JP2975291B2 - 内燃機関用オイルトラッパ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用オイル
トラッパに関し、特にブローバイガス還元装置に供しブ
ローバイガス内のオイルミストを分離するサイクロン式
のオイルトラッパに係わる。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関のクランクケース内には、燃焼
室から漏洩するブローバイガスが存在し、そのガス成分
によってエンジンオイルの劣化等を惹起するため、ブロ
ーバイガスを吸気系に戻し燃焼室内で再燃焼させるブロ
ーバイガス還元装置が用いられている。この装置は、例
えばクランクケースとエアクリーナをホースで連通する
シールドシステムとＰＣＶ（Posittive Crankcase Vent
ilation：即ち、クランクケースの強制換気）、バルブ
を介してクランクケースと吸気系を連通し、吸気負圧に
よってブローバイガスを流量制御しつつ強制的にクラン
クケースを換気するＰＣＶシステムに大別される。

【０００３】上記ブローバイガス中には、エンジンオイ
ルが霧化したオイルミストが存在するので、そのままの
状態では再燃焼に適さず、またエンジンオイルの消費量
が増大することとなる。このため、ブローバイガスを吸
気系に戻す前に、ブローバイガス中のオイルミストを分
離する必要があり、オイルトラッパ、オイルセパレータ
等と呼ばれる油滴分離装置が設けられている。このよう
なオイルトラッパとしては、種々の方式のものが知られ
ているが、エンジンブロックの外側に装着する外付型の
オイルトラッパ（図５に示す）と、シリンダヘッドカバ
ー内に収容する内蔵型のオイルトラッパ（図示せず）が
知られている。

【０００４】上記のオイルトラッパとして、所謂サイク
ロン式と呼ばれる方式のトラッパが普及している。これ
は、例えば図５に示すように構成されており、ブローバ
イガスが入口ポートＩＰからサイクロン室（遠心分離
室）ＣＣに導入され、旋回運動をしながら中央部の出口
通路ＯＰからホースＨＣを介して室外に排出され、内燃
機関用の吸気系に吸引される。このとき、ブローバイガ
ス中のオイルミストは、旋回運動時に生ずる遠心力によ
って分離され、サイクロン室ＣＣの壁面に沿ってオイル
溜室に集められる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、サイクロン
室ＣＣの一方の開口端とホースの連結部において、死角
なる部分Ｄが存在し、オイルは粘性があるためＤに滞留
してしまい、オイルがスムーズにオイル溜室に流れない
といった現象が発生する。

【０００６】そこで本発明は、オイルの滞留を防止し、
サイクロン本体からオイル溜室にオイルをスムーズに行
え、汎用のホースがそのまま使用できる等のコスト的に
有利な簡便な構造を有する内燃機関用オイルとラッパを
提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、内側に円筒面を有し分離室を郭成すると共に一方側
に先端に近づくにつれて内径が大となるようにテーパー
部が形成された開口部を備えた第１の筒体と、両端に開
口部を有し前記第１の筒体内に一方の開口部が開口し他
方の開口部が前記第１の筒体外に開口するように配置す
る第２の筒体と、第２の筒体の一方の開口部近傍で円筒
面の接線方向に開口するように前記第１の筒体に入口ポ
ートを形成した入口管を備えた内燃機関用オイルトラッ
パとした。

【０００８】而して、本発明の内燃機関用オイルトラッ
パにおいては、第１の筒体の一方側の開口端にテーパー
が形成されているため、開口端とホースとの間にできる
死角が少なくなる。これにより、分離室でブローバイガ
スから分離されたオイルはスムーズにオイル溜室に還元
されることとなる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関用オイル
トラッパの望ましい実施例を図面を参照して説明する。
図１および図２は、本発明の一実施例に係わり、エンジ
ンブロック外付型のオイルトラッパを示すもので、図２
に示すように例えば合成樹脂製の二部品が組み合わされ
てなる。即ち、本発明にいう第１の筒体を含む本体１
と、本発明にいう第２の筒体を含む出口管２とからな
り、本体１内に出口管２の一部が延出した状態で両者が
接合される。

【００１０】本体１は略円柱体で、一方の開口端が小径
で排出口１ａとされ、他方の開口端１ｂが大径に形成さ
れている。排出口１ａは、先端に向かうほど内径が拡大
するようにテーパー１ｇが形成されている。また、一方
の開口端１ａと他方の開口端１ｂとの間にもテーパ部１
ｃが形成されている。本体１の開口端１ｂは径方向に延
出しフランジ部１ｆが形成されている。また、開口端１
ｂ側には、入口管５が本体と一体的に形成されており、
本体１の内側円筒面の接線方向に入口ポート５ａが開口
している。

【００１１】一方、出口管２は、図２に示すように、中
間部に鍔部３が一体に形成された円筒体である。鍔部３
は、フランジ部３ｆを有し、これが本体１のフランジ部
１ｆに密着して接合される。図１に示すように出口管２
内には、開口端２ａ側で開口し開口端２ｂの内径より大
の内径の円筒部２ｃ並びに第１および第２のテーパ部２
ｄ，２ｅが形成されており、これらによって拡大内径部
１２が形成されている。

【００１２】而して、本体１に出口管２が接合される
と、本体１内の排出口１ａ側に分離室１１が郭成され、
分離室１１は入口管５および出口管２を介して夫々内燃
機関のクランクケース（図示せず）および吸気系（図示
せず）に連通接続され、排出口１ａを介して外部のオイ
ル溜室（図示せず）に連通するように構成される。本実
施例においては、入口管５および出口管２および排出口
１ａには、夫々ホース１３，１４，１５が接続されてい
る。

【００１３】上記の構成になる本実施例のオイルトラッ
パは、入口管５がホース１４を介して内燃機関のクラン
クケース（図示せず）に連結されるとと共に、出口管２
の開口端２ｂ側がホース１３を介して内燃機関の吸気系
（図示せず）に連通接続される。そして、クランクケー
ス内のブローバイガスが入口ポート５ａから分離室１１
内に接線方向に導入され、同室内で旋回運動をしながら
出口管２の開口端２ａから内径部２ｆを介して開口端２
ｂから排出され、内燃機関の吸気系に吸引される。この
時の旋回運動によりブローバイガス中のオイルミストに
遠心力が加わり、分離室１１の内壁面に沿って分離さ
れ、分離オイルは、排出口１ａから下方に排出されホー
ス１５を介してオイル溜室（図示せず）に還元される。

【００１４】この場合において、排出口１ａには先端に
向かう程内径が拡大するようにテーパー１ｇが形成され
ているため、排出口１ａとホース１５との接合部には、
死角が殆ど生じない。従って分離室１１で分離されたオ
イルは、排出口１ａとホース１４の接合部分にオイルが
滞留することなくスムーズにオイル溜室に導かれる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は上述のように構成されているた
め以下に記載される効果を奏する。即ち、本発明の内燃
機関用オイルトラッパは、第１の筒体の一方に開口する
排出口に先端にいく程内径が拡大するようにテーパーを
形成したため、排出口に接続するホースとの間にオイル
が滞留する死角が殆ど発生しないため、分離室からオイ
ル溜室にオイルをスムーズに導くことができる。また、
汎用のホースがそのまま使用できる等、格別な構造、設
備を提供することがないため、コスト的に有利で簡便な
構造をとることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わる内燃機関用オイルト
ラッパの縦断面図である。

【図２】本発明の一実施例に係わる内燃機関用オイルト
ラッパの分解斜視図である。

【図３】従来のサイクロン式オイルトラッパの概略構成
図である。

【図４】従来のサイクロン式オイルトラッパの排出口と
ホースとの接続構造を示す部分縦断面図である。

【符号の説明】

１ 本体（第１の筒体） １ａ 排出口 １ｇ テーパ部 ２ 出口管（第２の筒体） ５ 入口管 １１ 分離室

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側に円筒面を有し分離室を郭成すると
   共に一方側に先端に近づくにつれて内径が大となるよう
   にテーパー部が形成された開口部を備えた第１の筒体
   と、両端に開口部を有し前記第１の筒体内に一方の開口
   部が開口し他方の開口部が前記第１の筒体外に開口する
   ように配置する第２の筒体と、第２の筒体の一方の開口
   部近傍で円筒面の接線方向に開口するように前記第１の
   筒体に入口ポートを形成した入口管を備えたことを特徴
   とする内燃機関用オイルトラッパ。