である。このような外挿法を用いるとSi
を絶縁層として選択する限りは20〜30Aくらい
の厚さが最適値である。絶縁層については十分にトンネ
リング電流が流れるということが条件なので、その範囲
であれば特に厚さを限定する必要はない。GaAs−A
lAs系では70A前後でも十分であることがわかって
いる。流れるべきトンネリング電流値(単位面積当た
り)Iは伝導層が構成するキャパシタンスCとその充
電のための時間τとキャパシタンスに印加される電圧V
とすると、I=CV/τの関係から計算できる。例え
ばC=10−7F/cm、V=1V、τ=10−9
とすると、Iは概略100A/cm程度である。こ
のように、Iはどの程度の速さでメモリセルを動作さ
せるかにもよるから物理的に定められるものではなく設
計事項である。ただし、現在のDRAMのアクセススピ
ードが7x10−8s程度であることに鑑みると、I
を1A/cm以下にすることは現実性が乏しい。従っ
て、この範囲で絶縁層の厚さを決定することが実用的で
ある。また、絶縁層の厚さがあまり厚くなると構造自体
が大きくなりメモリセルを微細化するという本願発明の
要請を満たし得ないので、これらの要請を考慮すると5
00A以下が望ましいであろう。
【0042】本願発明で提案するメモリセルの実現可能
性をシミュレーションモデルを用いて検証する。この検
証として、(1)上述した2並列型の量子井戸を有する
構造と等価な回路(単位回路という)を示し、(2)次
に、この単位回路を組み合わせて3並列型の量子井戸を
有する本願発明に係わるメモリセルの等価回路を構成
し、(3)この等価回路を用いてメモリセルとしての特
性をシミュレーションした結果について述べる。つま
り、(1)によって、2並列型量子井戸構造と単位回路
の等価性、(2)によって単位回路を組み合わせた等価
回路と本願発明に係わる3並列型の量子井戸を利用した
メモリセルとの等価性、そして、(3)によってこの等
価回路がメモリセルとしての特性、あるいは、正帰還特
性を発揮することを検証するものである。
【0043】(1)については本願発明者らの文献「"L
umped Circuit Model Of Two-dimentinal to Two-Dimen
sional tunneling transistor" Y. Katayama, D.C.Tsu
i, Appl. Phys. Lett 62(20), 17 May 1993」に開示さ
れている。この文献の内容の概要を以下に示す。
【0044】これによると、2並列型の量子井戸の等価
回路(上述の単位回路)は図17に示されるものであ
る。単位回路において二つの量子準位がノードSとD
で表される点の電位に相当する。この単位回路の従来
のトランジスタの等価回路に比べた場合の特徴は、フェ
ルミ準位を表すS、Dが量子準位を表すS、Dとキ
ャパシタンスCによって分離されている点である。こ
のキャパシタンスCは量子キャパシタンス(quantum c
apacitance)を示す(Cについては、S.Luryi,Appl.Ph
ys.Lett.52, 501 (1988)を参照されたい)。またC
隣接した伝導層が形成するキャパシタンスに相当し、R
がトンネリング電流が流れる際の抵抗である。このR
は式(4)を変形したΔV/Iと等価である。
【0045】図18に示すように単位回路に一定電圧V
dsをノードSD間に印加し、可変電圧Vを印加す
る。可変電圧VはSとDの間の電位差E −E
を制御する作用をなす。Csub側の端子を接地し
て、可変電圧Vを遷移させたときの電圧−電流挙動を
同図に示す。縦軸が観測された電流値であり、横軸がΔ
である。この挙動はまさに図9で示した2並列型の
量子井戸を有する構造のトンネリング電流の挙動に一致
する。従って、図17に示されている単位回路は2並列
型の量子井戸を有する構造の電圧−電流挙動を表す等価
回路として成立することがわかる。これによって、
(1)に述べた2並列型量子井戸構造と単位回路の等価
性が実証できた。
【0046】次に(2)に述べた単位回路を組み合わせ
た本願発明に係わるメモリセルの等価回路と実際の3並
列型の量子井戸構造との等価性について述べる。単位回
路が2並列型の量子井戸構造と等価であるとすると、3
並列型の量子井戸構造は図19に示すように2並列型の
量子井戸構造を表す単位回路を2つ並べたものに等し
い。ここで、Cw,Cwはそれぞれ伝導層VDDと
伝導層CLの間、及び、伝導層CLと伝導層GNDの間
のキャパシタンスに相当し、Rt,Rtはそれぞれ
伝導層VDDと伝導層CLの間、伝導層CLと伝導層G
NDの間のトンネリング抵抗に相当する。従って、図1
9に示されるように単位回路をノードCLにおいて二
つ結合したものが図6で示したような3並列型の量子井
戸構造の等価回路となることがわかる。ここで、図17
に係わる単位回路と比べるとCが除かれている。単位
回路においてはその実験の目的に基づきゲート電圧を付
与しているからCが必要であるのに対して、等価回路
においてはゲート電圧の付与を行わないから必要ないた
めである。従って、Cが示されていないことは回路の
等価性を損なうものではない。
【0047】また、図19の等価回路にはメモリセルと
しての動作を検証するために、ワードライン(WL)、
ビットライン(BL)、メモリセルの選択用FET(T
)が含まれている。これらの構造により、この等価
回路が本願発明に係わる3並列型の量子井戸構造を要す
るメモリセルと等価であることがわかるであろう。これ
によって、上記(2)において述べたように、本願発明
のメモリセルについて等価回路を構成し得たことにな
る。
【0048】最後に、(3)で述べたようにこの等価回
路がメモリセルとしての特性を有すことを述べる。この
等価回路の電圧−電流挙動を図20に紹介する。この図
は本願発明に係わるメモリセルを等価回路によってシミ
ュレーションしたものであり、BLを1=>0=>1=
>0と変化させたときのCLの挙動を示すものである。
ここで、WLはスイッチングのための付勢を行うから
(図6)、WLがhighの時にTNがonするの
で、CLの電位とBLの電位が等しくなる。そして、W
LがlowになったときにTNは遮断されるから、本
願発明のメモリセルが正帰還を有するとしたらこのとき
にCLの電位は一定の安定電位に向かって遷移を続け、
その後安定した電位状態に保たれるはずである。
【0049】シミュレーションの結果はまさにこの通り
のことを示している。つまり、時間tからtの間の
BL=highの状態でt〜tの間WLがonされ
るとCLの電位は若干の遷移時間を経て、最終的には電
位Vを示す。このときに、WLがoffになったt
後もCLの電位は漸次上昇を続け、最終的にはt’に
おいて安定することに着目されたい。このように、TN
の遮断後もCLの遷移が安定状態に向けて継続するこ
とが正帰還性の証明である。従って、(3)で述べたよ
うにこの等価回路がメモリセルとしての特性、特に、本
願発明が企図する静的メモリとしての特性である正帰還
を有することがわかる。以上(1)、(2)、(3)の
事実の連係により、本願発明の実現性が検証できる。
【0050】そして、この特性は電子の量子挙動という
観点から捉えると (a)自由電子が一次元方向に量子力学的に閉じ込めら
れている2つの伝導層が薄い絶縁層を介して離隔されて
いるときに、(b)この2つの伝導層の量子準位が近接
すると、この2つの伝導層間に絶縁層を介して流れるト
ンネリング電流が飛躍的に増大する、という現象による
ものである。つまり、この現象を利用するから、第2の
量子井戸のエネルギー準位がそれに近接したエネルギー
準位を有する第1または第3の量子井戸の準位に近づく
方向に遷移するとき、第2の量子井戸と近接したエネル
ギー準位を有する量子井戸の間のトンネリング電流が飛
躍的に増大するので、これらの二つの量子井戸間の電位
の差がなくなる方向に第2の量子井戸のエネルギー準位
が安定する方向に遷移する。これが、本願発明において
正帰還を得ることができる理由である。
【0051】
【発明の効果】本願発明は正帰還を有するメモリセルで
ある。従って、リフレッシュ動作を行うことが不要であ
る。また、絶縁層を介した3つの伝導層のみでその要部
が構成されているため、現在用いられている静的メモリ
よりも簡略な構造を有している。この構造が消費する面
積は設計にもよるが、DRAMのセル面積とほぼ同等と
考えられる。本願発明は量子素子を用いてメモリセルを
形成するが、その回路を相補的に構成するためスタンバ
イ電流を著しく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術によるDRAMの構造を示す。
【図2】従来技術によるDRAMのキャパシタンスの構
造を示す。
【図3】従来技術による静的メモリの構造を示す。
【図4】量子素子のI−V特性図を示す。
【図5】従来技術による量子素子の一例を示す。
【図6】本願発明によるメモリセルの模式図とエネルギ
ー準位図を示す。
【図7】本願発明の原理の説明のための模式図とエネル
ギー準位図を示す。
【図8】本願発明の原理の説明のための実験の設備の模
式図を示す。
【図9】本願発明の原理の説明のための実験の結果を示
す。
【図10】本願発明の作用を示す模式図である。
【図11】本願発明の作用を示す模式図である。
【図12】本願発明の作用を示す模式図である。
【図13】本願発明の正帰還を模式的に示す。
【図14】本願発明に係わるメモリセルの一例を示す。
【図15】本願発明に係わるメモリセルの一例を示す。
【図16】本願発明に係わるメモリセルの一例を示す。
【図17】本願発明の原理の動作を検証するためのシミ
ュレーション回路を示す。
【図18】本願発明の原理の動作を検証するシミュレー
ション回路による結果を示す。
【図19】本願発明に係わるメモリセルのシミュレーシ
ョンのための回路を示す。
【図20】本願発明に係わるメモリセルのシミュレーシ
ョン回路による結果を示す。
【符号の説明】
10 絶縁層 20a、106、116、126 伝導層VDD 20b、104、114、124 伝導層CL 20c、102、112、122 伝導層GND 24 定電圧電源 25 ビットラインBL 26、108、128 ワードラインWL 28 選択用トランジスタ 100 シリコン基板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−350044(JP,A) 特開 平4−333280(JP,A) 特開 平5−55502(JP,A) 特開 平7−273331(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 27/10 G11C 11/38 H01L 29/06

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁層によって互いに隔てられた少なくと
    も3つの伝導層と、上記伝導層のうち直接相互にトンネ
    リング電流が流れることのない第一の伝導層と第三の伝
    導層との間に所定の電位差を付与する第一の電位付与手
    段と、上記第一の伝導層との間及び上記第三の伝導層と
    の間でトンネリング電流が流れることのできる第二の伝
    導層に接続された第二の電位付与手段と、を有するメモ
    リセルであって、上記伝導層に自由電子の量子力学的な
    閉じ込めがなされているメモリセル。
  2. 【請求項2】上記第二の電位付与手段が遮断スイッチを
    含む、請求項1のメモリセル。
  3. 【請求項3】上記第二の電位付与手段によって制御され
    る上記第二の伝導層の電位の高低によって情報を記憶す
    ることを特徴とする、請求項1のメモリセル。
  4. 【請求項4】上記第二の電位付与手段が所定の二つの電
    位を上記第二の伝導層に印加する、請求項1のメモリセ
    ル。
  5. 【請求項5】上記第二の伝導層の電位が上記第一の伝導
    層の電位または上記第三の伝導層の電位で安定し、か
    つ、正帰還を有することを特徴とする、請求項1のメモ
    リセル。
  6. 【請求項6】上記伝導層の厚さdが 【数1】 (ただし、hはプランク定数hを2πで除したもの
    (h=h/2π)、mは自由電子の有効質量、τは
    自由電子の平均散乱時間)を具備する請求項1のメモリ
    セル。
  7. 【請求項7】上記伝導層の厚さdが1000オングス
    トローム以下である、請求項1のメモリセル。
  8. 【請求項8】上記絶縁層の厚さdが 【数2】 【数3】 (ただし、Iは絶縁層に流れる単位面積当たりのトン
    ネリング電流値、eは電子の電荷、ΔVは隣接する伝導
    層中の2DEGのフェルミ準位の差、E −E
    隣り合う伝導層の低い方の量子準位のエネルギー差、t
    はトンネル遷移の発生する確率を決定するパラメータ、
    ρは2次元電子ガスの状態密度(ρ=m/π
    )、x,xは絶縁層の一つの界面と該一つの
    界面に対向する界面の界面に垂直な方向のx座標値、ρ
    は自由電子の量子力学的閉じこめ方向の状態密度、Δ
    ψは自由電子の感じるトンネル障壁、hはプランク定
    数hを2πで除したもの(h=h/2π)、Γは散乱
    による量子準位のぼけ)により求められた極大のI
    1A/cm以上のときの、d=x−xに従って
    定めることができる範囲のものを含む請求項1のメモリ
    セル。
  9. 【請求項9】上記絶縁層の厚さdが500オングスト
    ローム以下である、請求項1のメモリセル。
  10. 【請求項10】上記伝導層がSiよりなり、上記絶縁層
    がSiOよりなる請求項1のメモリセル。
  11. 【請求項11】上記伝導層の抵抗率が1ohm・cm以
    下である、請求項1のメモリセル。
  12. 【請求項12】上記伝導層はそのフェルミ準位に自由電
    子が存在することを特徴とする、請求項1のメモリセ
    ル。
  13. 【請求項13】上記絶縁層の抵抗率が少なくとも100
    ohm・cm以上である、請求項1のメモリセル。
  14. 【請求項14】上記絶縁層はそのフェルミ準位に自由電
    子が存在しないことを特徴とする、請求項1のメモリセ
    ル。
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